本発明の補強板接着固定用接着シートは、フレキシブルプリント配線板と補強板を接着する接着シートであり、前記シートが熱硬化性材料の熱硬化物を含有し、前記熱硬化性材料の25℃における引っ張り弾性率(x1)が2,500MPa以下であり、かつ、その熱硬化物の25℃における引っ張り弾性率(x2)が2,500MPa以上であり、前記シートの厚さが60μm以下である接着シートである。
前記接着シートは、熱硬化前の厚さが、50μm未満のものを使用することが好ましく、20~48μmのものを使用することが好ましく、30~45μmのものを使用することが、フレキシブルプリント配線板へ補強板を接着固定した際の導電性および接着性のバランスを取るうえでより好ましい。また、熱硬化前の厚さが60μmを超える場合、導電性および接着性は良くなるが、フレキシブルプリント配線板へ補強板を接着固定する際、前記熱硬化性材料の端面からのはみ出し量が増え、フレキシブルプリント配線板の周囲の美観を損ないやすい。熱硬化前の厚さが20μmを下回ると、フレキシブルプリント配線板へ補強板を接着固定した際の導電性および接着性が低下しやすい。
前記接着シートは、熱硬化後の厚さが、50μm未満のものを使用することが好ましく、20~48μmのものを使用することが好ましく、30~45μmのものを使用することが、補強板の厚みが薄い場合、実装部品の脱落等を防止可能なレベルにまでフレキシブルプリント配線板を強固に補強可能なレベルの剛性を発現できるためより好ましい。また、熱硬化後の厚さが60μmを超えると、剛性は高くなるが、フレキシブルプリント配線板の薄型化を阻害しやすい。熱硬化後の厚さが20μmを下回ると、剛性が不足し、実装部品の脱落等や反りを引き起こしやすい。
前記接着シートとしては、熱硬化性材料の熱硬化物を使用し、その熱硬化前の25℃における引っ張り弾性率(x1)が2,500MPa未満であり、かつ熱硬化後の25℃における引っ張り弾性率(x2)が2,500MPa以上である熱硬化性材料の熱硬化物を使用する。これにより、後述するシート状に加工し、ロール状に巻き取った際に割れ等を引き起こしにくいためより好ましく、かつ、フレキシブルプリント配線板へ接着固定する補強板の厚さを薄くでき、前記硬化前の接着シートと前記補強板を仮固定した補強部の状態でも精度よく任意の形状へ切断加工しやすいため、より好ましい。また、前記硬化後の接着シートは、フレキシブルプリント配線板へ接着固定する補強板の厚さが薄い場合でも、フレキシブルプリント配線板をより効果的に支持及び補強可能なレベルの剛性を付与し、強固に補強できる。
前記熱硬化性材料としては、その熱硬化前の25℃における引っ張り弾性率(x1)が50~2,000MPaの範囲であるものを使用することが好ましく、100~1,000MPaの範囲であるものを使用することが、後述する片面剥離処理した剥離ライナー上でシート状に加工し、シート表面へライナーを貼り合わさずにロール状に巻き取った場合には、前記剥離ライナーの背面と前記接着シートが密着して巻き出し困難になることを抑制できるうえに、シートの割れ等を引き起こしにくいためより好ましく、かつ、前記硬化前の接着シートと前記補強板を仮固定した積層品の状態で、任意の形状へ切断加工した際に、切断面の端部で接着シートの欠けが発生しにくいため、より好ましい。
一方、前記熱硬化性材料としては、より一層優れた補強性能を有する補強部を形成することが求められる場合、その25℃における硬化前の引っ張り弾性率(x1)が1,000MPa~2,500MPa未満の範囲であるものを使用することが好ましく、1,500MPaを超え2,000MPa未満の範囲であるものを使用することがより好ましい。
また、前記熱硬化性材料としては、前記範囲の引っ張り弾性率(x1)を有するとともに、その熱硬化物の25℃における引っ張り弾性率(x2)が2,500MPa以上であるものを使用する。これにより、フレキシブルプリント配線板へ接着固定する補強板の厚さが薄くなった場合でも、フレキシブルプリント配線板をより効果的に支持及び補強可能なレベルの剛性を実現できる。
前記熱硬化性材料としては、その熱硬化後の25℃における引っ張り弾性率(x2)が3,000MPa以上の範囲であるものを使用することが好ましく、4,000MPa以上の範囲であるものを使用することが、フレキシブルプリント配線板の実用上十分なレベルの補強と、補強部付フレキシブルプリント配線板の薄型化とを両立するうえでより好ましい。また、前記引っ張り弾性率(x2)の上限は、特に制限はないが、10,000MPa以下であることが好ましく、7,000MPa以下であることがより好ましい。
なお、25℃における引っ張り弾性率(x1)及び引っ張り弾性率(x2)は、JISK7127-1999[プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件]に基づいて測定する。25℃における引っ張り弾性率(x1)は、例えば、硬化前の接着シートを、幅10mm×長さ150mmの大きさに裁断し、標線間の長さ50mmとしたものを試験片とし(JISK7127-1999の試験片タイプ2)、テンシロン引張り試験機を用いて引っ張り速度20mm/分の条件の下で引っ張り弾性率(x1)を測定する。同様にして、熱硬化後の接着シートの引っ張り弾性率(x2)を測定する。
前記熱硬化性材料の硬化物は、好ましくは120℃以上、より好ましくは120~200℃の温度条件で、5分~120分間加熱させることによって得ることができる。前記の引っ張り弾性率(x2)に使用する熱硬化後の接着シートの試験片は、例えば、厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い、2MPaで加圧した状態で、165℃で60分加熱硬化させることによって得ることができる。
前記熱硬化性材料としては、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。これにより、40℃程度以下の温度雰囲気下においてフレキシブルプリント配線板へコネクター等の部品が実装される際に、前記熱硬化材料が軟化せず、補強性能を維持できるため、より好ましい。また、前記硬化物のガラス転移温度(Tg)の上限は、特に制限はないが、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)は、熱機械分析(TMA)、示差走査熱量測定(DSC),示差熱分析(DTA)、動的粘弾性測定(DMA)等の任意の測定方法で測定されたものを用いてもよい。前記熱硬化性材料では、例えば動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、RSAIII)を用い、昇温速度3℃/分、測定周波数3.5Hz、測定温度範囲0~200℃の範囲で測定し、損失弾性率に対する貯蔵弾性率の比(tanδ)のピーク温度をガラス転移温度(Tg)とする。
また、前記熱硬化性材料としては、フレキシブルプリント配線板へ前記接着シートとともに補強板を積層し熱硬化させた状態で、その接続抵抗値が5Ω以下の導電性を有するものを使用することが好ましく、0.5Ω以下の範囲であるものを使用することが、補強部付フレキシブルプリント配線板を電子機器へ搭載する際、その補強板付フレキシブルプリント配線板を構成するグラウンド配線表面と、導電性スポンジ等のクッション材を介して金属製パネル表面とを電気的に接続させることができ、その結果、電子機器から発せられるノイズを効果的に抑制できるためより好ましい。
なお、前記接続抵抗値は、具体例として、12.5μmのポリイミドフィルム(カプトン50H)に厚さ10.5μmのアクリル系粘着剤を積層したカバーレイフィルムに直径1mm程度の開口部を設け、無電解金めっきを施した電解銅箔表面に貼付し、前記カバーレイフィルムの開口部表面へ、補強板を仮固定した前記接着シートを、熱プレス装置にて165℃で1時間、2MPaの圧力で加熱硬化させて得る試験試料について、カバーフィルムの開口部の直上補強板の表面と、無電解金めっきを施した電解銅箔表面との間の電気抵抗値を、電気抵抗率計(日置電機株式会社製「抵抗計RM3545」及び、測定リードとして、ピン先直径1.8mmのピン型リード「L2102」を使用するもの)を用いて四端子法等によって得られる。
前記熱硬化性材料としては、後述する熱硬化性樹脂等を含有する組成物を使用することができる。
前記熱硬化性材料としては、熱硬化前後での寸法安定性に優れ(反りの抑制に優れ)、かつ、取り扱いしやすいことから、予めシート状に成形されたものを使用する。
前記シート状の熱硬化性材料は、およそ100℃以上の温度に加熱された場合に溶融し、2以上の被着体を接着(接合)可能なものであることが好ましい。
本発明の熱硬化性材料としては、熱硬化性樹脂(A)と、必要に応じて導電性フィラー(B)等とを含有する組成物、または、それが任意の形状に成形されたものを使用することができる。
前記熱硬化性樹脂(A)としては、例えばウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂等を使用することができるが、エポキシ基を有する樹脂が好ましい。なかでも、前記熱硬化性樹脂(A)としては、従来の補強板を使用せず、かつ、補強部が薄型であってもフレキシブルプリント配線板をより強固に補強可能なレベルの剛性を備え、かつ、前記グラウンド配線の金属表面及びフレキシブルプリント配線板表面のポリイミド等に対して優れた接着力と、熱硬化後の反りの抑制とを両立するうえで、エポキシ樹脂またはエポキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂を使用することが好ましく、エポキシ樹脂を使用することがより好ましい。
前記エポキシ基を有する樹脂は、前記熱硬化性樹脂(A)の全量に対して80質量%以上の範囲で使用することが好ましく、90質量%以上の範囲で使用することが、熱硬化に伴う収縮を抑制でき、その結果、熱硬化後の反りをより効果的に抑制するうえでより好ましい。
前記エポキシ基を有する樹脂としては、1分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物を使用することができる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ 9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂、エポキシ基を有するウレタン樹脂等を使用することができる。
なかでも、前記エポキシ基を有する樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ 9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂を使用することが、前記所定の引っ張り弾性率(x1)及び(x2)を備えた熱硬化性材料を得ることができ、その結果、フレキシブルプリント配線板へ接着固定する補強板の厚さが薄くなった場合でも、実装部品の脱落等を防止可能なレベルにまでフレキシブルプリント配線板を補強でき、かつ、フレキシブルプリント配線板に対して優れた段差追従性を有する補強部を形成するうえで好ましい。
エポキシ基を有するアクリル樹脂としては、グリシジルメタクリレートや4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のモノマーを他の(メタ)アクリル系モノマーと共重合し、アクリル樹脂中にエポキシ基を導入したもの等を使用することができる。具体例としては、ファインディックA-266(DIC株式会社製、エポキシ当量580g/eq.、軟化温度113℃)や、アルフォンUG-4040(東亞合成株式会社製、エポキシ当量476g/eq.、ガラス転移温度58℃)、アルフォンUG-4070(東亞合成株式会社製、エポキシ当量714g/eq.、ガラス転移温度63℃)等を用いることができる。
また、前記熱硬化性材料の、熱硬化前の25℃における引っ張り弾性率(x1)を前記範囲に調整するため、25℃における粘度が3000mPa・s程度以下の反応性希釈剤を適宜使用してもよい。具体例としては、1、4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(具体例:新日本理化株式会社製、リカレジンDME-100)や水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(具体例:新日本理化株式会社製、リカレジンHBE-100)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(具体例:ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX-321L)等を使用することができる。前記反応性希釈剤の使用量の範囲は、前記前記熱硬化性材料の樹脂成分中に1~20質量%が好ましく、前記熱硬化性材料の熱硬化前の25℃における引っ張り弾性率(x1)を、前記範囲に調整し、補強板との仮固定やフレキシブルプリント配線板への貼り合わせ時における接着シートのはみ出しを抑制するうえで、5~15質量%がより好ましい。
前記エポキシ基を有する樹脂としては、その総エポキシ当量が300~6,000g/eq.の範囲であるものが好ましく、1,000~5,000g/eq.の範囲であるものがより好ましく、2,000~4,000g/eq.の範囲であるものを使用することが、硬化収縮を熱硬化性材料の硬化物(補強部)の反りを効果的に抑制できるため特に好ましい。
前記総エポキシ当量は、各エポキシ樹脂から、分子量をエポキシ基数で割ってエポキシ当量[g/eq.]を算出し、各エポキシ樹脂の使用分率に乗じて算出する。具体例として、エポキシ基を有する樹脂Aと樹脂Bおよびエポキシ基を含有しない樹脂C(後述する熱可塑性樹脂等)からなる熱硬化性材料である場合の総エポキシ当量は、下記の式1から算出して得られる。この場合、熱硬化性樹脂(A)の全ての樹脂を総樹脂量と見なし、後述する硬化剤、導電性フィラー、乾燥時に揮発して消失する希釈溶剤等は、総樹脂量には含めない。
熱硬化性材料中のエポキシ基を有する樹脂Aの質量部:x[質量部]
熱硬化性材料中のエポキシ基を有する樹脂Bの質量部:y[質量部]
熱硬化性材料中のエポキシ基を有しない樹脂Cの質量部:z[質量部]
熱硬化性材料中のエポキシ基を有する樹脂Aのエポキシ当量:α[g/eq.]
熱硬化性材料中のエポキシ基を有する樹脂Bのエポキシ当量:β[g/eq.]
式1:総エポキシ当量[g/eq.]=(α×x+y×β)/(x+y+z)
本発明の熱硬化性材料としては、前記熱硬化性樹脂(A)の他に必要に応じてその他の成分を含有するものを使用することができる。なかでも前記熱硬化性材料としては、前記熱硬化性樹脂(A)と導電性フィラー(B)とを含有するものを使用することが、優れた導電性を備えた補強部を形成できるため好ましい。
前記導電性フィラー(B)としては、従来知られた導電性物質を使用することができ、例えば金、銀、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム等の金属の粒子状物、カーボン、グラファイト等の導電性樹脂の粒子状物、樹脂や中実ガラスビーズや中空ガラスビーズ等の表面が金属被覆された粒子状物等を使用することができる。
また、前記導電性フィラー(B)は、前記熱硬化性樹脂(A)の樹脂特性を阻害しないようにするため、樹脂中への添加量が少量であり、また熱硬化性材料の生産コストを低減するうえで、樹枝状または鱗片状または丸み状の導電性フィラーを使用することが好ましい。
さらに、前記導電性フィラー(B)の間の接触頻度を増やし、導電性をより高めるため、アスペクト比が異なる2以上の導電性フィラーを組み合わせて使用することが好ましい。
前記導電性フィラーのうち、一つは平均で3を超える範囲のアスペクト比を有する程度の樹枝状または鱗片形状を有する導電性フィラー(b1)であることが好ましい。また、前記導電性フィラーのうち、一つは平均で2未満のアスペクト比を有する程度の真球や楕円等の丸み状の形状、樹枝状または鱗片形状を有する導電性フィラー(b2)であることが好ましい。
また、前記導電性フィラー(b1)と(b2)は、それらの体積割合[(b1)/(b2)]が、1/1~3/1となる範囲で使用することが好ましい。これにより、優れた導電性と接着性とを両立した熱硬化性材料を得ることができる。
前記導電性フィラー(b1)としては、積算ふるい下分布50%粒子径が0.1~50μm未満であるものを使用することが好ましく、1~40μmであるものを使用することがより好ましく、5~30μmであるものを使用することがさらに好ましく、10~25μmであるものを使用することが、導電性樹脂組成物中における導電性フィラーの良好な分散性と、剥離ライナー等へ塗布してシート状に加工する工程の行いやすさとを両立するうえで特に好ましい。また、積算ふるい下分布90%粒子径は50μm未満が好ましく、25~45μmであるものを使用することが、接着シートの厚みむらを無くし、導電性フィラーどうしの接触面積を増やして前記熱硬化性樹脂材料の導電性を高めるうえで、より好ましい。なお、前記導電性フィラー(b1)の積算ふるい下分布50%および90%粒子径は、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3100を用い、分散媒にイソプロパノールを使用して測定された数値等を用いることができる。
また、前記アスペクト比(L/t)の算出に使用する導電性フィラーの「長軸平均長さL」、「短軸平均長さd」及び「平均厚みT」は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したSEM写真を観察することにより測定した。「長軸平均長さL」及び「短軸平均長さd」は、最長の長さの直線を長軸とし、その長さを「長軸長さ」Lとして測定し、その長軸を有し矩形で近似できる部分を主幹部とした。粒子の長軸に対して垂直な方向の最長長さdを「短軸長さ」として測定し、その比率によりアスペクト比を算出した。主幹部から主幹部の方向とは異なる方向に突出している部分(分岐)がある場合、最も長い長軸の部分をL、長軸の幅に相当する部分を短軸dとした。
前記導電性フィラー(b1)としては、前記したなかでもニッケルや銅の粒子状物を使用することが好ましく、特にカーボニル法で製造したニッケル粉、電解法で製造した銅粉を使用することが、より一層優れた導電性を備えた補強部を形成するうえで好ましい。
前記導電性フィラー(b1)の具体例としては、カーボニル法で製造されたニッケル粉NI255TやNI287(福田金属箔粉工業株式会社製)、電解法で製造した銅粉FCC-115やFCC-1110SL(福田金属箔粉工業株式会社製)等を好適に使用することができる。
前記導電性フィラー(b2)としては、その積算ふるい下分布50%粒子径が0.1~50μm未満であるものを使用することが好ましく、1~40μmであるものを使用することがより好ましく、2~30μmであるものを使用することがさらに好ましく、5~20μmであるものを使用することが、導電性樹脂組成物中における導電性フィラーの良好な分散性と、塗工のしやすさとを両立するうえで特に好ましい。また、積算ふるい下分布90%粒子径は50μm未満が好ましく、15~35μmであるものを使用することが、接着シートの厚みむらを無くし、導電性フィラーどうしの接触面積を増やして前記熱硬化性樹脂材料の導電性を高めるうえで、より好ましい。なお、前記導電性フィラー(b2)の積算ふるい下分布50%および90%粒子径は、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3100を用い、分散媒にイソプロパノールを使用して測定された数値等を用いることができる。
前記導電性フィラー(b2)の具体例としては、水アトマイズ法で製造されたステンレス粉DAP316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製)、カーボニル法で製造されたニッケル粉NI123、NI123J(福田金属箔粉工業株式会社製)等を好適に使用することができる。
また、前記導電性フィラー(B)としては、導電性樹脂組成物中で導電性フィラー(B)が沈降しにくく、数時間にわたり比較的均一な分散状態を維持できるため、4.0g/cm3以下の見かけ密度を有するものを使用することが好ましく、3.0g/cm3以下の見かけ密度を有するものを使用することがより好ましい。なお、前記導電性フィラー(B)の見かけ密度は、JISZ2504-2000「金属粉の見かけ密度の測定方法」に準じて測定された値である。
前記導電性フィラー(B)としては、導電性をより向上させる目的で、これらの導電性フィラー表面に銀や金等、高い導電性を有する金属素材をめっきコートしたものを使用してもよい。めっきコート量としては、前記導電性フィラー(B)中、1~50質量%が好ましく、前記導電性フィラー(B)の導電性を効率的に高め、前記導電性フィラー(B)の添加量を少量に抑えることができるうえで、5~30質量%のめっきコート量がより好ましい。
また、前記導電性フィラー(B)としては、前記熱硬化性材料中における前記熱硬化性と導電性フィラーとの密着性をより一層向上させ、接着シートの優れた補強性能を向上させるうえで、チタネートカップリング剤やアルミネートカップリング剤等によって表面処理された導電性フィラーを使用しても良い。
前記導電性フィラー(B)は、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記導電性フィラー(B)の合計体積に対する前記導電性フィラー(B)の体積割合が、10体積%~50体積%の範囲で使用することが好ましく、10体積%~30体積%の範囲で使用することがより好ましい。導電性フィラーの使用量が増加すると、通常、優れた導電性を発現するものの、接着性の著しい低下を引き起こす場合があるなかで、本発明の接着シートであれば、導電性フィラー(B)の使用量を増加させた場合であっても優れた接着性を保持可能である。
本発明の導電性樹脂組成物としては、前記樹脂化合物(A)及び導電性フィラー(B)のほかに必要に応じてその他の成分を含有するものを使用することができる。
また、前記熱硬化性材料としては、前記導電性フィラー(B)以外にも、その他の成分を含有するものを使用することができる。前記その他の成分としては、例えば水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、マイカ、タルク、窒化ホウ素、ガラスフレーク等の電気絶縁性フィラー等を使用することができる。
また、前記熱硬化性材料としては、前記熱硬化性樹脂(A)と反応しうる硬化剤を含有するものを使用することが好ましい。
前記硬化剤としては、例えば前記熱硬化性樹脂(A)としてエポキシ基を有する樹脂を使用する場合であれば、そのエポキシ基と反応しうる官能基を有するものを使用することが好ましい。
前記硬化剤としては、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。例えば、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾール誘導体、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体等を使用することができる。
前記アミド系化合物としては、例えばジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、前記酸無水物系化合物としては、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、前記フェノール系化合物としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(フェノール骨格、トリアジン環及び1級アミノ基を分子構造中に有する化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。
前記硬化剤としては、前記エポキシ基を有する樹脂等の熱硬化性樹脂(A)の合計100質量部に対し、1質量部~60質量部の範囲で使用することが好ましく、5質量部~30質量部の範囲で使用することがより好ましい。
また、前記熱硬化性材料としては、硬化促進剤を含有するものを使用することができる。前記硬化促進剤としては、リン系化合物、アミン化合物、イミダゾール誘導体等を使用することができる。前記硬化促進剤を使用する場合の使用量は、前記エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(A)の合計100質量部に対し、0.1質量部~5質量部であることが好ましく、0.5質量部~3質量部の範囲であることがより好ましい。
前記硬化剤及び硬化促進剤としては、粉体状のものを用いることが好ましい。前記粉体状の硬化促進剤は、液状の硬化促進剤と比較して低温下での熱硬化反応が抑制されるため、熱硬化前の熱硬化性材料の保存安定性をより一層向上させることができる。
また、前記熱硬化性材料としては、その熱硬化物によって構成される前記補強部が、温度変化の大きい環境下で使用された場合であっても、補強部の欠損等を引き起こしにくい靭性を確保するうえで、熱可塑性樹脂(C)を含有するものを使用することが好ましい。
前記熱可塑性樹脂(C)としては、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等を使用することができ、なかでも、熱可塑性ポリエステル樹脂を使用することが好ましく、ポリエーテルエステルアミド樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルアセトブチラール樹脂を使用することが、前記したレベルの良好な脆性と、フレキシブルプリント配線板へ接着固定する補強板の厚さが薄い場合でも、フレキシブルプリント配線板を十分に補強可能なレベルの剛性とを両立した補強部を形成可能な熱硬化性材料を得るうえで好ましい。
前記熱可塑性樹脂(C)は、上記理由から、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して5質量部~100質量部の範囲で使用することが好ましい。
また、硬化前の前記熱硬化性材料の強靭性向上や、補強板やフレキシブルプリント配線板との貼り合わせの際のはみ出しを抑制するうえで、前記熱可塑性樹脂(C)が水酸基等の反応性官能基を有する場合は、2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物等を用いて、40℃程度以下の温度で予め架橋させてもよい。
前記熱硬化性材料としては、前記したとおり予めシート状に成形されたものを使用する。前記熱硬化性樹脂等を含有する組成物を前記シート状に成形する際の作業効率を向上させるうえで、前記組成物としては熱硬化性樹脂(A)や導電性フィラー(B)や熱可塑性樹脂(C)や硬化剤等の他に溶媒を含有するものを使用することが好ましい。
前記溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルケチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等を使用することができる。
また、前記熱硬化性材料としては、前記したものの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば充填剤、軟化剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、粘着付与樹脂、繊維類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、増粘剤、顔料等の着色剤、充填剤などの添加剤を含有するものを使用することができる。
本発明の熱硬化性材料は、前記熱硬化性樹脂(A)と、前記導電性フィラー(B)や熱可塑性樹脂(C)や硬化剤や溶媒等の任意の成分とを混合することによって製造することができる。
前記した成分を混合し熱硬化性材料を製造する際には、必要に応じてディゾルバー、バタフライミキサー、BDM2軸ミキサー、プラネタリーミキサー等を使用することができ、ディゾルバー、バタフライミキサーを使用することが好ましく、前記導電性フィラーを使用する場合には、それらの分散性を向上させるうえでプラネタリーミキサーを使用することが好ましい。また、接着シートを製造する工程において、溶媒乾燥の際に発生するピンホールを抑制し、接着シートの導電性や補強性能を低下させないために、必要に応じて、減圧脱泡や遠心脱泡等の脱泡機能を有したミキサーや送液ポンプを使用してもよい。
なお、前記硬化剤及び硬化促進剤は、熱硬化性材料を熱硬化させる前、または、シート状に成形する前に、使用することが好ましい。
また、シート状の熱硬化性材料は、例えば前記熱硬化性樹脂(A)と、前記導電性フィラー(B)や熱可塑性樹脂(C)や硬化剤や溶媒等の任意の成分とを含有する組成物を製造した後、例えば剥離ライナーの表面に塗布し乾燥等させることによって本発明の接着シートを製造することができる。
前記乾燥は、好ましくは50℃~120℃、より好ましくは50℃~90℃程度の温度で行うことが、熱硬化性材料の熱硬化反応が進行してしまうことを抑制するうえで好適である。
前記剥離ライナーとしては、例えばクラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム;前記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、前記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面もしくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したもの等を用いることができる。前記剥離ライナーとしては、例えば前記熱硬化性樹脂(A)と、前記導電性フィラー(B)や熱可塑性樹脂(C)や硬化剤や溶媒等の任意の成分とを含有する組成物のはじきを抑制するために、純水の接触角が90°以下の非シリコーン系の剥離処理を施した剥離ライナーを使用することがより好ましい。
前記接着シートは、使用される前まで、別の任意の剥離ライナーによって挟持されていてもよい。
前記接着シートは、生産効率を高めるため、ロール状に生産されることが好ましく、直径5~10cm程度以上の直径でロール状に巻いた際に、接着シートの割れ等が発生しないことが好ましい。本発明の接着シートは、前記熱硬化性材料の25℃における引っ張り弾性率(x1)が2,500MPa以下であるため、柔軟性があり、接着シートをロール状に巻き取った際に割れ等を引き起こしにくい。
前記接着シートは、ピール接着力が、5N/10mm以上が好ましく、8N/10mm以上がより好ましい。前記接着力となることで、フレキシブルプリント配線板と補強板からの剥がれを抑制し、補強性能や導電性を維持することができる。
なお、前記ピール接着力は、幅10mm及び長さ100mmに切断した前記接着シートを、幅70mm及び長さ150mm、厚さ0.3mmのステンレス板と、表面に金めっきを施した幅10mm及び長さ150mm、厚さ35μmの電解銅箔の間に挟み、熱プレス装置にて165℃で1時間、2MPaの圧力で加熱硬化させて得る試験試料について、25℃及び50%RH雰囲気下、テンシロン型引っ張り試験機にて、50mm/分の引っ張り速度で、前記電解銅箔を90°方向へ引っ張った際の剥離抵抗値を測定して得ることができる。
前記接着シートは、硬化前においては比較的柔軟であるため被着体に対する段差追従性に優れ、かつ、熱硬化後においては、非常に硬くなるため、被着体を十分に補強できることから、もっぱらフレキシブルプリント配線板に補強板を接着固定するための接着シート材料に使用することができ、補強板の厚みが薄い場合でも、フレキシブルプリント配線板を十分に補強可能なレベルの剛性を有する補強部を形成できる。
また、本発明の接着シートは、導電性基材の両面に前記熱硬化性材料を積層した構成でもよく、前記導電性基材は、前記接着シートの総厚さに対し、1/2以下の厚さのものを使用することが好ましい。これにより補強部付フレキシブルプリント配線板の薄型化と剛性を両立することができ、また、前記熱硬化性材料を断裁加工した際に割れなどが無く、優れた屈曲性を有するため好ましい。前記導電性基材としては、銅やアルミニウム、ニッケル、ステンレス、銀、金等の導電性の任意の金属箔や金属メッシュ、導電性金属をめっきコートした不織布やメッシュ素材等を使用することができ、厚さとしては1μm~30μmの厚さのものを使用することが好ましく、5μm~15μmの厚さのものを使用することがより好ましい。
前記導電性基材の両面に前記熱硬化性材料を積層した構成は、例えば前記熱硬化性樹脂(A)と、前記導電性フィラー(B)や熱可塑性樹脂(C)や硬化剤や溶媒等の任意の成分とを含有する組成物を、前記導電性基材の両面に塗布して溶媒を乾燥するか、剥離ライナーの表面に塗布し溶媒を乾燥させた後、120℃以下程度の熱をかけながら、前記導電性基材の両方の面に加圧貼合させること等により、製造することができる。
前記フレキシブルプリント配線板の補強部に使用される補強板の厚さは、10~350μmが好ましく、10~150μmの厚さがより好ましく、補強部付フレキシブルプリント配線板の薄型化と剛性を両立するうえで、30~60μmの厚さがさらに好ましい。
また、前記フレキシブルプリント配線板の補強部に使用される補強板の25℃における引っ張り弾性率は、40GPa以上が好ましく、100GPa以上がより好ましく、補強部付フレキシブルプリント配線板の薄型化と剛性を両立するうえで、150GPa以上の引っ張り弾性率が好ましい。前記引っ張り弾性率は、JISZ2241:2011に準拠した金属材料の引っ張り試験等で得られる引っ張り弾性率を用いることができる。
前記補強板の材質としては、チタン、ベリリウム銅、ニッケルクロム、ニッケル、ステンレス、モリブデン、コンスタンタン、パーマロイ、マグネシウム、バナジウム、タンタル、モネル、インバー、エリンバー、インコネル、金、銀、銅、りん青銅、黄銅、アルミニウム合金、アルミニウム等を、箔状またはシート状にした金属製等の補強板を使用することができる。そのなかでも、入手性に優れ、引っ張り弾性率が高くて、厚さが薄くても剛性を高められるステンレスを使用することが好ましい。また、本発明の接着シートとの密着性や導電性を向上させる目的で、必要に応じて、補強板表面に銀や金等の高導電性の金属等をめっき処理してもよい。
前記補強部付フレキシブルプリント配線板は、前記補強板に本発明の接着シートを仮固定して任意の大きさへ断裁後、例えばフレキシブルプリント配線板の裏面(実装面に対し反対側の面)へ、前記接着シート付きの補強板の接着シート面を圧着する工程、ならびに、前記熱硬化性材料を120℃程度以上に加熱し熱硬化させることによって補強部を形成する工程を経ることによって製造することができる。
前記補強板への本発明の接着シートの仮固定圧着は、0.1MPa~1.0MPaの圧力で行うことが好ましく、前記圧着は、80℃~130℃に加熱した状態で行うことが好ましい。熱硬化性材料の熱硬化を進行させないため、熱硬化性材料のゲルタイムを越えない時間以内で加圧することが好ましく、通常10~30秒以内が好ましい。前記補強板への本発明の接着シートの仮固定圧着は、熱プレス機や加熱ラミネーターによって貼付することができる。
また、フレキシブルプリント配線板の裏面(実装面に対し反対側の面)へ、前記補強板を仮固定した前記接着シートの圧着は、フレキシブルプリント配線板表面の開口部に接着シートが入り込み、補強板と接続抵抗値を低減させるために、0.5MPa~10.0MPaの圧力で行うことが好ましく、前記圧着は、100℃以上に加熱し、通常1分間以上加圧を維持した状態で行うことが好ましい。フレキシブルプリント配線板の裏面(実装面に対し反対側の面)への前記接着シート付きの補強板の圧着は、熱プレス機や加熱ラミネーターによって貼付することができる。
補強板と仮固定された後、プレス打ち抜き加工機等にて所定のサイズへ断裁加工される際、接着シートの欠けや断裁面からバリが発生しないことが好ましい。本発明の接着シートは、前記熱硬化性材料の25℃における引っ張り弾性率(x1)が2,500MPa以下であるため、柔軟性があり、前記補強板を仮固定した後に所定サイズへ断裁加工された際に、接着シートの欠けを効果的に抑制できる。また、前記熱硬化性材料の熱硬化後の25℃における引っ張り弾性率(x2)が2,500MPa以上であり、補強性能を維持できる厚さまで補強板や接着シートの厚さを薄くできるため、前記補強板を仮固定した後に所定サイズへ断裁加工された際に、バリ発生を効率的に抑制することができる。
フレキシブルプリント配線板の裏面(実装面に対し反対側の面)の開口部は、例えば12.5~25μmのポリイミドフィルムに厚さ10~15μmの接着剤を積層したカバーレイフィルムへ、レーザーやドリル等にて貫通する0.5~1mm2の開口部を開け、金めっき等を施したフレキシブルプリント配線板の銅箔表面へ貼付した構成等を使用することができる。
前記フレキシブルプリント配線板への部品の実装は、前記補強部がフレキシブルプリント配線板に積層される前に、あらかじめ行われていてもよいが、それらが積層された後に行われることが、実装工程における前記部品の接続不良を効果的に防止するうえで好ましい。
前記補強部付フレキシブルプリント配線板は、もっぱらスマートフォン等の携帯型電子機器やパソコン等の電子機器に搭載される。その際、前記補強部付フレキシブルプリント配線板を構成する前記導電性基材の表面には、直接または他の層を介して、クッション材が積層された状態で、前記電子機器に搭載されることが好ましい。
前記クッション材との積層は、接着成分等で接着された状態であってもよく、単に接している状態であってもよい。
前記クッション材としては、例えばウレタンフォームや、ポリエチレンフォーム、シリコンスポンジ等が挙げられ、導電性ウレタンフォームを使用することが好ましい。
前記クッション材としては、0.1~5.0mm程度の厚さを有するものを使用することが好ましい。
前記クッション材の積層された構成を備えた電子機器は、ノイズを原因とする誤作動を効果的に抑制する。
以下に実施例及び比較例について具体的に説明をする。
(実施例1)
jER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量8,000g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分40質量%)112.5質量部、EPICLON1055(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量464g/eq.)を20質量部、EPICLON830-S(DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq.)を20質量部、デナコールEX321L(ナガセケムテックス株式会社製、反応性希釈剤、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、エポキシ当量130g/eq.)10質量部、熱可塑性樹脂としてエスレックK KS-1(積水化学株式会社製、ポリビニルアセトアセタール樹脂)の5質量部に、熱可塑性樹脂の架橋剤としてバーノックDN980(DIC株式会社製、ポリイソシアネート、固形分75質量%)を1.87質量部及び、エポキシ樹脂の硬化促進剤として2MAOK-PW(四国化成工業株式会社製、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物)1.0質量部を混合し、メチルエチルケトン100質量部を添加して希釈することによって、熱硬化性樹脂組成物(X-1)を調製した。熱硬化性樹脂組成物(X-1)の総エポキシ当量は、3,740g/eq.であった。
次に、導電性フィラーとして、銀10質量%をめっきコートしたFCC-115(福田金属箔粉工業株式会社製の樹枝状銅粉、積算ふるい下分布50%粒子径:20μm、積算ふるい下分布90%粒子径:43μm、平均アスペクト比:3以上、見かけ密度1.1g/cm3)を、前記熱硬化性樹脂組成物(X-1)に含まれる熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対し221質量部、NI123(福田金属箔粉工業株式会社製の樹枝状ニッケル粉、積算ふるい下分布50%粒子径:11.7μm、積算ふるい下分布90%粒子径:27μm、平均アスペクト比:2未満、見かけ密度:2.5g/cm3)を熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対し107質量部入れ、分散撹拌機を用いて15分間撹拌することによって、導電性熱硬化性接着剤(Y-1)を得た。
次に、剥離ライナーとしてTN200(東洋紡株式会社製、ノンシリコーン系剥離フィルム、厚さ50μm)の表面に、前記導電性熱硬化性接着剤(Y-1)を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが48μmになるように塗工し、40℃中で3日間養生して、接着シート(Z-1)を得た。
(実施例2)
導電性フィラーとして、銀10質量%をめっきコートしたFCC-115を、前記熱硬化性樹脂組成物(X-1)に含まれる熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対し193質量部、NI123を熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対し95質量部へ減量し導電性熱硬化性接着剤(Y-2)を得た。導電性熱硬化性接着剤(Y-1)を導電性熱硬化性接着剤(Y-2)に換えたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ48μmの接着シート(Z-2)を得た。
(実施例3)
実施例1で用いた熱硬化性樹脂組成物(X-1)に対し、導電性フィラーとして、銀20質量%をめっきコートしたFCC-1110SL(福田金属箔粉工業株式会社製の樹枝状銅粉、積算ふるい下分布50%粒子径:15.7μm、積算ふるい下分布90%粒子径:25μm、平均アスペクト比:3以上、見かけ密度0.8g/cm3)を、前記熱硬化性樹脂組成物(X-1)に含まれる熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対し221質量部、NI123(福田金属箔粉工業株式会社製の樹枝状ニッケル粉、積算ふるい下分布50%粒子径:11.7μm、積算ふるい下分布90%粒子径:27μm、平均アスペクト比:2未満、見かけ密度:2.5g/cm3)を熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対し107質量部入れ、分散撹拌機を用いて15分間撹拌することによって、導電性熱硬化性接着剤(Y-3)を得た。
次に、剥離ライナーとしてTN200(東洋紡株式会社製、ノンシリコーン系剥離フィルム、厚さ50μm)の表面に、前記導電性熱硬化性接着剤(Y-3)を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが40μmになるように塗工し、40℃中で3日間養生して、接着シート(Z-3)を得た。
(実施例4)
実施例1で用いた熱硬化性樹脂組成物(X-1)に対し、導電粒子として、NI255T-280(福田金属箔粉工業株式会社製の樹枝状ニッケル粉、280メッシュで篩い53μmの目開きで通過しなかったニッケル粉を除去したもの、積算ふるい下分布50%粒子径:19.4μm、積算ふるい下分布90%粒子径:48μm、平均アスペクト比:3以上、見かけ密度0.6g/cm3)を、前記熱硬化性樹脂組成物(X-1)に含まれる熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対し217質量部、DAP316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製の丸み状ステンレス粉、平均アスペクト比:2未満、積算ふるい下分布50%粒子径:10.7μm、積算ふるい下分布90%粒子径:22μm、タップ密度:4.1g/cm3)を熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対し96.7質量部入れ、分散撹拌機を用いて15分間撹拌することによって、導電性熱硬化性接着剤(Y-4)を得たこと以外は、実施例1と同様にして、厚さが48μmの接着シート(Z-4)を得た。
(実施例5)
jER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量8,000g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分40質量%)150質量部、EPICLON850-S(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/eq.)を10質量部、HP-7200HHH(DIC株式会社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量285g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分70質量%)42.9質量部、エポキシ樹脂の硬化剤としてDICY-7(三菱化学株式会社製、ジシアンジアミド)2.0質量部を混合することによって、熱硬化性樹脂組成物(X-5)を調製した。熱硬化性樹脂組成物(X-5)の総エポキシ当量は、4,904g/eq.であった。熱硬化性樹脂組成物(X-2)を熱硬化性樹脂組成物(X-5)に換えた以外は実施例2と同様にして、導電性熱硬化性接着剤(Y-5)を得た。導電性熱硬化性接着剤(Y-5)を用いて実施例1と同様に、乾燥後の厚さが40μmの接着シート(Z-5)を得た。
(実施例6)
実施例1において、EPICLON1055の換わりに、ファインディックA-266(DIC株式会社製、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ当量580g/eq)を20質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物(X-6)を調製した。熱硬化性樹脂組成物(X-6)の総エポキシ当量は、3,763g/eq.であった。熱硬化性樹脂組成物(X-1)を熱硬化性樹脂組成物(X-6)に換えた以外は実施例1と同様にして、導電性熱硬化性接着剤(Y-6)を得た。導電性熱硬化性接着剤(Y-6)を用いて実施例1と同様にして、厚さ48μmの接着シート(Z-6)を得た。
(実施例7)
jER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量8,000g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分40質量%)175質量部、HP-7200HHH(DIC株式会社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量285g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分70質量%)42.9質量部、エポキシ樹脂の硬化促進剤として2MAOK-PW(四国化成工業株式会社製、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物)2.0質量部を混合することによって、熱硬化性樹脂組成物(X-7)を調製した。熱硬化性樹脂組成物(X-7)の総エポキシ当量は、5,686g/eq.であった。熱硬化性樹脂組成物(X-1)を熱硬化性樹脂組成物(X-7)に換えた以外は実施例1と同様にして、導電性熱硬化性接着剤(Y-7)を得た。導電性熱硬化性接着剤(Y-7)を用いて実施例1と同様に、乾燥後の厚さが48μmの接着シート(Z-7)を得た。
(実施例8)
実施例3で用いた導電性熱硬化性接着剤(Y-3)を用い、乾燥後の厚さを60μmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmの接着シート(Z-8)を得た。
(比較例1)
バイロンBX10SS(東洋紡株式会社製、非晶性ポリエステル樹脂、固形分30質量%)207質量部、バイロンUR-1350(東洋紡株式会社製、ポリエステルウレタン樹脂、固形分33質量%)41.5質量部、EPICLON1055(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量464g/eq.)を24.2質量部に、熱可塑性樹脂の架橋剤として、バーノックDN980(DIC株式会社製、ポリイソシアネート、固形分75質量%)を1.5質量部混合し、熱可塑性樹脂組成物(X’-1)を調製した。
次に、導電性フィラーとして、銀10質量%をめっきコートしたFCC-115を、前記熱硬化性樹脂組成物(X’-1)に含まれる熱可塑性樹脂の固形分100質量部に対し221質量部、NI123を熱可塑性樹脂の固形分100質量部に対し107質量部を配合し、剥離ライナーとしてTN100(東洋紡株式会社製、ノンシリコーン系剥離フィルム、厚さ50μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして厚さ48μmの接着シート(Z’-1)を得た。
(比較例2)
接着シートの厚さを140μmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ140μmの接着シート(Z’-2)を得た。
(比較例3)
jER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量8,000g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分40質量%)を175質量部から75質量部へ減量し、ファインディックA-266(DIC株式会社製のエポキシ基を有するアクリル樹脂、エポキシ当量580g/eq)のメチルエチルケトン溶液(固形分60質量%)を67質量部用いたこと以外は、実施例7と同様にして、熱硬化性樹脂組成物(X’-3)を調製した。熱硬化性樹脂組成物(X’-3)の総エポキシ当量は、2,718g/eq.であった。熱硬化性樹脂組成物(X’-1)を熱硬化性樹脂組成物(X’-3)に換えた以外は実施例1と同様にして、導電性熱硬化性接着剤(Y’-3)を得た。導電性熱硬化性接着剤(Y’-3)を用いて実施例1と同様にして、厚さ48μmの接着シート(Z’-3)を得た。
(比較例4) jER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量8,000g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分40質量%)の換わりに、テイサンレジンSG-P3(ナガセケムテックス株式会社製のエポキシ基を含むアクリル樹脂、エポキシ当量4,762g/eq.ガラス転移温度12℃、固形分15質量%)液を400質量部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、熱硬化性樹脂組成物(X’-4)を調製した。熱硬化性樹脂組成物(X’-4)の総エポキシ当量は、2,962g/eq.であった。熱硬化性樹脂組成物(X’-1)を熱硬化性樹脂組成物(X’-4)に換えた以外は実施例1と同様にして、導電性熱硬化性接着剤(Y’-4)を得た。導電性熱硬化性接着剤(Y’-4)を用いて実施例1と同様にして、厚さ48μmの接着シート(Z’-4)を得た。
(比較例5)
前記接着シートの代わりに、市販の熱硬化型導電性ボンディングフィルムZ’-5(タツタ電線株式会社製、CBF-300-W6、シートの厚さ60μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で評価した。
[25℃における引っ張り弾性率(x1)及び引っ張り弾性率(x2)の測定方法]
25℃における引っ張り弾性率(x1)及び引っ張り弾性率(x2)は、JISK7127-1999[プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件]に準拠した方法で測定した。実施例及び比較例で得た接着シートを、幅10mm×長さ150mmの大きさに裁断し、標線間の長さ50mmとしたものを試験片1とした。(JISK7127-1999の試験片タイプ2に準拠)
前記試験片1(硬化前)の25℃における引っ張り弾性率を、テンシロン引張り試験機を用いて引っ張り速度20mm/分の条件の下測定した。
次に、前記試験片1を厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、165℃で60分加熱硬化させることによって試験片2(熱硬化後)を得た。
前記試験片2の25℃における引っ張り弾性率を、テンシロン引張り試験機を用いて引張り速度20mm/分の条件の下測定した。
[補強性能の評価方法]
実施例及び比較例で得た接着シートの片面の表面(シート作製時の乾燥表面側)へ、厚さ50μmのステンレス板(株式会社岩田製作所製、TS200-300-005)を静置し、厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、165℃で1時間加熱し、室温へ冷却後、幅10mm、長さ70mmの大きさに裁断した試験片3を用意した。
25℃雰囲気中にて、前記試験片1を、ステンレス板側が上面になるようにして、70mm隙間の開いた2本の支柱上に置き、次いで試験片3の中央部へ0.4gの重りを乗せ、乗せる前後での試験片3中央部の垂直方向への変形長さ(たわみ変化量)を測長し、下記評価基準にしたがって補強性能を評価した。
○:試験片のたわみ変化量が、0mm以上20mm未満であった。
△:試験片のたわみ変化量が、20mm以上30mm未満であった。
×:試験片のたわみ変化量が、30mm以上または落下であった。
前記試験片3と同様にして、積層するステンレス板を、厚さ30μmのステンレス板(アズワン株式会社製、ステンレス板SUS304)に変更し、前記同様にして補強性能の評価を行った。
[反りの評価方法]
実施例及び比較例で得た接着シートの片面の表面(シート作製時の乾燥表面側)へ、厚さ50μmのステンレス板(株式会社岩田製作所製、TS200-300-005)を静置し、厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、120℃で20秒間加熱し、室温へ冷却後、幅30mm、長さ30mmの大きさに裁断した試験片4を用意した。
ステンレス板側を上面にして前記試験片4をポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、カプトン500H)上に乗せ、前記厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、温度165℃及び圧力2MPaで1時間加熱圧着し、さらに得られた加熱物を260℃で150秒間加熱後、25℃まで冷却し、水平面に載置した。前記水平面から、前記加熱物の4隅までの高さをそれぞれ測定し、その平均値を反り量とした。4隅がステンレス面側へ反っている場合をプラス値、ポリイミドフィルム面側へ反っている場合をマイナス値とした。
前記試験片4と同様にして、積層するステンレス板を、厚さ30μmのステンレス板(アズワン株式会社製、ステンレス板SUS304)に変更し、前記同様にして反りの評価を行った。
[ガラス転移温度の測定方法]
実施例及び比較例で得た接着シートを、幅5mm×長さ50mmの大きさに裁断し、標線間の長さ20mmとしたものを試験片5とした。次に、前記試験片5を厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、165℃で60分加熱硬化させることによって試験片6(熱硬化後)を得た。
前記試験片6を、動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、RSAIII)を用い、昇温速度3℃/分、測定周波数3.5Hz、測定温度範囲0~200℃の範囲で測定し、ガラス転移の際に発生する、損失弾性率に対する貯蔵弾性率の比(tanδ)のピーク温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[導電性の評価方法(接続抵抗値の測定方法)]
実施例及び比較例で得た接着シートの片面の表面(シート作製時の乾燥表面側)へ、厚さ50μmのステンレス板(株式会社岩田製作所製、TS200-300-005)を静置し、厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、120℃で20秒間加熱し、室温へ冷却後、幅15mm、長さ15mmの大きさに裁断したものを試験片7とした。
次に、アクリル系粘着剤(DIC製、クイックマスターCT-5020)に、架橋剤としてコロネートL(東ソー株式会社製、イソシアネート系架橋剤)を樹脂固形分比で0.8質量部混合し、剥離ライナーとして50E0010BD3(藤森工業株式会社製、シリコーン系剥離フィルム、厚さ50μm)へ、乾燥後の厚さが10.5μmになるように、塗布および乾燥後、12.5μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、カプトン50H)を貼合し、40℃で3日間養生して、総厚さ23μmのカバーレイフィルムを作製した。
カッティングプロッターにてカバーレイフィルムに直径1mmの開口部を開け、無電解金めっきを電解銅箔のグロス表面側に施した、幅20mm、長さ30mm、厚さ35μmの電解銅箔(福田金属箔粉工業株式会社製、CF-T8G-UN-35)の金めっき表面へ2kgローラーを用いて加圧圧着し、被着体Aを作製した。
次に、カバーレイフィルムの開口部が前記試験片7の中央になるように試験片5を被着体Aの上面へ静置した状態で、厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、165℃で1時間の加熱硬化させることによって試験片8(熱硬化後)を得た。
前記試験片8(熱硬化後)の開口部直上のステンレス板表面と、無電解金めっきを施した電解銅箔表面(カバーレイフィルムが覆われていない箇所)の間の電気抵抗値を、電気抵抗率計(日置電機株式会社製「抵抗計RM3545」及び、測定リードとして、ピン先直径1.8mmのピン型リード「L2102」を使用したもの)を用いて四端子法によって測定した。
[ピール接着力の評価方法]
実施例及び比較例で得た接着シートを幅10mm、長さ100mmに切断し、厚さ0.3mmのステンレス板(株式会社藤原製作所製、SUS304片研板)の鏡面、及び無電解金めっきを電解銅箔のグロス表面側に施した、幅10mm、長さ150mm、厚さ35μmの電解銅箔(福田金属箔粉工業株式会社製、CF-T8G-UN-35)の金めっき表面の間に挟んだ状態で、その外側を厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)で挟み、熱プレス装置にて165℃で1時間、2MPaの圧力で加熱硬化させて得る試験試料について、25℃及び50%RH雰囲気下、テンシロン型引っ張り試験機にて、50mm/分の引っ張り速度で、前記電解銅箔を90°方向へ引っ張った際の剥離抵抗値を測定した。
[補強部の薄型性(出っ張り高さの少なさ)の評価方法]
上記試験片8について、カバーレイフィルム表面からステンレス板上面までの垂直方向の高さの差をノギスを使用して測定し、下記評価基準にしたがって薄型性(出っ張り高さの少なさ)を評価した。
◎:カバーレイフィルムからの出っ張り高さは、90μm以下であった。
○:カバーレイフィルムからの出っ張り高さは、90μmを越え、120μm以下であった。
△:カバーレイフィルムからの出っ張り高さは、120μmを越え、150μm以下であった。
×:カバーレイフィルムからの出っ張り高さは、150μmを越える高さであった。
[打ち抜き加工性の評価方法]
実施例及び比較例で得た接着シートの片面の表面(シート作製時の乾燥表面側)へ、厚さ50μmのステンレス板(株式会社岩田製作所製、TS200-300-005)を静置し、厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、120℃で20秒間加熱し、室温へ冷却後、幅100mm、長さ100mmの大きさに裁断したものを試験片8とした。
プレス打ち抜き加工機にて、前記試験片8の離型ライナー面側から打ち抜き加工を行い、幅10mm×長さ10mmの大きさに切断して試験片9を得た。前記試験片9から剥離ライナーを取り除き、接着シート面側から、マイクロスコープにて200倍の倍率で試験片9の端部を拡大観察し、その際、下記評価基準にしたがって加工性を評価した。
○:接着シートの欠けが0.1mm未満であった。
△:接着シートの欠けが0.5mm未満であった。
×:接着シートの欠けが0.5mm以上であった。
*上記表における「測定不能」とは、加熱後の接着シートが脆く破断しやすく、25℃における接着シートの引っ張り弾性率を測定できない状態をいう。