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JP7172917B2 - ハット型断面部品の製造装置および製造方法 - Google Patents

ハット型断面部品の製造装置および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、断面ハット状の部品(以下、「ハット型断面部品」ともいう。)の製造装置および製造方法に関するものである。
車両用骨格部材等に用いられるハット型断面部品を製造する場合には、ダイ、パッド、パンチ、ホルダ等の金型を備える製造装置を用いて、金属製の板状のワークを断面ハット状にプレス加工(絞り加工)することが多い。
より詳しくは、下方に開放する開口が形成されたダイと、下向きの付勢力に抗して開口内に押し込まれるように、上方に相対移動可能にダイに設けられたパッドと、パッドと上下に対向配置されたパンチと、ダイと上下に対向し、上向きの付勢力に抗して下方に移動可能にパンチの周りに設けられたホルダと、を備える製造装置を用意する。そうして、ホルダおよびパンチにワークを載置し、これらに向けてダイおよびパッドを下して型締めを行う。すると、ワークにおける天板予定部を上下に挟むパッドおよびパンチと、天板予定部の幅方向両側でフランジ予定部を上下に挟むダイおよびホルダと、が上下に相対移動し、パッドを上方に押し込みながらパンチがダイの開口に入り込むことで、天板とフランジとの間に縦壁が成形される。
しかしながら、かかる製造装置には以下のような問題がある。すなわち、離型時(型開きの際)に、ダイを上方に移動させると、パンチがダイの開口から抜けるとともに、ダイの開口内では付勢力によってパッドが相対的に下方に移動する一方、パンチの周りでは付勢力によってホルダが上方に移動する。すると、パンチが天板の下面から離れるとともに、かかるパンチによる下方からの支持を失った天板に対して、上方からパッドの加圧力が作用するとともに、フランジに対して、下方からホルダの加圧力が作用することになる。このため、ハット型断面部品がパッドとホルダとによる加圧で上下に圧縮されることになり、縦壁が座屈するような態様でハット型断面部品が変形してしまうおそれがある。
そこで、例えば特許文献1には、離型中、ブランクホルダを貫通してパンチに装着されることで、ブランクホルダをパンチに固定するホルダ側制限部や、ダイを貫通してパッドに装着されることで、パッドをダイに固定するパッド側制限部を備えることによって、ホルダやパッドの加圧力を制限する製造装置が開示されている。
WO2015/046023号公報
しかしながら、上記特許文献1のものでは、パンチに対するホルダの相対移動やダイに対するパッドの相対移動を規制することで加圧力を制限する制限部を製造装置内部に設けるため、大掛かりな加工等が必要となり、金型構造が複雑化し、製造コストの上昇を招くという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハット型断面部品を製造する場合に、簡単な構成で、離型時にハット型断面部品が変形するのを抑制する技術を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係るハット型断面部品の製造装置および製造方法では、金型の形状等に工夫を凝らすことで、ワーク自体ないしハット型断面部品自体を変形し難くするようにしている。
具体的には、本発明は、板状のワークにおける成形後に天板となる天板予定部を挟んで押圧するパッドおよびパンチと、当該天板予定部の幅方向両側で当該ワークにおける成形後にフランジとなるフランジ予定部を挟んで押圧するダイおよびホルダと、を押圧方向に相対移動させることで、当該天板と当該フランジとの間に縦壁を成形するハット型断面部品の製造装置を対象としている。
そして、この製造装置は、幅方向両側に押圧方向一方向きの第1成形面を有し、これら第1成形面の間に押圧方向一方側に開放する開口が形成された上記ダイと、押圧方向一方向きの第2成形面を有し、当該第2成形面と上記第1成形面とが略面一の状態から、押圧方向一方側への付勢力に抗して上記開口内に押し込まれるように、押圧方向他方側へ相対移動可能に上記ダイに設けられた上記パッドと、上記第2成形面と対向する押圧方向他方向きの第3成形面を有する上記パンチと、上記第1成形面と対向する押圧方向他方向きの第4成形面を有し、当該第4成形面と上記第3成形面とが略面一の状態から、押圧方向他方側への付勢力に抗して押圧方向一方側へ移動可能に、上記パンチの周りに設けられた上記ホルダと、を備え、上記天板予定部が上記第2成形面と上記第3成形面とで挟まれてから、上記縦壁が成形されるまでの間、当該第2および第3成形面に対する当該天板予定部の長手方向のズレを抑制する第1拘束手段を設けており、上記第1拘束手段は、上記第2および第3成形面の少なくとも一方に形成された、上記天板予定部が食い込む凹凸部であることを特徴とするものである。
ところで、ハット型断面部品を製造する場合に、パッドによる相対的に大きな加圧力が要求されるのは、伸びフランジ成形過程において天板予定部の長手方向のズレ(滑り)が生じると、天板に割れが生じることから、パッドによる拘束力(以下、「パッド拘束力」ともいう。)で天板予定部の長手方向のズレを抑えるためである。とすれば、相対的に大きなパッド拘束力がなくても、天板予定部の長手方向のズレが生じ難いのであれば、パッドによる相対的に大きな加圧力は不要となる筈である。
この点、この構成によれば、伸びフランジ成形過程(天板予定部がパッドの第2成形面とパンチの第3成形面とで挟まれてから、縦壁が成形されるまでの間)において、第2および第3成形面に対する天板予定部の長手方向のズレを抑制する第1拘束手段を設けていることから、具体的には、天板予定部がパッドの第2成形面とパンチの第3成形面とで挟まれると、天板予定部の表面(および/または裏面)が第2および第3成形面の少なくとも一方に形成された凹凸部に食い込むので、第2または第3成形面と天板予定部との間の摩擦係数を高めることができることから、パッド拘束力を相対的に小さくしても、天板に割れが生じるのを抑えることができる。したがって、パッド拘束力、換言すると、パッドに作用する押圧方向一方側への付勢力を相対的に小さくすることができる。これにより、離型時に天板に対して作用するパッドの加圧力を相対的に小さくすることができるので、第2および第3成形面の少なくとも一方に凹凸部を形成するという簡単な構成で、ハット型断面部品が変形するのを抑えることができる。
さらに、本発明は、板状のワークを押圧してハット型断面部品を製造する製造方法をも対象としている。
この製造方法では、幅方向両側に押圧方向一方向きの第1成形面を有し、これら第1成形面の間に押圧方向一方側に開放する開口が形成されたダイと、押圧方向一方向きの第2成形面を有し、当該第2成形面と上記第1成形面とが略面一の状態から、押圧方向一方側への付勢力に抗して上記開口内に押し込まれるように、押圧方向他方側へ相対移動可能に上記ダイに設けられたパッドと、上記第2成形面と対向する押圧方向他方向きの第3成形面を有するパンチと、上記第1成形面と対向する押圧方向他方向きの第4成形面を有し、当該第4成形面と上記第3成形面とが略面一の状態から、押圧方向他方側への付勢力に抗して押圧方向一方側へ移動可能に、上記パンチの周りに設けられたホルダと、を備える製造装置を用意する。
そして、この製造方法は、上記ワークにおける成形後に天板となる天板予定部を挟んで押圧する上記第2および第3成形面と、当該天板予定部の幅方向両側で当該ワークにおける成形後にフランジとなるフランジ予定部を挟んで押圧する上記第1および第4成形面と、を押圧方向に相対移動させることで、当該天板と当該フランジとの間に縦壁を成形する型締め工程を含み、上記型締め工程では、上記第2および第3成形面の少なくとも一方に形成された凹凸部に、上記天板予定部を食い込ませることによって、上記第2および第3成形面に対する上記天板予定部の長手方向のズレを抑えながら、上記第2および第3成形面と上記第1および第4成形面とを押圧方向に相対移動させることを特徴とするものである。
この構成によれば、第2および第3成形面の少なくとも一方に形成された凹凸部に天板予定部を食い込ませるという簡単な構成で、パッドの加圧力を相対的に小さくして、離型時にハット型断面部品が変形するのを抑えることができる。
また、これらの製造装置および製造方法では、上記ハット型断面部品は、長手方向に湾曲して押圧方向他方側に突出する湾曲凸部を有していてもよい。
ハット型断面部品が湾曲凸部を有している場合には、伸びフランジ成形過程において天板に割れが生じ易くなるため、相対的に大きなパッド拘束力が必要になるところ、パッド拘束力を低減したり、ハット型断面を維持したりすることで、離型時にハット型断面部品が変形するのを抑えることが可能な本発明の製造装置および製造方法は、湾曲凸部を有しているハット型断面部品に対して好適に適用することができる。
さらに、これらの製造装置および製造方法では、上記ワークは高張力鋼からなるものであってもよい。
伸びフランジ成形過程において天板に割れが生じるのを抑えるためのパッド拘束力は、ワークの素材強度と板厚とに比例して大きくなるところ、パッド拘束力を低減したり、ハット型断面を維持したりすることで、離型時にハット型断面部品が変形するのを抑えることが可能な本発明の製造装置および製造方法は、高張力鋼からなるワークに対して好適に適用することができる。
以上説明したように、本発明に係るハット型断面部品の製造装置および製造方法によれば、簡単な構成で、離型時にハット型断面部品が変形するのを抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る製造装置および製造方法によって製造されるハット型断面部品を模式的に示す斜視図である。 ハット型断面部品の製造手順1を模式的に説明する横断面図である。 ハット型断面部品の製造手順2を模式的に説明する横断面図である。 ハット型断面部品の製造手順3を模式的に説明する横断面図である。 ハット型断面部品の製造手順4を模式的に説明する横断面図である。 ハット型断面部品の製造手順5を模式的に説明する横断面図である。 第1拘束手段を模式的に説明する縦断面図である。 第1拘束手段を模式的に説明する縦断面図である。 変形例1に係る第1拘束手段を模式的に説明する縦断面図である。 図9のA部またはB部の部分拡大図である。 変形例2に係る第1拘束手段を模式的に説明する縦断面図である。 実施形態2に係るハット型断面部品の変形抑制原理を模式的に説明する図である。 ハット型断面部品の製造手順1を模式的に説明する横断面図である。 ハット型断面部品の製造手順2を模式的に説明する横断面図である。 ハット型断面部品の製造手順3を模式的に説明する横断面図である。 図15の部分拡大図である。 天板に割れが生じるメカニズムを模式的に説明する図である。 従来の製造装置を模式的に説明する横断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る製造装置および製造方法によって製造されるハット型断面部品80を模式的に示す斜視図である。このハット型断面部品80は、例えば引張強度が490MPa以上(好ましくは980MPa以上)の高張力鋼(ハイテン材)からなる平板状のワーク70(図2参照)に対し、後述する製造装置1を用いてプレス加工(絞り加工)を施すことによって製造される。
ハット型断面部品80は、図1に示すように、長手方向に湾曲して上側に突出する湾曲凸部87を有する天板81と、天板81の幅方向(長手直角方向)両端部からそれぞれ垂下する一対の縦壁83と、一対の縦壁83の下端部から幅方向外側にそれぞれ延びる一対のフランジ85と、を有していて、下方に開放する断面ハット状に形成されているとともに、全体として長手方向に沿って略逆V字状に湾曲している。このハット型断面部品80は、当該ハット型断面部品80とは逆に上方に開放するハット型断面部品(図示せず)と、一対のフランジ85同士がスポット溶接等で接合されることで、長尺の閉断面部材を形成し、例えばフロントサイドメンバといった車両用骨格部材として用いられる。以下、このようなハット型断面部品80を製造する、本実施形態に係る製造装置1および製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
-製造装置の基本構成-
図2~図6は、ハット型断面部品80の製造手順1~5をそれぞれ模式的に説明する横断面図である。なお、図2~図6では、図を見易くするために、横断面図における、ダイピース13、パッド20、パンチ30およびホルダ40並びにワーク70およびハット型断面部品80にのみハッチングを施している。
製造装置1は、図2等に示すように、ダイ10と、パッド20と、パンチ30と、ホルダ40と、を備えている。この製造装置1は、図2に示すように、パンチ30およびホルダ40上に載置された平板状のワーク70に対し、プレス加工を施すことによってハット型断面部品80を製造するものである。
〈ダイ〉
ダイ10は、幅方向両側に一対の下向き(押圧方向一方向き)の第1成形面13aを有していて、これら第1成形面13aの間には、下方(押圧方向一方側)に開放する開口17が形成されている。
より詳しくは、ダイ10は、全体として略直方体状をなしていて、プレス機(図示せず)のスライドに固定されているとともに、下方に開放する開口17が形成されている。換言すると、ダイ10は、下方に開放する略箱状に形成されている。このダイ10は、図2等に示すように、ダイ本体部11と、ダイピース13と、複数の窒素ガスシリンダ15と、を備えている。
ダイ本体部11の下端面11aは、図2~図6には表れていないが、長手方向に沿って略逆V字状に湾曲している(長手方向に湾曲して上側に窪んでいる)。ダイピース13は、ダイ本体部11の下端部に取り付けられていて、その下端面13aが、図2に示すように、ダイ本体部11の下端面11aよりも下方に突出している。ダイピース13の下端面13aは、長手方向に沿って略逆V字状に湾曲していて、プレス加工の際にワーク70の両側側部に位置するフランジ予定部75(成形後にフランジ85となる部位)を加圧する一対の第1成形面13aを構成している。窒素ガスシリンダ15は、図2等に示すように、開口17の上面に複数取り付けられていて、ロッド15aが窒素ガスの圧力によって常時下方に突出する状態となっている。
〈パッド〉
パッド20は、下向きの第2成形面20aを有し、当該第2成形面20aと第1成形面13aとが略面一の状態から、下方への付勢力に抗して開口17内に押し込まれるように、上方(押圧方向他方側)へ相対移動可能にダイ10に設けられている。
より詳しくは、パッド20は、略直方体状に形成されており、図2等に示すように、ダイ10の開口17内に設けられていて、その上端が窒素ガスシリンダ15のロッド15aの下端に取り付けられている。これにより、パッド20は、窒素ガスシリンダ15によって常時下方へ付勢されているが、当該パッド20を上方へ押す力が作用した場合には、窒素ガスシリンダ15の付勢力に抗して、ダイ10に対し上方へ相対移動することが可能に構成されている。
パッド20の下面20aは、長手方向に沿って略逆V字状に湾曲していて(長手方向に湾曲して上側に窪んでいて)、プレス加工の際にワーク70の中央部に位置する天板予定部71(成形後に天板81となる部位)を加圧する第2成形面20aを構成している。パッド20は、窒素ガスシリンダ15によって下方へ付勢されることで最も下がった(ロッド15aが伸びきった)状態において、図2に示すように、第2成形面20aが第1成形面13aと面一になるように、開口17内に配置されている。
〈パンチ〉
パンチ30は、第2成形面20aと対向する上向き(押圧方向他方向き)の第3成形面30aを有している。
より詳しくは、パンチ30は、図2等に示すように、プレス機のボルスターに固定される下型31に取り付けられている。下型31は、上方に開放する略箱状に形成されていて、その中央部に上方に延びるパンチホルダ33が設けられている。パンチ30は、パンチホルダ33の上端部に取り付けられることで、その上面30aがパッド20の第2成形面20aと上下に対向した状態で配置されるようになっている。パンチ30の上面30aは、パッド20の第2成形面20aと同様に長手方向に沿って略逆V字状に湾曲(長手方向に湾曲して上側に突出)していて、プレス加工の際にワーク70の天板予定部71を加圧する第3成形面30aを構成している。
〈ホルダ〉
ホルダ40は、第1成形面13aと対向する上向きの第4成形面40aを有し、当該第4成形面40aと第3成形面30aとが略面一の状態から、上方への付勢力に抗して下方へ移動可能に、パンチ30の周りに設けられている。
より詳しくは、ホルダ40には、上下に貫通する開口41が長手方向の全長に亘って幅方向の中央部に形成されており、これにより、ホルダ40は略矩形環状をなしている。また、ホルダ40の上面40aは、ダイピース13の第1成形面13aと同様に長手方向に沿って略逆V字状に湾曲(長手方向に湾曲して上側に突出)していて、プレス加工の際にワーク70のフランジ予定部75を加圧する第4成形面40aを構成している。
このように形成されたホルダ40を、パンチ30が開口41に挿入されるように下型31に配置すると、パンチ30の周りにホルダ40が位置することになる。下型31におけるパンチホルダ33の周りには、図2等に示すように、窒素ガスシリンダ35が複数設けられていて、ロッド35aが窒素ガスの圧力によって常時上方に突出する状態となっている。ホルダ40の下端は窒素ガスシリンダ35のロッド35aの上端に取り付けられている。これにより、ホルダ40は、窒素ガスシリンダ35によって常時上方へ付勢されているが、当該ホルダ40を下方へ押す力が作用した場合には、窒素ガスシリンダ35の付勢力に抗して下方に移動することが可能に構成されている。なお、ホルダ40は、窒素ガスシリンダ35によって上方へ付勢されることで最も上がった(ロッド35aが伸びきった)状態において、ホルダ40の第4成形面40aがパンチ30の第3成形面30aと面一になるように、下型31に配置されている。
このように、パンチ30の周りにホルダ40が配置された下型31をプレス機のボルスターに固定するとともに、ダイ10をプレス機のスライドに固定すると、ダイピース13の第1成形面13aと、ホルダ40の第4成形面40aとが上下に対向するとともに、パッド20の第2成形面20aと、パンチ30の第3成形面30aと、が上下に対向することになる。
-製造方法-
以上のように構成された製造装置1を用いて、ハット型断面部品80を製造する場合には、先ず、図2に示すように、平板状のワーク70を、パンチ30およびホルダ40上に載置する。より詳しくは、ワーク70における天板予定部71を第3成形面30aに載置するとともに、ワーク70におけるフランジ予定部75を第4成形面40aに載置する。なお、この状態では、ホルダ40を下方へ押す力が作用しておらず、ロッド35aが伸びきっていることから、第3成形面30aと第4成形面40aとが面一になっている(ワーク載置工程)。
次いで、プレス機のスライドを駆動してダイ10を下降させると、図3に示すように、第2成形面20aと第3成形面30aとによって天板予定部71が上下に挟まれるとともに、第1成形面13aと第4成形面40aとによってフランジ予定部75が上下に挟まれる。この状態から、ダイ10を更に下降させて、天板予定部71を上下に挟むパッド20およびパンチ30と、フランジ予定部75を上下に挟むダイ10およびホルダ40と、を上下に相対移動させる。具体的には、ダイ10を更に下降させると、図4に示すように、ダイピース13によって下方に押されたホルダ40が窒素ガスシリンダ35の付勢力に抗して下方に移動するとともに、パンチ30によって相対的に上方に押されたパッド20が窒素ガスシリンダ15の付勢力に抗して、開口17内に押し込まれるように上方に相対移動する。このようにパッド20を押し込みながらパンチ30が開口17に入り込むことで、天板予定部71を天板81とし、フランジ予定部75をフランジ85とし、両者71,75の間の部位73を縦壁83とするハット型断面部品80が成形される(型締め工程)。
次いで、プレス機のスライドを駆動してダイ10を上昇させると、図5に示すように、第2成形面20aが天板81に接触した状態で、パンチ30が天板81の下面から離れて、ダイ10の開口17から抜けるとともに、第1成形面13aと共にフランジ85を挟んだ状態のまま、窒素ガスシリンダ35の付勢力によってホルダ40が上昇する。そうして、ホルダ40が最も上がった状態、すなわち、ホルダ40の第4成形面40aがパンチ30の第3成形面30aと面一になると、パッド20の第2成形面20aが天板81の上面から離れ、図6に示すように、ハット型断面部品80の脱型が完了する(型開き工程)。
-第1拘束手段-
ところで、湾曲凸部87を有するハット型断面部品80を製造する場合には、天板予定部71をパッド20で押さえなければ、伸びフランジ成形(天板81とフランジ85との間に縦壁83を成形する)過程において天板81に割れが生じることが知られている。より詳しくは、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレ(滑り)を生じさせないような、パッド20による拘束力(以下、「パッド拘束力」ともいう。)がなければ、天板予定部71が図17の矢印で示すように長手方向にズレてしまい、ズレが大きい湾曲凸部87において天板81に割れが生じることになる。また、伸びフランジ成形過程において天板81に割れが生じるのを抑えるためのパッド拘束力は、ワーク70の素材強度と板厚とに比例して大きくなることも知られている。
それ故、本実施形態のように、ハイテン材からなり、湾曲凸部87を有するハット型断面部品80を製造する場合には、天板81に割れが生じるのを抑えるために、相対的に大きなパッド拘束力が必要となり、そのようなパッド拘束力を実現するためには、パッド20による相対的に大きな加圧力、換言すると、窒素ガスシリンダ15による相対的に大きな付勢力が必要となる。
図18は、従来の製造装置101を模式的に説明する横断面図である。従来の製造装置101においても、図18に示すように、ワークの天板予定部を上下に挟むパッド120およびパンチ130と、ワークのフランジ予定部を上下に挟むダイ110およびホルダ140と、を上下に相対移動させることでハット型断面部品180を形成する点は、本実施形態の製造装置1と同様である。
もっとも、かかる従来の製造装置101を用いて、ハイテン材からなり、湾曲凸部を有するハット型断面部品180を製造する場合には、以下のような問題がある。すなわち、離型時(型開きの際)に、ダイ110を上方に移動すると、パンチ130がダイ110の開口117から抜けるとともに、ダイ110の開口117内では付勢力によってパッド120が下方に移動する一方、パンチ130の周りでは付勢力によってホルダ140が上方に相対移動する。すると、パンチ130が天板181の下面から離れるとともに、かかるパンチ130による下方からの支持を失った天板181に対して、天板予定部の長手方向のズレを抑えるようなパッド拘束力を発生させる、相対的に大きなパッド120の加圧力が上方から作用するとともに、フランジ185に対して、ホルダ140の加圧力が下方から作用することになる。このため、ハット型断面部品180がパッド120とホルダ140とによる加圧で上下に圧縮されることになり、図18に示すように、縦壁183が座屈するような態様で変形してしまうおそれがある。
このようなハット型断面部品180の変形を抑えるべく、パンチ130に対するホルダ140の相対移動やダイ110に対するパッド120の相対移動を規制して加圧力を制限するための制限部を製造装置101内部に設ける手法も考えられるが、かかる手法では、大掛かりな加工等が必要となり、金型構造が複雑化し、製造コストの上昇を招くという問題がある。
そこで、本実施形態に係る製造装置1では、金型の形状に工夫を凝らすことで、ワーク70自体を長手方向に変形し難くするようにしている。具体的には、本実施形態の製造装置1では、天板予定部71が第2成形面20aと第3成形面30aとで挟まれてから、縦壁83が成形されるまでの間、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレを抑制する第1拘束手段50を設けるようにしている。
図7および図8は、本実施形態に係る第1拘束手段50を模式的に説明する縦断面図である。本実施形態では、図7および図8に示すように、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレを抑制する第1拘束手段50として、天板予定部71の長手方向の両端と当接するように、パンチ30における、第3成形面30aの長手方向両外側に形成された一対の当接部51を採用している。
一対の当接部51は、パンチ30の一部をなしていて、パンチ30における長手方向両端部に形成されている。各当接部51の長手方向内側の面(一対の当接部51の対向面)は、上側に形成された垂直面51aと、下側に形成された、下方に行くほど長手方向内側に傾斜して延びる傾斜面51bと、で構成されている。一対の当接部51における垂直面51a同士の間隔はワーク70の長手方向の長さよりも若干長く設定されている一方、一対の当接部51における傾斜面51bの下端は、第3成形面30aの長手方向両端と一致している。
このように構成された製造装置1を用いて、ハット型断面部品80を製造する場合には、先ず、図7に示すように、平板状のワーク70を、当該ワーク70の長手方向の長さよりも若干長く設定された垂直面51a同士の間を通して、天板予定部71を第3成形面30aに載置するとともに、図7では図示省略されているフランジ予定部75を第4成形面40aに載置する。
次いで、プレス機のスライドを駆動してダイ10を下降させると、図8に示すように、第2成形面20aと第3成形面30aとによって天板予定部71が上下に挟まれるとともに、図8では図示省略されている第1成形面13aと第4成形面40aとによってフランジ予定部75が上下に挟まれる。このとき、天板予定部71の長手方向の両端が、一対の当接部51における傾斜面51bの下端に当接することで、天板予定部71が長手方向に拘束されることになる。
この状態から、ダイ10を更に下降させて、天板予定部71を上下に挟むパッド20およびパンチ30と、フランジ予定部75を上下に挟むダイ10およびホルダ40と、を上下に相対移動させることでハット型断面部品80を成形するが、一対の当接部51における傾斜面51bの下端に、天板予定部71の長手方向の両端を当接させることで、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレを抑えながら、第2および第3成形面20a,30aと第1および第4成形面13a,40aとを上下に相対移動させることになる。
このように、本実施形態では、天板予定部71が第2成形面20aと第3成形面30aとで挟まれてから、縦壁83が成形されるまでの間、換言すると、伸びフランジ成形過程において、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレを抑制する一対の当接部51を設けていることから、パッド20による加圧力、すなわち、窒素ガスシリンダ15による付勢力を相対的に小さくしても、伸びフランジ成形過程において天板81に割れが生じるのを抑えることができる。
しかも、一対の当接部51に、天板予定部71の長手方向の両端が当接することから、換言すると、天板予定部71の長手方向の両端が拘束されることから、伸びフランジ成形過程において天板予定部71が長手方向に伸びる余地がないので、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレが生じなくなる。それ故、第2成形面20aと第3成形面30aとで平板状のワーク70を挟んで湾曲凸部87を有する天板81を成形することができさえすれば、天板予定部71の長手方向のズレを抑えるという観点からは、パッド拘束力を実質上ゼロにすることができる。
これにより、離型時に天板81に対して上方から作用する、窒素ガスシリンダ15の付勢力によるパッド20の加圧力を相対的に小さくすることができるので、パンチ30に一対の当接部51を設けるという簡単な構成で、離型時にハット型断面部品80が変形するのを抑えることができる。
-変形例1-
本変形例は、第2成形面20aと天板予定部71との摩擦力を高めて、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレを抑制する点が、上記実施形態1と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
図9は、本変形例に係る第1拘束手段50を模式的に説明する縦断面図であり、図10は、図9のA部またはB部の部分拡大図である。本変形例では、図9および図10に示すように、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレを抑制する第1拘束手段50として、第2成形面20aに形成された凹凸部53を採用している。
凹凸部53としては、例えば、図10に示すように、第2成形面20aに形成された、幅方向に延びる断面半円状の溝を挙げることができる。また、凹凸部53を形成する範囲としては、図9のA部に示すように、長手方向のズレが最も大きい、第2成形面20aにおける湾曲凸部87に対応する湾曲した部位でもよいし、図9のB部に示すように、第2成形面20aにおける、湾曲凸部87に対応する部位を長手方向に挟む平坦な部位でもよいし、第2成形面20a全面でもよい。
なお、図9のB部に示すように、第2成形面20aにおける、湾曲凸部87に対応する部位を長手方向に挟む平坦な部位に、半径1mmの断面半円状の溝を間隔l=2mmで形成した場合には、溝を形成しない場合に比して、第2成形面20aと天板予定部71との間の摩擦係数が約2倍になることが実験で確認された。
このように構成された製造装置1を用いて、ハット型断面部品80を製造する場合には、図9に示すように、第2成形面20aと第3成形面30aとによって天板予定部71が上下に挟まれると、第2成形面20aに形成された凹凸部53に、天板予定部71の表面が食い込むことで、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレが抑えられることになる。
このように、天板予定部71の表面が第2成形面20aに形成された凹凸部53に食い込むと、第2成形面20aと天板予定部71との間の摩擦係数を高めることができるので、パッド拘束力を相対的に大きくしなくても、天板予定部71の長手方向のズレを抑制して、天板81が割れるのを抑えることができる。これにより、パッド拘束力、すなわち、窒素ガスシリンダ15による付勢力を相対的に小さくすることができる。したがって、第2成形面20aに凹凸部53を形成するという簡単な構成で、離型時にハット型断面部品80が変形するのを抑えることができる。
-変形例2-
本変形例は、第2および第3成形面20a,30aと天板予定部71との係合力を高めて、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレを抑制する点が、上記実施形態1と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
図11は、本変形例に係る第1拘束手段50を模式的に説明する縦断面図である。本変形例では、図11に示すように、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレを抑制する第1拘束手段50として、天板予定部71に形成された不陸部79に係合するように、第2および第3成形面20a,30aに形成された係合部55,57を採用している。
本変形例に係る製造方法は、型締め工程の前に、具体的には、本工程(ワーク載置工程、型締め工程および型開き工程)の前工程として、ワーク70における天板予定部71の少なくとも一部に不陸部79を形成する準備工程を含んでいる。なお、不陸部79としては、図11に示すように、天板予定部71に形成された段差部の他、曲折部や凹凸部等を挙げることができる。
一方、パッド20の第2成形面20aには、不陸部79の形状に対応する上側係合部55が形成されているとともに、パンチ30の第3成形面30aには、不陸部79の形状に対応する下側係合部57が形成されていて、これら上側および下側係合部55,57は、天板予定部71が第2成形面20aと第3成形面30aとで挟まれると、不陸部79と噛み合う(係合する)ようになっている。
このように構成された製造装置1を用いて、ハット型断面部品80を製造する場合には、図11に示すように、第2成形面20aと第3成形面30aとによって天板予定部71が上下に挟まれると、第2および第3成形面20a,30aに形成された上側および下側係合部55,57が、不陸部79と係合することで、第2および第3成形面20a,30aに対する天板予定部71の長手方向のズレが抑えられることになる。
このように、上側および下側係合部55,57が不陸部79と係合すると、パッド拘束力を相対的に大きくしなくても、天板予定部71の長手方向のズレを抑制して、天板81が割れるのを抑えることができ、これにより、窒素ガスシリンダ15による付勢力を相対的に小さくすることができる。したがって、第2および第3成形面20a,30aに上側および下側係合部55,57を形成するという簡単な構成で、離型時にハット型断面部品80が変形するのを抑えることができる。
(実施形態2)
本実施形態は、パッド20による加圧力を相対的に小さくして、離型時にハット型断面部品80が変形するのを抑えるのではなく、ハット型断面部品80自体を変形し難くする点が、上記実施形態1と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
図12は、本実施形態に係るハット型断面部品80の変形抑制原理を模式的に説明する図である。例えば、離型時においても、縦壁83が真っ直ぐに維持されるのであれば、換言すると、縦壁83に軸力しか作用しないのであれば、一対の縦壁83によって、ある程度大きな加圧力を支えることが可能となる。
もっとも、離型時にハット型断面部品80がパッド20とホルダ40とによる加圧で上下に圧縮されると(図12の白抜き矢印および黒塗り矢印参照)、図12の破線で示すように、縦壁83やフランジ85が幅方向に開いてしまい、撓み(曲げ)を生じ易くなる。その結果、ハイテン材からなり、湾曲凸部87を有するハット型断面部品80を製造する場合には、パッド20による相対的に大きな加圧力によって、縦壁83が座屈するような態様でハット型断面部品80が変形してしまう。
とすれば、図12に示すように、縦壁83およびフランジ85が幅方向に開くのを抑制する手段60を設ければ、縦壁83が真っ直ぐに維持されるので、離型時にハット型断面部品80が変形するのを抑えられるはずである。
そこで、本実施形態の製造装置1では、型開き工程において、第2成形面20aが天板81に接触した状態で、フランジ85を挟むダイ10およびホルダ40を上方へ移動させて離型するまでの間、縦壁83およびフランジ85が幅方向に開くのを抑制する第2拘束手段60を設けるようにしている。
図13~図15は、ハット型断面部品80の製造手順1~3をそれぞれ模式的に説明する横断面図であり、図16は、図15の部分拡大図である。なお、図13~図15では、図を見易くするために、図2~図6よりも製造装置1を簡略化して示している。本実施形態では、図13~図15に示すように、縦壁83およびフランジ85が幅方向に開くのを抑制する第2拘束手段60として、第4成形面40aから、フランジ85の厚さ分だけ上方に突出し、フランジ85の幅方向の両端部に当接する当接部材61を採用している。
より詳しくは、ホルダ40の第4成形面40aには、図16に示すように、長手方向に延び且つ上方に開放する凹溝部43が形成されている。この凹溝部43には、その底面43bよりも高い位置に段差面43aが形成されている。凹溝部43の底面43bには、例えばスプリングからなる付勢手段63が固定されている。当接部材61は、長手方向に延びる矩形棒状に形成されていて、第4成形面40aよりもフランジ85の厚さ分だけ上方に突出した状態から、付勢手段63による上方への付勢力に抗して凹溝部43に嵌るように、下方へ相対移動可能にホルダ40に設けられている。
このように構成された製造装置1を用いて、ハット型断面部品80を製造する場合には、先ず、図13に示すように、第4成形面40aよりも上方に突出した当接部材61の上面にフランジ予定部75を載置する。このとき、天板予定部71は、第4成形面40aと略面一の第3成形面30aの上方に位置している。
次いで、プレス機のスライドを駆動してダイ10を下降させると、第2成形面20aと第3成形面30aとによって天板予定部71が上下に挟まれるとともに、第1成形面13aと当接部材61の上面とによってフランジ予定部75が上下に挟まれる。この状態から、ダイ10を更に下降させると、図14に示すように、パンチ30によって相対的に上方に押されたパッド20が開口17内に押し込まれるように上方に相対移動する。このとき、第1成形面13aがフランジ予定部75を下方に押す力は、当接部材61を介して付勢手段63により吸収されることから、第1成形面13aと当接部材61の上面とによってフランジ予定部75を上下に挟む力は相対的に小さいため、パッド20が開口17内に押し込まれるのに伴い、フランジ予定部75が当接部材61の上面で幅方向内側に滑ることになる。
そうして、フランジ予定部75の幅方向の両端が当接部材61よりも幅方向内側に至ると、図14に示すように、フランジ予定部75が第1成形面13aと第4成形面40aとに挟まれることになる。なお、当接部材61は、第1成形面13aで下方に押されると、段差面43aに当たるまでは下がることから、このような当接部材61を設けない場合と同様に、第1成形面13aと第4成形面40aとでフランジ予定部75をしっかりと挟むことができる。
この状態から、ダイ10を更に下降させて、天板予定部71を上下に挟むパッド20およびパンチ30と、フランジ予定部75を上下に挟むダイ10およびホルダ40と、を上下に更に相対移動させると、天板81とフランジ85との間に縦壁83が形成されることになる(型締め工程)。
型締め工程の後、第2成形面20aが天板81に接触した状態で、フランジ85を挟むダイ10およびホルダ40を上方へ移動させて離型を行う(型開き工程)。この際、図15に示すように、第4成形面40aからフランジ85の厚さ分だけ突出する当接部材61に、フランジ85の幅方向の両端部が当接することから、縦壁83およびフランジ85が幅方向に開くのが抑えられることになる。
このように、第2拘束手段60としての当接部材61によって縦壁83およびフランジ85が幅方向に開くのが抑えられることから、ハット型断面が維持されるので、換言すると、縦壁83が真っ直ぐに維持されるので、撓み(曲げ)を生じ難くすることができる。これにより、天板予定部71の長手方向のズレを抑えるような拘束力を生じさせるパッド20の加圧力が、離型時に天板81に対して上方から作用した場合にも、当接部材61によって縦壁83およびフランジ85が幅方向に開くのを抑えるという簡単な構成で、ハット型断面部品80が変形するのを抑えることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態1の変形例1では、第1拘束手段50として、第2成形面20aに凹凸部53を形成したが、これに限らず、例えば、第3成形面30aに凹凸部53を形成してもよいし、また、第2および第3成形面20a,30aに凹凸部53を形成してもよい。
また、上記実施形態1の変形例2では、準備工程において、ワーク70の天板予定部71に不陸部79を形成したが、これに限らず、例えば、本工程において、第2成形面20aと第3成形面30aとによって天板予定部71を挟んだ際に、上側および下側係合部55,57とで天板予定部71を加圧することで、これら上側および下側係合部55,57と係合する不陸部79を形成してもよい。
さらに、上記実施形態2では、第2拘束手段60として、第4成形面40aから、フランジ85の厚さ分だけ上方に突出する当接部材61を設けたが、これに限らず、例えば、第1成形面13aから、フランジ85の厚さ分だけ下方に突出する当接部材を設けてもよい。
また、上記各実施形態では、窒素ガスシリンダ15,35によって、パッド20およびホルダ40に付勢力を付与するようにしたが、これに限らず、例えばスプリング(図示せず)といった、ガスシリンダ以外の弾性体を用いてパッド20およびホルダ40に付勢力を付与するようにしてもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によると、簡単な構成で、離型時にハット型断面部品が変形するのを抑制することができるので、ハット型断面部品の製造装置および製造方法に適用して極めて有益である。
1 製造装置
10 ダイ
13a 第1成形面
17 開口
20 パッド
20a 第2成形面
30 パンチ
30a 第3成形面
40 ホルダ
40a 第4成形面
50 第1拘束手段
51 当接部
53 凹凸部
55 上側係合部
57 下側係合部
60 第2拘束手段
61 当接部材
70 ワーク
71 天板予定部
75 フランジ予定部
79 不陸部
80 ハット型断面部品
81 天板
83 縦壁
85 フランジ
87 湾曲凸部

Claims (6)

  1. 板状のワークにおける成形後に天板となる天板予定部を挟んで押圧するパッドおよびパンチと、当該天板予定部の幅方向両側で当該ワークにおける成形後にフランジとなるフランジ予定部を挟んで押圧するダイおよびホルダと、を押圧方向に相対移動させることで、当該天板と当該フランジとの間に縦壁を成形するハット型断面部品の製造装置であって、
    幅方向両側に押圧方向一方向きの第1成形面を有し、これら第1成形面の間に押圧方向一方側に開放する開口が形成された上記ダイと、
    押圧方向一方向きの第2成形面を有し、当該第2成形面と上記第1成形面とが略面一の状態から、押圧方向一方側への付勢力に抗して上記開口内に押し込まれるように、押圧方向他方側へ相対移動可能に上記ダイに設けられた上記パッドと、
    上記第2成形面と対向する押圧方向他方向きの第3成形面を有する上記パンチと、
    上記第1成形面と対向する押圧方向他方向きの第4成形面を有し、当該第4成形面と上記第3成形面とが略面一の状態から、押圧方向他方側への付勢力に抗して押圧方向一方側へ移動可能に、上記パンチの周りに設けられた上記ホルダと、を備え、
    上記天板予定部が上記第2成形面と上記第3成形面とで挟まれてから、上記縦壁が成形されるまでの間、当該第2および第3成形面に対する当該天板予定部の長手方向のズレを抑制する第1拘束手段を設けており、
    上記第1拘束手段は、上記第2および第3成形面の少なくとも一方に形成された、上記天板予定部が食い込む凹凸部であることを特徴とするハット型断面部品の製造装置。
  2. 上記請求項に記載のハット型断面部品の製造装置において、
    上記ハット型断面部品は、長手方向に湾曲して押圧方向他方側に突出する湾曲凸部を有していることを特徴とするハット型断面部品の製造装置。
  3. 上記請求項1または2に記載のハット型断面部品の製造装置において、
    上記ワークは高張力鋼からなることを特徴とするハット型断面部品の製造装置。
  4. 板状のワークを押圧してハット型断面部品を製造する製造方法であって、
    幅方向両側に押圧方向一方向きの第1成形面を有し、これら第1成形面の間に押圧方向一方側に開放する開口が形成されたダイと、
    押圧方向一方向きの第2成形面を有し、当該第2成形面と上記第1成形面とが略面一の状態から、押圧方向一方側への付勢力に抗して上記開口内に押し込まれるように、押圧方向他方側へ相対移動可能に上記ダイに設けられたパッドと、
    上記第2成形面と対向する押圧方向他方向きの第3成形面を有するパンチと、
    上記第1成形面と対向する押圧方向他方向きの第4成形面を有し、当該第4成形面と上記第3成形面とが略面一の状態から、押圧方向他方側への付勢力に抗して押圧方向一方側へ移動可能に、上記パンチの周りに設けられたホルダと、を備える製造装置を用意し、
    上記ワークにおける成形後に天板となる天板予定部を挟んで押圧する上記第2および第3成形面と、当該天板予定部の幅方向両側で当該ワークにおける成形後にフランジとなるフランジ予定部を挟んで押圧する上記第1および第4成形面と、を押圧方向に相対移動させることで、当該天板と当該フランジとの間に縦壁を成形する型締め工程を含み、
    上記型締め工程では、上記第2および第3成形面の少なくとも一方に形成された凹凸部に、上記天板予定部を食い込ませることによって、上記第2および第3成形面に対する上記天板予定部の長手方向のズレを抑えながら、上記第2および第3成形面と上記第1および第4成形面とを押圧方向に相対移動させることを特徴とするハット型断面部品の製造方法。
  5. 上記請求項に記載のハット型断面部品の製造方法において、
    上記ハット型断面部品は、長手方向に湾曲して押圧方向他方側に突出する湾曲凸部を有していることを特徴とするハット型断面部品の製造方法。
  6. 上記請求項4または5に記載のハット型断面部品の製造方法において、
    上記ワークは高張力鋼からなることを特徴とするハット型断面部品の製造方法。
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