以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、先端工具を駆動することで加工作業を行うように構成された作業工具として、手持ち式のハンマドリルを例示する。また、ハンマドリルに対して着脱可能に構成された集塵装置を例示する。
まず、図1を参照して、ハンマドリル1の全体構成について簡単に説明する。図1に示すように、ハンマドリル1は、本体部10と、把持部17とを備えている。
本体部10は、所定の駆動軸A1に沿って延在する長尺状の部分である。本体部10の長軸方向における一端部には、後述のツールホルダ30(図3参照)を介して先端工具90が取り外し可能に装着される。また、この一端部は円筒状に形成されており、ハンマドリル1とは別体として構成された補助ハンドル95が外周部に取り外し可能に装着される。把持部17は、本体部10の後端部から、駆動軸A1に交差する方向(詳細には、概ね直交する方向)に突出する部分であって、使用者による把持が可能に構成されている。
本実施形態のハンマドリル1は、先端工具90を駆動軸A1に沿って直線状に駆動する動作(ハンマ動作)や、先端工具90を駆動軸A1周りに回転駆動する動作(ドリル動作)を行うように構成されている。使用者は、実際に行う加工作業に応じて適切な種類および長さの先端工具90を選択し、ハンマドリル1に先端工具90を装着して使用する。なお、先端工具90は、その軸線と駆動軸A1とが一致するように、ツールホルダ30に装着される。
以下、ハンマドリル1の詳細構成について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、駆動軸A1の延在方向(本体部10の長軸方向、または先端工具90の軸線方向とも言い換えられる)をハンマドリル1の前後方向と規定し、先端工具90が装着される側(ツールホルダ30が配置されている側)をハンマドリル1の前側、把持部17が配置されている側を後側と規定する。また、駆動軸A1に直交し、把持部17の延在方向に対応する方向を上下方向と規定し、本体部10を上側、把持部17の突出端(自由端)側を下側と規定する。更に、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と規定する。
まず、ハンマドリル1のハウジング構造について説明する。図1~図3に示すように、ハンマドリル1は、本体ハウジング11およびハンドルハウジング15を含む。
図3に示すように、本実施形態では、本体ハウジング11は、ギアハウジング12と、モータハウジング13とを含み、全体としては長尺状に形成されて、所定の駆動軸A1に沿って延在している。
ギアハウジング12は、全体としては、駆動軸A1に沿って前後方向に延在する長尺の筒状体として形成されている。本実施形態では、ギアハウジング12は、前端部に円筒状のバレル部121を有し、バレル部121の後側部分は、全体としては断面矩形状に形成されている。モータハウジング13は、全体としては、前後方向に延在する長尺の筒状体として形成されている。モータハウジング13のうち、ギアハウジング12に連結される前端部131は、ギアハウジング12に対応して断面略矩形状に形成されている。前端部131よりも後側の部分は、前端部131よりも小径に形成されている。ギアハウジング12とモータハウジング13とは、夫々に内部機構が組み付けられ、モータハウジング13がギアハウジング12の後側に配置された状態で、ネジ(図示せず)によって前後方向に連結固定されている。ギアハウジング12とモータハウジング13とが相対移動不能に連結固定されることで、単一のハウジング体としての本体ハウジング11が形成されている。
なお、本体ハウジング11には、後述する集塵装置5(図10参照)を着脱するための構成と、集塵装置5の着脱に連動して、集塵装置5内の工具接続路87と連通する第1吸気口111を開閉するための構成が設けられている。これらの構成と、本体ハウジング11の内部構造については後で詳述する。
図2および図3に示すように、ハンドルハウジング15は、全体としては、概ね上下方向に延在する長尺の筒状体として形成されている。より詳細には、ハンドルハウジング15は、カバー部16と、把持部17と、コントローラ収容部18とを含む。
カバー部16は、前端が開口した有底筒状に形成され、モータハウジング13の大部分を覆うように配置されている。把持部17は、長尺の筒状に形成され、カバー部16の後端部から下方に突出している。把持部17の上端部の前面側には、使用者による引き操作が可能に構成されたトリガ171が配置されている。把持部17の内部には、常時にはオフ状態で維持され、トリガ171の引き操作に応じてオン状態とされるスイッチ173が収容されている。コントローラ収容部18は、把持部17の下端部に接続してハンドルハウジング15の下端部を構成しており、全体としては矩形箱状に形成されている。コントローラ収容部18には、モータ2の駆動を制御するコントローラ181が収容されている。コントローラ181は、スイッチ173がオン状態とされるとモータ2を駆動するように構成されている。また、コントローラ収容部18の下端部には、電源としてのバッテリ93が着脱可能に構成されたバッテリ装着部183が設けられている。
以上のような構成により、本実施形態では、本体ハウジング11およびハンドルハウジング15のカバー部16が、駆動軸A1に沿って延在する本体部10を構成している。また、ギアハウジング12と、モータハウジング13の前端部131と、ハンドルハウジング15が外部に露出して、ハンマドリル1の外郭を形成している。なお、本実施形態では、ハンドルハウジング15は、カバー部16とモータシャフト25の後端部の間に配置された弾性部材141(詳細には、圧縮コイルバネ)を介して、本体ハウジング11に対して前後方向に相対移動可能に弾性連結されている。また、本体ハウジング11(モータハウジング13)の後端部に設けられた前後方向に長い長穴143と、ハンドルハウジング15から左右方向に突出し、長穴143に挿通されたガイドピン144によって、ハンドルハウジング15と本体ハウジング11との相対移動が案内される。このような構成によって、モータシャフト25のガタツキ、および、本体ハウジング11からハンドルハウジング15への振動伝達が抑制されている。
以下、本体ハウジング11(ギアハウジング12およびモータハウジング13)の内部構造について説明する。
図4に示すように、ギアハウジング12には、ツールホルダ30と、駆動機構3とが収容されている。ツールホルダ30は、先端工具90を前後方向(駆動軸A1方向)に移動可能、且つ、駆動軸A1周りに回転不能に保持するように構成されており、バレル部121内に配置されている。本実施形態では、駆動機構3は、運動変換機構31と、打撃要素37と、回転伝達機構38とを含む。なお、本実施形態では、駆動機構3は、金属製の支持体125によって支持された状態で、ギアハウジング12内に固定状に保持されている。
運動変換機構31は、モータ2の回転運動を直線運動に変換して打撃要素37に伝達するように構成されている。図4に示すように、本実施形態では、運動変換機構31は、中間シャフト32と、回転体33と、揺動部材34と、ピストンシリンダ35とを含む。中間シャフト32は、後述するモータシャフト25と平行に、前後方向に延在するように配置されている。回転体33は、中間シャフト32の外周部に取り付けられている。揺動部材34は、回転体33の外周部に取り付けられ、回転体33の回転に伴って前後方向に揺動される。ピストンシリンダ35は、有底円筒状に形成され、円筒状のシリンダ36内に前後方向に移動可能に保持されている。ピストンシリンダ35は、揺動部材34の揺動に伴って前後方向に往復移動される。なお、シリンダ36は、ツールホルダ30の後側に同軸状に連結され、一体化されている。一体化されたツールホルダ30およびシリンダ36は、ギアハウジング12に保持された2つの軸受によって回転可能に支持されている。
打撃要素37は、直線状に動作して先端工具90(図3参照)を打撃することで、先端工具90を駆動軸A1に沿って直線状に駆動するように構成されている。本実施形態では、ピストンシリンダ35内に前後方向に摺動可能に配置された打撃子としてのストライカ371と、ストライカ371の前方に配置され、ストライカ371が衝突するインパクトボルト373を含む。なお、ストライカ371の後方のピストンシリンダ35内部の空間は、空気バネとして機能する空気室として規定されている。
モータ2が駆動され、ピストンシリンダ35が前方に向けて移動されると、空気室内の空気が圧縮されて内圧が上昇する。このため、ストライカ371は、高速に前方に押し出されてインパクトボルト373に衝突し、運動エネルギを先端工具90に伝達する。これにより、先端工具90は駆動軸A1に沿って直線状に駆動され、被加工物を打撃する。一方、ピストンシリンダ35が後方へ移動されると、空気室内の空気が膨張して内圧が低下し、ストライカ371が後方へ引き込まれる。また、先端工具90は被加工物に押圧されて、後方へ戻る。運動変換機構31および打撃要素37は、上述の動作を繰り返すことで、ハンマ動作を行う。
回転伝達機構38は、モータシャフト25の回転動力をツールホルダ30に伝達するように構成されている。回転伝達機構38は、中間シャフト32の前端部に設けられた第1ギア381と、シリンダ36の外周部に設けられ、第1ギア381に噛合する第2ギア382を含む複数のギアからなるギア減速機構として構成されている。モータ2が駆動されると、回転伝達機構38を介して、シリンダ36と、シリンダ36に連結されたツールホルダ30が駆動軸A1周りに一体的に回転される。これにより、ツールホルダ30に保持された先端工具90が駆動軸A1周りに回転駆動される。回転伝達機構38は、上述のように、ドリル動作を行う。
なお、本実施形態のハンマドリル1は、図示しないモード切替ダイアルの操作により、ハンマドリルモード、ハンマモード、およびドリルモードの3つの動作モードのうち1つを選択可能に構成されている。ハンマドリルモードは、運動変換機構31および回転伝達機構38が駆動されることで、ハンマ動作およびドリル動作が行われる動作モードである。ハンマモードは、回転伝達機構38における動力の伝達が遮断され、運動変換機構31のみが駆動されることで、ハンマ動作のみが行われる動作モードである。ドリルモードは、運動変換機構31における動力の伝達が遮断され、回転伝達機構38のみが駆動されることで、ドリル動作のみが行われる動作モードである。ギアハウジング12内には、モード切替ダイアルの操作に応じて動作するモード切替機構が設けられているが、モード切替機構の構成自体については公知であるため、ここでの説明は省略する。
図4に示すように、モータハウジング13の内部には、モータ2が収容されている。本実施形態では、小型で高出力であることから、モータ2としてブラシレスモータが採用されている。モータ2は、ステータ21およびロータ23を含むモータ本体部20と、ロータ23から延設されたモータシャフト25とを含む。
モータ2は、モータシャフト25の回転軸A2が駆動軸A1と平行に前後方向に延在するように、モータハウジング13に収容されている。より詳細には、モータ本体部20は、モータハウジング13の中央部138内に配置されている。また、モータシャフト25の前端部は、ギアハウジング12内に突出している。この突出部分に駆動ギア255が設けられており、中間シャフト32の後端部に設けられた被動ギア321に噛合している。駆動ギア255および被動ギア321を介して、モータシャフト25の回転が中間シャフト32に伝達される。
また、図4に示すように、モータシャフト25には、ファン28が取り付けられている。ファン28は、モータシャフト25と一体的に回転軸A2周りに回転可能である。ファン28は、モータ本体部20の前側に配置され、モータハウジング13の前端部131内に配置されている。本実施形態では、ファン28は、二方向から吸気可能な遠心ファンとして構成されている。より詳細には、ファン28は、第1の羽根281と、第1の羽根281の後側に一体的に形成された第2の羽根282とを含む。ファン28は、モータシャフト25と一体的に回転し、第1の羽根281によって集塵用の空気流を形成するとともに、第2の羽根282によってモータ2の冷却用の空気流を形成するように構成されている。
ここで、ファン28によって形成される空気流を本体ハウジング11内へ流入させる吸気口と、本体ハウジング11外へ流出させる排気口の配置について説明する。
図3に示すように、本体ハウジング11の下端部(詳細には、ギアハウジング12とモータハウジング13の前端部131との連結部分の下端部)には、集塵装置5内を通過して粉塵が分離された後の空気流を流入させるための第1吸気口111が設けられている。なお、詳細は後述するが、第1吸気口111は、ハンマドリル1に集塵装置5が取り付けられた状態では開放される一方、集塵装置5が取り付けられていない状態では吸気口カバー45によって閉塞されている。更に、図1および図2に示すように、本体ハウジング11の後部には、モータ2の冷却風を流入させるための第2吸気口112、113が設けられている。より詳細には、図1に示すように、カバー部16の後部の左右の側面には、第2吸気口112が複数設けられている。また、図2に示すように、モータハウジング13のうち、モータ本体部20を収容する中央部138の後端面には、第2吸気口113が複数設けられている。
更に、図1および図2に示すように、本体ハウジング11の中央部(詳細には、モータハウジング13の前端部131の左右の側面)には、排気口114が複数設けられている。なお、排気口114は、ファン28の径方向外側に、ファン28に対向するように配置されている。
ファン28が回転すると、第1吸気口111が開放されている場合には、第1の羽根281によって、第1吸気口111を介して本体ハウジング11(モータハウジング13)内に流入する集塵用の空気流が形成される。この空気流は、ハンマドリル1に集塵装置5が取り付けられている場合には、集塵装置5の吸引口712から粉塵とともに流入し、集塵装置5内を通過する過程で粉塵が分離される。その後、粉塵が分離された状態の空気流が、第1吸気口111から本体ハウジング11内へ流入する。
なお、図4に示すように、前端部131内において、ファン28の前側には、仕切り部材133によって規定された吸気室132が設けられている。集塵用の空気流は、第1吸気口111から吸気室132に流入する。また、図4および図5に示すように、仕切り部材133は、中央部に貫通孔を有する略円形の後壁部134と、後壁部の外縁から前方に延設された周壁部135と、周壁部の下部から下方に延在する断面矩形状の筒状部136を含む。筒状部136の下端の矩形状の開口(図7参照)が、第1吸気口111を構成する。図4に示すように、仕切り部材133は、モータハウジング13と支持体125の後壁部126との間に挟まれている。第1吸気口111および第1の羽根281に対向する貫通孔以外の部分から空気が漏出しないように、仕切り部材133と後壁部126の間は、弾性を有するシール部材127によって密封されている。よって、第1吸気口111から吸気室132に流入した空気流は、後壁部134の貫通孔を通過し、第1の羽根281の径方向外側に開口する排気口114(図1参照)から、本体ハウジング11の外部へ流出する。
また、ファン28が回転すると、第2の羽根282によって、第2吸気口112(図2参照)を介してカバー部16内に流入し、更に、第2吸気口113を介して中央部138内に流入するモータ2の冷却用の空気流が形成される。中央部138の後端部に流入した空気流は、モータ2の周囲を前方へ向かって流れつつモータ2を冷却し、第2の羽根282の径方向外側の排気口114から、本体ハウジング11の外部へ流出する。
上述のように、本実施形態では、集塵用の空気流およびモータ2の冷却用の空気流に関しては、前後方向において、ファン28を中心として互いに反対側に、異なる流路が設けられている。
以下、集塵装置5を着脱するための構成について説明する。
図1および図2に示すように、本体ハウジング11の下端部には、集塵装置5を着脱可能に構成された装着部41が設けられている。本実施形態では、装着部41は、左右一対のガイド溝42を含む。ガイド溝42は、夫々、ギアハウジング12の左右の側面の下端部に設けられ、ギアハウジング12の前端からギアハウジング12の後部まで前後方向に延在している。ガイド溝42は、上下方向に互いに離間して前後方向に延在する2本のレールの間に形成された溝である。ガイド溝42は前方に開口している。ガイド溝42は、集塵装置5に設けられた左右一対のガイドレール512(図11参照)が前後方向にスライド係合可能に構成されている。また、図1および図3に示すように、本体ハウジング11の下端部の前端(ガイド溝42の前側)には、係合凹部43が設けられている。係合凹部43は、本体ハウジング11の下端面から上方へ凹んだ凹部であり、後述する集塵装置5の操作部材54の係合突起543(図11参照)が係合可能に構成されている。なお、ハンマドリル1(本体ハウジング11)に対する集塵装置5の着脱の詳細については後述する。
以下、第1吸気口111を開閉するための構成について説明する。
図4、図6および図7に示すように、本体ハウジング11の下端部には、第1吸気口111を被覆可能に構成された吸気口カバー45が設けられている。
本実施形態では、図7に示すように、吸気口カバー45は、カバー本体451と、一対のガイドピン453とを含む。カバー本体451は、平面視において第1吸気口111よりも一回り大きい矩形板状に形成されている。ガイドピン453は、カバー本体451の左右の前端部から夫々後方に延在する円柱状の部分である。また、図6に示すように、吸気口カバー45は、突起455を有する。突起455は、カバー本体451の下面から下方に突出する部分であって、カバー本体451の後端中央部に設けられている。
一方、図4~図7に示すように、本体ハウジング11の下端部のギアハウジング12とモータハウジング13との連結部分には、本体ハウジング11に対して前後方向に移動可能に吸気口カバー45を保持するカバー保持部47が設けられている。カバー保持部47は、開口部471と、一対のガイド部473と、カバー収容部475とを含む。
開口部471は、第1吸気口111を構成する筒状部136の下端部を包囲する矩形状の開口部であって、ギアハウジング12とモータハウジング13とが連結されることで形成される(図5、図6参照)。一対のガイド部473は、開口部471の左右両端に沿って前後方向に延在している。一対のガイド部473は、夫々、前端および後端が閉塞された略半円筒状に形成され、互いに対向する方向に開口している(図5、図7参照)。カバー収容部475は、開口部471の後側において、モータハウジング13の前端部131の底壁部に設けられた二重壁構造によって構成されている。より詳細には、図6に示すように、カバー収容部475は、上下方向に離間して略平行に配置された上壁476と下壁477によって構成されている。上壁476と下壁477の間に形成される空間は、カバー本体451よりも若干大きく、吸気口カバー45の収容空間として機能する。また、図7に示すように、下壁477には、前端から後方に向けて凹む平面視矩形状の凹部478が設けられている。凹部478の左右方向の幅は、吸気口カバー45の突起455の幅よりも若干広く設定されている。
吸気口カバー45は、前後方向に互いに連結されたギアハウジング12とモータハウジング13とに挟まれた状態で、第1吸気口111を閉塞する閉位置と、第1吸気口111を開放する開位置との間で、駆動軸A1に平行に、前後方向に移動可能に保持されている。本実施形態では、吸気口カバー45は、弾性部材48の付勢力によって、常時には閉位置に維持されている。
より詳細には、本実施形態では、弾性部材48として一対の圧縮コイルバネが採用されている。図7に示すように、弾性部材48は、前端部がガイドピン453に後方から嵌合され、後端部がガイド部473の後端に当接するように配置される。弾性部材48が圧縮され、吸気口カバー45がギアハウジング12とモータハウジング13に前側と後側から挟み込まれた状態で、ギアハウジング12とモータハウジング13が連結される。これにより、左右一対のガイドピン453および弾性部材48は、左右一対のガイド部473内に嵌め込まれる。そして、吸気口カバー45は、弾性部材48によって前方へ付勢され、ガイドピン453の前端がガイド部473の前端に当接する位置で保持される。このとき、カバー本体451は、第1吸気口111の下側において第1吸気口111を閉塞する閉位置に配置される。
一方、吸気口カバー45に対して後方への押圧力が加えられると、弾性部材48の付勢力に抗して、吸気口カバー45が後方へ移動する。吸気口カバー45の後方への移動に伴い、カバー本体451は、第1吸気口111の下側の閉位置から、図8および図9に示すように、カバー収容部475の収容空間内に移動され、第1吸気口111を開放する開位置に配置される。このとき、カバー本体451の下面に設けられた突起455は、下壁477の凹部478内に進入する。なお、本実施形態では、吸気口カバー45は、後述する集塵装置5が装着部41に装着されるのに連動して閉位置から開位置へ移動されるが、この点については、後で詳述する。
次に、集塵装置5の全体構成について簡単に説明する。なお、集塵装置5はハンマドリル1に装着された状態で使用されるため、以下の説明では、便宜上、集塵装置5の方向を、ハンマドリル1に装着されたときのハンマドリル1の方向に合わせて規定する。
図10に示すように、集塵装置5は、本体部51と、粉塵収容部6と、摺動部7と、粉塵移送路80と、工具接続路87とを含む。本体部51は、ハンマドリル1の本体部10の下側に着脱可能に構成されている。粉塵収容部6は、粉塵を収容可能に構成されており、本体部51の下側に取り外し可能に装着されている。摺動部7は、側面視L字状に形成されており、先端部に粉塵の吸引口712を有する。摺動部7は、吸引口712を含む一部が本体部51から前方へ突出した状態で、駆動軸A1に平行な方向(前後方向)に摺動可能に本体部51に保持されている。吸引口712から吸引された粉塵が移送される粉塵移送路80は、摺動部7を通り、粉塵収容部6に接続されている。また、集塵装置5がハンマドリル1に装着された状態では、粉塵収容部6は、本体部51に対して下側(ハンマドリル1と反対側)に配置されるように設けられている。また、粉塵収容部6は、本体部51の内部に設けられた工具接続路87によって、ハンマドリル1の第1吸気口111と接続されている。
ハンマドリル1のモータ2が駆動されると、モータシャフト25と共に回転するファン28の第1の羽根281によって、第1吸気口111から本体ハウジング11内に引き込まれる方向の空気流が形成される。なお、図10では、この空気流の経路が太線矢印で示されている。この空気流によって、集塵装置5の工具接続路87、粉塵収容部6、粉塵移送路80を通して吸引口712に吸引力が作用する。加工作業によって生じた粉塵は、この吸引力によって空気と共に吸引口712から吸い込まれ、粉塵移送路80を通って粉塵収容部6に流入する。粉塵収容部6では、粉塵のみが空気から分離されて収容される。粉塵が分離された後、空気流は、工具接続路87を通って第1吸気口111から本体ハウジング11内に流入し、排気口114(図1参照)から排出される。このように、集塵装置5は、ハンマドリル1のファン28(詳細には、第1の羽根281)によって形成された空気流を用いて粉塵を収集するように構成されている。
以下、集塵装置5の詳細構成について説明する。
まず、本体部51について説明する。図10に示すように、本実施形態では、本体部51は、ハンマドリル1の本体部10に対応する長尺状に形成されており、本体部10に着脱可能に構成されている。本実施形態では、本体部51は、概ね矩形箱状の中空体として形成されており、前後方向に延在する内部空間52を有する。また、本体部51は、前端部に、前方に開口し、内部空間52を外部に連通させる開口部53を有する。内部空間52には、開口部53を介して後述する摺動部7の一部が挿入されている。また、内部空間52には、後述する工具接続路87が配置されている。
また、本体部51には、集塵装置5をハンマドリル1に着脱するための構成が設けられている。より詳細には、図11に示すように、本体部51の上端部には、ハンマドリル1の本体部10(詳細には、装着部41(図1および図2参照))に着脱可能に構成された係合部511が設けられている。係合部511は、本体部51の左右の端部から上方へ突出し、且つ、前後方向に延在する一対の突出部として形成されている。係合部511は、装着部41のガイド溝42(図1および図2参照)に対応する前後方向の長さを有する。また、係合部511は、上端部に、内側に向けて突出する一対のガイドレール512を有する。一対のガイドレール512は、装着部41の一対のガイド溝42に夫々スライド係合可能に構成されている。このような構成により、本実施形態では、ハンマドリル1(本体ハウジング11)に対する集塵装置5の着脱方向は、駆動軸A1に平行な前後方向に設定されている。
また、本体部51の係合部511の前側には、操作部材54が設けられている。操作部材54は、本体部51の上前端部に設けられた収容空間内に収容され、付勢バネ541によって上方に付勢されている。操作部材54は、収容空間内で係止された前端部を支点として、上下方向に揺動可能に保持されている。操作部材54は、後端部に設けられた係合突起543と、中央部に設けられた押圧部542とを有する。係合突起543は、上方に突出するように設けられ、ハンマドリル1の係合凹部43に係合可能に構成されている。押圧部542は、作業者によって外部から押圧操作される部分である。操作部材54は付勢バネ541によって常時上方へ付勢されており、押圧部542および係合突起543は、夫々、本体部51上面に形成された開口部から上方へ突出している。
更に、本実施形態では、本体部51には、集塵装置5のハンマドリル1に対する装着に連動して吸気口カバー45を開放するための構成が設けられている。より詳細には、図8に示すように、本体部51の後端部(より詳細には、後述の工具接続路87よりも後側)の上面には、押圧突起515が設けられている。押圧突起515は、集塵装置5がハンマドリル1に装着された場合に、左右方向において、吸気口カバー45の突起455に対応する位置に設けられるとともに、突起455に干渉可能な位置まで上方に突出している。
図11に示すように、本実施形態では、集塵装置5は、ガイドレール512がハンマドリル1のガイド溝42の前端から後方へ向けてスライド係合されることで装着される。装着前には、上述のように、吸気口カバー45は、弾性部材48の付勢力で閉位置に配置されて第1吸気口111を閉塞している(図6参照)。突起455は、ハンマドリル1に対する集塵装置5の着脱方向(前後方向)に交差するように、吸気口カバー45の下面から下方に突出している。よって、集塵装置5が所定位置まで後方へ移動される過程で、押圧突起515は、突起455の前面に当接し、弾性部材48の付勢力に抗して、吸気口カバー45を後方の開位置まで移動させる(図8参照)。
また、集塵装置5が所定位置まで移動される過程で、使用者は、操作部材54の押圧部542を下方へ押圧し、係合突起543を、付勢バネ541の付勢力に抗して一旦下方へ移動させる。集塵装置5が所定位置まで移動された後、使用者が押圧部542の押圧を解除すると、係合突起543は、付勢バネ541に付勢されて上方へ突出し、係合凹部43に係合する。これにより、集塵装置5のハンマドリル1への装着が完了する。係合突起543は、係合凹部43に係合し、本体ハウジング11と本体部51との前後方向の相対移動を規制することで、ガイド溝42とガイドレール512との係合状態を保持する。
集塵装置5の装着時に使用者が押圧部542を下方へ押圧すると、係合突起543が下方へ移動し、係合突起543と係合凹部43の係合が解除される。作業者は、この状態で、集塵装置5をハンマドリル1に対して前方に移動させることで、集塵装置5をハンマドリル1から取り外すことができる。集塵装置5と共に押圧突起515が前方へ移動される過程で、吸気口カバー45は、弾性部材48の付勢力によって、前方の閉位置へ移動され、第1吸気口111を閉塞した状態で保持される(図6参照)。このように、吸気口カバー45は、集塵装置5の着脱に連動して、自動的に第1吸気口111を開閉する。集塵装置5が装着されていない場合には、吸気口カバー45が閉位置で保持されることで、第1吸気口111を介して粉塵等の異物が本体ハウジング11内に進入するのを防止することができる。
以下、粉塵収容部6の構成について説明する。図11に示すように、本実施形態では、粉塵収容部6は、容器本体61と、フィルタホルダ64と、フィルタ60と、アウタカバー67とを備えている。
容器本体61は、上方に開口する矩形箱状の中空体として形成されている。容器本体61の内部空間は、粉塵が収容される収容空間610として機能する。なお、周知の構成であるため詳細な説明は省略するが、本実施形態では、容器本体61は、上前端部と下後端部に夫々設けられた係合部611、612を介して、本体部51の下端部に着脱可能に構成されている。
フィルタホルダ64は、フィルタ60を保持するとともに、容器本体61上部の開口を覆うように構成されている。図5、図11、図12に示すように、本実施形態では、フィルタホルダ64は、平面視略矩形状に形成されて容器本体61の開口を覆うカバー部641と、カバー部641の外周部を取り巻くように上方に突出する外周壁部646とを含む。カバー部641は、後部中央部に貫通孔として形成された第1開口642と、第1開口642よりも前側に貫通孔として形成された第2開口643とを有する。第1開口642の周囲には、第1開口642を取り巻くように上方に突出する筒状壁部644が設けられている。
フィルタ60は、折りたたまれた状態で、第2開口643に嵌め込まれた平面視矩形枠状のフレーム601に取り付けられ、収容空間610内に保持されている。なお、フィルタ60は、紙や不織布等の通気性を有する素材により形成されており、収容空間610に流入した空気流がフィルタ60を通過する際、粉塵を分離するように構成されている。
アウタカバー67は、フィルタホルダ64(詳細には、カバー部641)を上側から覆うように、外周壁部646の上部に取り付けられている。これにより、上下方向において、アウタカバー67と、フィルタホルダ64のカバー部641との間には、空間が形成されている。また、アウタカバー67は、筒状壁部644に対向する位置に貫通孔として形成された第1開口671と、第1開口671よりも後側に貫通孔として形成された第2開口672とを有する。なお、アウタカバー67は、フィルタホルダ64に密封状に取り付けられている。より詳細には、アウタカバー67の外周部の上端とフィルタホルダ64の外周壁部646との間、および、第1開口671の外周部と筒状壁部644の上端との間は、夫々、弾性を有するシール部材681、682によって密封されている。
更に、フィルタ60を保持するフレーム601の上側には、押え部材605が配置されている。押え部材605は、底壁部606と、側壁部607とを含む。底壁部606は、フレーム601と概ね同形状の矩形枠状に形成されており、中央部に矩形状の貫通孔を有する。側壁部607は、底壁部606の外縁から上方へ突出している。なお、底壁部606の後端縁に対応する部分については、左右方向における中央領域にのみ側壁部607が設けられている。つまり、底壁部606の貫通孔を介して上方に露出するフィルタ60の左側、右側、前側の三方は、側壁部607によって囲われている。一方、フィルタ60の後側には、空気流が後方へ通過可能な開口(流路)が設けられている。フレーム601は、フィルタホルダ64に嵌め込まれたアウタカバー67によって、押え部材605を介して、カバー部641に密着状に上方から押し付けられている。これにより、フィルタ60も、フィルタホルダ64に密封状に取り付けられている。
このような構成によって、容器本体61の収容空間610と、アウタカバー67とカバー部641の間の空間とは、フィルタ60を介してのみ連通している。つまり、フィルタ60を介して連通する以外の部分では、収容空間610と、アウタカバー67とカバー部641の間の空間とは、互いから分離され、密封されている。
本実施形態では、以上のような構成により、アウタカバー67の第1開口671は、筒状壁部644およびフィルタホルダ64の第1開口642を介して収容空間610と連通している。第1開口671は、後述する粉塵移送路80が接続される開口であって、粉塵収容部6に対する空気流の流入口を構成している。また、筒状壁部644は、第1開口671と収容空間610とを接続する流入路82を規定する。後述する粉塵移送路80から粉塵とともに第1開口671に流入した空気流は、流入路82を通過して収容空間610へ流入する。また、アウタカバー67とカバー部641の間の空間は、フィルタ60によって粉塵が分離された状態の空気流が通過して第2開口672に至る連絡路83を構成する。第2開口672は、粉塵収容部6からの空気流の流出口を構成している。なお、流入路82は、連絡路83の後部の中央部を貫通して上下方向に延在している。このため、流入路82とは、左右方向において(左側からまたは右側から見た場合に)、連絡路83の一部とオーバーラップしている。
以下、摺動部7の構成について説明する。図10に示すように、摺動部7は、吸引口712を有する第1筒状部71と、第1筒状部71に連結され、本体部51に保持された第2筒状部72とを含む。
第1筒状部71は、側面視略L字状に形成された筒状部材である。第1筒状部71の一端部には、先端工具90の先端を被覆可能に形成された吸引フード711が設けられている。吸引フード711には、前後方向に吸引フード711を貫通する吸引口712が設けられている。以下、第1筒状部71の吸引フード711が設けられた端部を先端部といい、反対側の端部を基端部という。
第2筒状部72は、直線状に延在する筒状部材である。第2筒状部72は、駆動軸A1と平行に、前後方向に延在するように配置されている。第2筒状部72の前端部には、先端部が上方に配置された状態で、第1筒状部71の基端部が連結固定されている。第2筒状部72のうち、後端部を含む一部は、常時、開口部53を介して本体部51の内部空間52に配置されている。このような構成によって、摺動部7は、吸引口712が開口部53から前方へ突出した状態で、内部空間52内を前後方向に摺動可能に本体部51に保持されている。
本実施形態では、摺動部7は、図10に示す最前方位置と、図12に示す最後方位置との間で、本体部51に対して相対移動可能である。最前方位置とは、前後方向において、吸引口712が最も前方に配置されるときの摺動部7の位置である。最前方位置は、開口部53からの摺動部7の突出長さが最大となる摺動部7の位置と言い換えることもできる。最後方位置とは、前後方向において、吸引口712が最も後方に配置されるときの(つまり、摺動部7が本体部51に対して後方へ最大限まで押し込まれたときの)摺動部7の位置である。最後方位置は、摺動部7の内部空間52への進入長さが最大となる摺動部7の位置と言い換えることもできる。
なお、図12に示すように、本実施形態では、摺動部7が最後方位置に配置された場合、第2筒状部72(つまり、摺動部7のうち前後方向に延在する部分)の概ね全体が本体部51内に配置された状態となる。このとき、摺動部7の最後端(第2筒状部72の最後端)は、フィルタ60との関係では、フィルタ60の後端よりも後側に位置する。また、後述する工具接続路87(接続チューブ78)との関係では、工具接続路87よりも前側に位置する。更に、アウタカバー67の第1開口671との関係では、第1開口671の上方に位置する。
以下、粉塵移送路80について説明する。図10に示すように、粉塵移送路80は、摺動部7内を延在して、吸引口712と粉塵収容部6の第1開口671とを接続する通路である。吸引口712から吸引された粉塵は、粉塵移送路80を通って粉塵収容部6まで移送される。本実施形態では、粉塵移送路80は、前述の第1筒状部71と、ホース74と、ホース接続部76によって規定されている。
ホース74の一端部は、第2筒状部72の前端部に挿入された第1筒状部71の基端部に連結されている。ホース74は、蛇腹状に形成され、伸縮自在とされている。ホース74の他端部は、ホース接続部76の一端部に連結されている。ホース接続部76は、側面視L字状に湾曲する筒状部材である。ホース接続部76の一端部は、前方へ向けられ、ホース74に接続されている。ホース接続部76の他端部は、本体部51の下面に形成された貫通孔に嵌め込まれ、下方へ突出している。ホース接続部76の下端部には、弾性を有するシール部材が装着されている。粉塵収容部6が本体部51に装着されている場合、このシール部材が、粉塵収容部6への空気流の流入口としての第1開口671の周囲で、アウタカバー67の上面に密着状に押し付けられる。これにより、粉塵移送路80と、流入路82とが連通する。なお、ホース74には、圧縮コイルバネが装着されており、圧縮コイルバネの弾性力によって、摺動部7は、常時、本体部51(開口部53)から突出する方向、つまり前方に付勢されている。
工具接続路87について説明する。図11および図5に示すように、工具接続路87は、本体部51の内部空間52に配置され、集塵装置5がハンマドリル1に装着された場合に、粉塵収容部6の第2開口672とハンマドリル1の第1吸気口111とを接続する通路である。本実施形態では、工具接続路87は、本体部51の後端部内において、ホース接続部76の後側で、上下方向に延在している。本実施形態では、工具接続路87は、接続チューブ78によって規定されている。
本実施形態では、接続チューブ78は、全体として軸方向(上下方向)に弾性変形可能に形成されている。より詳細には、接続チューブ78は、中央部781と、中央部781の上側と下側に夫々連結された2つの接続端部783とを含む。中央部781は、伸縮自在に構成された筒状部材である。2つの接続端部783は、弾性体によって同一形状に形成され、中央部781を挟んで上下方向に対称状に配置されている。2つの接続端部783は、左右に配置された2つの弾性部材785(詳細には、圧縮コイルバネ)を介して、上下方向に相対移動可能に連結されている。弾性部材785の弾性力によって、2つの接続端部783は互いに離れる方向に付勢されている。上側の接続端部783の上端部と、下側の接続端部783の下端部は、夫々、本体部51の上面と下面に設けられた貫通孔から突出している。
接続チューブ78の下端(下側の接続端部783の下端)は、弾性部材785の弾性力によって、第2開口672の周囲で、アウタカバー67の上面に密着状に押し付けられている。これにより、粉塵収容部6からの空気流の流出口としての第2開口672に、工具接続路87が接続されている。また、集塵装置5がハンマドリル1(本体ハウジング11)に装着されると、接続チューブ78の上端(上側の接続端部783の上端)は、弾性部材785の弾性力によって、第1吸気口111の周囲で本体ハウジング11の下面に密着状に押し付けられる。これにより、粉塵収容部6の流出口としての第2開口672と、ハンマドリル1の第1吸気口111とが、工具接続路87を介して接続される。
本実施形態では、以上に説明したように、粉塵移送路80、流入路82、粉塵の収容空間610、連絡路83、および工具接続路87が順に接続されて、全体として、ファン28によって生成された集塵用の空気流が通過する吸引通路が形成されている。なお、吸引通路の最下流端を構成する工具接続路87の上端(接続チューブ78の上端の開口)は、集塵装置5における排気口870を構成している。
以下、ハンマドリル1の動作と、ハンマドリル1および集塵装置5における空気流および粉塵の流れについて説明する。図10に示すように、集塵装置5がハンマドリル1に装着され、使用者によってトリガ171が引き操作されると、モータ2の駆動が開始される。モータ2の駆動に伴い、ファン28が回転される。第2の羽根282によって、上述のようにモータ2の冷却用の空気流が形成される。この空気流は、第2吸気口112、113(図1、図2参照)から流入してモータ2を冷却した後、排気口114(図1参照)から排気される。
一方、第1の羽根281によって、上述のように、第1吸気口111から本体ハウジング11内に引き込まれる集塵用の空気流が形成される。この空気流は、矢印Aに示すように、粉塵と共に、先端工具90の周囲に配置された集塵装置5の吸引口712から流入し、矢印Bに示すように、粉塵移送路80を後方へ向けて流れる。そして、矢印Cに示すように、第1開口671から粉塵収容部6に流入し、流入路82を下方に流れ、収容空間610内に流入する。更に、空気流は、矢印Dに示すように、第1開口671(流入路82)に対して前側に配置されたフィルタ60を、上方に向かって通過する。このとき、空気流に含まれていた粉塵は、フィルタ60によって分離(補足)され、収容空間610に収容される。
フィルタ60を通過し、粉塵が分離された状態の空気流は、図12に矢印で示すように、連絡路83を後方の第2開口672(図11参照)に向かって後方へ流れる。なお、上述のように、流入路82は、連絡路83の後部の中央部を貫通して上下方向に延在している。よって、連絡路83を流れる空気流は、流入路82(筒状壁部644)の外側(左右)を通過して、流入路82に対して後側にある第2開口672に至る。なお、連絡路83内を空気流が流れる方向(概ね後ろへ向かう方向)は、流入路82内を空気流が流れる方向(概ね下へ向かう方向)と交差している。
図10に示すように、第2開口672から流出した空気流は、矢印Eに示すように、工具接続路87を通って上方へ流れ、第1吸気口111から本体ハウジング11内(吸気室132内)に流入する。そして、矢印Fに示すように、後壁部134(図4参照)の貫通孔を後方へ通過し、更に、図1に矢印で示すように、ファン28の径方向外側に設けられた排気口114から、本体ハウジング11の外部へと排出される。
以上に説明したように、本実施形態では、ハンマドリル1の本体ハウジング11に設けられたガイド溝42に対して、ガイドレール512を介して、集塵装置5が駆動軸A1に平行に着脱される。また、先端工具90は、ハンマドリル1に対し、駆動軸A1に軸線が一致するように装着される。よって、先端工具90の軸線の方向と、集塵装置5の着脱方向は平行である。このため、ハンマドリル1に先端工具90が装着された状態であっても、吸引口712を先端工具90の周囲に適切に配置しつつ、集塵装置5の着脱を行うことができる。
更に、ハンマドリル1では、集塵装置5の着脱に連動して、吸気口カバー45によって、自動的に第1吸気口111を開閉することができる。これにより、集塵装置5の非装着時には第1吸気口111を閉塞して、本体ハウジング11に粉塵等が進入するのを防止することができる。また、ハンマドリル1では、モータ2は、モータシャフト25が駆動軸A1と平行に延在するように本体ハウジング11に収容されている。よって、モータシャフト25が駆動軸A1と交差する方向に延在する場合に比べ、本体ハウジング11をコンパクトにすることができる。
また、ハンマドリル1の本体部10と把持部17は、全体としてL字状に配置されている。このため、把持部17よりも前側において、把持部17が突出する下側には、デッドスペースが形成される。本実施形態では、本体ハウジング11の下端部に、集塵装置5の装着部としてのガイド溝42が設けられているため、このデッドスペースを集塵装置5の配置スペースとして有効活用しつつ、集塵装置5が装着された状態の作業工具全体をコンパクトにすることができる。また、ガイド溝42は、集塵装置5のガイドレール512がスライド係合可能な所謂スライドガイドとして構成されているため、集塵装置5の着脱を容易にすることができる。
本実施形態では、第1吸気口111とモータ本体部20とは、モータシャフト25の延在方向(前後方向)に関し、ファン28に対して互いに反対側(前側と後側)に配置されている。そして、ファン28の径方向外側には、排気口114が設けられている。よって、集塵装置5の吸引通路を通過して第1吸気口111から流入した集塵用の空気流は、モータ本体部20まで流れることなく、排気口114から本体ハウジング11の外部へ排出される。これにより、本体ハウジング11内における集塵用の空気流の流路を比較的短くし、送風効率を良好に維持することができる。また、万が一、第1吸気口111から空気流とともに粉塵が本体ハウジング11に進入した場合でも、モータ本体部20に至る前に、排気口114から排出することができる。
更に、本実施形態では、本体ハウジング11は、モータ2の冷却用の空気流を流入させるための第2吸気口112、113が、モータシャフトの延在方向(前後方向)に関し、モータ本体部20に対してファン28と反対側に配置されている。よって、第2吸気口112、113から流入する空気流(モータの冷却風)によって、モータ2を冷却することができる。また、モータ2の冷却風の流路も比較的短くできるため、送風効率を良好に維持することができる。
本実施形態では、ファン28は、第1吸気口111を介して本体ハウジング11に流入する集塵用の空気流を形成する第1の羽根281と、第2吸気口112、113を介して本体ハウジング11に流入するモータの冷却用の空気流を形成する第2の羽根282とを有する。よって、集塵用のファンとモータ冷却用のファンを別個に設ける場合に比べ、構成を簡素化して省スペース化を実現することができる。
本実施形態では、吸気口カバー45は、駆動機構3を収容するギアハウジング12と、モータ2を収容するモータハウジング13に挟まれた状態で、駆動軸A1に平行に移動可能に保持されている。そして、吸気口カバー45は、弾性部材48によって、閉位置に向けて付勢されている。このような構成により、吸気口カバー45を挟み込んでギアハウジング12とモータハウジング13とを連結するだけで、第1吸気口111を開閉可能な吸気口カバー45を本体ハウジング11に容易に組み付けることができる。
また、吸気口カバー45は、集塵装置5の着脱方向に交差する方向(下方向)に突出する突起455を有する。そして、集塵装置5が装着されるのに連動して、吸気口カバー45は、突起455に集塵装置5の押圧突起515が当接した状態で開位置に移動される。突起455という簡素な構成によって、集塵装置5の装着に連動して吸気口カバー45を開位置へ移動させる構成を実現することができる。
本実施形態の集塵装置5は、ピストル型(L字型)のハンマドリル1の本体ハウジング11の下側に装着される。よって、前後方向において、集塵装置5と把持部17との間には、使用者の手が配置される空間が確保される必要がある。また、集塵装置5では、粉塵移送路80が、摺動部7内を延在し、摺動部7の吸引口712と、粉塵収容部6の第1開口671とを接続している。このような構成の集塵装置5では、吸引口712が、先端工具90の周囲に配置され、被加工物に押し付けられた状態でドリル作業が行われる。ドリル作業が進行し、先端工具90が被加工物に進入するのに応じて(つまり、形成された穴が深くなるにつれ)、摺動部7は内部空間52内で後方へ押し込まれる。ハンマドリル1で使用される先端工具90の長さはある程度決まっているため、これに対応して、摺動部7の前後方向の長さを短縮化するには限度がある。このため、摺動部7を前後方向に摺動可能に保持する本体部51の短縮化にも制限が生じる。
従来の集塵装置では、粉塵と共に空気流が流入する流入口が粉塵収容部の比較的前方に配置され、その後側にフィルタが配置されていることが一般的である。このため、粉塵収容部のうち流入口よりも後側の部分が、比較的大きくなりやすい。これに対し、本実施形態では、フィルタ60を、第1開口671(粉塵収容部6への空気流の流入口)よりも前側に配置することで、粉塵収容部6のうち、第1開口671よりも後側の部分をできるだけコンパクトにすることができる。よって、集塵装置5と把持部17との間に必要な空間を確保することができる。
また、従来の集塵装置では、フィルタの上方に、粉塵収容部の流出口と工具本体の吸気口を接続する工具接続部が設けられていることが一般的である。これに対応して、集塵装置の本体部および収容部は、流出口に対して後側に突出する部分がある程度必要となる。これに対し、本実施形態では、第2開口672(粉塵収容部6からの空気流の流出口)と第1吸気口111とを接続する工具接続路87が、本体部51の後端部内に配置されている。また、フィルタ60は第2開口672に対して前側に配置されている。よって、この観点からも、本体部51および収容部のうち、第2開口672よりも後側の部分をできるだけコンパクトにすることができる。よって、集塵装置5と把持部17との間に必要な空間を確保することができる。
また、本体部51を上述の制限範囲内で最大限前後方向に短縮化した場合でも、本体部51において、第1開口671に対して前側には、摺動部7を保持するためにある程度の長さが確保される。具体的には、図13に示すように、本体部51は、第2筒状部72の概ね全体を本体部51内に配置可能な長さを有する。このため、粉塵収容部6においても、第1開口671に対して前側に、本体部51と同程度の長さ、ひいてはフィルタ60を配置するスペースを確保することが可能である。よって、本実施形態のように、フィルタ60を第1開口671に対して前側に配置することで、集塵装置5全体の前後方向の短縮化を合理的に実現することが可能となる。第2開口672とフィルタ60の配置関係に対しても、同じことがいえる。
本実施形態では、粉塵収容部6の第2開口672は、第1開口671に対して後側に配置されている。本体部51の内部空間52には、第2開口672とハンマドリル1の第1吸気口111を接続する工具接続路87が配置される。また、第1開口671には、摺動部7内を延在する粉塵移送路80が接続している。よって、第2開口672を第1開口671よりも後側に配置することで、工具接続路87と粉塵移送路80の干渉を回避しつつ、効率的な配置を実現することができる。
粉塵収容部6は、第1開口671と収容空間610とを接続する流入路82と、フィルタ60を介して収容空間610と連通するとともに、第2開口672に接続する連絡路83を有する。フィルタ60によって粉塵が分離された状態の空気流は、連絡路83を通過する。そして、連絡路83は、左右方向において流入路82とオーバーラップするように設けられている。これにより、第1開口671に対して前側に配置されたフィルタ60を通過した空気流を、連絡路83内で流入路82の左右を通過させ、第1開口671に対して後側に配置された第2開口672へ導くことができる。
また、本実施形態では、フィルタホルダ64は、容器本体61の開口を塞ぐように容器本体61の上端部に取り付けられ、容器本体61内でフィルタ60を保持している。また、アウタカバー67が、フィルタホルダ64を上側から覆うように、フィルタホルダ64の上端部に密封状に取り付けられている。このような簡便な構成によって、収容空間610の上側(つまり、上下方向において粉塵の収容空間610と本体部51の間)に、空気流の漏出が防止された状態で、連絡路83を形成することができる。更に、フィルタ60は、フィルタホルダ64に密封状に取り付けられている。これにより、フィルタ60とフィルタホルダ64の間を、粉塵が分離されていない空気流が通過して連絡路83に流入するのを防止することができる。
更に、本実施形態では、粉塵の収容空間610は、第2開口672の下側に位置する空間を含んでいる。使用者は、先端工具90を上に向けて、つまり、集塵装置5の吸引口712が位置する前側を上に向けて、ドリル作業を行う場合がある。この場合、フィルタ60によって分離された粉塵は、重力により、粉塵収容部6の後方に移動して溜まることになる。第2開口672の下側に位置する空間は、フィルタ60に対して後側に位置するため、この空間に粉塵を溜めることで、フィルタ60の詰まりを抑制することができる。
また、本実施形態では、ハンマドリル1のファン28によって、粉塵を吸引するための空気流が形成されるため、集塵装置5には、かかる空気流を形成する機構を設ける必要がない。よって、集塵装置の大型化を防止することができる。
なお、上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る作業工具は、例示されたハンマドリル1の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示すハンマドリル1、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
上記実施形態では、ハンマドリル1を例示したが、本発明は、先端工具90を駆動軸A1周りに回転駆動するように構成された他の穿孔工具にも適用可能である。例えば、電動ドリル、震動ドリル等に本発明が適用されてもよい。穿孔工具に応じて、モータ2、ファン28、駆動機構3、モータ2および駆動機構3を収容する本体ハウジング11、把持部17を有するハンドルハウジング15、吸気口カバー45等の構成も適宜変更されうる。
また、集塵装置5の本体部51、粉塵収容部6、摺動部7の構成も、同様に、適宜変更されうる。
例えば、本体部51とハンマドリル1との着脱構造は、上記実施形態で例示されたガイドレール512とガイド溝42に限られない。上記実施形態とは反対に、ハンマドリル1にガイドレールが設けられ、集塵装置5にガイド溝が設けられてもよい。また、例えば、ハンマドリル1および集塵装置5の一方に、駆動軸A1に平行に延在する突出部が設けられ、他方に、突出部に嵌合可能な凹部が設けられてもよい。ハンマドリル1に対する集塵装置5の着脱方向は、駆動軸A1に平行な前後方向ではなく、上下方向であってもよい。更に、集塵装置5における着脱構造自体は、必ずしも本体部51に設けられる必要はなく、本体部51とは別の部位に設けられてもよいし、集塵装置5とは別体として設けられてもよい。例えば、集塵装置5は、留め具付きのベルトや、ゴム等の可撓性を有する素材で形成された環状部材でハンマドリル1またはその他の先行工具の工具本体の下側に装着されてもよい。
上記実施形態では、粉塵移送路80は、第1筒状部71、ホース74、ホース接続部76によって規定されている。しかし、粉塵移送路80は、吸引口712から粉塵収容部6まで、空気流と共に粉塵が通過可能であればよく、例えば、吸引口712と粉塵収容部6の流入口としての第1開口671とを接続する伸縮自在のホースのみによって規定されていてもよい。粉塵収容部6は、本体部51に着脱可能な構成に限られず、本体部51と一体的に設けられていてもよい。また、例えば、粉塵収容部6におけるフィルタ60の保持構造、フィルタホルダ64やアウタカバー67の取付け構造等は、適宜変更が可能である。内部空間52に配置される工具接続路87(接続チューブ78)の形状や配置は、粉塵収容部6の流出口としての第2開口672とハンマドリル1の第1吸気口111の配置に応じて適宜変更されてもよい。例えば、工具接続路87は、上下方向に対して若干斜めに延在してもよいし、少なくとも一部が湾曲していてもよい。また、工具接続路87を規定する接続チューブ78は、複数の部材が連結されて構成される代わりに、弾性を有する単一の筒状部材であってもよい。
上記実施形態および変形例の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。ハンマドリル1は、本発明の「穿孔工具」の一例である。本体部10、第1吸気口111、把持部17、ファン28は、夫々、本発明の「工具本体」、「吸気口」、「把持部」、「ファン」の一例である。集塵装置5は、本発明の「集塵装置」の一例である。本体部51、内部空間52、開口部53は、夫々、本発明の「本体部」、「内部空間」、「開口部」の一例である。粉塵収容部6、第1開口671、フィルタ60、収容空間610、第2開口672は、夫々、本発明の「粉塵収容部」、「流入口」、「フィルタ」、「粉塵収容空間」、「流出口」の一例である。摺動部7、吸引口712は、夫々、本発明の「摺動部」、「吸引口」の一例である。粉塵移送路80は、本発明の「粉塵移送路」の一例である。工具接続路87は、本発明の「工具接続路」の一例である。流入路82、連絡路83は、夫々、本発明の「流入路」、「連絡路」の一例である。容器本体61、フィルタホルダ64、アウタカバー67は、夫々、本発明の「容器本体」、「フィルタホルダ」、「カバー」の一例である。
更に、本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の構成(態様)が構築される。以下の構成のうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態のハンマドリル1およびその変形例、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記流入口は、前記収容部の前記前後方向における中心位置よりも後側に配置されていてもよい。
[態様2]
前記工具接続路は、上下方向に延在していてもよい。
[態様3]
前記流出口は、前記流入口の後側に隣接配置されていてもよい。
[態様4]
前記連絡路は、前記粉塵収容空間に対して上側に配置されており、
前記粉塵収容空間と前記連絡路の間は、前記フィルタを介して連通する部分以外は密封されていてもよい。
[態様5]
前記連絡路は、前記粉塵収容空間に対して上側に配置されており、
前記流入路は、上下方向に前記連絡路を貫通して、前記流入口と前記粉塵収容空間とを接続していてもよい。
[態様6]
前記連絡路を通過する前記空気流は、前記流入路の外側を通過して、前記流入路における空気流の進行方向と交差する方向に流れ、前記流出口に至ってもよい。
[態様7]
前記摺動部が前記前後方向における移動可能範囲内で最後方位置に配置された場合、前記摺動部の最後端が前記フィルタの後端よりも後側に位置してもよい。
[態様8]
前記摺動部が前記前後方向における移動可能範囲内で最後方位置に配置された場合、前記摺動部の最後端が前記工具接続路よりも前側に位置してもよい。
[態様9]
前記摺動部が前記前後方向における移動可能範囲内で最後方位置に配置された場合、前記摺動部の最後端が前記流入口の前端よりも後側に位置してもよい。
[態様10]
前記前後方向に関し、前記本体部と前記粉塵収容部とは、概ね同じ長さを有していてもよい。