JP7020257B2 - オーディオ装置、音響効果係数算出方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
図1は、本発明の一実施形態のオーディオ装置120を含むオーディオシステムの構成例を示す図である。このオーディオシステムは、車両に搭載され、当該車両の車室1において楽音等を再生するカーオーディオシステムである。図1に示すように、このオーディオシステムは、オーディオ装置120と、スピーカ130-1から130-4と、マイクロフォン140と、を有する。図1に示すように、スピーカ130-1から130-4とマイクロフォン140とは、オーディオケーブルなどの信号線を介してオーディオ装置120に接続されている。
演算部220は、記憶部230に記憶されている再生支援プログラム303を実行し、オーディオ装置120の制御中枢として機能する。再生支援プログラム303にしたがって作動している演算部220は、再生装置210から与えられた音データD1の表す再生音の音量を過大に引き上げることなく、その再生音がロードノイズ等の雑音に埋もれないようにする再生支援処理を実行し、その処理結果である音データDDをD/A変換器250へ出力する。この再生支援処理の詳細については後に明らかにする。
以上の実施態様は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相矛盾しない限り適宜に併合され得る。
<2-1:変形例1>
上記実施形態では、再生音の音量と雑音の音量とをオクターブバンド単位で推定し、オクターブバンド単位で再生音の音量を補正した。しかし、バンド幅が1/3の1/3オクターブバンド単位で、再生音および雑音の音量の推定と再生音の音量の補正をおこなってもよい。この場合、補正テーブル301には、1/3オクターブ単位の周波数帯域の各々において雑音の音量と再生音の音量とを比較する際の再生音の音量の補正量を表すデータを格納しておけばよい。また、再生音推定部212には、図8に示すデータD1に代えて、図16に示すように、各々1/3オクターブのバンド幅を有するバンド番号=1から21の周波数帯域における再生音の音量を表すデータD1を生成させるようにすればよい。同様に、雑音推定部213には、図12に示すデータD2に代えて、図17に示すようにバンド番号=1から21の各周波数帯域における雑音の音量を表すデータD2を生成させるようにすればよい。なお、図16および図17において、バンド番号=1の周波数帯域の中心周波数は63Hz、バンド番号=2の周波数帯域の中心周波数は80Hz、…バンド番号=20の周波数帯域の中心周波数は5000Hz、バンド番号=21の周波数帯域の中心周波数は6300Hzである。
上記実施形態では、音響効果付与部211、再生音推定部212、雑音推定部213、音響効果係数算出部214、およびエコーキャンセル部215をソフトウェアで実現した。しかし、音響効果付与部211、再生音推定部212、雑音推定部213、音響効果係数算出部214、およびエコーキャンセル部215の各々を電子回路などのハードウェアで実現し、それらハードウェアを組み合わせてオーディオ装置120を構成してもよい。この場合、音響効果係数算出部214については、補正処理(図13:SD100)を実行する補正部と、比較処理(図13:SD110)を実行する比較部と、係数算出処理(図13;SD120)を実行する係数算出部の各部を電子回路で実現し、これら各部を組み合わせて構成すればよい。
上記実施形態では、再生音が雑音に埋もれないように再生音の音量の補正量(音響効果係数)を決定した。しかし、補正後の再生音の音量を示すデータをバッファに蓄積しておき、当該バッファの格納内容の示す再生音の音量の時間変化から音のアタック部であるか否か、或いはリリース部であるか否かを判定し、その判定結果に応じて上記補正量を調整してもよい。例えば、アタック部である場合には、補正後の再生音の音量が前回の補正後の再生音の音量を上回るように上記補正量を調整することが好ましい。補正後の再生音の音量が前回の補正後の再生音の音量を下回っているとアタック感が薄れるからである。同様に、リリース部である場合には、補正後の再音の音量が前回の補正後の再生音の音量を下回るように補正量を調整することが好ましい。補正後の再生音の音量が前回の補正後の再生音の音量を上回っているとリリース感が薄れるからである。
上記実施形態のオーディオ装置120は再生装置210を含んでいたが、信号線を介して再生装置210をオーディオ装置120に接続する態様であってもよい。つまり、再生装置210は本発明のオーディオ装置の必須構成要素ではなく、省略可能である。同様に、記憶部230も本発明のオーディオ装置の必須構成要素ではなく、省略可能である。記憶部230を省略する場合には、USBケーブル等を介してオーディオ装置120に接続されるハードディスクドライブ、或いはインターネットなどの電気通信回線経由で演算部220がアクセス可能なハードディスクドライブに記憶部230の役割を担わせればよい。
上記実施形態では、再生支援プログラム303とは別箇に補正テーブル301と音響効果係数テーブル302とが記憶部230に記憶されていたが、補正テーブル301と音響効果係数テーブル302とを再生支援プログラム303に埋め込んで置いてもよい。また、上記実施形態では、オーディオ装置120の記憶部230に再生支援プログラム303を予め記憶させておいたが、補正テーブル301および音響効果係数テーブル302が埋め込まれているか否かを問わずに再生支援プログラム303を単体で提供してもよい。再生支援プログラム303の具体的な提供態様としては、CD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布する態様、またはインターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより配布する態様が考えられる。パーソナルコンピュータなどの一般的なコンピュータ装置に上記の要領で配布される再生支援プログラム303をインストールし、当該コンピュータ装置のプロセッサに当該再生支援プログラム303を実行させることで、当該コンピュータ装置を上記実施形態のオーディオ装置120として機能させることが可能になる。なお、補正テーブル301および音響効果係数テーブル302を再生支援プログラム303に埋め込んで置かない態様の場合、これらテーブルは当該再生支援プログラム303を実行するコンピュータ装置がアクセス可能な記憶装置に記憶されていればよい。
上記実施形態では、カーオーディオシステムに含まれるオーディオ装置への本発明の適用例を説明したが、本発明の適用対象はカーオーディオシステムに含まれるオーディオ装置に限定される訳ではない。また、上記実施形態では、各周波数帯域において再生音が雑音に埋もれることがないように、各周波数帯域において再生音の音量が雑音の音量を上回るように第1音信号に付与する音響効果係数を算出した。しかし、再生音の音信号に付与する音響効果係数の算出(すなわち、再生音のチューニング)を、再生音について推定した音量と雑音について推定した音量との比較結果に応じて行う態様であればよい。要は、雑音の存在する環境で音の再生を行うオーディオ装置であれば、本発明を適用することで、再生音の音量が過小に推定されることを回避しつつ再生音のチューニングを行うことが可能になる。
上述した各実施形態および各変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
オーディオ装置の一態様は、スピーカから環境に放射される再生音を表す第1音信号を時間軸方向に複数に分割して得られる各信号に短時間周波数解析を施して一定時間における振幅スペクトルのピークを周波数毎に特定し、特定した振幅スペクトルのピークに基づいて前記再生音の音量を周波数帯域毎に推定する第1推定部と、前記環境において聴取される雑音を表す第2音信号を時間軸方向に複数に分割して得られる各信号に短時間周波数解析を施して前記一定時間における振幅スペクトルのピークを周波数毎に特定し、特定した振幅スペクトルのピークに基づいて前記雑音の音量を周波数帯域毎に推定する第2推定部と、前記第1推定部により推定された音量と前記第2推定部により推定された音量とを周波数帯域毎に比較し、比較結果に基づいて前記第1音信号に付与する音響効果係数を算出する算出部と、を備える。
本態様によれば、各周波数帯域における再生音の音量は周波数帯域に属する各周波数の振幅スペクトルのピークに応じて推定される。このため、周波数帯域に属する各周波数の振幅スペクトルの平均値に応じて再生音の音量を推定する従来技術に比較して、再生音の振幅スペクトルに急峻なピークが現れている場合であっても、当該ピークに対応する周波数の属する周波数帯域における再生音の音量が過小に推定されることが回避される。本態様によれば、雑音の存在する環境で再生される再生音の振幅スペクトルに急峻なピークが現れている場合であっても、当該ピークに対応する周波数の属する周波数帯域における再生音の音量が過小に推定されることを回避しつつ、再生音をチューニングすることが可能になる。
再生音の振幅スペクトルに急峻なピークが現れている場合、当該ピークは上記最大値に対応する。このため、本態様によれば、周波数帯域における再生音の音量が過小に推定されることを確実に回避することができる。
本態様によれば、再生音の振幅スペクトルに急峻なピークが現れている場合、当該ピークは上記最大値に対応する。本態様によれば、各周波数帯域における雑音の音量の際に当該最大値は使用されないので、雑音の振幅スペクトルに急峻なピークが現れている周波数帯域における当該雑音の音量が過大に推定されることを確実に回避することができる。
本態様によれば、音の存在する環境で音を再生する際に、再生音の音量を過大に引き上げることなく、雑音に埋もれないように再生音をチューニングすることが可能になる。
本態様によれば、マイクロフォンの出力信号を用いて雑音の音量を簡便かつ正確に推定することが可能になる。
本態様によれば、補正テーブルを切り替えることで多様なオーディオシステムに対応することが可能になる。
本態様によっても、雑音の存在する環境で再生される再生音の振幅スペクトルに急峻なピークが現れている場合であっても、当該ピークに対応する周波数の属する周波数帯域における再生音の音量が過小に推定されることを回避しつつ、再生音をチューニングすることが可能になる。
本態様によっても、雑音の存在する環境で再生される再生音の振幅スペクトルに急峻なピークが現れている場合であっても、当該ピークに対応する周波数の属する周波数帯域における再生音の音量が過小に推定されることを回避しつつ、再生音をチューニングすることが可能になる。
Claims (8)
- スピーカから環境に放射される再生音を表す第1音信号を時間軸方向に複数に分割して得られる各信号に短時間周波数解析を施して一定時間における振幅スペクトルのピークを周波数毎に特定し、特定した振幅スペクトルのピークに基づいて前記再生音の音量を周波数帯域毎に推定する第1推定部と、
前記環境において聴取される雑音を表す第2音信号を時間軸方向に複数に分割して得られる各信号に短時間周波数解析を施して前記一定時間における振幅スペクトルのピークを周波数毎に特定し、特定した振幅スペクトルのピークに基づいて前記雑音の音量を周波数帯域毎に推定する第2推定部と、
前記第1推定部により推定された音量と前記第2推定部により推定された音量とを周波数帯域毎に比較し、比較結果に基づいて前記第1音信号に付与する音響効果係数を算出する算出部と、
を備えるオーディオ装置。 - 前記第1推定部は、周波数帯域における前記再生音の音量をその周波数帯域に属する各周波数の振幅スペクトルのピークの最大値に基づいて推定することを特徴とする請求項1に記載のオーディオ装置。
- 前記第2推定部は、周波数帯域における前記雑音の音量をその周波数帯域に属する各周波数の振幅スペクトルのピークの最小値、中央値、最頻出値または各周波数に対応する振幅スペクトルのピークから最小値と最大値とを除外して算出される平均値のいずれかに基づいて推定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオーディオ装置。
- 前記算出部は、前記第1推定部により推定された音量と前記第2推定部により推定された音量とを周波数帯域毎に比較し、比較結果に基づいて各周波数帯域において前記再生音の音量が前記雑音の音量を上回るように前記第1音信号に付与する音響効果係数を算出することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のオーディオ装置。
- 前記再生音と前記雑音とを収音するマイクロフォンから出力される第3音信号から前記第1音信号に対応する信号成分を除外して前記第2音信号を生成するエコーキャンセル部を有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のオーディオ装置。
- 前記算出部は、
前記第1推定部により推定された各周波数帯域における前記再生音の音量についての補正量を周波数帯域毎に規定して補正テーブルにしたがって、前記第1推定部により推定された前記再生音の音量を周波数帯域毎に補正する補正部と、
前記補正部による補正後の音量と前記第2推定部により推定された前記雑音の音量とを周波数帯域毎に比較する比較部と、を有し、
前記比較部における比較結果に応じて前記音響効果係数を周波数帯域毎に算出することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のオーディオ装置。 - スピーカから環境に放射される再生音を表す第1音信号を時間軸方向に複数に分割して得られる各信号に短時間周波数解析を施して一定時間における振幅スペクトルのピークを周波数毎に特定し、特定した振幅スペクトルのピークに基づいて前記再生音の音量を周波数帯域毎に推定し、
前記環境において聴取される雑音を表す第2音信号を時間軸方向に複数に分割して得られる各信号に短時間周波数解析を施して前記一定時間における振幅スペクトルのピークを周波数毎に特定し、特定した振幅スペクトルのピークに基づいて前記雑音の音量を周波数帯域毎に推定し、
前記再生音について推定された音量と前記雑音について推定された音量とを周波数帯域毎に比較し、比較結果に基づいて前記第1音信号に付与する音響効果係数を算出する、
音響効果係数算出方法。 - プロセッサを、
スピーカから環境に放射される再生音を表す第1音信号を時間軸方向に複数に分割して得られる各信号に短時間周波数解析を施して一定時間における振幅スペクトルのピークを周波数毎に特定し、特定した振幅スペクトルのピークに基づいて前記再生音の音量を周波数帯域毎に推定する第1推定部と、
前記環境において聴取される雑音を表す第2音信号を時間軸方向に複数に分割して得られる各信号に短時間周波数解析を施して前記一定時間における振幅スペクトルのピークを周波数毎に特定し、特定した振幅スペクトルのピークに基づいて前記雑音の音量を周波数帯域毎に推定する第2推定部と、
前記第1推定部により推定された音量と前記第2推定部により推定された音量とを周波数帯域毎に比較し、比較結果に基づいて前記第1音信号に付与する音響効果係数を算出する算出部と、
して機能させるプログラム。
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