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JP7015023B2 - テラヘルツ波のハーフミラー及び該ハーフミラーを用いた照射装置 - Google Patents

テラヘルツ波のハーフミラー及び該ハーフミラーを用いた照射装置 Download PDF

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Description

本発明は、テラヘルツ波を照射するためのテラヘルツ波のハーフミラー及び該ハーフミラーを用いた照射装置に関する。
近年、テラヘルツ波を利用した各種の検出装置が提案されている。例えば下記特許文献1では、紙幣等の被検査類に付着した異物の検出を非接触で高速及び高効率に検査するための検査装置が提案されている。
この検査装置では、発振器からのテラヘルツ波を、ガルバノミラー等のミラーを機械的に角度変化させることで、紙幣等の被検査類全体を照射したり、被検査類の被照射部位を複数の領域に分割して各領域毎に発振器を配置して照射することで、紙幣等の被検査類全体を照射したりしていた。
このような検査装置によれば、テラヘルツ波を紙幣等の被検査類全体に照射して検査することができ、紙幣等の被検査類に貼付されたテープのような異物を非接触で高速に且つ高効率に検出することが可能でとなる。
特開2016-80452号公報
しかしながら、従来の検査装置に設けられたテラヘルツ波の照射装置では、ミラーを機械的に角度変化させることで紙幣等の被検査類全体を照射する装置の場合、ミラーの角度の変化で紙幣等の被検査類全長を照射するため、ミラーから紙幣等の被検査類までの距離を長く設けることが必要で装置が大きくなり易い。また振動や磨耗等によりミラーの精密な高速の動作を安定に保つことが容易でない。
さらに被照射部位を複数の領域に分割して各領域に発振器を配置して照射する場合、振動に対しては強いものの、被照射部位を分割した領域の数だけ発振器及びレンズ等を設けて制御しなければならず、装置構成が複雑かつ高価になり易い課題もある。
そこで本発明では、小型化し易いとともに簡素な構成でテラヘルツ波を長期間安定して照射できる、テラヘルツ波のハーフミラーを提供することを第1の目的とし、該ハーフミラーを用いたテラヘルツ波の照射装置を提供することを第2の目的とする。
上記第1の目的を達成する本発明のテラヘルツ波のハーフミラーは、シリコンウェハーからなり、該シリコンウェハーへ入射するテラヘルツ波に対する透過率又は反射率を、該シリコンウェハーのキャリア密度により設定するように構成する。
本発明のテラヘルツ波のハーフミラーでは、透過率を前記シリコンウェハーの厚さにより設定してもよい。
上記第2の目的を達成する本発明のテラヘルツ波の照射装置は、テラヘルツ波の発振器と、該テラヘルツ波を所定の光束とする集光用部品と、テラヘルツ波を透過及び反射又は反射する複数のハーフミラーと、を備え、複数のハーフミラーを行列状に所定の箇所に配設し、光束を、複数のハーフミラーの列の一端又は他端の上側又は横側から入射し、複数のハーフミラーにおける透過及び反射により、列の下端側からテラヘルツ波をライン状に出射するように構成した。
本発明のテラヘルツ波の照射装置では、ライン状に出射するテラヘルツ波を所定の出力分布となるように、複数のハーフミラーの透過率又は反射率を設定してもよい。ハーフミラーは、シリコンウェハーにより構成されることができる。複数のハーフミラーを、キャリア密度が異なるシリコンウェハーの組合せとしてもよい。複数のハーフミラーを、厚さが異なるシリコンウェハーの組合せとしてもよい。
複数のハーフミラーの各ハーフミラーを所定の角度で保持する保持部を備えてもよい。
保持部を収容する照射装置用ケースを備え、発振器が、該照射装置用ケースと接続されていてもよい。
本発明によれば、テラヘルツ波のハーフミラーをシリコンウェハーで構成し、該シリコンウェハーへ入射するテラヘルツ波に対する透過率又は反射率を、該シリコンウェハーのキャリア密度を調整することにより容易に設定することができる。そのため小型化し易く簡素な構成のテラヘルツ波に好適なハーフミラーを提供することができる。
本発明によれば、テラヘルツ波の照射装置を、複数のハーフミラーを含んで構成し、この内の一つのハーフミラーにテラヘルツ波の所定の光束を入射することにより、多数の発振器を用いないで、ライン状でかつ所定の出力分布のテラヘルツ波が照射可能な照射装置を提供することができる。そのため照射装置の構成を簡素化でき、振動や使用環境等の影響を受け難く、テラヘルツ波を長期間安定して照射できる。
本発明の第1の実施形態に係るハーフミラーの動作を説明する図で、(a)は透過波と反射波を示す概略断面図、(b)は透過波を説明する概略断面図、(c)は透過波の強度を説明するグラフである。 ハーフミラーの透過率及び反射率をテラヘルツ波で測定する装置を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係るテラヘルツ波の照射装置を用いた検査装置を説明するもので、(a)は正面図、(b)は右側面図である。 60GHzにおける複数のハーフミラーの構成例1を示す図である。 60GHzにおける複数のハーフミラーの構成例2を示す図である。 90GHzにおける複数のハーフミラーの構成例1を示す図である。 90GHzにおける複数のハーフミラーの構成例2を示す図である。 140GHzにおける複数のハーフミラーの構成例1を示す図である。 140GHzにおける複数のハーフミラーの構成例2を示す図である。 140GHzにおける複数のハーフミラーの構成例3を示す図である。 実施例2のテラヘルツ波の照射装置の模式的な平面図である。 実施例2のテラヘルツ波の照射装置のX方向のテラヘルツ波の出力分布を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明するが、本発明の範囲は実施形態に限定されることなく適宜変更することができる。特に、図面に記載した各部材の形状、寸法、位置関係などについては概念的な事項を示すに過ぎず、その適用場面に応じて任意に変更することができる。各図において、同一の又は対応する部材等には同一の符号を付している。
[第1実施形態]
第1実施形態では、テラヘルツ波の照射装置に用いるハーフミラーについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハーフミラー1の動作を説明する図で、(a)は透過波3と反射波4を示す概略断面図、(b)は透過波3を説明する概略断面図、(c)は透過波3の強度を説明するグラフである。
図1(a)に示すように、ハーフミラー1に発振器2から照射されるテラヘルツ波2aが入射すると、ハーフミラー1を透過するテラヘルツ波と、ハーフミラー1の表面で反射するテラヘルツ波が生じる。ハーフミラー1を透過したテラヘルツ波が透過波3であり、ハーフミラー1の表面で反射したテラヘルツ波が反射波4である。入射するテラヘルツ波の強度を100とした場合に、入射波に対して透過波3の強度を%で表示した透過率及び反射波4の強度を%で表示した反射率は、ハーフミラー1に用いる材料で調整することができる。
ハーフミラー1に用いる材料は、絶縁物と導体の性質を有するシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)のような半導体を好適に用いることができる。ハーフミラー1としては、結晶性が高くかつ安価なシリコンウェハーを好適に用いることができる。以下の記載においては、ハーフミラー1を、後述する実施例1においてテラヘルツ波で良好な特性を示すことが判明したシリコンウェハーとして説明する。
シリコンウェハー1は、後述するテラヘルツ波における透過率や反射率の測定結果及びその取扱いの容易さから、0.1mmから2mm位の厚さとすることができる。
シリコンウェハーのキャリア密度が低く、例えば1×1012cm-3程度の値であれば、透過波3と反射波4が同時に得られるハーフミラー1となることが分かった。
図1(b)に示すように、ハーフミラー1にテラヘルツ波が入射すると、透過波3の強度は、下記式(1)で表される。
I=I×exp(-αx) (1)
ここで、Iはシリコンウェハーの厚さ方向に垂直なx方向において、表面、つまりx=0のときのテラヘルツ波の入射光強度である。αはテラヘルツ波の吸収係数(cm-1)であり、テラヘルツ波の強度がシリコンウェハー表面のテラヘルツ波の強度がIから1/eI、つまり約0.37Iに減衰する距離の逆数である。
透過率が約37%となるシリコンウェハーの厚さは大凡1/αである。このαに基づいてシリコンウェハーの厚さ方向(x方向)の透過率を式(1)で計算することにより、シリコンウェハーの所定の厚さにおける透過率を計算することができる(図1(c)参照)。
図1(c)は、exp(-αx)の計算例であり、この計算に基づいて所定の透過率を得るための厚さを算出することができる。透過率は必ずしも約37%でなくとも、所定の値が得られた場合には、その透過率に対応するxの値を図1(c)より求め、その値から所定の透過率を得るための厚さを算出してもよい。これにより、同じキャリア密度のシリコンウェハーを用いる場合には、その厚さにより透過率を調整できる。
他方、シリコンウェハーのキャリア密度が、例えば大凡1×1016cm-3以上であれば、シリコンウェハー表面の導電性が向上するので、反射波4だけが生じるハーフミラー1となる。シリコンウェハーの反射率は、そのキャリア密度で制御することができ、キャリア密度を高めることで反射率を増加させることができる。本発明のハーフミラー1は、例えば、シリコンウェハーからなり、金属とは異なり100%の反射は得難く、後述するように、テラヘルツ波が透過しないで反射が同時に生起、つまり吸収と100%以下の反射が生じる。本明細書においては、このようなテラヘルツ波の吸収と反射が同時に生起する場合は、反射が生じるハーフミラーと呼ぶことにする。
(透過率及び反射率の測定)
シリコンウェハーの透過波3及び反射波4は、シリコンウェハーの厚さ、キャリア密度で変化し、さらに、シリコンウェハーに入射するテラヘルツ波の周波数でも変化する。このため、シリコンウェハーのテラヘルツ波に対する正確な透過率及び反射率は、用いるテラヘルツ波の周波数において実測して求めることが望ましい。
図2は、ハーフミラー1の透過率及び反射率をテラヘルツ波で測定する装置9を示すブロック図である。図2に示すようにテラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置9は、ハーフミラー1にテラヘルツ波を照射する発振器2と、ハーフミラー1を透過したテラヘルツ波の透過波3を検出する検出器5と、ハーフミラー1で反射したテラヘルツ波の反射波4を検出する検出器6と、を含んで構成されている。
テラヘルツ波の集光用部品7として、発振器2とハーフミラー1との間には、例えば放物面鏡を配設してもよい。又、ハーフミラー1と透過波3の検出器5との間及びハーフミラー1と反射波4の検出器6との間には集光用部品8として、例えばレンズを配設してもよい。レンズの材料としてはテフロン(登録商標)のようなフッ素樹脂を用いることができる。
図2に示す透過率及び反射率の測定装置9によれば、発振器2から集光用部品7を介してハーフミラー1に入射する所定の周波数のテラヘルツ波の強度を100として、集光用部品8を介して検出器5及び検出器6により測定した透過波3及び反射波4の強度により透過率及び反射率を測定することができる。テラヘルツ波の周波数は、例えば60GHz、90GHz、140GHz等である。
[第2実施形態]
第2実施形態として、テラヘルツ波の照射装置について説明する。
本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態のハーフミラー1を用いたテラヘルツ波の照射装置が検査装置に組み込まれた例を用いて説明する。この検査装置の利用の一例として、以下に示すように紙葉類の表面又は裏面に透明なテープ等の異物が付着しているか否かを検査する装置に適用される。
図3は、本発明の第2実施形態に係るテラヘルツ波の照射装置20を用いた検査装置10を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。図3(a)及び(b)に示すように、この検査装置10は、検査対象の紙葉類11を搬送する搬送装置12と、搬送装置12により搬送される紙葉類11の一方の面側からテラヘルツ波を照射する照射装置20と、紙葉類11の他方の面側で透過波を検出する検出装置30と、を備えている。
テラヘルツ波が照射される対象である紙葉類11は長方形の紙幣等であり、一方の面全面が被照射部位となっている。
搬送装置12は、紙葉類11を面に沿う方向に搬送し、テラヘルツ波の照射位置12aを短手方向又は長手方向に通過させるように、紙葉類11の上部及び下部に搬送ガイド13、13が配設される構成を有している。搬送ガイド13,13の部材としては、樹脂やガラスを用いることができる。
照射装置20は、発振器21と、集光用部品22と、複数のハーフミラー23と、を備え、複数のハーフミラー23により発振器21からのテラヘルツ波をライン光源にして、搬送装置12の照射位置12aで紙葉類11に照射する。さらに、集光用部品22を備え、発振器21からのテラヘルツ波を所定の光束として、ハーフミラー23に照射することが望ましい。
発振器21は、例えばガンダイオード、IMPATT(インパット)ダイオード、タンネットダイオード等の各種ダイオード、Siのような半導体、SiGe,GaAs、InPのような化合物半導体から形成されるトランジスタなどの発振素子を有し、30GHz(GHzは10Hz)~12THzの周波数帯のテラヘルツ波を出射可能なものである。発振器21は、例えば銅板やアルミニウム板等の熱伝導性の優れた金属板状に設置するのがよい。金属板をさらに筐体等の金属製部材に熱的に接続することで、放熱面積を広げて放熱効果を向上させることができる。例えば、照射装置20は、照射装置用ケースを備え、発振器21をこの照射装置用ケースに接続してもよい。
図3(a)に示す照射装置20では、複数のハーフミラー23の配置についてその断面を摸式的に示している。複数のハーフミラー23は、5列3行の行列状の配置において、その7箇所に配設される第1~第7のハーフミラー23~23から構成されている。図3(a)に示すように、列はX方向に配設され最左側が1列であり、行はZ方向に配設され上側が1行である。図示の場合、各複数のハーフミラー23には、その表面にテラヘルツ波が45°の角度で入射される配置としている。但し、後述する各ハーフミラーからの出射光の強度の分布、即ち出力分布を均一にするため角度を微調整してもよい。
発振器21から出射したテラヘルツ波は放物面鏡のような集光用部品22により集光されて、1列1行の第1のハーフミラー23aに入射される。図示のように、発振器21にはアンテナ21aが接続されてもよい。アンテナ21aは例えばホーンアンテナである。集光用部品22により所定の光束にされたテラヘルツ波は、第1のハーフミラー23aと第2のハーフミラー23を、紙面の下方(Z方向)に透過して、紙面最左側の第1の出射光26となる。複数のハーフミラー23において、最初に発振器21から所定の光束にされたテラヘルツ波が入射されるハーフミラーは、行列の1行目の一端又は他端が好ましく、図示のように、1列1行のハーフミラーの上側から入射させることができる。又、上側ではなく、横側から入射させてもよい。
第1のハーフミラー23で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第3のハーフミラー23で反射してZ方向に反射され、第4のハーフミラー23をZ方向に透過して、紙面左側から2番目の第2の出射光26となる。
第2のハーフミラー23で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第5のハーフミラー23でZ方向に反射して、紙面左側から3番目の第3の出射光26となる。
第4のハーフミラー23で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第6のハーフミラー23でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第4の出射光26となる。
第3のハーフミラー23で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第7のハーフミラー23でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第5の出射光26eとなる。
これにより、複数のハーフミラー23が配設される行列の1行目の一端又は他端に入射した所定の光束のテラヘルツ波が、各列の下端側、即ち図3(a)に示す出射部25から第1~第5の出射光26~26が出射される。
照射装置20の組み立て方の一例について説明する。
最初に、複数のハーフミラー23の作製方法を説明する。
後述する所定のテラヘルツ波の周波数における複数のハーフミラー23の構成に応じ、複数のシリコンウェハーを用意する。複数のシリコンウェハーの形状は例えば、円形、四角形や矩形の形状とすることが好適である。複数のシリコンウェハーを所定の位置に配置できシリコンウェハーの保持部となる溝等を有し、例えば樹脂製のホルダーを作製する。樹脂製のホルダーは、複数のハーフミラー23の各ハーフミラーを所定の角度で保持する保持部を備えて構成されてもよい。
次に、上記ホルダーの保持部に矩形形状のシリコンウェハーを挿入し、接着剤等で固定する。これにより、複数のハーフミラー23を構成する各ハーフミラーは、所定の角度で保持する保持部に固定される。
次に、ホルダーに保持された複数のハーフミラー23を発振器21と集光用部品22と共に所定の光学配置となるように調整した後、照射装置用ケースに接着剤や螺子等で固定することにより、照射装置20を製造することができる。
本発明の第2実施形態に係るテラヘルツ波の照射装置20によれば、複数のハーフミラー23を行列状の所定の箇所に配設し、光束を複数のハーフミラー23の列の一端又は他端の上側から入射し、複数のハーフミラー23における透過及び反射により、列の下端側からテラヘルツ波をライン状に出射する。さらに、複数のハーフミラー23の透過率又は反射率を設定することにより、所定の出力分布を得ることができる。所定の出力分布とは、例えばライン状に均一な出力分布や、凹状や凸状の出力分布であり、照射装置20の目的に応じて適宜に選定すればよい。
つまり、発振器21から入射したテラヘルツ波が、複数のハーフミラー23~23により透過波3や反射波4となり、さらに透過又は反射したテラヘルツ波が他のハーフミラー23により反射又は透過することにより上記のような光路を経てライン状の第1~第5の出射光26~26となる。例えば、紙葉類11の搬送方向に直角な方向のライン光源となる。これにより、図3(b)に示すように、照射装置20からのライン状のテラヘルツ波は、紙葉類11には垂直ではなく所定の角度となるように照射されて、紙葉類11を透過したテラヘルツ波が検出装置30に入射される。
紙葉類11の他方の面側で透過波を検出する検出装置30は、例えば、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ等からなる集光用光学部品31と、集光用光学部品31を介して照射装置20の出射部25と対向するように直線状に多数配置される、ショットキーバリヤダイオード32a~32n等からなる検出素子群33と、検出素子群33の検出結果を搬送装置12の搬送情報などともに処理することで異物の有無及び位置を判定する情報処理部34と、を有している。ショットキーバリヤダイオード32a~32nは、例えばプリント基板35上に搭載されている。
情報処理部34は、紙葉類11に異物の付着のない紙葉類11を検出したときの透過波の二次元強度分布と、検査時に異物が付着した紙葉類11を検出したときの透過波の二次元強度分布とを比較することで、異物が付着しているか否かを検出するように構成されている。
この検査装置10では、搬送装置12により紙葉類11が搬送されると、表面又は裏面を照射装置20側に対向させた状態で短手方向又は長手方向に移動して照射位置12aを通過する。照射位置12aには照射装置20から紙葉類11を長手方向又は短手方向に横断するようにライン状のテラヘルツ波が照射されている。紙葉類11が照射位置12aを通過することで、長手方向又は短手方向に横断したライン状のテラヘルツ波が短手方向又は長手方向に順に相対移動して紙葉類11の全面を照射する。照射位置12aでは紙葉類11を透過したテラヘルツ波が検出装置30で検出され、情報処理部34において紙葉類11に異物が付着しているか否かが検出される。
本発明の第2の実施形態に係るテラヘルツ波の照射装置20によれば、照射装置20の内部に配設される複数のハーフミラー23の透過及び反射により、出射部25から出射光26、つまり、第1~第5の出射光26~26が出射する。そのため出射部25を紙葉類11に沿って近接配置することで、容易に紙葉類11にテラヘルツ波をライン状に照射できる。
テラヘルツ波の照射装置20によれば、一つの発振器21によりライン状のテラヘルツ波を紙葉類11に照射できるので、多数の発振器や一つの発振器21と走査素子の組み合わせを用いる必要もない。これにより照射装置20を大幅に小型化し得る。
さらに紙葉類11の全長を照射するために走査素子の必要もなく、駆動機構や防振機構なども不要である。しかも照射装置20は、複数のハーフミラー23によりライン光源を構成できるので、構成を簡素化できる。そのため振動や使用環境等の影響を受け難く、テラヘルツ波を長期間安定して照射できる。
(ハーフミラーの構成例)
次に、60GHz、90GHz及び140GHzにおけるテラヘルツ波の照射装置20の複数のハーフミラー23の構成例について説明する。
なお、以下のハーフミラー23の構成で使用するシリコンウェハーの厚さ、キャリア密度、透過率及び反射率等の具体的な物性値は、後述する実施例1における測定により取得したデータに基づいている。また、出力分布としては、ライン状に均一な出力分布や略凹状の出力分布が得られる構成例を示している。
(60GHzの構成例1)
図4は、60GHzにおける複数のハーフミラーの構成例1を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第1のハーフミラー23と、1列2行に配設される第2のハーフミラー23と、2列2行に配設される第3のハーフミラー23と、3列1行に配設される第4のハーフミラー23と、3列2行に配設される第5のハーフミラー23と、4列2行に配設される第6のハーフミラー23と、5列1行に配設される第7のハーフミラー23と、からなる5列2行の行列(マトリクスとも呼ぶ)に配設される7枚のハーフミラー23~23から構成されている。
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第1のハーフミラー23と第2のハーフミラー23をZ方向に透過して、紙面最左側の第1の出射光26となる。第2のハーフミラー23で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第3のハーフミラー23で反射してZ方向に反射されて、紙面左側から2番目の第2の出射光26となる。第1のハーフミラー23で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第4のハーフミラー23で反射して第5のハーフミラー23をZ方向に透過して、紙面左側から3番目の第3の出射光26となる。第5のハーフミラー23で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第6のハーフミラー23でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第4の出射光26となる。第4のハーフミラー23で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第7のハーフミラー23でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第5の出射光26となる。
第1のハーフミラー23と、第2のハーフミラー23と、第4のハーフミラー23と、第5のハーフミラー23と、第7のハーフミラー23は、例えば、キャリア密度が1×1012cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが601μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は36%、反射率は64%である。
第3のハーフミラー23と、第6のハーフミラー23は、例えば、キャリア密度が5.1×1015cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は0%、反射率は57%である。
第1~第5の出射光26~26の強度は、発振器21からの出力を100として、第1~第7のハーフミラー23~23の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。図4に示す数字は、第1~第7のハーフミラー23~23における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第1の出射光の強度:13
第2の出射光の強度:13
第3の出射光の強度:14.7
第4の出射光の強度:14.9
第5の出射光の強度:14.7
合計:70.3
図4に示すように、第1~第5の出射光26~26の強度は、それぞれ13、13、14.7、14.9、14.7となり、合計70.3となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第1~第7のハーフミラー23~23の間隔、つまり列の間隔を25mm~50mm程度とし、各ハーフミラー23~23に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、60GHzにおいて大凡10cm~20cm程度のライン光源となる。
(60GHzの構成例2)
図5は、60GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例2を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第10のハーフミラー2310と、1列3行に配設される第11のハーフミラー2311と、2列3行に配設される第12のハーフミラー2312と、3列1行に配設される第13のハーフミラー2313と、3列2行に配設される第14のハーフミラー2314と、3列3行に配設される第15のハーフミラー2315と、4列3行に配設される第16のハーフミラー2316と、5列2行に配設される第17のハーフミラー2317と、5列3行に配設される第18のハーフミラー2318と、6列1行に配設される第19のハーフミラー2319と、からなる6列3行の行列に配設される8枚のハーフミラー2310~2319から構成されている。
第10のハーフミラー2310と、第11のハーフミラー2311と、第13のハーフミラー2313は、例えば、キャリア密度が2.2×1013cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は29%、反射率は64%である。
第12のハーフミラー2312と、第19のハーフミラー2319は、例えば、キャリア密度が2.8×1014cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。厚さが559μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は26%、反射率は50%である。
第14のハーフミラー2314と、第15のハーフミラー2315と、第18のハーフミラー2318は、例えば、キャリア密度が1×1012cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。厚さが601μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は36%、反射率は64%である。
第16のハーフミラー2316と、第17のハーフミラー2317は、例えば、キャリア密度が8.8×1018cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。厚さが520μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は0%、反射率は85%である。
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第10のハーフミラー2310と第11のハーフミラー2311をZ方向に透過して、紙面最左側の第11の出射光2611となる。第11のハーフミラー2311で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第12のハーフミラー2312で反射してZ方向に反射されて、紙面左側から2番目の第12の出射光2612となる。
第10のハーフミラー2310で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第13のハーフミラー2313で反射して、第14及び第15のハーフミラー2314,2315をZ方向に透過して、紙面左側から3番目の第13の出射光2613となる。この際、第12のハーフミラー2312を透過したテラヘルツ波が、第15のハーフミラー2315で反射して、第13の出射光2613に重畳される。
ここで、第12のハーフミラー2312を透過したテラヘルツ波を、第13の出射光2613として重畳しない場合には、第12のハーフミラー2312を透過したテラヘルツ波を吸収する吸収体を、第12のハーフミラー2312と第15のハーフミラー2314との間に設けてもよい。又、吸収体は、第12のハーフミラー2312の透過する側の面、つまり第12のハーフミラー2312の裏面に張り付けてもよい。
第15のハーフミラー2315で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第16のハーフミラー2316でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第14の出射光2614となる。第14のハーフミラー2314で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第17のハーフミラー2317でZ方向に反射されて、第18のハーフミラー2318を透過して、紙面左側から5番目の第15の出射光2615となる。第10のハーフミラー2310で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第13のハーフミラー2313で紙面右方向に透過し、第19のハーフミラー2319でZ方向に反射されて、紙面左側から6番目の第16の出射光2616となる。
第11~第16の出射光2611~2616の強度は、発振器21からの出力を100として、第10~第19のハーフミラー2310~2319の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。図5に示す数字は、各ハーフミラー2310~2319における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第11の出射光の強度:8.4
第12の出射光の強度:9.3
第13の出射光の強度:8.4
第14の出射光の強度:9.5
第15の出射光の強度:8.0
第16の出射光の強度:9.3
合計:52.9
図5に示すように、第11~第16の出射光2611~2616の強度は、それぞれ8.4、9.3、8.4、9.5、8.0、9.3となり、合計52.9となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第10~第19のハーフミラー2310~2319の間隔、つまり列の間隔を20mm~40mm程度とし、各ハーフミラー2310~2319に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、60GHzにおいて大凡10cm~20cm程度のライン光源となる。
(90GHzの構成例1)
図6は、90GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例1を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第21のハーフミラー2321と、1列3行に配設される第22のハーフミラー2322と、2列1行に配設される第23のハーフミラー2323と、2列2行に配設される第24のハーフミラー2324と、3列3行に配設される第25のハーフミラー2325と、4列2行に配設される第26のハーフミラー2326と、5列1行に配設される第27のハーフミラー2327と、からなる5列3行の行列に配設される第21~第27の7枚のハーフミラー2321~2327から構成されている。
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第21のハーフミラー2321と第22のハーフミラー2322をZ方向に透過して、紙面最左側の第21の出射光2621となる。第21のハーフミラー2321で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第23のハーフミラー2323でZ方向に反射されて、第24のハーフミラー2324を透過し、紙面左側から2番目の第2の出射光2622となる。第22のハーフミラー2322で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第25のハーフミラー2325で反射して、紙面左側から3番目の第23の出射光2623となる。第24のハーフミラー2324で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第26のハーフミラー2326でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第24の出射光2624となる。第21のハーフミラー2321で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第23のハーフミラー2323を透過し、第27のハーフミラー2327でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第25の出射光2625となる。
第21のハーフミラー2321と、第22のハーフミラー2322と、第23のハーフミラー2323は、例えば、キャリア密度が2.2×1013cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は25%、反射率は58%である。
第24のハーフミラー2324は、例えば、キャリア密度が2.8×1014cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが559μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は33%、反射率は33%である。
第25~第27のハーフミラー2325~2327は、例えば、キャリア密度が8.8×1018cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが520μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は0%、反射率は80%である。
第21~第25の出射光2621~2625の強度は、発振器21からの出力を100として、第21~第27のハーフミラー2321~2327の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。図6に示す数字は、発振器21からの出力を100とした場合の各ハーフミラー2321~2327における透過波3及び反射波4の強度を示している。
第21の出射光の強度:6.3
第22の出射光の強度:11.1
第23の出射光の強度:11.6
第24の出射光の強度:8.9
第25の出射光の強度:11.6
合計:49.5
図6に示すように、第21~第25の出射光2621~2625の強度は、それぞれ6.3、11.1、11.6、8.9、11.6となり、合計49.5の出力となることが分かる。例えば、第21~第27のハーフミラー2321~2327の間隔、つまり列の間隔を25mm~50mm程度とし、各ハーフミラーに入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、90GHzにおいて大凡10cm~20cm程度のライン光源となる。ここで、第21の出射光2621の強度は6.3であり、他の第22~第25の出射光2622~2625の強度よりも低い値である。従って、ライン光源の出射光の強度分布を重視する場合には、第22~第25の出射光2622~2625だけを用いてもよい。このときの合計の出力は43.2となり、各列からの出力がほぼ均一となる。この場合には、第22のハーフミラー2322を透過したテラヘルツ波を吸収する吸収体を、透過する側の面、つまり第22のハーフミラー2322の裏面に張り付けてもよい。
(90GHzの構成例2)
図7は、90GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例2を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第31のハーフミラー2331と、1列2行に配設される第32のハーフミラー2331と、2列2行に配設される第33のハーフミラー2333と、3列1行に配設される第34のハーフミラー2334と、3列2行に配設される第35のハーフミラー2335と、4列2行に配設される第36のハーフミラー2336と、5列1行に配設される第37のハーフミラー2337とからなる5列2行の行列に配設される第31~第37の7枚のハーフミラー2331~2337から構成されている。
第31のハーフミラー2331と、第32のハーフミラー2332と、第34のハーフミラー2334と、第35のハーフミラー2335は、例えば、キャリア密度が2.2×1013cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は25%、反射率は58%である。
第33のハーフミラー2333と、第37のハーフミラー2337は、例えば、キャリア密度が5.1×1015cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は0%、反射率は67%である。
第36のハーフミラー2336は、例えば、キャリア密度が1×1012cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが601μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は58%、反射率は42%である。
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第31のハーフミラー2331と第32のハーフミラー2332をZ方向に透過して、紙面最左側の第31の出射光2631となる。第32のハーフミラー2332で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第33のハーフミラー2333でZ方向に反射されて、紙面左側から2番目の第32の出射光2632となる。第31のハーフミラー2331で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第34のハーフミラー2334でZ方向に反射されて、第35のハーフミラー2335を透過して、紙面左側から3番目の第33の出射光2633となる。第35のハーフミラー2335により紙面右方向に反射されたテラヘルツ波は、第36のハーフミラー2336でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第34の出射光2634となる。第34のハーフミラー2334を紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第37のハーフミラー2337でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第35の出射光2635となる。
第31~第35の出射光2631~2635の強度は、発振器21からの出力を100として、第31~第37のハーフミラー2331~2337の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。図7に示す数字は、各ハーフミラー2331~2337における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第31の出射光の強度:6.3
第32の出射光の強度:8.4
第33の出射光の強度:8.4
第34の出射光の強度:8.4
第35の出射光の強度:8.2
合計:39.7
図7に示すように、第31~第35の出射光2631~2635の強度は、それぞれ6.3、8.4、8.4、8.4、8.2となり、合計39.7となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第31~第37のハーフミラー2331~2337の間隔、つまり列の間隔を25mm~50mm程度とし、各ハーフミラー2331~2337に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、90GHzにおいて大凡10cm~20cm程度のライン光源となる。
(140GHzの構成例1)
図8は、140GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例1を示す図である。図8に示すように、複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第41のハーフミラー2341と、1列2行に配設される第42のハーフミラー2342と、2列2行に配設される第43のハーフミラー2343と、3列1行に配設される第44のハーフミラー2344と、3列2行に配設される第45のハーフミラー2345と、4列2行に配設される第46のハーフミラー2346と、5列1行に配設される第47のハーフミラー2347と、からなる5列2行の行列に配設される第41~第47の7枚のハーフミラー2341~2347から構成されている。この構成は、図4に示す60GHzの構成例1と同様である。
第41のハーフミラー2341と、第42のハーフミラー2342と、第44のハーフミラー2344と、第45のハーフミラー2345と、第7のハーフミラー2347は、キャリア密度が1×1012cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが601μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は36%、反射率は64%であり、図4に示す60GHzの構成例1と同じ値である。
第43のハーフミラー2343と、第46のハーフミラー2346は、キャリア密度が5.1×1015cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は0%、反射率は55%である。この透過率は図4に示す60GHzの構成例1と同様に0%であるが、反射率は、図4に示す60GHzの構成例1の57%よりも若干低い55%である。
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第41のハーフミラー2341と第42のハーフミラー2342によりZ方向に透過し、紙面最左側の第41の出射光2641となる。第42のハーフミラー2342で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第43のハーフミラー2343で反射してZ方向に反射され、紙面左側から2番目の第42の出射光2642となる。第41のハーフミラー2341で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第44のハーフミラー2344で反射して、第45のハーフミラー2345をZ方向に透過し、紙面左側から3番目の第43の出射光2643となる。第45のハーフミラー2345で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第46のハーフミラー2346でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第44の出射光2644となる。第44のハーフミラー2344により紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第47のハーフミラー2347でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第45の出射光2645となる。
第41~第45の出射光2641~2645の強度は、発振器21からの出力を100として、第41~第47のハーフミラー2341~2347の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。図8に示す数字は、各ハーフミラー2341~2347における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第1の出射光の強度:13
第2の出射光の強度:12.7
第3の出射光の強度:14.7
第4の出射光の強度:14.4
第5の出射光の強度:14.7
合計:69.5
図8に示すように、第41~第45の出射光2641~2645の強度は、それぞれ13、12.7、14.7、14.4、14.7、合計69.5となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第41~第47のハーフミラー2341~2347の間隔、つまり列の間隔を25mm~50mm程度とし、各ハーフミラー2341~2347に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、140GHzにおいて大凡10cm~20cm程度のライン光源となる。
図8に示す第41~第47のハーフミラー2341~2347の配列と使用するハーフミラー2341~2347のキャリア密度は、図4に示した60GHzの構成例1と同様の構成を有しているので、第41~第47の出射光2641~2645の140GHzにおける強度もほぼ同様となる。
(140GHzの構成例2)
図9は、140GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例2を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第51のハーフミラー2351と、1列2行に配設される第52のハーフミラー2352と、2列2行に配設される第53のハーフミラー2353と、3列1行に配設される第54のハーフミラー2354と、3列2行に配設される第55のハーフミラー2355と、4列1行に配設される第56のハーフミラー2356と、5列1行に配設される第57のハーフミラー2357と、5列2行に配設される第58のハーフミラー2358と、からなる5列2行に配設される第51~第58の8枚のハーフミラー2351~2358から構成されている。
第51のハーフミラー2351は、キャリア密度が1×1012cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが601μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は36%、反射率は64%であり、図4に示す60GHzの構成例1と同じ値である。
第52のハーフミラー2352は、例えば、キャリア密度が2.8×1014cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが559μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は23%、反射率は55%である。この透過率23%は図4に示す60GHzの構成例1の透過率26%よりも小さく、反射率は、図4に示す60GHzの構成例1の50%よりも若干高い55%である。
第53のハーフミラー2353と、第57のハーフミラー2357は、キャリア密度が5.1×1015cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は0%、反射率は55%である。この透過率は図4に示す60GHzの構成例1と同様に0%であるが、反射率は、図4に示す60GHzの構成例1の57%よりも若干低い55%である。
第54のハーフミラー2354と、第55のハーフミラー2355と、第56のハーフミラー2356と、第58のハーフミラー2358は、例えば、キャリア密度が2.2×1013cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は68%、反射率は27%である。この透過率68%は図4に示す60GHzの構成例1の透過率29%よりも大きく、反射率27%は図4に示す60GHzの構成例1の64%よりも低い値である。
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第51のハーフミラー2351と第52のハーフミラー2352によりZ方向に透過し、紙面最左側の第51の出射光2651となる。第52のハーフミラー2352で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第53のハーフミラー2353で反射してZ方向に反射されて、紙面左側から2番目の第52の出射光2652となる。第51のハーフミラー2351で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第54のハーフミラー2354で反射して、第55のハーフミラー2355をZ方向に透過して、紙面左側から3番目の第53の出射光2653となる。第54のハーフミラー2354で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第56のハーフミラー2356でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第54の出射光2654となる。第56のハーフミラー2356により紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第57のハーフミラー2357でZ方向に反射されて、第58のハーフミラー2358をZ方向に透過して紙面左側から5番目の第55の出射光2655となる。
第51~第55の出射光2651~2655の強度は、発振器21からの出力を100として、第51~第58のハーフミラー2351~2658の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。図9に示す数字は、各ハーフミラー2351~2658における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第51の出射光の強度:8.3
第52の出射光の強度:10.9
第53の出射光の強度:11.8
第54の出射光の強度:11.8
第55の出射光の強度:11.1
合計:53.9
図9に示すように、第51~第55の出射光2651~2655の強度は、それぞれ8.3、10.9、11.8、11.8、11.1となり、合計53.9となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第51~第58のハーフミラー2351~2658の間隔、つまり列の間隔を25mm~50mm程度とし、各ハーフミラー2351~2658に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、140GHzにおいて大凡10cm~20cm程度のライン光源となる。
(140GHzの構成例3)
図10は、140GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例3を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第61のハーフミラー2361と、1列2行に配設される第62のハーフミラー2362と、2列1行に配設される第63のハーフミラー2363と、3列2行に配設される第64のハーフミラー2364と、4列1行に配設される第65のハーフミラー2365と、5列1行に配設される第66のハーフミラー2366とからなる5列2行に配設される第61~第66の6枚のハーフミラー2361~2366から構成されている。
第61のハーフミラー2361と、第63のハーフミラー2363と、第65のハーフミラー2365は、キャリア密度が2.2×1013cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は68%、反射率は27%である。この透過率68%は図4に示す60GHzの構成例1の透過率29%よりも大きく、反射率27%は図4に示す60GHzの構成例1の64%よりも低い値である。
第62のハーフミラー2362と第64のハーフミラー2364は、キャリア密度が8.8×1018cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが520μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は0%、反射率は75%である。この透過率は図4に示す60GHzの構成例1と同様に0%であるが、反射率は、図4に示す60GHzの構成例1の85%よりも若干低い75%である。
第66のハーフミラー2366は、キャリア密度が5.1×1015cm-3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は0%、反射率は55%である。この透過率は図4に示す60GHzの構成例1と同様に0%であるが、反射率は、図4に示す60GHzの構成例1の57%よりも若干低い55%である。
140GHzの構成例1及び2においては、発振器21から出射したテラヘルツ波は、何れも1列1行に配設される第41及び第51のハーフミラー2341、2351の上側から入射される構成例である。これに対して、140GHzの構成例3の複数のハーフミラー23においては、140GHzの構成例1及び2とは異なり、発振器21から出射したテラヘルツ波は、1列1行に配設される第61のハーフミラー2361の横側から入射する構成とした。
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第61のハーフミラー2361の横側から入射し、第61のハーフミラー2361を紙面右方向に透過し、第63のハーフミラー2363によりZ方向に反射されて、紙面左側から1番目の第61の出射光2661となる。第61のハーフミラー2361によりZ方向に反射したテラヘルツ波は、第62のハーフミラー2353で紙面右方向に反射し、さらに、第64のハーフミラー2364によりZ方向に反射して、紙面左側から2番目の第62の出射光2662となる。第63のハーフミラー2363を紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、さらに、第65のハーフミラー2365によりZ方向に反射して、紙面左側から3番目の第63の出射光2663となる。第65のハーフミラー2365を紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第66のハーフミラー2366によりZ方向に反射して、紙面左側から4目の第64の出射光2664となる。
第61~第64の出射光2661~2664の強度は、発振器21からの出力を100として、第61~第66のハーフミラー2361~2666の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。図10に示す数字は、各ハーフミラー2361~2666における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第61の出射光の強度:18.4
第62の出射光の強度:15.2
第63の出射光の強度:12.5
第64の出射光の強度:17.3
合計:63.4
図10に示すように、第61~第64の出射光2661~2664の強度は、それぞれ18.4、15.2、12.5、17.3、合計63.4となり、各列からの出力としては両端の強度が大きい略凹状の出力分布となることが分かる。例えば、第61~第64のハーフミラー2361~2666の各間隔、つまり列の間隔を25mm~50mm程度とし、各ハーフミラー2361~2666に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、140GHzにおいて大凡10cm~20cm程度のライン光源となる。
このように、構成を変更することで、複数のハーフミラー23の透過率又は反射率を種々に設定することにより、ライン状に均一な出力分布や凸状の出力分布を得ることができ、或いは、照射対象及び照射目的に応じた所望の出力分布を得るように設定することができる。以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1として、ハーフミラー1を、シリコンウェハーを用いて作製した。シリコンウェハーは直径が6インチのCZ法(チョクラルスキー法)又はFZ法(浮遊帯法)で製造されたN型で方位が(100)面の結晶を、所定の厚さと所定のキャリア密度としたものを用いた。用いたシリコンウェハーを表1に示す。キャリア密度は、CV法(容量電圧法)により測定した。
Figure 0007015023000001
番号1のシリコンウェハーは、厚さの仕様が600±10μm、キャリア密度が1×1012cm-3である。番号2のシリコンウェハーは、厚さの仕様が300±10μm、キャリア密度が2.2×1013cm-3であった。番号3のシリコンウェハーは、厚さの仕様が550±15μmで、キャリア密度が2.8×1014cm-3であった。番号4のシリコンウェハーは、厚さの仕様が620±15μm、キャリア密度が5.1×1015cm-3であった。番号5のシリコンウェハーは、厚さの仕様が525±15μmで、キャリア密度が8.8×1018cm-3であった。なお、表1には、使用したシリコンウェハーの厚さを実際に測定し、5回の測定の平均値を5回平均の厚さ(μm)として示している。以下に示すシリコンウェハーの厚さは、5回平均の厚さである。
(透過率及び反射率の測定:60GHz)
シリコンウェハーの60GHzにおける透過率及び反射率は、図2に示すテラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置9により測定した。テラヘルツ波の発振器2として、60GHzの連続発振(CW発振)のガンダイオード発振器(SPACEK LABS社製、モデルGDO-15-6013R)を使用した。ガンダイオード発振器2の出力は、約10mWである。図2に示すように、シリコンウェハーには、テラヘルツ波2aを45°の入射角度で照射し、透過波3及び反射波4を、60GHz用のショットキーバリヤダイオード(SPACEK LABS社製、モデルDV-2N)により測定した。
テラヘルツ波2aの出力を100として正規化した透過率及び反射率を測定した。表2は表1に示す5水準のシリコンウェハーにおける60GHzの透過率及び反射率を示す。
Figure 0007015023000002
番号1のシリコンウェハー(キャリア密度:1×1012cm-3)における透過率は36%、反射率は64%であった。番号2のシリコンウェハー(キャリア密度:2.2×1013cm-3)における透過率は29%、反射率は64%であった。番号3のシリコンウェハー(キャリア密度:2.8×1014cm-3)における透過率は26%、反射率は50%であった。番号4のシリコンウェハー(キャリア密度:5.1×1015cm-3)における透過率は0%、反射率は57%であった。番号5のシリコンウェハー(キャリア密度:8.8×1018cm-3)における透過率は0%、反射率は85%であった。
番号1~3のシリコンウェハーのキャリア密度は、1×1012cm-3~2.8×1014cm-3であり、透過波3と反射波4が生じることが判明した。データからは、シリコンウェハーのキャリア密度の上昇と共に透過率が減少することが分かる。また、番号1のシリコンウェハー(厚さ:約600μm)においては、透過率が約37%となるシリコンウェハーの厚さが大凡1/αであることから、αは約16.7cm-1と求まる。これにより、シリコンウェハーの厚さを変えることで、透過率を調整できることが分かる。
番号4及び5のシリコンウェハーのキャリア密度は、5.1×1015cm-3~8.8×1018cm-3であり、反射波4のみが生じることが判明した。上記のデータからは、シリコンウェハーのキャリア密度の上昇により透過率が減少し、キャリア密度がある程度高くなると反射波4のみが生じることが推定できる。これにより、シリコンウェハーのキャリア密度を変えることで、反射率を調整できることが分かる。
(透過率及び反射率の測定:90GHz)
90GHzにおける透過率及び反射率の測定は、60GHzと同様に、図2に示すテラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置9により測定した。テラヘルツ波の発振器2として、90GHzの連続発振のガンダイオード発振器(SPACEK LABS社製、モデルGW-900P)を使用した。ガンダイオード発振器の出力は、約10mWである。60GHzと同様に透過波3及び反射波4を、テフロン(登録商標)製のレンズ8で集光し、ショットキーバリヤダイオード(millitech社製、モデルDXP-10-RPF0)により検出した。
テラヘルツ波2aの出力を100として正規化した透過率及び反射率を測定した。表3は、表1に示す5水準のシリコンウェハーにおける90GHzの透過率及び反射率を示す。
Figure 0007015023000003
番号1のシリコンウェハー(キャリア密度:1×1012cm-3)における透過率は58%、反射率は42%であった。番号2のシリコンウェハー(キャリア密度:2.2×1013cm-3)における透過率は25%、反射率は58%であった。番号3のシリコンウェハー(キャリア密度:2.8×1014cm-3)における透過率は33%、反射率は33%であった。番号4のシリコンウェハー(キャリア密度:5.1×1015cm-3)における透過率は0%、反射率は67%であった。番号5のシリコンウェハー(キャリア密度:8.8×1018cm-3)における透過率は0%、反射率は80%であった。
90GHzにおいても60GHzと同様に、番号1~3のシリコンウェハーにより透過波3及び反射波4が得られ、かつ、番号4及び5のシリコンウェハーにより反射波4のみが得られた。これにより、90GHzにおいても60GHzと同様にシリコンウェハーはハーフミラー1として動作し、透過率及び反射率はキャリア密度や厚さにより調整できることが分かった。
(透過率及び反射率の測定:140GHz)
140GHzにおける透過率及び反射率の測定は、60GHzと同様に、図2に示すテラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置9により測定した。テラヘルツ波の発振器2として、140GHzの連続発振のIMPATTダイオードを用いた発振器(ELVA-1社製、モデルCIDO-06/140/20)を使用した。IMPATTダイオード発振器2の出力は大凡10mWである。60GHzと同様に透過波3及び反射波4を、テフロン(登録商標)製のレンズ8で集光し、ショットキーバリヤダイオード(ELVA-1社製、モデルZBD-06)により検出した。
テラヘルツ波2aの出力を100として正規化した透過率及び反射率を測定した。表4は、表1に示す5水準のシリコンウェハーにおける140GHzの透過率及び反射率を示す。
Figure 0007015023000004
140GHzにおいても60GHzと同様に、番号1~3のシリコンウェハーにより透過波3及び反射波4が得られ、かつ、番号4及び5のシリコンウェハーにより反射波4のみが得られた。これにより、140GHzにおいても60GHzと同様にシリコンウェハーはハーフミラー1として動作し、透過率又は反射率はキャリア密度や厚さにより調整できることが分かった。
実施例2として、第1の実施形態のハーフミラー23を用いたテラヘルツ波の照射装置20について説明する。
90GHzの構成例1(図6参照)に示す複数のハーフミラー23として、7枚のシリコンウェハーを用いたテラヘルツ波の照射装置20を作製した。ハーフミラー23に用いたシリコンウェハーは表1に示したものであり、番号2のシリコンウェハー(キャリア密度:2.2×1013cm-3)を3枚、番号3のシリコンウェハー(キャリア密度:2.8×1014cm-3)を1枚、番号5のシリコンウェハー(キャリア密度:8.8×1014cm-3)を3枚使用している。
図11は、実施例2のテラヘルツ波の照射装置20の模式的な平面図である。実施例2の照射装置20は、具体的には螺子穴付きの光学定盤に、90GHzの発振器21と、放物面鏡22と、7枚のシリコンウェハーからなるハーフミラー2321~2327とを配置して構成した。用いる複数のハーフミラー23の構成は、図6に示す90GHzの構成例1と同じであるので、各ハーフミラー23及び各列の出射光26には、図6と同様の符号を付した。ここで、図6に示す90GHzの構成例1で説明したように、出射光の強度分布を重視して第22~第25の出射光2622~2625をライン光源として取り出した。
各シリコンウェハーの大きさは34mm×60mmであり、該シリコンウェハーを、7台のミラースタンドに張り付けた。各シリコンウェハーは、図11に示すように、入射するテラヘルツ波に対して、大凡45°の角度とした。
90GHzの発振器21として、実施例1と同様に、ガンダイオード発振器(SPACEK LABS社製、モデルGW-900P)を使用し、ホーンアンテナ21aで出力した。ガンダイオード発振器の出力は、約10mWであり、放物面鏡22により所定の光束として、第21のハーフミラー2321に入射した。
照射装置20の出射部25に、90GHzのショットキーバリヤダイオード(millitech社製、モデルDXP-10-RPF0)を配設して、図11に示すようにX方向のテラヘルツ波、つまり第2~第5列の出射光2622~2625を測定した。
図12は、実施例2のテラヘルツ波の照射装置20のX方向のテラヘルツ波の出力分布を示す図であり、横軸はX方向の距離(mm)、縦軸はショットキーバリヤダイオードの出力(任意目盛)である。図12に示すように、左から右に向って5つのピークが生じ、90GHzの発振器21からのテラヘルツ波が、シリコンウェハーからなるハーフミラー2321~2327により約10cmのライン光源に変換されていることが分かった。図12に示す各ピークの大きさが異なるのは、特に1列及び2列のシリコンウェハーの角度が45°からずれていることに起因すると推定される。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
例えば、上述した実施例2においては、5列3行のマトリクス状に配設した複数のハーフミラー23を示したが、これに限らず、他のハーフミラー23の構成も使用できることは明らかである。
上述した実施例2においては、7枚のハーフミラー23を5列3行のマトリクス状に配設したが、これに限らず、行は3行の配置ではなく2行でもよく、又、使用するシリコンウェハーの厚さやキャリア密度は、適宜に変更できることは明らかである。
なお、上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えばテラヘルツ波の照射装置20を紙葉類11の検査装置10に用いた例について説明したが、何ら限定されるものではなく、他の用途に用いることもでき、例えば立体形状の被照射部位にテラヘルツ波を照射する装置であってもよく、人体等の生物にテラヘルツ波を照射する装置であってもよい。
上記実施形態では、照射装置20を用いた検査装置10として、紙葉類11を透過したテラヘルツ波を検出装置30により検出したが、これに限定されるものではない。紙葉類11に対して照射装置20と同じ側に検出部を設けることで、紙葉類11の表面又は裏面で反射されたテラヘルツ波を検出するように構成することも可能である。
1 ハーフミラー
2 発振器
3 透過波
4 反射波
5 透過波の検出器
6 反射波の検出器
7,8 集光用部品
9 テラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置
10 検査装置
11 紙葉類
12 搬送装置
12a 照射位置
13 搬送ガイド
20 照射装置
21 発振器
21a アンテナ(ホーンアンテナ)
22 集光用部品(放物面鏡)
23 複数のハーフミラー
25 出射部
26 出射光
30 検出装置
31 集光用光学部品
32 検出素子
33 検出素子群
34 情報処理部
35 プリント基板

Claims (9)

  1. シリコンウェハーからなり、該シリコンウェハーへ入射するテラヘルツ波に対する透過率又は反射率を、該シリコンウェハーのキャリア密度により設定する、テラヘルツ波のハーフミラー。
  2. 前記透過率を前記シリコンウェハーの厚さにより設定する、請求項1に記載のテラヘルツ波のハーフミラー。
  3. テラヘルツ波の発振器と、
    該テラヘルツ波を所定の光束とする集光用部品と、
    テラヘルツ波を透過及び反射又は反射する複数のハーフミラーと、
    を備え、
    前記複数のハーフミラーを行列状に所定の箇所に配設し、
    前記光束を、前記複数のハーフミラーの列の一端又は他端の上側又は横側から入射し、
    前記複数のハーフミラーにおける透過及び反射により、前記列の下端側から前記テラヘルツ波をライン状に出射する、テラヘルツ波の照射装置。
  4. 前記ライン状に出射するテラヘルツ波を所定の出力分布となるように、前記複数のハーフミラーの透過率又は反射率を設定する、請求項3に記載のテラヘルツ波の照射装置。
  5. 前記ハーフミラーを、シリコンウェハーとする、請求項3に記載のテラヘルツ波の照射装置。
  6. 前記複数のハーフミラーを、キャリア密度が異なるシリコンウェハーの組合せとする、請求項3に記載のテラヘルツ波の照射装置。
  7. 前記複数のハーフミラーを、厚さが異なるシリコンウェハーの組合せとする、請求項3に記載のテラヘルツ波の照射装置。
  8. 前記複数のハーフミラーの各ハーフミラーを所定の角度で保持する保持部を備える、請求項3に記載のテラヘルツ波の照射装置。
  9. 照射装置用ケースを備え、前記発振器が、該照射装置用ケースと接続されている、請求項3に記載のテラヘルツ波の照射装置。
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