本発明に係るコンバインの一例について説明する。
[コンバインの全体構造]
まずは、図1を参照して、コンバインの全体構造について簡単に説明する。図1は、本実施形態のコンバイン1の左側面を示す。図中には、コンバイン1の前後方向、左右方向及び上下方向を矢印で示している。左右方向は、機体幅方向に相当する。
コンバイン1は、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、排藁処理部7、動力部8及び操縦部9を備える。コンバイン1は、走行部2によって走行しながら、刈取部3によって刈り取った穀稈を脱穀部4で脱穀し、選別部5で穀粒を選別して貯留部6に貯える。脱穀後の排藁は排藁処理部7によって処理される。動力部8は、これらの走行部2や刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、排藁処理部7に動力を供給する。作業者は、操縦部9においてコンバイン1を操縦する。
走行部2は、機体フレーム20の下方に設けられている。走行部2は、トランスミッション21(図10参照)と、左右一対のクローラ式走行装置22とを備える。トランスミッション21は、動力部8のエンジン8aの動力をクローラ式走行装置22に伝達する。クローラ式走行装置22は、コンバイン1を前後方向に走行させたり、左右方向に旋回させたりする。走行部2の前方には、刈取部3が設けられている。
刈取部3は、デバイダ31と、引起装置32と、切断装置33と、搬送装置34とを備える。デバイダ31は、圃場の穀稈を引起装置32へ案内する。引起装置32は、デバイダ31によって案内された穀稈を引き起こす。切断装置33は、引起装置32によって引き起こされた穀稈を切断する。搬送装置34は、切断装置33によって切断された穀稈を脱穀部4へ搬送する。図1には、搬送装置34として、縦搬送装置134と補助搬送装置135とを示す。縦搬送装置134は、上下方向に沿って移動可能に構成されており、図示の状態では最も下方に位置している。稼働時には、穀稈の長さに合わせて縦搬送装置134の位置を変えることで、最適な搬送姿勢を保つことができる。刈取部3は、機体フレーム20の前端部に連結された油圧シリンダ35によって昇降自在に構成されている。
脱穀部4は、刈取部3の後方に設けられている。脱穀部4は、フィードチェーン41と、扱胴42とを備える。フィードチェーン41は、刈取部3の後方であって、脱穀部4の前方部に設けられている。フィードチェーン41は、搬送装置34から穀稈を受け継ぎ、脱穀部4から排藁処理部7へと搬送する。扱胴42は、フィードチェーン41によって搬送される穀稈を脱穀する。
サイドカバー43は、コンバイン1の機体幅方向外側となる左側からフィードチェーン41を覆っている。サイドカバー43の上方に設けられた藁押え台カバー44は、同じく機体幅方向外側から扱胴42などを覆っている。藁押え台カバー44の上方には、緊急停止スイッチSw0が設置されている。緊急停止スイッチSw0は、作業者の押圧操作によってオン/オフが切り替えられる押圧式のスイッチである。緊急停止スイッチSw0をオンに切り替えると、エンジン8aの駆動が強制的に停止され、フィードチェーン41を含む各部の駆動が停止する。
選別部5は、脱穀部4の下方に設けられている。選別部5は、揺動選別装置51と、風選別装置52とを備える。揺動選別装置51は、脱穀部4から落下した脱穀物を穀粒と藁屑等に選別する。風選別装置52は、揺動選別装置51に選別風を供給し、揺動選別装置51と共に脱穀物を穀粒と藁屑等に選別する。揺動選別装置51及び風選別装置52によって選別された穀粒は、図示しない穀粒回収機構により回収されて貯留部6へと搬送される。揺動選別装置51及び風選別装置52によって選別された藁屑等は、排藁処理部7を介して機外に排出される。
貯留部6は、脱穀部4の右側方に設けられている。貯留部6は、グレンタンク61と、排出装置62とを備える。グレンタンク61は、選別部5から搬送されてきた穀粒を貯留する。排出装置62は、後端部(穀粒の搬送上流側の基端部)を中心として前端部(穀粒の搬送下流側の先端部)を上下左右方向に回動自在に構成されており、グレンタンク61に貯留されている穀粒を任意の場所に排出できる。
排藁処理部7は、操縦部9の下方、且つ、脱穀部4の後方に設けられている。排藁処理部7は、フィードチェーン41により搬送された穀稈を切断して排出する。
動力部8は、選別部5の右側方に設けられている。動力部8は、回転動力を発生させるエンジン8aを備える。エンジン8aが発生させた回転動力は、刈取部3や脱穀部4、選別部5などに伝達される。
操縦部9は、動力部8の上方に設けられている。操縦部9は、運転席91と、ハンドル92を含む複数の操作具とを備える。運転席91は、作業者が座る座席である。ハンドル92は、コンバイン1の進行方向を変更する操向ハンドルである。作業者は、運転席91に着座した状態でハンドル92などの複数の操作具を操作することにより、コンバイン1を操縦できる。
また、コンバイン1は、穀稈ガイド40を備える。穀稈ガイド40は、手扱ぎ作業時に穀稈を押さえてフィードチェーン41に案内する。穀稈ガイド40は、コンバイン1の左側部に設けられている。本実施形態のコンバイン1は、更に、案内部材45と、押圧部材48とを備える(図2~6参照)。案内部材45は、穀稈ガイド40と共に穀稈をフィードチェーン41に案内する。案内部材45は、補助搬送装置135の機体幅方向外側となる左側に配置されている。押圧部材48は、非手扱ぎ作業時において、フィードチェーン41に対して穀稈を押圧する。つまり、穀稈ガイド40と案内部材45は、手扱ぎ作業時に穀稈に作用する(穀稈をフィードチェーン41に押さえつける)部材であり、押圧部材48は、非手扱ぎ作業時に穀稈に作用する(穀稈をフィードチェーン41に押さえつける)部材である。
[穀稈ガイド]
次に、図2~6を参照して、穀稈ガイドについて説明する。穀稈ガイド40は、フィードチェーン41の駆動を許可する第一スイッチSw1と、穀稈ガイド40を操作する操作具としての操作レバー401と、操作レバー401を回動自在に支持するフレーム板402と、フィードチェーン41に対して穀稈を押し付ける押付部材としてのガイドロッド403とを有する。第一スイッチSw1のオン/オフの切り替えは、操作レバー401の操作によって行われる。操作レバー401は、穀稈ガイド40の回動を操作するための取っ手となる。
穀稈ガイド40は、回転軸40aを支点として回動する。回転軸40aは、図4のようにフレーム板402と背面板404(前方背面板)とに挟み込まれて、これらと一体的に固定されている。回転軸40aは、筒部材405に相対回転自在に挿入されている。筒部材405は、フレーム板402と背面板404との間に介在するとともに、ブラケット406を介して刈取部3のフレーム114に固定されている。かかる構成により、穀稈ガイド40は、フレーム114に対して相対回転自在に支持されている。
ガイドロッド403は、断面円形状の棒材を折り曲げて形成されている。ガイドロッド403は、フレーム板402に一体的に固定されている。図2に示すように、ガイドロッド403は、穀稈ガイド40がフィードチェーン41に接近した接近位置にあるときにフィードチェーン41の搬送面に対面する対面部403aを含む。ガイドロッド403は、更に、対面部403aの前方に位置し、対面部403aから回転軸40aに向かって湾曲した間隙形成部403bと、対面部403aの後方に位置し、フィードチェーン41から離れる方向に対面部403aから湾曲した後端部403cとを有する。
穀稈ガイド40は、フィードチェーン41から離間した離間位置と、フィードチェーン41に接近した接近位置との間で回動可能に構成されている。矢印Rは、穀稈ガイド40の回動方向を示す。離間位置にある穀稈ガイド40は、図3のように回転軸40aから上方に向けて立ち上がった姿勢になり、ガイドロッド403が上下方向に向けられる。これに対し、接近位置にある穀稈ガイド40は、図2のように回転軸40aから後方へ横たわった姿勢になり、ガイドロッド403は回転軸40aよりも下方に配置される。以下、穀稈ガイド40が接近位置にある状態を「接近状態」と呼び、穀稈ガイド40が離間位置にある状態を「離間状態」と呼ぶ。
本実施形態では、回転軸40aが穀稈ガイド40の前方部に設けられており、図2,3で示す左側面視にて時計回りに回動することにより、穀稈ガイド40がフィードチェーン41に対して接近する。但し、これに限られるものではなく、回転軸40aを穀稈ガイド40の後方部に設けて、左側面視にて反時計回りに回動することにより穀稈ガイド40がフィードチェーン41に接近する構成でも構わない。かかる構成は、例えば上掲した特許文献1に開示されている。
穀稈ガイド40が接近位置にある状態では、フィードチェーン41の上方に対面部403aが配置され、この対面部403aによって穀稈がフィードチェーン41に押し付けられる。また、接近状態では、ガイドロッド403の前方部を構成する間隙形成部403bとフィードチェーン41との間に隙間が形成されるため、前方で待機する穀稈の搬送抵抗を軽減しつつ、穀稈の搬送姿勢を安定させることができる。更に、ガイドロッド403の後方部を構成する後端部403cとフィードチェーン41との間に隙間が形成されるので、穀稈ガイド40が穀稈の搬送を妨げず、穀稈の姿勢を安定させて、フィードチェーン41により穀稈を扱胴42へ送り込むことができる。
本実施形態では、穀稈ガイド40が補助ロッド415を備えている。図4に示すように、補助ロッド415は、ガイドロッド403に対して機体幅方向内側に離れて配置されている。補助ロッド415は、断面円形状の棒材を折り曲げて形成され、背面板416(後方背面板)に一体的に固定されている。背面板416は、一対の連結軸417を介してフレーム板402に取り付けられている。補助ロッド415は、ガイドロッド403と略平行に延びており、ガイドロッド403と共に穀稈をフィードチェーン41に押し付ける。ガイドロッド403と補助ロッド415とで穀稈の株元側と穂先側との双方を同時に押さえることにより、穀稈の折れ曲がりを防いで、穀稈の搬送姿勢をより安定させることができる。
穀稈ガイド40には、付勢部材としての引張バネ40bが係合されている。引張バネ40bの一端は、第一係合部としての第一係合ピン407に係合し、引張バネ40bの他端は、フレーム114に固定された係合冶具115に係合している。第一係合ピン407は、回転軸40aの近傍に設けられている。第一係合ピン407は、フレーム板402から機体幅方向内側となる右側に向けて突出しているが、反対側(左側)に向けて突出していてもよい。本実施形態の第一係合ピン407は、図2に示す接近状態において、回転軸40aの上方で且つ回転軸40aよりもやや後方に位置し、図3に示す離間状態において、回転軸40aの前方で且つ回転軸40aに対して水平に位置する。
第一係合ピン407に係合された引張バネ40bは、フィードチェーン41から引き離すように穀稈ガイド40を引っ張り、作業者が穀稈ガイド40を操作していない状態、即ち引張バネ40bによる引張力(付勢力)以外の外力が作用していない状態では、穀稈ガイド40が離間位置で保持される。つまり、コンバイン1は、穀稈ガイド40を離間位置に向けて付勢する引張バネ40bを備えており、接近位置にある穀稈ガイド40が引張バネ40bの作用によって離間位置に移動するように構成されている。そのため、手扱ぎ作業時には、作業者が穀稈ガイド40を離間位置に移動させる手間を省くことができ、作業効率が高められる。
引張バネ40bは、第二係合部としての第二係合ピン408に係合することもできる。第二係合ピン408は、第一係合ピン407よりも回転軸40aの近傍に設けられている。第二係合ピン408は、フレーム板402から機体幅方向外側となる左側に向けて突出しているが、反対側(右側)に向けて突出していてもよい。本実施形態の第二係合ピン408は、図2に示す接近状態において、回転軸40aの後方で且つ回転軸40aに対して水平に位置し、図3に示す離間状態において、回転軸40aの上方に位置する。
第二係合ピン408に係合された引張バネ40bは、穀稈ガイド40を前方に引っ張るものの、図2に示す接近状態では第二係合ピン408が回転軸40aの後方で水平に位置することから接近位置にある穀稈ガイド40を離間位置に向けて回動させることはなく、接近位置にある穀稈ガイド40はそのまま接近位置で保持される。このように、本実施形態のコンバイン1は、第一係合ピン407に引張バネ40bを係合させた状態では、接近位置にある穀稈ガイド40が引張バネ40bの作用によって離間位置に移動し、第二係合ピン408に引張バネ40bを係合させた状態では、接近位置にある穀稈ガイド40が接近位置で保持されるように構成されている。
引張バネ40bは、穀稈ガイド40に設けられた第一係合ピン407と第二係合ピン408とに択一的に係合可能である。作業者は、状況に応じて、第一係合ピン407と第二係合ピン408の何れに引張バネ40bを係合させるかを任意に選択できる。コンバイン1の使用時には、第一係合ピン407に引張バネ40bを係合しておくことにより、穀稈ガイド40が専ら離間位置で保持されるため、既述のように手扱ぎ作業を効率良く行える。一方で、例えばコンバイン収納時に埃除けカバーを刈取部3に被せる場合など、穀稈ガイド40が離間位置にあると不都合を生じうる状況では、第二係合ピン408に引張バネ40bを係合して、穀稈ガイド40を接近位置で保持することができる。
図5,6に示すように、本実施形態のコンバイン1は、引張バネ40bの作用による穀稈ガイド40の離間位置への移動を妨げて、離間位置と接近位置との間にある途中位置で穀稈ガイド40を固定可能な固定部材47を備える。かかる構成によれば、引張バネ40bの係合箇所を切り替えなくても、穀稈ガイド40を途中位置で固定することにより、穀稈ガイド40が離間位置にあると不都合を生じうる上記のような状況にも適切に対処できる。しかも、接近位置ではなく途中位置で穀稈ガイド40を固定しているので、固定部材47を作用させたまま非手扱ぎ作業を行っても、穀稈ガイド40が穀稈の搬送を阻害せず、作業者が固定部材47を取り外し忘れても不都合を生じない。
本実施形態では、途中位置にある穀稈ガイド40が、図5のように回転軸40aから後方へ横たわった姿勢になり、ガイドロッド403は回転軸40aと同じ高さに配置されている。また、引張バネ40bが係合されている第一係合ピン407は回転軸40aよりも上方に位置し、穀稈ガイド40を離間位置に向けて引っ張る引張力が作用しているものの、穀稈ガイド40の移動は固定部材47によって妨げられている。途中位置は、図示した位置に限られず、穀稈ガイド40がフィードチェーン41から適度に離れた位置であればよい。
固定部材47は、途中位置で穀稈ガイド40を固定する固定位置(図6参照)と、穀稈ガイド40の移動を妨げない非固定位置(図3参照)との間で回動可能に構成されている。図6のように、固定部材47は、回動の支点となる回転軸47aと、穀稈ガイド40に係合可能なフック47bとを有する。回転軸47aは、フレーム114に固定されたブラケット418に相対回転自在に支持されている。即ち、固定部材47は、フレーム114に対して相対回転自在に支持されている。フック47bは、穀稈ガイド40が有する回転筒413(回転筒413の詳細については後述する)に係合するが、穀稈ガイド40の他の部位に係合させても構わない。なお、図6では、説明の都合上、背面板404を透過させて描いている。
図6の状態では、固定部材47が固定位置にある。作業者が穀稈ガイド40を離間位置から接近位置に向かって回動させると、当該回動動作に伴って回転筒413も穀稈ガイド40と共に回動する。固定部材47のフック47bは、穀稈ガイド40が離間位置から接近位置に至るまでの間の所定位置(途中位置)にて回転筒413に係合させることが可能である。そして、フック47bが穀稈ガイド40(の回転筒413)に係合することにより、穀稈ガイド40の離間位置または接近位置への移動が妨げられ、途中位置で穀稈ガイド40が固定される。この固定部材47を後方に回動させてフック47bの係合を解除すると、固定部材47は非固定位置に変位し、穀稈ガイド40の離間位置または接近位置への移動が妨げられない状態となる。途中位置で穀稈ガイド40を固定する作業は、このように固定部材47を回動させるだけで済むため、簡便に行うことができる。固定部材47は、板材により形成されているが、これに限定されない。
[案内部材及び押圧部材]
次に、案内部材と押圧部材について説明する。図3に示すように、案内部材45は、フレーム114に支持される台座45aと、後方に向かって下方に傾斜したスロープ45bとを有する。台座45aは、ブラケット418を介してフレーム114に支持されている。台座45aは、回転軸40aよりも後方に配置されている。スロープ45bは、台座45aの後方に位置しており、図4のように平面視においてフィードチェーン41の搬送方向に沿って延びている。スロープ45bの下端部(後方の先端部)45cは、フィードチェーン41の上方に位置している。
案内部材45は、スロープ45bによって穀稈をフィードチェーン41に案内する。また、スロープ45bは、フィードチェーン41の搬送面に載置された穀稈が前方に落下しないように穀稈を支持する。図3に示すように、スロープ45bは、左側面視において、フィードチェーン41の前部で搬送面に対して略垂直方向または少し傾斜した方向に延び、換言すれば、フィードチェーン41の搬送面に対して略V字状をなす位置関係にある。案内部材45を設けていることにより、手扱ぎ作業時に穀稈を支持し、穀稈ガイド40とともに穀稈をフィードチェーン41に案内できる。案内された穀稈は、押圧部材48の上を通ってフィードチェーン41により搬送される。即ち、手扱ぎ作業では、押圧部材48は、穀稈をフィードチェーン41に押圧する作用を発揮しない。
本実施形態では、より多くの穀稈を支持できるように、台座45aの上方に延長部材451を取り付けてスロープ45bを上方に向けて延長させている。但し、このような延長部材451を備えていない構成でも構わない。あるいは、案内部材45自体をこのような形状にしておくことも可能である。案内部材45は、板材を折り曲げて形成されているが、これに限定されるものではない。
押圧部材48は、非手扱ぎ作業時に刈取部3の搬送装置34によって搬送されてきた穀稈をフィードチェーン41に向けて押さえる。押圧部材48は、フィードチェーン41の搬送面に対面する対面部48aと、ブラケット49に対して相対回転自在に支持された支持部48bと、対面部48aと支持部48bとの間に介在して両者を連ねる連結部48cとを含む。支持部48bは、左右方向に沿って延びている。連結部48cは、対面部48aから支持部48bに向かって湾曲して延びている。押圧部材48は、断面円形状の棒材を折り曲げて形成されているが、これに限られず、例えば板材で形成することも可能である。
支持部48bは、フレーム114に固定されたブラケット49の筒部491に相対回転自在に挿入されている。かかる構成により、押圧部材48は、ブラケット49を介してフレーム114に取り付けられ、フレーム114に対して相対回転自在に支持されている。対面部48aは、押圧部材48の自重によってフィードチェーン41の搬送面に接近している。したがって、非手扱ぎ作業時の押圧部材48は、供給された穀稈の嵩に応じて上下動する。この上下動は、支持部48bを支点とした回動による対面部48a及び連結部48cの上下動を指す。後述する押圧部材48の上方への移動も、これと同義である。
押圧部材48は、スロープ45bよりも下方に位置している。スロープ45bの下端縁45eの真下には、連結部48cの後方部分が配置されている。非手扱ぎ作業時には、コンバイン1の振動や穀稈の嵩高などに起因して、押圧部材48が下端縁45eを超えて上方へ移動し、図3に鎖線で示したような高さまで上昇することが考えられる。このような位置に押圧部材48がある状態では、フィードチェーン41に対して穀稈を適切に押さえられないため、穀稈の詰まりや搬送効率の低下を生じる恐れがある。
そこで、図7,8に示すように、このコンバイン1では、スロープ45bの下端部45cをスロープ45bの上端部45dに比べて幅広に形成している。これにより、押圧部材48がスロープ45bの下端縁45eを超えて上方に移動することを防ぎ、非手扱ぎ作業時に押圧部材48で穀稈を適切に押さえることができる。スロープ45bを全体的に幅広に形成するのではなく、このように下端部45cを部分的に幅広にすることは、スロープ45bと、その機体幅方向外側に配置される接近状態の穀稈ガイド40との間隔を確保するうえで都合が良い。
本実施形態において、スロープ45bは、上端部45dから下端部45cに向かって一定の幅(幅Wd)で延び、その下端部45cで部分的に幅広に形成されている。下端部45cの幅Wcは、上端部45dの幅Wdよりも大きい。幅Wc及び幅Wdは、それぞれ機体幅方向となる左右方向に沿って測定される。図7のように、下端部45cは、平面視において押圧部材48と重なる位置にある。下端部45cは、下方に向かって徐々に幅広になっていて、下端縁45eに近付くほど幅広になる。この案内部材45では、穀稈との引っ掛かりを抑えるために、下端縁45eに断面円形状の棒材45fを取り付けているが、これは省略しても構わない。
非手扱ぎ作業では、搬送装置34によって穀稈が機体幅方向内側から外側に向かって搬送されてくるため、押圧部材48は案内部材45の機体幅方向外側を通って上方に移動する傾向にある。このため、下端部45cは、少なくとも機体幅方向外側に張り出していることが好ましい。本実施形態において、下端部45cは、機体幅方向内側には張り出さず、機体幅方向外側となる左側にのみ張り出して形成されている。図8のように、下端部45cにおける機体幅方向外側の側方部45sは、機体幅方向外側に向かって下方へ傾斜している。この側方部45sの形状は、案内部材45の機体幅方向外側を通って押圧部材48が上方に移動することを防ぐうえで有用である。
図7に示すように、下端縁45eは、機体幅方向外側に向かって後方へ傾斜している。また、図8に示すように、下端縁45eは、機体幅方向外側に向かって下方へ傾斜している。何れの構成によっても、上方へ移動しようとする押圧部材48が下端縁45eに接触した際に、スロープ45bを機体幅方向外側に向けて移動させる力、及び/または、押圧部材48を機体幅方向内側に向けて移動させる力が作用し、その結果、押圧部材48がスロープ45bの下端縁45eを超えて上方に移動することをより効果的に防止できる。
上記のように、このコンバイン1では、下端縁45eが機体幅方向外側に向かって下方へ傾斜しているため、上方へ移動しようとする押圧部材48が下端縁45eに接触した際には、スロープ45bを下方へ向けて移動させる力が作用する。このとき、スロープ45bが下方へ大きく移動すると、押圧部材48で押されている穀稈に下端縁45eが引っ掛かる恐れがある。そこで、本実施形態では、図8のように、スロープ45bの幅中央位置よりも機体幅方向外側に押圧部材48を配置し、そのような不都合が生じないようにしている。
[手扱ぎ安全装置]
次に、手扱ぎ作業時の安全性を向上させる手扱ぎ安全装置について説明する。コンバイン1は、上述した第一スイッチSw1に加えて、フィードチェーン41の駆動を許可する第二スイッチSw2を備える。第一スイッチSw1は、操作レバー401の操作に応じてオン/オフが切り替え可能である。第二スイッチSw2は、作業者の押圧操作によってオン/オフが切り替えられる。第二スイッチSw2は、常時オフであり、作業者が押している間のみオンとなる。フィードチェーン41は、第一スイッチSw1と第二スイッチSw2の両方がオンに切り替えられた場合に駆動される。これにより、作業者の意図に反してフィードチェーン41が駆動することを防ぎ、安全性を向上できる。
第一スイッチSw1は、操作レバー401の操作に応じてオンとオフとが切り替えられる。図6に示すように、背面板404には、回転軸40aの軸方向に沿ってフレーム板402に向かって折り曲げられた屈曲部40fが形成されており、その屈曲部40fに第一スイッチSw1が取り付けられている。押圧操作によってオンに切り替えられる第一スイッチSw1のボタンは、屈曲部40fを貫通して下方へ向けて突出している。
操作レバー401は、操作中心軸40cを介してフレーム板402に相対回転自在に支持されている。操作レバー401は、リンク機構411を介して回転筒413に連結されている。回転筒413には、枢軸40dが挿入されている(図4参照)。枢軸40dは、フレーム板402と背面板404とに挟み込まれて、これらと一体的に固定されている。回転筒413の外周面には、押圧板414が固定されている。操作レバー401をフレーム板402に対して相対回転させると、リンク機構411を介して回転筒413もフレーム板402に対して相対回転し、それに応じて押圧板414が枢軸40d周りに回転する。
図2に示す接近状態から操作レバー401を左側面視で時計回りに回動させると、フレーム板402に対して操作レバー401が相対回転し、それに応じた押圧板414の回転により第一スイッチSw1のボタンが押圧され、第一スイッチSw1がオンに切り替えられる。第一スイッチSw1がオンに切り替えられた状態において、操作レバー401は、捩りコイルバネ410によって左側面視で反時計回りに付勢される。フレーム板402に対して相対回転させた操作レバー401は、この捩りコイルバネ410の付勢力により元の位置に復帰できる。捩りコイルバネ410の付勢力は、穀稈ガイド40を離間位置から接近位置に移動させるために操作レバー401を操作した際に操作レバー401が操作中心軸40cを中心に回動しない程度の付勢力とされる。つまり、操作レバー401は、穀稈ガイド40が接近位置とされた後に、穀稈ガイド40を接近位置に移動させるための力よりも強い力を操作レバー401に加えることによって、操作中心軸40cを中心に回動する。
かかる構成により、作業者は、第一スイッチSw1のオンとオフとを切り替えることができる。即ち、操作レバー401を操作して穀稈ガイド40を接近位置に配置した後、更に操作レバー401をフィードチェーン41に向けて操作することにより、第一スイッチSw1をオンに切り替えることができる。そして、その操作レバー401をフィードチェーン41から離すように操作することにより、第一スイッチSw1をオフに切り替えることができる。
本実施形態では、第一スイッチSw1が穀稈ガイド40に設けられているが、これに限られず、刈取部3における剛体、例えばフレーム114などの刈取部3のフレーム部材で第一スイッチを支持する構成にしてもよい。
第二スイッチSw2は、穀稈ガイド40よりも前方に配置されている。第二スイッチSw2は、フレーム114に支持されている。作業者は、右手で操作レバー401を押し下げて第一スイッチSw1のオン状態を維持しながら、左手で第二スイッチSw2を押して第二スイッチSw2のオン状態を維持することにより、フィードチェーン41を駆動できる。
第二スイッチSw2は、穀稈ガイド40よりも後方に配置されていてもよく、例えば藁押え台カバー44に設置しても構わない。その場合、作業者は、左手で操作レバー401を操作しつつ、右手で第二スイッチSw2を押すことにより、第一スイッチSw1と第二スイッチSw2をオンに切り替えてフィードチェーン41を駆動できる。更に、穀稈ガイド40の前方と後方の両方に第二スイッチSw2を配置しておき、選択的に使い分けできるように構成しておけば、作業者の利き手が左右どちらであっても対応できる。
ところで、手扱ぎ作業時に穀稈が供給過多であると、穀稈の嵩高によって穀稈ガイド40が下がり切らず、フィードチェーン41に対して穀稈ガイド40が十分に接近しない状態となる。かかる状態であっても第一スイッチSw1はオンに切り替わりうるため、フィードチェーン41を駆動して手扱ぎ作業を行うことはできるが、脱穀部4に穀稈が適切に取り込まれないなどの支障を来たす場合がある。そこで、そのような不適切な状態での手扱ぎ作業を避けられるように、このコンバイン1では、穀稈ガイド40の位置(回動量)が検出され、その検出結果に基づいて所定の制御が行われる。
図6に示すように、穀稈ガイド40には、穀稈ガイド40の位置(回動量)、即ち穀稈ガイド40の回転角度を検出する回転角度センサ89が設けられている。回転角度センサ89は、例えばポテンショメータによって構成される。回転角度センサ89は、回動自在に支持されたレバー89aを有する。レバー89aは、回転軸40aよりも後方に配置されている。レバー89aは、前方に向けて付勢されており、筒部材405に対して接触する位置が、レバー89aの前方での回動範囲の限界となる。離間位置から接近位置に向けて穀稈ガイド40を回動すると、その過程で回転筒413がレバー89aに接触し、穀稈ガイド40の回転角度に応じた位置までレバー89aが回動する。このレバー89aの回転角度に基づき、穀稈ガイド40の位置(回動量)が検出される。
第一スイッチSw1と第二スイッチSw2の両方がオンに切り替えられた際、穀稈ガイド40の位置が所定の位置よりも高い場合、即ち穀稈ガイド40の回動量が所定の回動量よりも小さい場合には、警報の出力や、フィードチェーン41の停止または減速といった所定の制御が行われる。これにより、フィードチェーン41に対して穀稈ガイド40が十分に接近していないことが作業者に知らされ、不適切な状態での手扱ぎ作業を回避できる。
本実施形態では、作業者が穀稈ガイド40を手動で操作する例を示したが、これに限られず、穀稈ガイド40をモータ等で駆動する構造にしてもよい。但し、そのような構造であっても、作業者には両手を使って操作させることが安全面で好ましい。そのため、例えば図9に示すような第三スイッチSw3を配置することが考えられる。作業者は、左手で第二スイッチSw2を押しながら、右手で第三スイッチSw3を押すことにより、これらをオンに切り替える。この場合、フィードチェーン41は、第二スイッチSw2と第三スイッチSw3とがオンに切り替えられたときに駆動される。
[手扱ぎ作業時の作業者の動作]
次に、手扱ぎ作業時の作業者の動作について簡単に説明する。手扱ぎ作業は、コンバイン1が停止した状態、即ちクローラ式走行装置22が停止し且つフィードチェーン41が停止している状態で開始する。
手扱ぎ作業を行う作業者は、コンバイン1の左側において穀稈ガイド40を操作できる位置(以下、「手扱ぎ作業位置」と呼ぶ)に移動し、刈り取った穀稈を所定の場所に載置する。この所定の場所とは、穀稈ガイド40を下方へ回動させたときにガイドロッド403で穀稈を押さえられる場所を指し、スロープ45bとフィードチェーン41の搬送面とで形成される領域のことである。本実施形態では、引張バネ40bの作用によって穀稈ガイド40が予め離間位置にあるので、穀稈を載置する前に穀稈ガイド40を上方へ回動させる必要がなく、作業効率が高められる。
刈取部3が上昇していると、上述した所定の場所が狭くなって穀稈を載置しづらくなるため、手扱ぎ作業は、刈取部3を下降させた状態で行うことが好ましい。刈取部3の昇降は、通常、操縦部9に設けられた操作具によって操作可能に構成されている。それ故、刈取部3を下降させることを忘れて、刈取部3を上昇させた状態のまま手扱ぎ作業位置に移動した場合、作業者は、そこから操縦部9との間を往復して刈取部3を下降させる必要があり、作業が煩雑となる。
そこで、そのような不都合を解消するために、刈取部3を昇降するための操作具を手扱ぎ作業位置の周辺に配置してもよい。例えば、本実施形態のように、刈取部3の昇降を操作可能なスイッチ36を藁押え台カバー44に設置することが考えられる。藁押え台カバー44に限られず、サイドカバー43や、その他の箇所にスイッチ36を設置しても構わない。スイッチ36は、刈取部3の下降のみを操作できるものでもよい。あるいは、第一スイッチSw1と第二スイッチSw2の両方がオンに切り替えられた際に、刈取部3が自動的に下降するように構成してもよい。
穀稈を所定の場所に載置した後、作業者は、フィードチェーン41に接近するように穀稈ガイド40を回動して穀稈を押さえる。そして、その状態から操作レバー401をフィードチェーン41に向かって回動させて、第一スイッチSw1をオンに切り替える。第一スイッチSw1をオンに切り替える操作は、操作レバー401を把持して穀稈ガイド40をフィードチェーン41に向けて押し下げる操作となる。そして、作業者は、操作レバー401を押し下げたまま、第二スイッチSw2を押す。これにより、第一スイッチSw1と第二スイッチSw2の両方がオンに切り替えられた状態となり、フィードチェーン41が駆動されて手扱ぎ作業が行われる。
[動力伝動機構]
次に、図10を参照して、コンバイン1の動力伝達機構について説明する。なお、動力伝達機構の主要な部分と本発明に関する部分とを説明し、その他の部分については説明を省略する。
コンバイン1の動力伝達機構は、トランスミッション21と、脱穀部用伝動装置186と、フィードチェーン用伝動装置187と、その他の各部へエンジン8aの回転動力を伝達する回転軸及びベルトなどを有している。
エンジン8aには、出力プーリ181が設けられている。エンジン8aからの回転動力は、出力プーリ181に巻回されたベルトを介してトランスミッション21へと伝達され、トランスミッション21から走行部出力プーリ141へと伝達される。トランスミッション21が備える無段変装置23は、エンジン8aの回転動力を油圧に変換した後に再び回転動力に変換して、クローラ式走行装置22を駆動させる。この構成により、トランスミッション21は、クローラ式走行装置22の駆動状態を変更でき、コンバイン1を任意の方向に走行させることができる。
出力プーリ181と入力プーリ182との間にはベルトが巻回されており、出力プーリ181から入力プーリ182へと回転動力が伝達される。入力プーリ182は、動力伝達第一軸183の一端に固定されている。動力伝達第一軸183の他端は、動力伝達ケース185に収納されている。
走行部出力プーリ141に伝達された回転動力は、刈取部第一入力プーリ142へと伝達される。走行部出力プーリ141と刈取部第一入力プーリ142との間にはベルトが巻回されている。更に、脱穀部出力プーリ143からも、刈取部第二入力プーリ144に回転動力が伝達される。脱穀部出力プーリ143と刈取部第二入力プーリ144との間にはベルトが巻回されており、このベルトにはテンションクラッチ145が設けられている。刈取部第一入力プーリ142と刈取部第二入力プーリ144とは、刈取入力軸を構成する刈取第一軸147の一端に固定されている。刈取第一軸147の他端には、補助搬送装置135の補助搬送駆動ケース210が固定されている。刈取第一軸147の中途部にはベベルギヤ148が固定されており、そのベベルギヤ148を介して刈取部3に回転動力が伝達される。
非手扱ぎ作業時には、テンションクラッチ145は切状態に切り替えられており、走行部出力プーリ141から刈取部第一入力プーリ142へと動力が伝達される。走行部2が停止した状態にある場合でも、穀稈の流し込み作業のみが行われるときには、脱穀部4が駆動している。このときには、テンションクラッチ145が入状態に切り替えられることによって、脱穀部出力プーリ143から刈取部第二入力プーリ144へと動力が伝達される。
脱穀部用伝動装置186は、動力伝達ケース185内に収納されている。脱穀部用伝動装置186は、脱穀部4へ回転動力を伝達する。脱穀部用伝動装置186は、動力伝達第二軸191及び脱穀部出力軸192を有する。
フィードチェーン用伝動装置187は、フィードチェーン用伝動ケース201と、フィードチェーン用伝動ケース201を貫通する変入力軸194と、フィードチェーン用伝動ケース201よりも機体幅方向外側に設けられたフィードチェーン変機構であるベルト式無段変機208と、ベルト式無段変機208から出力された動力を出力する変出力軸260とを有する。ベルト式無段変機208は、フィードチェーン41による搬送速度と刈取部3による刈取速度をコンバイン1の走行速度に同調させることができる。
動力伝達第一軸183の他端に設けられたギヤと、動力伝達第二軸191の一端に設けられたギヤとの間の回転動力の伝達によって、動力伝達第一軸183から動力伝達第二軸191へと回転動力が伝達される。動力伝達第二軸191の中途部にはベベルギヤ197が固定されており、そのベベルギヤ197を介して脱穀部出力軸192へと回転動力が伝達される。脱穀部出力軸192は、図10では図示しない扱胴や排藁処理装置へ回転動力を伝達するための軸である。
動力伝達第二軸191の他端に設けられたギヤと、変入力軸194の一端に設けられたギヤとの間の回転動力の伝達によって、動力伝達第二軸191から変入力軸194へと回転動力が伝達される。変入力軸194の他端には、ベルト式無段変機208の入力プーリ220が設けられている。入力プーリ220は、ベルト290を介して出力プーリ250へ回転動力を伝達する。出力プーリ250は、変出力軸260へ回転動力を出力し、その変出力軸260からフィードチェーン41に向けて回転動力が出力される。
入力プーリ220の溝幅及び出力プーリ250の溝幅は、モータ310の駆動に応じて変化する。モータ310の軸を一方向(正方向)に回転させると、入力プーリ220に巻回されるベルト290の径が拡大し、出力プーリ250の溝幅が広くなって、出力プーリ250に巻回されるベルト290の径が小さくなる。これにより、ベルト式無段変機208の変比が増側へと変わり、フィードチェーン41の搬送速度が増側へ変化する。一方、モータ310の軸を他方向(逆方向)に回転させると、入力プーリ220に巻回されるベルト290の径が縮小し、出力プーリ250の溝幅が狭くなって、出力プーリ250に巻回されるベルト290の径が大きくなる。これにより、ベルト式無段変機208の変比が減側へと変わり、フィードチェーン41の搬送速度が減側へ変化する。
変出力軸260の端部には、動力伝達スプロケット195が設けられており、その動力伝達スプロケット195を介して、変入力軸194に相対回転可能に嵌め込まれている動力伝達スプロケット196へと回転動力が伝達される。動力伝達スプロケット196に併設されたギヤは、複数のギヤからなる動力伝達機構198を介して、フィードチェーン出力軸199に動力を伝達する。二つの動力伝達スプロケット195,196及び動力伝達機構198は、フィードチェーン用伝動ケース201に収納されている。フィードチェーン出力軸199にはフィードチェーン回動スプロケット205が設けられていて、フィードチェーン回動スプロケット205の回転によってフィードチェーン41を駆動できる。
動力伝達機構198には、フィードチェーン停止機構193が設けられている。フィードチェーン停止機構193は、フィードチェーン41への動力伝達の入切を切り替えるための機構である。フィードチェーン停止機構193は、切替軸202に設けられた遊星歯車機構を含むクラッチ機構によって構成されている。切替軸202の軸方向に沿って摺動可能な状態でクラッチが切替軸202に固定されている。
切替軸202には、リンク機構203を介して油圧アクチュエータ204が連結されている。油圧アクチュエータ204は、伸縮することによってリンク機構203を移動させる。油圧アクチュエータ204の油路には、二位置四ポート式の電磁弁206が設けられている。電磁弁206のソレノイドが励磁されると、油圧アクチュエータ204が伸長し、ソレノイドの励磁を解消すると、油圧アクチュエータ204が短縮する。油圧アクチュエータ204の伸長により、クラッチがギヤと相対回転不能に連結して接続状態に切り替わり、油圧アクチュエータ204の短縮により、クラッチがギヤと離間して切断状態に切り替わる。
電磁弁206は、制御装置80によって制御され、制御装置80からパルス信号を受信した場合にソレノイドにパルス信号を流す。制御装置80は、エンジン8aにも接続されており、例えば、制御装置80の電源が遮断された場合には、エンジン8aの駆動も止まる。コンバイン1は、制御装置80の電源が遮断された場合(エンジン8aの駆動が停止した場合)には、油圧アクチュエータ204を伸長させてフィードチェーン停止機構193を駆動できる。これにより、フィードチェーン41への回転動力の伝達が遮断され、フィードチェーン41を強制的に停止できる。油圧アクチュエータの代わりに、電動アクチュエータによってフィードチェーン停止機構193を駆動する構成にしてもよい。
[制御システム]
次に、図11を参照して、コンバイン1の制御システムについて簡単に説明する。図11に示すように、油圧アクチュエータ204は、電磁弁206に制御信号を送信できる制御装置80と接続されている。上述のように、刈取部3への動力の伝達又は遮断を変更するフィードチェーン停止機構193には、電磁弁206が設けられた油圧アクチュエータ204が接続されている。制御装置80は、電磁弁206に制御信号を送信することによりフィードチェーン停止機構193を制御できる。
制御装置80は、制御装置80に入力信号を送信できる緊急停止スイッチSw0と接続されている。図10で示したように、制御装置80は、エンジン8aに接続されている。制御装置80は、緊急停止スイッチSw0がオン状態になった場合には、エンジン8aの駆動を強制的に停止し、フィードチェーン41の駆動を停止する。
制御装置80は、制御装置80に入力信号を送信できる第一スイッチSw1及び第二スイッチSw2と接続されている。制御装置80は、フィードチェーン停止機構193が接続状態となってフィードチェーン41が停止した後、第一スイッチSw1と第二スイッチSw2の両方が同時にオン状態になった場合に、フィードチェーン停止機構193を切断状態としてフィードチェーン41を駆動させる。なお、制御装置80は、クローラ式走行装置22の駆動状態を把握することが可能であり、クローラ式走行装置22が停止している場合のみ、第一スイッチSw1の操作を有効とする。
制御装置80は、回転角度センサ89と接続されており、穀稈ガイド40の位置(回動量)を把握することが可能である。制御装置80は、手扱ぎ作業時においてフィードチェーン41を駆動させる際、穀稈ガイド40の位置が所定の位置よりも高い場合、即ち穀稈ガイド40の回動量が所定の回動量よりも小さい場合に、警報装置270に信号を送って警報を発したり、電磁弁206に信号を送ってフィードチェーン41を停止したり、または、モータ310の回転方向及び回転角度を制御してフィードチェーン41を減速したりできる。
本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。上述した実施形態では、案内部材45のスロープ45bの下端部45cが上端部45dよりも幅広に形成されているが、これに限定されるものではない。