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JP7023682B2 - 粘着フィルム、粘着フィルムの製造方法および印刷物の製造方法 - Google Patents

粘着フィルム、粘着フィルムの製造方法および印刷物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粘着フィルム、粘着フィルムの製造方法および印刷物の製造方法に関する。
印刷ラベルは、例えば、粘着フィルムの表面に所望の印刷が施されて構成される。
印刷ラベルとしては、プラスチックフィルム上に、紫外線硬化型インキ(UVインキ)を用いて形成した印刷部を備えるものが知られている。UVインキを用いることにより、揮発性の有機溶剤を用いる必要がないため、環境にやさしく、乾燥工程が不要で効率よく印刷部を形成することができる。
そして、UVインキが付与される粘着フィルムとして、UVインキとの密着性を向上させるために、印刷面側に、反応性の官能基を有する成分を含む材料で構成された層を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来においては、UVインキを用いた印刷時に、UVインキとの反応性が不十分になっており、印刷部の密着性が低下することがあった。このような問題は、長期間にわたって保管した場合において、より顕著に発生していた。
特表2000-513663号公報
本発明の目的は、保存安定性に優れ、長期間にわたって保管した場合でも、紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インキによる印刷部)との密着性に優れた粘着フィルムを提供すること、前記粘着フィルムを製造することができる粘着フィルムの製造方法を提供すること、また、紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インキによる印刷部)の密着性に優れた印刷物の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(10)に記載の本発明により達成される。
(1) 紫外線硬化型インキを用いた印刷に供される粘着フィルムであって、
基材と、
前記基材の一方の面である第1の面側に設けられ、紫外線重合性官能基を有する成分を含む材料で構成された印刷用コート層と、
前記基材の前記第1の面とは反対の面である第2の面側に設けられた粘着剤層と、
前記粘着剤層を保護する剥離ライナーとを備え
ロール状に巻回された状態で保管されるものであり
前記紫外線重合性官能基は、前記紫外線硬化型インキが付与された後に紫外線が照射されることにより、前記紫外線硬化型インキの紫外線硬化性官能基と反応するものであり、
粘着フィルムの紫外線の透過率が40%以下であることを特徴とする粘着フィルム。
(2) 粘着フィルムの前記印刷用コート層以外の部分の積層体部分に紫外線カット剤を含んでいる上記(1)に記載の粘着フィルム。
(3) 前記粘着剤層中に前記紫外線カット剤を含んでいる上記(2)に記載の粘着フィルム。
(4) 前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤を含んでいる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の粘着フィルム。
(5) 前記基材は、ポリオレフィンおよびポリエステルのうち少なくとも一方を含む材料で構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の粘着フィルム。
(6) 上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の粘着フィルムを製造する粘着フィルムの製造方法であり
基材の一方の面に、紫外線重合性官能基を有する成分を含む材料を含む塗工液を用いて印刷用コート層を形成する印刷用コート層形成工程と、
前記基材の他方の面に粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程とを有することを特徴とする粘着フィルムの製造方法。
(7) 前記印刷用コート層形成工程は、前記粘着剤層形成工程よりも先に行う上記(6)に記載の粘着フィルムの製造方法。
(8) 前記印刷用コート層形成工程は、前記粘着剤層形成工程よりも後に行う上記(6)に記載の粘着フィルムの製造方法。
(9) 前記塗工液を付与した後に紫外線の照射を行わない上記(6)ないし(8)のいずれかに記載の粘着フィルムの製造方法。
(10) 上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の粘着フィルムの印刷用コート層上に紫外線硬化型インキを付与する紫外線硬化型インキ付与工程と、
前記印刷用コート層上に付与された前記紫外線硬化型インキに紫外線を照射することにより、前記紫外線硬化型インキの硬化反応を進行させるとともに、前記紫外線硬化型インキの紫外線硬化性官能基と前記印刷用コート層中の紫外線重合性官能基との反応を進行させる紫外線照射工程とを有することを特徴とする印刷物の製造方法。
本発明によれば、長期間にわたって保管した場合でも、紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インキによる印刷部)との密着性に優れた粘着フィルムを提供すること、前記粘着フィルムを製造することができる粘着フィルムの製造方法を提供すること、また、紫外線硬化型インキ(紫外線硬化型インキによる印刷部)の密着性に優れた記録物を提供することができる。
本発明の粘着フィルムの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 印刷機(フレキソ印刷機)の構成の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[粘着フィルム]
まず、本発明の粘着フィルムについて説明する。
図1は、本発明の粘着フィルムの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。
粘着フィルム10は、基材11と、基材11の一方の面である第1の面側に設けられ、紫外線重合性官能基を有する成分を含む材料で構成された印刷用コート層12と、基材11の第1の面とは反対の面である第2の面側に設けられた粘着剤層13と、粘着剤層13を保護する剥離ライナー14とを備える。そして、粘着フィルム10は、ロール状に巻回された状態で保管されるものであり、紫外線の透過率(波長領域:300nm以上380nm以下における平均透過率)が40%以下である。
このような粘着フィルム10は、例えば、紫外線硬化型インキ(UVインキ)により、表面に所望の印刷が施されることにより、印刷ラベルとして用いられる。
そして、粘着フィルム10は、一般的に、ロール状に巻回された状態で取引され、使用時(印刷時)まで、倉庫等の屋内で保管される。
このような粘着フィルム10は、保存安定性に優れ、長期間にわたって保管した場合でも、紫外線硬化型インキとの優れた密着性(紫外線硬化型インキによる印刷部との密着性)を維持することができる。
なお、本明細書において、粘着フィルム10の紫外線の透過率とは、図1に示すように、粘着フィルム10を平面状に展開し、印刷用コート層12が設けられた面側からその法線方向に沿って紫外線を照射した場合における紫外線の透過率のことを言う。また、粘着フィルム10を構成する各部位についての紫外線の透過率についても同様とする。
従来においては、UVインキとの密着性を向上させるための、反応性の官能基(紫外線重合性官能基)を有する材料で構成された層(印刷用コート層)が設けられた粘着フィルムにおいては、UVインキを用いた印刷時に、UVインキとの反応性が不十分になっており、印刷部の密着性が低下する等、印刷適性が損なわれてしまうことがあった。このような問題は、長期間にわたって保管した場合において、より顕著に発生していた。
そこで、本発明者は、このような問題を解決する目的で、鋭意研究を行った。その結果、上記のような問題は、保管時等に、紫外線重合性官能基を有する成分が日光中の紫外線等で反応することにより印刷用コート層が劣化してしまうことにより生じることを見出し、本発明に至った。
具体的には後述するが、粘着フィルム10に印刷機(例えば、フレキソ印刷機)で印刷を施す場合、通常、ロール状に巻回された粘着フィルム10の、最外層の3周分程度は、印刷機にセットする際の通紙に用いられる。この部分には印刷はなされず、通常、破棄されてしまう。そのため、この部分(最外層の3周分程度)は紫外線との反応により劣化し印刷適性が損なわれてしまったとしても、影響はない。
本発明では、実際に印刷に用いられる、ロールの外側から4周目以降部分(4周目より内側)の粘着フィルム10について、紫外線による影響を抑制することができれば十分である。
なお、粘着フィルム10についての紫外線の透過率が前記条件を満足することにより、例えば、通常の屋内(例えば、日光は差し込むが、直射日光が当たらない場所)で保管した場合に、長期間(例えば、2年間以上)経過した場合でも、十分な品質(印刷部の密着性、印刷特性等)を維持することができる。
前述したように、粘着フィルム10の紫外線の透過率は、40%以下であるが、35%以下であるのが好ましく、30%以下であるのがより好ましく、25%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
粘着フィルム10の紫外線の透過率を所定値以下とする手段は、特に限定されないが、例えば、粘着フィルム10中に紫外線カット剤を含有させることにより、容易かつ確実に実現することができる。
粘着フィルム10の紫外線の透過率の下限値は、特に限定されないが、必要以上に粘着フィルム10の紫外線の透過率を低下させようとすると、紫外線カット剤による粘着フィルム10の変色(着色)の程度が顕著となったり、紫外線カット剤を含有する部位の特性(例えば、粘着剤層13における粘着力や、剥離ライナー14における剥離力等)の不本意な低下等を生じる可能性がある。このような観点から、粘着フィルム10の紫外線の透過率は、0.1%以上であるのが好ましく、0.2%以上であるのがより好ましく、0.3%以上であるのがさらに好ましい。
粘着フィルム10が紫外線カット剤を含むものである場合、粘着フィルム10の印刷用コート層12以外の部分の積層体部分(例えば、基材11、粘着剤層13および剥離ライナー14のうちの少なくとも1か所)に紫外線カット剤を含んでいるのが好ましい
これにより、粘着フィルム10全体としての紫外線の透過率を効果的に低下させることができるとともに、保管時等における印刷用コート層12中に含まれる紫外線重合性官能基を有する成分の不本意な反応をより効果的に抑制することができる。
印刷用コート層12以外の部分の積層体部分の中でも、特に、基材11を除く部位に紫外線カット剤を含ませることにより、紫外線カット剤のブリードアウトによる基材11と印刷用コート層12との密着性の低下等の問題の発生をより効果的に防止することができる。また、市販のフィルムを基材11に好適に適用することができ、粘着フィルム10の生産性の向上、製造コストの低減の観点からも有利である。
このようなことから、紫外線カット剤は、粘着剤層13中に含まれているのが特に好ましい。粘着剤層13は、印刷用コート層12と隣接しないため、仮に、粘着剤層13に含有された紫外線カット剤がブリードアウトしても、印刷用コート層12への影響を抑えることができる。
以下の説明では、粘着フィルム10を構成する積層体のうち、粘着剤層13に紫外線カット剤を含有させた場合について、中心的に説明する。
粘着フィルム10のうち印刷用コート層12を除く積層体部分(図示の構成では、基材11、粘着剤層13および剥離ライナー14からなる積層体)についての紫外線の透過率は、40%以下であるのが好ましく、35%以下であるのがより好ましく、30%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
<基材>
基材11は、印刷用コート層12、粘着剤層13を支持する機能を有している。
基材11の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;アセテート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、基材11は、ポリオレフィンおよびポリエステルのうち少なくとも一方を含む材料で構成されているのが好ましい。
これらの材料で構成されたフィルムは、入手が容易で、粘着フィルム10の安定的な生産や生産コストの低減等の観点から有利であり、粘着フィルム10の生産性をより優れたものとすることができる。また、基材11の柔軟性、強度、耐久性等の各種特性を向上させる観点からも有利である。
基材11は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、染料、顔料等の着色剤、改質剤、防錆剤、充填剤、表面潤滑剤、腐食防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、重合禁止剤、架橋剤、触媒、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、軟化剤、分散剤等が挙げられる。
基材11の厚さは、特に限定されないが、20μm以上300μm以下であるのが好ましく、25μm以上200μm以下であるのがより好ましい。
また、基材11は、単層よりなるものであってもよいし、複数の層を備える積層体であってもよい。また、基材11は、例えば、厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
基材11の紫外線透過率は、特に限定されないが、70%以上99.5%以下であるのが好ましく、75%以上99%以下がより好ましく、80%以上98%以下がさらに好ましい。
<印刷用コート層>
印刷用コート層12は、紫外線硬化型インキが付与される部位であり、紫外線硬化型インキによる印刷部を定着させる機能を有する。
印刷用コート層12は、紫外線重合性官能基を有する成分を含む材料で構成されている。紫外線重合性官能基を有する成分を含む材料としては、印刷用コート層12の主剤となる重合体が紫外線重合性官応基を有していてもよいし、主剤となる重合体とは別に紫外線重合性官応基を有する化合物が配合されていてもよい。紫外線重合性官応基を有する化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレートが挙げられる。また、重合体は、架橋剤(例えば、イソシアネート架橋剤等)を介して互いに結合してなる架橋構造を含んでいてもよい。
(重合体)
印刷用コート層12の主剤となる重合体の種類は、特に限定されない。なお、「主剤」とは、印刷用コート層12を構成する材料(以下、「コート材料」ともいう。)全体に対して50質量%以上を占める成分であることを意味し、「重合体」とはオリゴマーの概念も含むものとする。
印刷用コート層12中に含まれる重合体の種類としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン等が挙げられる。中でも、後述する架橋構造を形成することが容易である観点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等が好ましい。
さらに、ポリエステルは、ウレタン変性ポリエステルであってもよい。以下の説明において、ポリエステル、ウレタン変性ポリエステル等、エステル結合を主鎖中に有する樹脂材料をポリエステル系樹脂という。ポリエステル系樹脂は、後述するイソシアネート架橋剤と反応して架橋構造を形成しやすいため、重合体は、ポリエステル系樹脂を含んでいるのが好ましい。
なお、重合体の少なくとも一部が、紫外線重合性官能基を有していてもよい。このような構造を備える重合体(以下、「インキ反応性重合体」ともいう。)は、例えば、重合体を形成する重合反応を行う段階において、単量体および/またはオリゴマー(以下、「単量体等」ともいう。)と紫外線重合性官能基を有する化合物とを共存させて、当該化合物と単量体等との反応を単量体等の重合反応とともに発生させて重合体の骨格にこの化合物を取り込ませることによって製造することができる。また、重合体と、紫外線重合性官能基を有する化合物とを含む混合物中において、当該化合物との反応を進行させることにより、重合体中に、紫外線重合性官能基を導入してもよい。
上記の重合体における架橋剤と反応する部位である反応性官能基の具体的な種類は、特に限定されないが、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。この反応性官能基は、重合体に係る重合反応に関与するもの(すなわち主鎖形成に関与するもの)でもよいし、付加的に設けられたもの(側鎖に導入されたもの等)であってよい。
(紫外線重合性官能基)
印刷用コート層12に含有される紫外線重合性官能基(以下、「インキ反応基」ともいう。)は、紫外線を照射することにより、他の化合物(特に、紫外線硬化型インキ中に含まれる成分)と化学的に結合し得る性質を有する官能基であって、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等を含む官能基が挙げられる。
インキ反応基は、印刷部の形成に用いられる紫外線硬化型インキ(UVインキ)に含まれる紫外線硬化性官能基の種類等にもよるが、当該紫外線硬化性官能基がエチレン性不飽和結合を有する官能基である場合には、インキ反応基は、エチレン性不飽和結合を有する官能基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等)であるのが好ましく、(メタ)アクリロイル基であるのがより好ましい。これにより、UVインキとの反応性をより高いものとすることができる。また、UVインキとしては、紫外線硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を有する官能基を含むものが広く用いられていることから、粘着フィルム10を、多くの種類のUVインキに好適に対応することができ、汎用性の高いものとすることができる。
UVインキが付与された粘着フィルム10に紫外線が照射されると、UVインキの硬化反応が進行するとともに、UVインキ(UVインキの硬化物を含む)の紫外線硬化性官能基と印刷用コート層12中のインキ反応基を含む化合物との反応が進行する。これにより、UVインキの硬化性成分とインキ反応基を含む化合物とが化学的に結合(共有結合)した構造が形成される。その結果、UVインキによる印刷部の印刷用コート層12に対する密着力は優れたものとなる。また、硬化に伴いUVインキが収縮しても、UVインキと印刷用コート層12との界面での剥離が生じにくくなる。
(架橋構造)
印刷用コート層12は、架橋剤(例えば、イソシアネート架橋剤等)を介して重合体同士が架橋した架橋構造を有していてもよい。このような架橋構造を有することにより、印刷用コート層12の硬度が高くなり、印刷用コート層12に付与されたUVインキが硬化することによって印刷用コート層12に収縮応力が作用する場合であっても、印刷用コート層12は変形しにくくなる。したがって、印刷用コート層12と基材11との間にずり応力が発生しにくくなり、これらの界面での剥離がより生じにくくなる。また、印刷用コート層12の耐水性が向上し、水に接した後であっても、膨れや剥離が生じにくくなる。
架橋構造の形成には各種の架橋剤を用いることができるが、イソシアネート架橋剤を用いる場合、当該イソシアネート架橋剤は、1分子当たりイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物を含有するのが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のアダクト体、ビウレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
(その他の成分)
印刷用コート層12は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、架橋促進剤、染料、顔料等の着色剤、防錆剤、充填剤、表面潤滑剤、腐食防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、酸化防止剤、分散剤、レベリング剤等が挙げられる。
印刷用コート層12の厚さは、特に限定されないが80nm以上450nm以下であるのが好ましく、100nm以上350nm以下であるのがより好ましい。
印刷用コート層12が薄すぎると、前述したような印刷用コート層12を設けることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、印刷用コート層12が厚すぎると、粘着フィルム10の生産性が低下したり、耐ブロッキング性が低下したりする等の問題が生じる可能性がある。
印刷用コート層12は、単層よりなるものであってもよいし、複数の層を備える積層体であってもよい。また、印刷用コート層12は、例えば、厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
印刷用コート層12の紫外線透過率は、特に限定されないが、55%以上100%以下であるのが好ましく、70%以上99%以下であるのがより好ましい。
<粘着剤層>
粘着剤層13は、粘着フィルム10を被着体に貼付する際に、当該被着体に接触する部位である。粘着剤層13を有することにより、被着体に対する接着性を優れたものとすることができる。
粘着フィルム10を透明ラベルとして用いる場合、粘着剤層13も透明であるのが好ましい。
粘着剤層13を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、およびポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。中でも、粘着剤層13は、アクリル系粘着剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、粘着剤層13の透明性をより優れたものとすることができる。また、例えば、粘着剤層13が後に詳述するような紫外線カット剤を含む場合において、粘着剤層13中において紫外線カット剤を安定的かつ均一に存在させることができ、また、粘着剤層13を構成する他の成分(例えば、アクリル系粘着剤等)が紫外線カット剤により悪影響を受けることをより効果的に防止することができ、粘着剤層13としての機能をより安定的に発揮させることができる。
以下、粘着剤層13を構成する粘着剤の一例としてのアクリル系粘着剤について、詳細に説明する。
(アクリル系粘着剤)
アクリル系粘着剤としては、主成分として、例えば、アクリル酸エステル単独重合体、アクリル酸エステル単位二種以上を含む共重合体およびアクリル酸エステルと他の官能性単量体との共重合体の中から選ばれた少なくとも一種を含有するもの(以下、単に「アクリル系ポリマー」ともいう。)が用いられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル等が挙げられる。
また、官能性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(紫外線カット剤)
粘着フィルム10は、粘着剤層13中に紫外線カット剤を含んでいるのが好ましい。
粘着剤層13は、印刷用コート層12と隣接しないため、仮に、粘着剤層13に含有された紫外線カット剤がブリードアウトしても、印刷用コート層12への影響を抑えることができる。したがって、紫外線カット剤のブリードアウトによる問題の発生等を効果的に防止しつつ、紫外線を好適にカットし、粘着フィルム10の透過率を上記のように十分に小さいものとすることができる。
紫外線カット剤は、紫外線の少なくとも一部をカットできるものであれば特に限定されず、例えば、紫外線を吸収する紫外線吸収剤であってもよいし、紫外線を反射する紫外線反射剤であってもよい。
有機系の紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾオキサジノン系、トリアジン系、フェニルサリシレート系、シアノアクリレート系、サリチル酸系、ニッケル錯塩系等の紫外線吸収剤を使用することができる。中でも、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が好ましい。
無機系の紫外線カット剤(紫外線吸収剤および紫外線反射剤)としては、例えば、酸化鉄、マグネタイト、酸化チタン(チタンホワイト)、酸化亜鉛等が挙げられるが、カットできる紫外線の波長領域の広い酸化亜鉛が好適である。
また、無機系の紫外線反射剤としては、各種金属粉末を用いることができる。
無機系の紫外線カット剤には、例えば、ステアリン酸カリウムやラウリン酸、シリコーン油等による表面処理が施されていてもよい。これにより、無機系の紫外線カット剤の分散性を向上させることができる。
粘着剤層13中において紫外線カット剤が分散状態で含まれている場合、当該紫外線カット剤の平均粒径は、0.1μm以下であるのが好ましく、0.05μm以下であるのがより好ましい。
これにより、粘着剤層13の透明性をより優れたものすることができる。
粘着剤層13中における紫外線カット剤の含有量は、0.1質量%以上15質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
紫外線カット剤の含有率が前記下限値未満であると、粘着剤層13の厚さや紫外線カット剤の種類等によっては、紫外線を十分にカットすることが困難になる可能性がある。
一方、紫外線カット剤の含有率が前記上限値を超えると、粘着剤層13の厚さや紫外線カット剤の種類等によっては、粘着剤層13の透明性が低下する可能性がある。
粘着剤層13は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、粘着付与剤、酸化防止剤、可塑剤、シランカップリング剤、充填剤、染料、顔料等の着色剤、分散剤、乳化剤等が挙げられる。
粘着剤層13の厚さは、特に限定されないが、1μm以上200μm以下であるのが好ましく、5μm以上100μm以下であるのがより好ましく、20μm以上60μm以下であるのがさらに好ましい。
粘着剤層13の紫外線透過率は、特に限定されないが、1%以上50%以下であるのが好ましく、2%以上45%以下であるのよりが好ましく、3%以上40%以下であるのがさらに好ましい。
<剥離ライナー>
剥離ライナー14は、粘着フィルム10の搬送時や保管時等において、粘着剤層13を保護する機能を有している。
剥離ライナー14としては、特に制限されず、粘着フィルムの分野で通常使用されるものを用いることができる。剥離ライナーとしては、例えば、紙基材またはフィルム基材の表面に剥離層が設けられたもの等が挙げられる。
紙基材としては、例えば、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等の紙類が挙げられる。また、フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種樹脂で構成されたフィルムが挙げられる。紙基材およびフィルム基材には、填料等の充填剤が含有されていてもよい。
なお、紙基材を用いた場合、通常、当該紙基材により紫外線がカットされるため、上述したような紫外線による印刷用コート層12の劣化の問題は生じないが、粘着フィルム10を透明ラベルとして用いる場合、剥離ライナー14としても透明のシートが用いられることが多い。また、紙基材を用いた場合、紙基材の地合いを反映し、フィルム表面が荒れてしまう等の問題を生じやすい。したがって、剥離ライナー14は、透明のフィルム基材が好ましく用いられ、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
剥離層の構成材料としては、例えば、シリコーン、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離ライナー14の厚さは、特に限定されないが、10μm以上150μm以下であるのが好ましく、20μm以上130μm以下であるのがより好ましく、35μm以上50μm以下であるのがさらに好ましい。
剥離ライナー14の紫外線透過率は、特に限定されないが、40%以上100%以下であるのが好ましく、70%以上99%以下であるのがより好ましい。
[粘着フィルムの製造方法]
次に、上述したような粘着フィルム10の製造方法について説明する。
粘着フィルム10は、例えば、以下のような工程により製造される。
すなわち、粘着フィルム10は、例えば、基材11の一方の面(第1の面)に印刷用コート層12を形成する印刷用コート層形成工程と、基材11の他方の面(第2の面)に粘着剤層13を形成する粘着剤層形成工程と、粘着剤層13を剥離ライナー14で被覆する被覆工程とを有する方法により、好適に製造することができる。
<印刷用コート層形成工程>
印刷用コート層形成工程では、基材11の一方の面(第1の面)に印刷用コート層12を形成する。
基材11としては、本工程に先立って、その表面に設けられる層(印刷用コート層12や粘着剤層13)との密着性を向上させる等の目的で、片面または両面に、コロナ処理等の表面処理を施してもよい。
印刷用コート層12の形成方法は、特に限定されないが、例えば、印刷用コート層12を形成するための塗工液を用意し、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、スプレーコート、ナイフコート、ダイコート、バーコート等の各種塗布法等により、基材11の一方の面側に塗工液を塗布し、当該塗工液の塗膜を乾燥させる方法等が挙げられる。
<粘着剤層形成工程>
粘着剤層形成工程では、基材11の他方の面(第2の面)に粘着剤層13を形成する。
粘着剤層13は、例えば、基材11の印刷用コート層12を形成した面とは反対側の面に、粘着剤層13を形成するための粘着剤組成物を含む塗工液を塗布することにより形成することができる。
粘着剤層13を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、粘着剤層13を形成するための塗工液を用意し、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、スプレーコート、ナイフコート、ダイコート、バーコート等の各種塗布法等により、基材11の他方の面(第2の面)に塗工液を塗布し、当該塗工液の塗膜を乾燥させる方法等が挙げられる。
このとき、例えば、粘着剤層13を形成するための塗工液中に、所定の割合で紫外線カット剤を含有させることにより、透過率が所定値以下である粘着フィルム10を好適に得ることができる。
<被覆工程>
被覆工程では、粘着剤層13の表面(基材11に対向する面とは反対側の面)を剥離ライナー14で被覆する。
これにより、粘着剤層13が好適に保護され、例えば、粘着フィルム10の搬送時や保管時等における異物の付着や不本意な部位への貼着等をより効果的に防止することができる。
[フレキソ印刷機]
次に、上述したような粘着フィルム10に対し、印刷を行う印刷機の一例としての、フレキソ印刷機について説明する。
図2は、印刷機(フレキソ印刷機)の構成の一例を示す概略構成図である。
図2に示すフレキソ印刷機20は、被印刷物である、ロール状に巻回された粘着フィルム10を装着する巻出しロール21と、印刷後の粘着フィルム10を巻き取る巻取りロール28とを備え、巻出しロール21から連続的に供給される粘着フィルム10にフレキソ印刷を行うものである。
図2に示すように、フレキソ印刷機20は、インキ(UVインキ)を貯留するインキパン(インキ貯留部)22と、インキパン22内のインキに浸されるよう配設された回転自在のアニロックスロール23とを備えている。また、フレキソ版24aを外周面に有する回転自在の版胴24が、アニロックスロール23に接触するよう配設されている。
また、アニロックスロール23の表面に付着した余剰インキ等を掻き落とすドクターブレード25が、アニロックスロール23の外周面に先端が当接するように配設されている。
また、版胴24に圧接し、この版胴24との間にニップ部Nを形成するよう回転自在の圧胴26が設置されている。
ニップ部Nにおいて版胴24に付着したインキが粘着フィルム10に転写されることにより粘着フィルム10に対する印刷が行われる。
また、フレキソ印刷機20は、粘着フィルム10上に付与されたUVインキを硬化させる紫外線照射ランプ27を備えている。
なお、多色刷りの場合、色毎に上述したような印刷ユニットが設けられるが、図では1ユニットのみを示している。
このようなフレキソ印刷機20を用いて、粘着フィルム10に印刷(フレキソ印刷)を行う際には、巻出しロール21に装着された、ロール状の粘着フィルム10を繰り出して、版胴24と圧胴26との間のニップ部Nを介して、巻取りロール28まで通紙することにより、印刷機に粘着フィルム10をセットする。通常、この通紙にロールの3周分程度は用いられ、この部分には印刷は行われない。
そして、アニロックスロール23、版胴24および圧胴26を、それぞれ図2の矢印方向に回転させると、まずインキパン22内のインキに浸されたアニロックスロール23の外周面にインキが付着する。そして、アニロックスロール23の外周面にあるインキは、さらに版胴24の外周面、すなわちフレキソ版24aに転写される。この際に、フレキソ版24aのうち盛り上がった部分である画像部分にはインキが転写されるが、凹んだ部分である非画像部分にはインキが転写されないようになっている。
一方、例えば、巻出しロール21から連続的に巻き出された粘着フィルム10が版胴24と圧胴26との間に形成されるニップ部Nに送られる。粘着フィルム10のセット時に繰り出していた部分が過ぎてから、印刷が開始される。粘着フィルム10は版胴24および圧胴26により挟圧され、版胴24の外周面にあるインキが粘着フィルム10に転写される。具体的には、版胴24のフレキソ版24aのうち凸形状となっている画像部分(凸部分)に付着したインキが粘着フィルム10に転写される。
印刷された粘着フィルム10に対し、紫外線照射ランプ27により、紫外線を照射しインキを硬化させる。
このとき、粘着フィルム10の印刷用コート層12に含有されるインキ反応基が紫外線照射によってインキ(UVインキ)と反応すると、インキ反応成分は、硬化したインキと化学的に結合する。その結果、硬化したインキは印刷用コート層12に対する密着力が向上し、硬化に伴いインキが収縮しても、インキと印刷用コート層12との界面での剥離が生じにくくなる。
特に、本発明に係る粘着フィルム10によれば、ロール状で長期間保管された場合であっても、印刷用コート層12中に含有される紫外線重合性官能基を有する成分の、紫外線による不本意な反応が抑制されているので、印刷時に印刷用コート層12とインキとの密着性を、確実に十分に優れたものとすることができる。
印刷が施された粘着フィルム10は、巻取りロール28に巻き取られる。
印刷が施された粘着フィルム10は、必要に応じて、所望の長さに切断する切断処理等の各種処理が施される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、上述した説明では、粘着フィルムに対し、フレキソ印刷により印刷を施す場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、紫外線硬化型インキを用いて印刷を行う、他の印刷方式に適用されるものであってもよい。
また、本発明の粘着フィルムは、基材と、印刷用コート層と、粘着剤層と、剥離ライナーとを備えていればよく、さらに他の構成(例えば、少なくとも1層の中間層)をさらに備えていてもよい。
また、前述した実施形態では、本発明の粘着フィルムについて、製造方法の一例を挙げて説明したが、本発明の粘着フィルムは、いかなる方法で製造されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、基材に対して印刷用コート層を形成した後に、粘着剤層を形成する場合について代表的に説明したが、粘着剤層を形成した後に、印刷用コート層を形成してもよい。
また、前述した実施形態では、基材に対して粘着剤層を形成した後に、剥離ライナーで被覆する場合について代表的に説明したが、例えば、粘着剤層を剥離ライナー上に形成し、剥離ライナー上に形成された粘着剤層を基材に貼着してもよい。
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件を示していない処理は、室温(23℃)、相対湿度50%において行ったものである。また、各種測定条件についても特に温度条件を示していないものは、室温(23℃)、相対湿度50%における数値である。
[1]粘着フィルムの製造
(実施例1)
(印刷用コート層用塗工液の調製)
樹脂組成物を構成する重合体として、水酸基を有するウレタン変性ポリエステル樹脂(水酸基価2mgKOH/g、数平均分子量40,000)100質量部と、インキ反応成分としてペンタエリスリトールトリアクリレート10質量部と、イソシアネート架橋剤(東ソー社製、コロネートHX)20質量部とを混合し、トルエンにて希釈し固形分1.5%の塗工液を調製した。
(粘着剤組成物の調製)
ブチルアクリレート(BA)およびアクリル酸(AA)を用いて得られたアクリル系共重合体(質量比(BA:AA)=90:10、重量平均分子量550,000)100質量部と、イソシアネート架橋剤(東ソー社製、コロネートL)0.5質量部と、紫外線カット剤として、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.3質量部とを混合し、メチルエチルケトンで希釈し固形分濃度30%の粘着剤組成物を得た。
(粘着フィルムの製造)
基材として厚さ50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用意し、その両面にコロナ処理を施した。
上記基材の一方の面に、バーコーティングにより上記の印刷用コート層用塗工液を塗布し、70℃にて1分間乾燥させ、樹脂組成物からなる厚さ60nmの印刷用コート層を形成した。
また、上記基材の他方の面に、調製した粘着剤組成物を、ロールコーターを用いて25μmの塗布厚で塗布し、80℃で乾燥し、剥離ライナーとして、シリコーンによる剥離処理がなされた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り合わせた後、この積層体をロール状に巻回した。
その後、ロール状に巻回した積層体をさらに23℃、相対湿度50%の条件下で7日間養生して、印刷用コート層、基材、粘着剤層および剥離ライナーがこの順で積層されてなる粘着フィルムを得た。
(実施例2、3)
紫外線カット剤の含有量を変更することにより、紫外線透過率が表1に示すような値となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして粘着フィルムを製造した。
(実施例4、5)
紫外線カット剤の種類を表1に示すように変更するとともに、紫外線カット剤の含有量を変更することにより、紫外線透過率が表1に示すような値となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして粘着フィルムを製造した。
(比較例1)
粘着剤層組成物として紫外線カット剤を含有しないものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして粘着フィルムを製造した。
(比較例2)
紫外線カット剤の含有量を変更することにより、紫外線透過率が表1に示すような値となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして粘着フィルムを製造した。
前記各実施例および各比較例の粘着フィルムの主な条件を表1にまとめて示す。また、表1には、前記各実施例および各比較例の粘着フィルムについての、300nm以上380nm以下の波長域における紫外線透過率(当該波長域における平均透過率)をあわせて示した。紫外線透過率の測定は、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製、機種名「UV-3600」)を用いて行った。また、前記各実施例では、粘着剤層中における紫外線カット剤の含有率は、いずれも、0.2質量%以上10質量%以下であった。
Figure 0007023682000001
[2]評価
[2-1]インキ密着性評価
紫外線照射後において、上から4枚目の粘着フィルムについて、印刷用コート層のインキ密着性を評価した。
前記各実施例および各比較例の粘着フィルムについて、A4サイズのシートを4枚ずつ切り出し、これら4枚のシートを印刷用コート層が上側を向くように、シート間に隙間が生じないように積層した。この状態で、紫外線フェードメーターU48(スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS B7751-2007に準拠した耐光性試験で、紫外線を40時間促進照射した。
その後、上から4枚目のシートについて、剥離ライナーを取り除き、露出した粘着剤層をロール状に券回したフィルムの表面に貼着した。その後、フレキソ印刷機に前記シートが貼着されたフィルムをセットし、前記シートの印刷用コート層面にUVインキ(T&K TOKA社製、UVフレキソ白500)により所定のパターンの印刷を施し、紫外線照射(メタルハライドランプ4kW)を行い、印刷部を形成し、印刷物を得た。
印刷部が形成された粘着フィルム(印刷物)を、23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した。その後、粘着フィルム(印刷物)の印刷部が形成された側の面に、JIS K5600-5-6:1999(ISO 2409:1992)のクロスカット法に基づき、カット間隔1mm、カットライン11本×11本としてマス目数100のクロスカット部を作製し、印刷部と粘着フィルムとの密着性を評価した。
具体的には、クロスカット部にニチバン社製セロテープ(登録商標)を貼付し、テープ引きはがし後に残存するマス目の数をxとして、残存率をx/100を求め、以下の基準に従い評価した。
A:残存率(x/100)の値が95/100以上である。
B:残存率(x/100)の値が90/100以上95/100未満である。
C:残存率(x/100)の値が80/100以上90/100未満である。
D:残存率(x/100)の値が70/100以上80/100未満である。
E:残存率(x/100)の値が70/100未満である。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0007023682000002
表2から明らかなように、比較例では、紫外線促進照射後に、印刷用コート層へのインキ密着性(印刷部の密着性)が低下してしまっているのに対し、本発明では、紫外線促進照射後であっても、印刷用コート層へのインキ密着性(印刷部の密着性)が十分に維持されていた。
10…粘着フィルム
11…基材
12…印刷用コート層
13…粘着剤層
14…剥離ライナー
20…フレキソ印刷機
21…巻出しロール
22…インキパン
23…アニロックスロール
24…版胴
24a…フレキソ版
25…ドクターブレード
26…圧胴
27…紫外線照射ランプ
28…巻取りロール
N…ニップ部

Claims (10)

  1. 紫外線硬化型インキを用いた印刷に供される粘着フィルムであって、
    基材と、
    前記基材の一方の面である第1の面側に設けられ、紫外線重合性官能基を有する成分を含む材料で構成された印刷用コート層と、
    前記基材の前記第1の面とは反対の面である第2の面側に設けられた粘着剤層と、
    前記粘着剤層を保護する剥離ライナーとを備え
    ロール状に巻回された状態で保管されるものであり
    前記紫外線重合性官能基は、前記紫外線硬化型インキが付与された後に紫外線が照射されることにより、前記紫外線硬化型インキの紫外線硬化性官能基と反応するものであり、
    粘着フィルムの紫外線の透過率が40%以下であることを特徴とする粘着フィルム。
  2. 粘着フィルムの前記印刷用コート層以外の部分の積層体部分に紫外線カット剤を含んでいる請求項1に記載の粘着フィルム。
  3. 前記粘着剤層中に前記紫外線カット剤を含んでいる請求項2に記載の粘着フィルム。
  4. 前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤を含んでいる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粘着フィルム。
  5. 前記基材は、ポリオレフィンおよびポリエステルのうち少なくとも一方を含む材料で構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粘着フィルム。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粘着フィルムを製造する粘着フィルムの製造方法であり
    基材の一方の面に、紫外線重合性官能基を有する成分を含む材料を含む塗工液を用いて印刷用コート層を形成する印刷用コート層形成工程と、
    前記基材の他方の面に粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程とを有することを特徴とする粘着フィルムの製造方法。
  7. 前記印刷用コート層形成工程は、前記粘着剤層形成工程よりも先に行う請求項6に記載の粘着フィルムの製造方法。
  8. 前記印刷用コート層形成工程は、前記粘着剤層形成工程よりも後に行う請求項6に記載の粘着フィルムの製造方法。
  9. 前記塗工液を付与した後に紫外線の照射を行わない請求項6ないし8のいずれか1項に記載の粘着フィルムの製造方法。
  10. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粘着フィルムの印刷用コート層上に紫外線硬化型インキを付与する紫外線硬化型インキ付与工程と、
    前記印刷用コート層上に付与された前記紫外線硬化型インキに紫外線を照射することにより、前記紫外線硬化型インキの硬化反応を進行させるとともに、前記紫外線硬化型インキの紫外線硬化性官能基と前記印刷用コート層中の紫外線重合性官能基との反応を進行させる紫外線照射工程とを有することを特徴とする印刷物の製造方法。
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