図1および図2はそれぞれ、本発明の一の実施の形態に係る使い捨て吸収性物品1の正面図および背面図(すなわち、着用者の腹側および背側に位置する部位の図)である。以下の説明では、使い捨て吸収性物品1を、単に「吸収性物品1」と呼ぶ。図1および図2に示すように、吸収性物品1は、上端(すなわち、図1および図2中の上側の端部)に胴部開口11を有し、下部に一対の脚部開口12を有するパンツタイプの使い捨ておむつである。吸収性物品1は、着用者からの排泄物を受ける。
図3は、吸収性物品1を展開した状態で着用者側から見た平面図である。以下の説明では、図3中の縦方向を「物品長手方向」といい、図3中の横方向を「物品幅方向」という。吸収性物品1は、外装シート4と、吸収体20とを備える。外装シート4には、胴部開口11および一対の脚部開口12(図1および図2参照)が設けられる。外装シート4は、外装シート本体40、並びに、外装シート本体40に接合される一対の脚部弾性部43、一対の胴部弾性部44および一対の中間弾性部45を備える。吸収体20は、外装シート4の内面(すなわち、着用者側の面)上に取り付けられ、着用者からの排泄物を吸収する略シート状の部材である。
吸収性物品1では、図3中の上側の部位が着用者の前側(すなわち、腹側の肌)を覆い、図3中の下側の部位が着用者の後側(すなわち、背側の肌)を覆う。以下の説明では、外装シート4のうち、着用者の腹側および背側に位置する部位をそれぞれ、「前方部401」および「後方部403」と呼ぶ。また、外装シート4のうち、前方部401と後方部403との間の部位を「股下部402」と呼ぶ。股下部402は、前方部401および後方部403から連続する。股下部402は、着用者の股間部を覆う。吸収性物品1では、外装シート4が前方部401、股下部402および後方部403を備え、吸収体20は、外装シート4の前方部401から股下部402を経由して後方部403へと至る。
吸収性物品1が製造される際には、図3の外装シート4が、吸収体20と共に股下部402にて折り曲げられる。そして、股下部402を下側に向けた状態で、物品幅方向における前方部401の両端部の内面と、後方部403の両端部の内面とが、加熱および押圧による熱融着等により接合される。これにより、図1および図2に示すように、前方部401および後方部403の上端に胴部開口11が形成される。また、前方部401および後方部403の下側において、股下部402の左右に一対の脚部開口12が形成される。さらに、胴部開口11と一対の脚部開口12とのそれぞれの間において物品長手方向に伸びる一対の接合端部13が形成される。各接合端部13は、前方部401と後方部403とが接続される接続線から側方へと突出する帯状の突出部である。
図4は、吸収性物品1を図3中に示すIV-IVの位置(すなわち、股下部402)で切断した断面図である。図4では、図示の都合上、吸収性物品1の各構成を離して描いている。後述する図5においても同様である。図3および図4に示すように、吸収体20は、本体部2と、一対のサイドシート3とを備える。本体部2および一対のサイドシート3は、物品長手方向に延びる。一対のサイドシート3は、本体部2の両側部上(すなわち、物品長手方向に垂直な物品幅方向の両側)に配置される。各サイドシート3は、物品長手方向における本体部2のおよそ全長に亘る略シート状の部材である。
図4に示すように、本体部2は、略シート状の部材であり、トップシート21と、バックシート23と、吸収コア22とを備える。トップシート21は、透液性のシート部材である。バックシート23は、不透液性または撥液性のシート部材である。吸収コア22は、トップシート21とバックシート23との間に配置される略シート状の部材である。トップシート21は、吸収コア22の着用者側の面を覆う。バックシート23は、吸収コア22の着用者とは反対側の面を覆う。
トップシート21は、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉し、当該水分を吸収コア22へと移動させる。吸収コア22は、トップシート21を透過した水分(すなわち、着用者からの排泄物の水分)を吸収して固定する。バックシート23は、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外部にしみ出すことを防止する。
図3では、図の理解を容易にするために、吸収体20の吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。図1および図2においても同様である。図3に示すように、物品長手方向における吸収コア22の両端部における幅は、吸収コア22の中央部における幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、いわゆる砂時計型である。図4に示すバックシート23は、ホットメルト接着剤等により外装シート4上に接合される。これにより、吸収体20が外装シート4に固定される。
一対のサイドシート3はそれぞれ、固定部33と、側壁部34とを備える。固定部33は、サイドシート3のうち、物品長手方向の全長に亘って設けられた折り曲げ線39の一方側の帯状の部位である。固定部33は、本体部2の側方エッジ近傍において、物品長手方向のおよそ全長に亘って本体部2の上側(すなわち、着用者側)にホットメルト接着剤等を用いて接合される。側壁部34は、サイドシート3のうち、折り曲げ線39の他方側の帯状の部位である。側壁部34は、折り曲げ線39(すなわち、固定部33の物品幅方向の外側のエッジ)にて固定部33から連続する部位である。側壁部34は、本体部2の側部上において、物品長手方向における本体部2のおよそ全長に亘って伸びる。
各側壁部34は、物品長手方向における両端部において、固定部33上に重ねられて固定部33に固定される。側壁部34と固定部33との固定は、例えば、熱融着接合、超音波接合、または、ホットメルト接着剤等による接着により行われる。物品長手方向における各側壁部34の両端部を除く部位(すなわち、物品長手方向の中央部)は、固定部33とは非接合であり、固定部33から離間可能である。各側壁部34の自由端には、側壁部弾性部材35が接合されている。側壁部弾性部材35が収縮することにより、物品長手方向における側壁部34の中央部が起立し、立体ギャザーが形成される。これにより、一対の側壁部34の間において吸収体20により受けられた排泄物が、一対の側壁部34よりも外側に漏出することを抑制することができる。
図5は、吸収性物品1を図3中に示すV-Vの位置で切断した断面図である。図5では、吸収性物品1の前側、すなわち前方部401側を示す。吸収性物品1の後側の構造は、図5に示す前側の構造と略同様である。図4および図5に示すように、外装シート4の外装シート本体40は、第1シート41と、第2シート42とを備える。第2シート42は、第1シート41の内面上(すなわち、着用者側)に積層され、後述の複数の接合部46(図6参照)等において第1シート41に接合される。
外装シート本体40は、図5に示すように、エンドシート5をさらに備える。エンドシート5は、第2シート42の内面に積層され、ホットメルト接着剤等により第2シート42に接合される。エンドシート5の下端部と第2シート42との間には、吸収体20の上端部が挟まれて固定される。図3に示すように、エンドシート5は、外装シート4の物品幅方向の略全長に亘って設けられる。
図5に示すように、第1シート41は、胴部開口11のエッジ111にて着用者側に折り返される折り返し部411を備える。折り返し部411の下端は、第2シート42の上端、および、エンドシート5の上端よりも下側、かつ、吸収体20の上端よりも上側に位置する。第2シート42の上端部およびエンドシート5の上端部は、第1シート41のうち、折り返し部411に対向する部位である対向部412と、折り返し部411との間に挟まれる。折り返し部411は、対向部412およびエンドシート5の上端部に接合される。
一対の胴部弾性部44は、胴部開口11のエッジ111に沿って、前方部401および後方部403に接合される。図5に示す例では、各胴部弾性部44は、物品長手方向に配列される複数の糸状の胴部弾性部材441を備える。複数の胴部弾性部材441は、物品幅方向に略平行に延びる。複数の胴部弾性部材441は、例えば、第1シート41の折り返し部411と対向部412との間に配置され、折り返し部411および対向部412に接合される。吸収性物品1では、一対の胴部弾性部44が収縮することにより、胴部開口11近傍において外装シート本体40が収縮し、着用者の胴回りに接するウエストギャザーが形成される。
図1および図2に示すように、各脚部弾性部43は、一対の脚部開口12のエッジ121に部分的に沿って配置され、外装シート4の第1シート41と第2シート42(図4参照)との間に接合される。一方の脚部弾性部43の両端部は、外装シート4の前方部401に接合され、他方の脚部弾性部43の両端部は、後方部403に接合される。また、各脚部弾性部43の両端部以外の部位(すなわち、中央部)は、外装シート4の股下部402に接合される。図1および図2に示す例では、各脚部弾性部43は、略平行に配置される複数の糸状の脚部弾性部材431を含む。吸収性物品1では、一対の脚部弾性部43が収縮することにより、一対の脚部開口12近傍において外装シート本体40が収縮し、着用者の脚周りに接するレッグギャザーが形成される。
一対の中間弾性部45は、それぞれ前方部401および後方部403において物品幅方向の略全長に亘って設けられる。各中間弾性部45は、脚部弾性部43の両端部と胴部弾性部44との物品長手方向における間の領域に配置される。図5に示す例では、各中間弾性部45は、物品長手方向に配列される複数の糸状の中間弾性部材451を備える。複数の中間弾性部材451は、物品幅方向に略平行に延びる。複数の中間弾性部材451は、第1シート41と第2シート42との間に配置されて保持される。第1シート41と第2シート42との間にて中間弾性部材451を保持する構造の詳細については後述する。吸収性物品1では、一対の中間弾性部45が収縮することにより外装シート本体40が収縮し、着用者の下腹部および臀部に接する中間ギャザー(すなわち、ボディフィットギャザー)が形成される。
吸収コア22は、例えば、粒状または繊維状の高吸収性材料、および、親水性繊維の集合体のうち、少なくとも一方を吸収材として含む。当該高吸収性材料としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。当該親水性繊維の集合体は、例えば、粉砕されたパルプ繊維またはセルロース繊維により形成される。
図4に示す例では、吸収コア22は、上述の親水性繊維の集合体に粒状のSAPを混合したものを、ティッシュペーパーまたは透液性不織布等により包み込むことにより形成される。これにより、親水性繊維の集合体の型崩れ、および、SAPの脱落(特に、吸液後における脱落)を防止することができる。
トップシート21は、例えば、透液性の不織布により形成される。当該不織布は、例えば、表面が界面活性剤により親水処理された疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)により形成される。当該不織布は、セルロース、レーヨンまたはコットン等の親水性繊維により形成されてもよい。当該不織布は、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布またはスパンレース不織布等である。
バックシート23は、例えば、疎水性繊維により形成された不透液性もしくは撥液性の不織布(スパンボンド不織布、メルトブロー不織布またはSMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布等)、または、不透液性もしくは撥液性のプラスチックフィルムにより形成される。バックシート23は、当該不織布と当該プラスチックフィルムとの積層体であってもよい。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(すなわち、通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
サイドシート3のシート本体は、例えば、疎水性繊維にて形成された不透液性または撥液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)により形成される。側壁部弾性部材35としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、または、糸状もしくは帯状の天然ゴム等が利用される。本実施の形態では、ポリウレタン糸が側壁部弾性部材35として利用される。
外装シート本体40の第1シート41、第2シート42およびエンドシート5は、バックシート23と同様に、疎水性繊維により形成された不透液性もしくは撥液性の不織布、または、不透液性もしくは撥液性のプラスチックフィルムにより形成される。プラスチックフィルムとしては、透湿性を有するものが利用されることが好ましい。また、第1シート41、第2シート42およびエンドシート5として、トップシート21と同様に、透液性の不織布が利用されてもよい。
脚部弾性部材431、胴部弾性部材441および中間弾性部材451としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、または、糸状もしくは帯状の天然ゴム等が利用される。本実施の形態では、脚部弾性部材431、胴部弾性部材441および中間弾性部材451は、ポリウレタン糸である。
次に、外装シート4において中間弾性部材451を保持する構造について説明する。中間弾性部材451を保持する外装シート4は、中間弾性部材451の長手方向に伸縮可能な伸縮シートである。図6は、展開した状態における外装シート4の一部を示す図であり、エンドシート5および第2シート42を取り除いて外装シート4の内部を示している。図7は、外装シート4を図6中のVII-VIIの位置で切断した断面図であり、図8は、外装シート4を図6中のVIII-VIIIの位置で切断した断面図である。図7および図8では、エンドシート5を省略している。図6では、外装シート4を中間弾性部材451の長手方向(物品幅方向)に伸張した状態を示し、図7および図8では、複数の中間弾性部材451が収縮した状態を示している。図6ないし図8では、複数の中間弾性部材451の一方の端部近傍を示しているが、他方の端部近傍も同様の構造である。
既述のように、外装シート4は、第1シート41と、第2シート42とを備える。図6および図7に示すように、第1シート41および第2シート42は、複数の接合部46において互いに部分的に接合される。第2シート42を取り除いた図6では、細線の矩形にて接合部46を示している。好ましい外装シート4では、各接合部46は、第1シート41と第2シート42との溶着部であり、例えば、超音波接合または熱融着接合により形成される。この場合、接合部46では、第1シート41および第2シート42を構成する材料以外の物質(接着剤等)は存在しない。もちろん、第1シート41および第2シート42において、接合部46以外にて接着剤が用いられてもよい。吸収性物品1の設計によっては、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いて接合部46が形成されてもよい。
複数の接合部46は、物品長手方向および物品幅方向(図6中の縦方向および横方向)に配列される。詳細には、2つの接合部46が接合部対47として物品長手方向に互いに隣接して設けられる。また、複数の接合部対47が接合部対列48として、物品幅方向に一列に並べられ、複数の接合部対列48が物品長手方向に配列される。図6の例では、各接合部対列48において複数の接合部対47が物品幅方向に一定間隔にて配置されるが、接合部対47の間隔は一定でなくてもよい。また、複数の接合部対列48は物品長手方向に一定間隔にて配置されるが、接合部対列48の間隔は一定でなくてもよい。
外装シート4では、各中間弾性部材451が、1つの接合部対列48に含まれる各接合部対47の間の隙間に配置される。詳細には、図7に示すように、接合部対47の間には、中間弾性部材451を全周に亘って囲む環状部471が、第1シート41および第2シート42により形成される。各中間弾性部材451は、接合部対列48に含まれる複数の接合部対47における環状部471により保持される。外装シート4を物品幅方向に伸張した状態において、各中間弾性部材451と環状部471との間には、ある程度の隙間が設けられる。本実施の形態では、中間弾性部材451が収縮して太くなった状態においても、図7に示すように、中間弾性部材451と環状部471との間に隙間が設けられる。外装シート4の設計によっては、中間弾性部材451が収縮した状態において、中間弾性部材451が環状部471と密着してもよい。典型的には、接合部対47の間の隙間の幅は、複数の(全ての)接合部対47においてほぼ同じであるが、異なっていてもよい。
図6および図8に示すように、中間弾性部材451の各端部には、抜止部452が設けられる。抜止部452は、中間弾性部材451の当該端部に付着する付着物である。例えば、抜止部452は樹脂により形成される。本実施の形態では、抜止部452はホットメルト接着剤等の接着剤が硬化したものである。抜止部452は、中間弾性部材451に強固に付着する。物品幅方向における抜止部452の長さは、例えば接合部対47の間の隙間の幅よりも大きい。図6の抜止部452の長さは、物品幅方向に隣接する2つの接合部対47間の距離よりも小さい。
後述する外装シート4の製造では、抜止部452となる接着剤は、硬化後に第1シート41および第2シート42と接触する。抜止部452は、第1シート41および第2シート42と非接合であり、硬化後の抜止部452は、第1シート41および第2シート42に対する粘着性を有していない。また、抜止部452となる接着剤は、硬化後に切断されるため、抜止部452は、切断痕を有する。抜止部452は、弱粘着性を有してもよい。弱粘着性を有する抜止部452は、第1シート41または/および第2シート42と粘着するが、ある程度の力(例えば、物品幅方向に伸張した状態で中間弾性部材451に生じる収縮力)により当該シートから剥がれる。弱粘着性を有する抜止部452は、例えば、α-オレフィン系、SIS系、SBS系、SEBS系等の各種ホットメルト接着剤のうち低粘着付与剤(粘着付与樹脂30重量%以下)を含む接着剤が硬化したものである。抜止部452は、例えば中間弾性部材451の外周面の半周以上に亘って付着し、好ましくは、ほぼ全周に亘って付着する。
図6に示すように、抜止部452は、物品幅方向において最も外側に配置される接合部対47(以下、「最外接合部対47」という。)に対してさらに外側に配置される。図6では、図1および図2の接合端部13の一部となる帯状領域49を示しており、抜止部452は、最外接合部対47と帯状領域49との間に配置される。例えば、中間弾性部材451の長手方向に垂直な面における抜止部452の断面の面積の最大値は、略円形とした環状部471の断面の面積よりも大きい。
複数の中間弾性部材451が収縮した状態では、各抜止部452は最外接合部対47と接触し、抜止部452の最外接合部対47よりも内側(帯状領域49とは反対側)への移動が防止または抑制される。図8では、最外接合部対47の位置における第1シート41および第2シート42の断面を破線にて示している。図6に示すように、外装シート4を物品幅方向に伸張した状態においても、抜止部452は最外接合部対47と接触し、抜止部452は最外接合部対47よりも内側へは移動しない。以上のように、外装シート4では、中間弾性部材451が最外接合部対47の間から抜けることを防止または抑制する抜止構造が実現されている。なお、抜止部452の一部が最外接合部対47の間に入り込んでもよい。
次に、上記抜止構造を有する外装シート4の製造方法について説明する。図9は、外装シート4を製造する製造装置7の構成を示す図である。以下の説明では、上記抜止構造の形成について注目するため、外装シート4の製造における抜止構造の形成以外の工程(脚部弾性部材431、胴部弾性部材441およびエンドシート5の接合や、脚部開口12に対応する開口の形成等)については省略している。実際の製造装置7は、図9よりも複雑な構造を有し、複雑な動作が行われる。
図9に示すように、製造装置7は、付着部形成部71と、接合部形成部8と、後工程部72とを備える。付着部形成部71は、所定の付着材料を吐出するノズルを有し、複数の弾性部材連続体93に当該付着材料を塗布する。付着材料は、抜止部452となる予定のものであり、本実施の形態では、ホットメルト接着剤等の接着剤である。後工程部72は、接合部形成部8により作製される後述の積層シート連続体90に対して、切断等の処理を行って、外装シート4を完成させる。
接合部形成部8は、アンビルロール81と、超音波振動部82とを備える。アンビルロール81は、中心軸J1を中心とする略円筒状の外周面811を有する。アンビルロール81は、回転機構(図示省略)に接続されており、回転機構によりアンビルロール81が中心軸J1を中心として一定速度にて回転する。図9の例では、アンビルロール81は中心軸J1を中心として時計回りに回転する。アンビルロール81の外周面811には、第1シート連続体91、複数の弾性部材連続体93および第2シート連続体92が順に重ねられる。第1シート連続体91、弾性部材連続体93および第2シート連続体92はいずれも長尺の部材であり、それぞれの一部が第1シート41、中間弾性部材451および第2シート42となる。
図10は、アンビルロール81の外周面811の一部を示す図である。図10中の横方向は、アンビルロール81の中心軸J1に平行な軸方向であり、図10中の縦方向は、中心軸J1を中心とする周方向に沿う。アンビルロール81の外周面811には、複数の凸部86が設けられる。後述するように、各凸部86を利用して、外装シート4における接合部46(図6参照)が形成される。
複数の凸部86は、軸方向および周方向に配列される。詳細には、2つの凸部86が凸部対87として軸方向に互いに隣接して設けられる。また、複数の凸部対87が凸部対列88として、周方向に一列に並べられ、複数の凸部対列88が軸方向に配列される。図10の例では、外周面811において軸方向に広がる一部の領域812を除き、各凸部対列88における複数の凸部対87が、周方向に一定間隔にて配置される(異なる間隔で配置されてもよい。)。一方、当該領域812には、凸部86が配置されない。以下、当該領域812を「凸部不存在領域812」という。なお、図10の例では、複数の凸部対列88が軸方向に一定間隔にて配置されるが、凸部対列88の間隔は一定でなくてもよい。
図11は、アンビルロール81の断面図であり、中心軸J1を含む面における複数の凸部対87の断面を示している。図11中の横方向は軸方向であり、図11中の縦方向は中心軸J1を中心とする径方向である。既述のように、アンビルロール81の外周面811には、第1シート連続体91および複数の弾性部材連続体93が順に重ねられる。複数の弾性部材連続体93は、互いに略平行な状態で軸方向に配列されており、図10中に二点鎖線にて示すように、軸方向において複数の凸部対列88と同じ位置に配置される。図11に示すように、外周面811上において第1シート連続体91に重ねられた各弾性部材連続体93は、一の凸部対列88に含まれる凸部対87(互いに隣接する2つの凸部86)の間に第1シート連続体91を介して配置される。このように、外周面811上では、弾性部材連続体93が、凸部対列88に含まれる凸部対87の間に挟まれて保持される。
図9に示すように、超音波振動部82は、アンビルロール81の外周面811に対向するヘッド821を有する。超音波振動部82の近傍では、複数の弾性部材連続体93を挟むようにして、第1シート連続体91上に第2シート連続体92が重ねられる。超音波振動部82は、ヘッド821を介して第1シート連続体91および第2シート連続体92に超音波振動を付与し、第1シート連続体91と第2シート連続体92とを互いに接合する。以下の説明では、互いに接合された第1シート連続体91および第2シート連続体92を、「積層シート連続体」という。図9では、積層シート連続体に符号90を付している。積層シート連続体90は、複数の弾性部材連続体93も含む。積層シート連続体90の長手方向は、第1シート連続体91、第2シート連続体92および複数の弾性部材連続体93の長手方向と同じである。
図12は、外装シート4の製造の流れを示す図である。外装シート4の製造では、図9の製造装置7において、第1シート連続体91、複数の弾性部材連続体93および第2シート連続体92が、一定速度にて連続的に搬送される。付着部形成部71に対向する位置では、複数の弾性部材連続体93は同一方向に延びて互いに略平行であり、所定の伸張率にて伸張されている。図12では、長手方向における弾性部材連続体93の一の部位に係る処理を示しており、実際には、長手方向における複数の部位に対して図12の処理が順次行われる。
付着部形成部71は、複数の弾性部材連続体93において所定の間隔(図9の例では、一定の間隔)にて付着材料を塗布し、付着させる。付着材料は、例えばホットメルト接着剤等の熱可塑性樹脂である。付着材料は、短時間にて硬化し、付着部931となる。このように、付着部形成部71では、各弾性部材連続体93に対して複数の付着部931が順次形成される(ステップS11)。後述するように、付着部931が半分に分割されて抜止部452となるため、本実施の形態における付着部931の長さは、抜止部452の長さの2倍である。本実施の形態では、付着部931が設けられる間隔は、物品幅方向における吸収性物品1の幅とほぼ同じである。付着部形成部71では、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等が付着材料として用いられ、硬化した付着部931が迅速に得られてもよい。付着材料が、迅速に硬化させることが可能な樹脂を含むことにより、付着部931を容易に形成することができる。
回転するアンビルロール81の外周面811には、第1シート連続体91(の順次搬送される部位)が重ねられ、続いて、付着部931が形成された複数の弾性部材連続体93が重ねられる。外周面811上では、各弾性部材連続体93は、一の凸部対列88に含まれる凸部対87の間に第1シート連続体91を介して配置される。このとき、図10中に二点鎖線にて示すように、当該弾性部材連続体93に形成された付着部931は、凸部不存在領域812に配置される。好ましくは、付着部931は、周方向における凸部不存在領域812の中央に配置される。付着部931は、硬化した状態であるとともに、粘着性を有しないため、第1シート連続体91に接合されることはない。
硬化後の付着部931は、弱粘着性を有してもよく、この場合、付着部931が第1シート連続体91に弱く粘着し、第1シート連続体91上における弾性部材連続体93の位置がずれにくくなる。また、後述のように第2シート連続体92を重ねた際にも、弱粘着性の付着部931により、第1シート連続体91と第2シート連続体92との相対的な位置がずれにくくなる。なお、アンビルロール81の外周面811に複数の吸引孔が設けられ、外周面811上の第1シート連続体91(および第2シート連続体92)が吸引により保持されてもよい。
図9のアンビルロール81の外周面811上の第1シート連続体91および複数の弾性部材連続体93は、外周面811と同じ方向に同じ速度で移動する(後述の第2シート連続体92において同様)。外周面811上の第1シート連続体91および複数の弾性部材連続体93が、アンビルロール81の回転により超音波振動部82の近傍まで到達すると、第1シート連続体91および複数の弾性部材連続体93に対して、第2シート連続体92が重ねられる。外周面811上では、伸張状態の弾性部材連続体93が周方向に沿って延びており、第1シート連続体91および第2シート連続体92も弾性部材連続体93に沿って延びる。
その後、第1シート連続体91と第2シート連続体92との間に弾性部材連続体93を配置した状態で、第1シート連続体91および第2シート連続体92が、超音波振動部82のヘッド821とアンビルロール81との間を通過する。このとき、ヘッド821により、第1シート連続体91および第2シート連続体92に超音波振動が付与される。これにより、第1シート連続体91および第2シート連続体92において、凸部86(図11参照)と対向する領域が、超音波振動により溶着する。図11では、二点鎖線によりヘッド821および第2シート連続体92を示している。凸部86と対向する当該領域は、外装シート4における接合部46(図6参照)となる。弾性部材連続体93は、凸部対87の間の凹部に配置されるため、原則として超音波振動の影響を受けない。
以上のようにして、接合部形成部8では、第1シート連続体91と第2シート連続体92とを部分的に接合する複数の接合部46が形成される(ステップS12)。互いに接合された第1シート連続体91および第2シート連続体92(すなわち、積層シート連続体90)は、アンビルロール81から離れて、後工程部72へと搬送される。
図13は、積層シート連続体90の一部を示す図であり、第2シート連続体92を取り除いて積層シート連続体90の内部を示している。図13では、細線の矩形にて接合部46を示している(後述の図14において同様)。図13中の横方向は、積層シート連続体90の長手方向であり、図13中の縦方向は、長手方向に垂直な積層シート連続体90の幅方向である。
図10を参照して説明したように、各弾性部材連続体93の付着部931は、アンビルロール81の凸部不存在領域812に配置されるため、図13に示す積層シート連続体90においても、付着部931は、接合部46の不存在領域901(以下、「接合部不存在領域901」という。)に配置される。接合部不存在領域901は、アンビルロール81上において凸部不存在領域812と重なっていた領域である。なお、図3の外装シート4では、前方部401および後方部403のみに接合部46および中間弾性部材451が設けられるため、幅方向における積層シート連続体90の全体に接合部46および弾性部材連続体93が設けられる訳ではない。
後工程部72では、積層シート連続体90(の順次搬送される部位)が、幅方向の略中央において長手方向に延びる折曲線にて折り曲げられ、折曲線の一方側の部位と、他方側の部位とが重ねられる。続いて、図13中に二点鎖線にて示すように、接合部不存在領域901に設定される接合領域902において、当該一方側の部位と当該他方側の部位とが互いに接合される(ステップS13)。接合領域902は、長手方向における接合部不存在領域901の中央に位置することが好ましい。本実施の形態では、接合領域902に対して熱融着接合が行われる。
このとき、付着部931が接合領域902と重なるが、実際には、熱融着接合を行う加熱部が付着部931を避けた領域に対して熱を付与するため、付着部931が溶融することはない。図13の例では、付着部931の両端部が接合領域902の外側に位置しており、付着部931の全体が溶融することがより確実に防止される。付着部931が溶融しない場合には、加熱部が付着部931と重なる領域に対して熱を付与してもよい。また、接合領域902に対して、超音波接合等が行われてもよく、付着部931と重ならない領域において接着剤による接合が行われてもよい。
その後、後工程部72では、接合部不存在領域901に位置する、幅方向に略平行な切断線903(図13中に一点鎖線にて示す。)にて積層シート連続体90が切断され、積層シート連続体90の一部が分離される(ステップS14)。図14は、展開した状態(接合領域902にて接合された部位同士を分離した状態)における積層シート連続体90の一部を示す図であり、第2シート連続体92を取り除いて積層シート連続体90の内部を示している。
図14に示すように、分離された積層シート連続体90の各部位が、抜止構造を有する外装シート4(図6参照)となる。切断されて分離された第1シート連続体91、第2シート連続体92および弾性部材連続体93の部位は、それぞれ、外装シート4の第1シート41、第2シート42および中間弾性部材451となる。図13に示すように、切断線903が、接合領域902および付着部931と重なる。積層シート連続体90では、接合領域902が切断線903にて2つに分割されて、接合端部13の一部である帯状領域49となる。また、付着部931が切断線903にて2つに分割されて抜止部452となる。
図13中の各付着部931に注目すると、弾性部材連続体93において当該付着部931よりも一方側の部位、および、他方側の部位のそれぞれは、接合部対47の間に配置される。したがって、上記のように積層シート連続体90(第1シート連続体91、第2シート連続体92および弾性部材連続体93)を切断することにより、弾性部材連続体93における当該一方側の部位および他方側の部位が収縮する。これにより、図14に示すように、当該付着部931、正確には、分割された付着部931の2つの部位(2つの抜止部452)が、それぞれ接合部対47と接触する。なお、付着部931が弱粘着性を有する場合でも、原則として、弾性部材連続体93の収縮力により、当該付着部931は接合部対47と接触する。
図14の例では、積層シート連続体90の切断により各付着部931が分割されるが、外装シート4の設計によっては、各接合部不存在領域901において付着部931を避けた切断線にて積層シート連続体90が切断されてもよい。この場合、切断線に対して当該付着部931とは反対側の近傍において、弾性部材連続体93が第1シート連続体91および/または第2シート連続体92に予め接合されて固定される。また、各付着部931が、弾性部材連続体93の長手方向に僅かに離れた2つの付着部要素として(すなわち、予め分割された状態で)形成されてもよい。この場合、積層シート連続体90の切断線は、当該2つの付着部要素の間に設定される。以上のように、ステップS14では、外装シート4の設計に合わせて予め定められた位置にて、積層シート連続体90が切断される。
以上に説明したように、伸縮シートである図6の外装シート4では、第1シート41と第2シート42との間において一の方向に延びる中間弾性部材451が設けられる。中間弾性部材451では、当該一の方向における一の端部よりも内側の部位が、互いに隣接する2つの接合部46(最外接合部対47)間に配置される。また、中間弾性部材451の当該端部には、抜止部452が付着しており、中間弾性部材451が収縮した状態において抜止部452が当該2つの接合部46と接触する。これにより、外装シート4において、中間弾性部材451の当該端部が当該2つの接合部46間から抜けて中間弾性部材451の収縮力が失われることを防止または抑制することができる。
また、中間弾性部材451において、他の端部よりも内側の部位が、互いに隣接する他の2つの接合部46(最外接合部対47)間に配置される。中間弾性部材451の当該他の端部には、他の抜止部452が付着しており、中間弾性部材451が収縮した状態において当該他の抜止部452が当該他の2つの接合部46と接触する。これにより、中間弾性部材451の両端部のそれぞれが、最外接合部対47の間から抜けることを防止または抑制することができる。なお、外装シート4の設計によっては、中間弾性部材451の一方の端部のみに抜止部452が設けられ、他方の端部が接着剤等により固定されてもよい。
外装シート4では、抜止部452が、第1シート41および第2シート42と非接合である。これにより、外装シート4において最外接合部対47の外側の部位を、中間弾性部材451による弾性が作用しない非収縮部とすることができる。その結果、吸収性物品1において当該外側の部位であり、比較的剛性が高い接合端部13(帯状領域49の部分)が着用者の肌に食い込むことを抑制することができる。
好ましい外装シート4では、各接合部46が、第1シート41と第2シート42との溶着部である。このように、第1シート41と第2シート42との接合において接着剤を用いないことにより、外装シート4におけるゴワゴワ感を抑制することができる。また、中間弾性部材451の両端部間における部分が、接合部対47の間に配置され、接着剤を用いることなく保持される。これにより、外装シート4において使用する接着剤の量を削減するとともに、外装シート4におけるゴワゴワ感をさらに抑制することができる。中間弾性部材の両端部間における部分を仮に接着剤で接着する場合、中間弾性部材の伸縮が当該接着剤により阻害されることがあるが、両端部間における部分が接着されない中間弾性部材451では、伸縮が阻害されることが防止される。
伸縮シートである外装シート4の製造では、一の方向に延びる弾性部材連続体93において一定の間隔にて付着材料を付着させることにより、複数の付着部931が形成される。続いて、弾性部材連続体93に沿って延びる第1シート連続体91と第2シート連続体92との間に弾性部材連続体93を伸張状態で配置しつつ、第1シート連続体91と第2シート連続体92とを部分的に接合する複数の接合部46が形成される。このとき、弾性部材連続体93において各付着部931よりも一方側の部位は、互いに隣接する2つの接合部46(接合部対47)間に配置される。そして、第1シート連続体91、第2シート連続体92および弾性部材連続体93を所定位置にて切断することにより、当該付着部931が当該2つの接合部46と接触する。これにより、中間弾性部材451の抜止構造を有する外装シート4を容易に製造することができる。
ところで、特開2008-154998号公報および国際公開第2018/154685号(上記特許文献1および2)のように、弾性部材を伸張した状態で接合部間に配置し、収縮して直径が大きくなった弾性部材を接合部間で挟んで固定する場合、弾性部材の太さや伸長率を変更するときには、接合部間の隙間の幅も変更する必要がある。この場合、製造装置において接合部を形成するための部品(アンビルロール等)を交換する必要があり、作業が繁雑となる。
これに対し、上記外装シート4の製造では、中間弾性部材451の太さや伸長率を変更する場合であっても、必要に応じて付着部形成部71における付着材料の塗布量を変更するのみで、上記抜止構造を実現することが可能である。このように、接合部対47の間の隙間の幅を変更する必要がないため、煩雑な作業を行うことなく、外装シート4を容易に製造することができる。
上記外装シート4の製造では、第1シート連続体91と第2シート連続体92との間に配置される付着部931が硬化した状態である。これにより、第1シート41および第2シート42と非接合である抜止部452を容易に形成することができる。また、第1シート連続体91、第2シート連続体92および弾性部材連続体93が、付着部931を分割する位置にて切断され、切断痕を有する抜止部452が形成される。このように、付着部931を切断することにより、2つの抜止部452を同時に、かつ、効率よく形成することが可能である。
上述の例では、中間弾性部材451において、最外接合部対47のみに接触する抜止部452が設けられるが、最外接合部対47に加えて他の接合部対47にも接触する抜止部452が設けられてもよい。図15Aの例では、物品幅方向(中間弾性部材451の長手方向)に並ぶ2以上の接合部対47に接触する抜止部452が、中間弾性部材451の端部に設けられる。物品幅方向における抜止部452の長さは、例えば、吸収性物品1の幅の1/4以下である。このように、2以上の接合部対47に接触する抜止部452を設けることにより、中間弾性部材451の端部が、当該2以上の接合部対47から抜けて中間弾性部材451の収縮力が失われることを、より確実に防止または抑制することができる。
ところで、図15Aの外装シート4の製造では、付着部931(切断前の抜止部452)が、第1シート連続体91を介してアンビルロール81の凸部86と部分的に重なる(図11参照)。この場合に、凸部86と付着部931とが重なる部分において、第1シート連続体91と第2シート連続体92との接合不良が生じる場合でも、付着部931と重ならない部分では当該凸部86により接合部46が形成されるため、当該接合部46を含む接合部対47の間の隙間は、抜止部452の通過を阻害する幅となる(後述の図15Bおよび図15Cの例において同様)。したがって、中間弾性部材451が収縮した状態においても、抜止部452と当該接合部対47とが接触した状態が維持される。その結果、抜止部452が当該接合部対47間から抜けて中間弾性部材451の収縮力が失われることが防止または抑制される。抜止部452(付着部931)は、粘着性を有していない、または、弱粘着性を有していることが好ましい(後述の図15Bおよび図15Cの例において同様)。既述のように、付着部931が弱粘着性を有している場合、外装シート4の製造時における弾性部材連続体93の位置ずれを抑制することができる。
中間弾性部材451の収縮力等によっては、図15Bに示すように、外装シート4において、抜止部452が最外接合部対47から抜けている状態となることも考えられる。この場合でも、抜止部452が最外接合部対47よりも内側のいずれかの接合部対47に接触することにより、中間弾性部材451の収縮力(外装シート4を物品幅方向に伸張した状態での収縮力)が所定値以下となることが防止または抑制される。外装シート4を伸張した状態において、中間弾性部材451の伸張率が、例えば1.1倍以上である状態が保たれていれば、中間弾性部材451の収縮力が失われていないと捉えることが可能である。外装シート4では、物品幅方向における端部から、外装シート4の幅(吸収性物品1の幅)の1/4の範囲内に位置する接合部対47を超えて、抜止部452が抜けないことが好ましい。図15Bの例において、抜止部452よりも内側に位置する接合部対47間の隙間の幅をより小さくすることにより、抜止部452が当該接合部対47間から抜けることがより確実に防止または抑制されてもよい(図15Aおよび図15Cの例において同様)。
図15Cに示すように、中間弾性部材451の一の端部側、すなわち、中間弾性部材451の中央から当該端部までの部位において、当該端部から離れた位置に抜止部452aが設けられてもよい。図15Cの上段の中間弾性部材451では、抜止部452または/および抜止部452aがいずれかの接合部対47と接触することにより、中間弾性部材451の収縮力が失われることが防止または抑制される。図15Cの下段の中間弾性部材451では、端部の抜止部452が省略されており、抜止部452aがいずれかの接合部対47と接触することにより、中間弾性部材451の収縮力が失われることが防止または抑制される。
以上のように、外装シート4において、中間弾性部材451の一の端部が2つの接合部46間から抜ける等して、中間弾性部材451の収縮力が失われることを防止または抑制するには、中間弾性部材451の一の端部側に付着し、中間弾性部材451が収縮した状態において2つの接合部46と接触する抜止部が設けられていればよい。中間弾性部材451の他の端部側においても同様である。なお、抜止部452aを有する外装シート4の製造では、抜止部452aとなる付着部931が、アンビルロール81の凸部86と重なる位置に形成されてよく(図15C中の実線の抜止部452a参照)、凸部86と重ならない位置に形成されてもよい(図15C中の下段の中間弾性部材451における破線の抜止部452a参照)。
上記外装シート4、吸収性物品1および外装シート4の製造では様々な変形が可能である。
図16に示すように、前方部401において、中間弾性部材451が両側部のみに設けられてもよい(後方部403において同様)。図16の例では、吸収コアを含むとともに、物品長手方向に延びる吸収部20aの端部が、物品幅方向に延びる前部外装シート4aの中央部に接合され、前部外装シート4aにおいて、物品幅方向の各端部と吸収部20aとの間に、中間弾性部材451が配置される。各中間弾性部材451は、前部外装シート4aの第1シート41と第2シート42との間に位置する(図5参照)。また、中間弾性部材451は、物品幅方向に並ぶ複数の接合部対47により保持される。中間弾性部材451の各端部には、抜止部452が設けられる。中間弾性部材451が収縮した状態において、前部外装シート4aの端部側(物品幅方向外側)の抜止部452は、当該端部近傍に位置する接合部対47と接触する。吸収部20a側の抜止部452は、吸収部20a近傍に位置する接合部対47と接触する。これにより、中間弾性部材451の各端部が接合部対47の間から抜ける等して、中間弾性部材451の収縮力が失われることが防止または抑制される。
また、上記抜止構造は、中間弾性部材451以外の弾性部材に対して用いられてもよい。例えば、上記抜止構造を胴部弾性部材441に対して用いる場合には、第1シート41の折り返し部411と対向部412(図5参照)との間に複数の接合部46が形成され、胴部弾性部材441に抜止部が形成される。このように、1つのシートを折り返し、互いに対向する2つの部位をそれぞれ第1シートおよび第2シートとして、上記抜止構造が形成されてもよい。
また、上記抜止構造は、外装シート4以外のシートにおいて用いられてもよい。例えば、図4に示すサイドシート3において、側壁部弾性部材35に対して上記抜止構造を用いることも可能である。このように、吸収性物品1に用いられる様々な伸縮シートにおいて、上記抜止構造は利用可能である。
上記実施の形態では、付着部931が付着材料のみにより形成されるが、例えば、所定の部材(例えば、固体部材)を付着材料により弾性部材連続体93に付着させることにより、付着部931が形成されてもよい。すなわち、抜止部452,452aは、中間弾性部材451に所定の部材を付着させることにより形成されてもよい。
抜止部452,452aが、接合部対47とほぼ接触した状態で、第1シート41および/または第2シート42と接合されていてもよい。この場合、抜止部452,452aと、第1シート41および/または第2シート42との接合が外れたときでも、抜止部452,452aにより中間弾性部材451の端部が当該接合部対47の間から抜けることが防止または抑制される。
上記抜止構造を有する伸縮シートは、パンツタイプの使い捨ておむつ以外の様々な吸収性物品(例えば、テープタイプの使い捨ておむつ、補助吸収具、失禁パッドまたは生理用品)において用いられてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。