JP7155312B2 - 電子部品用めっき材料及び電子部品 - Google Patents
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Description
(1)基材の表面に設けられた、NiまたはNi合金からなる下地めっき層と、
前記下地めっき層の上に設けられた、Sn-In-Cu合金からなる表層と、
を備え、前記表層には、EPMAで観察される、Cu濃度が周囲より高い領域と、Cu濃度が周囲より低い領域とが混在しており、前記表層をEPMAで観察した時のCu5atm%以上の面積率が50%以上である、電子部品用めっき材料。
(2)前記表層をEPMAで観察した時のIn30atm%以上の面積率が50%以上である、(1)に記載の電子部品用めっき材料。
(3)前記表層をEPMAで観察した時のCu20atm%以上の面積率が90%以上である、(1)または(2)に記載の電子部品用めっき材料。
(4)(1)~(3)のいずれかに記載の電子部品用めっき材料を備えた電子部品。
本発明の実施形態に係るめっき材料は、基材上に下地めっき層が設けられ、下地めっき層上に表層が設けられている。
基材としては、特に限定されないが、例えば、銅及び銅合金、Fe系材、ステンレス、チタン及びチタン合金、アルミニウム及びアルミニウム合金などの金属基材を用いることができる。また、金属基材に樹脂層を複合させたものであっても良い。金属基材に樹脂層を複合させたものとは、例としてFPCまたはFFC基材上の電極部分などがある。
下地めっき層は、基材上に設けられており、NiまたはNi合金からなる。NiまたはNi合金によって下地めっき層を形成することで、硬い下地めっき層により真実接触面積が減り、凝着しにくくなり、摩擦(挿入力)が低下する。また、下地めっき層が、基材の構成金属の表層への拡散を防止して耐熱性やはんだ濡れ性などを向上させる。下地めっき層のNi合金は、Niと、Cr、Mn、P、Fe及びCoからなる化合物群から選択された1種又は2種以上とで構成することができる。下地めっき層の構成金属として、半光沢Ni、光沢Niを使用した場合はS等の添加剤による有機物を含有しても良い。
表層は、下地めっき層の上に設けられており、Sn-In-Cu合金からなる。このような構成によれば、表層がSn及びInを含むため、めっき材の摩擦力(挿入力)が低下する。また、表層がCuを含むため、めっき材の高湿耐久性が良好となる。
本発明の実施形態に係るめっき材料の製造方法としては、まず、基材上に、NiまたはNi合金層を設け、さらに、Cu、In、およびSnの順に積層させてめっきする。当該めっきとしては、湿式(電気、無電解)めっきを用いることができる。また、乾式(スパッタ、イオンプレーティング等)めっき等を用いてもよい。めっき後は、リフロー処理(加熱処理)をすることで、本発明の実施形態に係るめっき材料を形成することができる。
上述のように、リフロー処理を施した後に、表層上に、更に摩擦を低下させ、また低ウィスカ性及び耐久性も向上させる目的で後処理を施しても良い。後処理によって潤滑性や耐食性が向上し、酸化が抑制されて、耐熱性やはんだ濡れ性等の耐久性を向上させることができる。具体的には、一般的な電子材料用のコンタクトオイルや酸化防止剤などが該当する。
本発明の実施形態に係るめっき材料の用途は特に限定しないが、例えば電子部品用金属材料として使用することができ、当該電子部品用金属材料を接点部分に備えたコネクタ端子、電子部品用金属材料を接点部分に備えたFFC端子またはFPC端子、電子部品用金属材料を外部接続用電極に備えた電子部品などが挙げられる。なお、端子については、圧着端子、はんだ付け端子、プレスフィット端子等、配線側との接合方法によらない。外部接続用電極には、タブに表面処理を施した接続用部品や半導体のアンダーバンプメタル用に表面処理を施した材料などがある。
実施例1~9及び比較例1として、下記の素材に対し、電解脱脂、酸洗をこの順で行った。次に、表1に示す条件で、第1めっき、第2めっき、第3めっき、第4めっき、リフロー処理の順に実施し、めっき材料のサンプルを製造した。第1~第4めっきの厚さは、それぞれ、挿入力の低減効果、リフロー条件と合わせて適宜決定することができる。
(1)板材:厚み0.20mm、幅25mm、成分Cu-30Zn
(2)オス端子:厚み0.64mm、幅0.64mm、成分Cu-30Zn
・無光沢Niめっき
めっき方法:電気めっき
めっき液:スルファミン酸Niめっき液(JX金属商事(株)、スルファミン酸Niめっき液1014)
めっき温度:55℃
電流密度:0.5~10A/dm2
・Cuめっき
めっき方法:電気めっき
めっき液:硫酸Cuめっき液(Cu濃度60g/L)
めっき温度:20~45℃
電流密度:1~10A/dm2
・Snめっき
めっき方法:電気めっき
めっき液:メタンスルホン酸Snめっき液(JX金属商事(株)、NSP-S200)
めっき温度:20~60℃
電流密度:0.5~10A/dm2
・Inめっき
めっき方法:電気めっき
めっき液:Inめっき液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(株)、ミクロファブIn4950)
めっき温度:30℃
電流密度:0.5~8A/dm2
リフロー処理は、電気管状炉を650℃に設定し、大気雰囲気の電気管状炉内におかれたサンプルが160℃~300℃に達したことを熱電対で確認して、表1に示す処理時間及び温度で実施した。
・表層におけるCu、Inの原子濃度
以下の評価方法によって、実施例1~9及び比較例1に係る試料について、表層におけるCu、Inの原子濃度をそれぞれ評価した。
まず、EPMA:電子プローブマイクロアナライザー(JXA-8500F、日本電子株式会社製)を用いて、以下に示す条件で面分析により試料の表面を測定した。
走査:ステージスキャン
加圧電流:15.0kv
照射電流:2.5×10-8A
測定倍率:1000倍
時間:35ms
測定点数:230×170
測定間隔:(X軸、Y軸)=(0.50μm、0.50μm)
測定領域:(X軸、Y軸)=(115μm、85μm)
透過電子顕微鏡:TEM(日本電子株式会社製JEM-2100F)を用いて、加速電圧:200kVとして、実施例1、2、3に係る試料の断面分析を行なった結果を図1~6に示す。
得られた試料の挿入力は、市販のSnリフローめっきメス端子(025型住友TS/矢崎090IIシリーズメス端子非防水)を用いて、めっきを施した実施例1~9及び比較例1に係るオス端子と挿抜試験することによって評価した。
接触抵抗は(株)山崎精機研究所製の精密摺動試験装置CRS-G2050型を用い、接点荷重3Nに設定し、四端子法にて測定した。コネクタを模倣するため、接点部の凸材はSnめっき板材(Cu-30ZnにSnを1μmめっき)をφ3mmの半球状に加工したものを使用した。当該接触抵抗を表2に「初期接触抵抗」として示す。また、大気加熱(180℃、120時間以上)試験後のサンプルの接触抵抗を測定し、評価した。当該接触抵抗を表2に「耐熱接触抵抗」として示す。また、初期接触抵抗(R1)に対する耐熱接触抵抗(R2)の抵抗増加量(R2-R1)及び抵抗増加率((R2-R1)/R1)×100[%]を求めた。
高湿耐久性は、高温高湿試験後サンプルの外観で評価した。より具体的には、実施例1~9、及び比較例1の各条件について、オス端子として機能するピンが40本連なったサンプルを用意し、85℃85RT%の大気雰囲気下に240時間放置した後の、両端10ピンを除いた中央20ピンの外観を目視で評価した。このとき、外観に変化(変色)が見られなかったものをAと評価し、変化が見られたものをBと評価した。図8に、実施例1について、上述のオス端子として機能するピンが40本連なったサンプルの高温高湿試験後の外観観察写真を示す。図9に、比較例1の高温高湿試験の前後の外観観察写真を示す。図9を参照して、タブ側のピン(図9のキャリアより下側のピン)において、高温高湿試験後に白い領域が増えている、即ち、外観の変化が生じていることが分かる。
実施例1~9では、いずれも、挿入力(摩擦力)が低く、良好な高湿耐久性を有するめっき材料が得られた。また、接触抵抗の増加率も抑制されていた。
Claims (4)
- 基材の表面に設けられた、NiまたはNi合金からなる下地めっき層と、
前記下地めっき層の上に設けられた、Sn-In-Cu合金からなる表層と、
を備え、前記表層には、EPMAで観察される、Cu濃度が周囲より高い領域と、Cu濃度が周囲より低い領域とが混在しており、
前記表層をEPMAで観察した時のCu5atm%以上の面積率が50%以上である、電子部品用めっき材料。 - 前記表層をEPMAで観察した時のIn30atm%以上の面積率が50%以上である、請求項1に記載の電子部品用めっき材料。
- 前記表層をEPMAで観察した時のCu20atm%以上の面積率が90%以上である、請求項1または2に記載の電子部品用めっき材料。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品用めっき材料を備えた電子部品。
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