JP7007715B2 - 状態判定装置、貨幣処理機状態判定システム、状態判定方法及びプログラム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、硬貨通路の入口部にジャム硬貨排除機構を備える硬貨処理機が開示されている。この硬貨処理機では、回転円盤の周縁部に硬貨通路の入口部が位置するように回転円盤および硬貨通路が配置されている。回転円盤上の硬貨は、回転円盤が回転する遠心力で硬貨通路へ順次送り出される。
そこで、この貨幣処理機では、貨幣通路の入口部にジャム硬貨排除機構を設け、硬貨がつかえたことを検出するとその硬貨を排除する。これにより、この貨幣処理機では、貨幣通路の入口部に硬貨がつかえた場合に、エラーを発生させてつかえた硬貨を人手で排除する必要なしに、自動的に排除することができる。
前記第1期間および前記第2期間の何れも、前記貨幣処理機における貨幣搬送枚数で特定される期間であってもよい。
図1は、本発明の第一実施形態に係る貨幣処理機状態判定システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、貨幣処理機状態判定システム1は、貨幣処理機100と、状態判定装置200とを備える。貨幣処理機100は、貨幣処理側通信部110と、貨幣処理部120と、貨幣処理側記憶部180と、貨幣処理側制御部190とを備える。貨幣処理側記憶部180は、センサ情報記憶部181と、金種情報記憶部182と、エラー情報記憶部183と、保守情報記憶部184とを備える。状態判定装置200は、サーバ側通信部210と、出力部220と、サーバ側記憶部280と、サーバ側制御部290とを備える。サーバ側記憶部280は、モデル記憶部281を備える。サーバ側制御部290は、機械学習処理部291と、状態判定部292と、報知処理部293とを備える。
また、貨幣処理機100と状態判定装置200とは通信ネットワーク900を介して通信接続する。状態判定装置200と通信接続する貨幣処理機100の数は1台以上であればよい。
貨幣処理機100は、貨幣の処理を行う。以下では、貨幣処理機100が硬貨包装機である場合を例に説明するが、これに限定されない。貨幣処理機100として、例えば入出金機または紙幣硬貨計数機など、貨幣の処理を行い、貨幣の処理に関するエラー(貨幣の詰まり、搬送不良等)が発生する場合があり、かつ、貨幣の処理に関するメンテナンスが行われるいろいろな機器を用いることができる。
貨幣処理部120は、貨幣の処理を実行する。例えば、貨幣処理機100が硬貨包装機である場合、貨幣処理部120は、硬貨の投入を受け、投入された硬貨のうち指定された硬貨を選別し、選別した硬貨を50枚ずつ包装して棒金を生成する。
貨幣処理部120はセンサを備えている。状態判定装置200の機械学習処理部291は、貨幣処理部120のセンサによるセンサ値に基づいて機械学習を行うことで、貨幣処理機100のメンテナンスの要否判定用のモデルを生成し更新する。貨幣処理部120が備えるセンサについて、図2を参照して硬貨の搬送経路の場合を例に説明する。
停止タイミングセンサ131は、発光部131aと受光部131bとを備え、発光部131aからの光が受光部131bに到達するか否かで、硬貨の通過の有無を検出する。これにより、停止タイミングセンサ131は、包装対象の硬貨が包装分の枚数に達した場合に次の硬貨を止めるタイミングを検出する。
停止タイミングセンサ131は、特定の種類のセンサに限定されず、停止タイミングセンサ131自らの領域を通過する硬貨の有無を検出できるものであればよい。ここでいうセンサの領域は、センサが硬貨等の通過物を検出可能な位置である。
排除タイミングセンサ132は、排除タイミングセンサ左132aと、排除タイミングセンサ右132bとの組み合わせで構成されている。排除タイミングセンサ左132a、排除タイミングセンサ右132bの各々は、光センサを用いて構成され、センサ自らの領域を通過する物の有無を検出する。検出漏れを防ぐために、排除タイミングセンサ左132aと排除タイミングセンサ右132bとが、搬送経路121の幅方向(通貨の進行方向に対して直角方向)に並んで配置されている。
排除タイミングセンサ132は、特定の種類のセンサに限定されず、排除タイミングセンサ132自らの領域を通過する硬貨の有無を検出できるものであればよい。
選別タイミングセンサ133は、特定の種類のセンサに限定されず、選別タイミングセンサ133自らの領域を通過する硬貨の有無を検出できるものであればよい。
停止タイミングセンサ131と、排除タイミングセンサ132と、選別タイミングセンサ133とを総称して、センサ130と表記する。
図2のように、機械学習処理部291が、貨幣処理機100に本来設置されるセンサを用いて学習を行うことで、学習用に別途センサを用いる必要がない。この点で、貨幣処理機100のハードウェア構成が複雑にならずに済む。
機械学習処理部291が学習に用いるセンサは、特定のものに限定されず、貨幣処理機100の異常の有無に応じたセンサデータを得られるものであればよい。
図3の例で、学習用データは、モデルへの入力データを示す「入力」欄と、モデルからの出力データを示す「出力」欄とを含んで構成される。「入力」欄の各値は、値のレンジ(とり得る最大値および最小値の大きさ)が学習に影響することを避けるため、0~1の範囲に正規化されている。
「第2区間up」欄には、排除タイミングセンサ132のセンサ値が立ち上がってから、選別タイミングセンサ133のセンサ値が立ち上がるまでの時間(を正規化した値)が格納される。「第2区間」は、排除タイミングセンサ132から選別タイミングセンサ133までの区間を示す。
「第2区間down」欄には、排除タイミングセンサ132のセンサ値が立ち下がってから、選別タイミングセンサ133のセンサ値が立ち下がるまでの時間(を正規化した値)が格納される。
「132滞留」欄には、排除タイミングセンサ132のセンサ値が立ち上がってから、排除タイミングセンサ132のセンサ値が立ち下がるまでの時間(を正規化した値)が格納される。「132滞留」欄の値は、硬貨が排除タイミングセンサ132に滞留した時間を示す。
「出力」欄には、搬送経路121の状態に応じた所定の値が格納される。具体的には、搬送経路121が正常である場合、出力欄には「0.9」が格納される。搬送経路121が異常である場合、出力欄には「0.1」が格納される。
搬送経路121が正常な状態は、貨幣処理部120が正常な状態の例に該当する。貨幣処理部120が正常な状態を、貨幣処理機100が正常な状態とも称する。搬送経路121が異常な状態は、貨幣処理部120が異常な状態の例に該当する。貨幣処理部120が異常な状態を、貨幣処理機100が異常な状態とも称する。
貨幣処理機100が紙幣を扱う場合も、硬貨を扱う場合と同様、紙幣がセンサ間を移動する移動時間および紙幣がセンサに滞留する滞留時間をセンサデータとして用いることができる。さらに、貨幣処理機100が紙幣を扱う場合、紙幣の斜行(搬送方向に対する傾き)の度合いや搬送モータの回転速度もセンサデータとして用いることができる。
センサ情報記憶部181は、センサデータを硬貨の種類(金種)と対応付けて貨幣1枚毎に記憶する。
なお、センサデータが、センサの測定結果から演算で得られる場合、センサ情報記憶部181が、センサの測定結果を記憶するようにしてもよい。この場合、状態判定装置200側でセンサの測定結果からセンサデータを生成するようにしてもよい。
センサ情報記憶部181が記憶するセンサデータのうち、状態判定装置200へ送信済みのセンサデータは削除可能である。貨幣処理機100が短い頻度でセンサデータを状態判定装置200へ送信することで、センサ情報記憶部181の記憶容量が小さくて済む。
エラー情報記憶部183は、貨幣処理部120で発生したエラーの履歴情報を記憶する。ここでいうエラーは、貨幣処理機100等の機器が、機器自らにおける異常を検出して行う、異常の通知である。
保守情報記憶部184は、貨幣処理部120に対して行われたメンテナンスの履歴情報を記憶する。
貨幣処理側制御部190は、貨幣処理機100の各部を制御して各種処理を実行する。貨幣処理側制御部190は、例えば貨幣処理機100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、貨幣処理側記憶部180からプログラムを読み出して実行することで構成される。
あるいは、状態判定装置200が貨幣処理機100毎にモデルを備えるようにしてもよい。これにより、状態判定装置200は貨幣処理機100毎の特性をモデルに反映させることができ、この点で精度の高いモデルを得られる。
サーバ側通信部210は、貨幣処理機100における貨幣の搬送に関するセンサデータを取得する取得部の例に該当する。
出力部220は、貨幣処理機100のメンテナンスが必要である旨を報知する報知情報を出力する。例えば、状態判定装置200が備えるディスプレイおよびスピーカが出力部220として用いられ、貨幣処理機100のメンテナンスが必要である旨のメッセージをディスプレイに表示し、報知音をスピーカから出力するようにしてもよい。あるいは、サーバ側通信部210を出力部220として用いて、保守作業員のスマートフォン(Smartphone)またはパソコン(Personal Computer;PC)など、保守作業員が使用する端末装置に報知情報を送信するようにしてもよい。
モデル記憶部281は、貨幣処理機100における異常の有無を判定するためのモデルを記憶する。モデル記憶部281は、金種毎にモデルを記憶する。
モデル記憶部281は、貨幣処理機100における貨幣の搬送に関するセンサデータを入力値として貨幣処理機100の異常度合いを示す出力値を出力するモデルを記憶する記憶部の例に該当する。
図4に示すモデルは、入力層511、中間層513および出力層515の3層のニューラルネットワークにて構成されている。入力層511は、m個(mは正整数)の入力ノード511-1~511-mを備える。中間層513は、n個(nは正整数)の中間ノード513-1~513-nを備える。出力層515は、1個の出力ノード515-1を備える。
中間ノード513-1~513-nの各々と、出力ノード515-1とは、中間-出力間経路514-1-1~514-n-1で接続されている。中間-出力間経路514-1-1~514-n-1を総称して中間-出力間経路514と表記する。
さらに、図4に示すモデルでは、中間層513に入力された値に対して中間-出力間経路514で荷重を乗算して出力層515のノード(出力ノード515-1)へ出力する。出力層515のノードでは、入力された値の平均をとる。
かかる構成にて、図4に示すモデルは、入力層511の各ノードに0~1の範囲の実数値の入力データの入力を受けて、出力層515のノードから0~1の範囲の実数値の出力データを出力する。
この出力データの値と閾値とを比較して、出力データの値が閾値より大きい場合に、貨幣処理機100に異常有りと判定することができる。
但し、状態判定装置200が用いるモデルは、図4に示すものに限定されない。例えば、中間層が2層以上設けられていてもよい。また、各層のノードの数は上述した数に限定されない。さらには、状態判定装置200が用いるモデルは学習可能なモデルであればよく、ニューラルネットワークに限定されない。
機械学習処理部291は、モデル記憶部281が記憶する金種毎のモデルの各々を機械学習にて生成および更新する。具体的には、機械学習処理部291は、学習用データを用いて入力-中間間経路512の各荷重および中間-出力間経路514の各荷重の値を調整する。
機械学習処理部291が用いる学習方法として誤差逆伝播法とモーメンタム法との組み合わせを用いることができる。この場合、モーメンタム定数を例えば0.9に設定する。但し、機械学習処理部291が用いる学習方法は特定の方法に限定されず、いろいろな学習方法を適用可能である。
追加学習の場合、学習用データを得られた各時点で貨幣処理機100が正常か異常かは、必ずしも明確でない。そこで、機械学習処理部291は、エラー発生時を基準として貨幣処理機100の状態を正常または異常の何れかに決定し、学習用データにおける出力値を設定する。
図5の例で、機械学習処理部291は、貨幣処理機100にエラーが発生したタイミングを基準時として、エラー発生時からその2日前までのタイミングで得られた学習用データを異常時の学習用データと決定し、エラー発生2日前から4日前までのタイミングで得られた学習用データを正常時の学習用データと決定している。
図5に示すエラー発生時からその2日前までの期間は、エラー発生から過去の第1期間の例に該当する。エラー発生2日前から4日前までの期間は、第1期間よりも過去の第2期間の例に該当する。
状態判定部292も報知処理部293も、モデルからの同じ出力に対して閾値を適用して判定を行う。一方、状態判定部292がモデル更新の要否の判定に用いる判定閾値と、報知処理部293が判定に用いる報知閾値とは、異なる値に設定することができる。例えば、判定閾値には0.5など一定の値を設定し、報知閾値の値については、貨幣処理機100を運用する顧客の要望に応じて値を可変に設定することができる。具体的には、こまめなメンテナンスを希望する顧客の場合、報知閾値の値を0.4など小さめの値に設定することで、状態判定装置200が、比較的軽微な異常の段階でメンテナンスを促す報知を行うようになる。一方、メンテナンスの回数が少ないことを希望する顧客の場合、報知閾値の値を0.6など大きめの値に設定することで、状態判定装置200によるメンテナンスの報知の頻度を下げ、異常の傾向が強まった場合にメンテナンスを実施することができる。
図6は、機械学習処理部291が行う前処理の手順の例を示すフローチャートである。この前処理で、機械学習処理部291は、センサデータから学習用データを生成する。
図6の処理で、機械学習処理部291は、センサデータ値から学習用データの項目の値を算出する(ステップS101)。例えば、機械学習処理部291は、あるセンサにおけるセンサ値の立ち上がりの時刻と立ち下がりの時刻との差を、そのセンサにおける貨幣の滞留時間として算出する。上述したように、センサ値の立ち上がり時刻は、貨幣がセンサに差し掛かってセンサ値がオフ(非検出)の値からオン(検出)の値に切り替わった時刻である。センサ値の立ち下がり時刻は貨幣がセンサを通り抜けてセンサ値がオン(検出)の値からオフ(非検出)の値に切り替わった時刻である。センサにおける貨幣の滞留時間は、貨幣がセンサに差し掛かってからそのセンサを通り抜けるまでの時間である。
但し、貨幣処理機100がステップS101の処理を行うようにしてもよい。この場合、貨幣処理機100から状態判定装置200へ学習用データの項目の値を送信し、状態判定装置200側ではステップS101の処理を行わない。
例えば、機械学習処理部291は、学習用データの項目の値から、その最小値として定められている所定値を減算する。さらに機械学習処理部291は、得られた減算結果を、その学習用データの項目の最大値として定められている所定値から最小値として定められている所定値を減算した値で除算する。
ここで、学習用データの中に同じ値の組合せが含まれる場合、その値の組合せが正常として扱われるか異常として扱われるかは、貨幣処理機100の運用によって異なり得る。同じ値の組合せが正常、異常の両方に割り振られていると、適切な学習を行えない可能性がある。そこで、機械学習処理部291は、同じ値の組合せが正常、異常の両方に割り振られることを避けるためにバッティング処理を行う。
ステップS103の後、図6の処理を終了する。
図7の処理で、機械学習処理部291は、センサデータを取得する(ステップS201)。
次に、機械学習処理部291は、図6を参照して説明した前処理を行う(ステップS202)。これにより、機械学習処理部291は、センサデータから学習用データを取得する。
そして、機械学習処理部291は、得られた学習用データを用いて学習を行い、モデルを構築する(ステップS203)。機械学習処理部291は、得られたモデルを学習済みモデルとしてモデル記憶部281に記憶させる(ステップS204)。
ステップS204の後、図7の処理を終了する。
図8の処理で、機械学習処理部291は、学習閾値をエラー発生の2日前に設定する(ステップS311)。上述したように、学習閾値は、追加学習のための学習用データを正常時のデータと異常時のデータとに振り分ける基準となる閾値である。
一方、運用時にエラーが生じた場合、エラーの前の期間におけるデータを正常時のデータとすべきが異常時のデータとすべきかは、必ずしも決まっていない。そこで、機械学習処理部291は、エラーの前の期間におけるデータを学習(教師有り学習)に用いられるように、学習閾値を設定し、設定した学習閾値を用いてエラーの前の期間におけるデータを正常または異常の何れかに振り分ける。
あるいは、機械学習処理部291が、貨幣処理機100における貨幣搬送枚数でエラー発生から1000枚前など、時間以外の基準による学習閾値を設定するようにしてもよい。
次に、機械学習処理部291は、図7を参照して説明した前処理を行う(ステップS314)。これにより、機械学習処理部291は、センサデータに基づく学習用データを取得する。
そして、機械学習処理部291は、得られた学習用データを用いて機械学習を行い、学習済みモデルを更新する(ステップS315)。
ステップS315の後、図8の処理を終了する。
図9の処理で、サーバ側制御部290は、センサデータを取得し、正規化を行う(ステップS401)。ステップS401で得られるセンサデータは、報知の要否およびモデルの更新の要否を判定するために用いられる。
エラーが発生していると判定した場合(ステップS402:YES)、状態判定部292は、貨幣処理機100の状態判定に用いるためのモデルを選択する(ステップS411)。具体的には、状態判定部292は、モデル記憶部281が金種毎に記憶しているモデルのうち、判定対象となっている金種のモデルを選択する。
そして、状態判定部292は、算出した金種出力値が判定閾値以下か否かを判定する(ステップS404)。金種出力値が判定閾値以下であると判定した場合(ステップS413:NO)、状態判定部292は、全ての金種のデータについて判定を行ったか否かを判定する(ステップS431)。判定を行っていない金種があると判定した場合(ステップS431:NO)、ステップS411へ戻り、まだ判定を行っていない金種に対する処理を引き続き行う。
一方、ステップS431で全ての金種について判定を行ったと判定した場合(ステップS431:YES)、図9の処理を終了する。
ステップS421の後、ステップS431へ遷移する。
そして、報知処理部293は、算出した金種出力値が金種別報知閾値以下か否かを判定する(ステップS443)。
金種出力値が金種別報知閾値以下であると判定した場合(ステップS443:YES)、報知処理部293は、保守作業員へ予防保守を報知する(ステップS471)。ここでいう予防保守は、エラー発生等の不具合を未然に防止するための保守である。
ステップS471の後、図9の処理を終了する。
そして、報知処理部293は、算出した全体出力値が全体報知閾値以下か否かを判定する(ステップS462)。全体報知閾値は、例えば0.5に設定されるなど、予め定数値に設定される。
一方、ステップS462で、全体出力値が全体報知閾値より大きいと判定した場合(ステップS462:NO)、図9の処理を終了する。
一方、ステップS431で、金種出力値が判定閾値以上であったと判定した場合(ステップS431:NO)、ステップS451へ進む。
このように状態判定部292がモデルを用いて貨幣処理機100の状態を判定することで、貨幣処理機100の状態を精度よく判定することができる。例えば、状態判定部292が機械学習によって得られたモデルを用いて貨幣処理機100の状態を判定することで、人間による判定では気付かないようなセンサデータと貨幣処理機100との関係に基づいて、貨幣処理機100の異常の傾向を検出できる可能性がある。
このように、状態判定部292は貨幣の金種毎に異常の有無を判定することで、特定の金種について貨幣処理機100に異常が生じる場合に、当該異常を検出することができ、また、当該異常が生じる金種を特定することができる。状態判定装置200によれば、この点で、貨幣処理機100の状態を精度よく判定することができる。
貨幣の金種毎の判定では正常と判定される場合でも、複数の金種全体で見ると、貨幣処理機100の異常の傾向が強くエラー発生が予測される場合が考えられる。状態判定部292が、複数の金種の貨幣全体について貨幣処理機100の異常の有無を判定することで、複数の金種全体で見て異常の傾向が強い場合も異常と判定することができる。
これにより、状態判定装置200では、貨幣処理機100の運用時のデータを用いて、貨幣処理機100の状態判定処理を更新できる。ここで、貨幣処理機100の運用時には、貨幣処理機100の状態が正常か異常かは必ずしも明確でない。これに対し、状態判定装置200では、機械学習処理部291が、第1期間における学習用データを異常時の学習用データとし、第2期間における学習用データを正常時の学習用データとして学習を行う。これにより、状態判定装置200では、貨幣処理機100の運用時のデータを用いて、貨幣処理機100の状態判定処理を更新することが可能になる。
この場合、機械学習処理部291が、エラー発生時に近い過去の第1期間における学習用データを異常時の学習用データとして機械学習を行うことで、貨幣処理機100の状態が比較的悪化した期間における学習用データを異常時の学習用データとして機械学習を行うことができる。また、機械学習処理部291が、第1期間よりも過去の第2期間における学習用データを正常時の学習用データとして機械学習を行うことで、貨幣処理機100の状態が比較的良好な期間における学習用データを正常時の学習用データとして機械学習を行うことができる。この点で、機械学習処理部291が高精度に機械学習を行うことができ、高精度なモデルを得られることが期待される。
状態判定装置200によれば、出力部220が出力する報知に応じて保守作業員が貨幣処理機100のメンテナンスを行うことで、貨幣処理機100におけるエラーの発生を低減させることができる。
ここで、貨幣処理機100でのエラー発生時に状態判定部92が貨幣処理機100における異常有りと判定している場合、正しく判定できている点で、モデルの更新は不要と考えられる。この場合に機械学習処理部291がモデルの更新を行わないよう抑制することで、機械学習処理部291の負荷が小さくて済む。
例えば、状態判定部292が、ステップS402~S451で貨幣1枚毎に判定を行い、ステップS461~S471で複数枚の硬貨毎に判定を行うようにしてもよい。貨幣処理機100が硬貨包装機である場合、ステップS461~S471で硬貨50枚毎(棒金1本分毎)に判定を行うようにしてもよい。
あるいは、状態判定部292が、ステップS402~S451で金種1種類毎に判定を行い、ステップS461~S471で複数の金種毎(複数種類の金種毎)に判定を行うようにしてもよい。例えば、状態判定部292がステップS461~S471で6種類の金種全体について判定を行う場合、ステップS461で式(1)に基づいて全体出力を算出するようにしてもよい。
状態判定部292は、式(1)を用いて、金種毎の枚数に応じてセンサデータの重み付け平均を行う。
あるいは、状態判定部292が、ステップS402~S451で金種1種類毎に判定を行い、ステップS461~S471で1動作毎に判定を行うようにしてもよい。
第一実施形態では、状態判定装置200が報知を行う場合を例に説明した。これに対し、貨幣処理機が報知を行うようにしてもよい。第二実施形態では、貨幣処理機が報知を行う場合について説明する。
図10は、本発明の第二実施形態に係る貨幣処理機状態判定システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図10に示すように、貨幣処理機状態判定システム2は、貨幣処理機300と、モデル管理装置400とを備える。貨幣処理機300は、貨幣処理部120と、出力部220と、貨幣処理側IF(Interface)部310と、貨幣処理側記憶部380と、貨幣処理側制御部390とを備える。貨幣処理側記憶部380は、センサ情報記憶部181と、金種情報記憶部182と、エラー情報記憶部183と、保守情報記憶部184と、学習済みモデル記憶部385とを備える。貨幣処理側制御部390は、状態判定部292と、報知処理部293とを備える。モデル管理装置400は、サーバ側記憶部280と、サーバ側IF部410と、サーバ側制御部490とを備える。サーバ側記憶部280は、モデル記憶部281を備える。サーバ側制御部490は、機械学習処理部291を備える。
図10の各部のうち、図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には、同一の符号(120、181、182、183、184、220、280、281、291、292、293)を付して説明を省略する。
貨幣処理側IF部310およびサーバ側IF部410は、それぞれ、可搬記憶媒体910に対してデータの入出力を行う。例えば、可搬記憶媒体910がUSBフラッシュメモリである場合、貨幣処理側IF部310およびサーバ側IF部410は、それぞれ、USBポートを含んで構成される。
貨幣処理機状態判定システム2では、モデル管理装置400がモデルの学習を行い、貨幣処理機300がモデルを用いた状態判定および報知を行う。そのために、モデル管理装置400の機械学習処理部291が生成または更新したモデルを可搬記憶媒体910が貨幣処理機300へ伝達する。貨幣処理機300では、学習済みモデル記憶部385が当該モデルを記憶する。状態判定部292は、学習済みモデル記憶部385からモデルを読み出して、貨幣処理機300の状態を判定する。
そのために、貨幣処理機300のセンサ情報記憶部181は、直近4日分のセンサデータを記憶しておき、貨幣処理機300にエラーが発生すると、エラー発生からその4日前までのデータを保持する。
第二実施形態で、貨幣処理部120は、センサを備えてセンサデータを取得する点で、貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを取得する取得部の例に該当する。学習済みモデル記憶部385は、貨幣処理機300における貨幣の搬送に関するセンサデータを入力値として貨幣処理機300の異常度合いを示す出力値を出力するモデルを記憶する記憶部の例に該当する。
また、第二実施形態では、貨幣処理機300が状態判定装置の例に該当し、貨幣処理機300自らの状態を判定する。
このように状態判定部292がモデルを用いて貨幣処理機300の状態を判定することで、貨幣処理機300の状態を精度よく判定することができる。例えば、状態判定部292が機械学習によって得られたモデルを用いて貨幣処理機300の状態を判定することで、人間による判定では気付かないようなセンサデータと貨幣処理機300との関係に基づいて、貨幣処理機300の異常の傾向を検出できる可能性がある。
また、貨幣処理機300とモデル管理装置400とのデータのやり取りに通信ネットワークを使用しない点で、通信ネットワークの帯域を圧迫しない。
また、上記各実施形態では、貨幣処理機300とモデル管理装置400とを別装置として構成したが、貨幣処理機300がモデル管理装置400の各部を備える一体の装置として構成してもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
100、300 貨幣処理機
110 貨幣処理側通信部
120 貨幣処理部
180、380 貨幣処理側記憶部
181 センサ情報記憶部
182 金種情報記憶部
183 エラー情報記憶部
184 保守情報記憶部
190、390 貨幣処理側制御部
200 状態判定装置
210 サーバ側通信部
220 出力部
280 サーバ側記憶部
281 モデル記憶部
290、490 サーバ側制御部
291 機械学習処理部
292 状態判定部
293 報知処理部
310 貨幣処理側IF部
385 学習済みモデル記憶部
400 モデル管理装置
410 サーバ側IF部
900 通信ネットワーク
910 可搬記憶媒体
Claims (9)
- 貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを取得する取得部と、
前記貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを入力値として前記貨幣処理機の異常度合いを示す出力値を出力するモデルを記憶する記憶部と、
前記取得部により取得されたセンサデータと前記記憶部に記憶されたモデルとを用いて、前記貨幣処理機の状態を判定する状態判定部と
を備え、
前記記憶部は、貨幣の金種毎に前記モデルを記憶し、
前記状態判定部は、貨幣の金種毎に異常の有無を判定する状態判定装置。 - 前記状態判定部は、前記貨幣の金種毎の前記モデルからの出力値をもとに複数の金種の貨幣全体について前記貨幣処理機の異常の有無を判定する、請求項1に記載の状態判定装置。
- 貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを取得する取得部と、
前記貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを入力値として前記貨幣処理機の異常度合いを示す出力値を出力するモデルを記憶する記憶部と、
前記取得部により取得されたセンサデータと前記記憶部に記憶されたモデルとを用いて、前記貨幣処理機の状態を判定する状態判定部と、
前記貨幣処理機でエラーが発生した場合、前記エラーが発生した貨幣処理機のセンサによる測定で得られたセンサデータのうち、エラー発生から過去の第1期間におけるセンサデータに基づく学習用データを異常時の学習用データとし、前記第1期間よりも過去の第2期間におけるセンサデータに基づく学習用データを正常時の学習用データとして機械学習を行うことで、前記モデルを更新する機械学習処理部と
を備える状態判定装置。 - 前記第1期間および前記第2期間の何れも、前記貨幣処理機における貨幣搬送枚数で特定される期間である、請求項3に記載の状態判定装置。
- 前記モデルを用いて前記貨幣処理機に対するメンテナンスを促す報知の要否を判定する報知処理部と、
前記報知処理部が前記報知の必要ありと判定した場合、当該報知を出力する出力部と、 を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の状態判定装置。 - 前記モデルを用いて前記貨幣処理機における異常の有無を判定する状態判定部を備え、 前記機械学習処理部は、前記貨幣処理機でエラーが発生し、かつ、前記状態判定部が前記貨幣処理機における異常無しと判定した場合に、前記モデルの更新を行う、
請求項3または4に記載の状態判定装置。 - 貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを取得する取得部と、
前記貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを入力値として前記貨幣処理機の異常度合いを示す出力値を出力するモデルを記憶する記憶部と、
前記取得部により取得されたセンサデータと前記記憶部に記憶されたモデルとを用いて、前記貨幣処理機の状態を判定する状態判定部と
を備え、
前記記憶部は、貨幣の金種毎に前記モデルを記憶し、
前記状態判定部は、貨幣の金種毎に異常の有無を判定する貨幣処理機状態判定システム。 - 貨幣処理機の状態を判定する状態判定装置における状態判定方法であって、
前記状態判定装置は、
貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを取得する工程と、
得られたセンサデータと、前記貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを入力値として前記貨幣処理機の異常度合いを示す出力値を出力する金種毎のモデルとを用いて、前記貨幣処理機の状態を金種毎に判定する工程と
を含む状態判定方法。 - コンピュータに、
貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを取得する工程と、
得られたセンサデータと、前記貨幣処理機における貨幣の搬送に関するセンサデータを入力値として前記貨幣処理機の異常度合いを示す出力値を出力する金種毎のモデルとを用いて、前記貨幣処理機の状態を金種毎に判定する工程と
を実行させるためのプログラム。
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