以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
先ず、本実施形態にかかる基板処理システムの構成について説明する。図1は、基板処理システム1の構成の概略を模式的に示す平面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
本実施形態の基板処理システム1では、基板としてのウェハWを薄化する。ウェハWは、例えばシリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体ウェハである。ウェハWの表面(以下、非加工面という)にはデバイス(図示せず)が形成されており、さらに当該表面にはデバイスを保護するための保護材、例えば保護テープ(図示せず)が貼り付けられている。そして、ウェハWの裏面(以下、加工面という)に対して研削などの所定の加工処理が行われ、当該ウェハが薄化される。
基板処理システム1は、処理前のウェハWをカセットC内に収納し、複数のウェハWをカセット単位で外部から基板処理システム1に搬入する搬入ステーション2と、処理後のウェハWをカセットC内に収納し、複数のウェハWをカセット単位で基板処理システム1から外部に搬出する搬出ステーション3と、ウェハWに加工処理を行って薄化する加工装置4と、加工処理後のウェハWの後処理を行う後処理装置5と、搬入ステーション2、加工装置4及び後処理装置5の間でウェハWを搬送する搬送ステーション6と、を接続した構成を有している。搬入ステーション2、搬送ステーション6、及び加工装置4は、X軸負方向側においてY軸方向にこの順で並べて配置されている。搬出ステーション3と後処理装置5は、X軸正方向側においてY軸方向にこの順で並べて配置されている。
搬入ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば2つのカセットCをX軸方向に一列に載置自在になっている。すなわち、カセット載置台10は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
搬出ステーション3も、搬入ステーション2と同様の構成を有している。搬出ステーション3にはカセット載置台20が設けられ、カセット載置台20には、例えば2つのカセットCをX軸方向に一列に載置自在になっている。すなわち、カセット載置台20は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。なお、搬入ステーション2と搬出ステーション3は1つの搬入出ステーションに統合されてもよく、かかる場合、搬入出ステーションには共通のカセット載置台が設けられる。
加工装置4では、ウェハWに対して研削や洗浄などの加工処理が行われる。この加工装置4の構成は後述する。
後処理装置5では、加工装置4で加工処理されたウェハWに対して後処理が行われる。後処理としては、例えばウェハWをダイシングテープを介してダイシングフレームに保持するマウント処理、ウェハWに貼り付けられた保護テープを剥離する剥離処理などが行われる。そして、後処理装置5は、後処理が行われダイシングフレームに保持されたウェハWを搬出ステーション3のカセットCに搬送する。後処理装置5で行われるマウント処理や剥離処理はそれぞれ、公知の装置が用いられる。
搬送ステーション6には、ウェハ搬送領域30が設けられている。ウェハ搬送領域30には、X軸方向に延伸する搬送路31上を移動自在なウェハ搬送装置32が設けられている。ウェハ搬送装置32は、ウェハWを保持するウェハ保持部として、搬送フォーク33と搬送パッド34を有している。これら搬送フォーク33と搬送パッド34はそれぞれ、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。
図2に示すように搬送フォーク33は、先端が2本の先端部33aに分岐している。また、搬送フォーク33の表面には、例えば3つのパッド33bが設けられている。各パッド33bは真空引きする吸引機構(図示せず)に接続され、ウェハWを吸引する。これにより搬送フォーク33は、パッド33bでウェハWを吸着保持する。なお、搬送フォーク33は、研削前のウェハWを搬送する。
搬送パッド34は、平面視において、ウェハWの径より長い径を備えた円形状を有する。また、搬送パッド34は、その下面に複数の吸引口(図示せず)が形成され、各吸引口は真空引きする吸引機構(図示せず)に接続されている。これにより搬送パッド34は、ウェハWの加工面全面を吸着保持する。なお、搬送パッド34は、研削後のウェハW、すなわち薄化されたウェハWを搬送する。
図1に示すように基板処理システム1には、制御部40が設けられている。制御部40は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、基板処理システム1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、基板処理システム1における後述のウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部40にインストールされたものであってもよい。
次に、上述した加工装置4の構成について説明する。図3~図5に示すように加工装置4は、回転テーブル100、搬送部としての搬送ユニット110、アライメント部としてのアライメントユニット120、加工面洗浄部としての第1の洗浄ユニット130、非加工面洗浄部としての第2の洗浄ユニット140、第3の洗浄ユニット150、加工部としての粗研削ユニット160、加工部としての中研削ユニット170、及び加工部としての仕上研削ユニット180を有している。
回転テーブル100は、回転機構(図示せず)によって回転自在に構成されている。回転テーブル100上には、ウェハWを吸着保持する第1の保持部としてのチャック101が4つ設けられている。チャック101は、回転テーブル100と同一円周上に均等、すなわち90度毎に配置されている。4つのチャック101は、回転テーブル100が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置A1~A3に移動可能になっている。
本実施形態では、受渡位置A0は回転テーブル100のX軸正方向側且つY軸負方向側の位置であり、第3の洗浄ユニット150が配置される。受渡位置A0のY軸負方向側には、第2の洗浄ユニット140と、アライメントユニット120及び第1の洗浄ユニット130とが並べて配置される。すなわち、受渡位置A0、第2の洗浄ユニット140、アライメントユニット120、及び第1の洗浄ユニット130は、ウェハ搬送装置32が加工装置4にウェハWを搬送する方向(Y軸方向)に並べて配置される。また、アライメントユニット120と第1の洗浄ユニット130は上方からこの順で積層されて配置される。第1の加工位置A1は回転テーブル100のX軸正方向側且つY軸正方向側の位置であり、粗研削ユニット160が配置される。第2の加工位置A2は回転テーブル100のX軸負方向側且つY軸正方向側の位置であり、中研削ユニット170が配置される。第3の加工位置A3は回転テーブル100のX軸負方向側且つY軸負方向側の位置であり、仕上研削ユニット180が配置される。
チャック101はチャックベース102に保持されている。チャック101及びチャックベース102は、回転機構(図示せず)によって回転可能に構成されている。
図6に示すように搬送ユニット110は、複数、例えば3つのアーム111~113を備えた多関節型のロボットである。3つのアーム111~113のうち、先端の第1のアーム111には、ウェハWを吸着保持する第2の保持部としての搬送パッド114が取り付けられている。また、基端の第3のアーム113は、アーム111~113を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構115に取り付けられている。
搬送パッド114は、平面視において、ウェハWの径より長い径を備えた円形状を有する。その下面に複数の吸引口(図示せず)が形成され、各吸引口は真空引きする吸引機構(図示せず)に接続されている。これにより搬送パッド114は、ウェハWの加工面全面を吸着保持する。また、搬送パッド114は、第1のアーム111の先端部に支持されている。第1のアーム111の先端部には回転部111aが内蔵され、回転部111aは例えばモータなどを備えている。この回転部111aにより、搬送パッド114は回転自在に構成されている。
3つのアーム111~113は、それぞれ関節部112a、113aによって接続されている。すなわち、第1のアーム111の基端部と第2のアーム112の先端部は、当該第2のアーム112の先端部に内蔵された関節部112aで接続されている。関節部112aは例えばモータなどを備え、この関節部112aにより、第1のアーム111は基端部を中心に旋回自在に構成されている。同様に、第2のアーム112の基端部と第3のアーム113の先端部は、当該第3のアーム113の先端部に内蔵された関節部113aで接続されている。関節部113aも例えばモータなどを備え、この関節部113aにより、第2のアーム112は基端部を中心に旋回自在に構成されている。
鉛直移動機構115は、鉛直方向に延伸するガイド115aを備え、第3のアーム113の基端部がガイド115aに取り付けられている。また、鉛直移動機構115には例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)が内蔵され、この駆動部により、第3のアーム113(アーム111~113)がガイド115aに沿って鉛直方向に移動自在に構成されている。
ここで、図7に示すように加工位置A1~A3では、研削ユニット160、170、180でウェハWの加工面を研削する際、水を使用する。また、受渡位置A0では、第3の洗浄ユニット150によりウェハWの加工面を粗洗浄する際、洗浄液を使用する。さらに、第2の洗浄ユニット140によりウェハWの非加工面を洗浄する際も、洗浄液を使用する。このため、これら水や洗浄液を使用する領域は、湿気を含むウェット環境領域R1(図7中の斜線領域)となる。また、ウェット環境領域R1では、研削ユニット160、170、180でウェハWの加工面を研削する際に、削り屑も発生する。
そこで、鉛直移動機構115は、ウェット環境領域R1から隔離されたドライ環境領域R2(図7中の点線領域)に配置するのが好ましい。具体的にドライ環境領域R2は、後述する仕上研削ユニット180の支柱184のY軸負方向側の領域である。かかる場合、鉛直移動機構115の駆動部が湿気などにさらされず、当該駆動部を適切に動作させることができる。また、鉛直移動機構115のガイド115aは開口しているが、この摺動部であるガイド115aを保護するためのシール機構などが不要になり、装置構成を簡略化することも可能となる。さらに、ドライ環境領域R2は搬送ステーション6側にあるため、当該搬送ステーション6からのアクセスがしやすく、鉛直移動機構115のメンテナンスを容易に行うことができる。
なお、上述した回転部111aと関節部112a、113aはそれぞれ、アーム111~113に内蔵されてシールされているため、ウェット環境領域R1においても、さらなる保護は不要である。
そして、かかる構成を備えた搬送ユニット110は、受渡位置A0、アライメントユニット120、第1の洗浄ユニット130、及び第2の洗浄ユニット140に対して、ウェハWを搬送できる。
アライメントユニット120では、研削処理前のウェハWの水平方向の向きを調節する。図8に示すように、アライメントユニット120は処理容器121を有し、処理容器121の内部には基台122、スピンチャック123、及び検出部124が設けられている。スピンチャック123は、ウェハWを吸着保持し、回転機構(図示せず)によって回転自在に構成されている。検出部124は、例えばウェハWの外周部を撮像することでウェハWのノッチ部の位置を検出してもよいし、あるいはウェハWの周縁部にレーザ光を照射することでウェハWのノッチ部の位置を検出してもよい。そして、スピンチャック123に保持されたウェハWを回転させながら検出部124でウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節してウェハWの水平方向の向きを調節する。
なお、アライメントユニット120の下方には第1の洗浄ユニット130が配置されるが、第1の洗浄ユニット130は後述するようにスピンチャック133を備えるため、洗浄時にスピンチャック133が高速回転することで振動する。アライメントユニット120に振動が伝わるとウェハWの水平方向の向きを適切に調節できないため、処理容器121は第1の洗浄ユニット130から独立して支持されるのが好ましい。処理容器121の支持方法は任意であるが、例えばウェット環境領域R1に設けられた支持部材に支持されてもよいし、あるいは加工装置4の筐体(側壁)に支持されていてもよいし、加工装置4の天井面から吊下げ支持されていてもよい。
第1の洗浄ユニット130では、研削処理後のウェハWの加工面を洗浄し、より具体的にはスピン洗浄する。
図9~図10に示すように、第1の洗浄ユニット130は矩形状の支持板131を有している。第1の洗浄ユニット130にはX軸正方向且つY軸正方向から、搬送ユニット110の第1のアーム111と搬送パッド114がアクセスする。このため、支持板131のX軸正方向且つY軸正方向はオープンにされている。
支持板131の周囲にはシャッタ132が設けられている。シャッタ132の上面と下面は開口している。シャッタ132は、昇降機構(図示せず)によって、支持板131の上方と下方に、鉛直方向に移動自在に構成されている。なお、シャッタ132の平面視における形状は、図示した矩形状に限定されず、支持板131の周囲を覆う形状、例えば円形状であってもよい。
図9(a)及び図10(a)に示すようにシャッタ132が支持板131の上方に位置する際、当該シャッタ132は、アライメントユニット120の処理容器121の底面と若干の隙間をあけて配置される。この隙間により、第1の洗浄ユニット130における洗浄処理時の振動が、アライメントユニット120に伝わるのを抑制できる。そして、支持板131、シャッタ132及び処理容器121で、処理空間Kが形成される。なお、処理容器121の底面には、シャッタ132の外方において、上述した処理容器121の底面とシャッタ132との隙間を覆うようにスカート121aが設けられている。このスカート121aにより、ウェハWの洗浄処理時に、洗浄液が外部に飛散することがない。
一方、図9(b)及び図10(b)に示すようにシャッタ132が支持板131の下方に位置する際、処理空間Kが開放される。そして、搬送ユニット110によって処理空間KにウェハWが搬送される。また、開放された処理空間Kには、ウェハ搬送装置32の搬送パッド34が、搬送ユニット110とは異なる方向、すなわち搬送ステーション6側からアクセス可能である。
処理空間Kの中央部には、ウェハWを保持して回転させるスピンチャック133が設けられている。スピンチャック133は、ウェハWを吸着保持する。スピンチャック133の下方には、例えばモータなどを備えた駆動部134が設けられている。スピンチャック133は、駆動部134により所定の速度に回転でき、また昇降自在になっている。スピンチャック133の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ135が設けられている。
洗浄液ノズル136はウェハWの加工面に洗浄液、例えば純水を供給する。また、洗浄液ノズル136は、移動機構137により水平方向及び鉛直方向に移動自在に構成されている。そして、スピンチャック133に保持されたウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル136からウェハWの加工面に洗浄液を供給する。そうすると、供給された洗浄液はウェハWの加工面上を拡散し、当該加工面が洗浄される。
第2の洗浄ユニット140では、研削処理後のウェハWであって搬送ユニット110の搬送パッド114に保持されたウェハWの非加工面を洗浄すると共に、搬送パッド114を洗浄する。図11に示すように、第2の洗浄ユニット140は処理容器141を有し、処理容器141の内部には洗浄液ノズルを有するスポンジ洗浄具142、エアノズル143、ストーン洗浄具144(砥石)、及びブラシ洗浄具145が設けられている。スポンジ洗浄具142、エアノズル143、ストーン洗浄具144、及びブラシ洗浄具145はそれぞれ、昇降機構(図示せず)によって鉛直方向に移動自在に構成されている。
スポンジ洗浄具142は、例えばウェハWの径より長く延伸するスポンジを有し、スポンジには洗浄液、例えば純水を供給可能であり、当該非加工面、より詳細には非加工面に貼り付けられた保護テープを洗浄する。エアノズル143は、ウェハWの非加工面にエアを噴射して、当該非加工面を乾燥させる。これらスポンジ及び洗浄液による非加工面の洗浄と、エアによる非加工面の乾燥はそれぞれ、搬送パッド114でウェハWを保持した状態、且つ回転部111aによって搬送パッド114(ウェハW)を回転させながら行われる。これにより、ウェハWの非加工面全面が洗浄される。
ストーン洗浄具144とブラシ洗浄具145はそれぞれ、例えば搬送ユニット110の搬送パッド114におけるウェハWの吸着面の径より長く延伸し、当該吸着面に接触して洗浄する。そして、ストーン洗浄具144とブラシ洗浄具145による搬送パッド114の洗浄は、回転部111aによって搬送パッド114を回転させながら行われる。これにより搬送パッド114の全面が洗浄される。
第3の洗浄ユニット150では、研削処理後のウェハWの加工面とチャック101を洗浄する。図3及び図4に示すように第3の洗浄ユニット150は、洗浄液ノズル151、ストーン洗浄具152(砥石)、及び移動機構153を有している。洗浄液ノズル151とストーン洗浄具152はそれぞれ、移動機構153によって、水平方向及び鉛直方向に移動自在に構成されている。
洗浄液ノズル151はウェハWの加工面に洗浄液、例えば純水を供給する。そして、チャック101に保持されたウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル151からウェハWの加工面に洗浄液を供給する。そうすると、供給された洗浄液はウェハWの加工面上を拡散し、当該加工面が洗浄される。
ストーン洗浄具152は、チャック101の表面に接触して洗浄する。この際、ノズル(図示せず)からチャック101の表面に洗浄液、例えば純水を供給してもよい。
粗研削ユニット160では、ウェハWの加工面を粗研削する。粗研削ユニット160は環状形状の粗研削砥石161を有している。粗研削砥石161には、スピンドル162を介して駆動部163が設けられている。駆動部163は例えばモータ(図示せず)を内蔵し、粗研削砥石161を回転させると共に、支柱164に沿って鉛直方向及び水平方向(X軸方向)に移動させる。そして、チャック101に保持されたウェハWを粗研削砥石161の円弧の一部に当接させた状態で、チャック101と粗研削砥石161をそれぞれ回転させることによって、ウェハWの裏面を粗研削する。またこのとき、ウェハWの裏面に研削液、例えば水が供給される。
中研削ユニット170では、ウェハWの裏面を中研削する。図3及び図5に示すように中研削ユニット170の構成は粗研削ユニット160の構成とほぼ同様であり、中研削砥石171スピンドル172、駆動部173、及び支柱174を有している。なお、中研削砥石171の粒度は、粗研削砥石161の粒度より小さい。そして、チャック101に保持されたウェハWの裏面に研削液を供給しながら、裏面を中研削砥石171の円弧の一部に当接させた状態で、チャック101と中研削砥石171をそれぞれ回転させることによってウェハWの裏面を研削する。
仕上研削ユニット180では、ウェハWの裏面を仕上研削する。仕上研削ユニット180の構成は粗研削ユニット160、中研削ユニット170の構成とほぼ同様であり、仕上研削砥石181スピンドル182、駆動部183、及び支柱184を有している。なお、仕上研削砥石181の粒度は、中研削砥石171の粒度より小さい。そして、チャック101に保持されたウェハWの裏面に研削液を供給しながら、裏面を仕上研削砥石181の円弧の一部に当接させた状態で、チャック101と仕上研削砥石181をそれぞれ回転させることによってウェハWの裏面を研削する。
次に、以上のように構成された基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。
先ず、複数のウェハWを収納したカセットCが、搬入ステーション2のカセット載置台10に載置される。カセットCには、保護テープが変形するのを抑制するため、当該保護テープが貼り付けられたウェハWの表面が上側を向くようにウェハWが収納されている。
次に、ウェハ搬送装置32の搬送フォーク33によりカセットC内のウェハWが取り出され、加工装置4に搬送される。この際、搬送フォーク33によりウェハWの加工面が上側に向くように、表裏面が反転される。
加工装置4に搬送されたウェハWは、アライメントユニット120のスピンチャック123に受け渡される。そして、当該アライメントユニット120において、ウェハWの水平方向の向きが調節される(図12のステップS1)。
次に、図13(a)及び(b)に示すようにウェハWは搬送ユニット110によって、アライメントユニット120から受渡位置A0に搬送され、当該受渡位置A0のチャック101に受け渡される。その後、回転テーブル100を反時計回りに90度回転させ、チャック101を第1の加工位置A1に移動させる。そして、粗研削ユニット160によって、ウェハWの加工面が粗研削される(図12のステップS2)。
なお、このステップS2においてウェハWがチャック101に保持される前に、チャック101は第3の洗浄ユニット150のストーン洗浄具152を用いて洗浄されている(図12のステップT1)。チャック101の洗浄は、ステップS2までの任意のタイミングで行われる。
次に、回転テーブル100を反時計回りに90度回転させ、チャック101を第2の加工位置A2に移動させる。そして、中研削ユニット170によって、ウェハWの裏面が中研削される(図12のステップS3)。
次に、回転テーブル100を反時計回りに90度回転させ、チャック101を第3の加工位置A3に移動させる。そして、仕上研削ユニット180によって、ウェハWの裏面が仕上研削される(図12のステップS4)。
次に、回転テーブル100を反時計回りに90度回転させ、又は回転テーブル100を時計回りに270度回転させて、チャック101を受渡位置A0に移動させる。そして、第3の洗浄ユニット150の洗浄液ノズル151を用いて、ウェハWの加工面が洗浄液によって粗洗浄される(図12のステップS5)。このステップS5では、加工面の汚れをある程度まで落とす洗浄が行われる。
次に、図13(c)に示すようにウェハWは搬送ユニット110によって受渡位置A0から第2の洗浄ユニット140に搬送される。この際、ウェハWは薄化されているが、搬送パッド114はウェハWの加工面を全面で吸着保持する。そして、第2の洗浄ユニット140では、ウェハWが搬送パッド114に回転保持された状態で、スポンジ洗浄具142によってウェハWの非加工面が洗浄される(図12のステップS6)。その後さらに、ウェハWが搬送パッド114に回転保持された状態で、エアノズル143から非加工面にエアが噴射され、当該非加工面が乾燥される。
なお、このステップS6においてウェハWが搬送ユニット110によって搬送される前に、搬送ユニット110の搬送パッド114は、第2の洗浄ユニット140のストーン洗浄具144とブラシ洗浄具145を用いて洗浄されている(図12のステップT2)。ストーン洗浄具144とブラシ洗浄具145による搬送パッド114の洗浄は、回転部111aによって搬送パッド114を回転させながら行われる。また、搬送パッド114の洗浄は、ステップS6までの任意のタイミングで行われる。
次に、図13(d)に示すようにウェハWは搬送ユニット110によって、第2の洗浄ユニット140から第1の洗浄ユニット130に搬送される。ウェハWの搬送時、第1の洗浄ユニット130では、シャッタ132が支持板131の下方に位置し、処理空間Kが開放されている。その後、ウェハWがスピンチャック133に受け渡され、搬送ユニット110が退出すると、シャッタ132を昇降させて、当該シャッタ132を支持板131の上方に配置し、処理空間Kが形成される。その後、スピンチャック133に保持されたウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル136からウェハWの加工面に洗浄液を供給し、当該加工面が仕上洗浄される(図12のステップS7)。このステップS7では、ウェハWの加工面が所望の清浄度まで洗浄し乾燥される。そして、ウェハWの加工面の仕上洗浄と乾燥が終了すると、シャッタ132を下降させて、当該シャッタ132を支持板131の下方に配置し、処理空間Kが開放される。
その後、ウェハWはウェハ搬送装置32によって、第1の洗浄ユニット130から後処理装置5に搬送される。この際、ウェハWは薄化されているが、搬送パッド34はウェハWの加工面を全面で吸着保持する。そして、後処理装置5では、ウェハWをダイシングフレームに保持するマウント処理や、ウェハWに貼り付けられた保護テープを剥離する剥離処理などの後処理が行われる(図12のステップS8)。
その後、すべての処理が施されたウェハWは、搬出ステーション3のカセット載置台20のカセットCに搬送される。こうして、基板処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
なお、一連のウェハ処理において加工装置4では、搬送ユニット110が動作を停止している際、当該搬送ユニット110の搬送パッド114は待機位置である、第2の洗浄ユニット140の上方に配置されている。この待機の際、搬送パッド114は回転テーブル100のチャック101(受渡位置A0及び加工位置A1~A3)より高い位置に配置されるのが好ましい。上述したステップS2~S4において研削ユニット160、170、180でウェハWの加工面を研削する際、削り屑が発生し、この削り屑を含む汚染空気がチャック101側から流れてくる。そこで、搬送パッド114の待機時に搬送パッド114をチャック101より高く配置することで、当該搬送パッド114が汚染空気によって汚染されるのを抑制することができる。
以上の実施形態によれば、加工装置4において、搬送ユニット110は、3つのアーム111~113を備えた多関節型のロボットであり、各アーム111~113を独立して移動させることができるので、搬送パッド114が受渡位置A0、アライメントユニット120、第1の洗浄ユニット130、及び第2の洗浄ユニット140にアクセスすることができる。そして、このように1つの搬送ユニット110で、受渡位置A0及び各ユニット120、130、140にウェハWを搬送することができるので、当該搬送ユニット110の移動自由度を高くすることができる。さらに、ウェハWの搬送手段が1つであるため、加工装置4の装置構成を簡略化することもできる。したがって、ウェハ処理を効率よく行うことができる。
また、加工装置4において、受渡位置A0、第2の洗浄ユニット140、アライメントユニット120、及び第1の洗浄ユニット130は、Y軸方向に並べて配置されているので、搬送ユニット110のアクセス範囲を小さくすることができ、ウェハWを効率よく搬送することができる。
また、加工装置4においてアライメントユニット120と第1の洗浄ユニット130が積層されているので、加工装置4のフットプリントを小さくすることができる。その結果、加工装置4の設置自由度が向上する。また、このようにアライメントユニット120と第1の洗浄ユニット130を積層することで、これら各ユニット120、130のメンテナンスも容易に行うことができる。
さらに、アライメントユニット120と第1の洗浄ユニット130は上方からこの順で積層されており、すなわち液処理を行う第1の洗浄ユニット130がアライメントユニット120の下層に設けられている。かかる場合、第1の洗浄ユニット130における排液を第1の洗浄ユニット130の下部から容易に行うことができ、また第1の洗浄ユニット130で発生したパーティクルがアライメントユニット120に侵入することがない。但し、アライメントユニット120と第1の洗浄ユニット130の積層順はこれに限定されるものではない。
また、本実施形態によれば、一の基板処理システム1において、一連の処理を複数のウェハWに対して連続して行うことができ、スループットを向上させることができる。
なお、基板処理システム1の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば加工装置4において、アライメントユニット120と第1の洗浄ユニット130は積層されていたが、水平方向に並べて配置してもよい。但し、フットプリントを小さくする観点からは、積層した方が好ましい。また、第1の洗浄ユニット130は、加工装置4の外部、例えば加工装置4と後処理装置5の間に設けられてもよい。
また、加工装置4において、第2の洗浄ユニット140は、アライメントユニット120及び第1の洗浄ユニット130と水平方向に並べて配置されていたが、これらアライメントユニット120と第1の洗浄ユニット130に積層されて設けられていてもよい。但し、搬送ユニット110の搬送パッド114には、必ず待機位置が必要になるため、その待機位置に第2の洗浄ユニット140を配置するのがレイアウトとしては効率がよい。
また、加工装置4において、搬送ユニット110の鉛直移動機構115はドライ環境領域R2に固定して設けられていたが、例えば図1のY軸方向に移動自在に構成されていてもよい。かかる場合、3つのアーム111~113のうち、いずれか1つのアームを省略してもよい。
また、基板処理システム1において、例えば加工装置4と後処理装置5の間に別のウェハ搬送装置が設けられていてもよい。このウェハ搬送装置は、例えば第1の洗浄ユニット130から後処理装置5にウェハWを搬送する。
また、基板処理システム1において、後処理装置5では、マウント処理や剥離処理が行われていたが、ウェハWに対するダイシング処理を行ってもよい。あるいは、基板処理システム1は、加工装置4と後処理装置5に加えて、ダイシング処理を行うダイシング装置を別途有していてもよい。このようなダイシング処理は、加工装置4における研削処理の前に行われてもよいし、研削処理の後で行われてもよい。さらに、基板処理システム1は後処理装置5を省略し、マウント処理や剥離処理、ダイシング処理を基板処理システム1の外部で行ってもよい。かかる場合、加工装置4で研削処理されたウェハWは、ウェハ搬送装置32の搬送パッド34により、第1の洗浄ユニット130からカセット載置台10に搬送される。
次に、上記実施形態の基板処理システム1の加工装置4における、搬送ユニット110の構成についてより詳細に説明する。すなわち、搬送ユニット110の搬送パッド114は、側面視において傾動自在にする場合と、この側面視における傾動を固定する場合を、切り替え自在に構成されている。搬送パッド114を傾動自在にする機構(以下、傾動機構という)と固定する機構(以下、固定機構という)は、それぞれ任意の構成を取り得るが、以下、その例を説明する。
図14は、搬送パッド114の傾動機構200の構成の概略を示す説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。傾動機構200は、支持プレート201と付勢部202を有している。支持プレート201は円板形状を有し、搬送パッド114の上方において、当該搬送パッド114と同心円状に設けられている。また、支持プレート201は、第1のアーム111に支持されている。
付勢部202は、支持プレート201に対して搬送パッド114を離間方向に付勢する。付勢部202は、支持プレート201の同一円周上を等間隔に複数、例えば3箇所に設けられている。この3つの付勢部202によって、搬送パッド114は、その鉛直方向の中心軸Cを中心に傾動可能に構成されている。
図15に示すように付勢部202は、ボルト203、ばね204、及びケース205を有している。ボルト203の先端部203aは、搬送パッド114に固定して設けられている。一方、ボルト203のボルトヘッド203bは、支持プレート201の上面側で上下動可能になっている。ボルト203の外周面には、ばね204が設けられている。ばね204は、ケース205に収容されている。かかる構成により、付勢部202は、支持プレート201に対して搬送パッド114を付勢できる。
図16は、搬送パッド114の固定機構210の構成の概略を示す側面図である。固定機構210は、各付勢部202の上方に設けられている。固定機構210は、ロック部材211とシリンダ212を有している。ロック部材211はボルト203の上方において、鉛直方向に延伸して設けられている。シリンダ212はロック部材211を鉛直方向に移動させる。かかる構成により、固定機構210は、ロック部材211をボルト203のボルトヘッド203bに当接させることで、搬送パッド114の上下動を固定することができる。一方、固定機構210は、ロック部材211をボルト203と当接させないように上方に配置することで、搬送パッド114を上下動させることができる。
次に、以上の傾動機構200と固定機構210の動作について、上述した基板処理システム1におけるウェハ処理に即して説明する。なお、以下の説明において、搬送パッド114を傾動自在にさせるとは、固定機構210のロック部材211を傾動機構200のボルト203に当接させず、傾動機構200の機能によって、搬送パッド114の傾動がフリーな状態になっていることをいう。また、搬送パッド114の傾動を固定させるとは、ロック部材211をボルト203に当接させ、搬送パッド114の上下動がロックされている状態をいう。
先ず、ステップS1においてアライメントユニット120でウェハWの水平方向の向きが調節された後、搬送ユニット110によってアライメントユニット120からウェハWを取り出す際には、搬送パッド114を傾動自在させる。これにより、例えばスピンチャック123に保持されたウェハWが水平でない場合でも、その傾きにそって搬送パッド114を傾動させることができ、ウェハWを適切に受け取ることができる。
その後、搬送ユニット110によって、アライメントユニット120から受渡位置A0にウェハWを搬送する際には、搬送パッド114の傾動を固定する。これにより、搬送中にウェハWが不規則に上下動することを抑制することができる。
その後、搬送ユニット110によって、受渡位置A0のチャック101にウェハWを受け渡す際には、搬送パッド114を傾動自在させる。これにより、例えば図17に示すようにチャック101が平坦(水平)でない場合でも、その傾きにそって搬送パッド114を傾動させることができ、ウェハWを適切に受け渡すことができる。
その後、ステップS2~S5の研削処理が終了し、搬送ユニット110によって受渡位置A0のチャック101からウェハWを受け取る際には、搬送パッド114を傾動自在させる。
その後、搬送ユニット110によって、受渡位置A0から第2の洗浄ユニット140にウェハWを搬送する際には、搬送パッド114の傾動を固定する。
その後、ステップS6において、搬送パッド114に保持されたウェハWの非加工面を洗浄する際には、搬送パッド114の傾動を固定する。これにより、ウェハWが不規則に上下動しないので、非加工面を適切に洗浄することができる。
なお、このステップS6においてウェハWが搬送ユニット110によって搬送される前に、ステップT2において、第2の洗浄ユニット140のストーン洗浄具144とブラシ洗浄具145を用いて搬送パッド114が洗浄される。この搬送パッド114の洗浄の際には、図18に示すように搬送パッド114の傾動を固定する。これにより、搬送パッド114が不規則に上下動しないので、当該搬送パッド114を適切に洗浄することができる。
その後、搬送ユニット110によって、第2の洗浄ユニット140から第1の洗浄ユニット130にウェハWを搬送する際には、搬送パッド114の傾動を固定する。
その後、搬送ユニット110によって、第1の洗浄ユニット130のスピンチャック133にウェハWを受け渡す際には、搬送パッド114を傾動自在させる。これにより、スピンチャック133が平坦(水平)でない場合でも、その傾きにそって搬送パッド114を傾動させることができ、ウェハWを適切に受け渡すことができる。
その後、ステップS8が行われるが、搬送ユニット110を用いない処理であるため、説明を省略する。
以上の実施形態によれば、搬送ユニット110を用いたウェハWの受け渡し時(受け取り時)には、搬送パッド114を傾動自在にしている。このため、例えば受け渡す側のチャックが平坦(水平)でない場合でも、その傾きにそって搬送パッド114を傾動させることができ、ウェハWを適切に受け渡すことができる。
一方、ウェハWの受け渡し以外の時、例えばウェハWの搬送時や洗浄時、搬送パッド114の洗浄時には、搬送パッド114の傾動を固定しているので、当該搬送や洗浄を適切に行うことができる。
このように、搬送パッド114の傾動と固定を切り替えることでウェハ処理を適切に行うことができる。
なお、以上の基板処理システム1は、搬送ユニット110の搬送パッド114に保持されたウェハWに対し、保護テープの厚みを計測する厚み計測器(図示せず)を有していてもよい。厚み計測器は公知の計測器を用いることができるが、例えば分光干渉計を用いることができる。
ここで、ウェハWに貼り付けられた保護テープは、テープ自体の厚みが面内でばらつく場合がある。また、保護テープをウェハWに貼り付ける際に張力が不均一になるために、保護テープの厚みが面内でばらつく場合もある。そして、このようにテープの厚みが不均一な状態で研削処理を行うと、当該研削がウェハ面内で均一になってしまう。
そこで、例えばステップS1においてアライメントユニット120でウェハWの水平方向の向きが調節された後、搬送ユニット110によって受渡位置A0にウェハWを搬送する際、搬送パッド114に保持されたウェハWに対し、厚み計測器によって保護テープの厚みを計測する。そして、ステップS2~S4の研削処理では、保護テープの厚みの計測結果に基づいて、ウェハWの加工面に対する研削ユニット160、170、180(研削砥石161、171、181)の当接の仕方を調節する。そうすると、ウェハ面内で均一な厚みにウェハWを研削して薄化することができる。
このような保護テープの厚み計測を行う場合、搬送パッド114の傾動を固定する。これにより、保護テープの厚みを適切に計測することができる。
なお、搬送パッド114の傾動機構と固定機構の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば図19に示すように固定機構220は、水平方向に延伸するロック部材221と、ロック部材221を水平方向に移動させるシリンダ222を有している。かかる構成により、固定機構220は、ロック部材221をボルト203に当接させることで、搬送パッド114の上下動を固定することができる。一方、固定機構220は、ロック部材221をボルト203と当接させないように側方に配置することで、搬送パッド114を上下動させることができる。
また、例えば図20に示すように固定機構230は、回転自在のロック部材231を有していてもよい。ロック部材231は、中心から径方向に延伸するアーム231aを3本有し、各アーム231aは傾動機構200のボルト203に対応するように設けられている。かかる構成により、固定機構230は、ロック部材231を回転させてアーム231aをボルト203に当接させることで、搬送パッド114の上下動を固定することができる。一方、固定機構230は、アーム231aをボルト203と当接させないように配置することで、搬送パッド114を上下動させることができる。
また、例えば図21に示すように搬送ユニット110は、傾動機構と固定機構が複合した機構240(以下、複合機構240という)を有していてもよい。複合機構240は、搬送パッド114を支持する支持球体241と、支持球体241を真空引きして吸着する吸着体242とを有している。吸着体242の下面には、支持球体241の球形状に沿った湾曲部242aが形成されている。支持球体241は、湾曲部242aに沿って回転自在に構成されている。この支持球体241によって、搬送パッド114は、その鉛直方向の中心軸Cを中心に傾動可能に構成されている。また、湾曲部242aには複数の吸引口(図示せず)が形成され、各吸引口は真空引きする吸引機構(図示せず)に接続されている。
かかる構成により、複合機構240は、吸着体242の湾曲部242aが支持球体241を真空引きして吸着保持する。これにより、支持球体241の回転が固定され、搬送パッド114の傾動を固定することができる。一方、吸着体242の湾曲部242aによる支持球体241の真空引きを停止することで、支持球体241は自由に回転することができる。そして、このように支持球体241が回転することで、搬送パッド114を、中心軸Cを中心に傾動させることができる。
なお、以上の実施形態の傾動機構200と固定機構210、220、230(複合機構240)は、搬送ユニット110の搬送パッド114に限らず、ウェハWを吸着保持して搬送するものであれば適用できる。例えば傾動機構200と固定機構210、220、230(複合機構240)は、ウェハ搬送装置32の搬送パッド34にも適用できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、以上の実施形態では、ウェハWの表面にはデバイスを保護するために保護テープが貼り付けられていたが、デバイスの保護材はこれに限定されない。例えばウェハの表面には、支持ウェハやガラス基板などの支持基板が貼り合せられていてもよく、かかる場合でも本発明を適用することができる。