本発明の実施の形態に係る携帯端末、プログラム、及びエレベータシステムについて図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
1.構成
1-1.エレベータシステム
図1は、実施の形態1におけるエレベータシステムの構成を示すブロック図である。図2は、実施の形態1におけるエレベータシステムを適用したビルの階床の一例を示した平面図である。
本実施の形態におけるエレベータシステムは、群管理制御装置10、複数台のエレベータ制御装置20、複数台のエレベータ30、無線ルータ40、ビーコン50、携帯端末100を有する。図1では、6台のエレベータ30(A号機~F号機)を有するエレベータシステムを例示しているが、本発明は、2~5台のエレベータあるいは7台以上のエレベータを有するエレベータシステムにも適用可能である。
複数台のエレベータ30の各々は、乗りかご、昇降モータ、ドアモータ、釣合おもり等を備える。
エレベータ制御装置20は、複数台のエレベータ30の各々に対応させて設けられている。複数台のエレベータ制御装置20の各々は、群管理制御装置10から出力される制御信号に基づいて対応エレベータの昇降モータやドアモータの駆動を制御することで、対応エレベータの乗りかごを昇降させるとともに、乗りかごのドアを開閉させる。また、エレベータ制御装置20は、対応エレベータの現在位置(現在位置する階床)を検知し、現在位置を示す信号を群管理制御装置10に送信する。
群管理制御装置10は、複数台のエレベータ30の運行を、エレベータ制御装置20を介して統合的に制御する。
携帯端末100は、例えば利用者の所持するスマートフォン、タブレット端末等のコンピュータにアプリケーションプログラム(以下適宜「プログラム」という)などをインストールすることで構成される。なお、携帯端末100は専用端末として構成されてもよい。
無線ルータ40は、例えばEthernet(登録商標)等の有線LAN規格やWifi(登録商標)等の無線LAN規格に準拠したデバイスであり、ビルの各階床のエレベータ乗場またはその近傍に配置され、群管理制御装置10と携帯端末100との間の通信を可能とする。
ビーコン50は、所定形式の無線信号を出力する。
エレベータシステムは、行先階が乗車前に設定される方式を採用している。群管理制御装置10は、複数台のエレベータ30の運転を統合的に制御する装置である。本実施形態では、出発階と行先階が携帯端末100で設定されるように構成されている。出発階は、後述するように、ビーコン50の無線信号に基づいて自動で設定される。行先階は、後述するように、携帯端末100で予め登録された内容などに基づいて自動で設定される。群管理制御装置10は、携帯端末100から受信したエレベータ呼び信号で規定された出発階及び行先階を、複数台のエレベータ30のいずれかに割り当て、割り当てたエレベータの識別情報(以下「エレベータ名」という)を携帯端末100に送信する。携帯端末100は、割り当てられたエレベータ名を表示する。利用者は、エレベータ乗場に移動し、到着したエレベータに乗車する。
以下、群管理制御装置10、携帯端末100、ビーコン50の構成について具体的に説明する。
1-2.群管理制御装置
図3は、群管理制御装置10のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
群管理制御装置10は、コンピュータを利用して構成されており、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリ12と、記憶装置13と、第1通信インタフェース14と、第2通信インタフェース15と、バス16とを備える。
CPU11は、記憶装置13からプログラムやデータを読み出し、読み出したプログラムに基づいてデータ等を利用しつつ演算処理を実行することで、群管理制御装置10における各種の機能を実現させる。
メモリ12は、CPU11がプログラムに基づく演算処理を実行する際に一時的に生成されるデータを格納する。メモリ12は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成される。
記憶装置13は、プログラムや各種データを格納する。記憶装置13は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable And Programmable Read-only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)で構成される。各種データには、本実施形態における群管理制御装置10の群管理制御等で用いられる種々のデータが含まれる。
第1通信インタフェース14は、例えばシリアル通信インタフェースで構成され、エレベータ制御装置20との間で指令やデータを送受信する。
第2通信インタフェース15は、例えばEthernet(登録商標)等の有線LAN規格にしたがった有線通信インタフェースで構成され、無線ルータ40を介して、携帯端末100との間で指令やデータを送受信する。
バス16は、上記の各構成要素間を、双方向に通信可能に接続する。
1-3.携帯端末
図4は、携帯端末100のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
携帯端末100は、コンピュータを利用して構成されており、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、記憶装置103と、タッチパネル式表示部104と、無線通信部105と、ビーコン受信部106と、バス107とを備える。携帯端末100は、例えば、コンピュータを利用して構成されるスマートフォン、タブレット端末等である。
CPU101は、記憶装置103からプログラムやデータを読み出し、読み出したプログラムに基づいてデータ等を利用しつつ演算処理を実行することで、携帯端末100における各種の機能を実現させる。
メモリ102は、CPU101がプログラムに基づく演算処理を実行する際に一時的に生成されるデータを格納する。メモリ102は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成される。
記憶装置103は、プログラムや各種データを格納する。記憶装置103は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable And Programmable Read-only Memory)、SSD(Solid State Drive)で構成される。プログラムには、本実施形態における携帯端末100の各種の機能を実現させるプログラム(アプリケーションプログラム)が含まれる。各種データには、本実施形態における携帯端末100の表示部に表示される種々の表示画面を構成する画像の画像データが含まれる。
タッチパネル式表示部104は、CPU101によって生成された画像信号が示す画像を表示する。また、タッチパネル式表示部104は、画面に対するタッチ操作を受け付けて、タッチ位置を示す信号を出力する。タッチパネル式表示部104は、例えばタッチ位置検出部が一体形成された液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイや、タッチ位置検出パネルが外面に積層された液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイで構成される。
無線通信部105は、例えばWifi(登録商標)等の無線LAN規格にしたがった無線通信インタフェースを有し、無線ルータ40を介して、群管理制御装置10との間で指令やデータを送受信する。
ビーコン受信部106は、ビーコン50から所定形式で送信される無線信号を受信する。
バス107は、上記の各構成要素間を、双方向に通信可能に接続する。
1-4.ビーコン
ビーコン50は、所定形式の無線信号を出力する。所定形式は、携帯端末100が受信することができる形式であればどのような形式でもよい。所定形式は例えばBLE(Bluetooth Low Energy)形式(「Bluetooth」は登録商標)である。ビーコン50が出力する無線信号には、ビーコン50の識別情報(ID)が格納される。以下では、ビーコン50の識別情報を適宜「ビーコン識別情報」といい、図面では、適宜「ID」あるいは「ビーコンID」と示す。
図5は、実施の形態1における携帯端末100のメモリに格納されるビーコン情報テーブルの一例を示した図である。
図5では一例として、ビルが5階建てで、各階に1個のビーコン50が設置されている例を示している。ビーコン情報テーブルでは、各ビーコン50のビーコン識別情報に紐付けて、設置階が記録されている。ビーコン情報テーブルは、アプリケーションプログラムが携帯端末100にインストールされる際に生成される。
携帯端末100のCPU101は、受信中の無線信号のビーコン識別情報に基づいて、ビーコン情報テーブルから、当該無線信号を送信中のビーコン50の設置階の情報を取得する。
1-5.呼び登録用のアプリケーションプログラム
呼び登録用のアプリケーションプログラムは、少なくとも、位置特定アプリと、呼び登録アプリとを含んでいる。
位置特定アプリは、携帯端末100に、ビーコン50からの無線信号の受信電波強度に基づいて現在位置を認識する機能と、携帯端末100の現在位置がアプリ起動エリア内にあることを検知したときに、呼び登録アプリを起動する機能とを実現させるアプリである。なお、位置特定アプリは、携帯端末100にインストールされた後、バックグラウンドで常時実行される。
呼び登録アプリは、携帯端末100に、ビーコン50からの無線信号の受信電波強度に基づいて現在位置を認識する機能と、携帯端末100の現在位置が上記アプリ起動エリア内にあることを検知して、行先階に関する情報を含む呼び情報を取得する機能と、携帯端末100の現在位置が上記アプリ起動エリアの内側の呼び登録エリア内にあることを検知すると、呼び情報に基づいてエレベータ呼び信号を生成して群管理制御装置10に送信する機能とを実現させるアプリである。
図6は、アプリ起動エリア及び呼び登録エリアを説明した図である。
呼び登録エリアは、エレベータ乗場を含むエリアであって、エレベータ乗場よりも広いエリアである。図6に例示したビルではセキュリティゲートが設けられるが、この場合、呼び登録エリアは、例えば、セキュリティゲートよりも内方側のエリアとする。この場合の呼び登録エリアのビーコン50を中心とする半径(距離)はLcであるとする。なお、ビーコン50は、A~F号機に対する距離が概ね等しくなるように、エレベータ乗場のほぼ中心に配置されている。
アプリ起動エリアは、呼び登録エリアを含むエリアであって、セキュリティゲートの外方にまで広がるエリアである。この場合の呼び登録エリアのビーコン50を中心とする半径(距離)はLaであるとする。半径(距離)Laは、半径(距離)Lcよりも大きくなる。
2.動作
2-1.携帯端末のアプリケーションプログラムの初期設定
携帯端末100にアプリケーションプログラムをインストールした際の初期設定について説明する。
図7、図8A、図8B、図8Cは、携帯端末100のタッチパネル式表示部104(以下では適宜省略して「表示部104」という)における表示の一例を示した図である。なお、ここで行った初期設定の内容はアプリケーションプログラムの利用開始後においても変更することができる。
携帯端末100にインストールされたアプリケーションプログラムを初めて起動すると、図7に示す基本設定画面が表示される。基本設定画面には、3個の設定ボタンBs1、Bs2、Bs3と、完了ボタンBcが表示される。
設定ボタンBs1は、接続先の群管理制御装置10のIPアドレスを設定するためのボタンである。設定ボタンBs1がタッチされると、CPU101は、表示部104に、図8Aに示す接続先IPアドレス設定画面を表示させる。接続先IPアドレス設定画面には、IPアドレス入力枠Faと、決定ボタンBdが表示される。IPアドレス入力枠Fa内に、IPアドレスが入力され、決定ボタンBdがタッチされると、CPU101は、入力されたIPアドレスを記憶装置103に記憶させ、図7の基本設定画面を表示させる。なお、IPアドレス入力枠Fa内へのIPアドレスの入力は、IPアドレス入力枠Faをタッチしてキーボードを表示させることで、キーボードを利用して入力することができる。
設定ボタンBs2は、利用者のデフォルト行先階を設定するためのボタンである。設定ボタンBs2がタッチされると、CPU101は、表示部104に、図8Bに示すデフォルト行先階設定画面を表示させる。デフォルト行先階設定画面には、デフォルト行先階入力枠Fbと、決定ボタンBdが表示される。デフォルト行先階入力枠Fb内に、デフォルト行先階が入力され、決定ボタンBdがタッチされると、CPU101は、入力されたデフォルト行先階を記憶装置103に記憶させ、図7の基本設定画面を表示させる。なお、デフォルト行先階入力枠Fb内へのデフォルト行先階の入力は、デフォルト行先階入力枠Fbをタッチしてキーボードを表示させることで、キーボードを利用して入力することができる。
設定ボタンBs3は、エレベータ到着等通知を設定するためのボタンである。設定ボタンBs3がタッチされると、CPU101は、表示部104に、図8Cに示すエレベータ到着等通知設定画面を表示させる。エレベータ到着等通知設定画面には、エレベータが到着したとき等のブザーのON/OFFを設定するためのスライダSL1と、エレベータが到着したとき等のバイブレーションのON/OFFを設定するためのスライダSL2と、決定ボタンBdが表示される。スライダSL1がONまたはOFFにスライドされ、及び/またはスライダSL2がONまたはOFFにスライドされ、決定ボタンBdがタッチされると、CPU101は、設定されたONまたはOFFを示す情報を記憶装置103に記憶させ、表示部104に、図7の基本設定画面を表示させる。
2-2.呼び登録
アプリケーションプログラムのインストール及び初期設定完了後における携帯端末100の動作を説明する。
図9A、実施の形態1における携帯端末100の動作の一例を示したフローチャートである。図9Aは、位置特定アプリにより携帯端末100で実現される動作を説明したフローチャートである。
図9Aに示すように、位置特定アプリが動作中、携帯端末100のCPU101は、ビーコン50の無線信号を探索し、無線信号が受信されている場合、その受信電波強度を計測し、ビーコン50と携帯端末100との間の距離dを算出する(S51)。距離dの算出は、例えば数式1で示すフリスの伝達公式を用いて行うことができる。TxPowerは1m地点の電波強度であり、アプリ上で所定値が予め設定されている。
なお、ステップS51では、過去直近所定回数分(例えば10回分)の受信電波強度(RSSI)の計測値の平均値を求め、この平均値を用いて上記距離dを算出してもよい。後述するステップS52での判断がYESとなるまでは、ステップS51が繰り返し実行され、その都度、最新の受信電波強度(RSSI)が計測されるため、このように繰り返し計測されたもののうち過去直近所定回の受信電波強度(RSSI)の計測値を利用して、平均値を求めるものである。なお、上記の繰り返しの周期は例えば100~200msである。また、上記の所定回数は、10回に限られるものでなく、それ未満あるいはそれよりも大きい回数であってもよい。また、過去直近所定回数分の平均値でなく、過去直近所定回数分の中央値を用いてもよいし、外れ値を除いて平均をとった平均値を用いてもよい。
CPU101は、求めたビーコン50と携帯端末100との間の距離dが第1所定距離以下か否かを判断する(S52)。第1所定距離は、アプリ起動エリアの前述した半径Laである。第1所定距離は、任意であるが、例えば平均的利用者のエレベータ乗場までの歩行時間やエレベータ乗場での平均待ち時間などに基づいて、所定の値が予め設定されている。CPU101による本処理によると、携帯端末100の現在位置がアプリ起動エリア内に移動したか否かが判断される。
ビーコン50と携帯端末100との間の距離dが第1所定距離以下となった場合(S52でYES)、つまり携帯端末100の現在位置がアプリ起動エリア内に移動した場合、CPU101は、呼び登録アプリを起動する(S53)。呼び登録アプリは、呼び情報を取得するアプリである。取得される呼び情報には、ビーコン50からの無線信号に含まれるビーコン識別情報にビーコン情報テーブルで紐付けられている設置階(出発階)の情報(出発階に関する情報)と、デフォルト行先階の初期設定画面で登録された行先階の情報(行先階に関する情報)とが含まれる。これに対し、第1所定距離以下となっていない場合(S52でNO)、つまり携帯端末100の現在位置がアプリ起動エリア内にない場合、CPU101は、ステップS51に戻る。
CPU101は、呼び登録アプリから処理終了信号を受信したか否かを判断する(S54)。
呼び登録アプリから処理終了信号を受信した場合(S54でYES)、CPU101は、ステップS51に戻る。処理終了信号を受信していない場合(S54でNO)、CPU101は、ステップS54の判断を繰り返す。
次に、位置特定アプリにより呼び登録アプリが起動された後の動作について図9B、図10~図13を参照して説明する。図9Bは、実施の形態1における携帯端末100の動作の一例を示したフローチャートである。図9Bは、呼び登録アプリにより携帯端末100で実現される動作を説明したフローチャートである。図10~図13は、携帯端末100の表示部104における表示の一例を示した図である。
呼び登録アプリが起動されると、携帯端末100のCPU101は、無線ルータ40を介して群管理制御装置10との間の通信の接続処理を行い、通信が確立すると、群管理制御装置10からエレベータ基本情報を受信する(S101)。なお、接続先のIPアドレスの設定が完了していない場合には、IPアドレスの設定を促すために、図7の基本設定画面が表示される。エレベータ基本情報には、建物名、群管理名、階床情報、階床名情報、サービス階情報が含まれる。建物名は、エレベータシステムが配置された建物(ビル)の名称である。群管理名は、複数台のエレベータを1つの群としたときのエレベータ群の名称である。例えば、Aバンク、Bバンク、Cバンク等である。階床情報は、ビル内に存在する階床を示す1,2,3等の数値である。階床名情報は、階床に対して付与された名称を示す情報であり、例えば「ロビー階」、「食堂階」、「駐車場階」であるす。階床名は付与されない場合もある。
携帯端末100のCPU101は、ビーコン50から受信中の無線信号の受信電波強度(RSSI)を計測し、受信電波強度(RSSI)に基づいてビーコン50と携帯端末100との間の距離dを算出する(S102)。距離dの算出は、前述したように、例えば数式1で示すフリスの伝達公式を用いて行うことができる。TxPowerは1m地点の電波強度であり、アプリ上で所定値が予め設定されている。
なお、ステップS102では、過去直近所定回数分(例えば10回分)の受信電波強度(RSSI)の計測値の平均値を求め、この平均値を用いて上記距離dを算出してもよい。後述するステップS103Bでの判断がYESとなるまでは、ステップS102が繰り返し実行され、その都度、最新の受信電波強度(RSSI)が計測されるため、このように繰り返し計測されたもののうち過去直近所定回の受信電波強度(RSSI)の計測値を利用して、平均値を求めるものである。なお、上記の繰り返しの周期は例えば100~200msである。また、上記の所定回数は、10回に限られるものでなく、それ未満あるいはそれよりも大きい回数であってもよい。また、過去直近所定回数分の平均値でなく、過去直近所定回数分の中央値を用いてもよいし、外れ値を除いて平均をとった平均値を用いてもよい。
CPU101は、求めたビーコン50と携帯端末100との間の距離dが第1所定距離以下か否かを判断する(S103A)。この処理は、ステップS51と同じ処理である。つまり、CPU101は、携帯端末100の現在位置がアプリ起動エリア内で維持されているか否かを判断する。
ビーコン50と携帯端末100との間の距離dが第1所定距離以下でない場合(S103AでNO)、つまり携帯端末100の現在位置がアプリ起動エリア内からアプリ起動エリア外に移動した場合、CPU101は、アプリ終了情報の送信等を含む呼び登録アプリの終了処理を行う(S114)。利用者が一時的にアプリ起動エリアに入っただけの状況が考えられるためである。
これに対し、ビーコン50と携帯端末100との間の距離dが第1所定距離以下である場合(S103AでYES)、つまり携帯端末100の現在位置がアプリ起動エリア内で維持されている場合、CPU101は、求めたビーコン50と携帯端末100との間の距離が第2所定距離以下か否かを判断する(S103B)。第2所定距離は、前述した呼び登録エリアの半径Lcである。第2所定距離は、任意であるが、例えば平均的利用者のエレベータ乗場までの歩行時間やエレベータ乗場での平均待ち時間や、セキュリティゲートの有無などに応じて、所定の値が予め設定されている。CPU101による本処理によると、携帯端末100の現在位置が呼び登録エリア内に移動したか否かが判断される。
ビーコン50と携帯端末100との間の距離dが第2所定距離以下でない場合(S103BでNO)、つまり携帯端末100の現在位置がアプリ起動エリア内で維持され、呼び登録エリアに移動していない場合、CPU101は、ステップS102に戻る。
これに対し、ビーコン50と携帯端末100との間の距離dが第2所定距離以下である場合(S103BでYES)、つまり携帯端末100の現在位置が呼び登録エリア内に移動した場合、CPU101は、ビーコン50からの無線信号に含まれる情報に基づいて出発階情報を生成する(S104)。具体的には、CPU101は、ビーコン50からの無線信号に含まれるビーコン識別情報にビーコン情報テーブルで紐付けられている設置階を出発階とする出発階情報を生成する。
CPU101は、デフォルト行先階の初期設定画面で登録された行先階に基づいて行先階情報を生成する(S105)。
CPU101は、出発階情報、行先階情報、及びステップS102で算出した距離dを示す距離情報を含むエレベータ呼び信号を、群管理制御装置10に送信する(S106)。
送信したエレベータ呼び信号に対する応答として、群管理制御装置10から、割り当てられたエレベータ(以下「割当エレベータ」という)の名称(以下「割当エレベータ名」という)の情報(以下「割当エレベータ情報」という)を受信すると(S107でYES)、CPU101は、表示部104に、図10に示す割当エレベータ案内画面を一定時間表示させる(S108)。割当エレベータ案内画面には、上記同様の建物名、群管理名、設定メニューボタンとともに、割当エレベータ情報が示す割当エレベータ名が表示される。図10では、「C」号機が割り当てられた例を示している。一定時間は例えば数秒である。この表示により、利用者は、自己が利用すべきエレベータを認識することができる。なお、建物名、群管理名、設定メニューボタンは、基本設定画面以外の画面では共通して表示される内容であるので、以下では適宜説明を省略する。
割当エレベータ情報の受信後、さらに、群管理制御装置10から、割当エレベータの位置情報、方向情報、停止予定階情報を受信すると(S109でYES)、CPU101は、表示部104に、図11に示す割当エレベータの現在位置及び運転方向を示す位置・方向表示画面を表示させる(S110)。ここで、位置情報は、割り当てられたエレベータが現在位置する階床を示す情報である。方向情報は、割り当てられたエレベータの現在の運転方向(走行している方向または走行しようとしている方向。上方向/下方向)を示す情報である。停止予定階情報は、割り当てられたエレベータが現在位置する階床から出発階に到着するまでに途中で停止する全ての階床(停止予定階)を示す情報である。位置・方向表示画面には、割当エレベータ名と、割当エレベータが現在位置する階床を示す数値と、運転方向を示すマークが表示される。上方向のマークは例えば上向き三角「▲」であり、下方向のマークは例えば下向きの逆三角「▼」で示される。図11では、割当エレベータである「C」号機が、現在9階に位置しており、上方向(▲)に運転している例を示している。この表示により、利用者は、自己が利用すべきエレベータを認識することができる。なお、これらの表示の下方には、出発階及び行先階が表示される。本例では「12」階及び「18」階が表示される。
割当エレベータが出発階に到着するまでの間、群管理制御装置10から、携帯端末100に、随時、更新した位置情報、停止予定階情報、及び方向情報が送信される。更新された位置情報、停止予定階情報、及び方向情報を受信した場合(S109でYES)、CPU101は、表示部104に、更新された位置情報、停止予定階情報、及び方向情報に基づいて、エレベータの位置・方向表示画面を更新表示させる(S110)。更新された位置情報、停止予定階情報、及び方向情報を受信するのは、例えば、割当エレベータの運行状態に変化が生じたときである。運行状態の変化とは、例えば、割当エレベータが隣接する階床に移動したことや、割当エレベータに別の利用者の呼びが割り当てられたことである。例えば、割当エレベータが、図11の現在位置から10階に移動した場合、現在位置の階床の表示が図12に示すように10階に更新される。なお、随時とは、例えば0.1秒周期等の一定周期であってもよい。
割当エレベータが出発階の直前の階床を出発または通過すると(S111でYES)、CPU101は、表示部104に、図13に示す到着案内画面を表示させる(S112)。割当エレベータが出発階の直前の階床を出発または通過した場合、間もなく出発階に到着することとなるため、このタイミングで到着案内画面を表示させる。到着案内画面では、図11,図12の位置・方向表示画面の現在位置する階床の表示に代えて「到着します」という表示が行われる。この表示により、利用者は、自己が利用すべき割当エレベータが出発階に到着することを認識し、乗車準備を行うことができる。
なお、到着案内画面を表示させる際、CPU101は、図8Cのエレベータ到着等通知設定画面でブザーやバイブレーションがONに設定されている場合、スピーカやバイブレータ(特に図示していないが一般的なものでよい)を作動させて、音(音声)やバイブレーションを発生させる。
ここで、CPU101は、割当エレベータが出発階の直前の階床を出発または通過したか否かの判断を、位置情報と方向情報とに基づいて行う。具体的には、CPU101は、更新された位置情報、及び方向情報を受信する都度、運転方向から判断できる出発階の直前の階床と、位置情報が示す階床とが一致するか否かを判断し、両者が一致後に不一致となった場合、割当エレベータが出発階の直前の階床を出発または通過したと判断する。
割当エレベータが出発階に到着すると(S113でYES)、CPU101は、アプリ終了情報の送信等を含むアプリケーションプログラムの終了処理を行い(S114)、本フローチャートに基づく処理を終了する。このように終了処理を自動的に行うことにより、利用者において自己でアプリケーションプログラムを終了させる処理が不要となり、利用者の操作が軽減される。また、携帯端末100のバッテリの電力消費が抑制される。さらに、自動的に終了処理が行われるため、接続されていた無線LANの周波数が開放され、他の利用者がアプリケーションプログラムを立ち上げたときの群管理制御装置10との間の適切な接続性や応答性が得られる。
ここで、CPU101は、割当エレベータが出発階に到着したか否かの判断を、位置情報と出発階情報とに基づいて行う。具体的には、CPU101は、更新された位置情報を受信する都度、出発階と、位置情報が示す階床とが一致するか否かを判断し、両者が一致する場合、割当エレベータが出発階に到着したと判断する。
図14は、群管理制御装置10の動作の一例を示したフローチャートである。
図14のフローチャートに基づく処理は、無線ルータ40を介して、携帯端末100と群管理制御装置10との間で通信が確立したときに開始する。
通信が確立すると、群管理制御装置10は、携帯端末100に、エレベータ基本情報を送信する(S201)。エレベータ基本情報には、群管理制御装置10が設置されている建物名、群管理名、階床情報、階床名情報、サービス階情報が含まれる。
群管理制御装置10は、携帯端末100から、出発階情報、行先階情報、及び距離情報を含むエレベータ呼び信号を受信すると(S202でYES)、呼びを複数台のエレベータの中から最適なエレベータに割り当てる(S203)。最適な割当エレベータの決定は、出発階情報、行先階情報、及び距離情報に基づいて、例えばエレベータシステムの運行効率等が向上するように行われる。
群管理制御装置10は、携帯端末100に、割当エレベータ名の情報(割当エレベータ情報)を送信する(S204)。
また、群管理制御装置10は、携帯端末100に、割当エレベータの位置情報、方向情報、及び停止予定階情報を送信する(S205)。ここで、群管理制御装置10は、割当エレベータの現在位置(現在位置する階床)を、対応するエレベータ制御装置20から随時送信されてくる現在位置を示す信号に基づいて常時把握している。また、群管理制御装置10は、全てのエレベータについて、未応答の呼びに応答するための運行予定を管理しており、これらに基づき現在の運転方向及び停止予定階を常時把握している。これらに基づいて、群管理制御装置10は、割当エレベータの位置情報、方向情報、及び停止予定階情報を生成する。
群管理制御装置10は、携帯端末100からアプリ終了情報を受信したか否かを判断する(S206)。
アプリ終了情報を受信していない場合(S206でNO)、群管理制御装置10は、割当エレベータの運行状態に変化があったか否かを判断する(S207)。運行状態の変化とは、例えば、割当エレベータが隣接する階床に移動したことや、割当エレベータに別の利用者の呼びが割り当てられたことである。
エレベータの運行状態に変化がある場合(S207でYES)、群管理制御装置10は、ステップS205に戻り、割当エレベータに関して最新の位置情報、方向情報、停止予定階情報を送信する。
エレベータの運行状態に変化がない場合(S207でNO)、群管理制御装置10は、ステップS206の判断を再度実行する。
アプリ終了情報を受信した場合(S206でYES)、群管理制御装置10は、携帯端末100との間の通信を切断し、当該携帯端末100との間の処理を終了する(S208)。
3.作用等
図6を参照しながら本実施の形態による作用を説明する。エレベータ乗場の周囲のアプリ起動エリア内に携帯端末100の現在位置が移動したことが検知されると、行先階に関する情報を含む呼び情報が取得される。そのため、エレベータ乗場の周囲のエリアであってアプリ起動エリアよりも狭い呼び登録エリア内に現在位置が移動したことが検知されたときに、呼び情報に基づいて直ぐにエレベータ呼び信号を生成して送信することができる。つまり一定のタイミングでエレベータ呼び信号を送信できる。そのため、呼び登録を適切なタイミングで行うことができる。
なお、本実施の形態では、現在位置が呼び登録エリアに入ったタイミングで計測された受信電波強度に基づいて算出された距離dの情報を含むエレベータ呼び信号が送信される。そのため、エレベータの群管理制御装置10において、携帯端末100(利用者)の現在位置に応じた移動時間を考慮した適切なエレベータ割当が可能となる。なお、呼び登録エリアの半径は、前述した通りLcであるので、距離dはほぼLcとなる。
また、本実施の形態では、現在位置がアプリ起動エリア内に移動したときに、呼び登録アプリ(呼び情報を取得する機能)が起動され、呼び登録アプリの起動後に、呼び登録エリア内に移動したことが検知されることなく、アプリ起動エリア外に移動したことが検知されると、呼び登録アプリが終了される。これにより、呼び情報を取得する機能を実現する呼び登録アプリを、携帯端末100がアプリ起動エリア内に移動したときに自動で起動させるように構成した場合においても、呼び登録エリア内に移動したことが検知されることなく、アプリ起動エリア外に移動したことを検知したような場合には、呼び登録アプリを自動で終了させることができる。そのため、例えば、携帯端末100を所持した利用者が意図せずにアプリ起動エリア内に入ってしまい、その結果として呼び登録アプリが起動したような場合に、呼び登録アプリが無駄に動作し続けることを抑制できる。また、エレベータを利用する目的で利用者がアプリ起動エリアに入った後、忘れ物を取りに戻るなどの何らかの理由で引き返した場合も同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、呼び登録エリア内に携帯端末100が移動すると、呼び登録アプリのデフォルト行先階設定画面で登録されたデフォルト行先階が自動で読み出され、携帯端末100から当該デフォルト行先階に基づくエレベータ呼び信号が自動で送信される(自動呼び登録)。しかし、1つのビルの中でデフォルト行先階以外のいくつかの階に行く頻度が多い利用者もいる。本実施の形態では、行先階の自動設定だけでなく、行先階の手動設定も可能なように、自動呼び登録をON/OFF可能としている。ハードウェアは実施の形態1と同じでよい。
図15A、図15Bは、実施の形態2における携帯端末100のタッチパネル式表示部104(以下では適宜省略して「表示部104」という)における表示の一例を示した図である。なお、ここで行った初期設定の内容はアプリケーションプログラムの利用開始後においても変更することができる。
図15Aの基本設定画面では、設定ボタンBs4が追加され、合計4個の設定ボタンBs1、Bs2、Bs3、Bs4と、完了ボタンBcが表示される。
設定ボタンBs4は、自動呼び登録を設定するためのボタンである。設定ボタンBs4がタッチされると、CPU101は、表示部104に、図15Bに示す自動呼び登録設定画面を表示させる。自動呼び登録設定画面には、自動呼び登録のON/OFFを設定するためのスライダSL3と、決定ボタンBdが表示される。スライダSL3がONまたはOFFにスライドされ決定ボタンBdがタッチされると、CPU101は、設定されたONまたはOFFを示す情報を記憶装置103に記憶させ、表示部104に、図15Aの基本設定画面を表示させる。
図16A、図16Bは、実施の形態1における携帯端末100の動作の一例を示したフローチャートである。図16A、図16Bは、呼び登録アプリにより携帯端末100で実現される動作を説明したフローチャートである。なお、位置特定アプリにより携帯端末100で実現される動作は、実施の形態1の図9Aのフローチャートにしたがって同様に行われる。
呼び登録アプリが起動されると、携帯端末100のCPU101は、実施の形態1同様に、無線ルータ40を介して群管理制御装置10との間の通信の接続処理を行い、通信が確立すると、群管理制御装置10からエレベータ基本情報を受信する(S101)。
CPU101は、自動呼び登録がONに設定されているか否かを判断する(S101A)。
自動呼び登録がONに設定されている場合(S101AでYES)、CPU101は、ステップS102、S103A、S103Bにおいて、実施の形態1同様の処理を行う。
これに対し、自動呼び登録がONに設定されていない場合(S101AでNO)、CPU101は、図17に示す行先階選択画面を表示部104に表示させた後(S101B)、ステップS102、S103A、S103Bにおいて、実施の形態1同様の処理を行う。
ここで、行先階選択画面には、建物名、群管理名、複数の階床ボタン、設定メニューボタンBsmが表示される。本例では、建物名として「フジ彦根ビル」、群管理名として「Aバンク」、複数の階床ボタンとして11階~20階の各階床のボタンが表示されている。なお、11階~20階という範囲は、ビルが有する複数の階床の一部であり、例えば画面上でスライド操作を行うことで階床の表示範囲を上下にスクロールできる。複数の階床ボタンのうち実線の枠で示されている階床ボタンは、選択可能な階床であることを示し、点線の枠で示されている階床ボタンは、選択不可能な階床であることを示す。なお、選択可能な階床ボタンと選択不可能な階床ボタンは、これらの差を認識できるものであれば、色の相違、色の濃度差、明るさの差等で表示してもよい。設定メニューボタンBsmは、図15Aの基本設定画面を表示させるためのボタンであり、設定メニューボタンBsmがタッチされると、CPU101は、表示部104に、図15Aの基本設定画面を表示させる。
CPU101は、自動呼び登録がONに設定されているか否かを判断する(S103C)。
自動呼び登録がONに設定されている場合(S103CでYES)、CPU101は、図8Bのデフォルト行先階設定画面で設定されたデフォルト行先階を読み出して、デフォルト行先階に基づく行先階情報を生成する(S103D)。
これに対し、自動呼び登録がONに設定されていない場合(S103CでNO)、CPU101は、図17の行先階選択画面上での行先階の選択が完了したか否かを判断する(S103E)。
行先階選択画面上での行先階の選択が完了している場合(S103EでYES)、CPU101は、選択された行先階に基づく行先階情報を生成する(S103F)。
これに対し、行先階選択画面上での行先階の選択が完了していない場合(S103EでNO)、CPU101は、ステップS102に戻る。つまり、CPU101は、ビーコン50から受信中の無線信号の受信電波強度を計測し、以後の処理を繰り返す。
ステップS103DまたはS103Fの実行後、ステップS104以後において、
実施の形態1同様の処理を行う。
このように、本実施の形態によると、利用者は、エレベータ利用状況に応じて、行先階の自動設定や手動設定が可能となる。そのため、エレベータ利用者の利便性が向上する。
また、手動設定が選択されている場合に、呼び登録アプリが起動されると、タッチパネル式表示部104に行先階選択画面が自動表示される。そのため、エレベータを利用しようとして利用者がエレベータ乗場に向かっているような場合に、移動途中で自動的に呼び登録アプリが起動されて行先階選択画面が表示される。そのため、利用者が行先階の入力のために携帯端末100を操作してアプリを起動させる必要がない。したがって、エレベータ利用者の利便性が一層向上する。
また、自動設定が選択されている場合には、現在位置が呼び登録エリアに入ったタイミングで計測された受信電波強度に基づいて算出された距離dの情報を含むエレベータ呼び信号が送信される。そのため、エレベータの群管理制御装置10において、携帯端末100(利用者)の現在位置に応じた移動時間を考慮した適切なエレベータ割当が可能となる。なお、呼び登録エリアの半径は、前述した通りLcであるので、距離dはほぼLcとなる。
これに対し、手動設定が選択されている場合において、行先階選択画面での行先階の選択が呼び登録エリアに入る前に完了しているときには、現在位置が呼び登録エリアに入ったタイミングで計測された受信電波強度に基づいて算出された距離dの情報を含むエレベータ呼び信号が送信される。なお、呼び登録エリアの半径は、前述した通りLcであるので、距離dはほぼLcとなる。一方、行先階選択画面での行先階の選択が呼び登録エリア内に入った後であるときには、行先階の選択が完了したタイミングで計測された受信電波強度に基づいて算出された距離dの情報を含むエレベータ呼び信号が送信される。この場合の距離dはLcよりも小さい値となる。そのため、本実施の形態では、行先階の選択が呼び登録エリアに入る前と入った後のいずれにおいても、エレベータの群管理制御装置10において、携帯端末100(利用者)の現在位置に応じた移動時間を考慮した適切なエレベータ割当が可能となる。
(実施の形態3)
実施の形態1、2では、デフォルト行先階は、デフォルト行先階設定画面で1つの階床が設定される。本実施の形態では、デフォルト行先階は、建物、時間帯、曜日、及び出発階などの条件に応じて複数設定している。デフォルト行先階は、デフォルト行先階設定テーブルにより管理する。なお、デフォルト行先階設定テーブルの条件に一致しない場合には、図17のような行先階選択画面を表示し、手動での行先階入力を可能としてもよい。以下詳しく説明する。
図18Aは、実施の形態3における携帯端末100のメモリ102に格納されるデフォルト行先階設定テーブルの一例を示した図である。
デフォルト行先階設定テーブルは、建物、時間帯、曜日、及び出発階の組み合わせに紐付けて、行先階を記録している。例えば、建物“Aオフィスビル”、時間帯“8:00~10:00”、曜日“月~金”出発階“1”に紐付けて、行先階“7”が記録され、建物“Aオフィスビル”、時間帯“10:00~17:00”、曜日“月~金”出発階“7”に紐付けて、行先階“5”が記録されている。
図18Bは、実施の形態3における携帯端末100のメモリ102に格納されている建物位置情報テーブルの一例を示した図である。
建物位置情報テーブルは、緯度、経度に紐付けて、建物を記録している。例えば、図18Bに示すように、緯度、経度“La1,Lo1”に紐付けて、建物“Aオフィスビル”が記録され、緯度、経度“La2,Lo2”に紐付けて、建物“Bオフィスビル”が記録されている。
本実施の形態では、携帯端末100は、GPS(Global Positioning System)を利用して携帯端末100の現在位置の緯度、経度を取得するGPS部を有している。GPS部としては公知のものを利用可能である。
アプリケーションプログラムは、位置特定アプリ、呼び登録アプリに加えてさらに建物特定アプリを含んでいる。建物特定アプリは、携帯端末100に、GPS部で取得された緯度、経度に基づいて、携帯端末100が現在位置する建物を特定する機能を実現させるアプリである。建物特定アプリは、アプリケーションプログラムのインストール後、バックグラウンドで常時実行される。本実施の形態では、位置特定アプリは、建物特定アプリにより起動される。
ビーコン情報テーブル、デフォルト行先階設定テーブル、及び建物位置情報テーブルは、アプリケーションプログラムが携帯端末100にインストールされたときに生成され、その後、適宜更新される。これらのテーブルに必要な情報は、群管理制御装置10との通信により取得してもよいし、アプリケーションプログラムの付属データとしておいてもよい。
携帯端末100のCPU101は、建物特定アプリの実行中、GPS部で取得した緯度、経度が、建物位置情報テーブルに記録されている緯度、経度のいずれかと一致するかまたはほぼ同じであるかを判断する。そして、いずれかと一致し、またはほぼ同じである場合、CPU101は、一致し、またはほぼ同じであると判断された緯度経度に紐付けられた建物内または近傍に、携帯端末100が現在位置していると判断し、位置特定アプリを起動させる。CPU101は、特定した建物を示す情報をメモリに記憶させる。ここで、GPS部で取得した緯度、経度がほぼ同じとは、当該緯度、経度が建物位置情報テーブルに記録されている緯度、経度に対しそれぞれ例えば±1秒の範囲内にあることである。
CPU101は、位置特定アプリを起動すると、前述の図9Aのフローチャートにしたがって、実施の形態1、2同様にビーコン50からの無線信号に基づく処理を行い、ビーコン50と携帯端末100との間の距離dが第1所定距離以下であると判断すると、呼び登録アプリを起動する。
図19は、実施の形態3における携帯端末100の動作の一例を示したフローチャートである。図19は、呼び登録アプリにより携帯端末100で実現される動作を説明したフローチャートであり、実施の形態2における図16Aに置き換えて実行される。そのため、図19のステップS103AでNOと判断された後、及びステップS106を実行後は、図16Bで示す処理が続行される。なお、位置特定アプリにより携帯端末100で実現される動作は、実施の形態1の図9Aのフローチャートに基づいて同様に行われる。
CPU101は、実施の形態1、2のステップS101同様に、群管理制御装置10からエレベータ基本情報を受信する(S101)。なお、本実施の形態では、CPU101は、呼び登録アプリが起動される際に、初期情報として、建物特定アプリで特定された建物名を取得する。
CPU101は、デフォルト行先階設定テーブルに登録されている建物、時間帯、曜日、及び出発階の組み合わせの中に、建物特定アプリで特定された建物に関する、現在適合する組み合わせがあるかを判断する(S101C)。例えば、建物特定アプリで特定された建物がAオフィスビルである場合、CPU101は、建物“Aオフィスビル”、時間帯“8:00~10:00”、曜日“月~金”出発階“1”の組み合わせと、建物“Aオフィスビル”、時間帯“10:00~17:00”、曜日“月~金”出発階“7”の組み合わせと、建物“Aオフィスビル”、時間帯“10:00~17:00”、曜日“月~金”出発階“5”の組み合わせと、建物“Aオフィスビル”、時間帯“17:00~20:00”、曜日“月~金”出発階“7”の組み合わせとの中に、現在時間、現在の曜日、無線信号に含まれる設置階(出発階)に対して適合するものがあるか判断する。
適合する組み合わせがある場合(S101CでYES)、CPU101は、ステップS102、S103A、S103Bにおいて、実施の形態1同様の処理を行う。
これに対し、適合する組み合わせが存在しない場合(S101CでNO)、CPU101は、図17に示す行先階選択画面を表示部104に表示させた後(S101B)、ステップS102、S103A、S103Bにおいて、実施の形態1同様の処理を行う。
CPU101は、ステップS101C同様に、デフォルト行先階設定テーブルに登録されている建物、時間帯、曜日、及び出発階の組み合わせの中に、建物特定アプリで特定された建物に関する、現在適合する組み合わせがあるかを判断する(S103G)。
適合する組み合わせがある場合(S103GでYES)、CPU101は、デフォルト行先階設定テーブルにおいて、適合する組み合わせに紐付けられている行先階に基づく行先階情報を生成する(S103H)。例えば、建物“Aオフィスビル”、時間帯“8:00~10:00”、曜日“月~金”、出発階“1”の組み合わせと一致する場合、CPU101は、この組み合わせに紐付けられている行先階“7”に基づく行先階情報を生成する。そして、実施の形態2同様のステップS104以後の処理を行う。
これに対し、適合する組み合わせが存在しない場合(S103GでNO)、CPU101は、実施の形態2同様のステップS103E以後の処理を行う。
本実施の形態によれば、利用者がエレベータを利用する際、建物、時間帯、曜日、及び利用者の現在階に応じて自動的に行先階を設定し、呼び登録を行うことができる。そのため、エレベータ利用の利便性が向上する。また、デフォルト行先階設定テーブルに現在の状態に該当する組み合わせが登録されていない場合には、行先階選択画面が自動的に表示されるため、利用者は、所望の行先階を登録することができる。
(実施の形態4)
実施の形態1、2では、1つの階床のエレベータ乗場に1台だけビーコン50が設けられ、このビーコン50から受信した無線信号の受信電波強度に基づいて、携帯端末100とビーコン50との間の距離dを求め、この求めた距離dに基づいて、携帯端末100の現在位置を判断する。しかし、本発明では、1つの階床のエレベータ乗場に複数台のビーコン50が設けられ、これらのビーコン50から受信した無線信号の受信電波強度に基づいて、携帯端末100と各ビーコン50との間の距離dを求め、これらの求めた距離dに基づいて、携帯端末100の現在位置を判断してもよい。
図20は、実施の形態4におけるビーコン50の配置などを説明した平面図である。図21Aは、実施の形態4における携帯端末100のメモリに格納されるビーコン情報テーブルの一例を示した図である。図21Bは、実施の形態4における携帯端末100のメモリに格納されるビーコン中心座標テーブルの一例を示した図である。図20、図21A、図21Bでは、ビルが5階建てで、各階に2個のビーコン50(50-1、50-2)が設置されている場合を示している。
図20に示すように、2台のビーコン50は、それらの中心位置(ビーコン中心の位置)がエレベータ乗場の中心位置とほぼ一致するように、配置される。
図21Aに示すように、ビーコン情報テーブルでは、各ビーコン50のビーコン識別情報に紐付けて、設置階と、各ビーコン50の各設置階での平面位置を示す座標とが記録されている。
図21Bに示すように、ビーコン中心座標テーブルでは、各設置階に紐付けて、ビーコン中心の座標が記録されている。
アプリケーションプログラムは、実施の形態1同様に、位置特定アプリと、呼び登録アプリとを少なくとも含んでいる。アプリケーションプログラムが携帯端末100にインストールされると、携帯端末100は、ビーコン情報テーブルと、ビーコン中心座標テーブルとを生成する。位置特定アプリは、インストール後、携帯端末100上でバックグラウンドで常時実行される。携帯端末100は、携帯端末100に、各ビーコン50から受信中の無線信号の受信電波強度を計測し、各ビーコン50(50-1、50-2)と携帯端末100との間の距離d1、d2を算出する。携帯端末100は、これらの距離d1、d2に基づいて、現在の携帯端末100の位置(座標)を推定する。例えば、各ビーコン50の座標と距離d1、d2に基づいて、三角測量の原理により現在の携帯端末100の位置(座標)を推定することができる。次に、特定した現在の携帯端末100の位置(座標)と、ビーコン中心(座標)とに基づいて、現在の携帯端末100の位置とビーコン中心との間の距離dを算出する。この処理は、図9B、図16AにおけるステップS102の処理に相当する。このようにして算出した算出距離dに基づいて、ステップS103A以後の処理を実行する。
本実施の形態によれば、複数のビーコンを用いて、実施の形態1同様の効果が得られる。
(実施の形態のまとめ)
(1)実施の形態1の携帯端末100は、
エレベータを呼ぶための信号であるエレベータ呼び信号を無線により送信する携帯端末であって、
エレベータ乗場に至る利用者移動経路上に配置されたビーコン50(無線機)から送信される無線信号を受信するビーコン受信部106(受信部)と、
CPU101(制御部)と、を備え、
CPU101(制御部)は、
ビーコン受信部106で受信された無線信号の受信電波強度に基づいて当該携帯端末100の現在位置を認識し、
エレベータ乗場の周囲のアプリ起動エリア(第1エリア)内に現在位置が移動したことを検知すると、行先階に関する情報を含む呼び情報を取得し、
エレベータ乗場の周囲のエリアであってアプリ起動エリアよりも狭い呼び登録エリア(第2エリア)内に現在位置が移動したことを検知すると、呼び情報に基づいてエレベータ呼び信号を生成して送信する。
本構成によれば、エレベータ乗場の周囲のアプリ起動エリア内に携帯端末の現在位置が移動したことが検知されると、行先階に関する情報を含む呼び情報が取得される。そのため、エレベータ乗場の周囲のエリアであってアプリ起動エリアよりも狭い呼び登録エリア内に現在位置が移動したことが検知されたときに、呼び情報に基づいて直ぐにエレベータ呼び信号を生成して送信できる。つまり、呼び登録エリア内に現在位置が移動したタイミングでエレベータ呼び信号を送信できる。そのため、呼び登録を適切なタイミングで行うことができる。
(2)実施の形態1の携帯端末100において、
CPU101(制御部)は、現在位置がアプリ起動エリア内に移動したことを検知したときに、呼び登録アプリ(呼び情報を取得する機能)を起動し、呼び登録アプリの起動後に、呼び登録エリア内に移動したことを検知することなく、アプリ起動エリア外に移動したことを検知すると、呼び登録アプリを終了させる。
本構成によれば、呼び情報を取得する機能を実現する呼び登録アプリを、携帯端末100がアプリ起動エリア内に移動したときに自動で起動させるように構成した場合に、呼び登録エリア内に移動したことを検知することなく、アプリ起動エリア外に移動したことを検知したような場合に、呼び登録アプリを自動で終了させることができる。そのため、例えば、携帯端末100を所持した利用者が意図せずにアプリ起動エリア内に入ってしまい、その結果として呼び登録アプリが起動したような場合に、呼び登録アプリが無駄に動作し続けることを抑制できる。
(3)実施の形態2の携帯端末100において、
画像を表示するタッチパネル式表示部104(表示部)をさらに備え、
CPU101(制御部)は、呼び登録アプリを起動させたときに、タッチパネル式表示部104に行先階選択画面(行先階入力用の行先階入力画面)を自動表示させる。
本構成によれば、エレベータを利用しようとして利用者がエレベータ乗場に向かっているような場合に、移動途中で自動的に呼び登録アプリが起動されて行先階選択画面が表示される。そのため、利用者が行先階の入力のために携帯端末100を操作してアプリを起動させる必要がない。したがって、エレベータ利用者の利便性が向上する。
(4)実施の形態2の携帯端末100において、
CPU101(制御部)は、
呼び情報の取得が完了したことを検知し、かつ、現在位置が呼び登録エリア内に入ったことを検知すると、これらの検知のうち遅い方の検知の時にビーコン受信部106で受信された無線信号の受信電波強度に基づいて当該携帯端末100の現在位置を認識して、当該現在位置とエレベータ乗場との間の距離d(利用者移動距離)を求め、
求めた距離dの情報を含むエレベータ呼び信号を送信する。
本構成によれば、呼び情報の取得が呼び登録エリア内に入った後となったような場合には、呼び情報の取得されたタイミングで、そのタイミングでの距離dの情報を含むエレベータ呼び信号が送信される。そのため、呼び情報の取得が呼び登録エリア内に入った後となったような場合においても、エレベータの群管理制御装置10において、携帯端末100(利用者)の現在位置に応じた適切なエレベータ割当が可能となる。
(5)実施の形態1、2のプログラムは、
コンピュータを、実施の形態1、2の携帯端末100のCPU101として機能させる。
(6)実施の形態1、2のエレベータシステムは、
実施の形態1、2の携帯端末100との間で無線通信を行う無線ルータ40(無線通信部)と、
複数台のエレベータの運行を制御するCPU11(運行制御部)と、を備え、
CPU101は、無線ルータ40を介して、携帯端末100からエレベータ呼び信号を受信したときに、複数台のエレベータのうちのいずれかのエレベータを当該エレベータ呼び信号に対して割り当てて、割り当てられたエレベータの識別情報を、無線ルータ40を介して、携帯端末100に送信する。
本構成によれば、エレベータ呼び信号に対して割り当てられたエレベータの識別情報を携帯端末100に送信することができる。
(他の実施の形態)
前記各実施の形態において、本発明の実施の形態の複数の態様を説明した。しかし、本発明の具体的態様は、上述した実施の形態に限られず、これらの実施の形態を組み合わせたものとすることもできる。
前記各実施の形態では、位置特定アプリと呼び登録アプリは個別のアプリケーションとしたが、一つのアプリケーションとしてもよい。すなわち、携帯端末100の現在位置が呼び登録エリアに入ったときに、呼び登録アプリに相当する機能を起動させてフォアグラウンドでアプリを動作させればよい。
前記各実施の形態では、現在位置が呼び登録エリアに入ったタイミングで計測された受信電波強度に基づいて算出された距離dの情報を含むエレベータ呼び信号が送信される。しかし、実施の形態1では、呼び登録エリアに入ったタイミングでの距離dは、いずれの利用者(携帯端末100)についても、ほぼ呼び登録エリアの半径Lcとなる。そのため、実施の形態1では、エレベータ呼び信号に距離dの情報を含めずに、群管理制御装置10側で一律に距離dを考慮してエレベータ割当を行ってもよい。
前記各実施の形態では、受信電波強度に基づいて携帯端末100とビーコン50との間の距離dを算出し、距離dに基づいて、現在位置が呼び登録エリア内にあるか否かを判断する。しかし、本発明では、携帯端末100現在位置がアプリ起動エリアにあるか、呼び登録エリアにあるかを判別できればよいため、受信電波強度そのものに基づいて携帯端末100現在位置がアプリ起動エリアにあるか、呼び登録エリアにあるかを判別してもよい。この場合、図13B、図16AのステップS103Aでは、受信電波強度が第1電波強度以上か否かを判断し、ステップS103Bでは、受信電波強度が第2電波強度以上か否かを判断する。第1電波強度及び第2電波強度は、アプリ起動エリアの半径及び呼び登録可能エリアの半径に応じて設定する。ステップS103Aにおいて、受信電波強度が第1電波強度以上のとき(S103AでYES)は、ステップS103Bを実行し、受信電波強度が第1電波強度以上でないとき(S103AでNO)は、ステップS114を実行する。ステップS103Bにおいて、受信電波強度が第2電波強度以上のとき(S103BでYES)は、ステップS104(図13B)またはステップS103C(図16A)を実行し、受信電波強度が第2電波強度以上でないとき(S103BでNO)は、ステップS102を実行する。
前記各実施の形態では、図5に示すビーコン情報テーブルは、呼び登録アプリとともに携帯端末100の記憶装置103に予め格納されている。しかし、ビーコン情報テーブルは、群管理制御装置10の記憶装置13に格納されていてもよい。この場合、例えば、携帯端末100で呼び登録アプリが起動されたときに、携帯端末100が、図13のステップS101で、群管理制御装置10からエレベータ基本情報とともにビーコン情報テーブルを受信するようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、携帯端末100が、スマートフォンやタブレット型コンピュータで構成されている場合を例示した。しかし、本発明において、携帯端末は、ノートブック型コンピュータ等の携帯可能な端末機器で構成されてもよい。
前記各実施の形態では、複数台のエレベータ60が設けられている。しかし、本発明は、エレベータが1台だけ設けられている場合にも適用できる。エレベータが1台だけの場合、エレベータの運行を制御する制御装置のCPUは、無線ルータ40を介して、携帯端末100からエレベータ呼び信号を受信すると、当該1台のエレベータを当該エレベータ呼び信号に対して割り当てる。しかし、複数台のエレベータ60が設けられている場合とは異なり、割り当てられたエレベータの識別情報を、無線ルータ40を介して、携帯端末100に送信する必要はない。なお、このCPUは、エレベータ制御装置20に内蔵されてもよいし、群管理制御装置10同様に、別装置としてもよい。