JP7006179B2 - 切削インサート及び刃先交換式回転切削工具 - Google Patents
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Description
そして、被削材に対して、正面削り加工(平面加工)を施す際には、底切れ刃が使用され、側面削り加工(立壁面加工)を施す際には、外周切れ刃が使用される。
被削材に対して、正面削り加工を施すときに、底切れ刃で切削することにより加工面に付与される挽き目(加工目、加工痕)と、側面削り加工を施すときに、外周切れ刃で切削することにより加工面に付与される挽き目とを、互いに同じ性状に仕上げることが難しかった。つまり、被削材の加工部位や形状によって、切削加工後の加工面の性状がばらついて、仕上げ加工や中仕上げ加工等において加工面全体としての加工精度を均等にすることができなかった。
また、本発明の一態様は、中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に形成された取付座に、着脱可能に装着される切削インサートであって、板状のインサート本体と、前記インサート本体に形成された切れ刃部と、を備え、前記切れ刃部は、前記インサート本体の前記中心軸方向の先端部に配置され、前記中心軸に直交する径方向に沿うように延びるとともに、前記中心軸方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃と、前記インサート本体の前記径方向の外端部に配置され、前記中心軸方向に沿うように延びるとともに、前記径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃と、すくい面と、を備え、前記底切れ刃の曲率半径と、前記外周切れ刃の曲率半径とが、互いに同一であり、前記底切れ刃の前記径方向の外端と、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが、直線切れ刃を介して接続し、前記すくい面を正面に見て、前記底切れ刃における前記中心軸方向の先端を通り前記径方向に沿って延びる直線を径方向基準線とし、前記外周切れ刃における前記径方向の外端を通り前記中心軸方向に沿って延びる直線を中心軸方向基準線とし、前記底切れ刃の前記径方向の外端における前記底切れ刃の接線を第1の接線とし、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端における前記外周切れ刃の接線を第2の接線とし、前記第1の接線と前記径方向基準線との交点、前記第1の接線と前記中心軸方向基準線との交点、及び、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点を、互いに直線で繋いで形成される直角三角形を第1の直角三角形とし、前記第2の接線と前記中心軸方向基準線との交点、前記第2の接線と前記径方向基準線との交点、及び、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点を、互いに直線で繋いで形成される直角三角形を第2の直角三角形として、前記第1の直角三角形と前記第2の直角三角形とが、互いに合同であることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、中心軸回りに回転させられる工具本体と、前記工具本体の先端部に形成された取付座と、前記取付座に着脱可能に装着される切削インサートと、を備えた刃先交換式回転切削工具であって、前記切削インサートとして、上述の切削インサートを用いたことを特徴とする。
また、上記切削インサートにおいて、前記インサート本体には、該インサート本体を厚さ方向に貫通するネジ挿通孔が形成されており、前記ネジ挿通孔の孔中心が、前記底切れ刃の前記径方向の外端と前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とを結ぶ線分の中点と、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点と、を通る仮想直線上に位置していることが好ましい。
以下、本発明の第1実施形態に係る切削インサート5A及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具6Aについて、図1~図11を参照して説明する。なお、実施形態の説明に用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、要部となる部分を拡大、強調、抜粋して示す場合がある。
また、中心軸C回りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、切削時に主軸の回転により工具本体1が回転させられる向きを工具回転方向Rといい、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Rとは反対側(つまり反工具回転方向)という。
本実施形態の切削インサート5Aは、中心軸Cを対称軸として表裏反転対称(180°回転対称)に形成されている。
前記切れ刃には、外周切れ刃9と、底切れ刃11と、直線切れ刃13と、が含まれる。前記切れ刃は、外周切れ刃9、底切れ刃11及び直線切れ刃13を備えたことにより、全体として略L字状をなしている。また、各切れ刃(9、11、13)に対して、すくい面19の後述するすくい面部分(10、12、14)、及び、逃げ面の逃げ面部分がそれぞれ隣接配置される。
底切れ刃11は、直線切れ刃13に接続する該底切れ刃11の径方向の外端(接続点)Aから径方向の内側へ向かうに従い、中心軸C方向の先端側へ向けて傾斜して延びている。底切れ刃11における、径方向に沿う単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量(つまり径方向に対する傾き)は、該底切れ刃11の径方向の外端Aから径方向内側へ向かうに従い漸次小さくされていき、径方向の内端においてゼロとなる。
また、インサート本体15において中心軸C方向の先端側を向く先端面のうち、底切れ刃11の工具回転方向Rとは反対側に隣接する部分は、底切れ刃11の逃げ面部分である。底切れ刃11の逃げ面部分は、先端側へ向けて凸となる曲面状をなしている。底切れ刃11の逃げ面部分は、該底切れ刃11から工具回転方向Rとは反対側へ向かうに従い中心軸C方向の基端側へ向けて傾斜しており、これにより底切れ刃11には逃げ角が付与されている。
外周切れ刃9は、直線切れ刃13に接続する該外周切れ刃9の中心軸C方向の先端(接続点)Bから基端側へ向かうに従い、径方向外側へ向けて傾斜して延びている。外周切れ刃9における、中心軸C方向に沿う単位長さあたりの径方向へ向けた変位量(つまり中心軸C方向に対する傾き)は、該外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bから基端側へ向かうに従い漸次小さくされていき、中心軸C方向の基端においてゼロとなる。
また、インサート本体15において径方向外側を向く外周面のうち、外周切れ刃9の工具回転方向Rとは反対側に隣接する部分は、外周切れ刃9の逃げ面部分である。外周切れ刃9の逃げ面部分は、径方向外側へ向けて凸となる曲面状をなしている。外周切れ刃9の逃げ面部分は、該外周切れ刃9から工具回転方向Rとは反対側へ向かうに従い径方向内側へ向けて傾斜しており、これにより外周切れ刃9には逃げ角が付与されている。
また、インサート本体15の外面のうち、直線切れ刃13の工具回転方向Rとは反対側に隣接する部分は、直線切れ刃13の逃げ面部分である。直線切れ刃13の逃げ面部分は、中心軸C方向の先端側かつ径方向外側を向く平面状に形成されている。直線切れ刃13の逃げ面部分は、該直線切れ刃13から工具回転方向Rとは反対側へ向かうに従い中心軸C方向の基端側かつ径方向内側へ向かうように傾斜しており、これにより直線切れ刃13には逃げ角が付与されている。
具体的に本実施形態では、すくい面19を正面に見て、切れ刃部4の切れ刃の刃長全体が、仮想直線VLを対称軸として線対称形状に形成されている。
また、上記角度αは、仮想直線VLと中心軸Cとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指している。
そして、ネジ挿通孔18の孔中心は、仮想直線VL上に位置している。具体的に、すくい面19の正面視においてネジ挿通孔18の孔中心は、仮想直線VLと中心軸Cとの交点I上に配置されている。
なお、上記角度θ1は、第1の接線L1と径方向基準線RRとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指している。また、上記角度θ2は、第2の接線L2と径方向基準線RRとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指している。
或いは、切れ刃部4のすくい面19を正面に見て、底切れ刃11の曲率半径と外周切れ刃9の曲率半径とが互いに同一であり、かつ、底切れ刃11の径方向の外端Aにおける底切れ刃11の接線(第1の接線)L1を斜辺とする第1の直角三角形T1(△DEF)と、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bにおける外周切れ刃9の接線(第2の接線)L2を斜辺とする第2の直角三角形T2(△GHF)とが、互いに合同である。
すなわち本実施形態では、底切れ刃11の曲率半径と外周切れ刃9の曲率半径とが、互いに同一であり、かつ、底切れ刃11と外周切れ刃9とが互いに線対称に形成されている。従って、被削材の加工面のうち、平面部のカスプハイトと立壁部のカスプハイトとを同等にするにあたって、いずれも同一のピックフィード(ピッチ)で加工することができ、平面部と立壁部の挽き目を互いに揃えることができる。このため、被削材全体にわたって同じ品質とされた加工面を得ることができる。
つまり、底切れ刃11と外周切れ刃9のいずれを使用した切削加工の場合においても、被削材の加工面の性状を一定に揃えることができるのである。
本実施形態の切削インサート5A及び刃先交換式回転切削工具6Aによれば、5軸制御による加工機に対応可能であり、外周切れ刃(バレル切れ刃)9、底切れ刃(レンズ切れ刃)11を組み合わせて使用することによって、高能率加工、高精度加工を同時に実現することが可能となった。
例えば、工具軸を傾斜して加工することによって、外周切れ刃(バレル切れ刃)9を使用するときは、被削材の勾配を有する傾斜面において、加工ピッチを大きく設定して高能率な加工条件を設定すること、及び、高品位な仕上げ面を得ることが可能になる。
また、底切れ刃(レンズ切れ刃)11を使用するときも、外周切れ刃(バレル切れ刃)9と同様に、被削材曲面を高品位な仕上げ面とすることができる。
さらに、3軸制御の加工機で使用する場合であっても、外周切れ刃(バレル切れ刃)9を使用することで、垂直な立壁に近い勾配面を、または底切れ刃(レンズ切れ刃)11を使用することで平坦な面に近い被削材曲面を、加工ピッチを大きく設定した条件で加工することができるなどの特徴を有する。
従って、図9及び図10に示される参考例の切削インサート20、30では、被削材に正面削り加工(平面加工)を施して加工面に付与される挽き目と、被削材に側面削り加工(立壁面加工)を施して加工面に付与される挽き目とを、互いに同一の性状とすることが難しい場合がある。つまり、単に底切れ刃11の曲率半径と外周切れ刃9の曲率半径とを同一に設定しても、上述した本実施形態のような優れた作用効果が得られるとは限らない。
具体的に、従来のボールエンドミルタイプの切削工具では、切れ刃部の中心軸回りの回転軌跡が半球状をなし、この回転軌跡の半径は工具直径(切れ刃部の回転軌跡の最大直径であり、刃径)の1/2である。そして、ボールエンドミルタイプの切削工具においては、底切れ刃に対応する切れ刃部分の曲率半径、及び、外周切れ刃に対応する切れ刃部分の曲率半径が、ともに工具直径の1/2となる。つまりボールエンドミルタイプの切削工具では、工具半径(工具直径の1/2)に応じて、所定のカスプハイト値以下となるようにピックフィードを設定し、切削加工を行うこととなる。また、ラジアスエンドミルタイプの切削工具の場合は、傾斜した加工面などを切削加工する際にコーナーR切れ刃が使用されるが、該コーナーR切れ刃の曲率半径は、一般にボールエンドミルの切れ刃の曲率半径よりも小さい(工具直径が同一の場合)ことから、ピックフィードはボールエンドミルよりもさらに小さくなる。
なお本実施形態では、底切れ刃11の曲率半径及び外周切れ刃9の曲率半径が、工具直径(切れ刃の回転軌跡の最大径)に等しくされている。従って本実施形態では、従来のボールエンドミルに比べて、ピックフィードを約2倍近い値に設定することができる。
そして本実施形態によれば、ネジ挿通孔18の孔中心が仮想直線VL上に位置しているので、底切れ刃11を用いた切削加工時においても、外周切れ刃9を用いた切削加工時においても、切削インサート5Aをネジ挿通孔18(固定用ネジ8)回りに回転させようとする力が抑えられる。
特に、被削材の3次元形状の構成部分に対して、該構成部分の外面に沿った工具軌跡でフライス加工を行う、いわゆる面沿い加工による仕上げ加工や中仕上げ加工において、高精度化に有利な効果を得ることができる。
また、直線切れ刃13を用いた切削加工時においては、該直線切れ刃13が受ける切削抵抗の切れ刃法線方向成分が、ネジ挿通孔18の孔中心に向かうように作用する。従って、直線切れ刃13を用いた切削加工時においても、上述と同様の作用効果を奏する。
一般には、切れ刃部のすくい面のうち、底切れ刃のすくい面部分及び外周切れ刃のすくい面部分等は、互いに異なる平面や曲面により形成されている。そして、各切れ刃同士の接続点は、互いに形状の異なる2つの切れ刃が接続される部分であることから、軸方向すくい角や径方向すくい角が変化する。このため、切削加工時には、切れ刃同士の接続点近傍での切削負荷が大きくなりやすい。
これにより、接続点A、Bを挟んだ切れ刃の両側において、軸方向すくい角や径方向すくい角が大きく変化するようなことが抑えられ、接続点A、B近傍に大きな切削負荷が作用することを防止できる。従って、直線切れ刃13と底切れ刃11との接続部分、及び、直線切れ刃13と外周切れ刃9との接続部分における刃先強度が顕著に高められ、工具寿命が延長する。
また、角度θ1が30°以下(角度θ2が60°以上)であるので、直線切れ刃13の刃長が短くなり過ぎることを抑制できる。これにより、直線切れ刃13の刃長を長く確保して、上述した本実施形態の効果(直線切れ刃13で平面フライス加工を高精度に効率よく行える等の効果)をより格別なものにできる。角度θ1が30°を超える場合(角度θ2が60°未満の場合)には、直線切れ刃13の刃長が短くなり過ぎる結果、上述の効果が得られにくくなるおそれがある。なお、上述した作用効果をより顕著なものとするためには、角度θ1が28°以下(角度θ2が62°以上)であることが好ましく、25°以下(角度θ2が65°以上)であることがより望ましい。
次に、本発明の第2実施形態に係る切削インサート5B及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具6Bについて、図12~図14を参照して説明する。
なお、第2実施形態では、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる点について説明する。
本実施形態では、底切れ刃11の径方向の外端(接続点)Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端(接続点)Bとが、複数の直線切れ刃13を介して接続する。具体的には、図14(a)~(c)に示されるように、底切れ刃11の径方向の外端Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとが、2つの直線切れ刃13を介して繋がる。
複数の直線切れ刃13のうち、底切れ刃11に接続する直線切れ刃(第1の直線切れ刃)13は、接続点Aから径方向の外側へ向かうに従い中心軸C方向の基端側へ向けて傾斜して延びている。複数の直線切れ刃13のうち、外周切れ刃9に接続する直線切れ刃(第2の直線切れ刃)13は、接続点Bから先端側へ向かうに従い径方向内側へ向けて傾斜して延びている。
第2の直線切れ刃13における径方向の単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量は、線分LSの前記変位量よりも大きく、第2の接線L2の前記変位量よりも小さい。
第1の直線切れ刃13における径方向の単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量は、第2の直線切れ刃13の前記変位量よりも小さい。
そして本実施形態では、複数の直線切れ刃13により様々な仕上げ加工等に対応可能である。
次に、本発明の第3実施形態に係る切削インサート5C及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具6Cについて、図15~図17を参照して説明する。
なお、第3実施形態では、第1、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる点について説明する。
本実施形態では、図17(a)~(c)に示されるように、底切れ刃11の径方向の外端(接続点)Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端(接続点)Bとが、3つの直線切れ刃13を介して接続する。
また本実施形態では、第1の直線切れ刃13の刃長と、第2の直線切れ刃13の刃長と、第3の直線切れ刃13の刃長とが互いに同一であるので、第1の直線切れ刃13を用いた仕上げ加工と、第2の直線切れ刃13を用いた仕上げ加工と、第3の直線切れ刃13を用いた仕上げ加工とで挽き目(加工目、加工痕)を揃えることができる。
次に、本発明の参考例に係る切削インサート5D及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具6Dについて、図18~図20を参照して説明する。
なお、本参考例では、第1~第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる点について説明する。
本参考例では、ネジ挿通孔18の孔中心が、底切れ刃11の径方向の外端Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとの接続点A、Bと、径方向基準線RRと中心軸方向基準線CRとの交点Fと、を通る仮想直線VL上に位置している。
そして本参考例では、底切れ刃11の径方向の外端Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bと、が直接接続しているので、底切れ刃11の刃長及び外周切れ刃9の刃長を長く(最長に)設定することが可能になる。このため、カスプハイトCHを小さく抑えつつ、ピックフィードのピッチPを増大できる。従って、加工面精度を良好に維持しつつ、加工効率を高めることができる。また、直線切れ刃13、該直線切れ刃13のすくい面部分14及び逃げ面部分が形成されていない分、切削インサート5Dの製造を簡素化できる。
また、角度θ1が30°以下(角度θ2が60°以上)であるので、切れ刃部4の切れ刃形状が全体としてボールエンドミルの切れ刃形状に近くなるようなことが抑えられる。
すなわち、底切れ刃11及び外周切れ刃9の各曲率半径を、切れ刃部4の刃径の1/2(工具直径の1/2であり、工具半径)よりも十分に大きく設定できるため、上述したピックフィードのピッチPを増大できる等の効果がより格別なものとなる。なお、上述の作用効果をより顕著なものとするためには、角度θ1が28°以下(角度θ2が62°以上)であることが好ましく、25°以下(角度θ2が65°以上)であることがより望ましい。
また、切れ刃の刃長全域にわたってすくい面19が1つの平面により形成されることから、外周切れ刃9の軸方向すくい角、直線切れ刃13の軸方向すくい角及び底切れ刃11の軸方向すくい角が、すべて同一の角度βである。このため、切屑排出性が安定して高められ、かつ切削インサート5Aを製造しやすい。
なお、上記変形例を、第2~第3実施形態及び参考例の切削インサート5B~5Dに適用してもよい。
また、ネジ挿通孔18が形成されていない切削インサート5A~5Dであってもよく、この場合、切削インサート5A~5Dは、工具本体1の取付座3にクランプ機構等により着脱可能に装着される。
また、工具本体1は、例えば、SKD61等の合金工具鋼で製造する場合の他、SKD61等の合金工具鋼と超硬合金とを接合し形成したものを用いることも可能である。
2 先端部
3 取付座
4 切れ刃部
5A~5D 切削インサート
6A~6D 刃先交換式回転切削工具
9 外周切れ刃
10 外周切れ刃のすくい面部分
11 底切れ刃
12 底切れ刃のすくい面部分
13 直線切れ刃
14 直線切れ刃のすくい面部分
15 インサート本体
18 ネジ挿通孔
19 すくい面
A 底切れ刃の径方向の外端(接続点)
B 外周切れ刃の中心軸方向の先端(接続点)
C 中心軸
CR 中心軸方向基準線
D、E、F、G、H 交点
L1 第1の接線
L2 第2の接線
LS 線分
M 中点
RR 径方向基準線
T1 第1の直角三角形
T2 第2の直角三角形
VL 仮想直線
α 角度
β 角度(軸方向すくい角)
θ1 角度
θ2 角度
Claims (10)
- 中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に形成された取付座に、着脱可能に装着される切削インサートであって、
板状のインサート本体と、
前記インサート本体に形成された切れ刃部と、を備え、
前記切れ刃部は、
前記インサート本体の前記中心軸方向の先端部に配置され、前記中心軸に直交する径方向に沿うように延びるとともに、前記中心軸方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃と、
前記インサート本体の前記径方向の外端部に配置され、前記中心軸方向に沿うように延びるとともに、前記径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃と、
すくい面と、を備え、
前記底切れ刃の前記径方向の外端と、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが、直線切れ刃を介して接続し、
前記すくい面を正面に見て、
前記中心軸に対して45°の角度で交差し、前記径方向の外側へ向かうに従い前記中心軸方向の先端側へ向けて延びる仮想直線を対称軸として、前記底切れ刃と前記外周切れ刃とが、互いに線対称形状となるように形成されている、切削インサート。 - 請求項1に記載の切削インサートであって、
前記インサート本体には、該インサート本体を厚さ方向に貫通するネジ挿通孔が形成されており、
前記ネジ挿通孔の孔中心が、前記仮想直線上に位置している、切削インサート。 - 中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に形成された取付座に、着脱可能に装着される切削インサートであって、
板状のインサート本体と、
前記インサート本体に形成された切れ刃部と、を備え、
前記切れ刃部は、
前記インサート本体の前記中心軸方向の先端部に配置され、前記中心軸に直交する径方向に沿うように延びるとともに、前記中心軸方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃と、
前記インサート本体の前記径方向の外端部に配置され、前記中心軸方向に沿うように延びるとともに、前記径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃と、
すくい面と、を備え、
前記底切れ刃の曲率半径と、前記外周切れ刃の曲率半径とが、互いに同一であり、
前記底切れ刃の前記径方向の外端と、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが、直線切れ刃を介して接続し、
前記すくい面を正面に見て、
前記底切れ刃における前記中心軸方向の先端を通り前記径方向に沿って延びる直線を径方向基準線とし、
前記外周切れ刃における前記径方向の外端を通り前記中心軸方向に沿って延びる直線を中心軸方向基準線とし、
前記底切れ刃の前記径方向の外端における前記底切れ刃の接線を第1の接線とし、
前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端における前記外周切れ刃の接線を第2の接線とし、
前記第1の接線と前記径方向基準線との交点、前記第1の接線と前記中心軸方向基準線との交点、及び、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点を、互いに直線で繋いで形成される直角三角形を第1の直角三角形とし、
前記第2の接線と前記中心軸方向基準線との交点、前記第2の接線と前記径方向基準線との交点、及び、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点を、互いに直線で繋いで形成される直角三角形を第2の直角三角形として、
前記第1の直角三角形と前記第2の直角三角形とが、互いに合同である、切削インサート。 - 請求項3に記載の切削インサートであって、
前記インサート本体には、該インサート本体を厚さ方向に貫通するネジ挿通孔が形成されており、
前記ネジ挿通孔の孔中心が、前記底切れ刃の前記径方向の外端と前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とを結ぶ線分の中点と、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点と、を通る仮想直線上に位置している、切削インサート。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
前記底切れ刃の前記径方向の外端と前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが、1つの前記直線切れ刃を介して接続する、切削インサート。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
前記底切れ刃の前記径方向の外端と前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが、複数の前記直線切れ刃を介して接続する、切削インサート。 - 請求項1~6のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
前記底切れ刃の前記径方向の外端と前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが、前記直線切れ刃を介して接続し、
前記すくい面のうち、前記底切れ刃のすくい面部分、前記外周切れ刃のすくい面部分及び前記直線切れ刃のすくい面部分が、同一平面上に形成されている、切削インサート。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
前記すくい面を正面に見て、
前記底切れ刃における前記中心軸方向の先端を通り前記径方向に沿って延びる直線を径方向基準線とし、
前記底切れ刃の前記径方向の外端における前記底切れ刃の接線を第1の接線とし、
前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端における前記外周切れ刃の接線を第2の接線として、
前記第1の接線と前記径方向基準線との間に形成される角度θ1が、10~30°であり、
前記第2の接線と前記径方向基準線との間に形成される角度θ2が、(90°-θ1)°である、切削インサート。 - 請求項1~8のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
前記外周切れ刃の軸方向すくい角が、正の値を有し、
前記底切れ刃の軸方向すくい角が、正の値を有している、切削インサート。 - 中心軸回りに回転させられる工具本体と、
前記工具本体の先端部に形成された取付座と、
前記取付座に着脱可能に装着される切削インサートと、を備えた刃先交換式回転切削工具であって、
前記切削インサートとして、請求項1~9のいずれか一項に記載の切削インサートを用いた、刃先交換式回転切削工具。
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