図1から図24を用いて、本実施の形態1~3に係る蓄電モジュールについて説明する。図1から図24に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、蓄電装置1が搭載された車両2を示す模式図である。車両2は、車内に配置された蓄電装置1を含む。なお、蓄電装置1が搭載された車両2は、ハイブリッド車両、電気自動車や燃料電池車両などの電動車両ある。蓄電装置1は、電池ケース3と、電池ユニット4と、ファン5とを含む。電池ユニット4は、電池ケース3内に収容されており、ファン5は電池ケース3内に車室内の空気を供給する。
図2は、蓄電装置1の電池ユニット4を示す斜視図である。電池ユニット4は、複数の電池モジュール10,11,12、13と、電池ユニット4の両端に設けられた固定プレート14,15とを備える。電池ユニット4は略直方体形状であり、車両2の幅方向に長くなるように配置されている。
固定プレート14は電池ユニット4の長手方向の一端に設けられており、固定プレート15は電池ユニット4の他端に設けられている。
固定プレート14は複数のボルト20,21,22,23,24,25,26,27によって電池モジュール10,11,12,13に固定されており、固定プレート14によって、電池モジュール10,11,12,13は互いに固定されている。固定プレート14は、ボルト28,29によって、電池ケース3の底面に固定されている。固定プレート15も固定プレート14と同様に、各電池モジュール10,11,12,13および電池ケース3の底面に固定されている。
このため、電池モジュール10,11,12,13は、固定プレート14,15によって互いに連結されると共に、電池ケース3の底面に固定されている。
図3は、電池モジュール11を示す分解斜視図である。電池モジュール11は、底蓋40と、負極バスバーアッセンブリ41と、散熱板42と、円筒電池43と、樹脂カバー44と、正極バスバー45と、天井蓋46と、複数の接続板47と、ガス発生器48,49とを含む。
散熱板42は、金属製の板状部材である。この散熱板42には散熱板42の厚さ方向に延びる複数の貫通孔50が形成されている。貫通孔50はアレイ状に形成されている。
散熱板42は、上面51と、下面52と、一対の側面53,54と、一対の端面55,56とを含む。各貫通孔50は、上面51から下面52に達している。
散熱板42の端面55および端面56側には、排気路および排気口が形成されている。なお、この図3においては、端面55側に形成された排気路57および排気口58が図示されているが、端面56側にも同様の排気路および排気口が形成されている。排気路57は、下面52から散熱板42内に入り込むように延び、その後、端面55に向けて延びるように形成されている。そして、排気路57は、端面55に形成された排気口58に接続されている。
円筒電池43は、充放電可能な二次電池である。円筒電池43としては、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などである。円筒電池43の上端部に正極60が形成されており、円筒電池43の下端部には負極61が形成されている。なお、本実施の形態としては、単位蓄電部として、円筒電池を採用した例について説明したが、角型電池でもよく、また、キャパシタであってもよい。
円筒電池43は、散熱板42に形成された貫通孔50に挿入されている。円筒電池43の正極60は散熱板42の上面51よりも上方に配置されており、円筒電池43の負極61は散熱板42の下面52よりも下方に位置している。円筒電池43の上端部には、正極60が形成されており、円筒電池43の下端部には、負極61が形成されている。
散熱板42の貫通孔50の内周面と、円筒電池43の外周面との間には樹脂などが配置されており、円筒電池43が散熱板42に固定されている。
樹脂カバー44は、散熱板42の上面51に配置されている。樹脂カバー44は下方に向けて開口するよう形成されており、樹脂カバー44は、天板65と、一対の側壁66,67と、一対の端壁68,69とを含む。
側壁66には、複数の通風口73が形成されている。通風口73は、側壁66の長手方向に間隔をあけて形成されている。側壁67にも、側壁66と同様に複数の通風口が形成されている。側壁66,67の下端部と、端壁68,69の下端部は、散熱板42の上面51に配置される。
複数の正極バスバー45は、樹脂カバー44の天板65側に配置されている。各正極バスバー45は、たとえば、10個程度の円筒電池43の正極60を並列に接続する。
天井蓋46は、正極バスバー45の上方に配置されている。天井蓋46は樹脂などの絶縁材料によって形成されている。
負極バスバーアッセンブリ41は、散熱板42の下面52側に配置されている。負極バスバーアッセンブリ41は、図示されていない複数の負極バスバーと、この複数の負極バスバーをモールドする樹脂モールドとを含む。負極バスバーの外形形状と、正極バスバー45の外形形状とは近似している。そして、負極バスバーアッセンブリ41(負極バスバー)には、複数の穴75が形成されている。各穴75には、穴75の内周面から突出するように形成された端子76が形成されている。端子76は、円筒電池43の負極61に接続される。
負極バスバーは、正極バスバー45と同じ円筒電池43の負極61を並列に接続するように形成されている。
複数の接続板47は、側壁66に設けられている。各接続板47は、正極バスバー45および複数バスバーを接続する。複数の接続板47は、複数の正極バスバー45および複数の負極バスバーを直列に接続する。ここで、正極バスバー45および負極バスバーによって並列に接続された複数の円筒電池43を円筒電池群とすると、複数の円筒電池群が接続板47によって直列に接続される。
負極バスバーアッセンブリ41の一端には排気路77が形成されており、他端には排気路78が形成されている。排気路77,78は、いずれも、負極バスバーアッセンブリ41の厚さ方向に貫通するように形成されている。
排気路77は、散熱板42に形成された排気路57と連通している。排気路78は散熱板42の端面56側に形成された排気路と連通している。
底蓋40は、負極バスバーアッセンブリ41の下面側に配置されている。底蓋40は、アルミニウムなどの金属によって形成されている。
図4は、電池モジュール11およびその周囲を示す断面図である。この図4に示すように、底蓋40および負極バスバーアッセンブリ41によって、排気路80が形成されている。図5は、円筒電池43の下面側を示す斜視図である。円筒電池43は、周壁部71と、下壁部72とを含む。負極61および排気部70は、下壁部72に形成されている。
下壁部72において、排気部70が位置する部分の厚さは、他の部分の厚さよりも薄い。このため、円筒電池43内の内圧が上昇して、円筒電池43内の内圧が所定圧以上になると、排気部70が破断する。そして、破断した部分から排気ガスが、円筒電池43の外部に排出される。図4を参照して、各円筒電池43に形成された排気部70は排気路80に露出している。
なお、通風口73には、図1に示すファン5からの冷却風が供給される。冷却風は、電池モジュール11内に入り込み、複数の円筒電池43を冷却した後、側壁67に形成された通風口から排気される。
図6は、固定プレート14を取り外した状態を示す電池ユニット4の斜視図である。この図6に示すように、電池モジュール11の一方の端面には、排気口58と、ボルト穴30,31が形成されている。
電池モジュール10の一方の端面には、排気口100と、ボルト穴32,33とが形成されている。電池モジュール12の一方の端面には、排気口102と、ボルト穴34,35とが形成されている。電池モジュール13の一方の端面には、排気口104と、ボルト穴36,37とが形成されている。
固定プレート14のボルト20,21,22,23,24,25,26,27は、ボルト穴30~37に挿入されている。各ボルト穴30,ボルト穴31,32,33,34,35,36,37の内表面には各ボルト20,21,22,23,24,25,26,27のネジ軸ト20a,21a,22a,23a,24a,25a,26a,27aと螺合するネジ部が形成されており、固定プレート14が電池モジュール10,11,12,13の一方端に固定されている。
固定プレート14は、板状に形成されており、固定プレート14は外側面111と対向面110とを含む。対向面110は、電池ユニット4と対向する面である。
固定プレート14の対向面110には、複数の排気口120,121,123,124が形成されており、固定プレート14内には、排気通路130および排気通路131が形成されている。
固定プレート14が電池ユニット4に固定された状態において、排気口120は、排気口58に接続される。排気口121は、排気口100に接続される。
排気口123は、排気口102に接続される。排気口124は排気口104に接続される。
排気口120および排気口121は、排気通路130に接続されている。排気通路130は、固定プレート14の下面に形成された排気口に接続されている。
排気口123および排気口124は、排気通路131に接続されている。排気通路131は、固定プレート14の下面に形成された排気口に接続されている。図7は、電池モジュール11の排気口58およびその周囲の構成を示す断面図である。
電池ケース3の下壁部には、排気通路89が形成されている。排気通路89は、車両2の外部と連通している。固定プレート14の排気通路130は排気通路89と連通している。排気通路89は車外と連通している。
図3および図7において、排気路80は、負極バスバーアッセンブリ41の端部に形成された排気路77と連通している。排気路77は、散熱板42に形成された排気路57に連通している。
そして、排気路80と、排気路77と、排気路57とによって、排気通路85が形成されている。排気通路85は、排気口58に接続されている。同様に、図3に示す排気路80と、排気路78と、端面56側に形成された排気路とによって、排気通路86が形成されている。
図7に示す排気路57は、鉛直路57aと、水平路57bとを含む。鉛直路57aは、排気路77との接続部分から上方に向けて延びるように形成されている。水平路57bは、鉛直路57aとの接続部分から水平方向に延びるように形成されている。水平路57bは、排気口58に接続されている。
排気路80は、流入空間81と、集約空間82とを含む。流入空間81は、各円筒電池43の排気部70から排出される排気ガスGが流入する空間である。流入空間81は、各円筒電池43の下方に位置している。
集約空間82は、流入空間81よりも排気ガスGの流通方向Dの下流側に位置している。集約空間82において、各排気部70から排出された排気ガスGが集約される。
ガス発生器48は、排気通路85内において、流入空間81よりも流通方向Dの下流側に配置されている。具体的には、ガス発生器48は、排気路80の集約空間82に配置されている。
図8は、ガス発生器48の構成を示す断面図である。ガス発生器48は、収容ケース90と、ガス剤91とを含む。
ガス剤91は、たとえば、Novec1230(ノベック:登録商標)などのハロゲン化物消火薬剤などである。このガス剤91は、高い撥水性と絶縁性を備えている。なお、ガス剤91の沸点は、50度程度であるため、通常の状態においては、ガス剤91は液体状である。なお、ガス剤91としては、上記の例に限られず、炭酸カリウム水溶液などの冷却効果を奏するものなどでもよい。
収容ケース90は、ケース本体92および薄膜部93を含む。ケース本体92には、上方に向けて開口する開口部92aが形成されており、薄膜部93は開口部92aを閉塞するように配置されている。
ケース本体92の膜厚T1は、薄膜部93の膜厚T2よりも厚い。膜厚T1は、たとえば、0.5mm程度であり、膜厚T2は、0.15mm程度である。
図9は、図8に示すIX-IX線における断面図である。図10は、ガス発生器48を示す斜視図である。図8から図10を参照して、ケース本体92は、底部94と、周壁95と、鍔部96とを含む。底部94は底蓋40に固定されている。たとえば、接着剤などによって底部94は底蓋40の内表面に固定されている。
周壁95は、底部94の外周縁部から上方に立ち上がるように形成されている。周壁95は、底部94の外周縁部に沿って環状に延びるように形成されている。周壁95は、後壁97と、前壁98と、側壁部99A,99Bとを含む。
図8において、後壁97は、ガス剤91に対して排気ガスGの流通方向Dの上流側に配置されている。この後壁97の膜厚T1は、薄膜部93の膜厚T2よりも厚い。すなわち、後壁97は、「薄膜部よりも厚い厚膜部」である。後壁97の表面は、対向面105と、背面106とを含む。対向面105は、流通方向Dの上流側に位置している。背面106は、対向面105の反対側に位置している。
前壁98は、ガス剤91に対して排気ガスGの流通方向Dの下流側に位置している。そして、前壁98は、ガス剤91と接触している。前壁98の高さは、後壁97の高さよりも低い。後壁97の下端部および前壁98の下端部は、上下方向において、同じ位置に位置している。このため、前壁98の上端部は、水平方向(流通方向D)において、後壁97の背面106側に位置している。
側壁部99Aは、後壁97の一端と前壁98の一端とを接続するように形成されている。側壁部99Bは、後壁97の他端と前壁98の他端とを接続するように形成されている。側壁部99A,99Bの上端部は、後壁97から前壁98に向かうにつれて高さ位置が低くなるように傾斜するように形成されている。
鍔部96は、周壁95の上端部から外方向に張り出すように形成されている。鍔部96は環状に延びるように形成されている。
ケース本体92は、複数の樹脂層と、樹脂層の間に挿入されたバリヤ層とを含む。具体的には、ケース本体92は、樹脂層140と、バリヤ層141と、樹脂層142とを含む。
樹脂層140は、ケース本体92の最外層に配置されている、樹脂層142は、ケース本体92の最内層に配置されている。バリヤ層141は、樹脂層140および樹脂層142の間に配置されている。なお、バリヤ層141の液体浸透速度は、樹脂層140,142の液体浸透速度よりも小さい。
樹脂層140,142は、PP(polypropylene)などの樹脂材料によって形成されている。バリヤ層141は、EVOH(登録商標)樹脂(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)などによって形成されている。
樹脂層140および樹脂層142の間に、バリヤ層141が配置されているので、液体状のガス剤91が樹脂層140に染みたとしても、バリヤ層141によって、ガス剤91が外部に漏れだすことを抑制することができる。
薄膜部93は、たとえば、樹脂などによって形成されている。たとえば、GLADプレス&シール(GLAD社製)を採用することができる。
薄膜部93は、開口部92aを閉塞するように設けられている。薄膜部93は、鍔部96の上面に接着されている。薄膜部93は、後壁97の上端部から前壁98の上端部に向かうにつれて、下方に向かうように傾斜している。このため、薄膜部93は、排気ガスGの流通方向Dにおいて、後壁97の背面106側に位置している。この図8に示す例においては、薄膜部93は、前壁98側において、ガス剤91と接触している。
図3において、ガス発生器49もガス発生器48と同様に形成されている。
上記のように構成された蓄電装置1において、特定の円筒電池43にて、過充電や内部短絡が生じる場合がある。
図7において、たとえば、円筒電池43aにおいて、過充電や内部短絡が生じたとする。円筒電池43aにおいて、過充電や内部短絡が生じると、円筒電池43a内で発熱反応が過剰に生じる場合がある。発熱反応が過剰に生じると、気体が多量に発生して、円筒電池43a内の内圧が上昇する。円筒電池43a内の内圧が上昇すると、一般的に、化学反応が促進されるため、円筒電池43a内において発熱反応がさらに加速される。
円筒電池43a内の内圧が所定以上となると、排気部70が破断する。そして、排気部70の破断部分から排気ガスGが流入空間81内に流入する。この排気ガスGには、C2H4、CH4や水素などの物質が含まれる場合がある。また、排気ガスGの温度は、たとえば、100度以上400度以下程度である。
ここで、排気部70から排気ガスGが引き出た直後においては、円筒電池43a内の内圧が高いため、瞬間的に、多くの排気ガスGが流入空間81内に入り込む。
排気ガスGが円筒電池43aから排出されると、円筒電池43a内の内圧が低下する。円筒電池43a内の内圧が低下すると、円筒電池43a内での発熱反応が比較的、低調となる。そのため、排気部70が破断した後、しばらくすると、排気部70から排出される排気ガスGの流出量が少なくなる。その一方で、円筒電池43aの状況によっては、所定量の排気ガスGが継続的に排出され続ける場合がある。
このように、排気部70が破断した直後においては、瞬間的に、多量の排気ガスGが流入空間81に流入する一方で、その後、比較的少量の排気ガスGが継続的に流入空間81内に流入し続ける場合がある。
流入空間81内に流入した排気ガスGは、流通方向Dに流れ、集約空間82内に入り込む。その後、排気路57を通り、固定プレート14の排気通路130と、電池ケース3の排気通路89とを通り、車外に排気される。
ここで、たとえば、固定プレート14と散熱板42との接触が不十分の場合には、固定プレート14と散熱板42との間に隙間が形成されている場合がある。
上記のように、流入空間81内に入り込んだ排気ガスGは、流通方向Dに流れて、集約空間82に向かう。集約空間82には、ガス発生器48が配置されている。
図8において、排気ガスGは、ガス発生器48の後壁97に噴き付けられる。後壁97の膜厚T1は、膜厚T2よりも厚い。このため、瞬間的に、多量の排気ガスGが周壁95に噴き付けられても、排気ガスGの熱がガス剤91に達することが抑制されている。
薄膜部93は、後壁97の背面106側に配置されている。このため、薄膜部93に排気ガスGが直接的に噴き付けられることが抑制されている。このため、薄膜部93を通して、排気ガスGの熱がガス剤91に伝えられることが抑制されている。
その結果、瞬間的に、多量の排気ガスGがガス発生器48に噴き付けられたとしても、ガス発生器48内のガス剤91の温度(ガス発生器48の内部温度)が上昇することが抑制されている。
その一方で、円筒電池43aから継続的に排気ガスGが排出され続けたとすると、後壁97に継続的に排気ガスGが噴き付けられることになる。その結果、後壁97を通して、排気ガスGの熱がガス剤91に達する。ガス剤91が加熱されて、ガス剤91の温度(ガス発生器48の内部温度)が所定温度以上となると、ガス剤91が蒸発(気化)し始める。その結果、収容ケース90内の内圧が上昇する。なお、上記の所定温度とは、ガス剤91の沸点温度である。本実施の形態においては、50度程度の温度である。
薄膜部93の膜厚T2は薄いため、薄膜部93が破断する。図11は、薄膜部93が破断したときにおけるガス発生器48の断面図である。
薄膜部93が破断すると、ガス剤91の気体である供給ガスG1が収容ケース90の外部に噴き出る。この供給ガスG1は、図7において、排気通路85の集約空間82内に供給され、円筒電池43aから排出された排気ガスGと混合する。
そのため、固定プレート14と散熱板42との間に隙間が形成されている場合においても、当該隙間から漏れだす排気ガスGの濃度を低くすることができる。
これにより、濃度の高いC2H4、CH4や水素などの物質が電池モジュール11から漏れ出ることを抑制することができる。
なお、ガス剤91は、高い撥水性と絶縁性を有しているため、仮に、ミスト状のガス剤91が電池モジュールの周囲に付着したとしても、周囲の車載機器が濡れたり、短絡などの原因となることを抑制することができる。
ガス剤91として、炭酸カリウム水溶液を採用した場合には、排気ガスGの温度を下げることができ、高温の排気ガスGが電池モジュール11から漏れだすことを抑制することができる。
ここで、図8において、収容ケース90内において、ガス剤91の上方には空気層91aがある。空気層91aの熱伝達率は低い。このため、後壁97に排気ガスGが噴き付けられて後壁97に伝達された熱は、主に、後壁97のうちガス剤91と接触する部分からガス剤91に伝達される。また、薄膜部93に加えられた熱は、主に、薄膜部93のうちガス剤91と接触する部分からガス剤91に伝達される。
図7において、ガス発生器48は、流入空間81よりも流通方向Dの下流側に位置する集約空間82に配置されている。このため、円筒電池43aに限られず、他の円筒電池43から排気ガスGが噴出したとしても、当該円筒電池43から噴出した排気ガスGは、集約空間82に流れ込む。このため、いずれの円筒電池43から排気ガスGが噴出したとしても、ガス発生器48を駆動させることができる。
ガス発生器48は、排気ガスGの熱を利用して供給ガスG1を供給している。このため、たとえば、車両2のECUなどが停止しているときにおいても、円筒電池43から排気ガスGが噴き出たときに、ガス発生器48を駆動させることができる。
上記において、固定プレート14と散熱板42との間に隙間が形成されている場合について説明したが、固定プレート14と電池ケース3との間に隙間がある場合にも同様の効果を得ることができる。
なお、上記の実施の形態においては、ケース本体92の膜厚T1が薄膜部93の膜厚T2よりも薄い場合について説明したが、膜厚T1を膜厚T2と一致または実質的に一致させてもよい。
この場合には、排気ガスGが噴出した初期段階においても、後壁97を通して、排気ガスGの熱がガス剤91に伝達される。これにより、排気ガスGが噴出した初期状態においても、ガス剤91が蒸発して、供給ガスG1を排気通路85内に供給することができる。
これにより、大量の排気ガスGが、固定プレート14と散熱板42との間の隙間から漏れ出たとしても、排気ガスGや水素などの濃度を低く抑えることができる。
上記の実施の形態においては、ガス発生器48として、図8などに示す構成を採用した例について説明したが、ガス発生器48の形状としては、各種の形状のものを採用することができる。
図12は、ガス発生器の変形例であるガス発生器48Aを示す断面図である。ガス発生器48Aは、収容ケース90Aと、収容ケース90A内に収容されたガス剤91とを含む。
収容ケース90Aは、ケース本体92Aと、薄膜部93Aとを含む。ケース本体92Aの膜厚は、薄膜部93Aの膜厚よりも厚い。
そして、ケース本体92Aは、ガス剤91よりも排気ガスGの流通方向Dの上流側に配置されている。薄膜部93Aは、ケース本体92Aの背面側に配置されている。
このガス発生器48Aにおいても、薄膜部93Aに排気ガスGが直接的に噴き付けられることが抑制されている。このため、薄膜部93Aを通して、排気ガスGの熱がガス剤91に伝達されることを抑制することができる。これに伴い、排気ガスGが継続的に排出されているときに、供給ガスG1を排気通路85に供給することができる。
上記の実施の形態においては、蓄電素子として電池セルが採用され、蓄電装置として二次電池が採用された例について説明したが、本開示の構成は、蓄電素子として単位キャパシタが採用されたキャパシタにも適用することができる。
(実施の形態2)
図13から図20および適宜図1から図12を用いて、本実施の形態2に係る蓄電装置について説明する。なお、本実施の形態2に係る蓄電装置は、上記の実施の形態1に係る蓄電装置1と同様に、電池ケース3と、電池ユニット4と、ファン5とを備えている。その一方で、実施の形態1に係る蓄電装置1においては、排気路80内にガス発生器48,49が設けられている一方で、実施の形態2に係る蓄電装置においては、ガス発生器48,49に替えて、ガス発生器200が設けられている。
そこで、本実施の形態2においては、ガス発生器200の構成について詳細に説明する。図13は、ガス発生器200を示す斜視図であり、図14は、ガス発生器200を示す分解斜視図である。
ガス発生器200は、収容ケース201と、ガス剤202とを含む。ガス剤202は、上記実施の形態1のガス剤と同じである。収容ケース201は、ケース本体203および薄膜部204を含む。
ケース本体203は、底部205と、周壁部206と、つば部207とを含む。底部205は、図3に示す底蓋40の上面に接着される。周壁部206は、底部205の外周縁部から上方に向けて延びるように形成されている。
周壁部206の上端部は環状に形成されており、環状に延びる周壁部206の上端部によって開口部209が形成されている。
つば部207は、周壁部206の上端部から水平方向であって、周壁部206の上端部から離れる方向に延びるように形成されている。
底部205には、開口部209に向けて突出する突出部208にが形成されている。図14に示す例においては、周壁部206の内周面に接続されている。そして、突出部208の上端面とつば部207の上面とが面一となるように突出部208およびつば部207が形成されている。
そして、突出部208の上端面と、つば部207の上面とによって、薄膜部204が熱溶着される接着面210が形成されている。接着面210は、開口部209の開口縁部に沿って環状に形成されている。なお、図14に示すケース本体203において、斜線部分で示された部分が接着面210である。
薄膜部204は、ケース本体203の開口部209を閉塞するように、ケース本体203の接着面210に熱溶着されている。なお、ケース本体203および薄膜部204の接着方法は、熱溶着に限られず、接着剤などを用いてもよい。
薄膜部204は、接着面210に接着される接着部分211と、接着面210に接着されていない非接着部分212とを含む。なお、図14に示す薄膜部204において、斜線部分が接着部分211である。薄膜部204は、底部205を水平面に接着したときにおいて、水平方向に延びるように配置されている。
そして、薄膜部204をケース本体203に接着することで、収容ケース201内に、図13に示すように、ガス剤202を収容する収容空間213が形成されている。
図15は、図13に示す断面部分R1における断面図である。
ケース本体203は、樹脂層220と、接着層221と、バリヤ層222と、接着層223と、樹脂層224とを含む。
樹脂層220および樹脂層224は、たとえば、PP(polypropylene)などの樹脂材料によって形成されている。バリヤ層222は、EVOH(登録商標)樹脂(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)などによって形成されている。接着層221,223は、たとえば、エポキシ樹脂である。なお、薄膜部204は、たとえば、GLADプレス&シール(GLAD社製)である。薄膜部204は、樹脂層220および樹脂層224の間に形成されている。
図16は、図13に示す断面部分R2における断面図であり、周壁部206における断面図である。
この図16に示すように、収容空間213の内壁面は、樹脂層224によって形成されている。そして、ガス剤202は樹脂層224と接触している。そして、ケース本体203の外表面は、樹脂層220によって形成されている。
このように、実施の形態2のガス発生器200のケース本体203は、実施の形態1のガス発生器48のケース本体92と同様に構成されているため、ガス剤202がケース本体203を通って、外部に染み出すことを抑制することができる。
上記のように構成されたガス発生器200について、比較例に係るガス発生器200Aと比較しながら説明する。
図17は、比較例に係るガス発生器200Aを示す斜視図である。このガス発生器200Aは、収容ケース201Aと、収容ケース201A内に形成された収容空間213A内に収容されたガス剤202とを含む。収容ケース201Aは、ケース本体203Aと、薄膜部204Aとを含む。ケース本体203Aは、ケース本体203と同じ材料によって形成されている。そして、ケース本体203Aの底部205Aは、図3などに示す電池モジュール11の底蓋40に接着される。薄膜部204Aは、薄膜部204と同じ材料によって形成されている。ガス剤202Aも、ガス発生器200のガス剤202と同じ材料であり、充填量も同じである。
そして、本実施の形態2のガス発生器200と比較すると、突出部208が形成されていない点が異なり、その他の構成および形状は、ガス発生器200と同じである。
このため、ガス発生器200Aの収容空間213Aは、ガス発生器200の収容空間213と比較すると、突出部208が形成されていない分、大きくなっている。ガス剤202Aの上面である液面は、ガス剤202の上面である液面よりも低くなっている。
ガス剤202Aの液面が低いため、ガス剤202Aとケース本体203Aとの接触面積は、ガス剤202とケース本体203との接触面積よりも小さい。
具体的には、ガス剤202Aと周壁部206Aとの接触面積は、ガス剤202と周壁部206との接触面積よりも小さい。
上記のように構成されたガス発生器200,200Aの底部205,205Aを図3に示す底蓋40に接着した状態において、円筒電池43からの排気ガスGが吹き付けられた場合について説明する。
図13を用いて、ガス発生器200について説明する。円筒電池43からの排気ガスGがガス発生器200に吹き付けられると、ケース本体203の周壁部206に排気ガスGが吹き付けられる。
そして、周壁部206の温度が高くなると、周壁部206を通して、ガス剤202に排気ガスGからの熱が伝達される。なお、ガス剤202の液面は、薄膜部204の下方に位置しており、薄膜部204が排気ガスGに曝されたとしても、薄膜部204からガス剤202に排気ガスGからの熱は伝達され難く、ガス剤202には、主に、周壁部206を通して、排気ガスGの熱が伝えられる。
そして、ガス剤202の温度が所定温度以上となると、ガス剤202が蒸発して、収容ケース201内の内圧が高くなる。そして、薄膜部204が破断したりして、ガス剤202がガス発生器200の外部に噴き出る。
ここで、ケース本体203とガス剤202との接触面積が広いため、ケース本体203からガス剤202に排気ガスGからの熱が伝達される場合に、ガス剤202が均一に加熱されやすい。このため、ガス剤202内に温度ばらつきが生じることが抑制されており、ガス剤202は蒸発するときには、ガス剤202の略全体が一気に蒸発する。
このため、ケース本体203の膜厚を調整することで、ガス剤202を蒸発させるタイミングを調整することができる。これにより、ケース本体203の膜厚を所定厚にすることで、排気ガスGがガス発生器200に吹き付け始めてから、たとえば、1分後に、ガス剤202が噴き出るように設計することができる。
次に、ガス発生器200Aについて、図17を用いて説明する。ガス発生器200Aに排気ガスGが噴きつけられると、周壁部206Aに排気ガスGが噴きつけられる。
ガス剤202Aの液面はガス発生器200と比較すると低いため、ガス剤202Aおよび周壁部206Aの接触面積はガス発生器200よりも小さい。
このため、ガス剤202A内において温度ばらつきが生じやすく、局所的にガス剤202Aの温度が高くなり、ガス剤202Aが部分的に蒸発しやすい。ガス剤202Aが部分的に蒸発すると、収容ケース201A内の内圧が高くなり、薄膜部204Aがケース本体203Aから剥離して、薄膜部204Aおよびケース本体203Aの間に隙間が生じる場合がある。
薄膜部204Aおよびケース本体203Aの間に隙間が形成されると、蒸発したガス剤202Aが隙間から噴き出ると共に、液体状のガス剤202Aの一部も引きずられて外部に噴出しやすい。ここで、ガス剤202A内で生じる温度ばらつきを予め予測することは困難であるため、ガス発生器200Aにおいては、ガス剤202Aが噴出するタイミングを予め設定することが困難となる。
すなわち、本実施の形態2に係るガス発生器200においては、ガス剤202が噴出するタイミングを設定しやすい構成となっている。
(実施の形態3)
図18などを用いて、本実施の形態3に係るガス発生器300について説明する。図18は、ガス発生器300を示す斜視図であり、図19は、ガス発生器300を示す分解斜視図である。ガス発生器300は、収容ケース301と、ガス剤302とを含む。そして、収容ケース301は、ケース本体303と、薄膜部304とを含み、収容ケース301内には、ガス剤302が封入された収容空間313が形成されており、収容ケース301は、底部305と、周壁部306と、つば部307とを含む。周壁部306の環状に延びる上端部によって、開口部309が形成されている。
底部305には、開口部308に向けて突出する突出部308が形成されている。本実施の形態3においては、突出部308は、開口部309に達しておらず、突出部308の上面は開口部309の下方に位置している。
このように、ガス発生器300においても、突出部308が形成されているため、上記の実施の形態2に係るガス発生器200と同様に、突出部308が形成されていないガス発生器と比較すると、ガス剤302の液面を高くすることができる。これにより、ガス剤302および周壁部306の接触面を広くすることができる。
つば部307は、周壁部306の上端部から水平方向に張り出すように形成されている。そして、薄膜部304はつば部307の上面に熱溶着されており、つば部307の上面は、薄膜部304が熱溶着される接着面310である。なお、接着面310は、開口部309の開口縁部に沿って環状に形成されている。
薄膜部304は、接着面310に熱溶着される接着部分311と、接着面310に接着されていない非接着部分312とを含む。
図20は、収容ケース301を示す平面図である。ケース本体303の開口部309の開口縁部は、複数の角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fと、複数の辺部315とを含む。
そして、各角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fの開角度θA、θB,θD,θE,θFは、85度以上180度未満である。角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fは、円弧状に形成されており、各角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fの曲率半径は、数mm程度であり、たとえば、3mm以上9mm以下程度である。
図21は、図18における断面部分R3における断面図である。ケース本体303は、樹脂層320と、接着層321と、バリヤ層322と、接着層323と、樹脂層324とを含む。そして、熱溶着層325が樹脂層324の上面に形成されており、この熱溶着層325によって、薄膜部304が樹脂層324の上面に接着されている。なお、この熱溶着層325は、環状に形成されており、熱溶着層325の内周縁部は、図20に示す開口部309の開口縁部に一致または実質的に一致している。
図21に戻って、バリヤ層322は、樹脂層320および樹脂層324の間に設けられており、バリヤ層322は、接着層321,323によって、樹脂層320,324に接着されている。樹脂層320,324は、樹脂層220,224と同じ材料によって形成されており、接着層321,323は、接着層221,223と同じ材料によって形成されている。バリヤ層322は、ナイロンによって形成されている。
図22は、図18における断面部分R4における断面図である。収容空間313の内壁面は、樹脂層324によって形成されている。樹脂層320は、ケース本体303の外表面に露出している。
ここで、バリヤ層322がナイロンで形成されており、樹脂層320,324は、PP(polypropylene)によって形成されている。ポリプロピレンとナイロンとの間のピーリング強度は高いため、バリヤ層322および樹脂層320,324が互いに剥離することが抑制されている。なお、ナイロンの液体浸透速度は、ポリプロピレンの液体浸透速度よりも小さいため、ケース本体303を通って、ガス剤302が外部に漏れることを抑制することができる。
上記のように構成されたガス発生器300において、図19に示すように、排気ガスGが噴きつけられると、周壁部306に排気ガスGが直接噴きつけられ、排気ガスGの熱は主に、周壁部306を通して、ガス剤302に伝えられる。
ここで、ガス剤302および周壁部306の接触面積が広いため、上記の実施の形態2に係るガス発生器200と同様に、排気ガスGがガス発生器300に噴きつけられたときに、ガス剤302が一気に噴出するタイミングを収容ケース301の膜厚で調整することができる。これにより、収容ケース301に排気ガスGが噴きつけられてから予め設定した所定期間が経過した後に、ガス剤302を噴出させることができる。
ここで、周壁部306への排気ガスGの噴きつけ態様などによっては、ガス剤302の一部が蒸発する場合がある。その結果、予め設定した所定期間が経過する前に、ガス発生器300内の内圧が上昇する場合がある。
その際、図19および図20において、ガス発生器300の内圧の上昇に伴い、非接着部分312には、ケース本体303から離れる方向に荷重が加えられる。そのため、薄膜部304の接着部分311およびケース本体303の接着面310との間の熱溶着層325には、引張力が加えられる。
熱溶着層325の内周縁部は、開口部309の開口縁部と一致または実質的に一致しており、熱溶着層325のうち各角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fに位置する部分において、熱溶着層325に大きな応力が集中しやすい。
その一方で、開角度θA、θB,θD,θE,θFは、85度以上180度未満である。このため、熱溶着層325のうち、各角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fに位置する部分において、過大な引張力が加えられることが抑制されている。
これにより、ガス剤302の一部が蒸発して、排気ガスGが噴きつけられ始めてから所定期間経過する前にガス発生器300内の内圧が上昇することが生じたとしても、熱溶着層325が破断して、薄膜部304がケース本体303から剥離したり、薄膜部304およびケース本体303の間に隙間が生じることを抑制することができる。
その一方で、各角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fの開角度θA、θB,θD,θE,θFが85度よりも小さくなると、熱溶着層325のうち各角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fに対応する部分において、大きな応力が集中するおそれがある。同様に、各角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fの開角度θA、θB,θD,θE,θFが180度以上となると、熱溶着層325のうち各角部314A,314B,314C,314D,314E,314Fに対応する部分において、大きな応力が集中するおそれがある。予め設定した所定期間が経過する前に、ガス発生器300内の内圧が上昇すると、ケース本体303にも荷重が加えられる。
その結果、ケース本体303に大きな内部応力が生じ、バリヤ層322と、樹脂層320,324とが互いに離れる方向に荷重が加えられる場合が生じる。その一方で、樹脂層320,324と、バリヤ層322とのピーリング強度(N/mm)は、高いため、バリヤ層322と、樹脂層320,324とが剥離することを抑制することができる。
なお、バリヤ層322および樹脂層320,324が剥離すると、ケース本体303の剛性が低くなり、ケース本体303が大きく変形するおそれがある。ケース本体303が大きく変形すると、樹脂層324が破断して、ガス剤302が破断部分から漏れ出るおそれがある。また、ケース本体303の開口部309が変形して、薄膜部304がケース本体303から剥離するおそれも生じる。
本実施の形態3に係るガス発生器300においては、バリヤ層322と、樹脂層320,324とが剥離することが抑制されているため、上記のような課題が生じることを抑制することができる。
また、突出部308は、底部305から突出した形状であり、予め設定した所定期間が経過する前に、ガス発生器300内の内圧が上昇した際に、突出部308に大きな荷重が加えられる場合がある。突出部308が変形すると、周壁部306のうち突出部308との接続部分などが変形するおそれがある。このように、突出部308や周壁部306の一部が変形したとしても、突出部308は開口部309から離れているため、開口部309が変形することを抑制することができる。仮に、開口部309の形状が変形すると、ケース本体303および薄膜部304の間に隙間が形成されやすくなる。その一方で、本実施の形態3に係るガス発生器300においては、上記のような課題が生じることを抑制することができる。
図23は、ガス発生器300の変形例であるガス発生器300Aの一部を示す断面図である。なお、ガス発生器300Aの形状は、ガス発生器300と同じである。
ガス発生器300Aは、ケース本体303Aを含み、ケース本体303Aは、樹脂層320Aと、接着層321と、バリヤ層322と、接着層323と、樹脂層324Aとを含む。
樹脂層320A,324Aは、ナイロンによって形成されており、バリヤ層322もナイロンによって形成されている。このように、樹脂層320A,324Aと、バリヤ層322とをナイロンで形成することで、樹脂層320A,321Aとバリヤ層322とのピーリング強度(N/mm)を高くすることができる。これにより、樹脂層320A,321Aと、バリヤ層322とが剥離することを抑制することができる。
図24や表1などを用いて、上記ガス発生器200,300,300Aのケース本体203,303,303Aのピーリング強度(N/mm)やバリヤ性能について説明する。
図24は、ガス発生器200,300,300Aのケース本体203,303,303Aのピーリング強度(N/mm)を示すグラフである。
図24に示す「200」は、実施の形態2のガス発生器200のケース本体203を示し、「GA」は、ケース本体203の樹脂層220,224と、バリヤ層222との間のピーリング強度(N/mm)を示す。なお、ケース本体203の膜厚は、0.5mmである。ケース本体203は、真空成形方法によって成形されている。
図24に示す「300」は、実施の形態3のガス発生器300のケース本体303を示し、「GB」は、ケース本体303の樹脂層320,324と、バリヤ層322との間のピーリング強度(N/mm)を示す。ケース本体303の膜厚は、1.0mmである。ケース本体303は、真空成形方法によって成形されている。
図24に示す「300A」は、実施の形態3の変形例であるガス発生器300Aのケース本体303Aを示し、「GC」は、ケース本体303Aの樹脂層320A,324Aと、バリヤ層322との間のピーリング強度(N/mm)を示す。ケース本体303Aは、射出成形によって形成されている。なお、ケース本体303Aの膜は、0.5mmである。
なお、グラフGA,GBは、図3に示す電池モジュール11内の温度を60度に250時間~1060時間に亘って維持し、複数のガス発生器200,300のピーリング強度を測定し、各測定値の平均値である。グラフGCは、ナイロンおよびエポキシ樹脂のピーリング強度から算出した計算値である。
グラフ中の破線L1は、最低限必要なピーリング強度を示す。一点鎖線L2は、好ましいピーリング強度を示す。
図24に示すように、ケース本体203,303,303Aのいずれにおいても、最低限必要なピーリング強度を確保することができることが分かる。特に、ケース本体303,303Aは、高いピーリング強度を得られることが分かる。
下記の表1は、ガス発生器200,300,300Aのケース本体203,303,303Aのバリヤ性能を示す。具体的には、具体的には、電池モジュール11内の温度を50℃に維持した状態で、ガス剤がケース本体を透過した量を示す。なお、「C」は透過量が規定量よりも多いことを示す。「B」は透過量が規定量よりも少ないことを示す。「A」は、ガス剤の透過が確認できなかったことを示す。
上記の表1からも明らかなように、ガス発生器200,300,300Aのケース本体203,303,303Aのいずれにおいても、高いバリヤ性能を得ることができることがわかる。
以上、本発明に基づいた各実施の形態および実施例について説明したが、今回開示された事項はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。