JP7149717B2 - 型枠保護シート - Google Patents
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Description
コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シートであって、
前記コンクリート型枠パネルに貼着される粘着層と、
前記粘着層に積層され、通水性を有する通水層と、
前記通水層を挟んで前記粘着層と対向する側に積層され、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層とを有し、
前記フィルター層と前記通水層との間の通気量は、1cm3/(cm2・s)以上であり、
前記フィルター層と前記通水層との間の透水係数は、1×10-2cm/s以上であり、
前記フィルター層と前記粘着層との間の透水係数は、前記フィルター層と前記通水層との間の透水係数の1/10以下であることにある。
前記フィルター層と前記粘着層との間の透水係数は、1×10-3cm/s以下であることが好ましい。
前記フィルター層は、目付が10~50g/m2である不織布を含み、当該不織布を形成する繊維の直径が20μm以下であることが好ましい。
前記粘着層と前記通水層との間に止水フィルムを有することが好ましい。
複数のコンクリート型枠パネルを連設させてなるコンクリート型枠構造体であって、
前記コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シートを備え、
前記型枠保護シートは、前記コンクリート型枠パネルに貼着される粘着層と、前記粘着層に積層され、通水性を有する通水層と、前記通水層を挟んで前記粘着層と対向する側に積層され、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層とを有し、
前記フィルター層と前記通水層との間の通気量は、1cm3/(cm2・s)以上であり、
前記フィルター層と前記通水層との間の透水係数は、1×10-2cm/s以上であり、
前記フィルター層と前記粘着層との間の透水係数は、前記フィルター層と前記通水層との間の透水係数の1/10以下であることにある。
図1は、本発明にかかるコンクリート型枠構造体100を示す図である。図1(a)は、コンクリート型枠構造体100の斜視図である。図1(b)は、コンクリート型枠構造体100の断面図である。図1(c)は、型枠保護シート10による余剰水及び気泡の排出機能の説明図である。コンクリート型枠構造体100は、コンクリート型枠パネル20を基本構造として構成されている。コンクリート型枠構造体100は、一方の面が傾斜した重力式擁壁の製造に用いるものであり、傾斜面を形成するために主面を前傾させて立設されたコンクリート型枠パネル20と、垂直に立設されたコンクリート型枠パネル20とが、互いの主面を対向させて基礎コンクリート30上に配置された構造である。各コンクリート型枠パネル20には、主面に型枠保護シート10が施工されている。なお、図1(a)では、4枚のコンクリート型枠パネル20を含むコンクリート型枠構造体100を示しているが、コンクリート型枠パネル20の数は、製造するコンクリート製建築物のサイズに応じて任意に増減することができる。コンクリート型枠パネル20の材質としては、木製、樹脂製、及びコンクリート製等が挙げられる。なお、一般に、コンクリート型枠構造体は、コンクリート型枠パネルの背面側に補強部材を配することで、各コンクリート型枠パネルを連結し、内側に充填されるコンクリートの圧力に耐え得るように構成されるが、図1では、説明容易化のため、補強部材を省略している。
図2は、本発明にかかる型枠保護シート10の概略断面図である。図2(a)は、一つの実施形態にかかる型枠保護シート10の構成を示す。図2(b)は、他の実施形態にかかる型枠保護シート10Aの構成を示す。図2(a)に示す型枠保護シート10は、粘着層1、通水層2、及びフィルター層3がこの順に積層された構造を有する。型枠保護シート10の厚みは、好ましくは0.16~2.35mmに設定され、より好ましくは0.3~2mmに設定される。型枠保護シート10の厚みを上記の範囲に設定することで、適度なハリコシ、及びコンクリート型枠パネル20表面の凹凸に対する良好な追従性が得られ、コンクリート型枠パネル20への貼り付け作業が容易なものとなる。型枠保護シート10の厚みが0.16mm未満の場合、型枠保護シート10のハリコシが不足し、作業性が悪くなる虞がある。型枠保護シート10の厚みが2.35mmを超える場合、表面の凹凸に対して十分な追従性が得られず、型枠保護シート10の浮きが生じる虞がある。
フィルター層と通水層との積層方法としては、例えば、スプレーラミネート法、パウダーラミネート法、ドライラミネート法、ニードルパンチ法、及びサーマルラミネート法が挙げられ、特に、パウダーラミネート法、及びスプレーラミネート法が好ましい。パウダーラミネート法によるフィルター層と通水層との積層は、例えば、通水層となる不織布に粉状ホットメルト接着剤を15g/m2以上を散布し、その後、フィルター層となる不織布を重ね、フィルター層となる不織布側から110度の熱ロールにてプレスし、熱圧着する。このようなパウダーラミネート法では、フィルター層と通水層との間の透水性に優れ、二層を強固に接着することができる。スプレーラミネート法によるフィルター層と通水層との積層は、例えば、フィルター層となる不織布にスプレー方式にて液状ホットメルト接着剤を3g/m2以上を散布し、その後、通水層となる不織布を重ね、フィルター層となる不織布側から110度の熱ロールにてプレスし、熱圧着する。このようなスプレーラミネート法では、フィルター層と通水層との間の透水性に優れ、生産性及び経済性の面でも有利である。
粘着層の積層方法としては、例えば、Tダイラミネート法、及び通水層への直接の圧着ロール法が挙げられ、特に、粘着層に優れた止水性を付与できるTダイラミネート法が好ましい。Tダイラミネート法による粘着層の積層は、例えば、剥離シート上に粘着剤を厚み50~200mmで均一に塗工して粘着層を形成し、これとは別に、フィルター層と通水層との積層基材の通水層側の面に、厚さ20~30μmのポリエチレンフィルムをTダイラミネート法により裏打し、剥離シート上に形成された粘着層と、積層基材に裏打ちされたポリエチレンフィルムとを対向させて、これらをプレスロールにより圧着させる。通水層への直接の圧着ロール法による粘着層の積層は、例えば、剥離シート上に粘着剤を厚み50~200mmで均一に塗工して粘着層を形成し、これをフィルター層と通水層との積層基材の通水層側の面に対向させて、プレスロールにより圧着させる。
フィルター層となる不織布として、ポリエステル/ポリエチレン芯鞘構造(芯部:ポリエステル、鞘部:ポリエチレン)の繊維を用いて、サーマルボンド法により、目付22g/m2のサーマルボンド不織布を作製し、熱カレンダー処理により毛羽立ちを抑えた。通水層となる不織布として、ポリエステル/ポリエチレン芯鞘構造(芯部:ポリエステル、鞘部:ポリエチレン)の繊維を用いて、サーマルボンド法により、目付70g/m2のサーマルボンド不織布を作製し、プラズマ処理による親水処理を施した。次に、通水層となる不織布に粉状ホットメルト接着剤を15g/m2を散布し、その後、フィルター層となる不織布を重ね、フィルター層となる不織布側から100度の熱ロールにてプレスして、積層不織布を作製した。この積層不織布の目付が70g/m2であるサーマルボンド不織布側の面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が100g/m2になるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、型枠保護シートを貼着した主面が30°の角度で前傾するようにコンクリート型枠パネルを基礎コンクリート上に配し、この他に3枚のコンクリート型枠パネルを基礎コンクリート上に垂直に配して、一つの面のみ傾斜した柱状のコンクリート型枠構造体(実施例1)を組み立てた。
実施例1に準じて、フィルター層となる不織布と、通水層となる不織布との積層不織布を作製し、この積層不織布の目付が70g/m2であるサーマルボンド不織布側の面に、共押出しTダイラミネート法により、厚み30μmのポリエチレンフィルムを止水フィルムとして裏打ちした。その後、止水フィルムにアクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が100g/m2になるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(実施例2)を組み立てた。
実施例1に準じて、フィルター層となる不織布と、通水層となる不織布との積層不織布を作製し、この積層不織布の目付が70g/m2であるサーマルボンド不織布側の面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が60g/m2になるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(実施例3)を組み立てた。
型枠保護シートを貼着していない合板製のコンクリート型枠パネルを用いて、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(比較例1)を組み立てた。
通水層となる不織布として、ポリプロピレン繊維を用いて、スパンボンド法により目付100g/m2のスパンボンド不織布を作製し、プラズマ処理による親水処理を施した。通水層となる不織布に粉状ホットメルト接着剤を15g/m2を散布し、その後、フィルター層となるポリエステル繊維製の目付150g/m2の織布を重ね、フィルター層となる不織布側から100度の熱ロールにてプレスして貼り合わせ、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートは粘着層を有しないものであるため、両面テープを用いて面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(比較例2)を組み立てた。
フィルター層となる不織布として、ポリプロピレン繊維を用いて、サーマルボンド法により、目付80g/m2のサーマルボンド不織布を作製し、熱カレンダー処理により毛羽立ちを抑えた。通水層となる不織布として、ポリエステル繊維を用いて、サーマルボンド法により、目付100g/m2のサーマルボンド不織布を作製し、プラズマ処理による親水処理を施した。次に、通水層となる不織布に粉状ホットメルト接着剤を15g/m2を散布し、その後、フィルター層となる不織布を重ね、フィルター層となる不織布側から100度の熱ロールにてプレスして、積層不織布を作製した。この積層不織布の目付が100g/m2であるサーマルボンド不織布側の面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が120g/m2になるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(比較例3)を組み立てた。
比較例3に準じて、フィルター層となる不織布と、通水層となる不織布との積層不織布を作製し、この積層不織布の目付が100g/m2であるサーマルボンド不織布側の面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が50g/m2になるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(比較例4)を組み立てた。
型枠保護シートのフィルター層及び通水層となる積層不織布を用いて、JIS A 1218 定水位透水試験法に準拠して測定した透水係数を、型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の透水係数とした。測定条件は、透水面積を1cm2、透水時間を60s、水位を10cmとした。また、定水位透水試験法において、基材厚さは、JIS L 1908に準拠して押圧荷重2kPaでの測定結果から算出した値を用いた。
型枠保護シートを用いて、JIS A 1218 定水位透水試験法に準拠して測定した透水係数を、型枠保護シートのフィルター層と粘着層との間の透水係数とした。測定条件は、透水面積を1cm2、透水時間を60s、水位を10cmとした。また、定水位透水試験法において、基材厚さは、JIS L 1908に準拠して押圧荷重2kPaでの測定結果から算出した値を用いた。
型枠保護シートのフィルター層及び通水層となる積層不織布を用いて、JIS L 1096 A法フラジール形法に準拠して測定した通気量を、型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の通気量とした。
コンクリート型枠構造体に、生コンクリート(5kgのコメリ株式会社製インスタントコンクリートに150cm3の水を混合したもの)を流し込み、バイブレーターにて10秒間の振動を与えた後、24時間以上放置して硬化させた。コンクリート型枠パネルを型枠保護シートごとコンクリートから剥離させ、型枠保護シートと接触していたコンクリートの傾斜面に形成されている直径が2mm以上の窪みをアバタとして目視にて計数した。
アバタ発生数を計数したコンクリートの傾斜面の表面が平滑であるかどうかを目視にて確認した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
○:目視により凹凸が確認されない
△:1mの距離からの目視により凹凸が確認される
×:5mの距離からの目視により凹凸が確認される
コンクリート型枠パネルへの型枠保護シートの貼着からコンクリート型枠構造体の組み立てが終了するまでの作業時間を計測した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
○:5分未満
△:5~10分
×:10分以上
コンクリートの硬化後、コンクリート型枠パネルから型枠保護シートを剥離し、コンクリート型枠パネルの主面に付着したセメントの付着具合を目視にて確認した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎:セメントが付着していない
○:セメントが僅かに付着している(主面の1/5未満の範囲)
△:セメントが少量付着している(主面の1/5以上、1/2未満の範囲)
×:セメントが多量付着している(主面の1/2以上の範囲)
2 通水層
3 フィルター層
4 止水フィルム
10、10A 型枠保護シート
20 コンクリート型枠パネル
100 コンクリート型枠構造体
Claims (2)
- コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シートであって、
前記コンクリート型枠パネルに貼着される粘着層と、
前記粘着層に積層され、通水性を有する通水層と、
前記通水層を挟んで前記粘着層と対向する側に積層され、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層とを有し、
前記積層された前記フィルター層及び前記通水層における通気量は、1cm3/(cm2・s)以上であり、
前記積層された前記フィルター層及び前記通水層における透水係数は、1×10-2cm/s以上であり、
前記積層された前記フィルター層、前記通水層及び前記粘着層における透水係数は、1×10-3cm/s以下であり、
前記粘着層の厚みが50~150μmに設定され、
前記フィルター層は、目付が20~40g/m 2 である不織布を含み、当該不織布を形成する繊維の直径が20μm以下である型枠保護シート。 - コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シートであって、
前記コンクリート型枠パネルに貼着される粘着層と、
前記粘着層に積層され、通水性を有する通水層と、
前記通水層を挟んで前記粘着層と対向する側に積層され、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層とを有し、
前記積層された前記フィルター層及び前記通水層における通気量は、1cm 3 /(cm 2 ・s)以上であり、
前記積層された前記フィルター層及び前記通水層における透水係数は、1×10 -2 cm/s以上であり、
前記積層された前記フィルター層、前記通水層及び前記粘着層における透水係数は、1×10 -3 cm/s以下であり、
前記粘着層の厚みが30~200μmに設定され、
前記粘着層と前記通水層との間に止水フィルムが設けられない型枠保護シート。
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