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JP7170525B2 - Led発光装置 - Google Patents

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JP7170525B2 JP2018236189A JP2018236189A JP7170525B2 JP 7170525 B2 JP7170525 B2 JP 7170525B2 JP 2018236189 A JP2018236189 A JP 2018236189A JP 2018236189 A JP2018236189 A JP 2018236189A JP 7170525 B2 JP7170525 B2 JP 7170525B2
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Description

本発明は、メラノプシン効果を制御できるLED発光装置に関する。
網膜に存在する内因性光感受性網膜神経節細胞(以下「ipRGC」という)は、メラトニンの生成/抑制に係り、睡眠・覚醒、血中ホルモン濃度などサーカディアンリズム(「概日リズム」ともいう)に影響を与える(以下「メラノプシン効果」という)。例えば、メラトニンの生成は睡眠を促進し、メラトニンの抑制は覚醒を促す。なお、サーカディアンリズムをつかさどるメラトニン分泌に影響を与える波長は、410~570nmに及び、特に490nm近辺の影響が大きい。
社会的には、ビルの快適性を指標化しているWELL認証において、光源がipRGCをどの程度刺激するかということを数値化したメラノピックルクスに基準値が設けられており、メラノピックルクスが光の快適性の指標として市場で認知されていきている。なお、WELL認証の中では、基準値より高いメラノピックルクス値が好ましいとされている。
メラノプシン効果を表す指標として、メラノピック比率(「MEF」、「メラノプシン効果係数」ともいう)が用いられることも多い。メラノピック比率は、ipRGCによるメラトニンの生成を抑制する効果を示し、メラノピックルクス値に大きく影響することが知られている。メラノピック比率は、ipRGCのメラノピック感度関数で補正した光源のスペクトルパワーを、明度視感度で補正した光源のスペクトルパワーで除したものである。前述の通り、メラノピック感度関数は、490nm付近にピークを有するで、メラノピック比率は、色温度の高い光で大きくなり、色温度の低い光で小さくなる。本願は、このメラノピック比率に基づいてメラノプシン効果の改善を目指す。
メラトニンの生成/抑制を利用して、睡眠と覚醒を制御するには、メラピック比率の高い発光色の光源と、メラノピック比率の低い光源を準備し、これら2つの光源を切り換えて使用すれば良い。またメラノピック比率に影響の大きい複数種類の発光スペクトル(複数種類の光源)を準備し、それぞれの発光スペクトルの強度を独立に制御して、一般的な照明光に比べてメラノピック比率に特徴のある照明光を発生することも考えられる。
例えば、特許文献1の段落0011には、発光スペクトルの異なる3つの光源を準備し、それぞれの光源を独立して制御することにより、メラノピック比率に特徴のある照明光を合成できるLED発光装置が記載されている。このLED発光装置は、例えば、第1の光源が、400~460nmの範囲でピークを有する青色LEDダイと緑色及び黄色で発光する蛍光体光を含み、第2の光源が、450~490nmの範囲でピークを有する青色LEDダイと緑色及び黄色で発光する蛍光体光を含み、第3の光源が、赤色発光する。さらに、このLED発光装置は、適切にプログラムされたコンピュータにより第1~3の光源をそれぞれ独立に制御する制御ユニットを備え、可変相関色温度をもつ白色光を供給する(段落0040~0041、0072)。なお、このLED発光装置には、第2の光源に含まれる青色LEDダイのピーク波長を第1の光源に含まれる青色LEDダイのピーク波長より長く、第1の光源に含まれる蛍光体の主波長を第2の光源に含まれる蛍光体の主波長より長くするという条件が課せられている(段落0011)。
特表2018―511386号公報(段落0011、0040~0041、0072)
しかしながら、特許文献1に記載されたLED発光装置には、3つの光源を独立して制御するため適切にプログラムされたコンピュータを備えること示すだけで、制御システムについて具体的な開示がない。すなわち、例えば、メラトニンの生成/抑制により睡眠か又は覚醒のどちらか一方を誘導するため、LED発光装置の発光色を切り換える、といような単純な機能だけで済ませられる場合、上述の「適切にプログラムされたコンピュータ」を使用することは、システム全体を冗長にする課題が生ずる。
また、特許文献1等から得られる知見にもとづき、所望のメラノピック比率と色温度で発光するLED発光装置を作成するため、青色LEDダイと緑色蛍光体と赤色蛍光体を1つの封止樹脂に混練してLEDパッケージを構成した場合、緑色蛍光体の発光スペクトルは、赤色蛍光体の波長特性に応じて依存して選択的に吸収される(以下「二次吸収」という)。すなわち、このLED発光装置は、二次吸収があると、発光スペクトルが青色LEDダイ、緑色蛍光体及び赤色蛍光体それぞれの発光スペクトルを、それぞれの成分に重みづけして加算したものでなくなり、狙いの発光スペクトルが容易に作成できなくなるという課題が生じる。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、簡単な構成でありながら、発光スペクトルを切り換えることにより、2種類の異なったメラノプシン効果が得られるLED発光装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のLED発光装置は、青色LEDダイと緑色蛍光体を含む第1LEDと、青色LEDダイと黄色蛍光体を含む第2LEDと、青色LEDダイと赤色蛍光体を含む第3LEDと、制御回路とを備え、前記制御回路は、前記第1LEDと前記第3LEDのみが発光する際、前記第1LEDと前記第3LEDを所定の比率で発光させる第1点灯モードと、前記第2LEDと前記第3LEDのみが発光する際、前記第2LEDと前記第3LEDを所定の比率で発光させる第2点灯モードとを切り替えることを特徴とする。
本発明のLED発光装置は、第1点灯モードでは、第1LEDと第3LEDを所定の強度比率で点灯させ、メラノピック比率の高い白色光を得る。第2点灯モードでは、第2LEDと第3LEDを所定の強度比率で点灯し、メラノピック比率の低い白色光を得る。
前記第1LEDは、すべての側面に遮光壁を備え、前記第2LED及び前記第3LEDは、それぞれの透過側面を対向させていても良い。
以上のように、本発明のLED発光装置は、発光色を切り換えて異なったメラノプシン効果を得ようとする際、予め設定しておいた強度比で第1LEDと第3LEDを点灯させる第1点灯モードと、予め設定しおいた他の強度比で第2LEDと第3LEDを点灯させる第2点灯モードを切り替えるだけなので、制御が大幅に単純化する。さらに、1つのLED内には1つの色で発光する蛍光体だけが混連されているため、二次吸収が起きないか又は二次吸収を制御しやすくなることから、所望の発光スペクトルの合成が容易になる。この結果、本発明のLED発光装置は、簡単な構成でありながら、所望の発光スペクトルを切り換えることにより、2種類の異なったメラノプシン効果が得られる。
本発明の第1実施形態として示すLED発光装置の説明図である。 図1に示すLED発光装置の動作状態の説明図である。 図1に示すLED発光装置の回路図である。 図1に示すLED発光装置に係る発光色の関係を示す色度図である。 図1に示すLED発光装置の発光スペクトルを示すグラフである。 本発明の第2実施形態として示すLED発光装置の説明図である。
以下、図1~6を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。説明のため部材の縮尺は適宜変更している。()には、特許請求の範囲で示した発明特定事項を示す。
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態として示すLED発光装置10のシステムの説明図である。図1に示すように、LED発光装置10は、LED11(第1LED)、LED12(第2LED)、LED13(第3LED)、及び制御回路16を備えている。LED11は、基板14に実装された青色LEDダイ11b、及び青色LEDダイ11bの発光で励起され、緑色発光する蛍光体(以下「緑色蛍光体」という)を含有し、青色LEDダイ11bを覆う封止樹脂11aを備えている。封止樹脂11aは、周囲を遮光壁15で囲まれている。
同様に、LED12は、基板14に実装された青色LEDダイ12b、及び青色LEDダイ12bの発光で励起され、黄色発光する蛍光体(以下「黄色蛍光体」という)を含有し、青色LEDダイ12bを覆う封止樹脂12aを備えている。LED13は、基板14に実装された青色LEDダイ13b、及び青色LEDダイ13bの発光で励起され、赤色発光する蛍光体(以下「赤色蛍光体」という)を含有し、青色LEDダイ13bを覆う封止樹脂13aを備えている。封止樹脂12a、13aは、周囲を遮光壁15で囲まれている。なお、青色LEDダイ11b~13bは、特性及びサイズが同一である(以下同様)。
制御回路16は、外部から制御信号17が入力する。制御回路16とLED11、LED12及びLED13とは、各LED11~13に電流を流入及び流出させる複数の配線からなる電流バス18で接続される。
図1において、基板14、LED11~13及び遮光壁15からなるLED発光装置10の発光部は、概念的に示されたものである。現実の発光部は、LED11~13がそれぞれ単個の場合ばかりでなく、それぞれ複数の場合を想定している。例えば、複数のLED11、LED12及びLED13をそれぞれ個別のパッケージで構成し、放熱性の高いセラミック基板や表面を絶縁処置した金属基板などの上にデルタ配置しても良い。
また、1つの基板14上で(又は1つのLEDパッケージ内で)、緑色蛍光体、黄色蛍光体及び赤蛍光体をそれぞれの青色LEDダイ11b~13bごとに配置し分ける構造としても良い。例えば、1つの基板14上に複数の青色LEDダイ11b~13bを実装し、各青色LEDダイ11b~13bの間を遮光したのち、青色LEDダイ11bの上部に緑色蛍光体を含有する封止樹脂11a、青色LEDダイ12bの上部に黄色蛍光体を含有する封止樹脂12a、青色LEDダイ13bの上部に赤色蛍光体を含有する封止樹脂13aを塗布し、複数のLED11~13を構成しても良い。
なお、図1では、LED11とLED12の間にLED13が挟まれ、さらに、LED11とLED13との境界、及びLED11とLED13との境界で遮光壁15を共通に
するよう描いているが、これは、混色性に配慮していることを示唆している。LED11、LED12及びLED13に含まれる緑色、黄色、赤色蛍光体は、封止樹脂11a~13aに混練するのではなく、青色LEDダイ11b~13bの上方に配置される、蛍光体フィルター又はリモートフォスファであっても良い。
図2により、図1に示したLED発光装置10の使用方法を説明する。図2は、LED発光装置10の動作状態の説明図である。図2(a)は、LED11とLED13が発光する第1点灯モード、図2(b)は、LED12とLED13が発光する第2点灯モードを示す。図中、(a)において第1発光モードで不点灯となるLED12、(b)において第2発光モードで不点灯となるLED11は、濃いドットで塗りつぶしている。また、図中、第1点灯モード及び第2点灯モードにおける発光状態をそれぞれ光線21、22で模式化して示している。なお、図2(a)、(b)では、制御回路16(図1参照)は図示していない。
図1に示すように、制御回路16には、外部から発光色の変更を要求する制御信号17が入力し、制御回路16とLED11、LED12及びLED13との間には駆動電流を通すための電流バス18がある。制御信号17により、LED発光装置10に、高いメラノピック比率で発光する第1点灯モードが要求されると、制御回路16とLED11の間、及び制御回路16とLED13の間で駆動電流が流れ、LED11とLED13が所定の強度比率で発光する。同様に、制御信号17により、LED発光装置10に、低いメラノピック比率で発光する第2点灯モードが要求されると、制御回路16とLED12の間、及び制御回路16とLED13の間で駆動電流が流れ、LED12とLED13が所定の強度比率で発光する。
図3は、LED発光装置10の回路図である。LED11を点灯させる電流は、電源Vccを発し、スイッチS1及び電流バス18を経てLED11に入力し、さらに、LED11から電流バス18、FETQ1及び電流検出抵抗R1を経てグランドGndに至る。同様に、LED12を点灯させる電流は、電源Vccを発し、(図に示すスイッチS1が反転している状態で、)スイッチS1及び電流バス18を経てLED12に入力し、さらに、LED12から電流バス18、FETQ2及び電流検出抵抗R2を経てグランドGndに至る。LED13を点灯させる電流は、電源Vccを発し、電流バス18を経てLED13に入力し、さらに、LED13から、電流バス18、FETQ3、スイッチS2及び電流検出抵抗R3a(図に示すスイッチS2が反転しているときは電流検出抵抗R3b)を経てグランドGndに至る。
スイッチS1、S2は連動し、制御信号17で制御される。図3では、第1点灯モードに度おけるスイッチS1、S2の状態が描かれており、第2点灯モードではスイッチS1、S2が反転する。FETQ1、演算増幅器A1、電流検出抵抗R1からなる回路は、良く知られた電流制限回路(「定電流回路」ともいう)である。FETQ1に流れる電流は、
(基準電圧Vref)/(電流検出抵抗R1)
である。FETQ2、演算増幅器A2、電流検出抵抗R2から構成される電流制限回路、及びFETQ3、演算増幅器A3、電流検出抵抗R3a、R3bから構成される電流制限回路についても同様である。
前述のように、第1点灯モードでは、スイッチS1、S2は、図に示した通りの接続状態で、LED11とLED13に電流が流れる。このとき、LED11に流れる電流(発光強度)とLED13に流れる電流(発光強度)の比は、
1/(電流検出抵抗R1):1/(電流検出抵抗R3a)
となる。
第2点灯モードでは、スイッチS1、S2を、図に示した接続状態から他方の接続状態に切り替え(反転し)、LED12とLED13に電流を流す。このとき、LED12に流れる電流(発光強度)とLED13に流れる電流(発光強度)の比は、
1/(電流検出抵抗R2):1/(電流検出抵抗R3b)
となる。
なお、FETQ1、演算増幅器A1、電流検出抵抗R1からなる電流制限回路は、電流制限用のFET、反転増幅用のトランジスタ、電流検出抵抗及びプルアップ抵抗からなる電流制限回路や、電流制限用のディプレッション型FET及び電流検出抵抗からなる電流制限回路で置き換えられる。基準電圧として、前者は、トランジスタのベース-エミッタ間電圧を使用し、後者は、FETのスレッシュホルド電圧を使う。また、全体の輝度を調整する場合は、基準電圧Vrefを調整すれば良い。
図4は、LED発光装置10及び各LED11~13の発光色の関係を示す色度図である。図4において、発光色の設定方法により発光色の間の関係を説明する。先ず、第1点灯モードにおけるLED発光装置10の発光色44(図では5000°K)と、第2点灯モードにおけるLED発光装置10の発光色45(図では2700°K)を黒体軌跡40上に定める。次に、青色LEDダイ13bの発光色46(例えばスペクトル軌跡上の450nmの付近)と赤色蛍光体の発光色49を結ぶ直線L1上にLED13の発光色43を定める。続いて、青色LEDダイ11bの発光色46と緑色蛍光体の発光色47を結ぶ直線L2と、発光色43と発光色44を通る直線L3との交点をLED11の発光色41とする。同様に、青色LEDダイ12bの発光色46と黄色蛍光体の発光色48を結ぶ直線L4と、発光色43と発光色45を通る直線L5との交点をLED12の発光色42とする。
LED11~13の発光色41~43が決まったら、発光色44を得るためLED11とLED13の発光強度の比を決める。同様に、発光色45を得るためLED12とLED13の発光強度の比を決める。
以上の過程は、すべて計算機で計算できる。すなわち、例えば、LED11は、青色LEDダイ11bと1種類の蛍光体(緑色蛍光体)からなるので、青色LEDダイ11bや緑色蛍光体などが決まっており、発光色41が決まれば、計算機で容易に必要とする緑色蛍光体の量と発光スペクトルが計算できる。LED12及びLED13についても同様である。さらに、LED11~13の発光色41~43の発光スペクトルが決まれば、目標とする2つの白色(発光色44、45)の得るためのLED11~13間の強度比及び発光色44、45の発光スペクトルも計算できる。すなわち。LED発光装置10は、発光色44、45、青色LEDダイ11b~13bや緑色、黄色、赤色蛍光体などが判明していれば、発光色44、45におけるメラノピック比率が計算できる。
さらに、LED13の発光色33を変化させ、同じ過程でメラノピック比率を計算し、最適値を得ることができる。最終的に、各LED11~13の諸特性にもとづいて封止樹脂11a~13aの緑色、黄色、赤色蛍光体の濃度や、図3の抵抗R1、R2、R3a、R3bの値などが具体的に決められる。
図5は、LED発光装置10の発光スペクトルを示すグラフである。図5において、縦軸は、相対強度、横軸は、波長(nm)である。図中、実線で示した発光スペクトル51は、第1点灯モードにおけるLED発光装置10の発光色44(図4参照)の発光スペクトルである。同様に、図中、破先で示した発光スペクトル52は、第2点灯モードにおけるLED発光装置10の発光色45(図4参照)の発光スペクトルである。青色LEDダ
イ11b~13bは、ピーク波長が450nmである。緑色蛍光体は、ピークが510nmにあるクロロシリケート蛍光体である。黄色蛍光体は、ピークが542nmにあるβ-SiAlONである。赤色蛍光体は、ピーク波長が612nmにあるSCASNである。第1点灯モードの発光色44は、5000°K、第2点灯モードの発光色45は、2700°Kである。このとき、第1点灯モードのメラノピック比率は、1.037で、Raは、84となる。第2点灯モードのメラノピック比率は、0.344で、Raは、74となる。なお、比較した一般的な照明装置の5000°Kにおけるメラノピック比率は0.842であった。同様に、比較した一般的な照明装置の2700°Kにおけるメラノピック比率は0.465であった。また、低い色温度環境下では、Raが小さくても許容される傾向にある。
LED発光装置10は、1つのLEDパッケージ(基板14上)に赤色(発光色43)を固定し、メラノピック比率の値に関連の強い緑蛍光体波長として、メラノピック比率が高くなるもの(LED11に含まれるようなピーク波長が515nmより短い緑色蛍光体の発光スペクトル)と、低くなるもの(LED12に含まれるようなピーク波長が515nmより長い黄色(又は緑色)蛍光体の発光スペクトル)の2種類を搭載し、1つのLEDパッケージで1日に使用する2種類の光を出すことができる。また、各LED11~13は、1種類の蛍光体しか備えていないため、二次吸収がないことから、前述のように容易にLED11~13の仕様を設計できる。さらに、緑蛍光体付近の波長の出力の調整が容易になるとともに、第1点灯モードにおいてメラノピック比率をより高めることが可能になる。
LED発光装置10を使用する照明装置は、サーカディアンリズムを意識し、メラノピック比率の高い照明とメラノピック比率の低い照明を使い分けることができる。状況に応じてメラノピック比率を調整できると、快適性の向上、睡眠の向上(認知症予防)、電力削減にもつながる。また、二次吸収のないLED発光装置10は、一般的なLED照明装置に比べRGBのスペクトルの山谷をより明確にすることが可能(より彩度を上げることが可能)であるため、ピント調節の向上にも貢献する。
以上のように、LED発光装置10は、発光色44、45(図4参照)を切り換えて異なったメラノプシン効果を得ようとする際、予め設定しておいた強度比でLED11とLED13を点灯させる第1点灯モードと、予め設定しおいた他の強度比でLED12とLED13を点灯させる第2点灯モードを切り替えるだけなので、制御が大幅に単純化する。さらに、各LED11~13内には、それぞれ1種類の蛍光体だけが混連されているため、二次吸収が起きない結果、所望の発光スペクトルが容易に得られる。したがって、LED発光装置10は、簡単な構成でありながら、所望の発光スペクトルを切り換えることにより、2種類の異なったメラノプシン効果が得られる。
(第2実施形態)
LED発光装置10では、LED11とLED13、又はLED12とLED13の発光スペクトルを重ねあわせて所望の発光スペクトルを得ていた。しかしながら、発光スペクトルが固定されているLED11~13に基づいて合成できる発光スペクトルには限度がある。すなわち、合成できる発光スペクトルは、青色LEDダイ11b~13b、緑色蛍光体、黄色蛍光体及び赤色蛍光体それぞれの発光スペクトルの線形的な加算に限られる。これに対し、メラノピック比率をもっと大きく又は小さくするためには、二次吸収を利用して、LEDの発光スペクトルを変形させることが考えられる。そこで、図6により、本発明の第2実施形態として、蛍光体の二次吸収を利用して発光スペクトルを変形し、メラノトピック比率を改善できるLED発光装置60について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態として示すLED発光装置60の説明図であり、(a)
は、LED61(第1LED)、LED62(第2LED)及びLED63(第3LED)が3つ並んだ部分の平面図、(b)は、(a)のAA´線に沿った断面図である。なお、各LED61~63を搭載する基板14や制御回路16(図1参照)は描いていない。
図6(a)、(b)に示すように、LED61は、サブマウント基板61dに実装された青色LEDダイ61b、青色LEDダイ61bを覆い緑色蛍光体が混練された封止樹脂61a、封止樹脂61aの周囲を遮光する遮光壁61cを備えている。LED62は、サブマウント基板62dに実装された青色LEDダイ62b、青色LEDダイ62bを覆い黄色蛍光体が混練された封止樹脂62a、封止樹脂62aの3つの側面を遮光する遮光壁62cを備え、封止樹脂62aの遮光壁62cのない側面を透過側面62eとしている。LED63は、サブマウント基板63dに実装された青色LEDダイ63b、青色LEDダイ63bを覆い赤色蛍光体が混練された封止樹脂63a、封止樹脂63aの3つの側面を遮光する遮光壁63cを備え、封止樹脂63aの遮光壁63cのない側面を透過側面63eとしている。LED62とLED63は、それぞれの透過側面62e、63eを対向させている。
第1点灯モードでは、LED61とLED63が発光し、メラトピック比率の高い光が得られる。このとき、LED62中の黄色蛍光体は、LED63の透過側面63eから出射し、LED62の透過側面62eから入射する青色光で励起され、発光するが、LED63から放射される青色光は、ほとんど赤色蛍光体で吸収され著しく弱いものとなるので、この発光は無視できる。すなわちLED発光装置60は、第1点灯モードにおいて、二次吸収がほとんどないため、LED発光装置10と同程度の高いメラノピック比率が得られる。
第2点灯モードでは、LED62とLED63が発光する。LED62に含まれる青色LEDダイ62bの発光と黄色蛍光体による発光は、一部分(透過側面62eを発し、透過側面63eに入射する成分)がLED63に含まれる赤色蛍光体で吸収(ニ次吸収)される。この結果、LED62の発光スペクトルは、長波長側に向かって変形する。そして、第2点灯モードにおけるLED発光装置60の発光色は、より低いメラノピック比率となり、睡眠導入用の光として優れたものになる。
メラノピック比率に関連する波長領域(490nm周辺)は、特に二次吸収の影響を受けやすく、二次吸収があるとメラノピック比率を下げる傾向がある。このため、高いメラノピック比率を得るには、二次吸収は好ましくない。LED発光装置60は、LED61の側面を完全に遮光し、二次吸収をなくしているため、第1点灯モードではメラノピック比率が高い値のスペクトルを維持している。一方、LED発光装置60は、LED62とLED63の透過側面62e、63eを対向させ、二次吸収を積極的に誘発し、第2点灯モードにおいてより低いメラノピック比率を達成している。
10、60…LED発光装置、
11、61…LED(第1LED)、
11a、12a、13a、61a、62a、63a…封止樹脂、
11b、12b、13b、61b、62b、63b…青色LEDダイ、
12、62…LED(第2LED)、
13、63…LED(第3LED)、
14…基板、
15、61c、62c、63c…遮光壁、
16…制御回路、
17…制御信号、
18…電流バス、
21、22…光線、
40…黒体軌跡、
41…第1LEDの発光色、
42…第2LEDの発光色、
43…第3LEDの発光色、
44…第1点灯モードにおける発光色、
45…第2点灯モードにおける発光色、
46…青色LEDダイの発光色、
47…緑色蛍光体の発光色、
48…黄色蛍光体の発光色、
49…赤色蛍光体の発光色、
51,52…発光スペクトル、
61d、62d、63d…サブマウント基板、
62e、63e…透過側面

Claims (2)

  1. 青色LEDダイと緑色蛍光体を含む第1LEDと、
    青色LEDダイと黄色蛍光体を含む第2LEDと、
    青色LEDダイと赤色蛍光体を含む第3LEDと、
    制御回路と、を備え、
    前記制御回路は、前記第1LEDと前記第3LEDのみが発光する際、前記第1LEDと前記第3LEDを所定の比率で発光させる第1点灯モードと、
    前記第2LEDと前記第3LEDのみが発光する際、前記第2LEDと前記第3LEDを所定の比率で発光させる第2点灯モードと、
    を切り替えることを特徴とするLED発光装置。
  2. 前記第1LEDは、すべての側面に遮光壁を備え、
    前記第2LED及び前記第3LEDは、それぞれの透過側面を対向させている
    ことを特徴とする請求項1に記載のLED発光装置。
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