以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態を、パチンコ遊技機を例にして説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
図1に示すパチンコ遊技機1(以下「遊技機1」と略す)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図3参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成された演出ボタン13(操作手段)が設けられている。この演出ボタン13は、所定の入力受付期間中に内蔵ランプ(ボタンLED75)が点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯中に所定の操作(押下、連打、長押し等)をすることにより演出に変化をもたらすことが可能となっている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を発揮するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を発揮する装飾ランプ45(フルカラーLED:光演出用LED)が複数設けられている。この装飾ランプ45としてのフルカラーLED(光演出用LED)は、パチンコ遊技機の周囲、つまりガラス扉6の前枠周縁に周方向に複数個設けられており、本明細書で「周囲LED45」と称される。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図示の遊技盤3には、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3a、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示動作(変動表示および停止表示)が可能である液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、装飾図柄の変動表示動作の他、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分手段として働く。本実施形態では、センター飾り48の存在によって遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるように、遊技領域3aのほぼ中央部に配置されている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作による特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示して、種々の予告演出(演出画像)とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣に、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1、2、普通図柄の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLED(第1~第3ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。このラウンド数表示装置39bは、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38aにおける第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、始動口開閉手段として、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」入賞装置として構成されている。
普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38bにおける第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する可動体役物(図示せず)が配設されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37(第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成してもよいし、両流下経路のそれぞれに形成してもよい。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞し得る。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれる。
なお本実施形態の遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。可動翼片47は、後述の電サポ有り状態を伴う遊技状態になると、通常状態よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。
本実施形態の場合、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、遊技状態に応じて変化する。具体的には、後述の「電サポ無し状態」を伴う遊技状態であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、後述の「電サポ有り状態」を伴う遊技状態であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。
本実施形態の遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口50は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。なお、入賞口に遊技球が入球すれば、その遊技球は入賞検出スイッチにより検出されることとなるため、本明細書中では特に断りのない限り、入賞検出スイッチに遊技球が検出されたか否かによらず、入賞口に遊技球が入球した場合を含めて「入賞」と称する場合がある。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係る遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係る遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行制御(現出制御)を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下「演出制御部24」と称する)と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2-1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込み等の割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、電源投入時や遮断時や電源異常などを検知してシステムリセット信号を出力してCPUをリセット可能なリセット回路、制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、あらかじめ設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路なども備えている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ち等のゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
主制御部20には、上始動口34への入賞(入球)を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、アウト口49から排出される遊技球(アウト球)を検出するOUT監視スイッチ49aが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、各センサからの検出信号に基づき、いずれの入賞口に遊技球が入球したのかを把握する。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄1、2を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また、主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cが接続され、主制御部20は、これに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、ラウンド数表示装置39bが接続され、主制御部20は、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、この枠用外部集中端子基板21を介して、遊技機外部に設けられたホールコンピュータHCに対し、所定の遊技情報(たとえば、大当り情報、賞球数情報、図柄変動実行情報等)を送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、主制御部20からの遊技情報を監視して、パチンコホールの遊技機の稼働状況を統括的に管理する。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、賞球の払い出しの必要がある場合には、払出制御基板29に対して、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。
この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への状態信号の送信などである。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bが設けられており、払出制御基板29は、これらの各検出信号を受信可能となっている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ19cが設けられており、払出制御基板29は、払出モータ19cを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また払出制御基板29には、上受け皿9が遊技球で満杯状態を検出する満杯検出センサ60(本実施形態では、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態を検出する検出センサ)と、前扉開放センサ61(本実施形態では、前枠2および/または前面操作パネル7の開放状態を検出する検出センサ)が接続されている。
払出制御基板29は、満杯検出センサ60、前扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bからの検出信号に基づいて、主制御部20に対して、各種の状態信号を送信可能となっている。この状態信号には、満杯状態を示す球詰り信号、前枠2・前面操作パネル7が開放されていることを示す扉開放信号、遊技球払出装置19からの遊技球の供給不足を示す補給切れ信号、賞球の払出不足や球計数センサ19bに異常が発生したこと示す計数エラー信号、払い出し動作が完了したことを示す払出完了信号などが含まれ、様々な状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2・前面操作パネル7の開放状態(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(補給切れエラー)や、上受け皿9の満杯状態(球詰りエラー)等を監視する。
また払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、発射制御基板28に対し発射を許可する許可信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、払出制御基板29からの許可信号が出力されていることに基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球の発射動作を実現している。具体的には、払出制御基板29から発射許可信号が出力されていること(発射許可信号ON状態)、発射操作ハンドル15に設けられたタッチセンサ(図示せず)により遊技者がハンドルに触れていることを検出されていること、発射操作ハンドル15に設けられた発射停止スイッチ(図示せず)が操作されていないことを条件に、遊技球の発射動作が許容される。したがって、発射許可信号が出力されていない場合には(発射許可信号OFF状態)、発射操作ハンドル15を操作しても発射動作は実行されず、遊技球が発射されることはない。また、遊技球の打ち出しの強さは、発射操作ハンドル15の操作量に応じて変化可能となっている。なお、払出制御基板29が上記球詰りエラーを検出すると、主制御部20に球詰り信号を送信するとともに発射制御基板28に対する発射許可信号の出力を停止し(発射許可信号OFF)、上受け皿9の満杯状態が解消されるまで打ち出し動作を停止する制御を行うようになっている。
また主制御部20は、設定キースイッチ94、設定変更スイッチ95、設定変更完了スイッチ96が接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。さらに主制御部は、設定表示器97が接続され、主制御部20は、これに表示される設定値を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
上記の設定キースイッチ94は、電源投入時にホール関係者が所持する設定鍵を挿入してON/OFF操作することにより設定変更モード(ON操作時)に切り替えるためのキースイッチである。また設定変更スイッチ95は、段階的に出玉率(所謂、機械割、PAYOUT率、またはベース値)に変化をもたらす「設定値」を変更するための押しボタン式スイッチである。また設定変更完了スイッチ96は、設定値の変更操作を完了させるための設定確定用のスイッチである。これらのスイッチは、遊技機内部の適所に設けられている。また設定表示器97は、設定値を表示可能な設定表示手段として機能し、主制御部(主制御基板)20上の視認し易い位置に搭載されている。しかし本発明はこれに限らず、主制御基板に限らず、払出制御基板28、発射制御基板29、中継基板(各種表示装置やスイッチ類等と制御基板との接続を中継する中継用基板:図示せず)、または演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24など、遊技機内部の適所に設けることができる。
上記「設定値」とは、主として、少なくとも大当り(後述の条件装置が作動することとなる当り種別)の抽選確率(当選確率)を段階別(たとえば、設定1~6の6段階)に規定するもので、設定値が高くなるほど、その当選確率が高くなり(設定値1が最低の当選確率、設定値6が最高の当選確率)、遊技者に有利に作用するようになっている。換言すれば、定値が高くなるほど、所謂「機械割(出玉率、PAYOUT率)」が高くなり(設定値1が最低の機械割、設定値6が最高の機械割)、遊技者に有利に作用するようになっている。このように、設定値とは、大当り当選確率率や機械割などを規定する値であり、遊技者に作用する利益状態などの特定事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味し、本実施形態では、この設定値が複数段階の設定値1~6の複数種類の設定値を設け、各設定値に応じて、遊技に係る有利度が規定されることになる。
設定値は、専ら、ホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員が設定変更スイッチ94を操作して設定値が変更される。なお、大当りが複数種類ある場合、いずれの大当りの当選確率を設定値に応じて変化させるか、対象となる大当りの種類は、適宜定めることができる。たとえば、大当り1~3という3種類の大当りがある場合、設定値が相対的に高い方が、大当り1~3のすべての当選確率を高くしてもよいし、大当り1~3の合算当選確率を高くしてもよい。また一部の大当りの当選確率を高くしてもよい。たとえば、大当り1~2の当選確率だけを高くし、大当り3については全設定値で一定の当選確率にしてもよい。また、小当り(条件装置が作動しない当り種別)の当選確率を前述の大当りのケースと同様に、段階別に規定してもよい。
(設定値の変更操作について)
設定値を変更するためには、遊技機1への電源オフの状態において設定キースイッチ94をON操作(設定変更モード側に操作)してから遊技機1への電源を投入すると、現在の設定値が設定表示器97に表示され、設定値(1~6段階)の変更操作が可能な設定変更モードに移行される。この設定変更モードに関する処理(設定モード変更処理)は、後述の主制御側メイン処理中の設定値変更処理(図6のステップS024、その詳細を示す図10参照)において実行される。
設定変更モードにおいて、設定変更スイッチ95がON操作されると、設定表示器97の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→3→・・・」のように1~6の範囲で循環するように切り替えられる。そして希望する設定値となったところで、設定変更完了スイッチ96がON操作されると設定値が確定され、設定表示器97に確定した旨を表示した後、設定キースイッチ94がOFF側に操作されるまで待機する。この設定値情報は、RAM203の所定領域(設定値格納領域)に格納(記憶)され、主制御部20側で管理される。そして、設定キースイッチ94がOFF操作されると、設定変更モードが終了され、設定表示器97の表示をクリアする。その後、遊技進行を許容する状態に移行されるようになっている。したがって主制御部20は、所定の操作手段(設定キースイッチ94、設定変更スイッチ95)の操作に基づいて、複数種類の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択することで遊技に係る有利度(遊技者に対する遊技進行上の有利度合)を設定する「設定値選択手段」として機能する。
また主制御部20は、RAM203の所定領域を初期化するRAMクリアスイッチ98が接続され、主制御部20はRAMクリアスイッチ98の検出信号を受信可能となっている。
さらに主制御部は、性能表示器99が接続され、主制御部20は、これに表示される所定の遊技結果情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
(性能表示器99に表示される遊技結果情報について)
性能表示器99は、所定期間の遊技結果に係る情報(以下「性能情報」と称する)を表示する特定遊技情報表示手段として機能し、複数個の7セグメント表示器からなる。本実施形態では、性能情報を確認することにより、遊技機に対する過剰賞球等の不正賞球ゴトの有無や遊技機本来の出玉性能などを容易に確認できるように、遊技機内部の視認し易い位置に設けられており、たとえば、主制御部(主制御基板)20、払出制御基板28、発射制御基板29、上記中継基板、または演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24など、遊技機内部の適所に設けることができる。ここで上記性能情報には、具体的には、次のような情報を採用することができる。
(1)特定状態中において入賞により払い出された総払出個数(特定中総賞球数:α個)を、当該特定状態中おいてアウト口49から排出された総アウト球数(特定中アウト個数:β個)で除した値(α/β)に基づく情報(特定比率情報)を、性能情報として採用することができる。
上記「総払出個数」とは、入賞口(上始動口34、下始動口35、一般入賞口43、大入賞口50)に入賞した際に払い出された遊技球(賞球)の合計値である。本実施形態の場合、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口50は13個、一般入賞口43は10個である。
また、特定状態として、いずれの状態を採用するかについては、如何なる状態下の性能情報を把握したいかに応じて。適宜定めることができる。本実施形態の場合であれば、通常状態、潜確状態、時短状態、確変状態、大当り遊技中、小当り遊技中、CZのうち、いずれの状態も採用することができる。また、複数種類の状態を計測対象としてもよい。たとえば、通常状態と確変状態や、通常状態と小当り遊技や、当り遊技中を除くすべての遊技状態などであり、その計数対象とする種類は適宜定めることができる。
また、特定状態中の期間として、大当り抽選確率が低確率状態または高確率状態のいずれかの期間を採用してもよい。
また、1または複数の特定の入賞口を計測対象から除外したものを総払出個数としてもよい(特定入賞口除外総払出個数)。たとえば、各入賞口のうち、大入賞口50を計測対象から除外したものを、総払出個数としてもよい。
(2)その他、総払出個数、特定入賞口除外総払出個数、総アウト球数のいずれかだけを計測し、その計測結果を性能情報としてもよい。
本実施形態では、通常状態中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の総アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出される値)を性能情報(以下「通常時比率情報」と称する)として表示する(表示値は、小数点第1位を四捨五入した値を表示)。したがって、通常時払出個数、通常時アウト個数、通常時比率情報の各データがRAM203の所定領域にそれぞれ記憶されるようになっている(以下、これらデータと後述の全状態アウト球数のそれぞれの記憶領域を「計測情報格納領域」と称する)。ただし、単に永続的に計測して性能情報を表示するのではなく、総アウト球数が所定の規定個数(たとえば、60000個)に達した場合、一旦、計測を終了する。この規定個数とは、通常状態の総アウト球数ではなく、全遊技状態中(当り遊技中を含む)の総アウト球数(以下「全状態アウト球数」と称する)である。この全状態アウト球数もリアルタイムに計測され、RAMの所定領域(計測情報格納領域)に格納される。
そして、終了時点の通常時比率情報をRAM203の所定領域(性能表示格納領域)に格納し(今回の通常時比率情報を記憶)、その後、計測情報格納領域(通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト球数)をクリアしてから、再度、計測を開始する(通常時払出個数、通常時アウト個数、通常時比率情報および全状態アウト球数の計測を開始する)。そして、性能表示器99には、前回の通常時比率情報(計測履歴情報)と、現在計測中の通常時比率情報とが表示されるようになっている。なお、前回の情報に限らず、前々回やその前(3回前)などの履歴を表示可能に構成してもよく、何回前までの情報を表示するかについては適宜定めることができる。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、ゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(2-2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源IC)、RTC機能部(Real Time Clock)、カウンタ回路、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や各種LED(ボタンLED75、その他の演出用LED(図示せず))の発光制御、可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体役物による可動体演出)を現出させるために、装飾ランプ45や時計型役物80の時計盤部(数字表示部)81や各種LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物(図示せず)を動作させる可動体役物モータ80cに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。
また演出制御部24には、可動体役物の動作を監視する位置検出センサ82aが接続され、演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御する。また位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の動作の不具合を監視し、不具合が生じれば、これをエラーとして報知する。
また演出制御部24には、演出ボタン13のスイッチ、つまり演出ボタン13の操作検出スイッチが接続され、演出制御部24は、演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示動作や予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3-1.図柄変動表示ゲーム)
(3-1-1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態の遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52cが作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bにより、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了するようになっている。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別(当り種別)抽選)’とを含む大当り抽選を行い(小当りまたはハズレが1種類の場合は、種別抽選を行う必要がないため、その抽選を省略してもよい)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、当選種別に応じて最終的に停止表示させる特別図柄(以下、「特別停止図柄」と称する)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果および特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(たとえば、後述の「リーチ演出」や「疑似連演出」など)の発生の有無を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別される。これら変動パターンには、たとえば、後述のリーチ演出の発生を指定する‘リーチ変動パターン’、リーチ演出の発生を指定しない‘通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との発生(重複発生)を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン’、疑似連演出の発生を指定し、リーチ演出の発生は指定しない‘疑似連有り通常変動パターン’など、複数種類の変動パターンが含まれる。なお、リーチ演出や疑似連演出の演出時間を確保する関係上、通常、リーチ演出や疑似連演出を指定する変動パターンの方が、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(予告演出等の演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3-1-2.普通図柄変動表示ゲーム)
また遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する各作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。また各図柄の最大保留記憶数の全部または一部が異なっていてもよく、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。
(3-2.遊技状態)
本実施形態に係る遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態について説明する。
本実施形態の遊技機1は、図4に示すように、通常状態、時短状態、潜確状態、確変状態、CZ(チャンスモード)という5種類の遊技状態を実行制御可能に構成されている。これら遊技状態は、大当り抽選確率状態(低確率状態、高確率状態)や電チューサポート状態(特典遊技)の発生の有無(電サポ有り、電サポ無し)等で区別される。
「電チューサポート状態」とは、普電開放遊技における普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)が、通常状態よりも延長された「開放延長状態」を指す。開放延長状態が発生すると、可動翼片47の開動作期間が、たとえば、通常時(非開放延長状態下)の0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば、通常時の1回から2~3回に延長される。本実施形態の場合、電チューサポート状態下では、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動して(普図確率変動状態)が発生するとともに、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄の変動表示動作時間)を短縮する‘普通図柄時短状態’が発生する(たとえば、10秒から1秒に短縮される)。したがって、電チューサポート状態が発生すると、普電開放遊技が頻繁に発生し、通常状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態(高ベース状態)となる。以下、電チューサポート状態下を「電サポ有り」、そうでない場合を「電サポ無し」と略す。
本実施形態において、「通常状態」とは、大当り抽選確率が所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)であり、電サポ無しの遊技状態(低確率+電サポ無し)をいう。
また「時短状態」とは、大当り抽選確率が通常状態と同様の低確率であるが、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄の変動表示動作時間))が通常状態よりも短縮される‘特別図柄時短状態’が発生するとともに、電チューサポート状態となる遊技状態をいう。つまり、時短状態中は「低確率+電サポ有り+特別図柄時短状態」となる。
また「潜確状態」とは、大当り抽選確率が上記低確率よりも上昇した高確率(たとえば、39.9分の1)に変動した‘特別図柄確変状態’であり、電サポ無しの遊技状態(高確率・電サポ無し)をいう。
また「確変状態」とは、大当り抽選確率が潜確状態と同様の高確率であるが、特別図柄時短状態および電チューサポート状態が発生する遊技状態をいう。つまり、確変状態中は「高確率+電サポ有り+特別図柄時短状態」となる。
「CZ(チャンスモード)」は、演出上、大当り抽選確率を秘匿するための遊技状態として利用される。本実施形態の場合、「CZ」には、その実体が、潜確状態下の「CZ(潜確)」と、通常状態下の「CZ(通常)」とが設けられている。「CZ(通常)」または「CZ(潜確)」に移行されると、後述の演出モードが実質的に同じ「CZ演出モード(チャンス演出モード)」に移行される。これにより、演出上、大当り抽選確率状態(高確率、低確率)が秘匿して、遊技者に遊技状態の推測要素を与えて遊技を盛り上げるようになっている。なお上記CZは、特図変動表示ゲームが2回~4回のいずれかで終了するようになっており(図4の備考欄等参照)、CZ終了後に「CZ(潜確)」であれば潜確状態に移行され、「CZ(通常)」であれば通常状態に移行される。またそれぞれ対応する演出モードに移行され、これにより、秘匿状態が解除され、演出上、現在の遊技状態が明らかとされるようになっている。
したがって、遊技状態に関し、大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「通常状態」「時短状態」または「CZ(通常)」である場合は、少なくとも大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」である場合は、少なくとも大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。なお、大当り中は大入賞口が開閉される大当り遊技が発生するが、大当り抽選確率および電サポの有無については、上記通常状態と同じ、低確率・電サポ無しの遊技状態下に置かれる。
<4.当りについて>
次に図4を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4-1.当り種別と当り遊技について)
本実施形態に係る遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選(当り抽選)を行うようになっている。この当り種別には、大当り種別に属する「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放時短大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放時短大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放時短大当りA、B」と、非大当り種別に属する「小当り(小当りA、小当りB)」などの複数種類の当りが含まれる。
大当り種別は条件装置の作動契機となる当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態(当り遊技)への移行契機(発生契機)となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「確変大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を確変状態に移行する大当りであり、「時短大当り」は時短状態(時短回数60回または100回)に移行する大当り、「潜確大当り」は潜確状態に移行する大当りとなっている。ただし、大当りに当選した遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる場合があり、たとえば、2R短開放潜確大当りに当選した場合、図示のように、その当選時の遊技状態に応じて移行先が異なり、たとえば、通常状態で当選した場合には「CZ(4回:潜確)」に移行され、潜確状態で当選した場合には「潜確状態」移行され、CZ(通常)で当選した場合には「CZ(4回:潜確)」、CZ(潜確)で当選した場合には「潜確状態」、時短状態と確変状態で当選した場合にはいずれも「確変状態」に移行されるようになっている。
図4中の当り種別に関する「16R、12R、5R、2R」などの表記は、それぞれ、規定ラウンド数(最大ラウンド数)を意味する。また「長開放」とは、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間が「長開放時間(たとえば、29.8秒)」に設定されることを意味し、大入賞口への入賞数が最大入賞数(9個)に達する可能性が十分見込める当り種別を指す。一方、「短開放」とは、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間が「短開放時間(たとえば、0.1秒)」に設定されることを意味し、入賞が殆ど見込めない(入賞不可能であってもよい)当り種別を指す。したがって本実施形態の場合、大当り遊技中の利益状態については、16R長開放確変大当りが最も高く、2R短開放潜確大当りが最も低くなっている。
上記潜確状態または確変状態は、大当り種別に当選することなく(小当り当選は除く)、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、70回:規定ST回数)終了した場合に、高確率状態を終了させて低確率に移行させる、いわゆる「回数切り確変機(ST機)」となっており、規定ST回数が終了したときは、次ゲームから通常状態に移行される。しかし次回大当りが当選するまで継続させるタイプの「一般確変機」としてもよい。なお、特別図柄変動表示ゲームの実行回数は、特別図柄変動表示ゲーム1および特別図柄変動表示ゲーム2の合計実行回数(特図1および特図2の合計変動回数)であってもよいし、いずれか一方の実行回数(たとえば、特別図柄変動表示ゲーム2の実行回数)であってもよい。また時短状態の回数についても60回や100回に限らず、遊技性に応じて適宜定めることができる。また、どのような種類の当りを設けるかについても特に制限はなく、適宜定めることができる。
次に、小当りA、Bによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)について説明する。小当り遊技は、それぞれ大入賞口の開放が短開放で2回行われるようになっており、小当り遊技中において外見から捉えた大入賞口50の開閉動作が、上2R短開放潜確大当りの大当り遊技のものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R短開放潜確大当りと実質的に同一の動作態様で大入賞口を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、2R短開放潜確大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。
また小当り遊技中の「当り中演出(当り遊技中に現出される演出)」は、2R潜確大当り遊技中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。また、小当りに当選した場合、図4に示すように、その当り遊技には、2R短開放潜確大当りが当選したときと同様の「CZ(チャンスモード)」に移行される場合があり、CZが終了するまで(CZ演出モードが終了するまで)、演出上、高確率状態であるか否かを秘匿し、潜確大当りへの当選期待感を煽ることができるようになっている。
<5.演出について>
(5-1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態の遊技機1には、遊技状態に関連する演出を現出させるための複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。具体的には、通常状態、時短状態、潜確状態、確変状態、CZ(チャンスモード)のそれぞれに対応した、通常演出モード、時短演出モード、潜確演出モード、確変演出モードが設けられている。各演出モードでは、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景演出が表示され、遊技者が現在、どのような遊技状態に滞在しているかを把握することができるようになっている。なお、「CZ(通常)」または「CZ(潜確)」下の場合は、同一のCZ演出モードに移行される。したがって、CZ演出モードは、大当り抽選確率状態を演出上から秘匿状態とする「秘匿演出モード」としての役割を果たす。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、主制御部20側で管理される遊技状態情報を含む「特定の演出制御コマンド」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、現在の遊技状態を把握し、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。斯様な演出制御コマンドとしては、たとえば、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態に変化が生じる際に送られる遊技状態指定コマンドなどがある。
(5-3.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報に基づき、現在の演出モードと大当り抽選結果とに関連した様々な「予告演出」を現出制御可能に構成されている。このような予告演出は、当り種別に当選したか否かの期待度(以下「当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものには、「リーチ演出」や「疑似連演出」他、先読み予告演出などがある。演出制御部24は、これら演出を実行(現出)制御可能な予告演出制御手段を備える。
「リーチ演出」とは、リーチ状態を伴う演出態様(リーチ状態を伴う変動表示態様:リーチ変動パターン)をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終的なゲーム結果を導出表示するような演出態様をいう。リーチ演出には当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、ノーマルリーチ演出(Nリーチ)が出現した場合に比べて、当選期待度が相対的に高まるものがある。このようなリーチ演出を‘スーパーリーチ演出(SPリーチ)’という。この「SPリーチ」の多くは、当選期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。またNリーチやSPリーチには複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、SPリーチには、SPリーチA、B、Cという複数種類のリーチ演出が含まれ、当選期待度については、「SPリーチA<SPリーチB<SPリーチC」という関係性を持たせることができる。
「疑似連演出」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいい、「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。斯様な「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当り当選期待度が高まるようにその発生率が定められており、たとえば、疑似変動回数に応じて、SPリーチなどの発生期待感を煽るための予告演出として利用される。
また「先読み予告演出」とは、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、主に、保留表示態様や先に実行される図柄変動表示ゲームの背景演出等を利用して、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される前に、当選期待度を事前に報知しうる演出態様である。なお、図柄変動表示ゲームにおいては、上記「リーチ演出」の他、いわゆる「キャラクタ予告演出」、「ステップアップ予告演出」などの種々の演出が発生し、ゲーム内容を盛り上げるようになっている。
ここで図5用いて、上記先読み予告演出に関連して本実施形態に係る液晶表示装置の画面表示について説明する。本実施形態の遊技機1の場合、液晶表示装置36の画面内の上側の表示エリアには、装飾図柄変動表示ゲームを現出する表示エリア(装飾図柄の変動表示演出や予告演出を現出するための表示領域)が設けられており、また画面内の下側の表示エリアには、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76(保留表示部a1~d1)と特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77(保留表示部a2~d2)とが設けられている。作動保留球の有無に関しては、所定の保留表示態様により、その旨が報知される。図示では、作動保留球の有無を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される例を示してある。
作動保留球の有無に関する表示(保留表示)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。
作動保留球が発生した場合、主制御部20から、大当り抽選結果に関連する先読み判定情報と、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含め、現存する作動保留球数)とを指定する「保留加算コマンド」が演出制御部24に送信される(図14のステップS319~S322参照)。上記保留加算コマンドは、2バイトで構成され、本実施形態の場合、保留加算コマンドは、先読み判定時の作動保留球数を特定可能とする上位バイト側のデータと、先読み判定情報を特定可能とする下位バイト側データとから構成される。
演出制御部24が保留加算コマンドを受信すると、これに含まれる先読み判定情報に基づき、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、「先読み予告演出」に関する演出制御処理を行う。具体的には、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行い、これに当選した場合には、先読み予告演出を現出させる。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。
ここで先読み判定情報とは、具体的には、主制御部20において、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される際に実行される大当り抽選結果(変動開始時の大当り抽選結果)や変動開始時の変動パターンを先読み判定した際に得られる遊技情報である。すなわち、この情報には、少なくとも変動開始時の当落抽選結果を先読み判定した情報(先読み当落情報)が含まれ、その他、図柄抽選結果を先読み判定した情報(先読み図柄情報)や変動開始時の変動パターンを先読み判定した情報(先読み変動パターン情報)を含ませることができる。如何なる情報を含む保留加算コマンドを演出制御部24に送るかについては、先読み予告にて報知する内容に応じて適宜定めることができる。なお、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。これについて、たとえば、上記変動開始時の変動パターンが「SPリーチA」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明すれば、本ケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が「SPリーチA」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「SPリーチ種別」である旨を指定することができる。
この実施形態の場合、先読み予告抽選に当選した場合には、保留表示部a1~d1、a2~d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色から、予告表示の青色、緑色、赤色、虹色などの特殊な保留色や色彩の保留表示(特別保留表示態様)に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。図5では、ハッチングされた保留表示部b1の作動保留球が、特別保留表示に変化した例を示している。ここで、保留アイコンの青色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1~d1、a2~d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(特別保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
(5-4.演出手段)
遊技機1における各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段(光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に接触圧を伝える加圧装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<主制御部側の処理:図6~図15>
次に図6~図15を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図6)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図11)とを含んで構成される。
<10.主制御側メイン処理:図6>
図6は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態や電源異常などからの復旧時に電源基板からのシステムリセット信号によるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことにより、ウォッチドッグタイマ機能(WDT)が発揮されてCPUが強制的にリセット(WDTリセット)される場合などがある。いずれの場合でも、メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、まず、CPU201を含む各部のレジスタの値を初期設定する等の遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。なお、この初期設定処理については、図7にて後述する。
ステップS011の初期設定処理を終えると、次いで、4ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定を行う(ステップS012)。以後、割込コントローラへの割込要求信号が定期的に出力され、後述の主制御側タイマ割込処理(図11)が実行される。詳細は後述するが、主制御側タイマ割込処理では、スイッチ類ON/OFF状態を監視する入力管理処理やLEDの表示制御を行うLED管理処理、ゲーム進行に係る各種処理などが実行されるようになっている。
次いで、設定変更可能条件が成立しているか否かに基づき、設定値の変更操作(設定変更操作)に係る「設定値変更処理(ステップS024:後述の図10)」を経由する処理ルート(ステップS023のYES→S024→S017)か、電源遮断時にバックアップしたバックアップデータの復旧処理に係る「バックアップ確認処理(ステップS016:後述の図8)」を経由する処理ルート(ステップS014→S015→S016→S017)のいずれかを実行する。本実施形態の場合、設定キースイッチ94のON/OFF状態と、前枠2の開閉状態が如何なる状態であるかを判定して、上記「設定変更可能条件」が成立した否かを判定するようになっている。
上記「設定変更可能条件」が成立する場合とは、図示の通り、設定キースイッチ94がON状態(ステップS013:YES)、かつ扉開放中、つまり扉開放センサ61がON状態(前枠2開放状態)(ステップS023:YES)の場合である。設定変更可能条件が成立している場合は、後述の図10に示す「設定値変更処理(ステップS024)」が実行され、設定値(1~6段階)の変更操作が可能となる。
ただし、ステップS013において設定キースイッチ94がON状態であると判定されるためには、遊技機の電源(メイン電源)OFF中に設定キースイッチ94をON状態とし、そのON状態のまま電源をONすることを要する。すなわち、設定値を変更するためには、遊技機に電源が投入されていない状態(電源スイッチOFF)で設定キースイッチ94を設定値変更モード側に入れ(設定キースイッチ94をON)、そのまま遊技機の電源を投入(電源スイッチON)することを要する。これは、遊技機に電源を投入してから設定キースイッチ94のON操作した場合、その電源投入からON操作まで少なくとも数秒程度の時間を要し、その間に、4ms毎に実行される主制御側タイマ割込処理(図11)により、設定キースイッチ94がOFF状態であると判定され(ステップS013:NO)、設定変更可能条件が成立していないとして、「バックアップ確認処理(ステップS016)」を経由する処理ルートが実行されて(ステップS013のNOの処理ルート参照)、設定値の変更操作が禁止状態とされてしまうからである。したがって、設定値を変更したい場合に、設定キースイッチ94をON操作しないまま、遊技機に電源を投入してしまった場合は、一旦電源スイッチOFFにして遊技機の電源を落とした後、設定キースイッチ94をON操作して、その状態で、再度電源スイッチONにして遊技機に電源を投入すればよい。
上記設定値変更処理(ステップS024)を終えると、後述のステップS017の処理に進む。
一方、上記「設定変更可能条件」が成立していない場合、すなわち、電源投入時において、設定キースイッチ94がON状態でない場合(ステップS013:NO)、または設定キースイッチ94がON状態であっても扉開放センサ61がOFF状態の場合(ステップS023:NO)、次いで、RAM203のプロテクトを有効にするとともに、禁止領域を無効に設定する(ステップS014)。これにより、以後の処理において、RAM203に対するデータの書き込みが禁止される。
ここで、RAMプロテクトとは、誤作動や誤操作などによるRAMに対する書き換え防止機能である。RAMプロテクトの動作は、次のようになる。システムリセットまたはWDTリセットが発生した後はRAMのプロテクトが有効(RAMプロテクト状態)となっている。RAMのプロテクトが有効に設定されている場合にはRAMからデータを読み出すことができるが、RAMにデータを書き込むことができない。したがってRAMにデータを書き込む場合には、RAMのプロテクトを無効に設定する必要がある。
また、禁止領域が有効である場合、あらかじめ設定したアドレス範囲(たとえば、設定値の変更設定に係るプログラムなど)にアクセスがあると、指定エリア以外にアクセスがあったとして、IAT回路からIAT発生信号が出力され、IATリセットが発生するが(指定エリア外走行禁止(IAT)機能)、禁止領域の設定を無効にすると、このIATリセットは発生しない。IATリセットが発生した場合、CPUコアだけがリセットされ、内部機能はリセットされないが、システムリセットやWDTリセットが発生した場合には、CPUコアを含むすべての内部機能がリセットされる。つまり、IATリセットが発生してもRAMプロテクト状態とはならず、またCTCやWDTは初期化されないが、システムリセットやWDTリセットが発生した場合には、RAMはプロテクト状態(有効)に設定され、CTCやWDTは初期化される。ただし、システムリセット、WDTリセット、アクセスエラーリセットのいずれかが行われた場合でもRAMの記憶内容は変化しない。なお、IATリセットが発生した場合、不正なプログラムが実行されたとして、システムリセットがかかる構成としてもよい。
次いで、待機画面表示コマンドを演出制御部24に送信し(ステップS015)、図8に示すバックアップ確認処理を実行する(ステップS016)。待機画面表示コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、少なくともバックアップ確認処理を終えるまで、演出手段を利用して、遊技復旧中である旨を報知する遊技復旧中演出を現出させる。たとえば、液晶表示装置36に「しばらくお待ち下さい」などの文字が表示される専用の待機画像を現出させる。
上記バックアップ確認処理(ステップS016)を終えると、次いで、RAM203のプロテクトを無効にするとともに、禁止領域を有効に設定する(ステップS017)。これにより、以後の処理において、RAM203に対するデータの書き込みが許容され、指定された領域のアクセスが禁止される。
次いで、WDTの動作許可に設定し、WDTがタイムアウト信号(WDTリセット信号)を発生させるタイムアウト時間(たとえば、1000ms)を設定する(ステップS018)。本処理によりWDTが再起動され、以後、設定したタイムアウト時間内にWDTをクリアしないとWDTリセットが発生し、CPUコアを含む内部機能がリセットされ、RAMはプロテクト状態に設定されることになる。しかし正常動作時には、図11に示す主制御部タイマ割込処理中にて(図11のステップS101)、WDTが定期的にクリアされるので、このような問題は生じない。
ステップS018の処理を終えると、電源投入時のプログラムが正常に起動、すなわち、遊技開始可能状態であるとして、発射装置32による発射動作を許可する「発射制御信号1(発射許可信号)」を払出制御基板29に出力する(ステップS019:発射許可信号をOFF状態からON状態に設定)。払出制御基板29は、発射制御信号1を受信した場合、発射許可状態であると判断し、上記許可信号を発射制御基板28に対して出力し、発射装置32による遊技球の発射動作を許容する。以後、発射操作ハンドル15による遊技球の発射が可能となる。なお本実施形態では、主制御部20からの発射許可信号を払出制御基板29が受けて発射動作を許容する構成、つまり、主制御部20からの発射許可の指示情報が、払出制御基板29を通じて間接的に発射制御基板28に送られる構成となっているが本発明はこれに限られない。たとえば、主制御部20による上記発射制御信号1を、直接的に発射制御基板28に対して出力する構成としてもよい。本実施形態では、ステップS019の処理が実行される前は、発射制御信号1を出力しないように制御している(OFF状態に制御)。したがって、設定変更操作を行った場合は、設定値変更処理(ステップS024)を終えるまで発射制御信号1を出力せず(OFF状態に制御)、設定変更処理を終えた後で発射制御信号1を出力する(ON状態に制御)。そして、一連の電源投入時処理S011~S019:制御開始処理)を終えると、通常の遊技進行に係る遊技処理(後述のステップS20~S22)を実行する構成となっている。
その後、CPUを割込み禁止状態に設定した状態で(ステップS20)、各種乱数更新処理を実行する(ステップS021)。この各種乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどが設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が0~238とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であればゼロを元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。
上記各種乱数更新処理(ステップS021)を終えると、割込み許可状態に設定して(ステップS022)、ステップS020の処理に戻る。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
(10-1.初期設定処理:図7)
次に、図6中の初期設定処理(ステップS011)について説明する。図7は、ステップS011の初期設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図7において、システムリセットやWDTリセットが発生すると、CPU201は、最初に自らを割込み禁止状態に設定し(ステップS031)、次いで、ステップS032の処理に移行し、起動時の初期設定として、次の各処理を実行する。
マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値等を初期設定する初期化処理、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定する割込みモード設定処理、CPU内部のスタックポインタSPの値を、スタック領域の最終アドレスに対応して設定するスタックポインタ設定処理、内部ハード乱数回路を起動させる内部ハード乱数設定処理などを実行する。
続いて、入力ポート(不図示)からRAMクリア信号を取得する。RAMクリア信号とは、RAMの所定領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、ホール店員が操作するRAMクリアスイッチ98のON/OFF状態に対応した値を有している。またここでは、入力ポートから設定変更信号を取得する。設定変更信号とは、設定値を変更可能な設定変更モードに移行するか否かを決定する信号であって、上述のRAMクリアスイッチと同じく、通常、ホール店員が操作する設定キースイッチ94のON/OFF状態に対応した値を有している。このため、RAMクリア信号や設定変更信号の取得タイミングが遅れると、ホール店員がスイッチから手を離すことで、ON操作を見逃すことになるが、本実施形態では、そのような事態を回避するために、電源復旧時に速やかにこれら信号を取得するようになっている。
次いで、サブ制御基板(演出制御部24)の起動待ち時間をセットする(ステップS033)。そして、WDTのカウント値がタイムアウトしてWDTリセットが生起しないように、WDTのカウント値をクリアしながら、セットした起動待ち時間が経過するのを待つ(ステップS034~S036)。具体的には、セットした起動待ち時間を1減算し(ステップS034)、WDTのカウント値をクリアして(ステップS035:WDTクリア処理)、起動待ち時間がゼロでなければ(ステップS036:≠0)、ステップS034の処理に戻る。この待ち時間により、演出制御部24の起動が完了することになる。
上記起動待ち時間が経過したならば(ステップS036:=0)、電源基板から出力される電源異常信号を2回読み込む(ステップS037)。次いで、その2回読み込んだ電源異常信号のレベルが一致するか否かを判定し(ステップS038)、一致するまでステップS037~S038の処理を繰り返し(ステップS038:NO)、電源異常信号のレベルが一致した場合(ステップS038:YES)、電源異常信号が正常レベルか否かを判定する(ステップS039)。
電源異常信号が正常レベルでないならば(ステップS039:ON)、ステップS037の処理に戻る。すなわち、電源異常信号が正常レベルに変化するまで同一の処理を繰返し、電源異常信号が正常レベル(H)であれば(ステップS039:OFF)、ステップS040に進み、続いて、WDTのカウント値をクリアしながら、払出制御基板29からの電源投入時信号が送れてくるのを待つ(ステップS040~S041)。この電源投入時信号は、払出制御基板29が正常に立ち上がった場合に出力される信号であり、CPU201は、払出制御基板29が正常起動するまで待機するようになっている。これにより、何らかのトラブルによって払出制御基板29が正常に機能していない場合には、ステップS040~S041の処理を繰り返すだけで遊技動作は開始されない。したがってたとえば、賞球が払い出されない等の払出異常が発生せず、遊技者に不信感を与える恐れが無い。そして、上記の電源投入時信号を確認した場合は(ステップS041:ON)、この初期設定処理を抜けて、図6の主制御側メイン処理のステップS012の処理を実行する。
(10-2.バックアップ確認処理:図8)
次に、図6中のバックアップ確認処理(ステップS016)について説明する。図8は、ステップS016のバックアップ確認処理の詳細を示すフローチャートである。
このバックアップ確認処理では、設定キースイッチ94がOFF状態等の設定変更可能条件が成立していない場合に実行される処理であり、ここでは、RAMクリアスイッチ98(RAMクリア信号)のON/OFF状態に応じて、電断時のバックアップデータからの遊技復旧処理や、RAM203の所定領域を初期化(クリア)するRAMクリア時処理が実行される。
図8において、CPU201は、まず、バックアップフラグBFの値がON状態であるかを判定する(ステップS051)。バックアップフラグBFは、電源遮断時の電断処理(不図示)により、ON状態(バックアップフラグBF=5AH(‘H’は16進数の意)に設定される。したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、バックアップフラグBFがON状態のはずである。しかし、何らかの理由でプログラムが暴走状態となり、WDTリセットが生じたような場合には、バックアップフラグBFはOFF状態(00H)になる。したがって、バックアップフラグBFがOFF状態となる異常時の場合には(ステップS051:OFF)、RAMの内容が破損している恐れがあるため、後述のRAMエラー処理を実行する(ステップS055)。
一方、バックアップフラグBFがON状態であれば(ステップS051:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203の所定のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS052)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS052の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、電源投入時(主制御側メイン処理)のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS052の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS052:NO)、次に述べるRAMエラー処理(ステップS055)を実行する。
(10-2-1.RAMエラー処理:図9)
上記RAMエラー処理(ステップS055)の処理内容を図9に示す。このRAMエラー処理では、CPU201は、まずRAMエラーフラグをON状態にする(ステップS058)。次いで、RAMエラーコマンドを演出制御部24に送信し(ステップS059)、すべての出力ポート(図示せず)のデータをクリアして(ステップS60)、その後、何もしないループ処理(無限ループ処理)を繰り返す。したがって、RAMエラーが発生した場合には、以後、遊技進行に係る処理が実行されず、遊技動作が停止することになる(遊技停止処理)。ここで出力ポートをクリアするに際しては、遊技進行が停止したことを明示的に報知するべく、少なくとも特別図柄表示装置38a、38bに送信するデータをクリアすることが好ましい。上記RAMエラーコマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、スピーカ46や装飾ランプ45や液晶表示装置36などの演出手段を用いて、RAMエラーに対応したエラー報知を実行する。なお、RAMエラーが発生した場合には、後述の図11の主制御側タイマ割込処理中のS086の判定結果がYESとなり、その後にステップS101のWDTクリア処理が実行されるので、無限ループ処理を繰返しているタイミングで、WDTリセットが生起しないようになっている。
ここでRAMエラー処理では、RAM203の内容はクリアされない。そのため仮に、バックアップデータが破損状態のままであれば、電断時に、破損したデータを含めたチェックサム演算によって誤ったチェックサム値がSUM番地に格納されてしまい、電源復旧後のステップS052のチェックサム判定では、そのデータ破損が見逃されてしまう恐れがある。したがって、このような場合を想定し、本実施形態では、一度RAMエラーが生じると、電源をON・OFFしてもRAMエラーフラグのON状態が解消されず、電源投入時にRAMエラーフラグがチェックされて、当該フラグがON状態であれば、RAMエラーが再実行されるようになっている。このRAMエラーは、後述の図10に示す設定値変更処理(ステップS024)中の「設定変更時のRAMクリア処理(ステップS061)」にて、RAMエラーフラグがクリアされない限り、解消できないようになっている。つまり、RAMエラーが生じた場合には、設定変更操作を行わない限り、エラーが解消することができないようになっている。
ステップS052の説明に戻り、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS052:YES)、入力ポート(図示せず)を介して入力されるRAMクリア信号(RAMクリアスイッチ98の出力信号)がON状態かOFF状態であるかを判定する(ステップS053)。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS053の判定結果が‘YES’となり、この場合には、次に述べるRAMクリア時処理が実行される(ステップS056)。
上記RAMクリア時処理では、少なくともRAM203の設定値格納領域と性能情報に係る領域(計測情報格納領域と性能表示格納領域)とを除く、全領域をクリアして遊技機の動作状態を初期状態に戻す。したがって、電断時にセットされたバックアップフラグBFの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。なおクリア対象となるのは、バックアップフラグBFの値やチェックサム値の他、次のような遊技進行に必要なデータが用意されている。
たとえば、遊技状態指定に係るデータ(通常状態、確変状態、時短状態、潜確状態など、現在の遊技状態を特定する遊技状態フラグ)、当り遊技中であるか否かを指定するフラグ(条件装置作動フラグ、小当り中フラグ)、当り遊技の実行に係る各種データ(現在のラウンド数、最大ラウンド数など)、大当り抽選結果に係るデータ(大当り判定フラグ・小当り判定フラグ(当落抽選結果情報)、特別図柄判定データ(図柄抽選結果情報))、作動保留球に関する保留データ(作動保留球数、大当り抽選に利用される各種乱数値、補助当り抽選に利用される各種乱数値)、特別図柄動作ステータス、遊技進行を管理するタイマ(特別図柄役物動作タイマ)、スイッチ・センサ類に係る入出力データ、各入賞口の入賞球数をカウントする入賞カウンタ、電サポ状態の有無を指定するフラグ(開放延長フラグ)、電サポの残余回数をカウントする電サポ回数カウンタ、高確率状態の残余回数をカウントするカウンタ(特図確変回数カウンタ、普図確変回数カウンタ)、特定の遊技状態(本実施形態では、CZ)の残余回数をカウントするカウンタ(特図変動回数カウンタ)、各種エラーフラグ(RAMエラーフラグを除く)などがある。いずれにしてもRAMクリア時処理が実行されると、特定のデータ以外のすべてのデータが初期状態に設定される。
本実施形態では、RAMクリア時処理により設定値は初期化されない。したがって、ステップS056のRAMクリアが実行される場合には、設定値は前回の電源遮断時の値のままであるが、遊技状態や保留データ等がクリアされた状態(通常状態、かつ作動保留球無しの状態)で遊技が開始されることとなる。これにより、たとえば、前日の営業から設定値だけを引き継ぎたい場合は、態々、作業工程の多い設定変更操作をしなくとも、RAMクリアスイッチ98のON/OFF操作という簡易操作でクリア作業が済む、という利点がある。
また上記性能情報についても、RAMクリア時処理では初期化されない。この性能表示に係るRAM領域(性能表示格納領域、計測情報格納領域)については、上記ステップS052のチェックサム判定処理の対象ではなく、当該RAM領域についてチェックは、後述の主制御側のタイマ割込処理中の性能表示モニタ処理で行うようになっている(図11のステップS096参照)。
続いて、「RAMクリア表示コマンド」を初期化コマンドとして各制御基板に送信する。そして、RAMクリアされた旨を周囲に報知(ホールコンピュータHCへの通知を含む)するための時間として、RAMクリア報知タイマに所定の報知時間(たとえば、30秒)を設定する。演出制御部24が上記RAMクリア表示コマンドを受けると、演出モードを初期状態の「通常演出モード」に設定し、演出状態を初期状態に戻すとともに、スピーカ46や装飾ランプ45や液晶表示装置36などの演出手段を用いて、RAMクリアに対応したエラー報知を、報知タイマの設定時間と同じ30秒間実行する。
一方、RAMクリア信号がOFF状態であった場合(ステップS053:OFF)、電断時に保存されたバックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要なバックアップ復帰処理を行う(ステップS054)。また、バックアップデータから遊技復旧に要する情報(たとえば、電源遮断時における作動保留球数情報や保留データや遊技状態情報や当り遊技種別情報など)を取得し、その情報を含ませた各種の演出制御コマンド(複数の遊技復帰用コマンド)を演出制御部24に送信する。斯様な遊技復帰用コマンドにより、演出制御部24は電源遮断時の遊技進行状態を把握し、遊技復旧時には、電源遮断時の演出状態に復帰させる。
上記ステップS054のバックアップ復帰時の処理またはステップS056のRAMクリア時処理のいずれかを終えると、このバックアップ確認処理を抜けて、図6の主制御側メイン処理のステップS017の処理を実行する。
(10-3.設定値変更処理:図10)
次に、図6中の設定値変更処理(ステップS024)について説明する。図10は、ステップS024の設定値変更処理の詳細を示すフローチャートである。
図10において、CPU201は、まず、設定変更時のRAMクリア処理を実行する(ステップS061)。ここでは、上記RAMクリア時処理(図8中のステップS056)と同じく、RAM203の設定値格納領域および性能情報に係る格納領域(計測情報格納領域と性能表示格納領域)以外の領域をクリア(初期化)する。すなわち、RAMエラーフラグもクリアされる。これにより、RAMエラーが解消することができる。なお、設定値データに異常が生じている場合は、後述のステップS067の処理で設定値が初期状態の設定1に設定されるようになっている。
次いで、設定変更中である旨を指定する設定変更中フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS062)。
次いで、RAM203のプロテクトを無効にするとともに、禁止領域を無効に設定する(ステップS063)。これによりRAM203に対するデータの書き込みを許可し、設定値格納領域のアクセスを許可する。
次いで、設定変更中である旨を指定する設定変更中表示コマンドを送信する(ステップS064)。演出制御部24がこの設定変更中表示コマンドを受けると、設定値変更中であること報知する設定変更中演出を実行する。たとえば、装飾ランプ45の演出LEDを赤色で全点灯させ、スピーカ16から「設定変更中です♪」の警報音を出力させ、液晶表示装置36に「設定変更中」の演出画像を表示させる。
次いで、RAM203に記憶されている設定値Nc(現在の設定値)を取得し(ステップS065)、取得した設定値Ncが正常値であるか否かを判定する(ステップS066)。本実施形態では、設定値1~6の6段階の設定が規定されており、これら設定値1~6に対応するデータとして00H~05Hの値が定められている。このため、ノイズ等の何かしらの不具合により、取得した設定値が00H、01H、02H、03H、04Hおよび05Hのいずれの値でもない場合(正常値でない場合)、つまり取得した設定値Ncが設定値1~6のいずれにも該当しない場合には、異常が発生したとして、設定値Ncに初期値の00H(設定1)を設定する(ステップS067)。そして、ステップS068に進み、設定値表示処理を実行する。一方、取得した設定値Ncが正常値である場合には(ステップS66:YES)、ステップS067をスキップして、ステップS068の設定値表示処理を実行する。
ステップS068の設定値表示処理では、7セグメントLEDの設定表示器97に対して、現在の設定値を表示させるための表示データ(ダイナミック点灯データ)を作成し設定する。ここで作成された表示データは、後述の図11の主制御側タイマ割込処理中のLED管理処理(ステップS098)において、設定表示器97に対して出力処理される。これにより、現在の設定値が設定表示器97に表示され、設定変更操作中に設定値の確認ができるようになっている。
次いで、設定変更完了スイッチ96がON状態であるか否かを判定し(ステップS069)、設定変更完了スイッチ96がON状態でない場合(ステップS069:NO)、設定変更操作が完了していないとして、次いで、設定変更スイッチ95がON状態であるか否かを判定する(ステップS070)。
設定変更スイッチ95がON状態でない場合(ステップS070:NO)、ステップS69の判定処理に戻る。すなわち、設定値確定操作である設定変更完了スイッチ96または設定変更スイッチ95のいずれかのON操作検出待ちの状態となる(ステップS70:NO、S069:NO)。
このON操作検出待ちの状態中に、設定変更スイッチ95のON操作が検出された場合(ステップS070:YES)、設定変更操作があったとして、現在の設定値Ncを変更(更新)する(ステップS071)。設定値については、既に説明したように、設定変更スイッチ95を操作すると、設定1~6の範囲で循環するように切り替わる。すなわち、ステップS071の処理を終えると、ステップS066に戻り、以後、設定変更操作あるごとに、「ステップS070のYES→S066~S070のYES」の処理ルートを、S069の判定結果が‘YES’となるまで、繰り返し実行する。
そして、設定変更完了スイッチ96がON状態となった場合(ステップS069:YES)、設定値が確定されたとして、現在の設定値NcをRAM203の設定値格納領域に保存するとともに(ステップS072)、設定確定LEDの点灯表示処理を実行する(ステップS073)。本実施形態の設定確定LEDは、7セグメントLEDである設定表示器97のDP部(デシマルポイント)がその機能を担う。設定変更完了スイッチ96がON状態になると、表示中の設定値が消えて、DP部が点灯し、設定値が確定されたことが報知される。これにより、設定値の変更が完了したことになる。
なお本実施形態では、設定変更完了スイッチ96として、専用のスイッチを設けられているが、遊技機1に設けられたスイッチ類を利用して、次のように構成してもよい。たとえば、設定値変更処理中において、発射ハンドル15に係るセンサ(タッチセンサ、操作量を検出するセンサ、または発射停止スイッチ)を設定変更完了スイッチ96として機能させるように構成してもよい。また、入賞口に係る入賞検出センサ(センサ34a、35a。37a、52a、43a、または49a)を設定変更完了スイッチ96として機能させるように構成してもよい。この場合、遊技球を入賞口に手入れする等して、当該センサが遊技球を検出したこと(ON状態)を以って、設定操作が完了したと判断する。
次いで、設定キースイッチ94がOFF状態になるまで待ち(ステップS074:NO)、設定キースイッチ94のOFF状態が確認されたならば(ステップS074:YES)、設定確定LED(DP部)を消灯させ、設定値コマンドを送信する(ステップS077)。上記設定値コマンドは、現在の設定値Ncを特定可能な情報(設定値情報)を含む。またここで送られる設定値コマンドは、設定変更操作が終了して設定値が確定した場合に送信されるため、設定変更操作が終了した旨(設定値が確定された旨)を示すコマンドとしても利用される。
演出制御部24は、上記設定値コマンドを受けると、実行中の設定変更中演出を終了させる。設定キースイッチ94がOFF状態になった後は、単に前枠2が開放状態となっている。したがって、設定変更中演出が終了後は、扉開放エラー報知に切り替わる。しかし、設定変更中演出を終了後、直ちに扉開放エラー報知を実行するのではなく、設定変更操作が終了、つまり、新たな設定値が選択され決定されたこと(同一設定値に打ちかえることを含む)を報知することが好ましいといえる。そこで本実施形態では、演出制御部24が設定値コマンドを受けた場合、設定変更操作終了を報知する設定変更操作終了演出を所定時間(たとえば、30秒)現出させてもよい。この設定変更操作終了演出は、設定変更操作終了を報知するものであるから、扉開放エラー報知および設定変更中演出とは異なる演出(報知)態様とする。たとえば、装飾ランプ45の演出LEDを青色で全点灯させ、スピーカ16から変更終了音を出力させ、液晶表示装置36に「設定変更終了」の演出画像を表示させる。なお、上記設定変更中演出や設定変更操作終了演出は、光演出、音演出、および画像表示演出のうち少なくともいずれか1つの演出を用いたものであってもよい。
また上記設定値コマンドは、設定値情報を含むので、演出制御部24は設定値コマンドにより現在の設定値を把握することができる。これにより、予告演出や当り中演出において、設定値に関連する演出(設定示唆演出)を現出制御することができるようになっている。このため、遊技に興じながらも内部的な設定値を推測する推測要素を遊技者に与えることができるので、遊技の面白みを向上させることができる。
この設定示唆演出としては、たとえば、低設定(設定1~3)を示唆する「低設定示唆演出」、偶数設定(設定2、4、6)を示唆する「偶数設定示唆演出」、奇数設定(設定1、3、5)を示唆する「奇数設定示唆演出」、高設定(設定4~6)を暗示する「高設定示唆演出」、最高設定値の「設定6」を確定的に報知する「設定6確定演出」、特定範囲の設定値(たとえば、設定N以上(N<6)))を示唆する特定範囲示唆演出などがある。たとえば、特定のアイテム画像やキャラクタ画像を表示したり、特定の効果音や特定の光演出を現出したりして、現在の設定値を示唆することができる。
また設定値に関連する演出として、各設定値または一部の設定値で、特定のリーチ演出の出現率を異なるものとすることができる。また装飾図柄について、各設定値または一部の設定値で、特定のハズレ図柄態様(ハズレ時の装飾停止図柄:たとえば、「224」)の出現率を異なるものとすることができる。具体的には、出現率を設定1~6の順で高確率としたり、設定1~3は同一出現率で設定4~6はそれぞれ異なる出現率としたりすることができる。
また先読み予告演出を利用して、設定値を示唆することができる。たとえば、保留表示(保留アイコン)を設定示唆用のアイテム画像に変化させたり、特別保留表示態様以外の保留色を利用した保留アイコンを表示したりすることができる(特殊保留表示態様)。この場合、特殊保留表示態様を利用して、上述した低設定示唆演出~特定範囲示唆演出などを現出させることができる。また、各設定値または一部の設定値で、特殊保留表示態様の出現率を異なるものとすることができる。また、特殊保留表示態様を利用せずに、各設定値または一部の設定値で、特定の特別保留表示態様(たとえば、青色保留色)の出現率を異なるものとしてもよい。
そして最後に、設定変更中フラグをOFF状態(00H)にし(ステップS078)、これにより設定値変更処理を抜けて、図6の主制御側メイン処理のステップS017の処理を実行する。
<11.主制御側タイマ割込処理:図11>
次に図11を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図11は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図11において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容を保存することなく、直ちに電源異常チェック処理を実行する(ステップS081)。この電源異常チェック処理では、主に、電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、スイッチ入力データ作成処理を実行する(ステップS082)。各種センサやスイッチから入力情報(ON/OFF信号や、立ち上がり状態(ONエッジ、OFFエッジ))に基づき、入力データ作成する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43a、OUT監視スイッチ49aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)や、設定キースイッチ94、設定変更スイッチ95、設定変更完了スイッチ96などの設定変更操作に係るスイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(操作情報)や、払出制御基板29からの状態信号(扉開放センサ61や満杯検出センサ60のON/OFF情報)などである。これにより、アウト口や各入賞口において遊技球が検出された否かが割込みごとに監視される。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS083)。このエラー管理処理では、各種センサ類に係る入力データや払出制御基板29からの状態信号に基づき、エラーが生じたか否かを監視する。エラーが生じた場合には、エラー処理として、エラーコマンドの送信が必要なエラー種別である場合には、当該コマンドを演出制御部24に送信する。演出制御部24がこのエラーコマンドを受けると、エラー種別に応じたエラー報知を実行する。また発生中のエラーが解消された場合は、エラー解除コマンドを演出制御部24に送信する。演出制御部24がこのエラー解除コマンドを受けると、実行中のエラー報知を終了させる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を実行する(ステップS084)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで更新(減算処理)される。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を実行する(ステップS085)。ここでは、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などに対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。なお内部抽選用乱数(大当り判定用乱数)は、上記乱数生成回路で生成されるので、ここでは更新されることはない。
次いで、RAMエラー中であるか否かを判定する(ステップS086)。RAMエラー中であるか否かは、RAMエラーフラグのON/OFF状態により判定される。RAMエラー中の場合には(ステップS086:YES)、後述のステップS087~S100の処理(図柄変動表示ゲームや当り遊技などの遊技進行に係る処理)を実行せずに、ステップS101に進み、WDTのカウント値をクリアするWDTクリア処理を実行する。
一方、RAMエラー中でない場合には(ステップS086:NO)、次いで、設定変更中フラグがON状態であるか否か、つまり、設定値変更中であるか否かを判定する(ステップS087)。設定変更中フラグがON状態である場合には(ステップS087:YES)、設定変更中であるとして、後述のステップS088~S097の処理を実行せずに、ステップS098に進み、LED管理処理を実行する。
一方、設定変更中フラグがON状態でない場合には(ステップS087:NO)、次いで、設定変更確認フラグがON状態であるか否かを判定する(ステップS088)。この設定変更確認フラグは、設定値を確認中であること(設定確認中であること)を指定するフラグであり、後述のステップS095の設定値確認処理中において設定される(設定値確認処理の詳細を示す図12のS805参照)。
設定値確認フラグがON状態である場合には(ステップS088:YES)、後述のステップS089~S094の処理を実行せずに、ステップS095の設定値確認処理に進む。設定値確認フラグがON状態でない場合(ステップS088:NO)、次いで、入力管理処理を実行する(ステップS089)。本実施形態では、RAMエラー中でなく、設定変更中でもなく、さらに設定確認中でもない場合に、遊技進行可能状態であるとして、図柄変動表示ゲームに係るステップS089以降の処理を実行させるようになっている。
ステップS089の入力管理処理では、スイッチ入力データ作成処理(ステップS082)で作成された入力データに基づき、入賞カウンタやOUT球監視カウンタの値などを更新する。上記「入賞カウンタ」とは、各入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。またOUT球監視カウンタとは、アウト口から排出される遊技球(アウト球)を計数するカウンタである。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS090)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御して、指定された賞球数分の払い出し動作を実行させる。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS091)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームを実行させるために必要な処理を行う。ここでは、普通図柄始動口センサ37aに遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数など)を取得し(乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普通図柄に関する作動保留球)として、最大保留球数を上限まで保留記憶する(保留記憶処理)。そして、普図に関する所定の変動表示開始条件が成立した場合、作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する。
次いで、普通電動役物管理処理を実行する(ステップS092)。この普通電動役物管理処理では、普電開放遊技の実行に必要な処理を行う。具体的には、補助当り抽選の抽選結果が当りの場合に、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの設定処理を行う。ここで設定されたソレノイド制御用データに基づき、後述のステップS100のソレノイド管理処理にて、普通電動役物ソレノイド41cに対して励磁信号が出力され、これにより、可動翼片47の開閉動作パターンが制御される。
次いで、特別図柄管理処理を実行する(ステップS093)。この特別図柄管理処理では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄の決定など、特別図柄変動表示ゲームに必要な処理が実行される。この特別図柄管理処理の詳細は図13にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を実行する(ステップS094)。この特別電動役物管理処理では、当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。具体的には、大当り抽選結果が大当りまたは小当りであった場合、その当り種別に対応した当り遊技(大当り遊技または小当り遊技)を実行制御する。
詳しくは、大入賞口ソレノイド52cに対するソレノイド制御用データの設定、ラウンド数のカウント(大当りの場合)、大入賞口50への最大入賞数および開放時間の監視などを行う。また当り遊技が終了した場合は、当選時の遊技状態と当り種別とに基づく遊技状態の移行設定を行う(図4参照)。
またここでは、当り遊技の進行状況に応じて、複数の演出制御コマンドを送信する。大当り開始時、ラウンド遊技開始時、ラウンド遊技終了時、最大ラウンド数消化時などにおいて、それぞれ、大当り開始コマンド、ラウンド開始コマンド、ラウンド終了コマンド、大入賞口入賞コマンド、大当り終了コマンドを送信時期の到来したときに送信する。上記大当り開始コマンドには、今回の当り種別情報が含まれ、演出制御部24側において、当り遊技中に展開される一連の当り演出シナリオを決定する際に利用される。また、大当り終了コマンドには、今回の当り種別とその当り当選時の遊技状態とに関する情報、つまり、当り遊技終了後の遊技状態を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、当り遊技後の演出モードを決定する際に利用される。したがって、この「大当り終了コマンド」は、当り遊技終了後の遊技状態を特定しうることから、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割を担う。
次いで、設定値確認に関する設定値確認処理を実行する(ステップS095)。この設定値確認処理の詳細は図12にて後述する。
次いで、性能表示モニタ処理を実行する(ステップS096)。性能表示モニタ処理では、CPU201は、まずレジスタの内容をスタック領域に退避させた後、性能表示に関する処理を実行する。本実施形態では、通常時比率情報を性能表示器99に表示させるための処理を実行する。具体的には、まず、性能表示に関する処理が正しく実行されているか否かや性能表示に係るRAM領域(性能表示格納領域、計測情報格納領域)のデータに破損等があるか否かのチェックを行い、異常が発生したと判断した場合には、当該RAM領域をクリアするRAMクリアチェック処理を行う。データ異常が生じるケースとしては、たとえば、通常時比率情報の算出に要する演算処理やスイッチ入力データに異常がある場合、全状態アウト球数よりも通常時アウト個数が多いなどの通常ではあり得ない状態が生起した場合である。なお本処理で、異常と判断され、RAMの該当領域をクリアしても特に、エラー処理は実行せず、新たな通常時比率情報を算出するための処理を進める。
上記RAMクリアチェック処理を終了した後、次いで、現在の遊技状態が通常状態であるか否かを判定する。現在の遊技状態が通常状態でない場合には、計数対象外の遊技期間であるとして、退避していたレジスタの内容を復帰させ、性能表示モニタ処理を抜ける。
一方、現在、通常状態である場合には、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43a、OUT監視スイッチ49aの各入力データに基づき、通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト球数を更新する。そして、その更新後の通常時払出個数と通常時アウト個数、つまり最新の通常時払出個数と通常時アウト個数とに基づき、通常時比率を算出し、その値をRAM203の計測情報格納領域に格納する。ただし、この実施形態の場合、通常状態中に係る性能情報(特定比率情報)を算出するので、大入賞口センサ52aの検出情報は計測対象から除外される。なお、上記全状態アウト球数が所定の規定個数(ここでは60000個)に達した場合、この時点の通常時比率情報(今回の通常時比率情報)をRAM203の性能表示格納領域に格納し、次回の計測のために、現在の通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト球数をクリアする。この場合、今回の通常時比率情報は、次回の通常時比率情報の算出時に上書きされるのでクリアしてもしなくてもよい。
そして、性能表示器99に対して、通常時比率情報を表示させるための表示データを作成し設定し(表示データを更新)、退避していたレジスタの内容を復帰させて性能表示モニタ処理を抜ける。ここで作成された表示データは、後述のLED管理処理(ステップS098)において出力処理されるが、この性能表示モニタ処理にて独立して出力するように構成してもよい。これにより、性能表示器99において通常時比率情報のリアルタイム表示を実現している。
次いで、右打ち報知情報管理処理を実行する(ステップS097)。この右打ち報知情報管理処理では、当り遊技中または電サポ有りを伴う遊技状態(時短状態、確変状態)下である場合、つまり「右打ち有利」な遊技状態である場合には、右打ち指示情報を報知する「右打ち報知演出(第1発射位置誘導演出)」を、他方、電サポ無しを伴う遊技状態下(通常状態、潜確状態)である場合、つまり「左打ち有利」な遊技状態である場合には、左打ち指示情報を報知する「左打ち報知演出(第2発射位置誘導演出)」を現出させるために必要な処理を行う。
次いで、LED管理処理を実行する(ステップS098)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、設定表示器97、性能表示器99などのLED表示器に対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を行う。普通図柄管理処理(ステップS091)、特別図柄管理処理(ステップS093)、性能表示モニタ処理(ステップS096)、設定値変更処理(ステップS024、S068)などで作成されたLED表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で出力される。これにより、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄や普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の一連の変動表示動作(変動表示および停止表示)、設定表示器97による設定値表示や、性能表示器99による性能情報表示などが実現される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS099)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、遊技機の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。動作状態情報には、たとえば、当り遊技発生情報、図柄変動表示ゲーム実行開始情報、入賞数・賞球数情報、エラー情報などの遊技情報がある。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS100)。このソレノイド管理処理では、普通電動役物管理処理(ステップS092)または特別電動役物管理処理(ステップS094)で設定されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cや大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力制御を行う。これにより、可動翼片47や大入賞口50の開閉動作を実現する。
次いで、WDTのカウント値をクリアする(ステップS101)。これにより、WDTがリセットされ、カウント値が初期値に戻される。
以上のステップS081~ステップS101の処理を終えた後、割込み許可状態に設定する(ステップS102)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
<12.設定値確認処理:図12>
次に、図11中の設定値確認処理(ステップS095)について説明する。図12は、ステップS095の設定値確認処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず、設定値確認フラグがON状態であるか否かを判定する(ステップS801)。設定値確認フラグがON状態である場合(ステップS801:YES)、この場合は、設定確認中であるので、後述のステップS803の処理に進む。一方、設定値確認フラグがON状態でない場合(ステップS801:NO)、この場合は、設定確認中でないので、続いて、次に述べる「設定確認許容条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS802)。
(設定確認許容条件について)
本実施形態では、電源投入時の設定変更操作が完了した後(少なくとも主制御メイン処理の設定値変更処理(図6のステップS024)が終了した後)で、設定値を確認したいというケースを想定し、再度、設定変更操作により設定値を表示させることなく(設定値変更処理を実行することなく(図10のステップS068の処理等参照)、設定表示器97に現在の設定値を表示させることができるようになっている。
設定値を確認する状況には、たとえば、ホール開店前(電源投入時の設定変更操作が完了した後、遊技者が実際に遊技を開始する前)の確認作業において設定値をチェックする場合や、ホール開店後に何かしらの不具合やエラーが発生した場合に設定値をチェックする場合などがある。また設定表示器97は、設定値が遊技者に知られることがないように遊技機内部の適所に配設されており、通常は、前枠2を開放して内部を覗き込まない限り、遊技者から視認不可能となっている。このため、前枠2を開放しなければ、設定値を確認することができない。したがって、設定値を確認する際には、図柄変動表示ゲームの実行中でないことが望ましいといえる。そこで本実施形態では、設定変更操作完了後に設定表示器97に設定値を表示させる条件(設定確認許容条件)として、次の(A)~(C)のような条件を定めている。
(A)スイッチ・センサ(主制御部20に接続のスイッチ類)が入力中(ON状態中)でないこと、
(B)扉開放エラー以外のエラー中ではないこと(扉開放エラー以外のエラーとして、たとえば、満杯エラーや球詰りエラーやRAMエラーなどの各種エラー中でないこと)、および
(C)特別図柄変動表示ゲームが実行中でなく、特図作動保留球が無いこと(特別図柄が停止中で、かつその作動保留球がゼロであること)、を条件としている。
端的に言えば、少なくとも特別図柄変動表示ゲームが実行中でなく、扉開放エラーだけが発生中であることを条件としている。なお、上記(A)~(C)の条件に加え、(D)普通図柄変動表示ゲームが実行中でなく、普通作動保留球が無いこと(普通図柄が停止中で、かつその作動保留球がゼロであること)および/または(E)賞球の払出中でないこと(遊技球払出装置19の払出動作が完了していること(払出制御基板29からの何ら異常に係る状態信号を受けていないこと))を設定確認許容条件とすることができる。また上記(C)の条件を、(F)特別図柄が停止中で、かつその作動保留球がゼロになった後、所定時間が経過したとき(たとえば、10秒後)という条件としてもよい。
ここで本実施形態では、発射操作ハンドル15のタッチセンサ(不図示)の検出情報(ON/OFF信号)は、主制御部20には送信されていない。したがって、主制御部20は、遊技者が発射操作ハンドル15を操作しているか否か、つまり、発射装置32が発射動作を実行している否かという発射動作状態を把握できない構成となっている。しかし仮に、主制御部20が上記タッチセンサのON/OFF信号を検出可能な構成の場合、たとえば、発射制御基板28(または発射装置32)からタッチセンサのON/OFF状態を特定可能な状態信号(タッチセンサ信号)を主制御部20に送信可能に構成している場合には、設定確認許容条件として、少なくとも上記(A)~(C)の条件に、(G)発射動作中でないこと(タッチセンサがOFF状態)の条件に加えてもよい。上記(A)~(C)の条件に、(D)~(G)の条件のうちからどのような条件(1または複数の条件)を付加して、上記設定確認許容条件とするかは、遊技性などに応じて適宜定めることができる。
上記設定確認許容条件が成立していない場合は(ステップS802:NO)、設定値を確認できない遊技状況であるので、何もせずにこの設定値確認処理を抜ける。一方、上記設定確認許容条件が成立している場合(ステップS802:YES)、設定確認中であるか否かをチェックする。具体的には、扉開放センサ61がON状態であるか否か(前枠2が開放されているか否か)、設定キースイッチ94がON操作されたか否かを判定する(ステップS803、S804)。
(設定確認中である場合)
図示の通り、扉開放センサ61がON状態であり、設定キースイッチ94がON状態であれば(ステップS803:YES、S804:YES)、設定確認中であるとして扱い、設定確認中フラグをON状態に設定し(ステップS805)、現在の設定値を取得して、設定表示器97に対して、当該設定値を表示させるための表示データを作成し設定する。ここで作成された表示データは、上記LED管理処理(ステップS098)において出力処理される。
次いで、設定確認中コマンドを送信し(ステップS806)、発射制御信号1をOFF状態にして発射停止状態に制御し(ステップS807)、設定値確認処理を抜ける。ここで、発射停止状態に制御する理由は、設定確認中に誤って遊技球が発射されることを防止するためである。たとえば、遊技者が遊技中に何らかの異常が発生して、ホール店員により設定値をチェックする場合がありうる。このとき、設定確認中に、誤って遊技球が発射されてしまうと、その球が死に球になった場合には、遊技者に損失を与えてしまう可能性がある。しかし、発射動作を停止しておけば、このようなトラブルを未然に防止することができる。
演出制御部24は、上記設定確認中コマンドを受けると、設定確認中である旨を報知する「設定確認中演出」を現出させる(たとえば、液晶表示装置36に「設定確認中です」など専用画像を表示する)。ところで、設定値を確認する際には、まず前枠2を開放してから設定キースイッチ94をON操作(ON状態)する(扉開放エラーが設定確認中演出よりも先行して発生する)。一方、設定確認を終了する場合は、その逆に、まず設定キースイッチ94をOFF操作(OFF状態)してから、前枠2を閉めることになる(設定確認が終了しても前枠2を閉めるまでは扉開放エラーが発生している)。すなわち、設定値の確認開始からその確認が完了するまでは、いずれにしても扉開放エラーが生じていることになる。したがって、制御負担軽減のために、設定確認中演出と扉開放エラー報知とを同じ演出態様としてもよいが、少なくとも設定キースイッチ94がON状態中の設定確認中である場合は、扉開放エラーと設定確認中である旨とを重複的に報知することが好ましい。そこで本実施形態では、制御負担軽減とともに重複報知を実現するために、設定確認中演出と扉開放エラー報知とに関し、設定キースイッチ94がOFF状態とされるまでは、装飾ランプ45などによる光演出については双方で同じ演出態様(たとえば、赤色で点滅させる)、スピーカ46による音演出については扉開放エラー用の警報音(たとえば「扉が開いています♪」など)を発報し、液晶表示画面(画像表示演出)には、「設定確認中です」の画像表示か、または「扉開放エラーです。設定確認中です」といった双方を報知する画像表示を現出させるようになっている。なお、設定キースイッチ94がOFF状態になった場合は、後述の設定確認終了コマンドに基づいて、現出中の設定確認中演出を終了させて、扉開放センサ61がOFF状態となるまで(前枠2が閉鎖されるまで)、扉開放エラー報知のみを実行するようになっている。
(設定確認中でない場合)
一方、設定確認許容条件は成立しているが設定確認中でない場合、つまり、扉開放センサ61がON状態でないか(ステップS803:NO)、または扉開放センサ61がON状態であるが、設定キースイッチ94がON状態でない場合(ステップS803:YES、S804:NO)、設定確認中でないとして、設定確認中フラグをOFF状態に設定し(ステップS808)、設定表示器97に表示中の設定値の表示を消去(消灯)させる処理を実行する。設定確認中以外でも設定値を表示したままであると、何らかの不具合により前枠2を開放した際に、現在の設定値が露呈しまう恐れがあるからである。
次いで、設定確認終了コマンドを送信し(ステップS809)、発射制御信号1をON状態にして発射許可状態に制御して(ステップS810)、設定値確認処理を抜ける。
演出制御部24は、上記設定確認終了コマンドを受けると、上記したように、設定確認中演出が現出中であれば、これを終了させる。これにより、設定確認中演出が終了され、扉開放センサ61がOFF状態となるまで、扉開放エラー報知が実行されることになる。
<13.特別図柄管理処理:図13>
次に、図11中の特別図柄管理処理(ステップS093)について説明する。図13は、ステップS093の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図13において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。この詳細は図14で後述する。
ステップS301~S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
ステップS301~S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H~03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306~S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお上記の特別図柄変動開始処理(ステップS306)の詳細については、図15にて後述する。
上記ステップS306~S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を実行する。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、特別図柄変動中の7セグ表示用データを作成し、特別図柄が変動中でなければ、特別図柄停止表示中の7セグ表示用データを作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図11のLED管理処理(ステップS98)で出力される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図11のステップS094の特別電動役物管理処理に進む。
(13-1.特図1始動口チェック処理:図14)
まず、図13に示す特図1始動口チェック処理(ステップS301)について説明する。図14は、ステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特図1側の特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理(特図1側の入賞時処理)として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理(保留記憶処理)、保留加算コマンドの送信処理などが実行される。また特図2始動口チェック処理(ステップS302)も、上述の特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特図2側の特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、および保留加算コマンドの送信処理などが実行される。したがって、特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理とは実質的に同一の処理内容となっている。以下では、特図1始動口チェック処理を中心に説明し、特図2始動口チェック処理についての詳細は、重複記載を避けるために省略する。
図14において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数(以下、「特図1作動保留球」と称する)が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特図1作動保留球の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)以上であるか否かを判定する。ただし、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
上始動口34の入賞を検出したが、特図1作動保留球数が4以上である場合には(ステップS312:YES)、後述のステップS321の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合(4未満の場合)には(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、各種の乱数カウンタから、大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数(本実施形態では、2種類の変動パターン用乱数1、2)の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が、特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア、すなわち、特図1保留記憶エリアと、特図2保留記憶エリアとが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア~保留n記憶エリア(nは最大保留記憶数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大保留記憶数分の保留データを格納可能となっている。
次いで、保留加算コマンドを作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。特図1先読み禁止条件とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止する条件である。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS319)を実行せずに、ステップS321の処理に進む。この場合、先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を持つ保留加算コマンドが先読み禁止を指定するものとなり、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が禁止され、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる。換言すれば、上記先読み禁止データは、後述の先読み判定処理(ステップS319)をしていないことを指定するものといえる。
本実施形態では、遊技状態によらずに特図1および特図2の先読み判定を行うのではなく、現在の遊技状態に基づいて、先読み禁止か否かを判定するようになっている。その理由は次の通りである。右打ち有利となる‘電サポ有り’を伴う遊技状態中である場合(時短状態、確変状態)である場合には、下始動口35への入賞が頻繁に発生するが、左打ち有利となる‘電サポ無し’を伴う遊技状態中である場合(通常状態、潜確状態)である場合には、下始動口35への入賞がほぼ発生せずに上始動口34への入賞が頻繁に発生することを考慮し、遊技状態によらずに特図1および特図2の先読み判定を闇雲に行うのではなく、‘電サポ有り’の時短状態または確変状態である場合には特図1側の先読み判定を禁止して特図2側の先読み判定を許容し、‘電サポ無し’の通常状態または潜確状態である場合には特図2側の先読み判定を禁止して特図2側の先読み判定を許容するようになっている。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS316:NO)、設定値を取得し(ステップS317)、その設定値が正常範囲であるか否か(正当性があるか否か)を判定する(ステップS318)。ステップS318の判定処理は、図10のステップS066の判定処理の内容と同じであり、取得した設定値が設定値1~6に対応する00H~05Hのいずれの値でもない場合(ステップS318:NO)、異常(設定値データ異常)が発生したとして、次の先読み判定処理(ステップS319)は実行せずに、後述のステップS321の処理に進む。詳細は後述するが、本実施形態では、設定値データ異常が発生した場合に、入賞時の処理においてはRAMエラーとはせずに、先読み禁止データ(ステップS315の処理で取得された「01H」)を持つ保留加算コマンドを送信して処理を抜けるようになっている。なお設定値データ異常がある場合には、後続の特別図柄変動開始処理中において、RAMエラーを発生させるようになっている。
取得した設定値が正常範囲である場合(ステップS318:YES)、先読み判定処理を実行する(ステップS319)。この先読み判定処理には、変動開始時に実行される大当り抽選結果を先読み判定する。したがって、当落抽選結果を先読み判定する‘先読み当落判定’と、図柄抽選結果を先読み判定する‘先読み図柄判定’と、変動開始時の変動パターンを先読み判定する‘先読み変動パターン判定’を実行する先読み判定に関する一連の処理が含まれる。
具体的には、まずRAM203(判定用乱数記憶エリア)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、次いで、「当り乱数判定テーブル(不図示)」を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(大当り、小当り、ハズレの別の決定する先読み当落判定)を行い、その結果(先読み当落結果)を取得する。上記「当り乱数判定テーブル」には、大当り・小当り・ハズレの別(当落)を決定するための判定値(当選領域)が定めらており、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かで、当落種別が決定される。すなわち、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される変動開始時の当落抽選を先読み判定し、その結果を取得する。なお、上記当り乱数判定テーブルには、設定値に対応したテーブル(設定値1~6に応じて、少なくとも大当りの抽選確率がそれぞれ異なるテーブル)が設けられている。なお、設定値ごとに異なる当り乱数判定テーブルではなく、各設定値の一部で共通のテーブルであってもよい。たとえば、設定1、2で共通で、設定3~6で大当りの抽選確率がそれぞれ異なるテーブルなどである。なお、一部の設定値で共通の当り乱数判定テーブルを参照する場合は、利益度合(出玉率)が同一性能になってしまうが、後述の図柄テーブルにおいて、当り種別の図柄選択率を設定値ごとに異なる確率とすればよい。また上記当り乱数判定テーブルは、変動開始時の処理(図15)にも利用される。
ここで本実施形態では、先読み当落結果はCPU内蔵の所定の汎用レジスタに取り込んだまま、RAM203に格納しない。これは、先読み当落判定結果が、この後の先読み図柄判定の処理で直ちに利用され、このデータが必要とされることがなく、RAMに記憶する必要がないからである。
先読み図柄判定では、先読み当落結果(大当り、小当り、ハズレの別)と特別図柄種別(特図1、2)とに応じた図柄テーブル(不図示)を取得するとともに、ステップS314で取得した特別図柄判定用乱数値を取得して、取得した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選を行い、その結果(先読み図柄結果)を取得する。本実施形態の上記「図柄テーブル」には、大当り種別決定用の「大当り図柄テーブル」と小当り種別決定用の「小当り図柄テーブル」とが含まれ、それぞれ、当り種別(図柄種別)を決定するための判定値(当選領域)が定めらており、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かで、いずれの当りであるかが決定される(特図1の場合は図4(イ)に示す当り、特図2の場合は図4(ロ)に示す当りのうちいずれかが決定されることになる)。すなわち、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される変動開始時の図柄抽選を先読み判定し、その結果を取得する。なお、ハズレ種別が複数種類ある場合は(たとえば、ハズレA、Bなど)、ハズレ種別決定用のハズレ図柄テーブルを設ければよい。また、小当りやハズレが1種類しか設けていない場合には、小当り図柄テーブルやハズレ図柄テーブルは不要である。
また上記した各図柄テーブルの一部または全部について、設定値に応じて異なる図柄選択率を定めた図柄テーブルを設けてもよい。たとえば、大当り図柄テーブルについて、設定値1~6ごとに、大当り種別の選択率が異なるテーブル(このケースでは、設定値6段階に対応した6種類の大当り図柄テーブル)を設けることができる。特図2側の当り種別を代表的に説明すれば、たとえば、設定値1の場合は「2R短開放潜確大当りが50/256、12R長開放大当りが70/256、16R長開放大当りが136/256」、設定値6の場合は「2R短開放潜確大当りが40/256、12R長開放大当りが60/256、16R長開放大当りが156/256」、といったように、設定値が高くなるに従い出玉性能が、遊技者にとって有利となるように定めることができる。勿論、各設定値で共通の大当り図柄テーブルであってもよい。また、上記の図柄テーブルは、変動開始時の処理(図15)にも利用される。
そして、先読み図柄結果を、上述した先読み当落判定のときと同じく、CPU内蔵の所定の汎用レジスタに取り込んだまま、RAM203に格納しない。これは、先読み図柄結果が、この後の先読み変動パターン判定で直ちに利用され、このデータが必要とされることがなく、RAMに記憶する必要がないからである。
先読み図柄判定を終えると、先読み変動パターン判定を実行する。この先読み変動パターン判定では、先読み図柄判定結果(当り種別)に応じた先読み変動パターン選択テーブル(不図示)と、ステップS314で取得した変動パターン用乱数とを利用した抽選を行い、先読み変動パターン決定する。すなわち、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される変動パターン(変動開始時の変動パターン)を先読み判定する。上記先読み変動パターン選択テーブルには、先読み変動パターンに対応した判定値が1または複数種類定められており、変動パターン用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、先読み変動パターンが決定される。端的に言えば、先読み変動パターンに対応する入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT))が定まり、先読み変動パターンの内容が特定可能となっている。なお、先読み変動パターンを決定する際に、変動開始時と同じ変動パターン選択テーブルを利用しないのは、先読み判定時の作動保留球数が変動開始時の作動保留数と必ずしも一致しないため、正確な変動開始時の変動パターンを先読み判定することができない。このため、先読み変動パターンの判定段階においては、作動保留球数を考慮せずに変動パターンを決定するようになっている。ただし、このように作動保留球数を考慮せずに先読み変動パターンを決定したとしても、先読み変動パターンと変動開始時の変動パターンとの内容が極力乖離しないように、先読み変動パターンを決定することができるようになっている。また、変動開始時に参照される変動パターン選択テーブルには設定値に対応したテーブル(設定値に応じて、少なくとも1種類(1または複数種類)の特定の変動パターンの選択率が異なるテーブル)が設けられているため、上述の先読み変動パターン選択テーブルも同様に、設定値ごとに対応したテーブルが設けられているが、各設定値で共通のテーブルであってもよい。
先読み変動パターン判定結果(入賞コマンドデータ(EVENT))は、ステップS321の保留加算コマンド作成処理で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。したがって、ここでも先読み変動パターン判定の結果をレジスタに取り込んだままRAM203に格納することなく、処理を終えるようになっている。
ステップS319~S320の一連の先読み判定処理を終えると、続いて、上述の先読み変動パターン判定処理で得られた下位バイト側の入賞コマンドデータ(EVENT)と、現在の作動保留球数および特別図柄種別に基づく上位バイト側の入賞コマンドデータ(MODE)とに基づいて、「保留加算コマンド」を作成し(ステップS321)、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS322)。上記MODE側のデータについては、たとえば、特図1の保留1個~特図1の保留4個に応じて「B6H~B9H」が設定され、特図2の保留1個~特図2の保留4個に応じて「BAH~BEH」が設定される。また上記EVENT側のデータについては、ステップS315で設定された「01H」が、本処理にて、先読み変動パターンに対応する値(先読み変動パターン判定処理で得られた値)に更新されることになる。なお、先読み禁止条件である場合や設定値データ異常が発生した場合は、先読み禁止データ(01H)がそのまま維持され、先読み禁止データを持つ保留加算コマンドが送信されることになる。また、オーバーフロー時(最大保留記憶数に達しているときに、新たな入賞が発生した場合)も、保留加算コマンド(オーバーフロー指定の保留加算コマンド)が送信されるようになっている(ステップS312のYESの処理ルート参照)。
上記保留加算コマンドが主制御部20から演出制御部24に送られた後は、演出制御部24側において今回の作動保留球に係る「先読み予告演出」を現出する際に利用されるだけであり、後述の図15に示す特別図柄変動開始処理において特に利用されるものではない。したがって、保留加算コマンドもRAM203に格納することなく、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて図13のステップS302の特図2始動口チェック処理を行うことになる。
上記のように本実施形態では、入賞時処理に係る一連の‘先読み判定’処理で得られた各種データを、一々RAMに格納することなく、始動口チェック処理を終える。これにより、ROMやRAMのメモリ容量を削減し、制御負担を軽減させることができる。また、入賞時(作動保留球発生時)において設定値データに異常が生じた場合であっても、保留加算コマンドを送信するが、この保留加算コマンドは、先読み禁止データを持つコマンドであるので、設定値に基づく先読み予告演出または設定値に基づかない先読み予告演出を現出可能に構成している場合であっても、先読み予告に係る演出制御自体が禁止されるため、不具合に起因する先読み予告が現出されることがなく、遊技者に不利益になることもないので、特に問題は生じない。仮に、先読み予告演出を禁止しない場合、設定値データが異常であるにもかかわらず、保留表示系の先読み予告演出にて、高期待度の赤色保留表示や当確を示す虹色保留表示が現出された場合、その後にRAMエラー処理(図9)により遊技進行が停止してしまうと、遊技者が抱いていた当選期待感が一気に消滅してしまい、遊技機に対する大きな不信感を招来してしまうが、本実施形態の場合は、上述したように、先読み予告自体を禁止しているので、このような問題は生じない。
(13-2.特別図柄変動開始処理:図15)
次に、変動開始時の処理である特別図柄変動開始処理(ステップS306)について説明する。図15は、図13の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図15において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する特図2作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS403~S416)を行う。一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する特図1作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403~S416)を行う。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を優先的に消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される、つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている(優先変動手段)。なお、上述の優先変動タイプに限らず、入賞した順番通りに作動保留球を消化していく構成としてもよい。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、液晶表示装置36に対し、客待ち待機用のデモ画面表示(客待ちデモ画面)に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
ステップS417の判定処理を通過したとき、つまり上記「作動保留球なし」の状態となったとき、このときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、客待ちデモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。以後、ステップS417の判定処理が実行されるときに「待機中(00H)」であれば、再度、デモ表示コマンドを送信することなく特別図柄変動開始処理を抜ける。このようにする理由は、作動保留球数がゼロの場合に条件なしにデモ表示コマンドを送信すると、特図作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生し、無闇に制御負担が増してしまう。そこで、上記「作動保留球なし」の状態となった場合に、デモ表示コマンドを1回送信して、これにより、既にデモ表示コマンドが送信済みである場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信することなく、この特別図柄管理処理を抜けるようになっている。
演出制御部24は、上記デモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても、何ら図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなして、客待ちデモ画面表示を行うこととしている。
特図2作動保留球数がゼロでない場合(ステップS401:NO)、または特図2作動保留球数がゼロであるが、特図1作動保留球数がゼロでない場合(ステップS401:YES→ステップS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始時に係る処理(ステップS403~S416)を行っていく。ここで、以下に説明するステップS403~S416の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理なのか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理なのかという区別はせずに説明していく。
ステップS403の処理に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数-1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。この保留減算コマンドにより、演出制御部24側は、今回の作動保留球数消化後の残余作動保留球数を把握し、現在表示中の保留表示をシフト表示させる。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H(特図1変動開始指定)」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H(特図2変動開始指定)」を、RAM203の特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS407)。このステップS406~S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n-1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアして空き領域を設ける(ステップS407)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、残り時短回数コマンド、遊技状態コマンドを送信する(ステップS408)。ここでは、電サポ有り状態の残余回数をカウントする「電サポ回数カウンタ」がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「変動回数残指定コマンド」を演出制御部24に送信する。この「変動回数残指定コマンド」により、演出制御部24側は、残りの時短回数を把握し残り時短回数情報を報知させることができる。またここでは、現在の遊技状態を指定する遊技状態コマンドも送信する。
次いで、設定値を取得し(ステップS409)、その設定値が正常範囲であるか否かを判定する(ステップS410)。このステップS409とS410の処理内容は、図14の始動口チェック処理中のステップS317とS318と同様の処理内容である。したがって、「S409~S410の処理」と「S317~S318の処理」とは、共通処理として構成されている。
取得した設定値が正常範囲でない場合(ステップS410:NO)、設定値データ異常が発生したとして、RAMエラー処理(図9)を行い(ステップS411)、変動開始時の大当り抽選や変動パターン決定に関する処理などをの後述の変動パターン管理処理を含むステップS412~S416の処理は実行せずに、特別図柄変動開始処理を抜ける。換言すれば、図柄変動表示ゲームを開始させることなく、特別図柄管理処理を抜けることになる。これにより、以後、主制御部側タイマ割込処理のステップS086~S100までの遊技(図柄変動表示ゲーム、当り遊技、普電開放遊技等)に係る主要動作処理がスキップされ(図11のステップS086:YESの処理ルート参照)、RAMエラーがクリアされない限り、遊技実行不能状態となる(RAMエラー停止制御処理(異常停止処理))。RAMエラーは、既に説明したように、設定変更操作を行うことにより解消される。
なお本実施形態では、作動保留球発生時に直ちにRAMエラー処理をし、遊技の進行(図柄変動表示ゲーム、当り遊技、普電開放遊技等)がそれ以上進まないようにしている(図11のステップS086:YESの処理ルート参照)。しかしこの場合は次のような問題を生じうる。たとえば、作動保留球発生時に大当り遊技が実行中であった場合、この現在実行中の大当り遊技は、正しく処理された結果生起したものであるにもかかわらず、この大当り遊技までもが、RAMエラーにより停止してしまう(最終的にはRAMクリアにより消滅してしまう)。そうすると、大当り遊技の利益が消失してしまい、遊技者の遊技機に対する不信感を招来する。このような事態を回避するために、大当り遊技中は、当り遊技終了を待って、RAMエラーが実行される(上記遊技実行不能状態に制御される)ように構成してもよい。
上述の構成(以下「変形例1」と称する)としては、たとえば、図11のタイマ割込処理において、ステップS086のYESの場合に、条件装置作動フラグをチェックする判定処理を設け、条件装置作動フラグがON状態(大当り遊技中)であれば、入力管理処理(ステップS089)に進むようにし、条件装置作動フラグがOFF状態(大当り遊技中以外)であれば、WDTクリア処理(ステップS101)に進むようにすればよい。また、大当り遊技だけでなく、小当り遊技をも含ませる場合は、さらに小当り中フラグをチェックする判定処理を設け、上述の大当りの場合と同様に、小当り遊技中の場合は入力管理処理(ステップS089)に進むようにし、小当り遊技中以外の場合は、WDTクリア処理(ステップS101)に進むようにすればよい(変形例2)。このようにすれば、当り遊技により遊技者が得られる利益が消失することがなく、不信感を与えることが無い。また当り遊技が終了した後は、特別図柄の変動が開始されることが無く、RAMエラー(設定値データの不具合)にも適切に対処することができる。
また、次のようなケースも想定される。たとえば、作動保留球発生時に、仕掛り中の図柄変動表示ゲーム(正常処理されたもの)があり、このゲーム結果が大当りのケースがある。このような場合、今回の作動保留球発生時に直ちにRAMエラー処理をしてしまうと、このゲーム結果は正しく処理された結果の大当りであるにもかかわらず、当該ゲームが停止されて、結果的に、その大当りの権利が消失してしまうことになる(最終的にはRAMクリアにより消滅してしまう)。このようなケースでは、仕掛り中の図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動表示)が終了したか否かを判定し、今回のゲームが当りである場合には、その変動終了後に当り遊技を発生させるようにし、今回の当り遊技終了を待って、RAMエラーを実行し(上記遊技不能状態に制御する)、ハズレの場合には、変動終了後に遊技不能状態にする、という制御を実行可能に構成すればよい(当り遊技に関しては、上記変形例1または変形例2の構成を利用すればよい)。このケースでは、現存する作動保留球に対する変動表示処理は実行されないが、大当り(小当りを含んでもよい)の権利が消失しないため、遊技者に対して不信感を与えることがない。
一方、取得した設定値が正常範囲である場合(ステップS410:YES)、設定値情報を含む設定値コマンドを送信する(ステップS412)。上記設定値コマンドは、既に説明したように、現在の設定値情報を含むので、予告演出や当り中演出において、設定値に基づく演出(設定示唆演出など)を現出制御することができる
次いで、変動パターン管理処理を実行する(ステップS413)。この変動パターン管理処理は、判定用乱数記憶エリアから各種乱数値を取得して大当り抽選を実行し、大当り抽選の結果に基づく変動開始時の変動パターンを決定する処理を含む。
具体的には、まず、今回の特別図柄変動表示ゲームに供される作動保留球を対象に「当落抽選」を実行する。当落抽選については、ステップS319の先読み判定処理にて説明した先読み当落判定と実質的な処理内容は同じである。すなわち、大当り判定用乱数値と設定値に応じた当り乱数判定テーブルとに基づき抽選を実行して当落種別(大当り、小当り、ハズレの別)を決定する。そして、その結果をRAM203の当り判定フラグ領域に格納する(大当りであれば大当り判定フラグをON(5AH)、小当りであれば小当り判定フラグをON(5AH)、ハズレであれば、大当りおよび小当り判定フラグはOFF(00H))を格納する)。これにより、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当落種別が決定される。
図柄抽選についても上記先読み図柄判定と実質的な処理内容は同じであり、当落抽選結果に対応した上記図柄テーブルを取得し、特別図柄判定用乱数値を取得して、当該図柄テーブルと特別図柄判定用乱数とに基づき抽選を実行して当り種別を決定する。そして、その結果結果(特別図柄判定データ)をRAM203の所定領域(特別図柄判定データ記憶領域)に格納する。これにより、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別(当りの種類)が決定される。
ここで、変動開始時における当落抽選や図柄抽選の抽選結果をRAM203に格納する理由は、これらの抽選結果は、特別図管理処理(ステップS093)の処理だけで利用されるものではなく、後々の特別電動役物処理(ステップS094)においても利用されるデータだからである。具体的には、当落抽選結果は、後続の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)で、大当りまたは小当り遊技を実行する際に必要な当り遊技開始前処理に利用され、図柄抽選結果は、今回の結果が当りである場合、その当りの種類に応じた当り遊技を実行させるために必要となるデータだからである。この点、抽選結果をRAMに格納しない先読み判定時の処理とは異なる。
またここでは、当りである場合に、遊技状態を移行させるための設定処理として、当り遊技後の遊技状態(図4参照)を指定するための必要な設定処理を行う(遊技状態移行準備処理)。
上記した遊技状態移行準備処理を終えると、現在の設定値、現在の遊技状態、図柄抽選結果、変動パターン用乱数および作動保留球数(今回消化分を減算した作動保留球数)などを利用して、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした変動開始時の変動パターンを抽選により決定する。変動パターンの決定は、変動パターン選択テーブル(不図示)により決定される。この変動パターン選択テーブルは、変動パターンに対応した判定値が1または複数種類定められており、変動パターン用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより変動開始時の変動パターン(特別図柄の変動パターン)が決定されるようになっている。また、変動パターン選択テーブルには、設定値、遊技状態、図柄抽選結果、および作動保留球数に対応した複数種類の変動パターン選択テーブルが用意されている。変動パターンが決定されると、対応する変動時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。これにより、今回の変動パターンに係る特別図柄の変動時間が定まることになる。
次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS414)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、変動開始時のコマンド送信処理を実行する(ステップS415)。変動開始時のコマンド送信処理では、上記変動パターン管理処理で決定された変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターン内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。また、上記図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し、演出制御部24に送信する。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、当選種別を指定する下位バイト(EVENT)の2バイトで構成される。したがって、この装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。この装飾図柄指定コマンドは、当選種別に関する情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素となる図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出などを決定する際に利用される。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアと変動パターン用乱数記憶エリアをクリアする(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図13の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。
なお、特別図柄変動中処理(ステップS307)では、特別図柄の変動中であるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを監視し、変動時間が経過したならば、演出制御コマンドとして、「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する処理や、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)処理などを行う。上記「変動停止コマンド」とは、特別図柄の変動が終了したことを示すコマンドであり、この変動停止コマンドにより演出制御部24は、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したこと(終端)を把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。また、上記「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
また特別図柄確認時間中処理(ステップS308)では、上述の確定表示時間が経過したか否かを監視し、確定表示時間が経過したならば、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)、今回の特別図柄変動表示ゲームが大当りであれば、大当り遊技を開始するために要する処理(大当り図柄停止時の各種設定処理)を行い、小当りであれば、小当り遊技を開始するために要する処理(小当り図柄停止時の各種設定処理)を行う。大当り図柄停止時の各種設定処理では、大当り遊技移行前処理として、大当り判定フラグをクリアして条件装置作動フラグをON状態にし、遊技状態を通常状態と同様の遊技状態に設定する等の各種設定処理を行う。また、小当り図柄停止時の各種設定処理では、小当り判定フラグクリアし(00Hを格納)、小当り中フラグをON状態にする。
またここでは、電サポ回数カウンタ(電サポ有りの残余回数)、特図確変回数カウンタ(高確率状態の残余回数)、特図変動回数カウンタ(CZモードの残余回数)などが監視され、小当りまたはハズレの場合は、今回の特別図柄変動表示ゲームの消化分として、ゼロでないカウンタについては、当該カウンタが1減算され、減算後のカウンタ値をチェックし、ゼロであるか否かに応じた設定処理を行う。
減算後の電サポ回数カウンタがゼロの場合、この場合は、今回のゲームで電サポ有りの継続回数が終了回数に達したとして、電サポ有り状態終了時の設定処理を行う。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下となる。たとえば、現在の遊技状態が時短状態(低確率・電サポ有り)であって、今回のゲームにおいて、減算後の電サポ回数カウンタがゼロとなった場合には、次ゲームから通常状態(低確率・電サポ無し)に移行されることになる。
また、減算後の特図確変回数カウンタがゼロ場合、この場合は、今回のゲームで高確率状態が終了回数に達したとして、高確率状態終了時の設定処理を行う。これにより次ゲームから、低確率状態下となる。たとえば、現在の遊技状態が潜確状態(高確率・電サポ無し)であり、今回のゲームにおいて、減算後の特図確変回数カウンタがゼロとなった場合には、次ゲームから通常状態(低確率・電サポ無し)に移行されることになる。また、たとえば、、現在の遊技状態が確変状態(高確率・電サポ無し)であり、減算後の電サポ回数カウンタおよび減算後の特図確変回数カウンタがゼロとなった場合は、次ゲームから通常状態(低確率・電サポ無し)に移行されることになる。
また、減算後の特図変動回数カウンタがゼロの場合、この場合は、CZモードに係る特別図柄の変動回数が終了回数に達したので、CZ終了時の設定処理を行い、CZ(潜確)かCZ(通常)かに応じて、次ゲームから潜確状態か通常状態への移行設定処理を行う。
また、遊技状態が更新された場合には、遊技状態の移行情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する。演出制御部24は、遊技状態指定コマンドにより遊技状態が移行した旨を把握することができる。
以上に説明した各実施形態では、遊技媒体として遊技球を利用したパチンコ遊技機について説明したが、本発明の目的を達成できる遊技機であれば特に制限されない。たとえば、遊技媒体として遊技メダルを利用する遊技機や、電磁気的記録を利用した遊技媒体を利用した遊技機(いわゆる「封入式遊技機(管理式遊技機)」などの遊技機)や、回胴式遊技機などであってもよい。