JP7005917B2 - 繊維強化樹脂成形品と金属のハイブリット構造部材 - Google Patents
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Description
<繊維強化樹脂成形体(1)>
強化繊維が複数本束ねられた繊維束とマトリックス樹脂とを含有する繊維強化樹脂成形体であって、当該繊維強化樹脂成形体の厚み方向の切断面における0.1mm角の単位区画あたりの強化繊維含有率の変動係数が40%以下である。
<接着剤(2)>
弾性率が2GPa以下である接着剤。
[2] 前記ハイブリット構造部材の23℃における引張接着せん断強度が14MPa以上である上記[1]に記載のハイブリット構造部材。
[3] 前記繊維強化樹脂成形体中の強化繊維の平均繊維長が5~100mmである、上記[1]または[2]に記載のハイブリット構造部材。
[4] 前記0.1mm角の単位区画あたりの強化繊維含有率の変動係数が10%以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のハイブリット構造部材。
[5] 前記強化繊維が炭素繊維である、上記[1]~[4]のいずれかに記載のハイブリット構造部材。
[6] 前記接着剤の厚みが0.1以上4mm以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のハイブリット構造部材。
[7] 前記接着剤の厚みが0.1以上1mm以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のハイブリット構造部材。
[8] 前記接着剤がエポキシ系接着剤である、上記[1]~[7]のいずれかに記載のハイブリット構造部材。
<繊維強化樹脂成形体(1)>
強化繊維が複数本束ねられた繊維束とマトリックス樹脂とを含有する繊維強化樹脂成形体であって、当該繊維強化樹脂成形体の厚み方向の切断面における0.1mm角の単位区画あたりの強化繊維含有率の変動係数が40%以下である。
<接着剤(2)>
弾性率が2GPa以下である接着剤。
以下、本発明の繊維強化樹脂成形体と金属のハイブリット構造部材について詳細に説明する。
本発明のハイブリット構造部材に用いることができる繊維強化樹脂成形体は、強化繊維とマトリックス樹脂とを含有する。本発明の繊維強化樹脂成形体は、例えば、複数の繊維束からなる繊維束群にマトリックス樹脂が含有された繊維強化樹脂材料(SMC)が成形されることで得られる。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を用いることができる。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂のみを用いてもよく、熱可塑性樹脂のみを用いてもよく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の両方を用いてもよい。
本発明の繊維強化樹脂成形体をSMCから製造する場合、マトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の繊維強化樹脂成形体に用いることができる強化繊維としては、強化繊維の種類は特に限定されず、無機繊維、有機繊維、金属繊維、またはこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維が使用できる。無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維などが挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステルなどが挙げられる。金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維を挙げられ、また金属を被覆した炭素繊維でもよい。これらの中では、最終成形物の強度等の機械特性を考慮すると、炭素繊維が好ましい。また、強化繊維の平均繊維直径は、1~50μmであることが好ましく、5~20μmであることがさらに好ましい。
炭素繊維には特に制限は無く、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系など、何れの炭素繊維も使用することができる。特にPANを原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。これらは市販品として入手できる。
本発明の繊維強化樹脂成形体は、その厚みに沿った切断面における、0.1mm角の単位区画あたりの強化繊維の繊維含有率の変動係数(以下、「変動係数Q」とも言う。)が40%以下である。
尚、変動係数Qは、繊維強化樹脂成形体を厚み方向に沿って切断し、その切断面において、0.1mm単位区画あたりの強化繊維の繊維含有率を2000箇所について測定し、その標準偏差と平均値(以下「平均値P」という)を算出し、標準偏差を平均値Pで除した値を意味する。
変動係数Qが上限値以下であれば、繊維強化樹脂成形体と金属との接着強度や破壊形態のバラツキが抑制された、繊維強化樹脂成形体と金属とのハイブリット構造部材が得られる。
繊維強化樹脂成形体の平均繊維長が前記下限値以上であれば、物性に優れた繊維強化樹脂成形品が得られるため、より軽量性と物性のバランスに優れた繊維強化樹脂成形品と金属とのハイブリット構造部材が得られ、前記上限値以下であれば、成形時に繊維強化樹脂材料がより流動しやすくなるため、成形が容易になる。
本発明に用いられる接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系、ポリビニールアルコール系、ポリアセタール系、塩化ビニール系、アクリル系、ポリエチレン系、セルロース系、ユリア系、レゾルシノール系、メラミン系、フェノール系(ノボラック、水溶性)、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリイミド系、ポリアロマチック系、クロロブレン系、ニトリルゴム系、SBR系、ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコーンゴム系、エポキシ-ナイロン系、フェノール-ニトリル系、エポキシ-ニトリル系、エポキシ-フェノール系等が挙げられる。
繊維強化樹脂成形品と金属とのハイブリット構造部材は、金属に接着剤(2)を塗布し、繊維強化樹脂成形品と重なるように貼り合せて、接着剤の使用法に応じて、室温もしくは適宜高温で加熱して接着剤を固化させ得られる。
実施例及び比較例の繊維強化樹脂成形体を厚み方向に切断し、その切断面が覆われるように切断面をメタクリル樹脂(製品名「テクノビット4004」、ヘレウス社製)で包埋した後、研磨を行って切断面を露出させた。次いで、切断面を光学顕微鏡(製品名「BX51M」、オリンパス社製)により、倍率100倍にて撮像した。切断面の画像を、画像処理ソフト(製品名「Winroof2015、三谷商事社製」により、0.1mm角の単位区画に分割した後、輝度の闘値を136として二値化処理を行って繊維とマトリックス樹脂とを区別した。次いで、2000箇所の単位区画のそれぞれについて、単位区画の面積に対して輝度が闘値以上である領域(繊維が占める領域)の面積が占める割合を測定し、繊維含有率を求めた。次いで、2000箇所の単位区画についての繊維含有率の平均値(平均値P)と標準偏差を算出し、標準偏差を平均値Pで除して変動係数Qを算出した。
実施例及び比較例の繊維強化樹脂成形体(長さ100mm×幅25mm×厚さ2mm)の先端部に接着剤を塗布し、金属としてアルミニウム基材(長さ100mm×幅25mm×厚さ2mm)の先端部へ重なるよう貼り合せて、重ねた上から1kgのおもりをのせ、140℃1時間加熱硬化させて、繊維強化樹脂成形体と金属とのハイブリット部材を得て、試験片とした。
尚、せん断強度が10MPa以上で、破壊形態が接着剤の凝集破壊○、せん断強度が10MPa以下で、破壊形態が接着剤の凝集破壊△、破壊形態が繊維強化樹脂成形品の基材破壊もしくは繊維強化樹脂成形品と金属との界面で剥離が起こっている場合×とした。
繊維として(商品名「TR50S15L」、三菱レイヨン社製)を使用した。
熱硬化性樹脂であるエポキシアクリレート樹脂(製品名:ネオポール8051、日本ユピカ社製)100質量部に対して、硬化剤として1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンの75%溶液(製品名:パーヘキサC-75、日本油脂社製)0.5質量部と、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートの74%溶液(製品名:カヤカルボンBIC-75、化薬アクゾ社製)0.5質量部とを添加し、内部離型剤として、リン酸エステル系誘導体組成物(製品名:MOLD WIZ INT-EQ-6、アクセルプラスチックリサーチラボらトリー社製)0.35質量部を添加し、増粘剤として、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(製品名:コスモネートLL、三井化学社製)15.5質量部を添加し、安定剤として、1.4-ベンゾキノン、和光純薬工業社製)0.02質量部を添加して、これらを十分に混合撹拌してマトリックス樹脂を含むペーストを得た。
得られた繊維強化樹脂成形体の繊維含有率Pは55.7%、繊維含有率変動係数Qは26.1%であった。
繊維強化樹脂材料としてSTR120N131-KA6N(三菱レイヨン社製)を使用し、厚み2mmの25cm角の試験片を2枚切出して重ね、プレス成形して30cm角の板上の繊維強化樹脂成形体を得た。得られた成形体の繊維含有率の平均値Pは44.2%、変動係数Qは47.1%であった。
Claims (7)
- 下記繊維強化樹脂成形体(1)と金属が、接着剤(2)を介して一体化している、繊維強化樹脂成型体と金属のハイブリット構造部材。
<繊維強化樹脂成形体(1)>
強化繊維が複数本束ねられた繊維束とマトリックス樹脂とを含有する繊維強化樹脂成形体であって、該繊維強化樹脂成形体はSMCが成形されたものであり、該強化繊維の繊維方向がランダムになっており、該強化繊維の平均繊維長が5~100mmであり、該繊維強化樹脂成形体の厚み方向の切断面における0.1mm角の単位区画あたりの強化繊維含有率の変動係数が10%以上40%以下である。
<接着剤(2)>
エポキシ系接着剤。 - 前記ハイブリット構造部材の23℃における引張接着せん断強度が14MPa以上である、請求項1に記載のハイブリット構造部材。
- 前記0.1mm角の単位区画あたりの強化繊維含有率の変動係数が15%以上30%以下である、請求項1または2に記載のハイブリット構造部材。
- 前記強化繊維が炭素繊維である請求項1~3のいずれか1項に記載のハイブリット構造部材。
- 前記接着剤の厚みが0.1以上4mm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のハイブリット構造部材。
- 前記接着剤の厚みが0.1以上1mm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のハイブリット構造部材。
- 前記金属がアルミニウムである、請求項1~6のいずれか1項に記載のハイブリット構造部材。
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