本発明は、フック部材を備えた止着テープが設けられたいわゆるテープタイプの使い捨ておむつに関するものである。フック部材は面ファスナーの一種であり、面ファスナーは、「マジックテープ」(登録商標)、「ベルクロ」(登録商標)、「クイックロン」(登録商標)等の商品名で知られている。フック部材は、基盤から複数の係合素子が突出して構成されており、通常、ループ部材と対になって用いられ、ループ部材に対して着脱可能に取り付けられるか、あるいは、ループ部材として機能する材料(例えば、不織布、織布、編布等の布材料)に着脱可能に取り付けられる。
テープタイプの使い捨ておむつは、通常、使い捨ておむつの後側部の幅方向の両側にフック部材を備えた止着テープが設けられ、着用時に止着テープのフック部材を使い捨ておむつの前側部の止着対応部に止着することにより、使い捨ておむつを着用者の腰回りに装着させることができる。フック部材(特に基盤)は樹脂成形体などから構成され、使い捨ておむつを構成するそれ以外の部材よりも比較的高い剛性を有する。そのためテープタイプの使い捨ておむつでは、着用者の腰回りに装着した際、フック部材が設けられた部分で着用者の体表面の曲面形状に対する追従性が低下して、着用者が違和感を覚えやすくなる。本発明の使い捨ておむつはこのようにフック部材を備えた止着テープが設けられたものであって、フック部材が設けられた部分で着用者の体表面の曲面形状に対する追従性を高めることができ、かつ安定して止着テープを使い捨ておむつの止着対応部に止着することができるものである。以下、本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本発明は図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1~図4には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。図1は、使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した使い捨ておむつのII-II断面図を表し、図3は、図1に示した使い捨ておむつに備えられた止着テープの拡大平面図を表し、図4は、図1に示した使い捨ておむつのIV-IV断面図を表す。図1では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。なお、本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
使い捨ておむつ1は、おむつ本体2と、おむつ本体2の幅方向xの両側に設けられた止着テープ11とを有する。おむつ本体2は、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有し、止着テープ11がおむつ本体2の後側部の両側に取り付けられている。使い捨ておむつ1は、着用の際、前側部を着用者の腹部に、股部を着用者の股間部に、後側部を着用者の背部に当て、止着テープ11をおむつ本体2の前側部に止着することで、パンツ形状に形成して使用する。例えば、おむつ本体2の前側部の外側面に止着対応部24が設けられ、止着テープ11を止着対応部24に止着することで、使い捨ておむつ1を着用することができる。
使い捨ておむつ1は、前後方向yと幅方向xを有する。前後方向yと幅方向xは、使い捨ておむつ1を平面状に広げた状態で規定される。前後方向yとは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、使い捨ておむつと同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。また本発明において、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
おむつ本体2は、例えば、トップシート3とバックシート4の間に吸収体5が配されて構成される。トップシート3は、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートであり、バックシート4は、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート3を透過して吸収体5に収容される。バックシート4は、排泄物が外部へ漏れるのを防ぐ。
トップシート3は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート3として、織布、編布、有孔樹脂フィルム等を用いてもよい。
バックシート4は液不透過性であることが好ましく、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、樹脂フィルム等を用いることができる。またバックシート4として、不織布とフィルムとの積層体を用いてもよい。
吸収体5は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体5としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収体5は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
吸収体5の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体(あるいは吸収体を構成する成形体)の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収体が着用者の大腿部に挟まれて幅方向xに圧迫されても歪みにくくする点から、吸収体、あるいは吸収体を構成する成形体は、砂時計形に形成されていることが好ましい。
おむつ本体2には、トップシート3の幅方向xの両側に、トップシート3よりも幅方向xの外方に延在するサイドシート6が接合していることが好ましい。サイドシート6は液不透過性であることが好ましく、バックシート4に使用可能なシート材料から構成することができる。
サイドシート6は、トップシート3とサイド接合部8で接合され、サイド接合部8よりも幅方向xの内方部分がトップシート3から起立可能に形成され、サイド接合部8よりも幅方向xの外方部分がバックシート4に積層されている(図2を参照)。サイドシート6の幅方向xの内方部分が起立することにより立ち上がりフラップが形成され、これにより尿等の幅方向xの横漏れを防止することができる。なお、サイドシート6の幅方向xの内方部分がトップシート3から起立可能に形成されるために、サイドシート6には、サイド接合部8よりも幅方向xの内方部分に前後方向yに延びる起立用弾性部材7が設けられることが好ましい。
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
おむつ本体2には、幅方向xの両側にそれぞれ、前後方向yに延びる脚用弾性部材9が設けられることが好ましい(図1を参照)。脚用弾性部材9を設けることにより、着用者の脚回りにギャザーを形成して脚回りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
おむつ本体2には、前後方向yの端部に、幅方向xに延びるウェスト用弾性部材10を設けてもよい。ウェスト用弾性部材10の収縮力により、着用者の胴周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
上記に説明した各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
止着テープ11は、テープ基材12と、テープ基材12に設けられた第1フック部材13と第2フック部材14を有する。止着テープ11の形状は特に限定されず、おむつ本体2の幅方向xの側縁より幅方向xの外方に延在するように形成されていればよい。図3には止着テープの拡大平面図を示したが、図3に示した止着テープ11は、おむつ本体2に取り付けられた固定部21と、固定部21から幅方向xの外方に延在する中間部22と、中間部22から幅方向xの外方に延在し、中間部22よりも前後方向yの長さが短く形成されたつまみ部23とを有し、つまみ部23に第1フック部材13と第2フック部材14が設けられている。第2フック部材14は、第1フック部材13から幅方向xに離隔して、第1フック部材13よりも幅方向xの内方に設けられる。図1および図3では、つまみ部23は前後方向yに並んで2つ設けられているが、つまみ部23の数は1つでもよく、3つ以上でもよい。
テープ基材12としては、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。なお、テープ基材12の剛性を確保し、止着テープ11の取り扱い性を高める点から、テープ基材12は、織布、編布または不織布から構成されていることが好ましく、不織布から構成されていることがより好ましい。
テープ基材12に不織布を用いる場合、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることができるが、テープ基材12としては、スパンボンド不織布またはSMS不織布を用いることが好ましく、スパンボンド不織布を用いることがより好ましい。このような不織布を用いれば、高強度のテープ基材を得やすくなる。また、テープ基材12に用いられる不織布はエンボス加工されていることが好ましく、これによりテープ基材12に適度な剛性が付与され、止着テープ11の取り扱い性が向上する。
テープ基材12の単位面積あたりの質量は、50g/m2以上が好ましく、55g/m2以上がより好ましく、また120g/m2以下が好ましく、100g/m2以下がより好ましい。テープ基材12の単位面積あたりの質量が50g/m2以上であれば、テープ基材12が十分な剛性を有するようになり、テープ基材12の単位面積あたりの質量が120g/m2以下であれば、テープ基材12が厚くなりすぎず、取り扱い性が向上する。
第1フック部材13と第2フック部材14は、図4に示すように、基盤15と、基盤15から突出する複数の係合素子16とを有し、基盤15は、係合素子16が設けられる面と反対側の面がテープ基材12に接着部20で接着されている。係合素子16の形状は特に限定されず、鉤形、錨形、きのこ形、柱形等が挙げられる。フック部材13は、おむつ本体2の前側部(具体的には止着対応部24)と着脱可能に形成される。
止着対応部24としては、面ファスナーのループ部材を用いたり、おむつ本体2の前側部の外側面をループ部材として機能する材料(例えば、不織布、織布、編布等)で構成し、これを止着対応部24とすることができる。使い捨ておむつ1は、止着テープ11に設けられたフック部材13の係合素子16をおむつ本体2の前側部の止着対応部24に係合させることにより、使い捨ておむつ1をパンツ形状に形成して着用することができる。
第1フック部材13と第2フック部材14は、図3および図4に示されるように、基盤15に、前後方向yに延びる第1の切り込み線および/または窪み線17が形成されている。なお、図4では、基盤15に切り込み線が形成された例が示されている。止着テープ11は、このように第1フック部材13と第2フック部材14が幅方向xに互いに離隔して設けられ、第1フック部材13と第2フック部材14のそれぞれに前後方向yに延びる第1の切り込み線および/または窪み線17が形成されているため、使い捨ておむつ1を装着した際、止着テープ11を着用者の腰回りにフィット性良く安定して止着することができる。これについて詳しく説明すると、止着テープ11は幅方向xに互いに離隔して設けられた第1フック部材13と第2フック部材14によって、止着テープ11の全体を着用者の腰回りにフィット性良く配置することができる。この際、止着テープ11は、第1フック部材13と第2フック部材14の間の部分(すなわちフック部材が設けられない部分)で、着用者の腰回りに沿って密着するように配置することができる。一方、止着テープ11は、第1フック部材13と第2フック部材14が設けられた部分においても、前後方向yに延びる第1の切り込み線および/または窪み線17によって、幅方向xに折れ曲がりやすくなる。そのため、止着テープ11は第1フック部材13と第2フック部材14が設けられた部分でも、着用者の腰回りの周方向に沿ったフィット性が高まり、着用者の体表面の曲面形状に対する追従性を高めることができる。また、第1フック部材13と第2フック部材14に対して幅方向xに剥がれる力が作用しても、第1フック部材13と第2フック部材14が一度に止着対応部24から剥がれにくくなり、第1フック部材13と第2フック部材14を安定して止着対応部24に止着することができる。第1フック部材13と第2フック部材14はまた、止着テープ11を止着対応部24に止着する際、第1の切り込み線および/または窪み線17によって止着位置を細かく調整することが容易になる。そのため、止着テープ11は、着用者の腰回りにフィット性良く安定して止着することができる。
第1の切り込み線および/または窪み線17は、第1および第2フック部材13,14の基盤15を平面視で線状に延びるように形成される。切り込み線は基盤15を厚み方向zに貫通して形成され、窪み線は基盤15を厚み方向zに貫通せず、係合素子16が設けられる面が窪んで形成される。基盤15に切り込み線が形成される場合、切り込み線を挟んだ基盤15の一方側と他方側は互いに近接して配置され、例えば止着テープ11を折り曲げた際に互いに接触可能に配置される。切り込み線を挟んだ基盤15の一方側と他方側の離隔距離は0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。一方、テープ基材12は、第1の切り込み線または窪み線17と重なる部分で切断されないことが好ましい。第1の切り込み線および/または窪み線17は、第1および第2フック部材13,14を接着部20でテープ基材12に取り付けた後、第1および第2フック部材13,14の基盤15にカッターの刃を当てるなどして、基盤15を切断または圧搾することにより容易に形成することができる。なお、後述する第2の切り込み線および/または窪み線18と第3の切り込み線および/または窪み線19も同様である。
基盤15には、第1の切り込み線および/または窪み線17として、切り込み線が形成されることが好ましい。これにより、止着テープ11が切り込み線で折れ曲がる自由度が高まる。この場合、基盤15には、第1の切り込み線および/または窪み線17として、切り込み線と窪み線の両方が形成されてもよいが、好ましくは切り込み線の総延長の方が窪み線の総延長よりも長く形成される。例えば、切り込み線の総延長は窪み線の総延長の2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。基盤15には、第1の切り込み線および/または窪み線17として、切り込み線のみが形成されることが特に好ましい。
第1フック部材13と第2フック部材14の形状や配置は特に限定されない。図1および図3では、第1フック部材13と第2フック部材14は略矩形(略台形)に形成されているが、例えば円形、楕円形、任意の多角形、不定形等に形成されていてもよい。第1フック部材13と第2フック部材14の幅方向xの離隔距離は5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましく、また100mm以下が好ましく、80mm以下がより好ましく、60mm以下がさらに好ましい。第1フック部材13と第2フック部材14の幅方向xの長さは、10mm以上が好ましく、12mm以上がより好ましく、15mm以上がさらに好ましく、また50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、35mm以下がさらに好ましい。
第1の切り込み線および/または窪み線17の形状や配置は特に限定されない。第1の切り込み線および/または窪み線17は、図1および図3では、基盤15を前後方向yに横切って前後方向yに延びる直線状に、すなわち基盤15の前側縁から後側縁にかけて前後方向yに延びる直線状に形成されているが、第1の切り込み線および/または窪み線17は、前後方向yに延びる曲線状に形成されてもよく、基盤15の前後方向yの一部のみに形成されていてもよい。なお、第1の切り込み線および/または窪み線17は、前後方向yに対して時計回りまたは反時計回りに10°以下の角度(好ましくは5°以下の角度)で延びるように形成されていればよく、この場合も第1の切り込み線および/または窪み線17は前後方向yに延びるように形成されているものとする。第1の切り込み線および/または窪み線17は、第1フック部材13または第2フック部材14に1本のみ設けられてもよく、複数本設けられてもよい。
第1の切り込み線および/または窪み線17は、前後方向yに延びる直線状に形成されていることが好ましい。これにより、第1フック部材13と第2フック部材14が第1の切り込み線および/または窪み線17で幅方向xにスムーズに折れ曲がりやすくなる。第1の切り込み線および/または窪み線17はまた、基盤15の前側縁から後側縁にかけて延びるように形成されていることが好ましく、基盤15の前側縁から後側縁にかけて直線状に延びるように形成されていることがより好ましい。このように第1の切り込み線および/または窪み線17が形成されていれば、第1フック部材13と第2フック部材14が着用者の腰回りの周方向に沿って幅方向xに折れ曲がりやすくなる。そのため、使い捨ておむつ1を装着した際、止着テープ11の着用者の腰回りへのフィット性を高めることができる。
第1フック部材13または第2フック部材14に設けられる第1の切り込み線および/または窪み線17は、4本以下が好ましく、3本以下がより好ましく、1本または2本であることがさらに好ましく、これにより第1フック部材13と第2フック部材14が安定してテープ基材12に接着固定され、第1フック部材13と第2フック部材14がテープ基材12から剥がれることが起こりにくくなる。第1の切り込み線および/または窪み線17は、第1フック部材13または第2フック部材14を幅方向xに等しい長さを有する複数の領域に分けるように形成されてもよく、幅方向xに異なる長さを有する複数の領域に分けるように形成されてもよい。
図3および図4に示されるように、第1フック部材13はテープ基材12の幅方向xの外方縁(すなわちつまみ部23の先端)から幅方向xに離隔して設けられることが好ましい。このように止着テープ11が形成されていれば、つまみ部23の先端部を摘まみやすくなる。この場合、第1の切り込み線および/または窪み線17は、基盤15の前側縁から後側縁にかけて直線状に延びるように形成され、止着テープ11は、第1フック部材13の幅方向xの外方縁からテープ基材12の幅方向xの外方縁までの長さが第1フック部材13の幅方向xの外方縁から第1の切り込み線および/または窪み線17までの長さよりも長くなるように形成されていることが好ましい。これにより、つまみ部23の先端部が第1フック部材13の幅方向xの外縁に沿って折れ曲がって第1フック部材13に誤って止着しても、第1フック部材13を第1の切り込み線および/または窪み線17で折り曲げることで、つまみ部23の先端部を第1フック部材13から容易に剥がすことができる。
図3および図4に示されるように、第1フック部材13と第2フック部材14は、第1の切り込み線および/または窪み線17により幅方向xに複数の領域に区分され、第1フック部材13の幅方向xの内方側の領域が、第1フック部材13の幅方向xの外方側の領域よりも幅方向xの長さが長く形成され、第2フック部材14の幅方向xの内方側の領域は、第2フック部材14の幅方向xの外方側の領域よりも幅方向xの長さが短く形成されていることが好ましい。このように止着テープ11が形成されていれば、止着テープ11を止着対応部24に止着した際、止着テープ11は、幅方向xの長さが長く形成された第1フック部材13の幅方向xの内方側の領域と第2フック部材14の幅方向xの外方側の領域とで、止着対応部24に安定して止着することができる。例えば、止着テープ11の第1フック部材13と第2フック部材14の間の部分に歪みが生じても、この歪みによって第1フック部材13と第2フック部材14が止着対応部24から剥がれることが起こりにくくなる。また、第1フック部材13に対して幅方向xの外方側から剥がれる力が作用しても、幅方向xの長さが短く形成された第1フック部材13の幅方向xの外方側の領域によって当該力が吸収され、第1フック部材13が意図せず止着対応部24から剥がれにくくなる。同様に、第2フック部材14に対して幅方向の内方側から剥がれる力が作用しても、幅方向xの長さが短く形成された第2フック部材14の幅方向xの内方側の領域によって当該力が吸収され、第2フック部材14が意図せず止着対応部24から剥がれにくくなる。止着テープ11はまた、第1フック部材13の幅方向xの外方側の領域で第1フック部材13の止着位置を細かく調整することが容易になり、第2フック部材14の幅方向xの内方側の領域で第2フック部材14の止着位置を細かく調整することが容易になる。
なお、第1フック部材13が、第1の切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに3つ以上の領域に区分される場合は、第1フック部材13の幅方向xの最も内方側の領域が、第1フック部材13の幅方向xの最も外方側の領域よりも幅方向xの長さが長く形成され、かつ隣り合った領域どうしは、幅方向xの内方側の領域が幅方向xの外方側の領域よりも幅方向xの長さが短くならないように形成されていればよい。第2フック部材14が、第1の切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに3つ以上の領域に区分される場合は、第2フック部材14の幅方向xの最も内方側の領域が、第2フック部材14の幅方向xの最も外方側の領域よりも幅方向xの長さが短く形成され、かつ隣り合った領域どうしは、幅方向xの内方側の領域が幅方向xの外方側の領域よりも幅方向xの長さが長くならないように形成されていればよい。
第1フック部材13と第2フック部材14は、第1の切り込み線および/または窪み線17により幅方向xに複数の領域に区分され、第1フック部材13の幅方向xの内方側の領域が、第1フック部材13の幅方向xの外方側の領域よりも面積が広く形成され、第2フック部材14の幅方向xの内方側の領域が、第2フック部材14の幅方向xの外方側の領域よりも面積が狭く形成されていることも好ましい。このように止着テープ11が形成されていれば、止着テープ11を止着対応部24に止着した際、止着テープ11は、面積が広く形成された第1フック部材13の幅方向xの内方側の領域と第2フック部材14の幅方向xの外方側の領域とで、止着対応部24に安定して止着することができる。また、第1フック部材13に対して幅方向xの外方側から剥がれる力が作用しても、面積が狭く形成された第1フック部材13の幅方向xの外方側の領域によって当該力が吸収され、第1フック部材13が意図せず止着対応部24から剥がれにくくなる。同様に、第2フック部材14に対して幅方向xの内方側から剥がれる力が作用しても、面積が狭く形成された第2フック部材14の幅方向xの内方側の領域によって当該力が吸収され、第2フック部材14が意図せず止着対応部24から剥がれにくくなる。止着テープ11はまた、第1フック部材13の幅方向xの外方側の領域で第1フック部材13の止着位置を細かく調整することが容易になり、第2フック部材14の幅方向xの内方側の領域で第2フック部材14の止着位置を細かく調整することが容易になる。
なお、第1フック部材13が、第1の切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに3つ以上の領域に区分される場合は、第1フック部材13の幅方向xの最も内方側の領域が、第1フック部材13の幅方向xの最も外方側の領域よりも面積が広く形成され、かつ隣り合った領域どうしは、幅方向xの内方側の領域が幅方向xの外方側の領域よりも面積が狭くならないように形成されていればよい。第2フック部材14が、第1の切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに3つ以上の領域に区分される場合は、第2フック部材14の幅方向xの最も内方側の領域が、第2フック部材14の幅方向xの最も外方側の領域よりも面積が狭く形成され、かつ隣り合った領域どうしは、幅方向xの内方側の領域が幅方向xの外方側の領域よりも面積が広くならないように形成されていればよい。
図5に示すように、第1フック部材13と第2フック部材14は、基盤15に、第1の切り込み線および/または窪み線17に加え、前後方向yに対して斜めに延びる第2の切り込み線および/または窪み線18が形成されていることも好ましい。このように第1フック部材13と第2フック部材14が形成されていれば、第1フック部材13と第2フック部材14は、幅方向xに加えてその斜め方向にも折れ曲がりやすくなる。また、第1フック部材13と第2フック部材14に対して幅方向xやその斜め方向から剥がれる力が作用しても、第1フック部材13と第2フック部材14が止着対応部24から一度に剥がれにくくなる。そのため、使い捨ておむつ1を装着した状態で、着用者が斜めに腰をねじったり、側臥位から起き上がったりする際に、第1フック部材13と第2フック部材14が止着対応部24に安定して止着され、着用者の様々な動きに対する追従性を高めることができる。
基盤15には、第2の切り込み線および/または窪み線18として、前後方向yに対して時計回りに15°以上75°以下の角度で斜めに延びる切り込み線および/または窪み線と前後方向yに対して反時計回りに15°以上75°以下の角度で斜めに延びる切り込み線および/または窪み線が形成されることが好ましい。第2の切り込み線および/または窪み線18は、図5に示すように、斜方格子状に形成されていることがより好ましい。このように第2の切り込み線および/または窪み線18が形成されることにより、使い捨ておむつ1を装着した状態で例えば着用者が右斜め方向と左斜め方向のどちらに腰をねじっても、第1フック部材13と第2フック部材14が止着対応部24に安定して止着される。
第2の切り込み線および/または窪み線18は、前後方向yに対して時計回りまたは反時計回りに20°以上の角度で斜めに延びることが好ましく、25°以上の角度がより好ましく、30°以上の角度がさらに好ましく、また70°以下の角度が好ましく、65°以下の角度がより好ましく、60°以下の角度がさらに好ましい。第2の切り込み線および/または窪み線18はまた、前後方向yに対して斜めに直線状に延びるように形成されることが好ましい。第2の切り込み線および/または窪み線18は、基盤15を斜め方向に横切るように、基盤15の外縁を始点および終点として延びるように形成されていることが好ましい。
図6に示すように、第1フック部材13と第2フック部材14は、基盤15に、第1の切り込み線および/または窪み線17に加え、幅方向xに延びる第3の切り込み線および/または窪み線19が形成されていることも好ましい。このように第1フック部材13と第2フック部材14が形成されていれば、第1フック部材13と第2フック部材14は、幅方向xに加えて前後方向yにも折れ曲がりやすくなる。また、第1フック部材13と第2フック部材14に対して幅方向xや前後方向yから剥がれる力が作用しても、第1フック部材13と第2フック部材14が止着対応部24から一度に剥がれにくくなる。そのため、使い捨ておむつ1を装着した状態で、着用者が前かがみの姿勢をとったり腹部に力を入れたりした際に、第1フック部材13と第2フック部材14が止着対応部24に安定して止着され、着用者の様々な動きに対する追従性を高めることができる。
第3の切り込み線および/または窪み線19は、幅方向xに延びる直線状に形成されていることが好ましい。第3の切り込み線および/または窪み線19はまた、基盤15を幅方向xに横切って延びるように、すなわち基盤15の幅方向xの内方縁から外方縁にかけて延びるように形成されていることが好ましい。なお、第3の切り込み線および/または窪み線19は、幅方向xに対して時計回りまたは反時計回りに10°以下の角度(好ましくは5°以下の角度)で延びるように形成されていればよく、この場合も第3の切り込み線および/または窪み線19は幅方向xに延びるように形成されているものとする。第3の切り込み線および/または窪み線19は、第1フック部材13または第2フック部材14に1本のみ設けられてもよく、複数本設けられてもよいが、複数本(例えば2本~4本)設けられることが好ましい。
基盤15には、第1の切り込み線および/または窪み線17に加え、第2の切り込み線および/または窪み線18と第3の切り込み線および/または窪み線19の両方がさらに形成されてもよい。なお、第1フック部材13と第2フック部材14がテープ基材12に安定して接着固定されるようにする点から、基盤15には、第2の切り込み線および/または窪み線18と第3の切り込み線および/または窪み線19の両方は設けられないことが好ましい。
第2の切り込み線および/または窪み線18と第3の切り込み線および/または窪み線19は、切り込み線として形成されてもよく、窪み線として形成されてもよい。例えば、基盤15には、第1の切り込み線および/または窪み線17として、切り込み線が形成され、第2の切り込み線および/または窪み線18または第3の切り込み線および/または窪み線19として、窪み線が形成されてもよい。使い捨ておむつ1を装着した際、止着テープ11は着用者の腰回りの周方向に沿って曲げられるため、このように第1フック部材13と第2フック部材14に第1の切り込み線および/または窪み線17が形成されていれば、止着テープ11は第1フック部材13と第2フック部材14が設けられた部分で着用者の腰回りへのフィット性を高めることができる。一方、第2の切り込み線および/または窪み線18または第3の切り込み線および/または窪み線19が窪み線として形成されることにより、第1フック部材13と第2フック部材14がテープ基材12に安定して接着固定され、また第1フック部材13と第2フック部材14が幅方向xに優先して折れ曲がりやすくなることで、止着テープ11の取り扱い性が良好になる。
図4に示すように、第1フック部材13と第2フック部材14は、基盤15が接着部20でテープ基材12に接着され、第1の切り込み線または窪み線17と重なる位置に接着部20が設けられず非接着部が形成されていることが好ましい。第1の切り込み線または窪み線17と重なる位置に接着部20が設けられないことにより、第1フック部材13と第2フック部材14を止着対応部24に止着させた状態で、止着テープ11が第1の切り込み線または窪み線17で折れ曲がる自由度が高まる。また、止着テープ11が第1の切り込み線または窪み線17で折れ曲がっても、第1フック部材13と第2フック部材14の基盤15が第1の切り込み線または窪み線17を起点として止着対応部24から意図せず剥がれにくくなる。そのため、止着テープ11をフィット性良くかつ安定して止着対応部24に止着することができる。
接着部20は、第1の切り込み線または窪み線17と重なる位置から少なくとも0.3mmの範囲内に設けられないことが好ましく、0.5mmの範囲内に設けられないことがより好ましく、1.0mmの範囲内に設けられないことがさらに好ましい。換言すれば、第1の切り込み線または窪み線17と重なる位置に形成される非接着部は、第1の切り込み線または窪み線17に沿って幅0.6mm以上で形成されることが好ましく、幅1.0mm以上で形成されることがより好ましく、幅2.0mm以上で形成されることがさらに好ましい。このように第1の切り込み線または窪み線17と重なる位置に非接着部が形成されていれば、止着テープ11をよりフィット性良く、また安定して止着対応部24に止着することができる。一方、接着部20の少なくとも一部は、第1の切り込み線または窪み線17と重なる位置から3.0mmの範囲内に設けられることが好ましく、2.5mmの範囲内に設けられることがより好ましく、2.0mmの範囲内に設けられることがさらに好ましい。これにより、第1フック部材13と第2フック部材14をテープ基材12に安定して接着固定することができる。
基盤15に第2の切り込み線および/または窪み線18が形成される場合、接着部20は、第2の切り込み線および/または窪み線18と重なる位置に設けられてもよく、設けられなくてもよい。基盤15に第3の切り込み線および/または窪み線19が形成される場合、接着部20は、第3の切り込み線および/または窪み線19と重なる位置に設けられてもよく、設けられなくてもよい。なお、第1フック部材13と第2フック部材14がテープ基材12に安定して接着固定されるようにする点から、第1フック部材13と第2フック部材14に第2の切り込み線および/または窪み線18または第3の切り込み線および/または窪み線19が形成される場合、接着部20は、第2の切り込み線および/または窪み線18と重なって設けられることが好ましく、第3の切り込み線および/または窪み線19と重なって設けられることが好ましい。
接着部20は、第1の切り込み線および/または窪み線17と重ならず、前後方向yに延びるストライプ状に設けられることが好ましい。このように接着部20が設けられていれば、止着テープ11は第1フック部材13と第2フック部材14が設けられた部分で幅方向xに折れ曲がりやすくなり、着用者の腰回りの周方向に沿ったフィット性を高めることができる。また、第1フック部材13と第2フック部材14のテープ基材12への接合強度を確保しやすくなる。
第1フック部材13と第2フック部材14に第2の切り込み線および/または窪み線18または第3の切り込み線および/または窪み線19が形成される場合も、接着部20は、第1の切り込み線および/または窪み線17と重ならず、前後方向yに延びるストライプ状に設けられることが好ましい。図7には、図5に示した止着テープ11の拡大平面図において、第1フック部材13と第2フック部材14を取り除いた状態の第1フック部材13または第2フック部材14とテープ基材12との接着部20の形成例が示されている。図7では、第1フック部材13と第2フック部材14が設けられる部分の輪郭と第1の切り込み線および/または窪み線17と第2の切り込み線および/または窪み線18の形成箇所が一点鎖線で表されている。
図7に示すように、第1フック部材13と第2フック部材14に第1の切り込み線および/または窪み線17と第2の切り込み線18が形成され、接着部20が、第1の切り込み線および/または窪み線17と重ならず、前後方向yに延びるストライプ状に設けられていれば、第1フック部材13と第2フック部材14が幅方向xに優先して折れ曲がりやすくなり、止着テープ11の着用者の腰回りの周方向に沿ったフィット性を高めることができる。また、止着テープ11を止着対応部24に安定して止着することができる。
接着部20は、基盤15の幅方向xの両端部に設けられないことが好ましい。これにより、第1フック部材13と第2フック部材14を止着対応部24に止着した際に、第1フック部材13または第2フック部材14に幅方向xにずれる力が作用しても、基盤15が当該両端部を起点として剥がれにくくなる。そのため、第1フック部材13と第2フック部材14を安定して止着対応部24に止着することができる。接着部20は、例えば基盤15の幅方向xの両端縁から少なくとも0.3mmの範囲内に設けられないことが好ましく、0.5mmの範囲内に設けられないことがより好ましい。