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JP7036602B2 - ボルテゾミブを含有する医薬製剤の製造方法 - Google Patents

ボルテゾミブを含有する医薬製剤の製造方法 Download PDF

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本発明は、ボルテゾミブを含有する安定な医薬製剤の製造方法に関する。
ボルテゾミブは、化学名(N‐(2‐ピラジンカルボニル)‐L‐フェニルアラニン‐L‐ロイシンボロン酸)とするプロテアソーム阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤であり、現在、多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫の治療剤として用いられている。臨床に供されているボルテゾミブの医薬製剤は、有効成分であるボルテゾミブと添加剤のD-マンニトールを含む凍結乾燥製剤であって、ボルテゾミブ注射用製剤ベルケイド(Velcade 登録商標)として提供されている。該製剤は、静脈内投与と皮下投与で承認がなされており、その投与方法によって溶解液の量が異なる。静脈内投与を行う場合は生理食塩水3mLに、皮下投与を行う場合は生理食塩水1.2mLに溶解して用いられている。
アミノアルキルボロン酸であるボルテゾミブは、酸化や化学的な分解を受けやすく、不安定な物性であることが知られている。また、ボロン酸自体が脱水的に反応して酸無水物化をして多量体化する物性であり、水への溶解度が著しく低いことが知られている。このため、ボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤を調製する場合、酸化や分解に対する安定化、酸無水物化による多量体化を抑制するための対策が必要である。
例えば、特許文献1には、ボルテゾミブのボロン酸とマンニトール等の糖類とのボロン酸エステル誘導体及びこのボロン酸エステル誘導体を用いた医薬製剤が開示されており、ボルテゾミブ及びマンニトールのtert-ブタノール溶液又はtert-ブタノール含水溶液を凍結乾燥することで調製されている。また、特許文献2には、ボルテゾミブとトロメタミンを含む凍結乾燥製剤が記載されており、ボルテゾミブとトロメタミンが強いB-N結合を形成することが記載されている。特許文献3には、ボルテゾミブ誘導体の凍結乾燥製剤であって、シクロデキストリン及び単糖を有する増量剤と界面活性剤とからなる群から選択される医薬製剤が記載されている。特許文献4には、クエン酸等のα‐ヒドロキシ‐β‐カルボン酸とボルテゾミブとの酸無水物‐エステル誘導体及びその医薬製剤が開示されている。特許文献5及び6には、ボルテゾミブとグルコン酸塩との混合物を含む医薬組成物が開示されている。特許文献7には、ボルテゾミブまたはその薬学的に許容され得る塩と酒石酸またはその薬学的に許容され得る塩とを含む凍結乾燥医薬組成物が開示されている。
国際公開2002/059130号 国際公開2010/089768号 国際公開2010/114982号 国際公開2009/154737号 国際公開2015/025000号 国際公開2016/171446号 特開2017-57202号公報
本発明は、ボルテゾミブを有効成分とする安定性に優れた医薬製剤の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、減圧条件下でボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を溶解する工程を含む製造方法とすることで、安定性に優れたボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤を提供できることを見出した。本願は、以下の[1]~[2]に記載の発明を要旨とする。
[1] 減圧条件下でボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を溶解する工程、
を含むボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を含有する医薬製剤の製造方法。
[2] 減圧条件が5000Pa以下の気圧下である、[1]に記載のボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を含有する医薬製剤の製造方法。
本発明のボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法は、安定性に優れた医薬製剤の製造方法を提供することができる。
本発明は、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を含有する医薬製剤の製造方法であって、減圧条件下でボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を溶解する工程を含むボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を含有する医薬製剤の製造方法である。以下にその詳細について説明する。
本発明は、ボルテゾミブ又はその誘導体を有効成分とする医薬製剤の製造方法に関する。ボルテゾミブは、プロテアソーム阻害活性を有する化学名(N‐(2‐ピラジンカルボニル)‐L‐フェニルアラニン‐L‐ロイシンボロン酸)である。当該化合物は、特許第3717934号にて開示されるボロン酸誘導体であって、それに記載の方法により入手可能である。
本発明のボルテゾミブは、医薬的に許容される適当な塩であっても良い。医薬的に許容される塩とは、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウムなど)、アンモニウム塩及び医薬的に許容可能なアミンの塩(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジエチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジンモノエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン及びN-メチル-D-グルカン)が含まれる。
また、本発明は有効成分としてボルテゾミブの誘導体であっても良い。当該誘導体とは、ボルテゾミブのボロン酸官能基とのエステル誘導体、酸無水物誘導体、酸無水物‐エステル混合誘導体であって、水溶液中で、加水分解的に開裂してボルテゾミブを再生する物性である誘導体である。すなわち、1,2-ジオールを含むポリオール化合物、α‐ヒドロキシ‐β‐カルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物とボルテゾミブとの反応生成物が挙げられる。例えば、ボルテゾミブとグリセリン、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グルコース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、メグルミン、イノシトール、シクロデキストリン等のポリオール化合物とのボロン酸エステル誘導体。クエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸、サリチル酸、マンデル酸、3-ヒドロキシ酪酸等のα‐ヒドロキシ‐β‐カルボン酸とボルテゾミブとの酸無水物‐エステル混合誘導体、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸との酸無水物等が挙げられる。
本発明において、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体は、ボルテゾミブ、ボルテゾミブの塩、又はボルテゾミブの誘導体の何れか1種の化学種であっても良く、2種以上の混合物であっても良い。また、一部が、ボルテゾミブの3量体等の自己脱水縮合体を含んでいても良い。しかしながら、該3量体は難溶性であり、水溶液として投与する際に不溶性異物となるため、該3量体等の自己脱水縮合物は含まないことが好ましい。当該ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体としては、医薬品用の有効成分として用いることができる品質レベルである事が好ましい。
本発明の製造方法は、減圧条件下でボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を溶解する工程を含むことを特徴とする。減圧条件下でボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を溶解することで、類縁物質の生成を抑制することができる。さらに、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を溶解する際に気液界面に生じる泡立ちを抑制し、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体の溶解確認に要する時間を短縮することができると考えられる。医薬製剤の製造において、有効成分やその他の医薬添加剤が調製時に溶解していることを確認して次の工程に進む。溶解確認に要する時間を短縮することは、調製時間の短縮につながり不純物の生成を抑制することができると考えられる。ボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体は、溶解時の撹拌で泡立つため、泡立ちが消えるのを待つ等の溶解時間以外の時間を要する場合がある。そのため、溶解時の撹拌による泡立ちを抑制できることは、製造時の時間短縮及び不純物の生成抑制において重要である。減圧条件下にする方法としては真空ポンプを使用する。例えば、密閉した容器から真空ポンプを使用して吸気を行うことで容器内を減圧条件に制御することができる。真空ポンプとしては、ドライポンプ、油回転ポンプ、水封式ポンプ、エジェクタ等が挙げられる。特に限定されないが、ドライポンプを使用することが好ましい。減圧条件下とは一般的に大気圧より低い気圧の状態を意味し、5000Pa以下であることが好ましい。より好ましくは3000Pa以下であり、2000Pa以下であることが更に好ましい。減圧度をあげることで、水溶液中の溶存酸素を除去する効率が高くなり、ボルテゾミブの酸化を抑制できると考えられる。
本発明の製造方法において、撹拌を行う機械としては、医薬製剤の製造において一般的に使用されているものであり、医薬製剤の安定性に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。乳化分散機を使用することが好ましい。
本発明の製造方法で使用する溶媒は、医薬的に許容される溶媒であれば特に限定されるものではなく適宜選択して適当な溶媒を用いて良い。例えば、水、tert-ブタノール、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの単独使用若しくは、2種以上の混合溶媒として用いても良い。水、tert-ブタノールを用いることが好ましい。水のみを用いることがさらに好ましい。
本発明の製造方法において、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体、有効成分以外の医薬添加剤を溶解する前に、溶媒のみを減圧条件下で撹拌してもよい。本発明の製造方法において、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体、有効成分以外の医薬添加剤を溶解する前に、溶媒のみを減圧条件下で撹拌することが好ましい。減圧条件下で溶解させる場合、5000Pa以下であることが好ましい。より好ましくは3000Pa以下であり、2000Pa以下であることが更に好ましい。
ボルテゾミブを有効成分とする医薬品は、注射剤の製剤形で静脈内投与又は皮下投与にて抗腫瘍剤として提供されていることから、本発明の製造方法により製造される医薬製剤も注射用製剤であることが好ましい。すなわち凍結乾燥製剤若しくは注射液製剤等の製剤型であることが好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、医薬添加剤を含んでいてもよい。医薬添加剤としては、ボルテゾミブの安定性を維持する範囲において通常の医薬製剤に用いられる等張化剤、賦形剤、溶解補助剤、抗酸化剤、pH調整剤等を添加しても良い。
等張化剤としては、塩化ナトリウム等の塩類、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、グルコース、フルクトース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン等の糖又は糖アルコールが挙げられる。
賦形剤としても、塩化ナトリウム等の塩類、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、グルコース、フルクトース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン等の糖又は糖アルコールを用いることができる。
溶解補助剤としては、グリセリン、チオグリセリン、プロピレングリコール等のポリオール類、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油等のポリエーテル系化合物等を挙げることができる。
抗酸化剤としては、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、L‐システイン等が挙げられる。
pH調整剤としては、塩酸、リン酸、ホウ酸、炭酸等の無機酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、乳酸及び酢酸等の有機酸、といった酸性剤が挙げられる。また、前記酸性剤及びアルカリ性剤を混合してpH調整した緩衝剤を用いても良い。緩衝剤としては、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤等が挙げられる。これらのpH調整剤は単独で用いても良く、また二種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの医薬添加剤は、本発明に係る医薬製剤のボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体の安定性を維持する範囲において通常の医薬製剤に用いられる添加剤を用いて良く、その適用量も適宜設定されて良い。医薬添加剤の含有量は、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体の安定性を考慮して適切な量を適宜設定して用いられるが、有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩1質量部に対し、それぞれ30質量部以下で添加して用いることが好ましい。より好ましくは、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩1質量部に対し、それぞれ15質量部以下の適用量である。他の添加剤は、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体を溶剤に溶解させる前に溶剤に添加しても良く、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体を溶剤に溶解させた後に添加しても良く、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体を溶剤に溶解させる前と後の両方で添加しても良い。
また、これらの医薬添加剤は、減圧条件下で溶解させてもよく、大気圧条件下で溶解させてもよい。本発明の製造方法において、医薬添加剤は減圧条件下で溶解させることが好ましい。減圧条件下で溶解させる場合、5000Pa以下であることが好ましい。より好ましくは3000Pa以下であり、2000Pa以下であることが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、所定量のボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体、任意の添加成分である医薬添加剤を含有する溶液を減圧条件下で調製し、復圧後任意でpH調整剤を添加し、これをメンブランフィルターにて濾過し、ガラス製バイアルに分注することで調製できる。注射液製剤の場合は、これを無菌的に封止することで調製することができ、凍結乾燥製剤の場合は、溶液を分注したバイアルを凍結乾燥して無菌的に封止すれば良い。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、液体クロマトグラフィーで測定した時のボルテゾミブのピーク面積を100%とした場合、製造直後の総類縁物質含量が0.5%以下である。以下、特に断りがない限り各類縁物質や総類縁物質の含量は液体クロマトグラフィーで測定した時のボルテゾミブのピーク面積を100%として算出したものとする。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、60℃、2週間の保存安定性試験後の総類縁物質含量が0.5%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、40℃、6か月間の保存安定性試験後の総類縁物質含量が0.5%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、製造直後の類縁物質Eの含量が0.3%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、60℃、2週間の保存安定性試験後の類縁物質Eの含量が0.3%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、40℃、6か月間の保存安定性試験後の類縁物質Eの含量が0.2%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、製造直後の類縁物質Aの含量が0.1%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、60℃、2週間の保存安定性試験後の類縁物質Aの含量が0.35%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、40℃、6か月間の保存安定性試験後の類縁物質Aの含量が0.3%以下である。
本明細書における類縁物質E(化学名:Pirazine-2-carboxylic acid[1-(1-hydroxy-3-methyl-butylcarbamoyl)-2-phenyl-ethyl]-amide)は、ボルテゾミブが分解して生成する最初の類縁物質である。類縁物質Eが分解すると類縁物質A(化学名:Pyrazine-2-carboxylic acid(1-carbamoyl-2-phenyl-ethyl)-amide)が生成し、さらに分解すると類縁物質B(化学名:(S)-3-phenyl-2-[(pyrazine-2-carbonyl)-amino]-propionic acid)が生成する。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、ボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤として使用することができる。ボルテゾミブ製剤は、プロテアソーム阻害作用に基づく多発性骨髄腫やマントル細胞リンパ腫といった悪性腫瘍治療剤として用いられていることから、同様に抗腫瘍剤として適用することができる。
以下に、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1.75Lの注射用水を薬調釜に加え、10分間撹拌を行いながらドライポンプを用いて約1500Paまで減圧した。大気圧に復圧後、フルクトース22.5g、ラクトース90gをそれぞれ加え、約1500Paまで減圧した後に撹拌し溶解させた。大気圧に復圧後、適量の水酸化ナトリウムを加えて、水溶液のpHを約11.0とした後にボルテゾミブ4.5gを加え、約1500Paまで減圧した後に撹拌し溶解させた。大気圧に復圧後,適量の塩酸溶液及び水酸化ナトリウム溶液でpH5.2に調整し、注射用水を加えて全量を1.80Lとした。その溶液はpH5.2であった。
この溶液を孔径0.22μmのメンブレンフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を1.2mL充填し、凍結乾燥を行い、実施例1に係る凍結乾燥製剤を調製した。
[比較例1]
フルクトース450mg、ラクトース1.8gを36mLの注射用水に溶解し、適量の水酸化ナトリウムを加えて、水溶液のpHを約11.0としたものにボルテゾミブ90mgを加えて溶解。適量の塩酸溶液及び水酸化ナトリウム溶液でpH5.2に調整し、注射用水を加えて全量を90mLとした。その溶液はpH5.4であった。
この溶液を孔径0.22μmのメンブレンフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を1.2mL充填し、凍結乾燥を行い、比較例1に係る凍結乾燥製剤を調製した。
実施例1と比較例1に係る医薬製剤の1バイアル当たりの各成分組成を表1にまとめた。
Figure 0007036602000001
*1:生理食塩水1.2mLで再溶解したときのpH値。
[試験例1]60℃保存安定性試験
実施例1と比較例1の注射用凍結乾燥製剤を、60℃の条件下にて2週間保存した。各製剤について、ボルテゾミブ由来の類縁物質をHPLCにて分析した。ボルテゾミブ類縁物質のHPLC分析条件を下に示した。
[ボルテゾミブ由来の類縁物質の分析条件]
実施例1と比較例1のボルテゾミブ分解由来の類縁物質を、以下の液体クロマトグラフィー(HPLC)条件にて分析した。
カラム:Waters Symmetry Shield RP18 5μm,4.6mm×250mm
カラム温度:35℃
移動相A:水/アセトニトリル/ギ酸混液(715:285:1)
移動相B:メタノール/水/ギ酸混液(800:200:1)
送液量:1.0mL/min.
波長:270nm
移動相の送液:表2に示す条件で送液した。

Figure 0007036602000002
実施例1と比較例1の凍結乾燥製剤の60℃保存安定性試験における、各類縁物質含量を表3にまとめた。
Figure 0007036602000003
*2 不純物A、B、E以外の個々の類縁物質の最大値。
[試験例2]40℃保存安定性試験
実施例1と比較例1の注射用凍結乾燥製剤を、40℃の条件下にて6か月保存した。各製剤について、ボルテゾミブ由来の類縁物質をHPLCにて分析した。試験例1と同じ分析条件で分析した。
実施例1と比較例1の凍結乾燥製剤の40℃保存安定性試験における、各類縁物質含量を表4にまとめた。
Figure 0007036602000004
*2 不純物A、B、E以外の個々の類縁物質の最大値。
実施例1は開始時の総類縁物質量が0.50%以下であり、比較例1と比較し製造工程中の類縁物質Eの生成を抑制した。また、60℃で2週間保存しても総類縁物質の増加量は0.1%以内であり、保存条件下においても類縁物質の生成を抑制した。40℃で6か月保存しても類縁物質A及びEを合わせた数値の増加量はに比較例1と比較して小さく、実施例1の方が安定な傾向が見られた。
以上の試験例の結果から、減圧条件下でボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を溶解する工程を含む製造方法とすることで、製造工程中と保存期間中のボルテゾミブの分解に伴う類縁物質の生成を抑制することができることを見出した。

Claims (2)

  1. 減圧処理した水又は水とtert‐ブタノールを含む溶媒に、減圧条件下でボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を溶解する工程、
    前記溶解液を復圧し、バイアルに分注して、凍結乾燥する工程、含み、
    前記ボルテゾミブ誘導体が、ボルテゾミブのボロン酸官能基と1,2-ジオールを含むポリオール化合物の反応生成物であるエステル誘導体、α‐ヒドロキシ‐β‐カルボン酸化合物の反応生成物である酸無水物‐エステル混合誘導体、若しくはジカルボン酸化合物の反応生成物である酸無水物誘導体、又はボルテゾミブの3量体である、
    ボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を含有する凍結乾燥製剤の製造方法。
  2. 減圧条件が5000Pa以下の気圧下である、請求項1に記載のボルテゾミブ又はその医薬的に許容な塩、若しくはボルテゾミブ誘導体を含有する凍結乾燥製剤の製造方法。

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