[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP7072452B2 - 光硬化性組成物 - Google Patents

光硬化性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP7072452B2
JP7072452B2 JP2018124318A JP2018124318A JP7072452B2 JP 7072452 B2 JP7072452 B2 JP 7072452B2 JP 2018124318 A JP2018124318 A JP 2018124318A JP 2018124318 A JP2018124318 A JP 2018124318A JP 7072452 B2 JP7072452 B2 JP 7072452B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
acrylate
cured product
photocurable composition
refractive index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018124318A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020002291A (ja
Inventor
誠一郎 早川
亨 金
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
O Well Corp
Original Assignee
O Well Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by O Well Corp filed Critical O Well Corp
Priority to JP2018124318A priority Critical patent/JP7072452B2/ja
Publication of JP2020002291A publication Critical patent/JP2020002291A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7072452B2 publication Critical patent/JP7072452B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Description

本発明は、レンズ形成用の光硬化性組成物であり、光硬化して得られる硬化物が高アッベ数である光硬化性組成物に関する。
従来、レンズ形成用の材料として、ガラスや樹脂等の透明材料が使用されている。近年、ディスプレイ、サイネージ、イメージングセンサ、光通信、太陽電池、照明等の光関連産業の進展と共に、各種レンズが必要とされており、特に軽量化や成形性の向上を目的として、熱可塑性樹脂や光/熱硬化性樹脂等の各種透明樹脂が開発されている。
更に、光学系全体を薄型化するためや、高度な光機能を達成するために、ガラスに樹脂を積層したハイブリッドレンズも見受けられる。かかるハイブリッドレンズは、ガラスのみでは成形が困難な非球面形状や微細形状を、表面の樹脂に形成したものであり、製造法的には、通常、平坦なガラス、または比較的単純な曲率を有するガラスを基材とし、光硬化性組成物を用いた光インプリント法で、基材表面に非球面形状や微細形状を有する樹脂層を形成する。熱硬化性組成物や熱可塑性樹脂を用いた熱インプリント法も採用されているが、かかる熱インプリント法は、一般的に、長時間を要するため、生産性に劣る傾向にある。なお、通常、積層される樹脂層の厚みは、数μm~数百μmである。
かかる光インプリント法は、具体的には、基材と成形型の間隙で、比較的低粘度な液状の光硬化性組成物を光硬化し、成形型のみを剥離(脱型)することで、基材/光硬化性樹脂(硬化物)よりなる積層体を得る製造方法である。成形型の表面に、非球面形状、フレネルレンズ形状、テクスチャー形状、周期的な凹凸を有するレンチキュラー形状、曲率を有するマイクロレンズ形状等を付与しておけば、硬化物表面に転写することができる。一般的に、ガラス表面を、切削や研磨等の機械的な手法で、非球面加工や微細加工するのは困難であり、またウェット/ドライエッチングで微細加工する手法は、高価、かつ大面積化や量産化が困難である。しかし、光インプリント法を用いれば、精度良く、かつ生産性良く、非球面加工や微細加工が施されたレンズを製造することができる。また、かかる光インプリント法を用いると、ガラス/光硬化性樹脂(硬化物)の積層体に、更に別の光硬化性樹脂を積層することが可能であり、かかる積層体により多数のレンズを1つのレンズに集約して、光学系を薄型化できる。
なお、上述した成形型の剥離性、微細転写性、基材/光硬化性樹脂の密着性等を総称して、光インプリント性と呼ばれることがある。
一方、上述した各種透明樹脂には、透明性、低光学歪、低比重はもとより、屈折率やアッベ数等の光学性能が重要であり、近年のレンズの多様化から、極端な高屈折率や低屈折率、あるいは極端な低アッベ数や高アッベ数な樹脂が必要とされている。例えば、裸眼3Dを可能にする光学素子の中には、高屈折率な樹脂レンズと低屈折率な樹脂レンズを積層するものが存在するが、かかる光学素子を製造するには、屈折率差が0.1以上ある高/低屈折率樹脂が必要であり、更に、広い波長領域で裸眼3Dを可能にするため、両樹脂には高アッベ数(低色分散)が求められる。
なお、アッベ数とは、屈折率の波長依存性を表す値であり、一般的には、JIS Z 8120に準じ、486nmにおける屈折率nF、589nmにおける屈折率nD、656nmにおける屈折率nCから、下記式2に従って算出されるアッベ数νDが用いられる。
〔式2〕アッベ数νD=(nD-1)/(nF-nC)
これらの中でも、極端な高アッベ数、すなわち色分散が極度に少ない樹脂への要望は強く、具体的には、アッベ数νD55以上の樹脂が求められている。更に、ハイブリッドレンズにおいては、高アッベ数のみならず、空気層との界面反射の低減を目的として、極端に低屈折率な光インプリント材料も要望されている。具体的には、アッベ数νDが55以上で、かつ屈折率nDが1.5以下の硬化物を形成する光硬化性組成物である。
かかる要望の背景として、従来、レンズ形成用の樹脂は、単レンズとしての短焦点化や低色分散化を目的として、高屈折率かつ高アッベ数なものを中心に開発されてきた。しかし、近年のハイブリッドレンズには、逆に、低屈折率かつ極端に高アッベ数な樹脂も要望されているのが実情である。
なお、一般的に、透明樹脂のアッベ数νDは30~60程度で有り、例えば、透明材料として汎用されるポリカーボネート樹脂(PC)のアッベ数νDは30、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)のアッベ数νDは39、シクロオレフィンポリマー(COP)のアッベ数νDは57、アクリル樹脂(PMMA)のアッベ数νDは58である。また、一般的に、透明樹脂の屈折率nDは、1.5~1.7程度である。
かかる高アッベ数な樹脂としては、フッ素系樹脂が知られている。フッ素系樹脂の中には、透明性の高いものも存在するが、通常、薄膜を形成するコーティング材料であり、比較的厚みのあるレンズを形成するのは困難である。また、フッ素化アルキル基を有するアクリレート系化合物やエポキシ系化合物は、光/熱硬化が可能であるが、一般的に、硬化性が悪いため、得られる硬化物の屈折率やアッベ数が安定せず、更に、撥水撥油性が災いして、ガラス等の基材に密着せず、かつ、成形型表面からはじかれやすいため、高精度な非球面形状や微細形状を有するハイブリッドレンズの製造は困難である。
更に、近年、高アッベ数かつ低屈折率に加えて、部分分散比を制御した樹脂が求められている。部分分散比とは、特定の波長域における屈折率の波長依存性を表す値であり、例えば、青色領域の部分分散比θgFは、436nmにおける屈折率nG、486nmにおける屈折率nF、656nmにおける屈折率nCから、下記式3に従って算出される。
〔式3〕部分分散比θgF=(nG-nF)/(nF-nC)
同様にして、赤色領域の部分分散比θcTは、486nmにおける屈折率nF、656nmにおける屈折率nC、1014nmにおける屈折率nTから、下記式4に従って算出される。
〔式4〕部分分散比θcT=(nC-nT)/(nF-nC)
同様にして、部分分散(nF-nC)を分母として、各波長域での部分分散比が定義される。
部分分散比の中でも、青色領域の部分分散比θgFは重要であり、ディスプレイやイメージングセンサの精細性を向上するには、高い部分分散比θgFを有するレンズ材料が必要となっている。しかしながら、かかる部分分散比θgFを向上させるのは、アッベ数の向上よりも困難を極める。その理由は、青色436nmの屈折率nGのみを高める組成設計が必要なためである。特に、高アッベ数かつ低屈折率でありながら、高い部分分散比θgFな樹脂は知られていないのが現状である。幅広い光学性能を有するガラスですら、アッベ数νD55以上かつ屈折率nD1.5以下で、部分分散比θgFが0.5以上のものはわずかしか存在せず、発明者等の知る限り、市販ガラスでの最大値は0.54である。
このような状況下、高アッベ数なレンズを形成する材料として、特定の(メタ)アクリレートを単独重合、または他の単量体と共重合してなる光学用樹脂材料が提案されている(例えば、特許文献1。)。
また、特定のジ(メタ)アクリレートを含有する光/熱硬化性組成物を重合硬化させたレンズが提案されている(例えば、特許文献2。)。
また、特定のジ(メタ)アクリレートを含有する熱硬化性組成物を重合させることにより得られる低屈折率かつ高アッベ数の光学用プラスチックが提案されている(例えば、特許文献3。)。
また、特定の光硬化性組成物が、光インプリントが可能で高アッベ数な硬化物を与えることが開示されている(例えば、特許文献4。)。
また、特定の光硬化性組成物が、高アッベ数かつ低屈折率な硬化物を与えることが開示されている(例えば、特許文献5、6。)。
また、特定の組成物が、高アッベ数かつ低屈折率な硬化物を与えることが開示されている(例えば、特許文献7。)。
また、金属酸化物微粒子を含有する特定の光硬化性組成物が、高アッベ数かつ低屈折率な硬化物を与え、ハイブリッドレンズの形成に有用であることが開示されている(例えば、特許文献8。)。
また、特定の光硬化性組成物が、屈折率の調整に有用であり、積層型光学部材の製造に有用であることが開示されている(例えば、特許文献9。)。
また、光インプリント用光硬化性組成物として、転写精度に優れた光硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献10。)。
特開昭61-73705号公報 特開平2-141702号公報 特開平4-366115号公報 特開2010-150489号公報 特開2017-141356号公報 特開2017-141357号公報 特表2003-506499号公報 特表2011-237491号公報 特開2009-48184号公報 特開2013-36027号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている熱可塑性樹脂では、光インプリント法でレンズを形成することができない。原料となるモノマーも単官能アクリレートであるため、光硬化で硬化物を得ることは困難である。更に、高アッベ数ではあるものの屈折率が高いため、近年の光学設計に応えるのは困難である。
また、特許文献2に開示されている光/熱硬化性組成物を用いても、アッベ数の最大値は54であり、かつ高屈折率である。更に、比重が1.2以上あるため、レンズの軽量化は困難である。
また、特許文献3に開示されている熱硬化性組成物を用いても、アッベ数35未満のプラスチックしか得られず、屈折率も1.5を超えるものである。更に、フッ素化アルキル基を含有するモノマーを必須成分とするため、光硬化は困難であり、熱硬化でも長時間を要するものである(実施例は16時間)。
また、特許文献4に開示されている光硬化性組成物を用いると、アッベ数56の硬化物が得られるものの、光硬化に多大な光量と時間を要し(実施例は15Jで約8分間)、生産性に劣るものである。
また、特許文献5や6に開示されている光硬化性組成物を用いると、アッベ数57の硬化物が得られるものの、屈折率は1.5以上であり、光硬化にも多大な光量を要し、生産性に優れるとは言い難いものである(実施例は4Jと5J)。
また、特許文献7に開示されている組成物を用いると、アッベ数57、屈折率1.5以下の硬化物が得られるものの、光による予備重合の後に、熱重合することが必要であり、光硬化性とは言い難いものである。
また、特許文献8に開示されている光硬化性組成物は、アッベ数35以下の硬化物しか得られておらず、部分分散比θgFも0.47以下のものである。また、分散溶媒が必須成分であり、光硬化の際には、かかる分散溶媒を除去し、加熱により組成物を溶融させねばならない。更に、フッ素系単量体を用いているため、他の成分との相溶性が悪く、白濁や沈殿が生じやすい傾向にあり、光硬化性にも劣る傾向にある。一般的に、光硬化性組成物には光量数J程度で硬化することが求められるが、本特許文献の実施例では、厚み12.5μmの薄膜にもかかわらず、硬化光量が20Jを超えており、それでも屈折率がばらつく結果(照射敏感度)となっている。
また、特許文献9に開示されている光硬化性組成物では、屈折率1.5以下の硬化物は得られるものの、低屈折率化のためにフッ素化アルキル基含有アクリレートを用いるため、PETフィルム基材との密着性は得られても、ガラス基材との密着性は得られず、ハイブリッドレンズの製造は困難な傾向にある。
また、特許文献10に開示されている光硬化性組成物においても、高アッベ数な硬化物を得るのは困難である。また、ポリプロピレングリコールやポリエチレングリコール等の非重合性化合物を含有するため、硬化物から該非重合性化合物が析出や溶出しやすく、レンズとしての耐久性に劣るものであった。
更に、光インプリント用光硬化性組成物として、潤滑剤や離型剤を含有するものも提案されているが、転写精度は向上するものの、レンズの耐久性に劣る傾向にある。
本発明ではこのような背景下において、低粘度な液状であり、高アッベ数、低屈折率、かつ高い部分分散比θgFを有する硬化物を形成する光硬化性組成物であって、更に詳しくは、軽量性、透明性、低光学歪、微細形状の転写性、基材との密着性、成形型からの剥離性のバランスに優れた硬化物を形成するものであり、レンズ形成、特に光インプリント法によるハイブリッドレンズ形成に有用な光硬化性組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者等が鋭意検討した結果、レンズ形成用の光硬化性組成物であって、下記成分(A)、(B)、及び(C)を含有し、成分(B)に対する成分(A)の重量比(A/B)が、25/75~75/25であり、成分(A)と(B)の合計量が、光硬化性組成物全体の70重量%以上である光硬化性組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート。
(B)下記一般式1で示されるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物。
〔式1〕
CH2=C(R1)-COO―[CH(CH3)CH2O]n-R2
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1~3のアルキル基、nは2~5の整数を表す。)
(C)光重合開始剤。
本発明の光硬化性組成物は、低粘度な液状であり、高アッベ数、低屈折率、かつ高い部分分散比θgFを有する硬化物を形成する光硬化性組成物であって、更に詳しくは、軽量性、透明性、低光学歪、微細形状の転写性、基材との密着性、成形型からの剥離性のバランスに優れた硬化物を形成するものであり、光インプリント法による高精度なハイブリッドレンズの製造に有用である。
更に、上記光硬化性組成物の中でも、光硬化後の硬化物が、アッベ数νDが55以上、屈折率nDが1.5以下、かつ部分分散比θgFが0.5以上であると、光インプリント法による高精度なハイブリッドレンズの製造により有用なものとなる。
以下に、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
本発明の光硬化性組成物は、下記成分(A)、(B)、及び(C)を含有するものである。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート。
(B)下記一般式1で示されるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物。
〔式1〕
CH2=C(R1)-COO―[CH(CH3)CH2O]n-R2
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1~3のアルキル基、nは2~5の整数を表す。)
(C)光重合開始剤。
かかる光硬化性組成物を構成する各成分について、以下、順次説明する。
<成分(A)>
本発明において、成分(A)として使用されるウレタン(メタ)アクリレートは、速硬化性に優れ、基材との密着性を確保するために有効な成分である。かかるウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、公知の化合物を使用することできるが、例えば、ポリアルキレングリコール系化合物、ポリイソシアネート系化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を、反応させることにより得られるものを使用してもよい。
上記ポリアルキレングリコール系化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリネオペンチレングリコール、及び下記一般式5で示されるポリメチレングリコールの重合体等が挙げられる。
〔式5〕
HO―[(CH2)mO]―H
(ここで、mは3~10の整数を表す。)
これらの中では、硬化物の低吸水化の点で、ポリエチレングリコール以外のポリアルキレングリコール系化合物が好ましく、より好ましくは、硬化物の高アッベ数化の点で、上記一般式5で示されるポリメチレングリコールの重合体、更に好ましくは、基材と硬化物の密着性の点で、mが3~5のポリメチレングリコールの重合体、特に好ましくは、成形型からの硬化物の剥離性の点で、ポリテトラメチレングリコールの重合体、殊に好ましくは、光硬化性組成物の粘度の点で、分子量500~1500のポリテトラメチレングリコールの重合体である。
上記ポリイソシアネート系化合物の具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ノルボルナンイソシアナトメチル、1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、硬化物の低吸水化の点で、イソホロンジイソシアネートと水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、より好ましくは、光硬化性組成物の低粘度化の点で、イソホロンジイソシアネートである。
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の具体例としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、安価な点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの製造法は、通常、上記ポリアルキレングリコール系化合物、ポリイソシアネート系化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を、反応器に一括または別々に仕込み反応させればよいが、ポリアルキレングリコール系化合物とポリイソシアネート系化合物とを予め反応させて得られる反応生成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を反応させる手法が、反応の安定性や副生成物の低減等の点で有用である。
上記成分(A)であるウレタン(メタ)アクリレートの市販されている例としては、例えば、新中村化学工業社製「UA-160TM」、「UA-1100H」、日本合成化学工業社製「UV-6640B」等が挙げられる。
そして、上記ウレタン(メタ)アクリレートのアッベ数νDは、40以上であることが好ましく、より好ましくは45以上、更に好ましくは50以上である。かかるウレタン(メタ)アクリレートのアッベ数νDを、下限値以上とすることにより、硬化物のアッベ数νDを向上することができる。なお、一般的に、ウレタン(メタ)アクリレートのアッベ数νDの上限値は、100である。
また、上記ウレタン(メタ)アクリレートの屈折率nDは、1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.5未満、更に好ましくは1.49以下であり、一方、1.4以上であることが好ましく、より好ましくは1.45以上である。かかるウレタン(メタ)アクリレートの屈折率nDを、上限値以下とすることにより、硬化物の屈折率nDを低減することができる。なお、一般的に、ウレタン(メタ)アクリレートの屈折率nDの下限値は、1.3である。
更に、かかるウレタン(メタ)アクリレートは、化学構造の中に脂環構造を含有することが、光硬化性組成物、及び硬化物の低吸水化の点で好ましい。より好ましくは、更なる低吸水化の点で、脂環構造が2個以上、特に好ましくは、硬化物の耐光性の点で、芳香環を含有しないことである。なお、ウレタン(メタ)アクリレートは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
<成分(B)>
本発明において、成分(B)として使用されるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物は、光硬化性組成物の低粘度化、硬化物の軽量化、高アッベ数化、低屈折率化に必須の成分であるばかりか、硬化物の基材との密着性、及び成形型からの剥離性のバランスを取るためにも必須な成分である。かかるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物を用いることにより、フッ素系樹脂やフッ素系単量体含有光硬化性組成物では困難であった光インプリント法によるハイブリッドレンズの形成が可能になる。
なお、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物に代えて、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート系化合物を用いると、硬化物の軽量化や低屈折率化に与える効果が顕著ではない。その理由は、得られる硬化物が高度な架橋構造を形成するため、原子もしくは原子団が高密度化するためである。この傾向は、プロピレングリコール鎖を有する3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物においても同様である。
上記成分(B)のプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物としては、下記式1で表されるものであれば特に制限はなく、公知の化合物を使用することできる。
〔式1〕
CH2=C(R1)-COO―[CH(CH3)CH2O]n-R2
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1~3のアルキル基、nは2~5の整数を表す。)
上記プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルモノ(メタ)アクリレート等のジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテルモノ(メタ)アクリレート等のトリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテルモノ(メタ)アクリレート等のテトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物、ペンタプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ペンタプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ペンタプロピレングリコールモノプロピルエーテルモノ(メタ)アクリレート等のペンタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、硬化物の低アッベ数化の点で、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテルモノ(メタ)アクリレート等のトリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、より好ましくは、光硬化性組成物の粘度の点で、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレートとトリプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレートが好ましい。なお、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記成分(B)であるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物の市販されている例としては、例えば、新中村化学工業社製「AM-30PG」等が挙げられる。
そして、上記プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物のアッベ数νDは、45以上であることが好ましく、より好ましくは48以上、更に好ましくは50以上である。かかるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物のアッベ数νDを、下限値以上とすることにより、硬化物のアッベ数νDを向上することができる。
また、上記プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物の屈折率nDは、1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.4~1.5、更に好ましくは1.41~1.47、特に好ましくは1.42~1.45である。かかるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物の屈折率nDを、上限値以下とすることにより、硬化物の屈折率nDを低減することができる。
なお、本発明において、繰り返し単位の比較的少ないプロピレングリコール鎖が、高アッベ数かつ低屈折率な硬化物を形成する理由は明確ではないが、かかるプロピレングリコール鎖の原子団容積が、同程度の分子量を有するエチレングリコール鎖やトリメチレングリコール鎖の原子団容積よりも大きいため、屈折率全体を低減し、特に青色領域の屈折率(例えばnF)を低減するためと推測される(式2参照)。化学構造的には、プロピレングリコール内の分岐したメチル基が、原子団容積を増加させ、かつグリコール鎖同士やウレタン結合との相互作用を低減するためと推測される。
本発明における光硬化性組成物中の成分(A)と成分(B)の合計量は、光硬化性組成物全体の70重量%以上であり、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。成分(A)と成分(B)の合計量を、下限値以上とすることにより、高アッベ数かつ低屈折率な硬化物を形成する光硬化性組成物とすることができ、かつ、軽量性、透明性、低光学歪、基材との密着性、成形型からの剥離性のバランスに優れた硬化物を形成することができる。
本発明における成分(B)に対する(A)の配合比(A/B)は、重量比で、25/75~75/25、好ましくは30/70~70/30、より好ましくは35/65~40/60である。成分(A)の配合量を、下限値以上とすることにより、基材や成形型との密着性を向上することができ、逆に、上限値以下とすることにより、成形型からの剥離性を向上することができる。また、成分(B)の配合量を、下限値以上とすることにより、光硬化性組成物を低粘度な液体とすることができ、かつ、硬化物を軽量化することができる。逆に、上限値以下とすることにより、光硬化性を向上することができる。
<成分(C)>
本発明において、成分(C)として使用される光重合開始剤としては、光の作用によりラジカルを発生するものであればよく、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピレンフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノプロパン-1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2-クロルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2-エチルアンスラキノン、4’,4”-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、α-アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート、9,10-フェナンスレンキノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン等が挙げられる。これらの中では、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
成分(C)の含有量は、光硬化性組成物全体の0.01~5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~4重量%、更に好ましくは0.3~3重量%、特に好ましくは0.5~2重量%である。かかる含有量が少なすぎると硬化速度が遅くなる傾向があり、多すぎると硬化物の色相が悪化する傾向がある。
更に、上記光重合開始剤の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
本発明においては、成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートや成分(B)のプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物以外に、これらの成分と共重合可能なモノマーを、補助成分として、本発明の主旨を損なわない範囲で配合することができる。かかる補助成分の配合量は、光硬化性組成物全体の30重量%未満である。かかる配合量は、好ましくは25重量%未満、より好ましくは20重量%未満である。
かかる補助成分としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環族モノ(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有単官能(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のエーテル基含有モノ(メタ)アクリレート;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸基含有モノ(メタ)アクリレート;
アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート基以外の反応性基を含有するモノ(メタ)アクリレート、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート;
グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の水酸基含有ジ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等のエーテル基含有ジ(メタ)アクリレート;
ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-(β-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,3-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジ(メタ)アクリレート;
エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート;
2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等のリン酸基含有ジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,3,5-トリス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5-トリス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の3官能以上の(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールテトラキス(β-チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β-チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β-チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(チオグリコレート)、トリエチレングリコールビス(β-チオプロピオネート)、トリエチレングリコールビス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β-チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(チオグリコレート)、トリス[2-(β-チオプロピオニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス(2-チオグリコニルオキシエチル)トリイソシアヌレート、トリス[2-(β-チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス(2-チオグリコニルオキシエトキシエチル)トリイソシアヌレート、トリス[3-(β-チオプロピオニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート、トリス(3-チオグリコニルオキシプロピル)トリイソシアヌレート等の多官能チオールが挙げられる。
これら補助成分は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらの中でも、基材との密着性及び成形型からの剥離性の点で、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のエーテル基含有モノ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート等の脂環族ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくは、硬化物の部分分散比θgF向上の点で、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物である。
なお、上記補助成分のアッベ数νDは、30以上であることが好ましく、より好ましくは35以上、更に好ましくは40以上である。かかる補助成分のアッベ数νDを、下限値以上とすることにより、硬化物のアッベ数νDを向上することができる。また、上記補助成分の屈折率nDは、1.6以下であることが好ましく、より好ましくは1.55以下、更に好ましくは1.5以下である。かかる補助成分の屈折率nDを、上限値以下とすることにより、硬化物の屈折率nDを低減することができる。
本発明の光硬化性組成物は、必要に応じて溶剤を含めることができるが、可能な限り溶剤を少量に抑えることが好ましく、特に好ましくは無溶剤型であることが好ましい。無溶剤型としては、光硬化性組成物を調製する工程において一切溶剤を使わないだけでなく、調製時に溶剤を使用しても光硬化性組成物を塗布等使用する前に溶剤を除去することも含む趣旨であるが、好ましくは溶剤を一切使わないことである。無溶剤型とすることにより、レンズ形成時に溶剤乾燥を必要とせず、レンズ製造工程を簡略化すると共に、環境負荷を低減することができる。
本発明の光硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、シランカップリング剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、重合禁止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、フィラー、ブルーイング剤、染料、顔料、油、可塑剤、ワックス類、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、乳化剤、ゲル化剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、チクソトロピー性付与剤、難燃剤、充填剤、補強剤、艶消し剤、架橋剤等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
かくして本発明の光硬化性組成物が得られる。
以下、本発明の光硬化性組成物の諸特性に関して説明する。
本発明の光硬化性組成物は、アッベ数νDが45以上であることが好ましく、より好ましくは45~60、更に好ましくは47~55である。光硬化性組成物の屈折率νDを、下限値以上とすることにより、硬化物のアッベ数νDを向上することができる。なお、一般的に、光硬化性組成物のアッベ数νDを増加させれば、硬化物のアッベ数νDも単純に増加すると考えられがちだが、本発明の光硬化性組成物においては、光硬化性組成物のアッベ数νDと硬化物のアッベ数νDが、必ずしも比例関係にはない。
本発明の光硬化性組成物は、屈折率nDが1.49以下であることが好ましく、より好ましくは1.4~1.49、更に好ましくは1.43~1.48、特に好ましくは1.45~1.47である。光硬化性組成物の屈折率nDを、上限値以下とすることにより、硬化物の屈折率nDを低減することができる。
なお、一般的に、硬化物のアッベ数と屈折率は、光硬化性組成物を構成する成分の化学構造と配合比から、ある程度予測並びに設計できる。しかしながら、組成物状態(混合液)における分子間相互作用や分子の会合状態も、硬化物のアッベ数や屈折率に影響するため、予測精度並びに設計精度を向上するには、組成物状態でのアッベ数と屈折率を制御することが重要となる。本発明は、各成分のアッベ数と屈折率を特定範囲に設定するだけではなく、光硬化性組成物全体としてのアッベ数と屈折率をも特定範囲に設定するものである。
本発明の光硬化性組成物は、25℃における粘度が、10~4000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは30~3500mPa・s、更に好ましくは50~3000mPa・sである。かかる粘度を下限値以上とすることにより、速硬化性が向上する傾向にあり、逆に、上限値以下とすることにより、微細形状の転写性を向上することができる。
本発明の光硬化性組成物は、ガラスとの接触角が、60°以下であることが好ましい。より好ましくは10~60°、更に好ましくは20~50°である。かかる接触角を上限値以下とすることにより、ガラスとの接着性を向上することができる。逆に、かかる接触角が過度に小さいと、成形型からの剥離性が低下する傾向にある。なお、接触角の制御は、光硬化性組成物の成分の種類と量、及び界面活性剤の添加の少なくとも1つを調整することにより行うことができる。
次に、該光硬化性組成物を用いて、光インプリント法により、表面に微細な凹凸形状が形成された積層体を製造する手法について説明する。
かかる積層体は、例えば、ガラスを基材とした場合、下記工程(1)~(4)、そして必要に応じて更に工程(5)を加えた工程により製造される。
工程(1)光硬化性組成物を、表面に微細な凹凸形状が形成された成形型に塗布する工程。
工程(2)上記光硬化性組成物を、ガラス板で覆う工程。
工程(3)光照射により、光硬化性組成物を光硬化してガラス板/硬化物よりなる積層体を得る工程。
工程(4)ガラス板/硬化物よりなる積層体を、成形型から剥離する工程。
工程(5)上記積層体を熱処理する工程。
工程(1)において、塗布法は特に限定されず、ダイコーター、ロールコーター、スクリーン印刷、ディスペンス等公知の手法を用いることができる。成形型としては、金型、ガラス型、樹脂型等を用いることができる。塗布後、レベリングや脱泡を行ってもよい。塗布厚は、一般的に、0.01~1mmである。なお、本発明の光硬化性組成物は低粘度であるため、本来、溶剤の添加は不要である。しかし、塗布時に、レベリング性の向上を目的に、少量の溶剤を添加することも可能である。かかる場合、塗布後すみやかに溶剤は乾燥される。
工程(2)において、ガラス/硬化物の密着性向上のために、ガラス表面をシランカップリング剤で表面処理することが好ましい。また、気泡の巻き込み回避のために、ガラス側の一部もしくは全面に光硬化性組成物を塗布しておいてもよい。
工程(3)において、光照射は、波長200~400nmの紫外線を用いて、照射光量0.1~3J/cm2で行うことが好ましい。照射光量のより好ましい範囲は0.5~2.5J/cm2、更に好ましくは1~2J/cm2である。照射光量が少なすぎると硬化不足になる傾向にあり、逆に、多すぎると生産性が低下する傾向にある。光照射は、複数回に分割して行ってもよい。紫外線源としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、無電極水銀ランプ、LEDランプ等が挙げられる。
工程(4)において、成形型からの剥離時に、成形型や積層体を加熱及び冷却の少なくとも一方を行ってもよい。かかる手法により、スムーズな脱型が可能となる。
工程(5)は、硬化物の重合完結、応力歪の開放、色相の安定化等を目的として、必要に応じてなされる。かかる熱処理を行う場合は、通常、50~200℃で1~60分間行われる。また、熱処理を、赤外線照射により行ってもよい。
以上、ガラスを基材とした場合を例に取って、積層体の製造方法を説明したが、基材がガラス以外のセラミックや樹脂フィルムでも同様である。
かくしてガラス/硬化物よりなる積層体が得られる。
積層体の総厚は、0.1~30mmが好ましい。より好ましくは0.5~10mm、更に好ましくは1~5mmである。かかる総厚が薄すぎると、ハイブリッドレンズとしての剛性が不足する傾向にあり、逆に厚すぎると、ハイブリッドレンズの軽量薄型化が困難となる傾向にある。
硬化物層の厚みは、均一である必要は無いが、0.01~1mmが好ましい。より好ましくは0.05~0.7mm、更に好ましくは0.08~0.5mmである。硬化物層が薄すぎると、微細形状の転写性が低下する傾向にあり、逆に厚すぎると、生産性が低下する傾向にある。
かかる積層体は、光学部品用のハイブリッドレンズとして好適である。
以下、本発明の光硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の特性に関して説明する。なお、ここで言う硬化物の特性で用いられる硬化物としては、表面が微細形状に成形された成形体や三次元形状の成形体ではなく、各種特性を評価するために成形された平板状の成形体を意味するものであり、厚み1mmを標準厚みとするものである。
硬化物のアッベ数νDは、55以上であることが好ましい。より好ましくは56以上、更に好ましく58以上である。かかるアッベ数νDを、下限値以上とすることにより、レンズの色分散を低減することができる。なお、通常、硬化物のアッベ数の上限値は100である。
硬化物の屈折率nDは、1.5以下であることが好ましい。より好ましくは1.45~1.49、更に好ましくは1.46~1.48である。かかる屈折率nDを、上限値以下とすることにより、空気層との界面反射を低減することができる。逆に、かかる屈折率nDが過度に小さいと、基材との界面反射が増大する傾向にある。
硬化物の部分分散比θgFは、0.5以上であることが好ましい。より好ましくは0.51~0.8、更に好ましくは0.52~0.7である。かかる部分分散比θgFを、下限値以上とすることにより、ディスプレイやイメージングセンサの精細性を向上することができる。かかる部分分散比θgFを向上するには、上述した通り、光硬化性組成物に、補助成分であるテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物を配合する手法が挙げられる。
硬化物の全光線透過率は、90%以上であることが好ましい。より好ましくは91%以上、更に好ましくは92%以上である。かかる全光線透過率を、下限値以上とすることにより、レンズの全光線透過率を向上することができる。なお、通常、硬化物の全光線透過率の上限値は、99%である。
硬化物のヘイズは、1%以下であることが好ましい。より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。かかるヘイズが大きすぎるとディスプレイの精細性が低下したり、イメージングセンサの感度が低下したりする傾向にある。なお、ヘイズの下限としては、通常0.001%である。
硬化物の色相b*は、-1~+1であることが好ましい。より好ましくは-0.5~+0.5、更に好ましくは-0.3~+0.3である。かかる色相b*を、±1以内とすることにより、レンズの黄色味を低減し、外観を向上することができる。
硬化物の室温(25℃)での比重は、1.11以下であることが好ましい。より好ましくは1~1.11、更に好ましくは1.05~1.1である。かかる比重を、上限値以下とすることにより、レンズを軽量化することができる。逆に、かかる比重が過度に小さいと、レンズが水中で浮遊しやすく、水洗浄が困難となる傾向にある。なお、通常、硬化物の比重の下限値は、0.9である。
硬化物の室温でのリタデーションは、10nm以下であることが好ましい。より好ましくは5nm以下、更に好ましくは2nm以下、特に好ましくは1nm以下である。かかるリタデーションを、上限値以下とすることにより、レンズの光学歪を低減することができる。なお、通常、リタデーションの下限値は、0.001nmである。
硬化物の室温での吸水率は、2重量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.1~2重量%、更に好ましくは0.2~1重量%である。かかる吸水率を、上限値以下とすることにより、レンズの吸水性を低減することができる。逆に、かかる吸水率が過度に小さいと、硬化物上に更に樹脂を積層することが困難となる傾向にある。なお、通常、吸水率の下限値は、0.001重量%である。
硬化物の曲げ弾性率は、単レンズとして使用される場合とハイブリッドレンズとして使用される場合で、好ましい範囲が異なる。前者の場合は、高弾性率が好ましいが、後者の場合は、基材への応力を低減して積層体全体の形状安定性を向上させるためや、3層構成の中間層として使用される場合はクッション的な役割を担うために、低弾性率が好ましい。
前者の場合、室温での曲げ弾性率は、レンズの剛性向上の点で、2GPa以上が好ましく、より好ましくは2.5GPa以上、更に好ましくは3GPa以上である。
後者の場合、積層体の変形回避の点で、2GPa以下であることが好ましい。より好ましくは0.001~2GPa、更に好ましくは0.01~1GPaである。当然のことながら、かかる曲げ弾性率が過度に小さいと、レンズ形状の維持が困難となる傾向にある。
上記硬化物の特性は、光硬化性組成物を構成する各成分の選択や混合比率を適宜選定することにより調整することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例において調製した光硬化性組成物、及び作製した硬化物の各特性については、下記に示す測定条件に従って測定した。
(1)光硬化性組成物の粘度(mPa・s)
東機産業社製E型粘度計「RE-115L」を用いて、25℃、回転数5rpm(コーンロータ3°×R9.7)で光硬化性組成物を測定した。なお、比較例1の光硬化性組成物は高粘度なため、回転数0.1rpmで測定した。
(2)光硬化性組成物の光硬化性
光硬化性組成物を、厚み1mmのスペーサが周辺部に設置された後記の成形型(微細な表面凹凸形状を有するニッケル製スタンパー)上に塗布し、上部より表面処理された白板ガラスをかぶせ、高圧水銀ランプを用いて白板ガラス面側から光量2J/cm2(照度250mw/cm2で8秒間)の紫外線を照射した後、成形型を剥離して光硬化性組成物の硬化具合を観察し、下記の基準で評価した。
○・・・光量2J/cm2で硬化したもの
△・・・光量を20J/cm2に上げることによって硬化したもの
×・・・ゲル状または液状のままで硬化不充分となったもの
(3)アッベ数νD
(3-1) 光硬化性組成物のアッベ数νD
アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、波長589nmのNaD線、波長486nmのNaF線、及び波長656nmのNaC線における屈折率を測定し、かかる3つの屈折率から下記式2に従ってアッベ数νDを算出した。
〔式2〕アッベ数νD=(nD-1)/(nF-nC)
(3-2) 硬化物のアッベ数νD
長さ40mm×幅8mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、波長589nmのNaD線、波長486nmのNaF線、及び波長656nmのNaC線における屈折率を測定し、かかる3つの屈折率から上記式2に従ってアッベ数νDを算出した。
(4)屈折率nD
(4-1) 光硬化性組成物の屈折率nD
アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、波長589nmのNaD線における屈折率nDを測定した。
(4-2) 硬化物の屈折率nD
長さ40mm×幅8mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、波長589nmのNaD線における屈折率nDを測定した。
(5)硬化物の比重
長さ50mm×幅50mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、アルファーミラージュ社製電子比重計「MD-300S」にて23℃で測定した。
(6)硬化物の部分分散比θgF
長さ40mm×幅8mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、436nmにおける屈折率nG、486nmにおける屈折率nF、656nmにおける屈折率nCを測定し、かかる3つの屈折率から下記式3に従って部分分散比θgFを算出した。
〔式3〕部分分散比θgF=(nG-nF)/(nF-nC)
(7)硬化物の全光線透過率(%)
長さ50mm×幅50mm×厚み1mmの硬化物試験片を3枚用意し、日本電色工業社製ヘイズメーター「NDH-2000」で全光線透過率(%)を測定し、3枚の平均値を硬化物の全光線透過率とした。
(8)硬化物のヘイズ(%)
50mm×50mm×厚み1mmの硬化物試験片を3枚用意し、JIS K 7361に準拠し、日本電色工業社製ヘイズメーター「NDH-4000」を用いてヘイズを測定し、3枚の平均値を硬化物のヘイズとした。
(9)硬化物の色相b*
50mm×50mm×厚み1mmの硬化物試験片を3枚用意し、スガ試験機社製カラーコンピューターを用いて色相b*を測定し、3枚の平均値を硬化物の色相b*とした。
(10)硬化物のリタデーション(nm)
長さ100mm×幅100mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、面内9か所のリタデーションを、オーク社製、複屈折測定装置にて25℃で測定し、9か所の平均値を硬化物のリタデーションとした。
(11)積層体の剥離性
上記の「(2)光硬化性組成物の光硬化性」の評価において、ガラス/硬化物の積層体を成形型から剥離する時の剥離性を下記の基準で評価した。
○・・・硬化物の表面が凝集破壊されることなく剥離
×・・・成形型から剥離不可、もしくは硬化物の表面に凝集破壊あり
(12)積層体の転写性
上記「(11)積層体の剥離性」の評価において成形型から剥離したガラス/硬化物の積層体を、100℃で1時間の熱処理をした後、その積層体の硬化物表面を顕微鏡観察して、下記の基準で評価した。
〇・・・成形型の微細な凹凸形状が崩れることなく転写
×・・・成形型の微細な凹凸形状が崩れたり歪んだりして転写
(13)積層体の密着性
JIS K 5400(1990年版)に準じて、ガラス/硬化物の積層体において、硬化物のガラスとの密着性をクロスハッチ法により評価した。
○・・・硬化物の剥がれ無し
×・・・硬化物の剥がれ有り
<実施例1>
〔基材と成形型の準備〕
基材として、長さ100mm×幅100mm×厚み1mmの白板ガラスを用意し、該白板ガラスの光硬化性組成物と接する面を、シランカップリング剤溶液で処理した。使用したシランカップリング剤溶液は、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(0.1%)/イソプロピルアルコール(99.9%)の組成である。
成形型として、長さ100mm×幅100mm×厚み1mmのニッケル製スタンパー(表面クロムメッキ)を用意した。該スタンパーの表面には、微細な表面凹凸形状として、幅100μm、深さ100μmの鋸状の溝が、ピッチ100μmで周期的に形成されている。
また、諸特性評価用の硬化物試験片を作製するため、長さ100mm×幅100mm×厚み1mmのガラス2枚を用意し、該ガラスの光硬化性組成物と接する面を、剥離用フッ素系シランカップリング剤溶液(ダイキン社製、「オプツール」)で表面処理し、試験片作製用ガラスとした。
〔各成分の準備〕
また、実施例・比較例用として、下記の成分を準備した。
・成分(A)として、
(A-1):アッベ数νD 53、屈折率nD 1.48のウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、「UA-160TM」)
(A-2):アッベ数νD 42、屈折率nD 1.49のウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、「UA-1100H」)
・成分(B)として、
(B-1):アッベ数νD 52、屈折率nD 1.44のトリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート(新中村化学工業社製、「AM-30PG」)
(B’-1):アッベ数νD 48、屈折率nD 1.44のジエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタクリレート(新中村化学工業社製、「M-20G」)
(B’-2):アッベ数νD 46、屈折率nD 1.36の2,2,2―トリフルオロエチルメタクリレート(東ソー・エフテック社製、「フルオレスター」)
・成分(C)として、
(C-1):1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、「IRGACURE 184」)
・補助成分として、
(D-1):アッベ数νD 47、屈折率nD 1.46のテトラフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業社製、「ビスコート#150」)
(D-2):アッベ数νD 47、屈折率nD 1.50のビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート(新中村化学工業社製、「A-DCP」)
(D-3):アッベ数νD 35、屈折率nD 1.57のエチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業社製、「ABE-300」)
〔光硬化性組成物Iの調製〕
成分(A)として、上記成分(A-1)60部、成分(B)として、上記成分(B-1)40部、成分(C)として、上記成分(C-1)2部を、室温で1時間撹拌混合し、光硬化性組成物Iを得た。かかる光硬化性組成物Iの粘度は2900mPa・s、アッベ数νDは51、屈折率nDは1.46であった。
〔硬化物試験片Iの作製〕
得られた光硬化性組成物Iを、厚み1mmのスペーサが周辺部に設置された上記試験片作製用ガラス上に塗布し、上部よりもう1枚の試験片作製用ガラスを被せ、高圧水銀ランプを用いて2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行った。次いで、両側のガラスを剥離し、得られた硬化物を、100℃で1時間熱処理して各種特性評価用の硬化物試験片I(厚み1mm)とした。
〔積層体Iの作製〕
得られた光硬化性組成物Iを、厚み1mmのスペーサが周辺部に設置された上記成形型上に塗布し、上部より表面処理された白板ガラスをかぶせ、高圧水銀ランプを用いて白板ガラス面側から2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行った。光硬化性は良好であった。
次いで、凹凸形状が形成された硬化物表面から成形型を剥離した。剥離性は良好であった。得られたガラス/硬化物の積層体を、100℃で1時間熱処理し、積層体Iを得た。硬化物表面の転写精度は良好であった。
〔硬化物試験片I、並びに積層体Iの評価〕
硬化物試験片Iのアッベ数νDは60、屈折率nDは1.48であり、高アッベ数かつ低屈折率であった。また、比重、部分分散比θgF、全光線透過率、ヘイズ、色相b*、リタデーションは、表2に示される通り、良好な特性を有していた。
また、得られた積層体Iにおいては、上記のように剥離性は良好で、かつ転写性も良好であった。更に積層体Iのガラス/硬化物の密着性は良好であった。
<実施例2>
〔光硬化性組成物II等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)40部、成分(B)として、成分(B-1)60部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物II、硬化物試験片II及び積層体IIを得た。
得られた光硬化性組成物II、硬化物試験片II及び積層体IIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
<実施例3>
〔光硬化性組成物III等の調製〕
成分(A)として、成分(A-2)30部、成分(B)として、成分(B-1)70部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物III、硬化物試験片III及び積層体IIIを得た。
得られた光硬化性組成物III、硬化物試験片III及び積層体IIIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
<実施例4>
〔光硬化性組成物IV等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)20部、成分(B)として、成分(B-1)60部、更に補助成分として成分(D-1)20部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物IV、硬化物試験片IV及び積層体IVを得た。
得られた光硬化性組成物IV、硬化物試験片IV及び積層体IVについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
<実施例5>
〔光硬化性組成物V等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)37部、成分(B)として、成分(B-1)45部、更に補助成分として成分(D-2)18部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物V、硬化物試験片V及び積層体Vを得た。
得られた光硬化性組成物V、硬化物試験片V及び積層体Vについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
<実施例6>
〔光硬化性組成物VI等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)35部、成分(B)として、成分(B-1)43部、更に補助成分として成分(D-2)17部、成分(D-3)5部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物VI、硬化物試験片VI及び積層体VIを得た。
得られた光硬化性組成物VI、硬化物試験片VI及び積層体VIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
<比較例1>
〔光硬化性組成物VII等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)80部、成分(B)として、成分(B-1)20部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物VIIを得た。更に、実施例1と同様にして、高圧水銀ランプを用いて2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行った。
次いで、実施例1と同様にして、硬化物試験片VIIを得た。
一方、微細凹凸形状が形成された硬化物表面から成形型を剥離しようとしたが、強固に接着しているため剥離は不可能であり、目的とするガラス/硬化物の積層体VIIは得られなかった。
得られた光硬化性組成物VII、硬化物試験片VIIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。なお、上記のように目的とする積層体VIIは得られなかったが、評価可能な剥離性・ガラスとの密着性についてはその評価を表2に示した。
<比較例2>
〔光硬化性組成物VIII等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)20部、成分(B)として、成分(B-1)80部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物VIII、硬化物試験片VIII及び積層体VIIIを得た。
得られた光硬化性組成物VIII、硬化物試験片VIII及び積層体VIIIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
<比較例3>
〔光硬化性組成物IX等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)42部、成分(B-1)40部から成分(B’-1)40部へ代え、更に補助成分として成分(D-2)18部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物IX、硬化物試験片IX及び積層体IXを得た。
得られた光硬化性組成物IX、硬化物試験片IX及び積層体IXについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
<比較例4>
〔光硬化性組成物X等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)70部、成分(B-1)40部から成分(B’-2)30部に代える以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物Xを得た。更に、実施例1と同様にして、高圧水銀ランプを用いて2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行ったが、光硬化性組成物Xの光硬化性が低いために、液状態のままであった。
<比較例4’>
〔光硬化性組成物X’等の調製〕
そこで、表1の通り、成分(C-1)を4部に増量した光硬化性組成物X’を調製し、実施例1と同様にして、高圧水銀ランプを用いて2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行った。しかし、ゲル状で硬化不充分であった。そこで、光硬化性組成物X’を用いて、20J/cm2の紫外線を照射して、硬化物試験片X’及び積層体X’を得た。
硬化物試験片X’は、黄色く、白っぽい外観を呈していた。また、積層体X’は、硬化物がガラスから一部剥離していた。
得られた光硬化性組成物X’、硬化物試験片X’及び積層体X’について、諸特性を評価し、表1と表2に示した。なお、硬化物試験片X’の436nmにおける屈折率nGは測定が不可能だったため、部分分散比θgFは算出できなかった。
なお、比較例4’において、成分(B’-2)の配合割合が、更に多量になると(50部等)、20J/cm2の紫外線を照射しても硬化は不充分であった。以上の結果より、前述した通り、フッ素化アルキル基を有するアクリレート系化合物は、光インプリント性に劣ることが確認された。
上記実施例及び比較例より得られた光硬化性組成物について、その構成成分、各構成成分の含有量を、各成分の粘度、光硬化性、アッベ数、屈折率と共に、表1に示す。
Figure 0007072452000001
上記実施例及び比較例より得られた硬化物試験片について、比重、アッベ数、屈折率、部分分散比、全光線透過率、ヘイズ、色相、リタデーションを表2に示す。また、上記実施例及び比較例より得られた積層体の成形型からの剥離性、転写性、ガラスとの密着性を表2に示す。
Figure 0007072452000002
実施例1~6の光硬化性組成物は、比較例1の光硬化性組成物に比べて、低粘度であり、部分分散比θgFに優れた硬化物を形成し、光インプリント性(剥離性・転写性・ガラスとの密着性)に優れることがわかる。また、比較例2の光硬化性組成物に比べて、部分分散比θgFに優れた硬化物を形成し、ガラスとの密着性に優れることがわかる。更に、比較例3の光硬化性組成物に比べて、低比重、かつ部分分散比θgFに優れた硬化物を形成することがわかる。また、比較例4、4’の光硬化性組成物に比べて、光硬化性や光インプリント性に優れ、低比重、高アッベ数、高全光線透過率、低ヘイズ、色相、かつリタデーションに優れた硬化物を形成することがわかる。
更に、実施例1~6の硬化物同士を比較すると、特定の補助成分を用いた実施例5,6は、高い部分分散比θgFを有することがわかる。
本発明のレンズ形成用の光硬化性組成物は、低粘度な液状であり、得られる硬化物は、高アッベ数、低屈折率、かつ高い部分分散比θgF等の優れた光学性能を有するため、レンズ形成材料、光インプリント材料、コーティング剤、接着剤、封止剤、粘着剤、塗料、インク、コーティングバインダー等、各種の被膜形成材料として有用である。特に、基材上に、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、マイクロレンズアレイ等の微小レンズを形成するレンズ形成剤としても好適に使用される。また、該光硬化性組成物を用いて製造される基材/硬化物の積層体は、ディスプレイ用の導光板、光学シート/フィルム、イメージングセンサ用、サイネージ用、車載用、光通信用、太陽電池用、照明用、メモリー用等の光学部品として有用である。

Claims (2)

  1. レンズ形成用の光硬化性組成物であって、下記成分(A)、(B)、及び(C)を含有し、成分(B)に対する成分(A)の重量比(A/B)が、25/75~75/25であり、成分(A)と(B)の合計量が、光硬化性組成物全体の70重量%以上であることを特徴とする光硬化性組成物。
    (A)ウレタン(メタ)アクリレート。
    (B)下記一般式1で示されるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物。
    〔式1〕
    CH2=C(R1)-COO―[CH(CH3)CH2O]n-R2
    (ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1~3のアルキル基、nは2~5の整数を表す。)
    (C)光重合開始剤。
  2. 光硬化後の硬化物が、アッベ数νDが55以上、屈折率nDが1.5以下、かつ部分分散比θgFが0.5以上であることを特徴とする請求項1記載の光硬化性組成物。
JP2018124318A 2018-06-29 2018-06-29 光硬化性組成物 Active JP7072452B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018124318A JP7072452B2 (ja) 2018-06-29 2018-06-29 光硬化性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018124318A JP7072452B2 (ja) 2018-06-29 2018-06-29 光硬化性組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020002291A JP2020002291A (ja) 2020-01-09
JP7072452B2 true JP7072452B2 (ja) 2022-05-20

Family

ID=69098745

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018124318A Active JP7072452B2 (ja) 2018-06-29 2018-06-29 光硬化性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7072452B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7543025B2 (ja) 2020-08-11 2024-09-02 オーウエル株式会社 光硬化性組成物、硬化物、及びレンズ

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010021403A1 (ja) 2008-08-22 2010-02-25 株式会社ブリヂストン 帯電ローラ
WO2011092884A1 (ja) 2010-01-29 2011-08-04 日本化薬株式会社 紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018005013A (ja) * 2016-07-04 2018-01-11 キヤノン株式会社 光学素子、それを有する光学系及び光学機器

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010021403A1 (ja) 2008-08-22 2010-02-25 株式会社ブリヂストン 帯電ローラ
WO2011092884A1 (ja) 2010-01-29 2011-08-04 日本化薬株式会社 紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020002291A (ja) 2020-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102532426B (zh) 光固化树脂组合物、制造光学膜的方法和光学膜
EP2275459B1 (en) Polyfunctional vinyl aromatic copolymer, process for producing the same, and resin composition
TWI470045B (zh) 活性能量線硬化性組成物及帶有硬化塗膜的構件
JP5361613B2 (ja) 光学材料および光学素子
JP2007284650A (ja) 硬化性組成物
TWI784116B (zh) 壓印用光硬化性組成物
TWI691563B (zh) 光可固化塗料組合物及其應用
WO2014069332A1 (ja) 成型用光重合性樹脂組成物、及び多層成型品
KR20190053544A (ko) 광경화성 조성물 및 이의 경화물을 포함하는 코팅층
KR101508761B1 (ko) 광학 필름용 조성물 및 이로부터 제조된 광학 필름
JP2007023147A (ja) 光学材料用活性エネルギー線硬化型組成物
JP2010169708A (ja) 複合型光学素子
JP2005146110A (ja) 硬化性組成物、および物品
JP7072452B2 (ja) 光硬化性組成物
JP7248429B2 (ja) 光硬化性組成物、積層体及びその製法、ディスプレイ用導光板
JP5698566B2 (ja) シリコーン樹脂組成物及びその成形体
KR20150007076A (ko) 자외선 경화형 고굴절 액상 접착제 조성물
JP2012141355A (ja) 表面に微細凹凸構造を有する光学部材の製造方法および物品
WO2015152339A1 (ja) 樹脂フィルム又はシート形成用光硬化型組成物
JP2019112548A (ja) (メタ)アクリレート樹脂及び光学部材
JP7120240B2 (ja) 樹脂シート及びこれを製造するための硬化型組成物
JP2013043902A (ja) 硬化性樹脂組成物及び硬化物
JP6753038B2 (ja) 光硬化性組成物
JP6442973B2 (ja) 微細構造形成用光硬化型組成物及びその硬化物
CN112080199B (zh) 一种增亮膜用光固化组合物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180629

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210604

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20220415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220506

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220510

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7072452

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150