JP7014863B2 - インク循環装置、インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
しかし、特に、装置の小型化のために、インク循環ポンプとして圧電ポンプを採用する場合は、高い周波数で圧力変動する圧電ポンプの圧力室で細かな気泡が発生し易い。インク中に含まれる気泡は、インクとともにインクジェットヘッド及びインク循環装置を循環してしまう。
しかし、装置を小型化するとフィルター上流側の空間も容積が小さくなり、フィルターでトラップした気泡は比較的短い時間でフィルターの上流側に溜まりやすい。
さらに、インクとフィルターとの接触面積が小さくなると、フィルターの圧力損失が大きくなる。フィルター上流側の圧力が、フィルターを空気が通過するバブルポイント圧力を超えてしまうと、インク内の気泡はインクと一緒にフィルターを通過してしまい、気泡による吐出不良を発生させる。
本実施形態のインクジェット記録装置は、上記インク循環装置と、前記ノズル部を有するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドによる印刷位置に記録媒体を搬送する搬送部と、を備える。
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、ケーシング2内に送りテーブル3と、キャリッジ4と、メンテナンスユニット5とが設置されている。
送りテーブル3は、ケーシング2内に設置された送り用ガイドレール6にスライド可能に保持されている。送り用ガイドレール6は、略水平方向に直線状に延びている。送りテーブル3は、図示しない送りモータによって送り用ガイドレール6に沿う方向に移動される。送りテーブル3には、送りテーブル3上に枚葉紙等のシート状の記録媒体Sを吸着固定する負圧発生装置7が設けられている。これら送りテーブル3、送り用ガイドレール6、前記送りモータ及び負圧発生装置7により、記録媒体Sを、後述するインクジェットヘッド11による印刷位置に搬送する搬送部8が構成されている。なお、記録媒体Sは、紙に限らず、樹脂や金属のフィルム、木材の板等であってもよい。
キャリッジ4には、複数のインクジェットユニット10が搭載されている。複数のインクジェットユニット10は、キャリッジ4の走査方向に沿って配列されている。
この実施形態に係るインクジェット記録装置1は、記録媒体S上に入力信号に応じた印刷を行う場合に、複数のインクジェットユニット10を搭載したキャリッジ4と、記録媒体Sを載せた送りテーブル3とを適宜直線移動させる。このとき、複数のインクジェットユニット10への入力信号に応じて、インクジェットヘッド11のアクチュエータがインクの圧力を高め、複数のノズル部からインクを噴射して記録媒体Sに印刷を行う。
また、インクジェットヘッド11とインク循環装置12とを一体化してインクジェットユニット10とすることで、インクジェットヘッド11とインク循環装置12との間のインク吸排管が簡素化されている。インクジェットユニット10には、インクカートリッジからインク循環装置12へインクを送液する図示しない補給チューブおよび電力供給配線が接続されている。
ケーシング17は、全体がほぼ直方体状に形成されている。ケーシング17は、インクジェットユニット10が前記キャリッジ4に搭載された状態で、キャリッジ4の走査方向と合致する幅方向Wの寸法が、送りテーブル3の送り方向と合致する奥行方向Dの寸法と高さ方向Hの寸法に比較して小さくなっている。なお、インクジェットヘッド11も同様の直方体状に形成され、もってインクジェットユニット10の幅方向Wの寸法が抑えられている。
インク戻し管19は、インクジェットヘッド11からインク循環装置12にインクを戻す管であり、ケーシング17の下端から下方へ延びている。
ポンプユニット25は、外部からケーシング17内にインクを補給可能とする後述するインク補給ポンプ15と、インク循環装置12とインクジェットヘッド11との間でインクを循環させる後述するインク循環ポンプ16と、を備えている。
圧力調整部24は、ケーシング17内部の圧力を調整し、インクジェットヘッド11のノズル部内のインク圧力を適正に保つ。圧力調整部24は、ケーシング17の上端に設置されている。
供給側インク室21および回収側インク室22は、ケーシング本体17A内で奥行方向Dに並んで配置されている。供給側インク室21の下端には、インク供給管18を接続するインク供給部12aが形成されている。回収側インク室22の下端には、インク戻し管19を接続するインク戻し部12bが形成されている。
ポンプユニットケース17Bの中央領域は、ポンプユニット25およびケーシング本体17Aとともに、吐出室20を形成している。吐出室20には、ポンプユニット25の両ポンプ15,16の吐出部15a,16aが臨んでいる。ポンプユニットケース17Bの三つの連通部28には、インク中の気泡を捕獲するフィルター29が取り付けられている。
このフィルター29により、両ポンプ15,16が吐出したインク中の気泡は、供給側インク室21に至る前に捕獲される。フィルター29は、ポンプユニットケース17Bの三つの連通部28の周縁部に対向する枠状のホルダ29aにより、ポンプユニットケース17Bに固定される。
インク補給ポンプ15は、印刷やメンテナンス動作等で消費した量のインクを前記インクカートリッジから吸引してケーシング17に補給する。
インク循環ポンプ16は、回収側インク室22からインクを吸引して吐出室20及び供給側インク室21へ送給する。
圧電ポンプは、モータやソレノイド等の大きな駆動源が不要なので、一般的なダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、チューブポンプ等よりも圧倒的に小さく作ることができるメリットがある。しかし、圧電ポンプは、圧電アクチュエータが圧力室の体積を高速で変化させるという特徴から、圧力室内でインクと空気が激しくぶつかり合い、インク内に気泡を取り込み易い。また、圧電アクチュエータの駆動条件によっては、圧力室内でキャビテーションが起き、インク内に溶存している気体が気泡として現われてしまうこともある。
このように、各ポンプに圧電ポンプを採用する場合は、高い周波数で圧力変動する圧電ポンプの圧力室で発生する細かい気泡を除去するために、圧電ポンプの出口にエアトラップフィルター29を設けることが好ましい。
供給側インク室21には、吐出室20が連通している。吐出室20は、各インク室21,22における奥行方向Dの内側部と幅方向Wで隣接している。吐出室20には、各ポンプ15,16の吐出側の逆止弁が臨んでいる。
ケーシング17内には、インク補給ポンプ15の吸入側の逆止弁が臨む補給室32が設けられている。補給室32は、供給側インク室21における奥行方向Dの外側部と幅方向Wで隣接している。補給室32には、外部からインクを補給可能とするインク補給部33が設けられている。インク補給部33には、ケーシング17外に突出する接続ノズル部33aが連設されている。接続ノズル部33aには、前記インクカートリッジからインク循環装置12へインクを送液可能とする補給チューブが接続される。
吐出室20と吸入室23との間は、ケーシング17における回収側仕切壁49により仕切られている。吸入室23に至ったインクは、インク循環ポンプ16を経て吐出室20に送られる。
インク循環ポンプ16は、奥行方向Dで互いに隣接する吸入室23と吐出室20とに跨って設けられている。インク循環ポンプ16は、吸入部16bを吸入室23に臨ませ、吐出部16aを吐出室20に臨ませている。
同様に、回収側インク室22も、流入するインク中に含まれる気泡を除去する機能を有するとともに、空気室K2の空気量が設定値に維持される。回収側インク室22の空気室K2には、吸入室23に混入した空気も流入する。なお、吸入室23の上部に別途エア抜き構造を備えてもよい。
各インク室21,22の空気室K1,K2は、初期インク充填時等に残った空気で満たされているが、空気以外にインクと反応し難い窒素や希ガスで満たすことも可能である。すなわち、インク初期充填前にインクジェットユニット10内の空気を窒素や希ガスで置換し、この置換後にインクジェットユニット10にインクを供給すれば、窒素や希ガスを空気室K1,K2に充填することが可能である。
上流側インク流路46は、フィルター29により、インク循環ポンプ16の吐出部16aに連通する第一流路46aと、インク供給部12aに連通する第二流路46bと、に仕切られている。吐出室20は、フィルター29により、第一流路46a側の上流室30と、第二流路46b側の下流室31と、に仕切られている。
第一流路46aと下流側インク流路47とは回収側仕切壁49を介して隣接しているので、貫通孔によりバイパス部50を簡単に設けることができる。バイパス部50の貫通孔は、第一流路46aからフィルター29、第二流路46b及びインクジェットヘッド11を経由して下流側インク流路47に至る通常経路の流路抵抗よりも大きな流路抵抗を持っている。
まず、インクジェット記録装置1は、記録媒体Sへの印刷時、キャリッジ4の走査によりインクジェットユニット10を移動させる。インクジェットユニット10は、キャリッジ4の走査に同期して、印刷する画像データに応じたインクを記録媒体Sに対して吐出し、記録媒体Sに画像を形成する。
インクジェットヘッド11からインクが吐出すると、ケーシング17内のインクの量が瞬間的に減少し、回収側インク室22内の圧力が低下する。回収側インク室22内の圧力の低下を圧力センサが検知すると、インク補給ポンプ15が駆動し、吐出したインク量相当のインクを前記インクカートリッジから回収側インク室22へ補給する。
これにより、インクの循環流量が安定するとともに、フィルター29上流の圧力がバブルポイント圧力よりも小さく抑えられ、インクジェットヘッド11へのエアの混入が抑えられる。
このように、インクの循環流量が低下したりインク内の気泡がフィルター29を通過したりすることを抑え、インクの吐出不良を抑えることができる。
本実施形態のバイパス部50は、奥行方向Dに延びる流路を形成しているが、幅方向Wおよび高さ方向Hに延びる流路を含んでもよい。また、バイパス部50は、上流側インク流路46の上流室30と下流側インク流路47の回収側インク室22とを連通させてもよい。
Claims (6)
- インクジェットヘッドに供給するインクを貯留する供給側インク室と、
前記インクジェットヘッドで吐出されなかったインクを貯留する回収側インク室と、
前記供給側インク室に連通し、前記供給側インク室にインクを流入させる吐出室と、
前記回収側インク室から前記吐出室を介してインクを前記供給側インク室に送給するインク循環ポンプと、
前記吐出室を上流室と下流室とに仕切り、インク内の気泡を捕獲するフィルターと、
前記フィルターよりも鉛直方向の上方に配置され、前記上流室と前記回収側インク室とを連通させるバイパス部と、
を備え、
前記供給側インク室、前記回収側インク室、前記吐出室、前記インク循環ポンプ、前記フィルターおよび前記バイパス部は、一つのケーシングに配置される、
インク循環装置。 - 前記インク循環ポンプは、圧電素子により圧電アクチュエータを駆動する圧電ポンプである、
請求項1に記載のインク循環装置。 - 前記インク循環ポンプの吐出部に連通する第一流路に接続されて前記第一流路にメインタンクからインクを補給可能とするインク補給ポンプを備え、
前記インク補給ポンプは、圧電素子により圧電アクチュエータを駆動する圧電ポンプである、
請求項1又は2に記載のインク循環装置。 - 前記バイパス部は、前記インク循環ポンプの吐出部に連通する第一流路から、前記フィルター、前記供給側インク室に連通する第二流路、及び前記インクジェットヘッドを経由して、前記回収側インク室と前記インク循環ポンプの吸入部との間に設けられる下流側インク流路に至る経路に対し、この経路の流路抵抗よりも大きな流路抵抗を持って、前記第一流路と前記下流側インク流路とを直接連通させる、
請求項1から3の何れか一項に記載のインク循環装置。 - 前記バイパス部における前記インク循環ポンプの吐出部に連通する第一流路に臨む開口形成部は、前記フィルターにおける前記第一流路に臨む面に沿う方向を指向する、
請求項1から4の何れか一項に記載のインク循環装置。 - 請求項1から5の何れか一項に記載のインク循環装置と、
前記インクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドによる印刷位置に記録媒体を搬送する搬送部と、
を備えるインクジェット記録装置。
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