以下、実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1~図10に基づいて本実施形態に係る電池パックの監視装置を説明する。本実施形態では、電池パックがハイブリッド自動車に適用された例を説明する。
<電池パックの概要>
電池パック400はハイブリッド自動車の電気負荷に電力供給する機能を果たす。この電気負荷には、動力供給源および発電源としての機能を果たすモータジェネレータが含まれている。例えばこのモータジェネレータが力行する場合、電池パック400は放電してモータジェネレータに電力供給する。モータジェネレータが発電する場合、電池パック400は発電によって生じた発電電力を充電する。
電池パック400は電池ECU300を有する。この電池ECU300はハイブリッド自動車に搭載された各種ECU(車載ECU)と電気的に接続される。電池ECU300と車載ECUは相互に信号を送受信し、ハイブリッド自動車を協調制御する。この協調制御により、電池パック400の充電量に応じたモータジェネレータの発電と力行、および、内燃機関の出力などが制御される。
なお、ECUはelectronic control unitの略である。ECUは、少なくとも1つの演算処理装置(CPU)と、プログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つのメモリ装置(MMR)と、を有する。ECUはコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体はコンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供され得る。
電池パック400は電池モジュール200を有する。図2に示すように電池モジュール200は複数の電池セル220が電気的および機械的に直列接続された電池スタック210を有する。
電池パック400は監視装置100を有する。監視装置100は電池スタック210を構成する各電池セル220の電圧を検出する。監視装置100はその監視結果を電池ECU300に出力する。電池ECU300は監視装置100の監視結果に基づいて複数の電池セル220それぞれのSOCの均等化を判断する。そして電池ECU300はその判断に基づく均等化処理の指示を監視装置100に出力する。監視装置100は電池ECU300から入力された指示にしたがって、複数の電池セル220のSOCを等しくする均等化処理を行う。SOCはstate of chargeの略である。
以上に示すように電池パック400は、監視装置100、電池モジュール200、および、電池ECU300を有する。図示しないが、電池パック400はこれらの他に電池モジュール200を冷却する送風ファンを有する。この送風ファンの駆動は電池ECU300によって制御される。
電池パック400はハイブリッド自動車の例えば座席下の配置空間に設けられる。概して後部座席下のほうが前部座席下よりも広い。そのために本実施形態の電池パック400は後部座席下の配置空間に設けられる。ただし電池パック400の設置場所としてはこれに限定されない。例えば後部座席とトランクルームの間、運転席と助手席の間などに電池パック400を設置することができる。
次に、電池モジュール200と監視装置100を説明する。それにあたって、以下においては互いに直交の関係にある3方向を、横方向、縦方向、および、高さ方向と示す。本実施形態では横方向はハイブリッド自動車の進退方向に沿っている。縦方向はハイブリッド自動車の左右方向に沿っている。高さ方向はハイブリッド自動車の天地方向に沿っている。
<電池モジュールの概要>
上記したように電池モジュール200は電池スタック210を有する。また電池モジュール200は電池スタック210を収容する電池ケース(図示略)を有する。この電池ケースは筐体と蓋部を有する。筐体はアルミダイカストで製造される。また筐体は鉄やステンレスをプレス加工することで製造することもできる。蓋部は樹脂材料、若しくは、金属材料で形成される。
筐体は高さ方向に開口するとともに底を有する箱形状を成している。筐体の開口は蓋部によって覆われている。筐体と蓋部とによって電池スタック210と監視装置100を収納する収納空間が構成されている。収納空間には風の流通する流通経路が構成されている。筐体と蓋部の少なくとも一方に、外部雰囲気と流通経路とを連通するための連通孔が構成されている。
電池スタック210は複数の電池セル220を有する。これら複数の電池セル220は縦方向に並んでいる。複数の電池セル220は電気的および機械的に直列接続されている。そのために電池モジュール200の出力電圧は複数の電池セル220の出力電圧を総和した電圧になっている。なお、電池スタック210の保有する電池セル220の数は3つ以上である。縦方向が所定方向に相当する。
<監視装置の概要>
図1に示すように監視装置100は、複数の電池セル220それぞれの電圧を監視する監視部10、および、監視部10と複数の電池セル220それぞれとを電気的に接続する配線部30を有する。
監視部10は縦方向若しくは高さ方向で電池スタック210と並ぶ態様で電池モジュール200に設けられる。配線部30は高さ方向で電池スタック210と並ぶ態様で電池モジュール200に設けられる。
<電池スタックの構成>
上記したように電池スタック210は複数の電池セル220を有する。図2に示すように電池セル220は四角柱形状を成す。電池セル220は6面を有する。
電池セル220は高さ方向に面する上端面220aを有する。また図示しないが、電池セル220は高さ方向に面して上端面220aと高さ方向で離間して並ぶ下端面を有する。電池セル220は横方向に面する第1側面220cと第2側面220dを有する。電池セル220は縦方向に面する第1主面220eと第2主面220fを有する。これら6面のうち第1主面220eと第2主面220fは他の4面よりも面積が大きくなっている。
電池セル220は縦方向の長さが高さ方向および横方向の長さよりも短くなっている。そのために電池セル220は縦方向の長さの短い平板形状を成している。複数の電池セル220はこの縦方向に並んでいる。
電池セル220は二次電池である。具体的には電池セル220はリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は化学反応によって起電圧を生成する。起電圧の生成により電池セル220に電流が流れる。これにより電池セル220はガスを発生する。電池セル220は膨張する。なお電池セル220としてはリチウムイオン二次電池に限定されない。例えば電池セル220としては、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などを採用することができる。
上記したように電池セル220の第1主面220eと第2主面220fは他の4面よりも面積が大きくなっている。そのために電池セル220では第1主面220eと第2主面220fが膨張しやすくなっている。これにより電池セル220は縦方向に膨張する。すなわち電池セル220は複数の電池セル220の並ぶ方向に膨張する。
電池スタック210は図示しない拘束具を有する。この拘束具により、複数の電池セル220は機械的に縦方向に直列接続されている。またこの拘束具により複数の電池セル220それぞれの膨張による電池スタック210の体格の増大が抑制されている。
隣接する電池セル220の間には絶縁性のセパレータが設けられる。これにより隣接する電池セル220の間に空隙が構成されている。この空隙を空気が通ることで各電池セル220の放熱が促される。
電池セル220の上端面220aに正極端子221と負極端子222が形成されている。正極端子221と負極端子222は横方向に離間して並んでいる。正極端子221は第1側面220c側に位置する。負極端子222は第2側面220d側に位置する。
図2に示すように隣接して並ぶ2つの電池セル220は互いに第1主面220e同士、第2主面220f同士で対向している。隣接して並ぶ2つの電池セル220の上端面220aが縦方向に並んでいる。これにより隣接して並ぶ2つの電池セル220のうちの一方の正極端子221と他方の負極端子222とが縦方向に並んでいる。この結果、電池スタック210では、正極端子221と負極端子222とが縦方向で交互に並んでいる。
電池スタック210では、縦方向に負極端子222と正極端子221とが交互に並ぶ第1電極端子群211と、縦方向に正極端子221と負極端子222とが交互に並ぶ第2電極端子群212と、が構成されている。第1電極端子群211と第2電極端子群212とでは正極端子221と負極端子222の並びが反対である。この第1電極端子群211と第2電極端子群212とが横方向に離間して並んでいる。
上記した第1電極端子群211と第2電極端子群212を構成する電極端子のうち、縦方向に並んで隣り合う1つの正極端子221と1つの負極端子222とが直列端子223を介して機械的および電気的に接続されている。これにより電池スタック210を構成する複数の電池セル220が電気的に直列接続されている。直列端子223に関しては、後で詳説する。
本実施形態の電池スタック210は9個の電池セル220を有する。これら9個の電池セル220が直列接続されている。そのために正極端子221と負極端子222の総数は18個になっている。図1および図2に示すように、これら18個の電極端子に、最低電位から最高電位に向かうにしたがって数の大きくなる番数(No)を付与している。
図2に示すようにNo.1の正極端子221とNo.2の負極端子222は縦方向で隣接して並んでいる。これら横方向で隣接して並ぶ正極端子221と負極端子222が直列端子223を介して接続される。
これと同様にして、第1電極端子群211では、No.1とNo.2の電極端子、No.5とNo.6の電極端子、No.9とNo.10の電極端子、No.13とNo.14の電極端子が直列端子223を介して接続される。第2電極端子群212では、No.3とNo.4の電極端子、No.7とNo.8の電極端子、No.11とNo.12の電極端子、No.15とNo.16の電極端子が直列端子223を介して接続される。このように9個の電池セル220は計8個の直列端子223を介して直列接続されている。
以上に示した接続構成により、No.0の負極端子222は最低電位になる。No.0の負極端子222はグランド電位になる。No.17の正極端子221は最高電位になる。No.17の正極端子221は各電池セル220の出力を総和した電位になる。
この最低電位の負極端子222と最高電位の正極端子221に出力端子224が接続されている。この2つの出力端子224が電気負荷と電気的に接続される。この結果、最低電位と最高電位との電位差が、電池モジュール200の出力電圧として電気負荷に出力される。
<監視装置の回路構成>
次に、図1および図4に基づいて監視装置100の回路構成を説明する。
図1に示すように監視部10は配線基板11、第1電子素子12、および、監視ICチップ13を有する。配線基板11に第1電子素子12と監視ICチップ13が搭載されている。第1電子素子12と監視ICチップ13は配線基板11の基板配線14を介して電気的に接続されている。
配線基板11に配線部30が接続される。配線部30は電池スタック210に接続される。これにより監視部10は配線部30を介して電池スタック210と電気的に接続されている。
配線基板11には図示しないコネクタが設けられている。このコネクタに図1に示すワイヤ301が接続される。このワイヤ301を介して監視部10と電池ECU300とが電気的に接続されている。
配線部30は表配線部31と裏配線部32を有する。表配線部31と裏配線部32それぞれは可撓性を有するフレキシブル基板33と、フレキシブル基板33に形成された複数の配線パターン34と、を有する。
複数の配線パターン34は直列端子223と出力端子224に接続される。これら複数の配線パターン34それぞれに対応する複数の基板配線14が配線基板11に形成されている。これら複数の配線パターン34と複数の基板配線14とが電気的に接続されている。
以下においては、説明を簡便とするため、互いに電気的に接続された配線パターン34と基板配線14をまとめて電圧検出配線と示す。
図1に示すようにフレキシブル基板33には第2電子素子60が搭載されている。第2電子素子60はヒューズ61とインダクタ62を有する。また監視部10は第1電子素子12としてツェナーダイオード15、並列コンデンサ16、および、抵抗17を有する。これらツェナーダイオード15、並列コンデンサ16、および、抵抗17それぞれは配線基板11に搭載されている。
図1に示すように複数の電圧検出線それぞれにヒューズ61、インダクタ62、および、抵抗17が設けられている。電池セル220から監視ICチップ13へと向かって、ヒューズ61、インダクタ62、および、抵抗17が順に直列接続されている。
ツェナーダイオード15と並列コンデンサ16それぞれは、電位順に並ぶ2つの電圧検出線の間で並列接続されている。詳しく言えば電圧検出線におけるインダクタ62と抵抗17との間に、ツェナーダイオード15と並列コンデンサ16が接続されている。ツェナーダイオード15のアノード電極は隣り合う2つの電圧検出線のうちの低電位側に接続されている。ツェナーダイオード15のカソード電極は隣り合う2つの電圧検出線のうちの高電位側に接続されている。
以上に示した接続構成により、抵抗17と並列コンデンサ16とによってRC回路が構成されている。このRC回路とインダクタ62は、電圧検出の際にノイズを除去するフィルタとしての機能を果たしている。
なおツェナーダイオード15は、電池モジュール200から過電圧が印加された際に短絡故障(ショート故障)する構造となっている。具体的に言えば、ツェナーダイオード15は一対のリードにてPN接合型のICチップが直接狭持された構造となっている。これにより、例えばICチップとリードとがワイヤを介して間接的に接続された構成とは異なり、過電圧の印加によるワイヤの破断によってツェナーダイオード15がオープン故障することが避けられている。
ヒューズ61は、過電圧にてツェナーダイオード15が短絡故障した際に、電圧検出配線に流れる大電流によって破断するように構成されている。ヒューズ61の定格電流は、過電圧にてツェナーダイオード15が短絡故障した際の電圧検出配線に流れる大電流を基準に設定されている。ヒューズ61の破断により監視ICチップ13に大電流が流れることが抑制される。
図1に示すように監視ICチップ13は、増幅などの信号処理を行うドライバ18と、複数の電池セル220それぞれに対応するスイッチ19と、を有する。このスイッチ19は電位順に並ぶ2つの電圧検出線間の電気的な接続を制御する。スイッチ19の一端は電位順に並ぶ2つの電圧検出線の一方に接続された監視ICチップ13の配線に接続される。スイッチ19の他端は電位順に並ぶ2つの電圧検出線の他方に接続された監視ICチップ13の配線に接続される。スイッチ19の開閉制御により、このスイッチ19の接続された2つの電圧検出線に電気的に接続された電池セル220の充放電が制御される。
また監視ICチップ13は、複数の電池セル220それぞれの電圧を検出するためのコンパレータ20を有する。コンパレータ20の反転入力端子と非反転入力端子とに、電位順に並ぶ2つの電圧検出線が接続される。これによりコンパレータ20の反転入力端子と非反転入力端子とに、1つの電池セル220の正極端子221と負極端子222が接続される。コンパレータ20の出力端子は監視ICチップ13の配線に接続される。コンパレータ20の出力が、1つの電池セル220の出力電圧(起電圧)を差動増幅したものとして電池ECU300に出力される。
なお、コンパレータ20の入力インピーダンスは出力インピーダンスよりもハイインピーダンスになっている。そのために電池セル220からコンパレータ20に流れる電流は微量になっている。電池セル220からコンパレータ20に流れる電流は、複数の電池セル220の直列接続された電池スタック210に流れる電流に比べて微量になっている。コンパレータ20が電圧検出回路に相当する。
電池セル220の充電状態(SOC)と起電圧には相関関係がある。電池ECU300はこの相関関係を記憶している。電池ECU300は監視ICチップ13から入力された出力電圧(起電圧)と記憶している相関関係に基づいて、複数の電池セル220それぞれのSOCを検出する。
電池ECU300はこの検出したSOCに基づいて、複数の電池セル220のSOCの均等化処理を判断する。そして電池ECU300はその判断に基づく均等化処理の指示を監視ICチップ13のドライバ18に出力する。ドライバ18は均等化処理の指示にしたがって複数の電池セル220それぞれに対応するスイッチ19を開閉制御する。これにより複数の電池セル220が充放電される。複数の電池セル220のSOCが均等化される。
なお、電池ECU300は入力された電圧などに基づいて電池スタック210の充電状態も検出する。電池ECU300は検出した電池スタック210の充電状態を車載ECUに出力する。車載ECUはこの充電状態、車両に搭載された各種センサから入力されるアクセルペダルの踏み込み量やスロットルバルブ開度などの車両情報、そしてイグニッションスイッチなどに基づいて、電池ECU300に指令信号を出力する。電池ECU300はこの指令信号に基づいて電池スタック210と電気負荷との接続を制御する。
図示しないが、電池スタック210と電気負荷との間にはシステムメインリレーが設けられている。このシステムメインリレーは磁界の発生によって電池スタック210と電気負荷との電気的な接続を制御する。電池ECU300はこのシステムメインリレーの磁界の発生を制御することで、電池スタック210と電気負荷との接続を制御する。
<配線部の構成>
次に、図3~図5に基づいて配線部30の構成を説明する。上記したように配線部30は表配線部31と裏配線部32を有する。表配線部31と裏配線部32はそれぞれフレキシブル基板33と複数の配線パターン34を有する。
図3に示すようにフレキシブル基板33は縦方向に延びた矩形を成している。フレキシブル基板33の縦方向の長さは電池スタック210の縦方向の長さに応じて決定される。
フレキシブル基板33は配線基板11よりも厚みが薄く、撓みやすい樹脂材料から成る。そのためにフレキシブル基板33は湾曲可能になっている。すなわちフレキシブル基板33は弾性変形可能になっている。フレキシブル基板33が可撓基板に相当する。
図示しないが、縦方向および横方向への大きな変形が可能なように、フレキシブル基板33の一部に切欠きが形成されていたり、その一部が蛇腹構造になっていたりしてもよい。また、電池ケースによって構成される収容空間内の風の流動が妨げられるのを避けるために、高さ方向に貫通する切欠きや孔がフレキシブル基板33に形成されていてもよい。
配線パターン34はフレキシブル基板33の表面33aに形成されている。そして配線パターン34は被覆樹脂で覆われている。ただし、配線パターン34の端側の先端はフレキシブル基板33および被覆樹脂それぞれの外に突出して露出している。この配線パターン34の一端側の先端が直列端子223や出力端子224に溶接などによって機械的および電気的に接続される。配線パターン34の他端側の先端が配線基板11の基板配線14にはんだなどによって機械的および電気的に接続される。なお、図面においては、表記を簡明とするために、配線パターン34の端側の先端がフレキシブル基板33上にあるように図示している。
表配線部31と裏配線部32は同一構成である。したがって表配線部31の有するフレキシブル基板33および配線パターン34と、裏配線部32の有するフレキシブル基板33および配線パターン34は同一形状である。表配線部31が第1配線部に相当する。裏配線部32が第2配線部に相当する。
<表配線部と裏配線部の搭載形態>
上記にしたように表配線部31と裏配線部32は同一構成である。しかしながら表配線部31と裏配線部32は電池スタック210への搭載態様が異なる。図4に示すように表配線部31は、フレキシブル基板33の裏面33bが電池セル220の上端面220aに対向する態様で電池スタック210に搭載される。裏配線部32は、フレキシブル基板33の表面33aが上端面220aに対向する態様で電池スタック210に搭載される。このように表配線部31と裏配線部32は互いに表裏が反転して電池スタック210に搭載される。そのために表配線部31と裏配線部32では、それぞれの配線パターン34の配置が表裏反転している。
上記したように配線パターン34の端側の先端はフレキシブル基板33および被覆樹脂それぞれから露出している。したがってフレキシブル基板33の表裏を反転させたとしても、配線パターン34の一端側の先端と直列端子223や出力端子224との間にはフレキシブル基板33や被覆樹脂が位置しなくなっている。配線パターン34の他端側の先端と配線基板11との間にはフレキシブル基板33や被覆樹脂が位置しなくなっている。
表配線部31と裏配線部32は、複数の電池セル220の上端面220aにおける第1電極端子群211と第2電極端子群212の間に設けられている。表配線部31と裏配線部32は横方向で離間している。表配線部31は第1電極端子群211側に位置する。裏配線部32は第2電極端子群212側に位置する。
表配線部31の配線パターン34は、第1電極端子群211を構成する電極端子に機械的および電気的に接続された直列端子223と出力端子224に接続される。裏配線部32の配線パターン34は、第2電極端子群212を構成する電極端子に機械的および電気的に接続された直列端子223と出力端子224に接続される。
以上により、配線部30と電池スタック210とは図1に示す電気的な接続構成となっている。電池スタック210を構成する全ての電池セル220の電圧が配線部30によって検出可能となっている。
<接続構成>
次に、図3および図4に基づいて、直列端子223および出力端子224と配線基板11とを接続する配線パターン34の接続構成を詳説する。
配線パターン34は、直列端子223に接続される複数の第1配線35と、縦方向に並ぶ複数の電池セル220のうちの両端に位置する2つの電池セル220の正極端子221と負極端子222に接続される第2配線36と、を有する。本実施形態において、第2配線36は具体的には出力端子224に接続される。第1配線35が直列配線パターンに相当する。第2配線36が両端配線パターンに相当する。
図4に示すように複数の第1配線35は2つの第2配線36の間に位置している。複数の第1配線35と2つの第2配線36それぞれの一端は電極端子群に向かって延びている。複数の第1配線35と2つの第2配線36それぞれの他端は配線基板11に向かって延びている。第1配線35の一端が直列端子223に接続される。第2配線36の一端が出力端子224に接続される。そして第1配線35と第2配線36それぞれの他端が配線基板11に接続される。
フレキシブル基板33には電極端子群に向かって延びる複数の第1突起部37と、2つの第2突起部38が形成されている。第1突起部37に第1配線35の一端が設けられる。第2突起部38に第2配線36の一端が設けられる。第1突起部37からは第1配線35の一端側の先端が露出している。第2突起部38からは第2配線36の一端側の先端が露出している。
2つの第2突起部38は縦方向に離間して並んでいる。複数の第1突起部37は2つの第2突起部38の間に位置している。そして複数の第1突起部37も縦方向に離間して並んでいる。
以上に示した突起部の縦方向の並びのため、縦方向に並ぶ複数の第1突起部37のうちの端に位置する第1突起部37と1つの第2突起部38とが縦方向で隣接する態様で並んでいる。これら第1突起部37と第2突起部38との間の縦方向の離間距離は、縦方向に隣接して並ぶ2つの電池セル220の有する異極の電極端子の離間距離と等しくなるように設計されている。すなわち第1突起部37と第2突起部38との間の縦方向の離間距離は、縦方向に隣接して並ぶ2つの電池セル220のうちの一方の有する正極端子221と他方の有する負極端子222との離間距離と等しくなるように設計されている。
また、縦方向に隣接して並ぶ2つの第1突起部37の離間距離は、縦方向に1つの電池セル220を挟んで並ぶ2つの電池セル220の有する同極の電極端子の離間距離と等しくなるように設計されている。すなわち、縦方向に隣接して並ぶ2つの第1突起部37の離間距離は、縦方向に1つの電池セル220を挟んで並ぶ2つの電池セル220のうちの一方の有する正極端子221と他方の有する正極端子221との離間距離と等しくなるように設計されている。換言すれば、縦方向に隣接して並ぶ2つの第1突起部37の離間距離は、縦方向に1つの電池セル220を挟んで並ぶ2つの電池セル220のうちの一方の有する負極端子222と他方の有する負極端子222との離間距離と等しくなるように設計されている。
以下においては表記が煩雑となることを避けるために、縦方向で隣り合って並ぶ第1突起部37と第2突起部38との間の縦方向の離間距離を、出力離間距離と示す。縦方向で隣り合って並ぶ2つの第1突起部37の間の縦方向の離間距離を、直列離間距離と示す。概して、出力離間距離は直列離間距離の半分程度となっている。出力離間距離は1つの電池セル220の縦方向の長さ程度である。直列離間距離は縦方向に隣接して並ぶ2つの電池セル220の縦方向の長さ程度である。
図4に示すように、表配線部31の有する2つの第2突起部38のうちの1つが、第1電極端子群211に含まれるNo.17の正極端子221に接続された出力端子224と接続されている。しかしながら表配線部31の有する2つの第2突起部38のうちの残りの1つは、何にも接続されていない。このような接続に寄与しない第2突起部38は、例えば図5に示すように除去することができる。
同様にして、裏配線部32の有する2つの第2突起部38のうちの1つが、第2電極端子群212に含まれるNo.0の負極端子222に接続された出力端子224と接続されている。しかしながら裏配線部32の有する2つの第2突起部38のうちの残りの1つは、何にも接続されていない。このような接続に寄与しない第2突起部38は、同様にして除去することができる。
以上に示したように、表配線部31と裏配線部32は接続に寄与しない第2突起部38を1つ余分に持っている。このような1つの余分な第2突起部38を表配線部31と裏配線部32それぞれが保有するのは、表配線部31と裏配線部32のうちの一方が、縦方向で離れて位置する2つの出力端子224のうちの一方と接続されるためである。表配線部31と裏配線部32のうちの他方が、縦方向で離れて位置する2つの出力端子のうちの他方と接続されるためである。
ただし、上記したように表配線部31と裏配線部32が接続に寄与しない第2突起部38を1つ余分に持っているのは、電池スタック210の有する3つ以上の電池セル220の数が奇数だからである。電池スタック210の有する3つ以上の電池セル220の数が偶数の場合、表配線部31が有する2つの第2突起部38は接続に寄与しない。裏配線部32が保有する2つの第2突起部38が接続に寄与する。このように表配線部31と裏配線部32は電池スタック210の有する3つ以上の電池セル220の数が奇数であろうと偶数であろうとも、2つの出力端子224と接続可能になっている。
フレキシブル基板33には監視部10に向かって延びる出っ張り部39が形成されている。この出っ張り部39に配線パターン34の他端が設けられている。配線パターン34の他端側の先端が出っ張り部39の外に露出されている。この配線パターン34の他端側の先端が配線基板11の表面11aに形成された基板配線14と接続される。それとともに出っ張り部39が配線基板11の表面11aに連結される。
なおもちろんではあるが、配線パターン34の他端側の先端と出っ張り部39は配線基板11の表面11aの裏側の裏面に連結されてもよい。さらに言えば、表配線部31の配線パターン34の他端側の先端と出っ張り部39が配線基板11の表面11aと裏面の一方に接続されてもよい。裏配線部32の配線パターン34の他端側の先端と出っ張り部39が配線基板11の表面11aと裏面の他方に接続されてもよい。
また、配線パターン34の他端側の先端が出っ張り部39の外に露出されていない構成を採用することもできる。この場合、出っ張り部39には、配線パターン34の他端と基板配線14とを電気的に接続するためのビアが形成される。このビアは出っ張り部39を構成するフレキシブル基板33の表面33aと裏面33bとを電気的に接続する機能を果たす。ビアが基板配線14と電気的に接続される。これにより配線パターン34と基板配線14とがビアを介して電気的に接続される。
<直列端子の構成>
次に、図2および図6に基づいて直列端子223の構成を詳説する。
直列端子223は高さ方向の厚さの薄い扁平形状を成している。直列端子223は高さ方向に面する第1接続面223aと第2接続面223bを有する。第1電極端子群211を構成する電極端子に接続される直列端子223と、第2電極端子群212を構成する電極端子に接続される直列端子223とは、同一構成である。しかしながらこれら2つの直列端子223は電池スタック210への接続態様が異なる。
図2に示すように、第1電極端子群211を構成する電極端子を接続する直列端子223は、第2接続面223bが上端面220aに対向する態様で電池スタック210に接続される。第2電極端子群212を構成する電極端子を接続する直列端子223は、第1接続面223aが上端面220aに対向する態様で電池スタック210に接続される。このように第1電極端子群211を構成する電極端子を接続する直列端子223と、第2電極端子群212を構成する電極端子を接続する直列端子223とは、電池スタック210に対して接続面が反転している。
図6に示すように直列端子223は、一体的に連結された連結部225と接続部226を有する。連結部225は正極端子221と負極端子222を接続する。接続部226は第1突起部37から突出した第1配線35の一端側の先端と接続される。そのために接続部226は第1配線35、基板配線14、および、監視ICチップ13の配線を介して、入力インピーダンスの高いコンパレータ20の入力端子に接続される。
この接続構成のため、連結部225には、複数の電池セル220の直列接続された電池スタック210を流れる電流が流れる。接続部226には、連結部225を流れる電流に比べて微量の電流が流れる。以下においては表記を簡明とするために、連結部225を流れる電流を本電流Iと示す。接続部226に流れる電流を検出電流jと示す。
連結部225は縦方向に延びる矩形を成している。連結部225の縦方向の長さは、上記の直列離間距離となっている。連結部225の縦方向の両端部のうちの一方に正極端子221が接続される。連結部225の縦方向の両端部のうちの他方に負極端子222が接続される。
図6では連結部225における正極端子221と負極端子222それぞれとの接続位置を明りょうとするために、正極端子221と負極端子222を円で示している。そして連結部225における正極端子221との接続の中心点と、負極端子222との接続の中心点とを点で示している。以下においては連結部225における正極端子221との接続の中心点を第1中心点CP1と示す。連結部225における負極端子222との接続の中心点を第2中心点CP2と示す。第1中心点CP1が第1接続部位に相当する。第2中心点CP2が第2接続部位に相当する。
接続部226は、連結部225が正極端子221と負極端子222とに接続された状態において、複数の電池セル220の上端面220aにおける正極端子221と負極端子222との間の領域と高さ方向で離間して対向する。接続部226は連結部225から横方向に延びた基準部227を有する。基準部227は連結部225よりも縦方向の長さが短くなっている。また接続部226は基準部227の先端から縦方向に延びた補償部228を有する。上端面220aが形成面に相当する。
図6に示すように基準部227は、連結部225の第1中心点CP1と第2中心点CP2との間の中点MPから横方向に延びている。基準部227における連結部225から延びる端部と第1中心点CP1との離間距離と、基準部227の端部と第2中心点CP2との離間距離とが等しくなっている。この構成により、連結部225における第1中心点CP1と基準部227の端部との間の第1抵抗の抵抗値と、連結部225における第2中心点CP2と基準部227の端部との間の第2抵抗の抵抗値とが相等しくなっている。
上記したように第1電極端子群211を構成する電極端子を接続する直列端子223と、第2電極端子群212を構成する電極端子を接続する直列端子223とは、電池スタック210に対して接続面が反転している。そのためにこれら2つの直列端子223では、上記の第1中心点CP1と第2中心点CP2とが反転して入れ替わる。しかしながらこれら2つの直列端子223では、連結部225における基準部227の端部と第1中心点CP1との離間距離と、基準部227の端部と第2中心点CP2との離間距離とが相等しくなっている。そのために第1中心点CP1と第2中心点CP2とが入れ替わったとしても、これら2つの直列端子では、第1抵抗と第2抵抗の抵抗値が互いに相等しくなっている。
以下においては第1抵抗と第2抵抗の抵抗値をRと示す。また、説明を簡素化するために、横方向に延びる基準部227の抵抗値をRとする。もちろん、上記の第1抵抗および第2抵抗の抵抗値と、基準部227の抵抗値は異なっていてもよい。
補償部228は基準部227に片持ち支持される態様で、基準部227の先端から縦方向に沿って延びている。そのために本実施形態の接続部226は上端面220aにおいてL字形状を成している。補償部228の縦方向の長さは、上記の出力離間距離程度になっている。この補償部228に、第1突起部37から突出した第1配線35の一端側の先端が接続される。
以下においては補償部228の抵抗値を2Rとする。そして縦方向に延びる補償部228においては、図6に示すように抵抗値Rの2つの抵抗が縦方向に直列接続されているとする。この直列接続された2つの抵抗の両端に位置する合計3つの端点を、基準部227の先端から離れるにしたがって番数が増大するように、第1端点EP1、第2端点EP2、第3端点EP3と示す。2つの抵抗のうちの1つは第1端点EP1と第2端点EP2の間に位置する。2つの抵抗のうちの残りの1つは第2端点EP2と第3端点EP3の間に位置する。
なお、上記したように、第1電極端子群211を構成する電極端子を接続する直列端子223と、第2電極端子群212を構成する電極端子を接続する直列端子223とは、電池スタック210に対して接続面が反転している。そのために第1電極端子群211を構成する電極端子に接続される直列端子223の補償部228の延長方向と、第2電極端子群212を構成する電極端子に接続される直列端子223の補償部228の延長方向とが反対になっている。
具体的に言えば、第1電極端子群211を構成する電極端子に接続される直列端子223の補償部228は、電池スタック210の高電位側に延びている。第2電極端子群212を構成する電極端子に接続される直列端子223の補償部228は、電池スタック210の低電位側に延びている。換言すれば、第1電極端子群211を構成する電極端子に接続される直列端子223の補償部228は、監視部10から離間するように延びている。第2電極端子群212を構成する電極端子に接続される直列端子223の補償部228は、監視部10に近づくように延びている。
したがって、第1電極端子群211を構成する電極端子に接続される直列端子223の補償部228では、縦方向において監視部10から離間する方向に、第1端点EP1、第2端点EP2、第3端点EP3が順に並んでいる。第2電極端子群212を構成する電極端子に接続される直列端子223の補償部228では、縦方向において監視部10に近づく方向に、第1端点EP1、第2端点EP2、第3端点EP3が順に並んでいる。
<直列端子の電圧降下>
次に、直列端子223で生じる電圧降下を説明する。
これまでに説明した接続構成により、電池セル220の電圧は、直列端子223、第1配線35、基板配線14、および、監視ICチップ13の配線を介してコンパレータ20に入力される。これら直列端子223、第1配線35、基板配線14、および、監視ICチップ13の配線はそれぞれ抵抗を有する。したがって、この電池セル220とコンパレータ20とを接続する通電経路において電圧降下が生じる。
上記したように直列端子223に第1配線35の一端が接続される。この直列端子223と第1配線35との接続位置が、複数の第1配線35と複数の直列端子223とで相等しい場合、上記の通電経路において、直列端子223の抵抗と流れる電流に起因して生じる電圧降下は、同程度になることが期待される。そのために複数の第1配線35で検出される電池セル220の電圧の検出精度にバラツキが生じがたい。
しかしながら、直列端子223における第1配線35の一端の接続される位置が変位すると、直列端子223の抵抗と流れる電流に起因して生じる電圧降下が変動する。この結果、複数の第1配線35で検出される電池セル220の電圧の検出精度にバラツキが生じる虞がある。このような接続位置の変位は、接続位置の規定が不明りょうであったり、電池スタック210に対する配線部30の配置ズレに起因して生じたりする。
<作用効果>
これに対して本実施形態の直列端子223は、連結部225だけではなく接続部226を有する。連結部225の中点MPから延びた接続部226に第1配線35の一端が接続される。このように第1配線35の接続点が接続部226に規定されている。そのために複数の第1配線35それぞれで検出される電池セル220の電圧に含まれる、接続部226の抵抗と電流に起因して生じる電圧降下が等しくなることが期待される。この結果、複数の第1配線35で検出される電池セル220の電圧の検出精度にバラツキが生じることが抑制される。
接続部226は、連結部225から横方向に延びた基準部227と、基準部227の先端から縦方向に延びた補償部228を有する。この補償部228に第1配線35の一端が接続される。したがって、例えば電池スタック210に対する配線部30の配置ズレによって、第1配線35の一端が接続対象の直列端子223に対して縦方向にズレたとしても、第1配線35と直列端子223とを接続することができる。
第1配線35の一端の接続される接続部226に流れる検出電流jは、連結部225を流れる本電流Iよりも電流量が微量になっている。そのため、第1配線35で検出される電池セル220の電圧に含まれる、接続部226の抵抗と電流に起因して生じる電圧降下が微量となっている。したがって、例え第1配線35と接続部226との接続位置にズレが生じたとしても、複数の第1配線35で検出される電池セル220の電圧の検出精度のバラツキが、この微小な電圧降下程度になる。これにより、複数の第1配線35それぞれで検出される電池セル220の電圧の検出精度にバラツキが生じることが抑制される。
以下、図7~図9に基づいて、配線部30の電池スタック210に対する配置ズレがある場合とない場合とにおいて、直列端子223に生じる電圧降下を具体的に説明する。図7~図9では、第1電極端子群211を構成するNo.1の正極端子221とNo.2の負極端子222を接続する直列端子223を示している。第2電極端子群212を構成するNo.3の正極端子221とNo.4の負極端子222を接続する直列端子223を示している。
以下においては表記を簡明とするために、No.1の正極端子221とNo.2の負極端子222を接続する直列端子223を第1の直列端子223と示す。No.3の正極端子221とNo.4の負極端子222を接続する直列端子223を第2の直列端子223と示す。
第1の直列端子223と第2の直列端子223は、電位順に並ぶ複数の電池セル220のうちの最低電位から2番目に位置する電池セル220の正極端子221と負極端子222に接続される。第1の直列端子223はこの電池セル220の負極端子222に接続される。第2の直列端子223はこの電池セル220の正極端子221に接続される。したがってこれら第1の直列端子223と第2の直列端子223の電位差は、この電池セル220の出力電圧となっている。以下においては最低電位から2番目に位置する電池セル220を、単に電池セル220と示す。
図7に、配線部30の電池スタック210に対する配置ズレがない場合の、配線部30と直列端子223との接続形態を示す。図7に示す一例では、第1の直列端子223の第2端点EP2に表配線部31の第1配線35の一端が接続されている。同様にして、第2の直列端子223の第2端点EP2に裏配線部32の第1配線35の一端が接続されている。そのためにこれら2つの第1配線35で検出される電圧に含まれる、直列端子の抵抗と電流に起因して生じる電圧降下は同等となっている。
この同等の電圧降下を含む、電池セル220の負極端子222の電位と、正極端子221の電位とがコンパレータ20の反転入力端子と非反転入力端子とに入力される。コンパレータ20は反転入力端子に入力された電位と非反転入力端子に入力された電位を差分し、その差分した電圧値に応じた出力信号を、電池セル220の出力電圧Voとして出力する。
図8に、配線部30の電池スタック210に対する配置ズレがある場合の、配線部30と直列端子223との接続形態を示す。図8に示す一例では、第1の直列端子223と表配線部31の第1配線35の一端との接続点がずれている。第1の直列端子223の第3端点EP3に表配線部31の第1配線35の一端が接続されている。第2の直列端子223の第2端点EP2に裏配線部32の第1配線35の一端が接続されている。
上記したように接続部226には、連結部225を流れる本電流Iに比べて微量の検出電流jが流れる。そして第2端点EP2と第3端点EP3との間の抵抗値はRとなっている。そのためにこれら2つの第1配線35で検出される電圧に含まれる(生じる)直列端子223の抵抗と電流に起因して生じる電圧降下は、-jRだけ異なっている。したがって、説明を簡単とするためにコンパレータ20の増幅度を1とすると、図8に示すようにコンパレータ20からは、Vo+jRが出力される。
ただし、上記したように検出電流jは微量である。そのために電圧降下jRも微量となっている。そのため、上記の接続点のズレが生じたとしても、複数の第1配線35で検出される電池セル220の電圧の検出精度にバラツキが生じることが抑制されている。
図9に、比較構成として、第1の直列端子223と第2の直列端子223が連結部225のみを有する構成を示す。配線部30の電池スタック210に対する配置ズレがない場合、第1の直列端子223の連結部225の中点MPに表配線部31の第1配線35の一端が接続される。第2の直列端子223の連結部225の中点MPに裏配線部32の第1配線35の一端が接続される。この場合、これら2つの第1配線35で検出される電圧に含まれる(生じる)電圧降下は同等となる。
しかしながら配線部30の電池スタック210に対する配置ズレがある場合、例えば図9に示すように、第1の直列端子223の連結部225の第1中心点CP1に表配線部31の第1配線35の一端が接続される。第2の直列端子223の連結部225の中点MPに裏配線部32の第1配線35の一端が接続される。
上記したように連結部225には、接続部226を流れる検出電流jに比べて大量の本電流Iが流れる。そして第1中心点CP1と中点MPとの間の抵抗値はRとなっている。そのためにこれら2つの第1配線35で検出される電圧に含まれる(生じる)直列端子223の抵抗と電流に起因して生じる電圧降下は、-IRだけ異なっている。この場合、図9に示すようにコンパレータ20からは、Vo+IRが出力される。
上記したように本電流Iは大量である。そのために電圧降下IRは大量もなっている。そのため、比較構成の場合、上記の接続点のズレが生じると、複数の第1配線35で検出される電池セル220の電圧の検出精度に生じるバラツキが大きくなる。
これに対して本実施形態の直列端子223の場合、繰り返しとなるが、上記したように接続点のズレによって生じる電圧降下jRが微量となっている。そのために複数の第1配線35で検出される電池セル220の電圧の検出精度にバラツキが生じることが抑制される。
なお、図10に示すように直列端子223の具体的な形態としては、本実施形態に示した構成に限定されない。例えば図10の(a)欄に示すように補償部228が基準部227の先端から縦方向に沿って延びることで、接続部226が上端面220aにおいてT字形状を成す構成を採用することもできる。これにより第1配線35の一端が接続対象の直列端子223に対して、縦方向において監視部10側、監視部10とは反対側のいずれの方向にズレたとしても、第1配線35と直列端子223とを接続することができる。
また図10の(b)欄に示すように直列端子223の接続部226が基準部227のみを有する構成を採用することもできる。この構成の場合、基準部227の先端に第1配線35の一端が接続される。これにより、複数の第1配線35それぞれで検出される電池セル220の電圧に含まれる電圧降下が等しくなることが期待される。また、基準部227に対する第1配線35の一端の接続位置がズレたとしても、それによって生じる電圧降下は微量となる。
なお、図10の(b)欄に示す構成の場合、上記の第1突起部37と第2突起部38、および、第1配線35と第2配線36の一端側それぞれの長さを長くして、これらを縦方向と横方向とに屈曲可能とする。こうすることで、例え配線部30が電池スタック210に対して配置ズレしたとしても、第1突起部37と第1配線35の一端側を、接続対象の直列端子223の基準部227に向けて屈曲する。また、第2突起部38と第2配線36の一端側を、接続対象の出力端子224に向けて屈曲する。これにより直列端子223の基準部227の先端に第1配線35の一端を接続することができる。出力端子224に第2配線36の一端を接続することができる。
以上、本開示物の好ましい実施形態について説明したが、本開示物は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示物の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(第1の変形例)
本実施形態では監視ICチップ13がコンパレータ20を有する例を示した。このコンパレータ20の入力端子に直列端子223が接続されるために、本電流Iに比べて検出電流jが微量である例を示した。本実施形態の構成の場合、コンパレータ20が電池セル220と同数必要になる。
これに対して監視ICチップ13はコンパレータ20の他にサンプルホールド回路とマルチプレクサを有する構成を採用することもできる。サンプルホールド回路は電位順に並ぶ複数の電圧検出線それぞれに設けられたスイッチと、このスイッチの後段側において電位順に並ぶ電圧検出線に並列接続されたコンデンサと、を有する。このコンデンサの静電容量は微量となっている。スイッチを閉状態にすることで、コンデンサに微量な検出電流jが流れる。この後にスイッチを開状態にする。それによってコンデンサに検出電流jに応じた電荷が保存される。
マルチプレクサはこのコンデンサよりも後段側に位置している。マルチプレクサには複数の電圧検出線が接続されている。マルチプレクサは複数の電圧検出線のうちの2つを選択し、それをコンパレータ20に接続する。これによりコンデンサからコンパレータ20に検出電流jが流れる。この変形例の場合、サンプルホールド回路の有するコンデンサの静電容量が微量であるために、本電流Iに比べて検出電流jが微量になる。また、コンパレータ20の数を電池セル220の数よりも少なくすることができる。
(第2の変形例)
本実施形態では出力端子224の形状について特に言及しなかった。この出力端子224の形状としては例えば図2に示すように高さ方向に面する平面において横方向に延びる矩形を採用することができる。また、本実施形態に示した直列端子223と同様にして、出力端子224が1つ電極端子と接続される連結部と、連結部から延びた接続部と、を有する構成を採用することもできる。
(第3の変形例)
本実施形態では配線パターン34が表面33aに形成される例を示した。しかしながら配線パターン34が裏面33bに形成された構成を採用することもできる。
(第4の変形例)
本実施形態では、配線部30が同一構成の表配線部31と裏配線部32を有する例を示した。しかしながら表配線部31と裏配線部32は同一構成でなくともよい。例えば図11に示すように表配線部31が第1電極端子群211に対応した第1突起部37と第2突起部38および配線パターン34を有する構成を採用することもできる。裏配線部32が第2電極端子群212に対応した第1突起部37と第2突起部38および配線パターン34を有する構成を採用することもできる。図11では、裏配線部32はフレキシブル基板33の裏面33bが電池セル220の上端面220aに対向する態様で電池スタック210に搭載される。また、図示しないが、表配線部31と裏配線部32とが一体に接続された構成を採用することもできる。
(第5の変形例)
本実施形態では電池スタック210が9個の電池セル220を有する例を示した。しかしながら電池スタック210の有する電池セル220の数としては上記例に限定されず、複数であればよい。そして電池スタック210は偶数個の電池セル220を有してもよい。
本実施形態では電池モジュール200が1つの電池スタック210を有する例を示した。しかしながら電池モジュール200は複数の電池スタック210を有してもよい。この場合、電池モジュール200の筐体には各電池スタック210に対応する収容空間が構成される。これら複数の収容空間は横方向に並んで設けられる。
例えば2つの電池スタック210の電池セル220が直列接続される場合、2つの電池スタック210は偶数個の電池セル220を同数有する。2つの電池スタック210それぞれの複数の電池セルは縦方向に並んでいる。2つの電池スタック210のうちの一方の縦方向において右端に位置する電池セル220の負極端子222と、2つの電池スタック210のうちの他方の右端に位置する電池セル220の正極端子221とが、ワイヤを介して電気的に接続される。これにより2つの電池スタック210のうちの一方の縦方向において左端に位置する電池セル220の負極端子222が最低電位、他方の左端に位置する電池セル220の正極端子221が最高電位になる。最高電位の正極端子221と最低電位の負極端子222は横方向に並んで配置される。これら2つの電池スタック210それぞれに配線部30が設けられる。
(その他の変形例)
本実施形態では電池パック400をハイブリッド自動車に適用した例を示した。しかしながら電池パック400は例えばプラグインハイブリッド自動車や電気自動車に適用することもできる。