JP7072452B2 - 光硬化性組成物 - Google Patents
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Description
なお、上述した成形型の剥離性、微細転写性、基材/光硬化性樹脂の密着性等を総称して、光インプリント性と呼ばれることがある。
なお、アッベ数とは、屈折率の波長依存性を表す値であり、一般的には、JIS Z 8120に準じ、486nmにおける屈折率nF、589nmにおける屈折率nD、656nmにおける屈折率nCから、下記式2に従って算出されるアッベ数νDが用いられる。
〔式2〕アッベ数νD=(nD-1)/(nF-nC)
なお、一般的に、透明樹脂のアッベ数νDは30~60程度で有り、例えば、透明材料として汎用されるポリカーボネート樹脂(PC)のアッベ数νDは30、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)のアッベ数νDは39、シクロオレフィンポリマー(COP)のアッベ数νDは57、アクリル樹脂(PMMA)のアッベ数νDは58である。また、一般的に、透明樹脂の屈折率nDは、1.5~1.7程度である。
〔式3〕部分分散比θgF=(nG-nF)/(nF-nC)
同様にして、赤色領域の部分分散比θcTは、486nmにおける屈折率nF、656nmにおける屈折率nC、1014nmにおける屈折率nTから、下記式4に従って算出される。
〔式4〕部分分散比θcT=(nC-nT)/(nF-nC)
同様にして、部分分散(nF-nC)を分母として、各波長域での部分分散比が定義される。
また、特定のジ(メタ)アクリレートを含有する光/熱硬化性組成物を重合硬化させたレンズが提案されている(例えば、特許文献2。)。
また、特定のジ(メタ)アクリレートを含有する熱硬化性組成物を重合させることにより得られる低屈折率かつ高アッベ数の光学用プラスチックが提案されている(例えば、特許文献3。)。
また、特定の光硬化性組成物が、光インプリントが可能で高アッベ数な硬化物を与えることが開示されている(例えば、特許文献4。)。
また、特定の光硬化性組成物が、高アッベ数かつ低屈折率な硬化物を与えることが開示されている(例えば、特許文献5、6。)。
また、特定の組成物が、高アッベ数かつ低屈折率な硬化物を与えることが開示されている(例えば、特許文献7。)。
また、金属酸化物微粒子を含有する特定の光硬化性組成物が、高アッベ数かつ低屈折率な硬化物を与え、ハイブリッドレンズの形成に有用であることが開示されている(例えば、特許文献8。)。
また、特定の光硬化性組成物が、屈折率の調整に有用であり、積層型光学部材の製造に有用であることが開示されている(例えば、特許文献9。)。
また、光インプリント用光硬化性組成物として、転写精度に優れた光硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献10。)。
また、特許文献2に開示されている光/熱硬化性組成物を用いても、アッベ数の最大値は54であり、かつ高屈折率である。更に、比重が1.2以上あるため、レンズの軽量化は困難である。
また、特許文献3に開示されている熱硬化性組成物を用いても、アッベ数35未満のプラスチックしか得られず、屈折率も1.5を超えるものである。更に、フッ素化アルキル基を含有するモノマーを必須成分とするため、光硬化は困難であり、熱硬化でも長時間を要するものである(実施例は16時間)。
また、特許文献4に開示されている光硬化性組成物を用いると、アッベ数56の硬化物が得られるものの、光硬化に多大な光量と時間を要し(実施例は15Jで約8分間)、生産性に劣るものである。
また、特許文献5や6に開示されている光硬化性組成物を用いると、アッベ数57の硬化物が得られるものの、屈折率は1.5以上であり、光硬化にも多大な光量を要し、生産性に優れるとは言い難いものである(実施例は4Jと5J)。
また、特許文献7に開示されている組成物を用いると、アッベ数57、屈折率1.5以下の硬化物が得られるものの、光による予備重合の後に、熱重合することが必要であり、光硬化性とは言い難いものである。
また、特許文献8に開示されている光硬化性組成物は、アッベ数35以下の硬化物しか得られておらず、部分分散比θgFも0.47以下のものである。また、分散溶媒が必須成分であり、光硬化の際には、かかる分散溶媒を除去し、加熱により組成物を溶融させねばならない。更に、フッ素系単量体を用いているため、他の成分との相溶性が悪く、白濁や沈殿が生じやすい傾向にあり、光硬化性にも劣る傾向にある。一般的に、光硬化性組成物には光量数J程度で硬化することが求められるが、本特許文献の実施例では、厚み12.5μmの薄膜にもかかわらず、硬化光量が20Jを超えており、それでも屈折率がばらつく結果(照射敏感度)となっている。
また、特許文献9に開示されている光硬化性組成物では、屈折率1.5以下の硬化物は得られるものの、低屈折率化のためにフッ素化アルキル基含有アクリレートを用いるため、PETフィルム基材との密着性は得られても、ガラス基材との密着性は得られず、ハイブリッドレンズの製造は困難な傾向にある。
また、特許文献10に開示されている光硬化性組成物においても、高アッベ数な硬化物を得るのは困難である。また、ポリプロピレングリコールやポリエチレングリコール等の非重合性化合物を含有するため、硬化物から該非重合性化合物が析出や溶出しやすく、レンズとしての耐久性に劣るものであった。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート。
(B)下記一般式1で示されるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物。
〔式1〕
CH2=C(R1)-COO―[CH(CH3)CH2O]n-R2
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1~3のアルキル基、nは2~5の整数を表す。)
(C)光重合開始剤。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート。
(B)下記一般式1で示されるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物。
〔式1〕
CH2=C(R1)-COO―[CH(CH3)CH2O]n-R2
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1~3のアルキル基、nは2~5の整数を表す。)
(C)光重合開始剤。
本発明において、成分(A)として使用されるウレタン(メタ)アクリレートは、速硬化性に優れ、基材との密着性を確保するために有効な成分である。かかるウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、公知の化合物を使用することできるが、例えば、ポリアルキレングリコール系化合物、ポリイソシアネート系化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を、反応させることにより得られるものを使用してもよい。
〔式5〕
HO―[(CH2)mO]―H
(ここで、mは3~10の整数を表す。)
本発明において、成分(B)として使用されるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物は、光硬化性組成物の低粘度化、硬化物の軽量化、高アッベ数化、低屈折率化に必須の成分であるばかりか、硬化物の基材との密着性、及び成形型からの剥離性のバランスを取るためにも必須な成分である。かかるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物を用いることにより、フッ素系樹脂やフッ素系単量体含有光硬化性組成物では困難であった光インプリント法によるハイブリッドレンズの形成が可能になる。
〔式1〕
CH2=C(R1)-COO―[CH(CH3)CH2O]n-R2
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1~3のアルキル基、nは2~5の整数を表す。)
本発明において、成分(C)として使用される光重合開始剤としては、光の作用によりラジカルを発生するものであればよく、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピレンフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノプロパン-1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2-クロルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2-エチルアンスラキノン、4’,4”-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、α-アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート、9,10-フェナンスレンキノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン等が挙げられる。これらの中では、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環族モノ(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有単官能(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のエーテル基含有モノ(メタ)アクリレート;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸基含有モノ(メタ)アクリレート;
アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート基以外の反応性基を含有するモノ(メタ)アクリレート、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート;
グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の水酸基含有ジ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等のエーテル基含有ジ(メタ)アクリレート;
ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-(β-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,3-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジ(メタ)アクリレート;
エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート;
2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等のリン酸基含有ジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,3,5-トリス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5-トリス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の3官能以上の(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールテトラキス(β-チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β-チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β-チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(チオグリコレート)、トリエチレングリコールビス(β-チオプロピオネート)、トリエチレングリコールビス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β-チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(チオグリコレート)、トリス[2-(β-チオプロピオニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス(2-チオグリコニルオキシエチル)トリイソシアヌレート、トリス[2-(β-チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス(2-チオグリコニルオキシエトキシエチル)トリイソシアヌレート、トリス[3-(β-チオプロピオニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート、トリス(3-チオグリコニルオキシプロピル)トリイソシアヌレート等の多官能チオールが挙げられる。
これら補助成分は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
以下、本発明の光硬化性組成物の諸特性に関して説明する。
工程(1)光硬化性組成物を、表面に微細な凹凸形状が形成された成形型に塗布する工程。
工程(2)上記光硬化性組成物を、ガラス板で覆う工程。
工程(3)光照射により、光硬化性組成物を光硬化してガラス板/硬化物よりなる積層体を得る工程。
工程(4)ガラス板/硬化物よりなる積層体を、成形型から剥離する工程。
工程(5)上記積層体を熱処理する工程。
積層体の総厚は、0.1~30mmが好ましい。より好ましくは0.5~10mm、更に好ましくは1~5mmである。かかる総厚が薄すぎると、ハイブリッドレンズとしての剛性が不足する傾向にあり、逆に厚すぎると、ハイブリッドレンズの軽量薄型化が困難となる傾向にある。
前者の場合、室温での曲げ弾性率は、レンズの剛性向上の点で、2GPa以上が好ましく、より好ましくは2.5GPa以上、更に好ましくは3GPa以上である。
後者の場合、積層体の変形回避の点で、2GPa以下であることが好ましい。より好ましくは0.001~2GPa、更に好ましくは0.01~1GPaである。当然のことながら、かかる曲げ弾性率が過度に小さいと、レンズ形状の維持が困難となる傾向にある。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
東機産業社製E型粘度計「RE-115L」を用いて、25℃、回転数5rpm(コーンロータ3°×R9.7)で光硬化性組成物を測定した。なお、比較例1の光硬化性組成物は高粘度なため、回転数0.1rpmで測定した。
光硬化性組成物を、厚み1mmのスペーサが周辺部に設置された後記の成形型(微細な表面凹凸形状を有するニッケル製スタンパー)上に塗布し、上部より表面処理された白板ガラスをかぶせ、高圧水銀ランプを用いて白板ガラス面側から光量2J/cm2(照度250mw/cm2で8秒間)の紫外線を照射した後、成形型を剥離して光硬化性組成物の硬化具合を観察し、下記の基準で評価した。
○・・・光量2J/cm2で硬化したもの
△・・・光量を20J/cm2に上げることによって硬化したもの
×・・・ゲル状または液状のままで硬化不充分となったもの
(3-1) 光硬化性組成物のアッベ数νD
アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、波長589nmのNaD線、波長486nmのNaF線、及び波長656nmのNaC線における屈折率を測定し、かかる3つの屈折率から下記式2に従ってアッベ数νDを算出した。
〔式2〕アッベ数νD=(nD-1)/(nF-nC)
(3-2) 硬化物のアッベ数νD
長さ40mm×幅8mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、波長589nmのNaD線、波長486nmのNaF線、及び波長656nmのNaC線における屈折率を測定し、かかる3つの屈折率から上記式2に従ってアッベ数νDを算出した。
(4-1) 光硬化性組成物の屈折率nD
アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、波長589nmのNaD線における屈折率nDを測定した。
(4-2) 硬化物の屈折率nD
長さ40mm×幅8mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、波長589nmのNaD線における屈折率nDを測定した。
長さ50mm×幅50mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、アルファーミラージュ社製電子比重計「MD-300S」にて23℃で測定した。
長さ40mm×幅8mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、アタゴ社製の「多波長アッベ屈折計DR-M4」を用いて、25℃で、436nmにおける屈折率nG、486nmにおける屈折率nF、656nmにおける屈折率nCを測定し、かかる3つの屈折率から下記式3に従って部分分散比θgFを算出した。
〔式3〕部分分散比θgF=(nG-nF)/(nF-nC)
長さ50mm×幅50mm×厚み1mmの硬化物試験片を3枚用意し、日本電色工業社製ヘイズメーター「NDH-2000」で全光線透過率(%)を測定し、3枚の平均値を硬化物の全光線透過率とした。
50mm×50mm×厚み1mmの硬化物試験片を3枚用意し、JIS K 7361に準拠し、日本電色工業社製ヘイズメーター「NDH-4000」を用いてヘイズを測定し、3枚の平均値を硬化物のヘイズとした。
50mm×50mm×厚み1mmの硬化物試験片を3枚用意し、スガ試験機社製カラーコンピューターを用いて色相b*を測定し、3枚の平均値を硬化物の色相b*とした。
長さ100mm×幅100mm×厚み1mmの硬化物試験片を用意し、面内9か所のリタデーションを、オーク社製、複屈折測定装置にて25℃で測定し、9か所の平均値を硬化物のリタデーションとした。
上記の「(2)光硬化性組成物の光硬化性」の評価において、ガラス/硬化物の積層体を成形型から剥離する時の剥離性を下記の基準で評価した。
○・・・硬化物の表面が凝集破壊されることなく剥離
×・・・成形型から剥離不可、もしくは硬化物の表面に凝集破壊あり
上記「(11)積層体の剥離性」の評価において成形型から剥離したガラス/硬化物の積層体を、100℃で1時間の熱処理をした後、その積層体の硬化物表面を顕微鏡観察して、下記の基準で評価した。
〇・・・成形型の微細な凹凸形状が崩れることなく転写
×・・・成形型の微細な凹凸形状が崩れたり歪んだりして転写
JIS K 5400(1990年版)に準じて、ガラス/硬化物の積層体において、硬化物のガラスとの密着性をクロスハッチ法により評価した。
○・・・硬化物の剥がれ無し
×・・・硬化物の剥がれ有り
〔基材と成形型の準備〕
基材として、長さ100mm×幅100mm×厚み1mmの白板ガラスを用意し、該白板ガラスの光硬化性組成物と接する面を、シランカップリング剤溶液で処理した。使用したシランカップリング剤溶液は、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(0.1%)/イソプロピルアルコール(99.9%)の組成である。
成形型として、長さ100mm×幅100mm×厚み1mmのニッケル製スタンパー(表面クロムメッキ)を用意した。該スタンパーの表面には、微細な表面凹凸形状として、幅100μm、深さ100μmの鋸状の溝が、ピッチ100μmで周期的に形成されている。
また、諸特性評価用の硬化物試験片を作製するため、長さ100mm×幅100mm×厚み1mmのガラス2枚を用意し、該ガラスの光硬化性組成物と接する面を、剥離用フッ素系シランカップリング剤溶液(ダイキン社製、「オプツール」)で表面処理し、試験片作製用ガラスとした。
また、実施例・比較例用として、下記の成分を準備した。
・成分(A)として、
(A-1):アッベ数νD 53、屈折率nD 1.48のウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、「UA-160TM」)
(A-2):アッベ数νD 42、屈折率nD 1.49のウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、「UA-1100H」)
・成分(B)として、
(B-1):アッベ数νD 52、屈折率nD 1.44のトリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート(新中村化学工業社製、「AM-30PG」)
(B’-1):アッベ数νD 48、屈折率nD 1.44のジエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタクリレート(新中村化学工業社製、「M-20G」)
(B’-2):アッベ数νD 46、屈折率nD 1.36の2,2,2―トリフルオロエチルメタクリレート(東ソー・エフテック社製、「フルオレスター」)
・成分(C)として、
(C-1):1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、「IRGACURE 184」)
・補助成分として、
(D-1):アッベ数νD 47、屈折率nD 1.46のテトラフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業社製、「ビスコート#150」)
(D-2):アッベ数νD 47、屈折率nD 1.50のビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート(新中村化学工業社製、「A-DCP」)
(D-3):アッベ数νD 35、屈折率nD 1.57のエチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業社製、「ABE-300」)
成分(A)として、上記成分(A-1)60部、成分(B)として、上記成分(B-1)40部、成分(C)として、上記成分(C-1)2部を、室温で1時間撹拌混合し、光硬化性組成物Iを得た。かかる光硬化性組成物Iの粘度は2900mPa・s、アッベ数νDは51、屈折率nDは1.46であった。
得られた光硬化性組成物Iを、厚み1mmのスペーサが周辺部に設置された上記試験片作製用ガラス上に塗布し、上部よりもう1枚の試験片作製用ガラスを被せ、高圧水銀ランプを用いて2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行った。次いで、両側のガラスを剥離し、得られた硬化物を、100℃で1時間熱処理して各種特性評価用の硬化物試験片I(厚み1mm)とした。
得られた光硬化性組成物Iを、厚み1mmのスペーサが周辺部に設置された上記成形型上に塗布し、上部より表面処理された白板ガラスをかぶせ、高圧水銀ランプを用いて白板ガラス面側から2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行った。光硬化性は良好であった。
次いで、凹凸形状が形成された硬化物表面から成形型を剥離した。剥離性は良好であった。得られたガラス/硬化物の積層体を、100℃で1時間熱処理し、積層体Iを得た。硬化物表面の転写精度は良好であった。
硬化物試験片Iのアッベ数νDは60、屈折率nDは1.48であり、高アッベ数かつ低屈折率であった。また、比重、部分分散比θgF、全光線透過率、ヘイズ、色相b*、リタデーションは、表2に示される通り、良好な特性を有していた。
また、得られた積層体Iにおいては、上記のように剥離性は良好で、かつ転写性も良好であった。更に積層体Iのガラス/硬化物の密着性は良好であった。
〔光硬化性組成物II等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)40部、成分(B)として、成分(B-1)60部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物II、硬化物試験片II及び積層体IIを得た。
得られた光硬化性組成物II、硬化物試験片II及び積層体IIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
〔光硬化性組成物III等の調製〕
成分(A)として、成分(A-2)30部、成分(B)として、成分(B-1)70部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物III、硬化物試験片III及び積層体IIIを得た。
得られた光硬化性組成物III、硬化物試験片III及び積層体IIIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
〔光硬化性組成物IV等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)20部、成分(B)として、成分(B-1)60部、更に補助成分として成分(D-1)20部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物IV、硬化物試験片IV及び積層体IVを得た。
得られた光硬化性組成物IV、硬化物試験片IV及び積層体IVについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
〔光硬化性組成物V等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)37部、成分(B)として、成分(B-1)45部、更に補助成分として成分(D-2)18部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物V、硬化物試験片V及び積層体Vを得た。
得られた光硬化性組成物V、硬化物試験片V及び積層体Vについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
〔光硬化性組成物VI等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)35部、成分(B)として、成分(B-1)43部、更に補助成分として成分(D-2)17部、成分(D-3)5部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物VI、硬化物試験片VI及び積層体VIを得た。
得られた光硬化性組成物VI、硬化物試験片VI及び積層体VIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
〔光硬化性組成物VII等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)80部、成分(B)として、成分(B-1)20部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物VIIを得た。更に、実施例1と同様にして、高圧水銀ランプを用いて2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行った。
次いで、実施例1と同様にして、硬化物試験片VIIを得た。
一方、微細凹凸形状が形成された硬化物表面から成形型を剥離しようとしたが、強固に接着しているため剥離は不可能であり、目的とするガラス/硬化物の積層体VIIは得られなかった。
得られた光硬化性組成物VII、硬化物試験片VIIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。なお、上記のように目的とする積層体VIIは得られなかったが、評価可能な剥離性・ガラスとの密着性についてはその評価を表2に示した。
〔光硬化性組成物VIII等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)20部、成分(B)として、成分(B-1)80部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物VIII、硬化物試験片VIII及び積層体VIIIを得た。
得られた光硬化性組成物VIII、硬化物試験片VIII及び積層体VIIIについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
〔光硬化性組成物IX等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)42部、成分(B-1)40部から成分(B’-1)40部へ代え、更に補助成分として成分(D-2)18部を用いる以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物IX、硬化物試験片IX及び積層体IXを得た。
得られた光硬化性組成物IX、硬化物試験片IX及び積層体IXについて、諸特性を評価し、表1と表2に示した。
〔光硬化性組成物X等の調製〕
成分(A)として、成分(A-1)70部、成分(B-1)40部から成分(B’-2)30部に代える以外は実施例1と同様にして、光硬化性組成物Xを得た。更に、実施例1と同様にして、高圧水銀ランプを用いて2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行ったが、光硬化性組成物Xの光硬化性が低いために、液状態のままであった。
〔光硬化性組成物X’等の調製〕
そこで、表1の通り、成分(C-1)を4部に増量した光硬化性組成物X’を調製し、実施例1と同様にして、高圧水銀ランプを用いて2J/cm2の紫外線を照射して光硬化を行った。しかし、ゲル状で硬化不充分であった。そこで、光硬化性組成物X’を用いて、20J/cm2の紫外線を照射して、硬化物試験片X’及び積層体X’を得た。
硬化物試験片X’は、黄色く、白っぽい外観を呈していた。また、積層体X’は、硬化物がガラスから一部剥離していた。
得られた光硬化性組成物X’、硬化物試験片X’及び積層体X’について、諸特性を評価し、表1と表2に示した。なお、硬化物試験片X’の436nmにおける屈折率nGは測定が不可能だったため、部分分散比θgFは算出できなかった。
更に、実施例1~6の硬化物同士を比較すると、特定の補助成分を用いた実施例5,6は、高い部分分散比θgFを有することがわかる。
Claims (2)
- レンズ形成用の光硬化性組成物であって、下記成分(A)、(B)、及び(C)を含有し、成分(B)に対する成分(A)の重量比(A/B)が、25/75~75/25であり、成分(A)と(B)の合計量が、光硬化性組成物全体の70重量%以上であることを特徴とする光硬化性組成物。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート。
(B)下記一般式1で示されるプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート系化合物。
〔式1〕
CH2=C(R1)-COO―[CH(CH3)CH2O]n-R2
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1~3のアルキル基、nは2~5の整数を表す。)
(C)光重合開始剤。 - 光硬化後の硬化物が、アッベ数νDが55以上、屈折率nDが1.5以下、かつ部分分散比θgFが0.5以上であることを特徴とする請求項1記載の光硬化性組成物。
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