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JP7057845B1 - 熱伝導シートの供給形態及び熱伝導シート本体 - Google Patents

熱伝導シートの供給形態及び熱伝導シート本体 Download PDF

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Abstract

【課題】表面にタック性を有する熱伝導シートの提供。【解決手段】熱伝導シートの供給形態1は、剥離フィルム2に熱伝導シート本体3が挟持されており、剥離フィルム2を熱伝導シート本体3から剥離した直後の熱伝導シート本体3の表面がタック性を有する。【選択図】図1

Description

本技術は、熱伝導シートの供給形態及び熱伝導シート本体に関する。
電子機器の高性能化に伴って、半導体素子の高密度化、高実装化が進んでいる。これに伴って、電子機器を構成する電子部品からの発熱をさらに効率的に放熱することが重要である。例えば、半導体装置は、効率的に放熱するために、電子部品が、熱伝導シートを介して、放熱ファン、放熱板等のヒートシンクに取り付けられている。熱伝導シートとしては、例えば、シリコーン樹脂に、無機フィラーなどの充填剤を含有(分散)させたものが広く使用されている。この熱伝導シートのような放熱部材は、更なる熱伝導率の向上が要求されている。例えば、熱伝導シートの高熱伝導性を目的として、バインダ樹脂などのマトリックス内に配合されている無機フィラーの充填率を高めることが検討されている。しかし、無機フィラーの充填率を高めると、熱伝導シートの柔軟性が損なわれたり、粉落ちが発生したりするため、無機フィラーの充填率を高めることには限界がある。
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、高熱伝導率を目的として、窒化ホウ素、黒鉛等の鱗片状粒子、炭素繊維などをマトリクス内に充填させることもある。これは、鱗片状粒子等の有する熱伝導率の異方性によるものである。例えば、炭素繊維の場合は、繊維方向に約600~1200W/m・Kの熱伝導率を有することが知られている。また、窒化ホウ素の場合は、面方向に約110W/m・K程度の熱伝導率を有し、面方向に対して垂直な方向に約2W/m・K程度の熱伝導率を有することが知られている。このように、炭素繊維や鱗片状粒子の面方向を、熱の伝達方向であるシートの厚み方向と同じにする、すなわち、炭素繊維や鱗片状粒子をシートの厚み方向に配向させることによって、熱伝導率が飛躍的に向上することが期待できる。
特許文献1には、窒化ホウ素を厚み方向に配向した熱伝導シートが記載されている。このような熱伝導シートでは、例えば、熱伝導シート形成用の樹脂組成物から成形体ブロックを作製し、スライスすることで、熱伝導シートの厚み方向に異方性材料を配向させることができる。しかし、このように成形体ブロックをスライスして熱伝導シートを作製すると、熱伝導シートの表面にタック性がないという問題がある。このように、熱伝導シートの表面にタック性がないと、熱伝導シートの実装時に位置ずれが起こるおそれがある。
国際公開WO2019/026745号公報
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、表面にタック性を有する熱伝導シートを提供する。
本技術は、剥離フィルムに挟持された熱伝導シートの供給形態であって、剥離フィルムを熱伝導シート本体から剥離した直後の熱伝導シート本体の表面がタック性を有する。
本技術に係る熱伝導シート本体は、バインダ樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素とを含み、鱗片状の窒化ホウ素が伝導シート本体の厚み方向に配向しており、熱伝導シート本体の両面がタック性を有する。
本技術によれば、表面にタック性を有する熱伝導シートを提供することができる。
図1は、熱伝導シートの供給形態の一例を示す断面図である。 図2は、熱伝導シートの供給形態を構成する熱伝導シート本体の一例を示す断面図である。 図3は、形状異方性を有する熱伝導材料の一例である、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素を模式的に示す斜視図である。 図4は、熱伝導シート本体の一例を示す断面図である。 図5は、熱伝導シート本体を適用した半導体装置の一例を示す断面図である。 図6は、熱伝導シート本体をアルミ板の上に載せ、90°ずらしたときに、アルミ板がずり落ちるかどうかの評価方法を説明するための図である。
本明細書において、熱伝導材料の平均粒径(D50)とは、熱伝導材料の粒子径分布全体を100%とした場合に、粒子径分布の小粒子径側から粒子径の値の累積カーブを求めたとき、その累積値が50%となるときの粒子径をいう。なお、本明細書における粒度分布(粒子径分布)は、体積基準によって求められたものである。粒度分布の測定方法としては、例えば、レーザー回折型粒度分布測定機を用いる方法が挙げられる。
[第1の実施の形態]
<熱伝導シートの供給形態>
本技術の第1の実施の形態は、剥離フィルム(剥離処理が施されたフィルム)に熱伝導シート本体が挟持されており、剥離フィルムを熱伝導シート本体から剥離した直後の熱伝導シート本体の表面がタック性を有する熱伝導シートの供給形態である。このように、本技術に係る熱伝導シートの供給形態は、剥離フィルムを熱伝導シート本体から剥離した直後の熱伝導シート本体の表面がタック性を有するため、熱伝導シート本体の実装時の位置ずれを抑制できる。
例えば、熱伝導シートの供給形態は、剥離フィルムを剥離した直後の熱伝導シート本体のタック力が、下記の測定方法において75gf以上であってもよく、80gf以上であってもよい。
測定方法:熱伝導シートの供給形態から剥離フィルムを剥がした直後に、直径5.1mmのプローブにより熱伝導シート本体を2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引きぬく。
ここで、熱伝導シート本体から剥離フィルムを剥離した直後とは、特に限定されないが、例えば、剥離フィルムを剥離してから5分以内を意味する。
また、熱伝導シートの供給形態は、剥離フィルムに挟持された熱伝導シート本体のタック力が、剥離フィルムに挟持されていない熱伝導シートのタック力と比較して増加することが好ましい。例えば、剥離フィルムに熱伝導シート本体が挟持された熱伝導シートの供給形態を作製してから7日放置して、この熱伝導シートの供給形態の剥離フィルムを熱伝導シート本体から剥離した直後の熱伝導シート本体の表面のタック力(剥離フィルムに挟持された熱伝導シート本体のタック力)と、剥離フィルムに挟持させずに作製した熱伝導シートを作製してから7日放置したシートの表面のタック力(剥離フィルムに挟持されていない熱伝導シートのタック力)とを比較したときに、前者のタック力が大きいことをいう。タック力は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
図1は、本技術に係る熱伝導シートの供給形態の一例を示す断面図である。熱伝導シートの供給形態1は、例えば図1に示すように、剥離フィルム2に挟持された熱伝導シート本体3を備える。すなわち、熱伝導シートの供給形態1は、例えば、剥離フィルム2Aと熱伝導シート本体3と剥離フィルム2Bとをこの順に備える積層体である。換言すると、熱伝導シートの供給形態1は、剥離フィルム2が、1枚の熱伝導シート本体3の両面に設けられている。
剥離フィルム2は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、グラシン紙等が挙げられる。剥離フィルム2の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5~200μmとすることができる。また、剥離フィルム2は、厚みが薄い方が、熱伝導シート本体3に対する追従性がより良好となり、熱伝導シート本体3のタック力をより効果的に発現できる。例えば、熱伝導シート本体3のタック力をより効果的に発現させる観点では、剥離フィルム2は、厚みが薄いPETフィルムが好ましい。剥離フィルム2Aと剥離フィルム2Bは、材質が同じであってもよいし、材質が異なっていてもよい。また、剥離フィルム2Aと剥離フィルム2Bは、厚みが同じであってもよいし、厚みが異なっていてもよい。
熱伝導シート本体3の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート本体3の厚みは、0.05mm以上とすることができ、0.1mm以上とすることもできる。また、熱伝導シート本体3の厚みの上限値は、5mm以下とすることができ、4mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。熱伝導シート本体3は、取り扱い性の観点では、厚みが0.1~4mmであることが好ましい。熱伝導シート本体3の厚みは、例えば、熱伝導シート本体3の厚みを任意の5箇所で測定し、その算術平均値から求めることができる。
熱伝導シート本体3は、電子部品の軽量化の観点では比重が小さいほど好ましい。例えば、熱伝導シート本体3は、比重が2.7以下であってもよく、2.6以下であってもよく、2.5以下であってもよく、2.4以下であってもよく、2.3以下であってもよい。また、熱伝導シート本体3は、比重が2.0以上であってもよく、2.1以上であってもよく、2.2以上であってもよい。熱伝導シート本体3の比重は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
図2は、熱伝導シートの供給形態を構成する熱伝導シート本体の一例を示す断面図である。熱伝導シート本体3は、バインダ樹脂4と、形状異方性を有する熱伝導材料5を含み、形状異方性を有する熱伝導材料5の長軸が、熱伝導シート本体3の厚み方向Bに配向している。また、熱伝導シート本体3は、形状異方性を有する熱伝導材料5以外の他の熱伝導材料6をさらに含んでもよい。以下、熱伝導シート本体3の構成要素の具体例について説明する。
<バインダ樹脂>
バインダ樹脂4は、形状異方性を有する熱伝導材料5と他の熱伝導材料6とを熱伝導シート本体3内に保持するためのものである。バインダ樹脂4は、熱伝導シート本体3に要求される機械的強度、耐熱性、電気的性質等の特性に応じて選択される。バインダ樹脂4としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂の中から選択することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のエチレン-αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレン-エーテル共重合体(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン- ブタジエンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、架橋ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。架橋ゴムの具体例としては、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムが挙げられる。
バインダ樹脂4としては、例えば、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性を考慮するとシリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂としては、例えば、アルケニル基を有するシリコーンを主成分とし、硬化触媒を含有する主剤と、ヒドロシリル基(Si-H基)を有する硬化剤とからなる、2液型の付加反応型シリコーン樹脂を用いることができる。アルケニル基を有するシリコーンとしては、例えば、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。硬化触媒は、アルケニル基を有するシリコーン中のアルケニル基と、ヒドロシリル基を有する硬化剤中のヒドロシリル基との付加反応を促進するための触媒である。硬化触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられ、例えば、白金族系硬化触媒、例えば白金、ロジウム、パラジウムなどの白金族金属単体や塩化白金などを用いることができる。ヒドロシリル基を有する硬化剤としては、例えば、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。バインダ樹脂4は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導シート本体3中のバインダ樹脂4の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート本体3中のバインダ樹脂4の含有量は、熱伝導シート本体3の柔軟性の観点では、20体積%以上とすることができ、25体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよく、33体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート本体3中のバインダ樹脂4の含有量は、熱伝導シート本体3の柔軟性の観点では、70体積%以下とすることができ、60体積%以下であってもよく、50体積%以下であってもよく、40体積%以下であってもよく、37体積%以下であってもよい。熱伝導シート本体3中のバインダ樹脂4の含有量は、例えば、熱伝導シート本体3の柔軟性の観点では、25~60体積%とすることが好ましく、30~40体積%とすることもでき、33~37体積%とすることもできる。
<形状異方性を有する熱伝導材料>
熱伝導シート本体3は、形状異方性を有する熱伝導材料5を含む。形状異方性とは、球状のように形状が各方向において一定となるものや、立方体状や八面体状のように形状が各方向において一定に近いものではなく、ある軸が他の軸よりも長い又は短いというように、方向によって形状が異なることをいい、例えば、長軸と短軸の長さが異なりアスペクト比が1ではない形状をいう。形状異方性には、例えば、鱗片状、繊維状などの形状が含まれる。ここで、鱗片状の熱伝導材料とは、長軸と短軸と厚みとを有する熱伝導材料であって、高アスペクト比(長軸/厚み)であり、長軸を含む面方向に等方的な熱伝導率を有するものである。短軸とは、鱗片状の熱伝導材料の長軸を含む面において、鱗片状の熱伝導材料の粒子の略中央部で長軸に交差する方向であって、鱗片状の熱伝導材料の最も短い部分の長さをいう。厚みとは、鱗片状の熱伝導材料の長軸を含む面の厚みを10点測定して平均した値をいう。
形状異方性を有する熱伝導材料5の材質としては、例えば、窒化ホウ素(BN)、雲母、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素、シリカ、酸化亜鉛、二硫化モリブデン等を用いることができる。形状異方性を有する熱伝導材料5の具体例としては、鱗片状の窒化ホウ素や、炭素繊維が挙げられる。形状異方性を有する熱伝導材料5は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
図3は、形状異方性を有する熱伝導材料の一例である、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素5Aを模式的に示す斜視図である。図3中、aは鱗片状の窒化ホウ素5Aの長軸を表し、bは鱗片状の窒化ホウ素5Aの厚みを表し、cは鱗片状の窒化ホウ素5Aの短軸を表す。形状異方性を有する熱伝導材料5としては、熱伝導シート本体3の熱伝導率の観点から、図3に示すように結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素5Aを用いることが好ましい。
形状異方性を有する熱伝導材料5の平均粒径(D50)は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形状異方性を有する熱伝導材料5の平均粒径は、10μm以上とすることができ、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、35μm以上であってもよい。また、形状異方性を有する熱伝導材料5の平均粒径の上限値は、150μm以下とすることができ、100μm以下であってもよく、90μm以下であってもよく、80μm以下であってもよく、70μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、45μm以下であってもよい。熱伝導シート本体3の熱伝導率の観点から、形状異方性を有する熱伝導材料5の平均粒径は、20~100μmとすることが好ましい。形状異方性を有する熱伝導材料5のアスペクト比は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形状異方性を有する熱伝導材料5のアスペクト比は、10~100の範囲とすることができる。形状異方性を有する熱伝導材料5の長軸と短軸との比(長軸/短軸)の平均値は、例えば、0.5~10の範囲とすることができ、1~5の範囲とすることもでき、1~3の範囲とすることもできる。
熱伝導シート本体3中の形状異方性を有する熱伝導材料5の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート本体3中の形状異方性を有する熱伝導材料5の含有量は、熱伝導シート本体3の熱伝導率の観点では、15体積%以上とすることができ、20体積%以上であってもよく、23体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート本体3中の形状異方性を有する熱伝導材料5の含有量の上限値は、熱伝導シート本体3の柔軟性の観点では、例えば、45体積%以下とすることができ、40体積%以下であってもよく、35体積%以下であってもよく、30体積%以下であってもよい。熱伝導シート本体3の熱伝導率の観点では、熱伝導シート本体3中の形状異方性を有する熱伝導材料5の含有量は、20~35体積%とすることが好ましく、20~30体積%とすることがより好ましく、23~27体積%とすることがさらに好ましい。
<他の熱伝導材料>
他の熱伝導材料6は、上述した形状異方性を有する熱伝導材料5以外の熱伝導材料である。すなわち、他の熱伝導材料6は、形状異方性を有しない熱伝導材料である。他の熱伝導材料6の形状は、例えば、球状、粉末状等が挙げられる。他の熱伝導材料6の材質は、特に限定されず、例えば、形状異方性を有する熱伝導材料5と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、熱伝導シート本体3の絶縁性を確保する観点では、他の熱伝導材料6の材質は、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ、サファイア)、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムなどを用いることができる。他の熱伝導材料6は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、他の熱伝導材料6は、熱伝導シート本体3の熱伝導率の観点では、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子とを併用する態様や、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子と酸化亜鉛と水酸化アルミニウムとを併用する態様が好ましい。窒化アルミニウム粒子の平均粒径(D50)は、例えば、1~5μmとすることができ、1~3μmであってもよく、1~2μmであってもよい。また、アルミナ粒子の平均粒径(D50)は、例えば、0.1~10μmとすることができ、0.1~8μmであってもよく、0.1~7μmであってもよく、0.1~2μmであってもよい。酸化亜鉛粒子の平均粒径(D50)は、例えば、0.1~5μmとすることができ、0.5~3μmであってもよく、0.5~2μmであってもよい。水酸化アルミニウム粒子の平均粒径(D50)は、例えば、1~10μmとすることができ、2~9μmであってもよく、6~8μmであってもよい。
熱伝導シート本体3中の他の熱伝導材料6の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。熱伝導シート本体3中の他の熱伝導材料6の含有量は、熱伝導シート本体3の熱伝導率の観点では、10体積%以上とすることができ、15体積%以上であってもよく、20体積%以上であってもよく、25体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよく、35体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート本体3中の他の熱伝導材料6の含有量は、熱伝導シート本体3の柔軟性の観点では、50体積%以下とすることができ、45体積%以下であってもよく、40体積%以下であってもよい。
他の熱伝導材料6として、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子とを併用する場合、熱伝導シート本体3中、アルミナ粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、窒化アルミニウム粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましい。また、他の熱伝導材料6として、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子と酸化亜鉛粒子と水酸化アルミニウム粒子とを併用する場合、熱伝導シート本体3中、アルミナ粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、窒化アルミニウム粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、酸化亜鉛粒子の含有量は0.1~3体積%とすることが好ましく、水酸化アルミニウム粒子の含有量は0.1~3体積%とすることが好ましい。
熱伝導シート本体3は、本技術の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤(カップリング剤)、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤などが挙げられる。例えば、熱伝導シート本体3は、形状異方性を有する熱伝導材料5及び他の熱伝導材料6の分散性をより向上させて、熱伝導シート本体3の柔軟性をより向上させる観点で、シランカップリング剤で処理した形状異方性を有する熱伝導材料5及び/又はシランカップリング剤で処理した他の熱伝導材料6を用いてもよい。
次に、熱伝導シートの供給形態1の製造方法について説明する。熱伝導シートの供給形態1の製造方法は、熱伝導組成物を調製する工程(以下、工程Aとも称する)と、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程(以下、工程Bとも称する)と、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シートを得る工程(以下、工程Cとも称する)と、熱伝導シートの表面を剥離フィルムの間に配置する工程(以下、工程Dとも称する)とを有する。
工程Aでは、例えば、バインダ樹脂4と、形状異方性を有する熱伝導材料5と、他の熱伝導材料6とを含む熱伝導組成物を調製する。熱伝導組成物は、バインダ樹脂4と、形状異方性を有する熱伝導材料5と、他の熱伝導材料6との他に、必要に応じて各種添加剤や揮発性溶剤とを公知の手法により均一に混合してもよい。工程Aの一態様としては、形状異方性を有する熱伝導材料5と、他の熱伝導材料6とをバインダ樹脂4に分散させることで、熱伝導組成物を調製する。
工程Bでは、工程Aで調製した熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する。成形体ブロックの形成方法としては、押出成形法、金型成形法などが挙げられる。押出成形法、金型成形法としては、特に制限されず、公知の各種押出成形法、金型成形法の中から、熱伝導組成物の粘度や熱伝導シート本体3に要求される特性等に応じて適宜採用することができる。
例えば、押出成形法において、熱伝導組成物をダイより押し出す際、あるいは金型成形法において、熱伝導組成物を金型へ圧入する際、バインダ樹脂4が流動し、その流動方向に沿って形状異方性を有する熱伝導材料5が配向する。
成形体ブロックの大きさ・形状は、求められる熱伝導シート本体3の大きさに応じて決めることができる。例えば、断面の縦の大きさが0.5~15cmで横の大きさが0.5~15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。押出成形法では、熱伝導組成物の硬化物からなり、押出方向に形状異方性を有する熱伝導材料5の長軸が配向した、柱状の成形体ブロックを形成しやすい。
工程Cでは、成形体ブロックをシート状にスライスして、熱伝導シートを得る。スライスにより得られるシートの表面(スライス面)には、形状異方性を有する熱伝導材料5が露出する。スライスする方法としては特に制限はなく、成形体ブロックの大きさや機械的強度により公知のスライス装置(好ましくは超音波カッタ)の中から適宜選択することができる。成形体ブロックのスライス方向としては、成形方法が押出成形法である場合、押出し方向に形状異方性を有する熱伝導材料5が配向しているものもあるため、押出し方向に対して60~120度であることが好ましく、70~100度の方向であることがより好ましく、90度(垂直)の方向であることがさらに好ましい。工程Bで押出成形法により柱状の成形体ブロックを形成した場合、工程Cでは、成形体ブロックの長さ方向に対して略垂直方向にスライスすることが好ましい。
工程Dでは、熱伝導シートの表面を剥離フィルム2の間に配置することにより、図1に示すような熱伝導シートの供給形態1、すなわち、剥離フィルム2Aと熱伝導シート本体3と剥離フィルム2Bとをこの順に備える積層体が得られる。
具体的に、工程Dでは、例えば、剥離フィルム2A,2Bで熱伝導シートを挟持することにより、熱伝導シート本体3を構成するバインダ樹脂4が熱伝導シート本体3の表面(熱伝導シート本体3と剥離フィルム2との間)に染み出し、熱伝導シート本体3がタック性を有するようになる。熱伝導シート本体3の表面に染み出すバインダ樹脂4は、未硬化の状態であってもよく、数%程度硬化が進んだ状態であってもよい。
工程Dでは、熱伝導シート本体3のタック性をより効果的に発現させる観点で、熱伝導シートの表面を剥離フィルム2の間に配置した後、所定の時間放置することが好ましい。放置時間は、特に限定されないが、例えば、1日以上とすることができ、2日以上であってもよく、3日以上であってもよく、4日以上であってもよく、5日以上であってもよく、6日以上であってもよく、7日以上であってもよい。
このように、本製造方法は、熱伝導シートの表面を剥離フィルム2の間に配置した熱伝導シートの供給形態1を所定の時間放置しても、熱伝導シートの供給形態1から剥離フィルム2を剥離した直後の熱伝導シート本体3の表面がタック性を有するため、製造工程の自由度が大きい。
なお、熱伝導シートの供給形態1の製造方法は、上述した例に限定されず、例えば、工程Cと工程Dの間に、スライス面をプレスする工程をさらに有していてもよい。このような工程を有することで、工程Cで得られる熱伝導シートの表面がより平滑化され、他の部材と熱伝導シートとの密着性をより向上させることができる。あるいは、熱伝導シートの供給形態1の製造方法は、例えば、工程Dで熱伝導シートの表面を剥離フィルム2の間に配置した後に、剥離フィルム2で挟持された熱伝導シート本体3をプレスする工程を有してもよい。剥離フィルム2で挟持された熱伝導シート本体3をプレスする場合、熱伝導シート本体3のタック性をより効果的に発現させる観点で、プレス後に、剥離フィルム2で挟持された熱伝導シート本体3を所定の時間放置することが好ましい。プレスの方法としては、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置を使用することができる。また、ピンチロールでプレスしてもよい。プレスの際の圧力としては、例えば、0.1~100MPaの範囲とすることができ、0.1~1MPaの範囲であってもよく、0.1~0.5MPaの範囲であってもよい。プレス時間は、例えば、10秒~5分の範囲とすることができ、30秒~3分の範囲であってもよい。プレスの効果をより高め、プレス時間を短縮するために、プレスは、バインダ樹脂4のガラス転移温度(Tg)以上で行うことが好ましい。例えば、プレス温度は、0~180℃とすることができ、室温(例えば25℃)~100℃の温度範囲内であってもよく、30~100℃であってもよい。
次に、熱伝導シートの供給形態1の使用方法について説明する。まず、熱伝導シートの供給形態1から、剥離フィルム2を剥離する。このように、熱伝導シートの供給形態1から剥離フィルム2を剥離すると、熱伝導シート本体3の成分の一部(バインダ樹脂4、形状異方性を有する熱伝導材料5および他の熱伝導材料6の少なくとも1種)の一部が、剥離フィルム2に転着する。このように、熱伝導シートの供給形態1から剥離フィルム2を剥離した直後の熱伝導シート本体3の表面はタック性を有するため、熱伝導シート本体3の実装時の位置ずれを抑制できる。
[第2の実施の形態]
本技術の第2の実施の形態は、例えば図2,4に示すように、バインダ樹脂4と、鱗片状の窒化ホウ素5Aとを含む熱伝導シート本体3Aであって、鱗片状の窒化ホウ素5Aが熱伝導シート本体3Aの厚み方向Bに配向しており、熱伝導シート本体3Aの両面がタック性を有する。換言すると、熱伝導シート本体3Aは、鱗片状の窒化ホウ素5Aの面方向(例えば窒化ホウ素5Aの長軸a)が、熱伝導シート本体3Aの厚み方向Bに配向していてもよい。このように、熱伝導シート本体3Aは、両面がタック性を有するため、熱伝導シート本体3Aの実装時の位置ずれを抑制できる。なお、第2の実施の形態では、熱伝導シート本体3Aの両面がタック性を有することを前提にしたが、この例に限定されず、熱伝導シート本体3Aの片面だけがタック性を有していてもよい。
熱伝導シート本体3Aは、上述した熱伝導シートの供給形態1の製造方法の工程Aで、バインダ樹脂4と鱗片状の窒化ホウ素5Aとを含む熱伝導組成物を用いること以外は、熱伝導シートの供給形態1の製造方法と同様の方法で作製できる。すなわち、熱伝導シート本体3Aは、バインダ樹脂4と、鱗片状の窒化ホウ素5Aとを含む熱伝導組成物を調製する工程A1と、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程B1と、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シートを得る工程C1と、熱伝導シートの表面を剥離フィルム7の間に配置する工程D1とを有する製造方法により得ることができる。このように、熱伝導シート本体3Aは、剥離フィルム7で挟持されている。
剥離フィルム7で挟持された熱伝導シート本体3Aから剥離フィルム7を剥離すると、熱伝導シート本体3Aの成分(バインダ樹脂4および鱗片状の窒化ホウ素5Aの少なくとも1種)の一部が剥離フィルム7に転着する。このことは、熱伝導シート本体3Aの両面がタック性を有することを意味する。
熱伝導シート本体3Aは、剥離フィルム7を剥がした直後に、直径5.1mmのプローブにより熱伝導シート本体3Aを2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引き剥がした際の表面のタック力が20gf以上であることが好ましく、75gf以上であることがより好ましく、80gf以上であることがさらに好ましい。
熱伝導シート本体3Aの比重の好ましい範囲は、上述した熱伝導シート本体3と同様である。
<電子機器>
上述した熱伝導シートの供給形態1から剥離フィルム2が剥離された熱伝導シート本体3は、例えば、発熱体と放熱体との間に配置させることにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(サーマルデバイス)とすることができる。電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導シート本体3とを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。以下の説明では、熱伝導シート本体3には、熱伝導シート本体3Aも含まれるものとする。
発熱体としては、特に限定されず、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの集積回路素子、トランジスタ、抵抗器など、電気回路において発熱する電子部品等が挙げられる。また、発熱体には、通信機器における光トランシーバ等の光信号を受信する部品も含まれる。
放熱体としては、特に限定されず、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダなど、集積回路素子やトランジスタ、光トランシーバ筐体などと組み合わされて用いられるものが挙げられる。放熱体としては、ヒートスプレッダやヒートシンク以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等が挙げられる。
図5は、本技術に係る熱伝導シート本体を適用した半導体装置の一例を示す断面図である。例えば、熱伝導シート本体3は、図5に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、発熱体と放熱体との間に挟持される。図5に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導シート本体3とを備え、熱伝導シート本体3がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。熱伝導シート本体3が、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。熱伝導シート本体3の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間や、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に限らず、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できる。
以下、本技術の実施例について説明する。本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、シリコーン樹脂33体積%と、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素(D50が40μm)27体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.2μm)20体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)19体積%と、シランカップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導シート形成用の樹脂組成物を調製した。押出成形法により、熱伝導シート形成用の樹脂組成物を、直方体状の内部空間を有する金型(開口部:50mm×50mm)中に流し込み、60℃のオーブンで4時間加熱させて成形体ブロックを形成した。なお、金型の内面には、剥離処理面が内側となるように剥離PETフィルムを貼り付けておいた。得られた成形体ブロックをスライサーで1mm厚のシート状にスライスすることにより、鱗片状の窒化ホウ素がシートの厚み方向に配向した熱伝導シートを得た。得られた熱伝導シートを、剥離処理したPETフィルムに挟んで熱伝導シートの供給形態を得た。この熱伝導シートの供給形態を1週間(7日)放置した。
<実施例2>
実施例2では、シリコーン樹脂37体積%と、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素(D50が40μm)23体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.5μm)20体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)17体積%と、水酸化アルミニウム(D50が8μm)1体積%と、シランカップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導シート形成用の樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導シートを得た。得られた熱伝導シートを剥離処理したPETフィルムの間に挟んで熱伝導シートの供給形態を得た。この熱伝導シートの供給形態を1週間(7日)放置した。
<比較例1>
比較例1では、実施例1と同様の方法で得られた熱伝導シートを、剥離処理したPETフィルムの間に挟まずに7日間放置した。
<比較例2>
比較例2では、シリコーン樹脂37体積%と、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素(D50が40μm)23体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.5μm)20体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)19体積%と、シランカップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導シート形成用の樹脂組成物を調製した。この熱伝導シート形成用の樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で熱伝導シートを得た。剥離処理したPETフィルムの間に挟まずに7日間放置した。
<熱伝導率>
実施例1,2で得られた熱伝導シートの供給形態から剥離処理したPETフィルムを剥がした熱伝導シート本体と、比較例1,2で得られた熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率(W/m・K)をそれぞれ測定した。具体的には、ASTM-D5470に準拠した熱抵抗測定装置を用いて、荷重1kgf/cmをかけて、作製直後および作製後7日放置後の熱伝導シート本体または熱伝導シートの熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
<比重>
実施例1,2で得られた熱伝導シート本体と、比較例1,2で得られた熱伝導シートについて、縦、横の長さと厚みから求めた体積と熱伝導シート本体または熱伝導シートの重量を測定することにより比重を求めた。結果を表1に示す。
<スライス後の熱伝導シート>
表1中の「スライス後の熱伝導シート」の欄において「PETの間に挟む」とは、得られた熱伝導シートを剥離処理したPETフィルムの間に挟んだ場合(実施例1,2)を表す。また、「PETの間に挟まない」とは、得られた熱伝導シートを剥離処理したPETフィルムの間に挟まなかった場合(比較例1,2)を表す。
<アルミ板への固定>
図6は、熱伝導シート本体をアルミ板の上に載せ、90°ずらしたときに、アルミ板がずり落ちるかどうかの評価方法を説明するための図である。例えば、実施例1,2では、図6(A)に示すように、水平に置いたアルミ板8の上に熱伝導シート本体3(3A)を載せた後、図6(B)に示すように、熱伝導シート本体3(3A)を保持しながらアルミ板8を90°傾けたときに、アルミ板8がずり落ちるかどうかを評価した。結果を表1に示す。表1中、「置くだけで固定」とはアルミ板8がずり落ちなかったことを表し、「固定されない」とはアルミ板8がずり落ちたことを表す。なお、実施例1,2では、得られた熱伝導シートの供給形態を7日放置した後に剥離処理したPETフィルムを剥がした熱伝導シート本体を使用した。比較例1,2では、得られた熱伝導シートを剥離処理したPETフィルムの間に挟まずに7日間放置したものを使用した。
<シートを剥がした後の転着>
実施例1,2で得られた直後の熱伝導シートの供給形態を0.5MPaで30秒プレス処理し、この熱伝導シートの供給形態から、剥離処理したPETフィルムを剥がした際に、このPETフィルムに、熱伝導シート本体の跡(白色)が付着したかどうかを目視で確認した。また、比較例1,2では、得られた直後の熱伝導シートを剥離処理したPETフィルムの間に挟んで0.5MPaで30秒プレス処理した後、剥離処理したPETフィルムを剥がした際に、このPETフィルムに、熱伝導シートの跡(白色)が付着したかどうかを目視で確認した。結果を表1に示す。
<シート化直後のタック力>
実施例1,2で得られた直後の熱伝導シートの供給形態を0.5MPaで30秒プレス処理し、この熱伝導シートの供給形態から剥離処理したPETフィルムを剥がした直後(3分以内)に、直径5.1mmのプローブにより熱伝導シート本体を2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引き抜いた際の熱伝導シート本体の表面のタック力(gf)を求めた。また、比較例1,2で得られた直後の熱伝導シートについても、剥離処理したPETフィルムの間に挟んで0.5MPaで30秒プレス処理した後、剥離処理したPETフィルムを剥がした直後(3分以内)に、直径5.1mmのプローブにより2mm/秒で熱伝導シートを50μm押し込み、10mm/秒で引き剥がした際の熱伝導シート表面のタック力(gf)を求めた。結果を表1に示す。
<7日放置後のタック力>
実施例1,2で得られた直後の熱伝導シートの供給形態を0.5MPaで30秒プレス処理して7日放置した後、この熱伝導シートの供給形態から剥離処理したPETフィルムを剥がした直後(3分以内)に、直径5.1mmのプローブにより熱伝導シート本体を2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引き抜いた際の熱伝導シート本体の表面のタック力(gf)を求めた。比較例1,2では、得られた直後の熱伝導シートを、剥離処理したPETフィルムの間に挟んで0.5MPaで30秒プレス処理した後、剥離処理したPETフィルムを剥がして7日放置した後、実施例1,2と同様に熱伝導シートの表面のタック力(gf)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0007057845000002
実施例1,2では、剥離フィルムに挟持された熱伝導シートの供給形態としたため、剥離フィルムを熱伝導シートから剥離した直後の熱伝導シート本体の表面がタック性を有していることが分かった。また、実施例1,2における熱伝導シートの供給形態は、剥離フィルムを熱伝導シート本体から剥離した直後の熱伝導シート本体の表面がタック性を有していたため、アルミ板の上に熱伝導シート本体を置いたときに固定されることが分かった。このことから、実施例1,2における熱伝導シートの供給形態は、熱伝導シート本体の実装時の位置ずれを抑制できることが示唆された。
一方、比較例1,2では、剥離フィルムで挟持しない熱伝導シートを用いたため、実施例1,2の熱伝導シートの供給形態と比べると、熱伝導シートの表面がタック性を有していないことが分かった。また、比較例1,2における熱伝導シートは、アルミ板の上に熱伝導シートを置いたときに固定されないことが分かった。このことから、比較例1,2における熱伝導シートは、熱伝導シートの実装時の位置ずれを抑制するのが困難であることが示唆された。
1 熱伝導シートの供給形態、2 剥離フィルム、3,3A 熱伝導シート本体、4 バインダ樹脂、5 形状異方性を有する熱伝導材料、5A 鱗片状の窒化ホウ素、a 長軸、b 厚み、c 短軸、6 他の熱伝導材料、7 剥離フィルム、8 アルミ板、50 半導体装置、51 電子部品、52 ヒートスプレッダ、53 ヒートシンク

Claims (16)

  1. 剥離フィルムに熱伝導シート本体が挟持された熱伝導シートの供給形態であって、
    上記熱伝導シート本体が、バインダ樹脂と、形状異方性を有する熱伝導材料を含み、
    上記形状異方性を有する熱伝導材料の長軸が、上記熱伝導シート本体の厚み方向に配向しており、
    上記バインダ樹脂がシリコーン樹脂であり、
    上記形状異方性を有する熱伝導材料が鱗片状の窒化ホウ素または炭素繊維であり、
    上記剥離フィルムを上記熱伝導シート本体から剥離した直後の上記熱伝導シート本体のタック力が、下記の測定方法において75gf以上である、熱伝導シートの供給形態。
    測定方法:上記熱伝導シート本体から上記剥離フィルムを剥がした直後に、直径5.1mmのプローブにより上記熱伝導シート本体を2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引きぬく。
  2. 上記剥離フィルムに挟持された上記熱伝導シート本体の上記測定方法で測定されたタック力が、上記剥離フィルムに挟持されていない熱伝導シートの上記測定方法で測定されたタック力と比較して増加する、請求項1に記載の熱伝導シートの供給形態。
  3. 上記形状異方性を有する熱伝導材料が鱗片状の窒化ホウ素である、請求項1または2に記載の熱伝導シートの供給形態。
  4. 上記剥離フィルムを剥離した直後の上記熱伝導シート本体のタック力が、上記測定方法において80gf以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
  5. 上記剥離フィルムを上記熱伝導シート本体から剥離した際に、上記熱伝導シート本体の成分の一部が、上記剥離フィルムに転着する、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
  6. 上記熱伝導シート本体が、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛および水酸化アルミニウムの少なくとも1種をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
  7. 上記剥離フィルムが、1枚の上記熱伝導シート本体の両面に設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態から剥離フィルムが剥離された、熱伝導シート本体。
  9. 請求項8に記載の熱伝導シート本体を備える、電子機器。
  10. 剥離フィルムに熱伝導シート本体が挟持された熱伝導シートの供給形態の製造方法であって、
    バインダ樹脂と、形状異方性を有する熱伝導材料とを含む、熱伝導組成物を調製する工程と、
    上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程と、
    上記成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シートを得る工程と、
    上記熱伝導シートの表面を上記剥離フィルムの間に配置する工程とを有し、
    上記バインダ樹脂がシリコーン樹脂であり、
    上記形状異方性を有する熱伝導材料が鱗片状の窒化ホウ素であり、
    上記剥離フィルムを剥離した直後の上記熱伝導シート本体のタック力が、下記の測定方法において75gf以上である、熱伝導シートの供給形態の製造方法。
    測定方法:上記熱伝導シート本体から上記剥離フィルムを剥がした直後に、直径5.1mmのプローブにより上記熱伝導シート本体を2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引きぬく。
  11. バインダ樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素とを含み、
    上記鱗片状の窒化ホウ素が厚み方向に配向している熱伝導シート本体であって、
    上記バインダ樹脂がシリコーン樹脂であり、
    直径5.1mmのプローブにより当該熱伝導シート本体を2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引き剥がした際の当該熱伝導シート本体表面のタック力が75gf以上である、熱伝導シート本体。
  12. 直径5.1mmのプローブにより当該熱伝導シート本体を2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引き剥がした際の当該熱伝導シート本体表面のタック力が80gf以上である、請求項11に記載の熱伝導シート本体。
  13. 請求項11または12に記載の熱伝導シート本体が剥離フィルムで挟持された、熱伝導シートの供給形態。
  14. 上記熱伝導シート本体から上記剥離フィルムを剥がした際に、上記熱伝導シート本体を構成する上記バインダ樹脂および上記鱗片状の窒化ホウ素の少なくとも1種の一部が上記剥離フィルムに転着する、請求項13に記載の熱伝導シートの供給形態。
  15. アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムの少なくとも1種をさらに含む、請求項11または12に記載の熱伝導シート本体。
  16. 発熱体と放熱体との間に、請求項11または12に記載の熱伝導シート本体を備える、電子機器。
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