JP7099435B2 - バーリング加工方法 - Google Patents
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Description
このフランジ3に金属パイプを嵌合させて溶接することで、フランジ3が溶接しろとなり、組み立ての作業性が向上する。さらに、溶接部分の強度も高めることができる。そして、組み立ての作業性や溶接部の強度を十分に確保するためには、フランジ3の高さをより高く確保したいという要望がある。
図7(a)は、金属板1の所定の位置に設けた開口部に、別部品として成形したフランジ3を溶接するという方法である。しかし、この方法は、別部品の準備と溶接工程を必要とするためコストが増大する。そのため、溶接工程を必要とせず、一つの部品からフランジ3を成形するのがコストを低減できて、気密性の観点でも信頼性が高く好ましい。
図7(c)に示す方法も、同様に、有底円筒形状の成形可能な深さには限界があるので、その制約内でしかフランジ3を高くすることができない。
図9は、有底円筒形状の底面に下穴を形成(孔抜き)する際の金型の断面図である。下穴を形成する際には、通常、打ち抜きダイ35と板押え37で金属板1を挟持して、打ち抜きパンチ39で下穴を打ち抜く。図9(a)は、金属板1の有底円筒形状の内側に打ち抜きダイ35を配置すると共に外側に板押え37を配置し、外側から打ち抜きパンチ39で打ち抜く場合を示しており、図9(b)は、金属板1の有底円筒形状の外側に打ち抜きダイ35を配置すると共に内側に板押え37を配置し、内側から打ち抜きパンチ39で打ち抜く場合を示している。
図9(a)における打ち抜きダイ35や、図9(b)における板押え37のように、有底円筒形状の内側に配置される金型は、該有底円筒形状の内周面に沿う部位が厚みの薄い薄肉円筒形状(薄肉円筒形状部35a、37a)となるため加工の際に破損が生じやすく、耐久性に問題がある。
このような形状の金型であれば、上述したような、金型における耐久性の問題は生じないが、有底円筒形状の内周側を押さえていないことによる別の問題が生じる。これについて以下に図10に基づいて説明する。
そして、この割れは、下穴の径を小さくして穴拡げ率を大きくすると、より発生しやすくなるため、下穴の切断面27の破断面比率が大きい場合にはフランジ高さを高くできないという問題がある。
本実施の形態は、金属板1に、直径φD=25~80mmの開口部及びその周縁に高さHf=D/5~D/3のフランジ3を成形することを目的とするものである。本実施の形態における金属板1は、例えば、板厚1.0~2.5mmのフェライト系ステンレス鋼板またはオーステナイト系ステンレス鋼板を想定している。
以下、各工程を詳細に説明する。
有底円筒形状成形工程S1は、絞り成形又は張出し成形により金属板1に有底円筒形状を成形する工程である。本実施の形態では絞り成形を例にあげて説明する。
有底円筒形状成形工程S1では、図2の断面図に示すように、平板状の金属板1の一方に孔抜き部を有する絞りダイ5、他方に板押え7を配置して金属板1を挟持した状態で、板押え7側から矢印方向に、直径φDの円形断面形状を有する絞りパンチ9を金属板1に近接させ(図2(a)参照)、さらに、絞りパンチ9を金属板1に押し込むことで(図2(b)参照)、図1(a)に示したような高さHb、直径φDの有底円筒形状が成形される。
このとき、有底円筒形状の加工限界まで絞って、高さHbをより高く得るようにするのが好ましい。
押圧工程S3は、有底円筒形状成形工程S1で成形された有底円筒形状の底面11を押圧して、底面11の中央が、有底円筒形状の内側に凸になるように湾曲した形状にする工程である。これについて、図3を用いて説明する。
押圧工程S3では、図3の断面図に示すように、有底円筒形状における筒部の外周面に沿うようにパッド13を配置すると共に、パッド13と協働して有底円筒形状に連続する平坦部を挟持するように板押え15を配置した状態で、有底円筒形状の底面11の外側から矢印方向に、円形断面形状を有するパンチ17を近接させ(図3(a)参照)、さらに、パンチ17を底面11に押し付けて、有底円筒形状を所定量押し潰す(図3(b)参照)。
これにより、有底円筒形状の周壁が押し潰され、潰された分だけ高さが低くなると共に材料余りが生じて、図1(b)に示したような、底面11の中央が内側に凸となる湾曲した形状となる。
下穴形成工程S5は、押圧工程S3で成形された内側に凸となるように湾曲した底面11に、底面11の直径よりも小さい直径の円形の下穴を、打ち抜き加工により形成する工程である。これについて、図4を用いて説明する。
下穴形成工程S5では、図4の断面図に示すように、有底円筒形状の外周側に、底面11の直径φDよりも小さい内径φdの孔抜き部を有する打ち抜きダイ19を配置すると共に、有底円筒形状に連続する平坦部を挟持するように板押え21を配置する。板押え21は、有底円筒形状の内周面に沿うような薄肉円筒形状の部位は有しておらず、従来例のような破損の問題が生ずることはない。
ダイの孔抜き部端部には、有底円筒形状の肩部から縦壁部に沿うような形状の凹部19aが形成されている。
さらに打ち抜きパンチ23を進行させると、打ち抜きパンチ23と打ち抜きダイ19によって金属板1が切断され、金属板1からスクラップ25が分離して(図4(c))、図1(c)に示したような、直径φdの下穴が形成される。
また、円板状に打ち抜かれたスクラップ25は、金属板1から分離したのち、図4(c)に示すように、再び内側に凸の湾曲形状に戻って直径が僅かに縮小するので打ち抜きダイ19の内部に引っ掛かりにくく、作業性を悪化させることがない。
バーリング加工工程S7は、下穴形成工程S5で底面11に下穴が形成された有底円筒形状に内側からバーリングパンチ29を押し込んでバーリング加工する工程である。これについて、図5を用いて説明する。
バーリング加工工程S7では、図5の断面図に示すように、底面11に下穴が形成された有底円筒形状の周囲を、ダイ31と板押え33で挟持した状態で、板押え33側から矢印方向に、直径φD(>φd)の円形断面形状を有するバーリングパンチ29を金属板に近接させ(図5(a)参照)、さらに、バーリングパンチ29を押し込むことで、下穴の周縁をバーリング加工(図5(b)参照)する。これによって、図1(d)に示したように、有底円筒形状成形工程で成形した有底円筒形状の高さHbよりもさらに高い高さHfを有する、直径φDのフランジ3が成形される。
本実施例では、板厚2mmのステンレス鋼板に、フランジ3を有する内径φD=38.1mmの開口部をフランジ高さの目標値を変更しながらプレス加工し、比較した。
まず、比較例1として、従来の方法である下穴を打ち抜いてバーリングする方法(図7(b)参照)を用いて成形を行った。比較例1では、打ち抜く下穴径φdを徐々に小さく変更し、それぞれにφ38.1mmのパンチを押し込んでバーリング加工を行った。その結果を表1に示す。なお、表中のλは穴拡げ率((φD-φd)/φd)を示している。
さらに、高さ12mmHの有底円筒形状に対して、下穴径φdを小さく変更したところ(φd=27mm、23mm)、いずれもバーリング加工の際に、フランジ端部(穴フチ)に割れが発生した。したがって、比較例3で成形できるフランジ高さは、有底円筒形状の成形限界高さ及びバーリングによる穴フチ割れ発生に律速され、加工できたフランジ高さの最大値は16.0mmであった。
3 フランジ
5 絞りダイ(有底円筒形状成形工程)
7 板押え(有底円筒形状成形工程)
9 絞りパンチ(有底円筒形状成形工程)
11 底面
13 パッド(押圧工程)
15 板押え(押圧工程)
17 パンチ(押圧工程)
19 打ち抜きダイ(下穴形成工程)
19a 凹部
21 板押え(下穴形成工程)
23 打ち抜きパンチ(下穴形成工程)
25 スクラップ
27 切断面
29 バーリングパンチ(バーリング加工工程)
31 ダイ(バーリング加工工程)
33 板押え(バーリング加工工程)
35 打ち抜きダイ(従来例)
35a 薄肉円筒形状部
37 板押え(従来例)
37a 薄肉円筒形状部
39 打ち抜きパンチ(従来例)
Claims (1)
- 有底円筒形状を絞り成形又は張出し成形により成形する有底円筒形状成形工程と、
該有底円筒形状成形工程で成形された有底円筒形状の底面を押圧して、該底面の中央が内側に凸になるように湾曲した形状にする押圧工程と、
該押圧工程で成形された底面に該底面の直径よりも小さい直径の円形の下穴を打ち抜き加工により形成する下穴形成工程と、
該下穴が形成された円筒形状の内側にバーリングパンチを押し込んでバーリング加工するバーリング加工工程と、を備え、
前記下穴形成工程は、前記円筒形状の内周側には板押えを配置することなく外周側に打ち抜きダイを配置し、前記円筒形状の内側に配置した打ち抜きパンチにより前記底面の外周縁部を前記打ち抜きダイに押し付けながら打ち抜いて前記下穴を形成することを特徴とするバーリング加工方法。
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