JP7082804B2 - Rageアプタマーを含む癌を治療するための医薬組成物 - Google Patents
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Description
CCTGATATGGTGTCACCGCCGCCTTAGTATTGGTGTCTAC (配列番号1)
TCTGTTCAGGTTGGTACGGTGGAAGGTGTGATTCACGAGG (配列番号2)
CTTGGGTTGTTTATGTCGACCGCCAGTTTTGTGTTCAGCA (配列番号3)
CATTCTTAGATTTTTGTCTCACTTAGGTGTAGATGGTGAT (配列番号4)
TTGGTTCTCTTGCCCTCTTCTATTTTGTACGATGTTTCCT (配列番号5)
TTCCACTGAGTGCCGCGGACTGTTGTTGGGAGGTGGTGTG (配列番号6)
ATGGGGAGGAGGGGTGTCGTGGGGGGTGGGGGAGTGGGGA (配列番号7)
CTGGGGATGACTCGGATAGGATGTACGAGTTTGATGTGTA (配列番号8)
TTTGATCGAGCTGCGCCCTCCTCGCCGTAGAAGAGTGTGT (配列番号9)
TTTGGGGTGGAGTTAGGGGTGGATCAAGCGGGATTGTGTA (配列番号10)
1.RAGEアプタマーを含む、癌を治療するための医薬組成物。
2.癌が、メラノーマ、膵臓癌、乳癌、肺癌、腎細胞癌、大腸癌、および肝癌からなる群から選択される、前記1に記載の医薬組成物。
3.癌がメラノーマである、前記2に記載の医薬組成物。
4.癌転移抑制薬である、前記1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
5.血管新生阻害薬である、前記1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
6.RAGEアプタマーが、以下からなる群から選択される、前記1~5のいずれかに記載の医薬組成物:
(1)配列番号1~10のいずれかの配列を含む、一本鎖DNA;
(2)配列番号1~10のいずれかの配列と90%以上の配列同一性を有する配列を含み、RAGEに結合してRAGEとそのリガンドとの結合を阻害する、一本鎖DNA;および、
(3)配列番号1~10のいずれかの配列において1、2、または3個の塩基が欠失、置換、または付加された配列を含み、RAGEに結合してRAGEとそのリガンドとの結合を阻害する、一本鎖DNA。
7.RAGEアプタマーが配列番号1~10のいずれかの配列を含む、前記1~6のいずれかに記載の医薬組成物。
8.RAGEアプタマーが配列番号1の配列を含む、前記1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
9.RAGEアプタマーが配列番号1~10のいずれかの配列からなる、前記1~8のいずれかに記載の医薬組成物。
10.RAGEアプタマーが配列番号1の配列からなる、前記1~9のいずれかに記載の医薬組成物。
11.RAGEアプタマーがホスホロチオエート型オリゴヌクレオチドである、前記1~10のいずれかに記載の医薬組成物。
12.癌を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量のRAGEアプタマーを投与することを含む方法。
13.癌を治療するための医薬の製造のための、RAGEアプタマーの使用。
試薬
ウシ血清アルブミン(BSA)(脂肪酸およびグロブリンフリー、凍結乾燥粉末)、D-グリセルアルデヒド、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、およびN-アセチルシステイン(NAC)はSigma-Aldrich (St. Louis, MO, USA)より購入した。モノクロ-ナル抗8-ヒドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)抗体(Ab)は、Japan Institute for the Control of Aging, NIKKEN SEIL Co., Ltd. (Shizuoka, Japan)より入手した。RAGE、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、CD31、およびβアクチンに対するポリクローナル抗体は、Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA, USA)より購入した。サイクリンD1およびp27に対するマウスモノクローナル抗体およびウサギポリクローナル抗体は、Cell Signaling Technology (Beverly, MA, USA)より得た。PCNA(proliferation cell nuclear antigen)、MCP-1(monocyte chemoattractant protein-1)、およびCD107b(Mac-3)に対するウサギポリクローナル抗体、およびmelanAに対するウサギモノクローナル抗体は、Abcam Ltd (Cambridge, United Kingdom)より得た。カルボキシ-H2DFFDA (5-(and-6)-carboxy-2',7'-dihydrofluorescein diacetate)は、Thermo Fisher Scientific (Sab Jose, CA, USA)から購入した。
BSA(25mg/ml)を、滅菌条件下で0.1MのD-グリセルアルデヒドと1週間インキュベートした。次いで、結合していない糖を、リン酸緩衝生理食塩水に対する透析により除去した。得られた糖化BSA(本明細書中、AGE-BSAとも記載する)を、以下の実験でAGEsとして使用した。対照の非糖化BSAは、D-グリセルアルデヒドを添加しない点を除き、同一の条件で調製した。また、AGE-BSAを抗原としてAGEsに対するマウスモノクローナル抗体を作製した。
特開2016-079184号公報に記載のとおり、SELEX法により、RAGEに結合するアプタマーとして以下の配列番号1~10の配列が選択された。これら配列に基づき、ヌクレオチド間の結合部位にあるリン酸基の酸素原子が硫黄原子に置換された表2の#1~#10のアプタマーを合成した。以下の実験では、RAGE#1をRAGEアプタマーとして使用した。
CCTGATATGGTGTCACCGCCGCCTTAGTATTGGTGTCTAC (配列番号1)
TCTGTTCAGGTTGGTACGGTGGAAGGTGTGATTCACGAGG (配列番号2)
CTTGGGTTGTTTATGTCGACCGCCAGTTTTGTGTTCAGCA (配列番号3)
CATTCTTAGATTTTTGTCTCACTTAGGTGTAGATGGTGAT (配列番号4)
TTGGTTCTCTTGCCCTCTTCTATTTTGTACGATGTTTCCT (配列番号5)
TTCCACTGAGTGCCGCGGACTGTTGTTGGGAGGTGGTGTG (配列番号6)
ATGGGGAGGAGGGGTGTCGTGGGGGGTGGGGGAGTGGGGA (配列番号7)
CTGGGGATGACTCGGATAGGATGTACGAGTTTGATGTGTA (配列番号8)
TTTGATCGAGCTGCGCCCTCCTCGCCGTAGAAGAGTGTGT (配列番号9)
TTTGGGGTGGAGTTAGGGGTGGATCAAGCGGGATTGTGTA (配列番号10)
メラノーマ細胞であるG361細胞(American Type Culture Collection, Manassas, VA, USA)(2×106個)を、6週齢雌無胸腺ヌードマウス(Japan Clea, Tokyo, Japan)の上位側腹部に皮内注射した(n=14)。マウス腹腔内に、RAGEアプタマー(38.4pmol/day/g体重、n=6)またはビヒクル(n=8)を、浸透圧ミニポンプ(Alzet osmotic pumps, model 1004, Cupertino, CA, USA)により持続注入した。腫瘍の最小径と最大径および体重を1週間に2回測定し、腫瘍体積を以下の式により計算した:体積(mm3)=((最小径)2×(最大径))/2。RAGEアプタマーまたはビヒクルの42日間の持続注入後、マウスを殺し、肝臓障害のマーカーであるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のレベルを化学分析装置(FUJI DRI-CHEM 4000V; Fujifilm Co., Tokyo, Japan)により測定した。G361メラノーマおよび肝臓を、免疫組織化学的解析のため採取した。
8週齢雌Balb/c-nu/nuマウスに、[γ-32P]ATP標識RAGEアプタマー(38.4pmol/day/g体重)を浸透圧ポンプにて持続注入し、注入開始前(0日目)、注入開始後1日目、3日目および7日目、および注入停止後3日目および7日目に、マウスを殺し、血液および臓器を採取した。RAGEアプタマーの半減期は、7日間注入後の皮膚におけるアプタマー量が半減するまでに要する時間とした。
G361メラノーマの標本を、4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋し、4μM間隔で切片化した。内因性のペルオキシダーゼ活性を阻害し、切片を、8-OHdG、AGEs、RAGE、PCNA、サイクリンD1、p27、VEGF、CD31、MCP-1、CD107b(Mac-3)、およびmelanAに対する抗体と4℃で一晩インキュベートした。サイクリンD1以外の反応は、Histofine Simple Stain MAX-PO(MULTI) (Nichirei Co., Tokyo, Japan)で反応を可視化し、サイクリンD1の発現は、VECTOR M.O.M. immunodetection Kit (Vector Lab., Inc., Burlingame, CA, USA)により検出した。各サンプルについて5つの異なるフィールドの免疫反応を、マイクロコンピューター支援ImageJにより測定した。
G361細胞は、10%ウシ胎児血清添加DMEMで維持した。細胞増殖、RT-PCR、およびウェスタンブロッティングの実験では、G361細胞を、1mg/mlの非糖化BSAまたはAGE-BSAにより、各種濃度のRAGEアプタマーまたはNACの存在下または非存在下で24時間処理した。G361細胞の実験は、1%ウシ胎児血清を含む培地において行った。
ROSの細胞内生成は、蛍光標識であるカルボキシ-H2DFFDにより検出した。G361細胞を、10μMのカルボキシH2DFFDAとともに、またはカルボキシH2DFFDAを添加せず、1時間インキュベートした。その後、細胞を1mg/mlの非糖化BSAまたはAGE-BSAにより、1、10、100nMのRAGE-アプタマーの存在下または非存在下で処理した。24分後、細胞内のスーパーオキシド産生を測定した。ROS産生は、カルボキシH2DFFDAを処理した細胞の蛍光から、カルボキシH2DFFDAを処理しなかった細胞の蛍光を差し引いて算出した。
G361細胞の増殖は、WST-1に基づく比色分析により、製造元(Roche Applied Science, Indianapolis, IN, USA)の説明にしたがい測定した。
HUVECを、3MのDHE (Molecular Probes Inc., Eugene, OR, USA)を含有するフェノールレッドフリー最小必須培地でインキュベートした。30分後、画像を共焦点レーザー顕微鏡により得た。ROS産生は、各サンプルの5つの異なるフィールドにおける蛍光強度により評価し、マイクロコンピューター支援ImageJにより解析した。
HUVECを、50μg/mlの非糖化BSAまたはAGE-BSAにより、100nMのRAGEアプタマーの存在下または非存在下で20時間処理した。[3H]チミジンとさらに4時間インキュベートした後、細胞内への[3H]チミジンの取り込みを測定した。
サイクリンD、p27、およびβアクチンに対する抗体でメンブレンを染色し、次いで免疫複合体をECL検出システム(Amersham Bioscience, Buckinghamshire, United Kingdom)により可視化した。
全RNAを、G361メラノーマ標本、培養G361細胞、またはHUVECから、NucleoSpin RNA XS kit (Takara Bio Inc., Shiga, Japan)により供給元の説明にしたがい抽出した。定量的リアルタイムRT-PCRは、TaqMan 5 fluorogenic nuclease chemistry (Applied Biosystems, San Francisco, CA, USA)により行った。
HUVECを、50μg/mlの非糖化BSAまたはAGE-BSAにより、100nMのRAGEアプタマーの存在下または非存在下で24時間処理し、その後、BCECF-AM標識THP-1細胞と4時間インキュベートした。インキュベーション後、接着したTHP-1細胞の蛍光強度を測定した。
いずれの値も平均±SDで示した。2つの動物群間の統計学的比較は、Student’s t-testにより行った。多重比較は、One-way ANOVAとTukey’s test、Dunnett’s test、Steel-Dwass test、またはStudent’s t-testとにより行った。
RAGEアプタマーの生体内分布および動態
図1Aに示すように、RAGEアプタマーを7日間継続的に投与すると、主に脂肪組織、皮膚、筋肉および腎臓に分布した。注入を停止すると、RAGEアプタマーのレベルは徐々に減少したが、浸透圧ポンプの除去から7日後でも皮膚および肝臓で検出された(図1B)。皮膚におけるRAGEアプタマーの消失半減期は、約3.7±1.1日であった。
図2AおよびBに示すように、G361メラノーマ細胞はヌードマウスにおいて増殖の速い腫瘍を形成し、その大きさは42日後に400mm3に達した。RAGEアプタマーの腹腔内への持続注入により、31日目から腫瘍体積の有意な減少がみられ、この腫瘍増殖阻害効果は42日目まで維持された。実験終了時点で、RAGEアプタマー処理マウスにおけるG361腫瘍の体積は、ビヒクル処理マウスの体積の1/3であった(図2B)。処理開始から17日目以降、RAGEアプタマー処理マウスの体重は、ビヒクル処理マウスの体重より有意に重かった(図2C)。
図3A-Cに示すように、免疫組織化学的解析により、ヌードマウスのG361腫瘍において、酸化ストレスマーカーである8-OHdG、AGEs、およびRAGEの発現レベルが、RAGEアプタマーの処理により有意に減少したことが明らかとなった。
増殖細胞の免疫組織化学的検出により、PCNA陽性の細胞核の全細胞核に対する割合が、RAGEアプタマーを処理したヌードマウスのG361メラノーマにおいて有意に低いことが明らかとなった(図4A)。さらに、RAGEアプタマーの処理により、G1期の進行を促進するG1サイクリンの一つであるサイクリンD1、およびG1期の停止をもたらすサイクリン依存キナーゼ阻害因子であるp27の、腫瘍におけるmRNAおよびタンパク質のレベルが減少した(図4BおよびC)。また、図4D-Gに示すように、RAGEアプタマーの42日間の処理により、ヌードマウスにおけるVEGF、MCP-1、並びに、それぞれ内皮細胞およびマクロファージのマーカーであるCD31およびMac-3の腫瘍での発現レベルが減少した。これらの結果は、RAGEアプタマーがG361細胞の増殖を直接的に抑制したこと、およびRAGEアプタマーが血管新生および腫瘍へのマクロファージの浸潤を抑制したことを示す。
RAGEアプタマーの処理により、ヌードマウスにおいて、ASTおよびALTの上昇が有意に阻害され、G361腫瘍の肝転移が減弱した(図5)。メラノーマのマーカーであるMelanAは、正常非担がんマウスでは検出されなかった。
図6-1~6-3に示すように、AGE-BSAは、G361メラノーマ細胞におけるROS産生、細胞増殖、サイクリンD1およびp27の発現、およびVEGFおよびMCP-1のmRNAレベルを有意に増加させ、これらはいずれも濃度依存的にRAGEアプタマーの処理により抑制された。抗酸化剤であるNACの作用は、RAGEアプタマーに類似し、3mMのNACはG361細胞に対するAGE-BSAのこれら効果を有意に減弱させた。これらの結果は、RAGEアプタマーによる腫瘍増殖の抑制がG361細胞におけるAGE-RAGE-酸化ストレス系の阻害によるものであることを示唆する。
G361細胞の場合と同様に、AGE-BSAは、HUVECにおけるスーパーオキシドの産生、[3H]チミジン取り込みにより測定される細胞増殖、およびVEGF、VCAM-1およびMCP-1の遺伝子発現、並びにTHP-1マクロファージのHUVECへの接着を有意に刺激し、これらはいずれもRAGEアプタマーにより阻害された(図7)。100nMのRAGEアプタマーは、非糖化BSAに暴露されたHUVECにおけるROS産生、VEGF、MCP-1、またはVCAM-1のmRNAレベルには影響しなかった(データ非提示)。これらの結果は、RAGEアプタマーが血管内皮細胞においてAGE-RAGE系を阻害し、血管新生およびマクロファージ浸潤を抑制することを示唆する。
試薬
CMLは、Iris(Trischenreuth, Bavaria, Germany)から購入した。他は、実施例1と同様の試薬を用いた。CMLに対するマウスモノクローナル抗体は、Trans Genic Inc(Fukuoka, Japan)より入手した。ニトロチロシンに対するマウスモノクローナル抗体は、Stress Marq Biosciences Inc(Victoria, British Columbia, Canada)より得た。VWFに対するマウスモノクローナル抗体は、Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA, USA)より購入した。
実施例1と同様に、以下の実験では、RAGE#1(表2)をRAGEアプタマーとして使用した。
メラノーマ細胞であるG361細胞(American Type Culture Collection, Manassas, VA, USA)(2×106個)を、6週齢雌無胸腺ヌードマウス(Japan Clea, Tokyo, Japan)の上位側腹部に皮下注射した(n=14)。15日目から、RAGEアプタマー(RAGE#1)(38.5pmol/day/g体重、n=6)またはビヒクル(n=7)を、腫瘍付近に注射により直接投与した。実施例1と同様に、腫瘍体積および体重を測定した。G361メラノーマを、免疫組織化学的解析のために採取した。
G361メラノーマの標本を、実施例1と同様に切片化し、切片を、CML、RAGE、ニトロチロシン、VEGF、CD31およびVWFに対する抗体と4℃で一晩インキュベートした。CML、ニトロチロシン、VEGFおよびVWFの発現は、VECTOR M.O.M. immunodetection Kit (Vector Lab., Inc., Burlingame, CA, USA)により検出し、その他はHistofine Simple Stain MAX-PO(MULTI) (Nichirei Co., Tokyo, Japan)で反応を可視化した。各サンプルについて5つの異なるフィールドの免疫反応を、マイクロコンピューター支援ImageJにより測定した。
RAGEアプタマーがRAGEに結合してRAGEとそのリガンドとの結合を阻害するか否かを、QCM(quartz crystal microbalance)法により調べた。QCMセンサープレートにv-RAGEを固定化し、RAGEアプタマーの存在下または非存在下にCMLを添加して、v-RAGEに対するリガンドの結合をモニタリングした。
G361細胞は、10%ウシ胎児血清添加DMEMで維持した。RT-PCRの実験では、G361細胞を、0、0.1、1、5μg/mlのCMLにより、RAGEアプタマーの存在下または非存在下で4時間処理した。G361細胞の実験は、1%ウシ胎児血清を含む培地で行った。
ROSの細胞内生成は、実施例1と同様、蛍光標識であるカルボキシ-H2DFFDにより検出した。G361細胞を、10μMのカルボキシH2DFFDAとともに、またはカルボキシH2DFFDAを添加せず、1時間インキュベートした。その後、細胞を0、0.1、1、5μg/mlのCMLで処理した。あるいは、1μg/mlのCML存在下または非存在下で、0、1、10、100nMのRAGEアプタマーにより処理した。40分後、細胞内のスーパーオキシド産生を測定した。ROS産生は、カルボキシH2DFFDAを処理した細胞の蛍光から、カルボキシH2DFFDAを処理しなかった細胞の蛍光を差し引いて算出した。
全RNAを、培養G361細胞から、NucleoSpin RNA Plus kit (Takara Bio Inc., Shiga, Japan)により供給元の説明にしたがい抽出した。定量的リアルタイムRT-PCRは、TaqMan 5 fluorogenic nuclease chemistry (Applied Biosystems, San Francisco, CA, USA)により行った。
ヌードマウスに移植したヒトメラノーマの増殖に対するRAGEアプタマー直接投与の効果
G361細胞(2×106個)を、6週齢雌無胸腺ヌードマウスの上位側腹部に皮下注射した(n=14)。15日目から、RAGEアプタマー(RAGE#1)(38.5pmol/day/g体重、n=6)またはビヒクル(n=7)を、腫瘍付近に注射により直接投与した(図8)。その結果、RAGEアプタマー処理群では、ビヒクル処理群と比較して腫瘍体積が有意に減少した(図9A、B)。また、RAGEアプタマー投与により体重の減少を有意に抑制した(図9C)。
図10A-Fに示すように、免疫組織化学的解析により、ヌードマウスのG361腫瘍において、AGEsの一つであるCML、RAGE、酸化ストレスマーカーのニトロチロシン、血管新生因子のVEGF、新生血管のマーカーであるCD31およびVWF(von Willebrand factor)の発現レベルが、RAGEアプタマーの処理により、有意に減少したことが明らかとなった。これらの結果は、RAGEアプタマーがAGE-RAGE酸化ストレスおよび血管新生を抑制したことを示す。
QCM(Quarts Crystal Microbalance)を用いてCMLとRAGEの結合親和性に対するRAGEアプタマーの影響を検討した。あらかじめホスト分子として水晶板に固定したv-RAGEにCMLを添加した結果、振動周波数が減少し、RAGEとCMLの結合が確認された(図11A)。同様の実験系においてCML添加前にRAGEアプタマーを事前に投与したところRAGEアプタマーとRAGEが結合し、その後のCMLとの結合を阻害する傾向が見られた(図11B)。
G361メラノーマ細胞にCMLを添加するとROS産生は有意に増加し、CML1μg/mlで最もROSが産生された(図12A)。CML1μg/mlを添加したG361メラノーマ細胞培養系にRAGEアプタマーを添加すると、そのROS産生量はCMLのみ投与した群と比較し有意に減少した(図12B)。これらの結果は、CMLが酸化ストレスを誘導し、RAGEアプタマーはそれを抑制したことを示す。
配列番号2:アプタマー
配列番号3:アプタマー
配列番号4:アプタマー
配列番号5:アプタマー
配列番号6:アプタマー
配列番号7:アプタマー
配列番号8:アプタマー
配列番号9:アプタマー
配列番号10:アプタマー
Claims (3)
- RAGE(Receptor for AGEs)アプタマーを含む、癌を治療するための医薬組成物であって、RAGEアプタマーが配列番号1の配列を含む一本鎖DNAであり、癌がメラノーマである、医薬組成物。
- RAGEアプタマーが配列番号1の配列からなる、請求項1に記載の医薬組成物。
- RAGEアプタマーがホスホロチオエート型オリゴヌクレオチドである、請求項1または2に記載の医薬組成物。
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JP2017136167 | 2017-07-12 |
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JP2016079184A (ja) | 2014-10-21 | 2016-05-16 | 学校法人 久留米大学 | Rageアプタマーおよびその用途 |
WO2016063060A1 (en) | 2014-10-22 | 2016-04-28 | Swansea University | Therapeutic agents and use thereof |
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