以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[ファブリペロー干渉フィルタ及びダミーフィルタの構成]
一実施形態の異物除去方法及び光検出装置の製造方法の説明に先立って、ウェハから切り出されたファブリペロー干渉フィルタ及びダミーフィルタの構成について説明する。
図1、図2及び図3に示されるように、ファブリペロー干渉フィルタ1は、基板11を備えている。基板11は、互いに対向する第1表面11a及び第2表面11bを有している。第1表面11aには、反射防止層21、第1積層体22、中間層23及び第2積層体24が、この順序で積層されている。第1積層体22と第2積層体24との間には、枠状の中間層23によって空隙(エアギャップ)Sが画定されている。
第1表面11aに垂直な方向から見た場合(平面視)における各部の形状及び位置関係は、次の通りである。基板11の外縁は、例えば矩形状である。基板11の外縁及び第2積層体24の外縁は、互いに一致している。反射防止層21の外縁、第1積層体22の外縁及び中間層23の外縁は、互いに一致している。基板11は、中間層23の外縁よりも空隙Sの中心に対して外側に位置する外縁部11cを有している。外縁部11cは、例えば、枠状であり、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に中間層23を囲んでいる。空隙Sは、例えば円形状である。
ファブリペロー干渉フィルタ1は、その中央部に画定された光透過領域1aにおいて、所定の波長を有する光を透過させる。光透過領域1aは、例えば円柱状の領域である。基板11は、例えば、シリコン、石英又はガラス等からなる。基板11がシリコンからなる場合には、反射防止層21及び中間層23は、例えば、酸化シリコンからなる。中間層23の厚さは、例えば、数十nm~数十μmである。
第1積層体22のうち光透過領域1aに対応する部分は、第1ミラー部31として機能する。第1ミラー部31は、固定ミラーである。第1ミラー部31は、反射防止層21を介して第1表面11aに配置されている。第1積層体22は、複数のポリシリコン層25と複数の窒化シリコン層26とが一層ずつ交互に積層されることで構成されている。ファブリペロー干渉フィルタ1では、ポリシリコン層25a、窒化シリコン層26a、ポリシリコン層25b、窒化シリコン層26b及びポリシリコン層25cが、この順で反射防止層21上に積層されている。第1ミラー部31を構成するポリシリコン層25及び窒化シリコン層26のそれぞれの光学厚さは、中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。なお、第1ミラー部31は、反射防止層21を介することなく第1表面11a上に直接に配置されてもよい。
第2積層体24のうち光透過領域1aに対応する部分は、第2ミラー部32として機能する。第2ミラー部32は、可動ミラーである。第2ミラー部32は、第1ミラー部31に対して基板11とは反対側において空隙Sを介して第1ミラー部31と対向している。第1ミラー部31と第2ミラー部32とが互いに対向する方向は、第1表面11aに垂直な方向に平行である。第2積層体24は、反射防止層21、第1積層体22及び中間層23を介して第1表面11aに配置されている。第2積層体24は、複数のポリシリコン層27と複数の窒化シリコン層28とが一層ずつ交互に積層されることで構成されている。ファブリペロー干渉フィルタ1では、ポリシリコン層27a、窒化シリコン層28a、ポリシリコン層27b、窒化シリコン層28b及びポリシリコン層27cが、この順で中間層23上に積層されている。第2ミラー部32を構成するポリシリコン層27及び窒化シリコン層28のそれぞれの光学厚さは、中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。
なお、第1積層体22及び第2積層体24では、窒化シリコン層の代わりに酸化シリコン層が用いられてもよい。また、第1積層体22及び第2積層体24を構成する各層の材料としては、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、フッ化カルシウム、シリコン、ゲルマニウム、硫化亜鉛等が用いられてもよい。また、ここでは、第1ミラー部31の空隙S側の表面(ポリシリコン層25cの表面)と、第2ミラー部32の空隙S側の表面(ポリシリコン層27aの表面)とは、空隙Sを介して直接的に対向している。ただし、第1ミラー部31の空隙S側の表面、及び、第2ミラー部32の空隙S側の表面に、(ミラーを構成しない)電極層、保護層等が形成されていてもよい。この場合、第1ミラー部31と第2ミラー部32とは、それらの層を間に介在させた状態において、空隙Sを介して互いに対向することになる。換言すれば、このような場合であっても、第1ミラー部31と第2ミラー部32との空隙Sを介した対向は実現され得る。
第2積層体24において空隙Sに対応する部分(第1表面11aに垂直な方向から見た場合に空隙Sと重なる部分)には、複数の貫通孔24bが形成されている。各貫通孔24bは、第2積層体24の中間層23とは反対側の表面24aから空隙Sに至っている。複数の貫通孔24bは、第2ミラー部32の機能に実質的に影響を与えない程度に形成されている。複数の貫通孔24bは、エッチングによって中間層23の一部を除去して空隙Sを形成するために用いられる。
第2積層体24は、第2ミラー部32に加えて、被覆部33と、周縁部34と、を更に有している。第2ミラー部32、被覆部33及び周縁部34は、互いに同じ積層構造の一部を有し且つ互いに連続するように、一体的に形成されている。被覆部33は、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に第2ミラー部32を囲んでいる。被覆部33は、中間層23の基板11とは反対側の表面23a、並びに、中間層23の側面23b(外側の側面、つまり、空隙S側とは反対側の側面)、第1積層体22の側面22a及び反射防止層21の側面21aを被覆しており、第1表面11aに至っている。すなわち、被覆部33は、中間層23の外縁、第1積層体22の外縁及び反射防止層21の外縁を被覆している。
周縁部34は、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に被覆部33を囲んでいる。周縁部34は、外縁部11cにおける第1表面11a上に位置している。周縁部34の外縁は、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に基板11の外縁と一致している。周縁部34は、外縁部11cの外縁に沿って薄化されている。すなわち、周縁部34のうち外縁部11cの外縁に沿う部分は、周縁部34のうち外縁に沿う部分を除く他の部分と比べて薄くなっている。ファブリペロー干渉フィルタ1では、周縁部34は、第2積層体24を構成するポリシリコン層27及び窒化シリコン層28の一部が除去されていることで薄化されている。周縁部34は、被覆部33に連続する非薄化部34aと、非薄化部34aを囲む薄化部34bと、を有している。薄化部34bにおいては、第1表面11a上に直接に設けられたポリシリコン層27a以外のポリシリコン層27及び窒化シリコン層28が除去されている。
第1表面11aから非薄化部34aの基板11とは反対側の表面34cまでの高さは、第1表面11aから中間層23の表面23aまでの高さよりも低い。第1表面11aから非薄化部34aの表面34cまでの高さは、例えば100nm~5000nmである。第1表面11aから中間層23の表面23aまでの高さは、例えば500nm~20000nmである。薄化部34bの幅(第1表面11aに垂直な方向から見た場合における非薄化部34aの外縁と外縁部11cの外縁との間の距離)は、基板11の厚さの0.01倍以上である。薄化部34bの幅は、例えば5μm~400μmである。基板11の厚さは、例えば500μm~800μmである。
第1ミラー部31には、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に光透過領域1aを囲むように第1電極12が形成されている。第1電極12は、ポリシリコン層25cに不純物をドープして低抵抗化することで形成されている。第1ミラー部31には、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に光透過領域1aを含むように第2電極13が形成されている。第2電極13は、ポリシリコン層25cに不純物をドープして低抵抗化することで形成されている。第1表面11aに垂直な方向から見た場合に、第2電極13の大きさは、光透過領域1aの全体を含む大きさであることが好ましいが、光透過領域1aの大きさと略同一であってもよい。
第2ミラー部32には、第3電極14が形成されている。第3電極14は、空隙Sを介して第1電極12及び第2電極13と対向している。第3電極14は、ポリシリコン層27aに不純物をドープして低抵抗化することで形成されている。
一対の端子15は、光透過領域1aを挟んで対向するように設けられている。各端子15は、第2積層体24の表面24aから第1積層体22に至る貫通孔内に配置されている。各端子15は、配線12aを介して第1電極12と電気的に接続されている。各端子15は、例えば、アルミニウム又はその合金等の金属膜によって形成されている。
一対の端子16は、光透過領域1aを挟んで対向するように設けられている。各端子16は、第2積層体24の表面24aから第1積層体22に至る貫通孔内に配置されている。各端子16は、配線13aを介して第2電極13と電気的に接続されていると共に、配線14aを介して第3電極14と電気的に接続されている。端子16は、例えば、アルミニウム又はその合金等の金属膜によって形成されている。一対の端子15が対向する方向と一対の端子16が対向する方向とは、直交している(図1参照)。
第1積層体22の表面22bには、複数のトレンチ17,18が設けられている。トレンチ17は、配線13aにおける端子16との接続部分を囲むように環状に延在している。トレンチ17は、第1電極12と配線13aとを電気的に絶縁している。トレンチ18は、第1電極12の内縁に沿って環状に延在している。トレンチ18は、第1電極12と第1電極12の内側の領域(第2電極13)とを電気的に絶縁している。各トレンチ17,18内の領域は、絶縁材料であっても、空隙であってもよい。
第2積層体24の表面24aには、トレンチ19が設けられている。トレンチ19は、端子15を囲むように環状に延在している。トレンチ19は、端子15と第3電極14とを電気的に絶縁している。トレンチ19内の領域は、絶縁材料であっても、空隙であってもよい。
基板11の第2表面11bには、反射防止層41、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44が、この順序で積層されている。反射防止層41及び中間層43は、それぞれ、反射防止層21及び中間層23と同様の構成を有している。第3積層体42及び第4積層体44は、それぞれ、基板11を基準として第1積層体22及び第2積層体24と対称の積層構造を有している。反射防止層41、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44は、基板11の反りを抑制する機能を有している。
第3積層体42、中間層43及び第4積層体44は、外縁部11cの外縁に沿って薄化されている。すなわち、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44のうち外縁部11cの外縁に沿う部分は、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44のうち外縁に沿う部分を除く他の部分と比べて薄くなっている。ファブリペロー干渉フィルタ1では、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44は、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に薄化部34bと重なる部分において第3積層体42、中間層43及び第4積層体44の全部が除去されていることで薄化されている。
第3積層体42、中間層43及び第4積層体44には、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に光透過領域1aを含むように開口40aが設けられている。開口40aは、光透過領域1aの大きさと略同一の径を有している。開口40aは、光出射側に開口している。開口40aの底面は、反射防止層41に至っている。
第4積層体44の光出射側の表面には、遮光層45が形成されている。遮光層45は、例えばアルミニウム等からなる。遮光層45の表面及び開口40aの内面には、保護層46が形成されている。保護層46は、第3積層体42、中間層43、第4積層体44及び遮光層45の外縁を被覆すると共に、外縁部11c上の反射防止層41を被覆している。保護層46は、例えば酸化アルミニウムからなる。なお、保護層46の厚さを1~100nm(好ましくは、30nm程度)にすることで、保護層46による光学的な影響を無視することができる。
以上のように構成されたファブリペロー干渉フィルタ1においては、一対の端子15,16を介して第1電極12と第3電極14との間に電圧が印加されると、当該電圧に応じた静電気力が第1電極12と第3電極14との間に発生する。当該静電気力によって、第2ミラー部32が、基板11に固定された第1ミラー部31側に引き付けられ、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離が調整される。このように、ファブリペロー干渉フィルタ1では、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離が静電気力によって変化する。
ファブリペロー干渉フィルタ1を透過する光の波長は、光透過領域1aにおける第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離に依存する。したがって、第1電極12と第3電極14との間に印加する電圧を調整することで、透過する光の波長を適宜選択することができる。このとき、第2電極13は、第3電極14と同電位である。したがって、第2電極13は、光透過領域1aにおいて第1ミラー部31及び第2ミラー部32を平坦に保つための補償電極として機能する。
ファブリペロー干渉フィルタ1では、例えば、ファブリペロー干渉フィルタ1に印加する電圧を変化させながら(すなわち、ファブリペロー干渉フィルタ1において第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離を変化させながら)、ファブリペロー干渉フィルタ1の光透過領域1aを透過した光を光検出器によって検出することで、分光スペクトルを得ることができる。
図4に示されるように、ダミーフィルタ2は、第2積層体24に複数の貫通孔24bが形成されていない点、及び中間層23に空隙Sが形成されていない点で、上述したファブリペロー干渉フィルタ1と相違している。ダミーフィルタ2では、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間に中間層23が設けられている。つまり、第2ミラー部32は、空隙S上に浮いておらず、中間層23の表面23aに配置されている。
[ウェハの構成]
次に、一実施形態のウェハの構成について説明する。図5及び図6に示されるように、ウェハ100は、基板層110を備えている。基板層110は、例えば、円板状の形状を呈しており、その一部にオリエンテーションフラットOFが形成されている。基板層110は、例えば、シリコン、石英又はガラス等からなる。以下、基板層110の厚さ方向から見た場合に基板層110の中心を通り且つオリエンテーションフラットOFに平行な仮想直線を第1直線3といい、基板層110の厚さ方向から見た場合に基板層110の中心を通り且つオリエンテーションフラットOFに垂直な仮想直線を第2直線4という。
ウェハ100には、有効エリア101及びダミーエリア102が設けられている。ダミーエリア102は、基板層110の外縁110c(すなわち、ウェハ100の外縁100a)に沿ったエリアである。有効エリア101は、ダミーエリア102の内側のエリアである。ダミーエリア102は、基板層110の厚さ方向から見た場合に有効エリア101を囲んでいる。ダミーエリア102は、有効エリア101に隣接している。
有効エリア101には、二次元に配置された複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aが設けられている。複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aは、有効エリア101の全体に設けられている。ダミーエリア102には、二次元に配置された複数のダミーフィルタ部2Aが設けられている。複数のダミーフィルタ部2Aは、ダミーエリア102のうち一対のエリア102aを除くエリアに設けられている。一方のエリア102aは、オリエンテーションフラットOFに沿ったエリアである。他方のエリア102aは、基板層110の外縁110cのうちオリエンテーションフラットOFとは反対側の部分に沿ったエリアである。有効エリア101とダミーエリア102との境界部分において、ファブリペロー干渉フィルタ部1Aとダミーフィルタ部2Aとは、隣接している。基板層110の厚さ方向から見た場合に、ファブリペロー干渉フィルタ部1Aの外形とダミーフィルタ部2Aの外形とは、同一である。複数のファブリペロー干渉フィルタ部1A及び複数のダミーフィルタ部2Aは、互いに直交する第1直線3及び第2直線4のそれぞれについて対称となるように、配置されている。なお、複数のダミーフィルタ部2Aは、ダミーエリア102の全体に設けられていてもよい。また、複数のダミーフィルタ部2Aは、ダミーエリア102のうちいずれか一方のエリア102aを除くエリアに設けられていてもよい。
複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aは、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数のファブリペロー干渉フィルタ1になる予定の部分である。複数のダミーフィルタ部2Aは、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数のダミーフィルタ2になる予定の部分である。基板層110の厚さ方向から見た場合に、複数のライン5は、オリエンテーションフラットOFに平行な方向に沿うように延在しており、複数のライン5は、オリエンテーションフラットOFに垂直な方向に沿うように延在している。一例として、基板層110の厚さ方向から見た場合に各フィルタ部1A,2Aが矩形状を呈するときには、各フィルタ部1A,2Aは、二次元マトリックス状に配置され、複数のライン5は、隣り合うフィルタ部1A,1A間、隣り合うフィルタ部1A,2A間、及び隣り合うフィルタ部2A,2A間を通るように格子状に設定される。
図7の(a)は、ファブリペロー干渉フィルタ部1Aの断面図であり、図7の(b)は、ダミーフィルタ部2Aの断面図である。図7の(a)及び(b)に示されるように、基板層110は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の基板11になる予定の層である。基板層110は、互いに対向する第1表面110a及び第2表面110bを有している。基板層110の第1表面110aには、反射防止層210が設けられている。反射防止層210は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の反射防止層21になる予定の層である。基板層110の第2表面110bには、反射防止層410が設けられている。反射防止層410は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の反射防止層41になる予定の層である。
反射防止層210上には、デバイス層200が設けられている。デバイス層200は、第1ミラー層220と、中間層230と、第2ミラー層240と、を有している。第1ミラー層220は、複数の第1ミラー部31を有する層であって、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の第1積層体22になる予定の層である。複数の第1ミラー部31は、反射防止層210を介して基板層110の第1表面110aに二次元に配置されている。中間層230は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の中間層23になる予定の層である。第2ミラー層240は、複数の第2ミラー部32を有する層であって、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の第2積層体24になる予定の層である。複数の第2ミラー部32は、中間層23を介して第1ミラー層220上に二次元に配置されている。
反射防止層410上には、応力調整層400が設けられている。つまり、応力調整層400は、反射防止層410を介して基板層110の第2表面110bに設けられている。応力調整層400は、複数の層420,430,440を有している。層420は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の第3積層体42になる予定の層である。層430は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の中間層43になる予定の層である。層440は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の第4積層体44になる予定の層である。
応力調整層400上には、遮光層450及び保護層460が設けられている。遮光層450は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の遮光層45になる予定の層である。保護層460は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、複数の保護層46になる予定の層である。
図7の(a)に示されるように、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aでは、互いに対向する第1ミラー層220の少なくとも第1ミラー部31を含む部分と第2ミラー層240の少なくとも第2ミラー部32を含む部分との間に空隙Sが形成されている。つまり、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aでは、中間層23が空隙Sを画定しており、第2ミラー部32が空隙S上に浮いている。図1に示されるように、本実施形態では、第1ミラー部31と第2ミラー部32とが互いに対向する方向(以下、単に「対向方向」という)から見た場合に、空隙Sは、光透過領域1aよりも一回り大きい円形領域に形成されている。各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aには、上述したファブリペロー干渉フィルタ1の構成と同様に、第1電極12、第2電極13、第3電極14、複数の端子15,16、及び開口40a等に関する構成が設けられている。したがって、複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aがウェハ100の状態のままであっても、一対の端子15,16を介して各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aに電圧が印加されると、互いに対向する第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離が静電気力によって変化する。
図7の(b)に示されるように、各ダミーフィルタ部2Aでは、互いに対向する第1ミラー部31と第2ミラー部32との間に中間層23が設けられる。つまり、ダミーフィルタ部2Aでは、中間層23が空隙Sを画定しておらず、第2ミラー部32が中間層23の表面23aに配置されている。したがって、各ダミーフィルタ部2Aには、上述したダミーフィルタ2の構成と同様に、第1電極12、第2電極13、第3電極14、複数の端子15,16、及び開口40a等に関する構成が設けられているものの、互いに対向する第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離は変化しない。なお、各ダミーフィルタ部2Aには、第1電極12、第2電極13、第3電極14、複数の端子15,16(各端子15,16を構成するアルミニウム等の金属膜、各端子15,16を配置するための貫通孔等)、及び開口40a等に関する構成が設けられていなくてもよい。
図6及び図7の(a)に示されるように、デバイス層200には、基板層110とは反対側に開口する第1溝290が形成されている。第1溝290は、各ライン5に沿って形成されている。第1溝290は、各ファブリペロー干渉フィルタ部1A及び各ダミーフィルタ部2Aにおいて、第1ミラー部31、中間層23及び第2ミラー部32を囲んでいる。各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aにおいて、第1ミラー部31、中間層23及び第2ミラー部32は、環状に連続する第1溝290によって囲まれている。同様に、各ダミーフィルタ部2Aにおいて、第1ミラー部31、中間層23及び第2ミラー部32は、環状に連続する第1溝290によって囲まれている。隣り合うフィルタ部1A,1A、隣り合うフィルタ部1A,2A、及び隣り合うフィルタ部2A,2Aに着目すると、第1溝290は、一方のフィルタ部の周縁部34及び他方のフィルタ部の周縁部34上の領域に対応している。第1溝290は、有効エリア101及びダミーエリア102において繋がっており、対向方向から見た場合に基板層110の外縁110cに至っている。なお、第1溝290は、各ファブリペロー干渉フィルタ部1A及び各ダミーフィルタ部2Aにおいて、少なくとも第2ミラー部32を囲んでいればよい。
図7の(b)に示されるように、応力調整層400には、基板層110とは反対側に開口する第2溝470が形成されている。第2溝470は、各ライン5に沿って形成されている。つまり、第2溝470は、第1溝290に対応するように形成されている。ここで、第2溝470が第1溝290に対応するとは、対向方向から見た場合に第2溝470が第1溝290と重なること意味する。したがって、第2溝470は、有効エリア101及びダミーエリア102において繋がっており、対向方向から見た場合に基板層110の外縁110cに至っている。
[ウェハの製造方法]
次に、ウェハ100の製造方法について、図8~図13を参照して説明する。図8~図13において、(a)は、ファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対応する部分の断面図であり、(b)は、ダミーフィルタ部2Aに対応する部分の断面図である。
まず、図8に示されるように、基板層110の第1表面110aに反射防止層210を形成すると共に、基板層110の第2表面110bに反射防止層410を形成する。続いて、各反射防止層210,410上に、複数のポリシリコン層及び複数の窒化シリコン層を交互に積層することで、反射防止層210上に第1ミラー層220を形成すると共に、反射防止層410上に層420を形成する。
第1ミラー層220を形成する際には、エッチングによって、反射防止層210の表面が露出するように、第1ミラー層220のうち各ライン5に沿った部分を除去する。また、不純物ドープによって、第1ミラー層220における所定のポリシリコン層を部分的に低抵抗化することで、基板11に対応する部分ごとに、第1電極12、第2電極13及び配線12a,13aを形成する。更に、エッチングによって、基板11に対応する部分ごとに、第1ミラー層220の表面にトレンチ17,18を形成する。
続いて、図9に示されるように、第1ミラー層220上、及び露出した反射防止層210の表面に、中間層230を形成すると共に、層420上に層430を形成する。各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対応する部分では、中間層230は、空隙S(図3参照)に対応する除去予定部50を含んでいる。続いて、エッチングによって、基板層110の第1表面110aが露出するように、中間層230及び反射防止層210のうち各ライン5に沿った部分を除去する。また、当該エッチングによって、基板11に対応する部分ごとに、中間層230のうち各端子15,16(図3参照)に対応する部分に空隙を形成する。
続いて、図10に示されるように、基板層110の第1表面110a側及び第2表面110b側のそれぞれにおいて、複数のポリシリコン層及び複数の窒化シリコン層を交互に積層することで、中間層230上、及び露出した基板層110の第1表面110aに、第2ミラー層240を形成すると共に、層430上に層440を形成する。
第2ミラー層240を形成する際には、ライン5に沿って互いに対向する中間層230の側面230a、第1ミラー層220の側面220a及び反射防止層210の側面210aを、第2ミラー層240で被覆する。また、不純物ドープによって、第2ミラー層240における所定のポリシリコン層を部分的に低抵抗化することで、基板11に対応する部分ごとに、第3電極14及び配線14aを形成する。
続いて、図11に示されるように、エッチングによって、第2ミラー層240が含むポリシリコン層27a(図3参照)(すなわち、最も第1表面110a側に位置するポリシリコン層)の表面が露出するように、第2ミラー層240のうち各ライン5に沿った部分を薄化する。また、当該エッチングによって、基板11に対応する部分ごとに、第2ミラー層240のうち各端子15,16(図3参照)に対応する部分に空隙を形成する。続いて、基板11に対応する部分ごとに、当該空隙に各端子15,16を形成し、各端子15と配線12aとを接続すると共に、各端子16と配線13a及び配線14aのそれぞれとを接続する。
ここまでで、基板層110の第1表面110aに、反射防止層210及びデバイス層200が形成されると共に、デバイス層200に第1溝290が形成される。第1溝290は、デバイス層200が各ライン5に沿って部分的に薄化された領域である。
続いて、図12の(a)に示されるように、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対応する部分では、エッチングによって、第2積層体24の表面24aから除去予定部50に至る複数の貫通孔24bを第2積層体24に形成する。このとき、図12の(b)に示されるように、各ダミーフィルタ部2Aに対応する部分では、複数の貫通孔24bを第2積層体24に形成しない。続いて、図12に示されるように、層440上に遮光層450を形成する。続いて、エッチングによって、反射防止層410の表面が露出するように、遮光層450及び応力調整層400(すなわち、層420,430,440)のうち各ライン5に沿った部分を除去する。また、当該エッチングによって、基板11に対応する部分ごとに、開口40aを形成する。続いて、遮光層450上、露出した反射防止層410の表面、及び開口40aの内面、第2溝470に臨む応力調整層400の側面に、保護層460を形成する。
ここまでで、基板層110の第2表面110bに、反射防止層410、応力調整層400、遮光層450及び保護層460が形成されると共に、応力調整層400に第2溝470が形成される。第2溝470は、応力調整層400が各ライン5に沿って部分的に薄化された領域である。
続いて、図13の(a)に示されるように、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対応する部分では、複数の貫通孔24bを介したエッチング(例えばフッ酸ガスを用いた気相エッチング)によって、中間層230から複数の除去予定部50を一斉に除去する。これにより、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対応する部分では、基板11に対応する部分ごとに、空隙Sを形成する。このとき、図13の(b)に示されるように、各ダミーフィルタ部2Aに対応する部分では、複数の貫通孔24bが第2積層体24に形成されていないため、中間層230に空隙Sが形成されない。
以上により、有効エリア101においては、図7の(a)に示されるように、互いに対向する第1ミラー部31と第2ミラー部32との間に空隙Sが形成されることで、複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aが構成される。一方、ダミーエリア102においては、図7の(b)に示されるように、互いに対向する第1ミラー部31と第2ミラー部32との間に中間層23が設けられることで、複数のダミーフィルタ部2Aが構成される。
[検査装置及び異物除去方法]
次に、一実施形態の異物除去方法が実施される検査装置の構成について説明する。図14に示されるように、検査装置500は、ウェハ支持部510と、撮像部520と、ブローノズル530と、電磁弁540と、制御部550と、を備えている。ウェハ支持部510、撮像部520、及びブローノズル530は、箱(図示省略)内に配置されている。ここでは、検査装置500の検査対象は、ウェハ100である。検査装置500は、一例として、ウェハ100(具体的には、ウェハ100の表面)における各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aの外観検査を実施する機能と、外観検査において検出された異物をエアブローによって除去する機能と、を有している。
ウェハ支持部510は、ウェハ100の対向方向(すなわち、第1ミラー部31と第2ミラー部32とが互いに対向する方向)が基準線RLに平行となるように、ウェハ100を支持する。ウェハ支持部510は、例えば、基準線RLに垂直な平面に沿って(少なくとも、当該平面に平行であり且つ互いに直交する2方向のそれぞれに沿って)移動可能に構成されたステージである。なお、ウェハ支持部510は、基準線RLに平行なラインを中心線として回転可能に構成されていてもよい。なお、ウェハ支持部510に対する撮像部520の相対移動は、上記のようにウェハ支持部510の移動によって行われてもよいし、撮像部520の移動によって行われてもよいし、ウェハ支持部510及び撮像部520の両方の移動によって行われてもよい。ウェハ支持部510に対するブローノズル530の相対移動についても同様である。
撮像部520は、ウェハ支持部510によって支持されたウェハ100(具体的には、ウェハ100の表面)を撮像する。撮像部520は、例えば、観察用の光を基準線RLに沿って出射し、ウェハ支持部510によって支持されたウェハ100の表面で反射された光を検出して、撮像データを制御部550に出力するカメラである。撮像部520は、例えば10倍以上の倍率で、ウェハ100における各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aを撮像するように設定される。なお、撮像部520は、基準線RL上に配置されているが、例えば観察用の光の進行方向を変えるミラー部材が基準線RL上に配置されることにより、撮像部520は、基準線RL上とは異なる位置に配置されてもよい。
ブローノズル530は、撮像データに基づく画像処理によって異物Fが検出されたファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対して、電磁弁540から送り込まれた圧縮エアーを吹き付ける(ブローする)装置である。ブローノズル530は、比較的広い範囲を同時にブローすることが可能なエアーガンタイプのノズルであってもよいし、比較的狭い範囲をピンポイントでブローすることが可能なニードルタイプのノズルであってもよい。また、ブローノズル530により噴射されるエアーは、例えば、ドライエアー、静電気を除去可能な除電エアー、及び窒素(N2)等である。
電磁弁540は、図示しない空気タンクに接続されており、制御部550からの制御信号に基づいて、所定の空気圧に圧縮された圧縮エアーのブローノズル530への流通のON/OFFを切り替える。
制御部550は、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信デバイス等を含むコンピュータ装置として構成されている。制御部550では、プロセッサが、メモリ等に読み込まれた所定のソフトウェア(プログラム)を実行し、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込み等を制御することで、各種の機能が実現される。例えば、制御部550は、各部(ウェハ支持部510、撮像部520、ブローノズル530、及び電磁弁540)の動作を制御することで、後述する異物除去方法を実現する。
以上のように構成された検査装置500では、制御部550によって各部の動作が制御されることで、以下のように、異物除去方法が実施される。まず、検査対象であるウェハ100が用意され、ウェハ支持部510によって支持される。このとき、ウェハ100は、対向方向が基準線RLに平行となるようにウェハ支持部510によって支持される。
続いて、ウェハ支持部510によって支持されたウェハ100における複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aのそれぞれの外観検査が実行される。具体的には、撮像部520によって撮像された画像(撮像データ)に基づいて、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aの第2ミラー層240の第1ミラー層220とは反対側の表面(ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで、表面24aになる部分)に付着した異物が検出される。上記の異物検出は、例えば以下のように実行される。まず、ウェハ支持部510によって支持されたウェハ100が撮像部520によって撮像される。撮像部520によって撮像された撮像データは、制御部550に出力される。制御部550は、撮像部520の位置及び撮像データに対する画像処理を実行し、当該画像処理の結果に基づいて、撮像部520によって撮像されたファブリペロー干渉フィルタ部1Aの表面の外観異常(異物)を検出する。制御部550は、例えば、撮像部520によって撮像されたファブリペロー干渉フィルタ部1Aと、予め記憶しているパターン画像(外観異常のないファブリペロー干渉フィルタ部の画像)とを比較することにより、撮像されたファブリペロー干渉フィルタ部1Aの表面に付着した異物を検出する。制御部550は、検出された異物の位置(或いは領域)を示す情報(例えば、座標情報(或いは座標の範囲によって一定の領域を示す情報))を記憶する。
制御部550は、上述のような画像処理(本実施形態では、パターン画像との比較)を実行する代わりに、検査装置500が備えるディスプレイ(不図示)に撮像データを表示し、異物の有無をオペレータに目視で確認させてもよい。目視確認によって異物が発見された場合、オペレータは、例えば、検査装置500が備えるキーボード等の入力装置(不図示)を用いて、撮像データにおける異物に対応する領域を指定する。この場合、制御部550は、オペレータによって指定された領域を示す情報を記憶すればよい。
続いて、制御部550は、検出された異物Fを除去するために、ブローノズル530及び電磁弁540の動作を制御する。
まず、制御部550は、検出された異物Fの位置に基づいて、ブローノズル530の位置を調整する。すなわち、制御部550は、ブローノズル530から排出されるエアーの気流ピークの位置を調整する。気流ピークとは、エアーの流速が最も大きい部分である。本実施形態では、ブローノズル530の先端部530aから、ブローノズル530の延在方向に平行な方向Dに沿ってエアーが排出される。この場合、気流ピークの位置は、ブローノズル530の先端部530aから方向Dに沿った直線上の位置となる。本実施形態では、制御部550は、ブローノズル530から排出されるエアーの気流ピークの位置が、異物Fの位置に合うように調整される。具体的には、制御部550は、ブローノズル530の先端部530aから方向Dに沿った直線上の位置に異物Fが重なるように、ブローノズル530の位置及び姿勢を制御する。
続いて、制御部550は、電磁弁540の開閉動作を制御し、所定の空気圧の圧縮エアーを所定時間ブローノズル530に送り込ませる。これにより、ブローノズル530の先端部530aからエアーが排出され、当該エアーによって異物Fを吹き飛ばすことによって異物Fを除去することができる。
なお、制御部550は、気流ピークの位置をあえて異物Fに重ならない位置に調整してもよい。例えば、異物Fがファブリペロー干渉フィルタ部1Aの第2ミラー層240のうち、対向方向から見て空隙Sと重なる部分(以下、単に「メンブレン部」という)上に存在する場合、制御部550は、メンブレン部上の異物Fが存在しない領域(複数の貫通孔24bが形成された領域)にエアーが吹き付けられるように、ブローノズル530の位置及び姿勢を制御してもよい。この場合、第2ミラー層240の表面に吹き付けられたエアーを、複数の貫通孔24bを介して空隙S内に侵入させることができる。空隙S内に侵入したエアーは、空隙S内に新たに侵入してくるエアーによって押し出されるようにして、空隙S内に新たに侵入してくるエアーが流通する貫通孔24bとは異なる貫通孔24bを介して第2ミラー層240の表面側へと排出される。このようにして空隙Sから外側に排出されるエアーによって、第2ミラー層240の表面に付着した異物Fを吹き上げることができる。
ここで、ブローノズル530が上述したエアーガンタイプのノズルである場合、異物Fの周辺(例えば、異物Fが付着しているファブリペロー干渉フィルタ部1Aの表面)だけでなく、その周辺(異物Fが付着しているファブリペロー干渉フィルタ部1A以外のファブリペロー干渉フィルタ部1Aを含むウェハ100上の領域)についても、同じタイミングでブローすることができる。このため、エアーによって異物Fをウェハ100から比較的遠い位置に吹き飛ばすことができ、ウェハ100上の他のファブリペロー干渉フィルタ部1Aの表面上に異物Fが再付着するおそれを低減できる。
一方、ブローノズル530が上述したニードルタイプのノズルである場合、異物F又は異物Fの周辺(例えば、異物Fが付着しているファブリペロー干渉フィルタ部1Aの表面)だけをピンポイントでブローすることが可能となる。この場合、例えば電磁弁540の動作異常が発生し、ブロー条件が極端に変化してしまう(例えば突発的にエアーが高圧になってしまう)ことがあったとしても、影響範囲を限定的にすることができるため、ウェハ100全体に対する被害を最小限にすることができる。
次に、図15及び図16を参照して、本発明者らが行ったエアブロー前後のファブリペロー干渉フィルタの特性評価の結果について説明する。当該特性評価は、ファブリペロー干渉フィルタのメンブレン部に対して上述したブローノズル530によるエアブローを通常の異物除去に必要な量よりも過剰に行い、エアブロー前後のファブリペロー干渉フィルタの特性を比較することにより行われた。なお、当該特性評価は、ウェハ100が各ライン5に沿って切断されることで得られた個片化されたファブリペロー干渉フィルタ1に対して実施されたが、ウェハ100におけるファブリペロー干渉フィルタ部1Aにエアブローを行う場合も同様の結果が得られると考えられる。
主な測定条件及び実施手順は以下の通りである。
<測定条件>
・ブローノズルのタイプ:ニードルタイプ
・ブローノズルのシリンジ容量:10ml
・ブローノズルから排出されるエアーの圧力:0.5MPa
・ブロー時間:1ms
・ブローノズルの先端(ニードル先端)とファブリペロー干渉フィルタのメンブレン部表面との距離:1cm以下
<実験手順>
1.常温環境下において、サンプル(ファブリペロー干渉フィルタ1)を特性評価用の装置のステージにセットした。
2.エアブロー前の特性(フィルタ制御電圧に対するピーク透過波長、及びピーク透過波長に対する波長分解能)を測定した。
3.サンプルを取り外し、当該サンプルに対して上記測定条件に基づくエアブローを実施した。
4.常温環境下において、サンプルを再度ステージにセットした。
5.エアブロー後の特性(フィルタ制御電圧に対するピーク透過波長、及びピーク透過波長に対する波長分解能)を測定した。
図15は、フィルタ制御電圧(すなわち、第1電極12と第3電極14との間の電圧)に対するピーク透過波長(光透過領域1aを最も透過し易い波長)の関係を示している。図15に示されるように、エアブロー前後で、ピーク透過波長の最大ずれ量(絶対値)は0.9nm程度であった。このずれ量の原因は、エアブローを行うためにサンプルをステージから1度取り外していること、及び測定環境による誤差等に起因する可能性が高いと考えられる。したがって、当該ずれ量は、許容レベルの誤差であり、エアブローがファブリペロー干渉フィルタの特性(フィルタ制御電圧に対するピーク透過波長の関係)に与える影響は、ほとんどなかったと考えられる。
図16は、ピーク透過波長に対する波長分解能(FWHM)の関係を示している。図16に示されるように、エアブロー前後で、同じピーク透過波長での波長分解能の差分は、最大でも0.3nm程度であった。すなわち、ファブリペロー干渉フィルタのメンブレン部に対するエアブローによって、ファブリペロー干渉フィルタの特性(ピーク透過波長に対する波長分解能の関係)はほとんど変化しないこと(十分許容可能な誤差の範囲に収まること)が確認された。
[ファブリペロー干渉フィルタの製造方法]
次に、ウェハ100からファブリペロー干渉フィルタ1を切り出す方法(ファブリペロー干渉フィルタ1の製造方法)について、図17及び図18を参照して説明する。図17及び図18において、(a)は、ファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対応する部分の断面図であり、(b)は、ダミーフィルタ部2Aに対応する部分の断面図である。
まず、図17に示されるように、保護層460上に(すなわち、第2表面110b側に)エキスパンドテープ60を貼り付ける。続いて、第2表面110b側にエキスパンドテープ60が貼り付けられた状態で、エキスパンドテープ60とは反対側からレーザ光Lを照射し、レーザ光Lの集光点を基板層110の内部に位置させつつ、レーザ光Lの集光点を各ライン5に沿って相対的に移動させる。つまり、エキスパンドテープ60とは反対側から、第1溝290において露出したポリシリコン層の表面を介して、基板層110にレーザ光Lを入射させる。
そして、このレーザ光Lの照射によって、各ライン5に沿って基板層110の内部に改質領域7を形成する。改質領域7は、密度、屈折率、機械的強度、その他の物理的特性が周囲とは異なる状態になった領域であって、基板層110の厚さ方向に伸展する亀裂の起点となる領域である。改質領域7としては、例えば、溶融処理領域(一旦溶融後再固化した領域、溶融状態中の領域及び溶融から再固化する状態中の領域のうち少なくとも何れか一つを意味する)、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域等があり、これらが混在した領域もある。更に、改質領域7としては、基板層110の材料において改質領域7の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域、格子欠陥が形成された領域等がある。基板層110の材料が単結晶シリコンである場合、改質領域7は、高転位密度領域ともいえる。なお、各ライン5に対して基板層110の厚さ方向に配列される改質領域7の列数は、基板層110の厚さによって適宜調整される。
続いて、図18に示されるように、第2表面110b側に貼り付けられたエキスパンドテープ60を拡張させることで、基板層110の内部に形成された改質領域7から基板層110の厚さ方向に亀裂を伸展させ、各ライン5に沿って基板層110を複数の基板11に切断する。このとき、第1溝290において第2ミラー層240のポリシリコン層が各ライン5に沿って切断されると共に、第2溝470において反射防止層410及び保護層460が各ライン5に沿って切断される。これにより、エキスパンドテープ60上において互いに離間した状態にある複数のファブリペロー干渉フィルタ1及び複数のダミーフィルタ2を得る。
[第1実施形態の光検出装置の構成]
次に、ファブリペロー干渉フィルタ1を備えた第1実施形態の光検出装置10の構成について説明する。図19に示されるように、光検出装置10は、パッケージ71を備えている。パッケージ71は、ステム72と、キャップ73と、を有するCANパッケージである。キャップ73は、側壁74及び天壁75によって一体的に構成されている。ステム72及びキャップ73は、金属材料によって形成されており、互いに気密に接合されている。金属材料によって形成されたパッケージ71において、側壁74の形状は、ライン9を中心線とする円筒状である。ステム72及び天壁75は、ライン9に平行な方向において互いに対向しており、側壁74の両端をそれぞれ塞いでいる。
ステム72の内面72aには、配線基板76が固定されている。配線基板76の基板材料としては、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス、プラスチック等を用いることができる。配線基板76には、光検出器(光検出部)77、及びサーミスタ等の温度検出器(図示省略)が実装されている。光検出器77は、ライン9上に配置されている。より具体的には、光検出器77は、その受光部の中心線がライン9に一致するように配置されている。光検出器77は、例えば、InGaAs等が用いられた量子型センサ、サーモパイル又はボロメータ等が用いられた熱型センサ等の赤外線検出器である。紫外、可視、近赤外の各波長域の光を検出する場合には、光検出器77として、例えば、シリコンフォトダイオード等を用いることができる。なお、光検出器77には、1つの受光部が設けられていてもよいし、或いは、複数の受光部がアレイ状に設けられていてもよい。更に、複数の光検出器77が配線基板76に実装されていてもよい。温度検出器は、ファブリペロー干渉フィルタ1の温度変化検出できるように、例えばファブリペロー干渉フィルタ1に近接した位置に配置されてもよい。
配線基板76上には、複数のスペーサ78が固定されている。各スペーサ78の材料としては、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス、プラスチック等を用いることができる。複数のスペーサ78上には、ファブリペロー干渉フィルタ1が例えば接着剤によって固定されている。ファブリペロー干渉フィルタ1は、ライン9上に配置されている。より具体的には、ファブリペロー干渉フィルタ1は、光透過領域1aの中心線がライン9に一致するように配置されている。なお、スペーサ78は、配線基板76に一体的に構成されていてもよい。また、ファブリペロー干渉フィルタ1は、複数のスペーサ78によってではなく、1つのスペーサ78によって支持されていてもよい。
ステム72には、複数のリードピン81が固定されている。より具体的には、各リードピン81は、ステム72との間の電気的な絶縁性及び気密性が維持された状態で、ステム72を貫通している。各リードピン81には、配線基板76に設けられた電極パッド、光検出器77の端子、温度検出器の端子、及びファブリペロー干渉フィルタ1の端子のそれぞれが、ワイヤ82によって電気的に接続されている。なお、光検出器77、温度検出器及びファブリペロー干渉フィルタ1は、配線基板76を介して各リードピン81に電気的に接続されていてもよい。例えば、それぞれの端子と配線基板76に設けられた電極パッドとが電気的に接続され、電極パッドと各リードピン81とがワイヤ82によって接続されていてもよい。これにより、光検出器77、温度検出器、及びファブリペロー干渉フィルタ1のそれぞれに対する電気信号の入出力等が可能である。
パッケージ71には、開口71aが形成されている。より具体的には、開口71aは、その中心線がライン9に一致するようにキャップ73の天壁75に形成されている。ライン9に平行な方向から見た場合に、開口71aの形状は、円形状である。天壁75の内面75aには、開口71aを塞ぐように光透過部材83が配置されている。光透過部材83は、天壁75の内面75aに気密接合されている。光透過部材83は、ライン9に平行な方向において互いに対向する光入射面83a及び光出射面(内面)83b、並びに側面83cを有している。光透過部材83の光入射面83aは、開口71aにおいて天壁75の外面と略面一となっている。光透過部材83の側面83cは、パッケージ71の側壁74の内面74aに接触している。つまり、光透過部材83は、開口71a内及び側壁74の内面74aに至っている。このような光透過部材83は、開口71aを下側にした状態でキャップ73の内側にガラスペレットを配置し、そのガラスペレットを溶融させることで、形成される。つまり、光透過部材83は、融着ガラスによって形成されている。
光透過部材83の光出射面83bには、接着部材85によって、バンドパスフィルタ84が固定されている。つまり、接着部材85は、天壁75の内面75aに接合された光透過部材83を介して、天壁75の内面75aに対してバンドパスフィルタ84を固定している。バンドパスフィルタ84は、光透過部材83を透過した光のうち、光検出装置10の測定波長範囲の光(所定の波長範囲の光であって、ファブリペロー干渉フィルタ1の光透過領域1aに入射させるべき光)を選択的に透過させる(すなわち、当該波長範囲の光のみを透過させる)。バンドパスフィルタ84の形状は、四角形板状である。より具体的には、バンドパスフィルタ84は、ライン9と平行な方向において互いに対向する光入射面84a及び光出射面84b、並びに4つの側面84cを有している。バンドパスフィルタ84は、光透過性材料(例えば、シリコン、ガラス等)によって四角形板状に形成された光透過部材の表面に、誘電体多層膜(例えば、TiO2、Ta2O5等の高屈折材料と、SiO2、MgF2等の低屈折材料との組合せからなる多層膜)が形成されたものである。
接着部材85は、バンドパスフィルタ84の光入射面84aの全領域に配置された第1部分85aを有している。つまり、第1部分85aは、接着部材85のうち、互いに対向する光透過部材83の光出射面83bとバンドパスフィルタ84の光入射面84aとの間に配置された部分である。更に、接着部材85は、ライン9に平行な方向から見た場合にバンドパスフィルタ84の外縁から外側に突出した第2部分85bを有している。第2部分85bは、側壁74の内面74aに至っており、側壁74の内面74aに接触している。また、第2部分85bは、バンドパスフィルタ84の側面84cに接触している。
以上のように構成された光検出装置10においては、外部から、開口71a、光透過部材83及び接着部材85を介して、光がバンドパスフィルタ84に入射すると、所定の波長範囲の光が選択的に透過させられる。バンドパスフィルタ84を透過した光がファブリペロー干渉フィルタ1の光透過領域1aに入射すると、所定の波長範囲の光のうち所定の波長の光が選択的に透過させられる。ファブリペロー干渉フィルタ1の光透過領域1aを透過した光は、光検出器77の受光部に入射して、光検出器77によって検出される。すなわち、光検出器77は、ファブリペロー干渉フィルタ1を透過した光を電気信号に変換して出力する。例えば、光検出器77は、受光部に入射される光の強度に応じた大きさの電気信号を出力する。
[第1実施形態の光検出装置の製造方法]
次に、光検出装置10の製造方法について説明する。図20に示されるように、まず、ファブリペロー干渉フィルタ1及び光検出器77が固定されたステム72が用意される。具体的には、キャップ73が取り付けられる直前の状態の光検出装置10の一部が用意される。例えば、一又は複数の上記ステム72が、上述した外観検査及びエアブローを行うためのステージ(不図示)に載置される。
続いて、上述した検査装置500による外観検査と同様の手法により、ステム72に対して固定されたファブリペロー干渉フィルタ1の第2積層体24の第1積層体22とは反対側の表面24aに付着した異物Fを検出する。続いて、上述した検査装置500によるエアブローと同様の手法により、検出された異物Fの位置に基づいて気流ピークの位置が調整されたエアーを第2積層体24の表面24aに吹き付ける。これにより、第2積層体24の表面24aから異物Fが除去される。続いて、上述のようにして異物Fが除去された後に、ファブリペロー干渉フィルタ1及び光検出器77が固定されたステム72にキャップ73が接合される。以上により、図19に示される光検出装置10が得られる。なお、ステージ上に複数の上記ステム72が載置される場合、上述したように広範囲にブロー可能なエアーガンタイプのノズルを用いることにより、複数のステム72に固定された複数のファブリペロー干渉フィルタ1に対して、一斉にエアブローを行うことができる。また、上述したエアブローを、ファブリペロー干渉フィルタ1の第2積層体24の表面24a以外の部分も対象として行うことにより、表面24aに付着した異物Fを当該表面24aから除去すると共に、当該異物Fをパッケージ外へと排出することが好ましい。
[第2実施形態の光検出装置の構成]
次に、図21及び図22を参照して、ファブリペロー干渉フィルタ1を備えた第2実施形態の光検出装置10Aの構成について説明する。図22においては、後述する蓋基板94等が省略されている。図21及び図22に示されるように、光検出装置10Aは、SMD(Surface Mount Device)として構成されている点で、上述した光検出装置10と異なっている。光検出装置10Aは、光検出器91、温度補償用素子(図示省略)及びファブリペロー干渉フィルタ1を収容するSMDパッケージ92を備えている。SMDパッケージ92は、ファブリペロー干渉フィルタ1及び光検出器91を支持する支持体93と、支持体93に接合される蓋基板94と、を有している。支持体93は、第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d及び第5基板93eを有している。
第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d、第5基板93e及び蓋基板94は、この順で積層されている。第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d及び第5基板93eのそれぞれの中央部には、開口が設けられている。これらの基板の積層方向(方向A)から見た場合に、第3基板93cの開口は、第2基板93bの開口を含んでいる。方向Aから見た場合に、第4基板93dの開口は、第3基板93cの開口を含んでいる。方向Aから見た場合に、第5基板93eの開口は、第4基板93dの開口を含んでいる。これにより、第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c及び第4基板93dのそれぞれの表面の一部は、第5基板93eの開口に露出している。
露出した第1基板93aの表面には、光検出器91及び温度補償用素子(図示省略)が実装されている。第1基板93aの裏面には、複数の電極パッド(図示省略)が設けられている。光検出器91の各端子、及び温度補償用素子の各端子は、第1基板93aに設けられた配線によって、又は、ワイヤ95及び各基板93a,93bに設けられた配線によって、電極パッドと電気的に接続されている。
露出した第3基板93cの表面には、ファブリペロー干渉フィルタ1が接着部材96によって固定されている。ファブリペロー干渉フィルタ1の各端子15、16の上面は、第4基板93dの上面と同等の高さにある。第4基板93dの上面には、電極パッドと電気的に接続されたパッドが設けられており、各端子15、16は、ワイヤ95によって第4基板93dの上面のパッドと接続されている。ファブリペロー干渉フィルタ1の各端子15,16は、ワイヤ95及び各基板93a,93b,93c,93dに設けられた配線によって、電極パッドと電気的に接続されている。第3基板93cは、第1基板93a及び第2基板93b上においてファブリペロー干渉フィルタ1を支持する支持部材として機能している。
第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d及び第5基板93eの材料としては、例えば、セラミック、樹脂等を用いることができる。特に、ファブリペロー干渉フィルタ1と第3基板93cとの間における熱膨張係数の差を緩和するために、第3基板93cの材料は、ファブリペロー干渉フィルタ1の材料と比較して、熱膨張係数が同等であることが好ましい。
ファブリペロー干渉フィルタ1と第3基板93cとを接着する接着部材96の材料としては、可撓性を有する樹脂材料(例えば、シリコーン系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ハイブリッド等の樹脂材料であって、導電性であっても或いは非導電性であってもよい)を用いることができる。その樹脂材料としては、ヤング率が1000MPa未満の材料から選択されることが好ましく、ヤング率が10MPa未満の材料から選択されることがより好ましい。また、その樹脂材料としては、ガラス転移温度が光検出装置10Aの使用環境温度から外れた材料から選択されることが好ましい。例えば、接着部材96の材料として、シリコーン系の樹脂材料を含む接着剤を用いれば、硬化後のヤング率は、10MPa未満となり、ガラス転移温度は、使用環境温度(例えば、5~40℃程度)よりも低い-50~-40℃程度となる。
ここで、ファブリペロー干渉フィルタ1と第3基板93cとを接着する接着部材96の弾性率は、第3基板93cの弾性率よりも小さい。また、接着部材96の弾性率は、第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d、第5基板93e及び蓋基板94を互いに接着する接着部材(図示省略)の弾性率よりも小さい。例えば、第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d、第5基板93e及び蓋基板94を互いに接着する接着部材の材料として、エポキシ系の樹脂材料を含む接着剤を用いれば、硬化後のヤング率は、100MPa以上となる。
蓋基板94は、光透過基板94a及び遮光層94bを有している。光透過基板94aは、第5基板93e上に接着部材(図示省略)によって固定されている。光透過基板94aの材料としては、光検出装置10Aの測定波長範囲に対応した材料(例えば、ガラス、シリコン、ゲルマニウム等)を用いることができる。遮光層94bは、光透過基板94aの表面に形成されている。遮光層94bの材料としては、遮光材料又は光吸収材料(例えば、アルミニウム等の金属、酸化クロム等の金属酸化物、黒色樹脂等)を用いることができる。遮光層94bには、開口94cが設けられている。光透過領域1aと開口94cとは、方向Aにおいて互いに対向している。なお、遮光層94bは、光透過基板94aの裏面に形成されていてもよい。また、光透過基板94aの表面及び裏面の少なくとも一方に、光反射防止層が形成されていてもよい。また、光透過基板94aとして、測定波長範囲の光のみを透過させるバンドパスフィルタが用いられていてもよい。
以上のように構成された光検出装置10Aにおいては、外部から開口94c及び光透過基板94aを介してファブリペロー干渉フィルタ1の光透過領域1aに光が入射すると、光透過領域1aにおける第1ミラー部31(図3参照)と第2ミラー部32(図3参照)との距離に応じて、所定の波長を有する光が選択的に透過させられる。第1ミラー部31及び第2ミラー部32を透過した光は、光検出器91の受光部91aに入射して、光検出器91によって検出される。光検出装置10Aでは、ファブリペロー干渉フィルタ1に印加する電圧を変化させながら(すなわち、第1ミラー部31と第2ミラー部32との距離を変化させながら)、第1ミラー部31及び第2ミラー部32を透過した光を光検出器91で検出することで、分光スペクトルを得ることができる。
[第2実施形態の光検出装置の製造方法]
次に、光検出装置10Aの製造方法について説明する。図23に示されるように、まず、一次元又は二次元に配置された複数のファブリペロー干渉フィルタ1と、複数のファブリペロー干渉フィルタ1に対応して設けられた複数の光検出器91と、複数のファブリペロー干渉フィルタ1及び複数の光検出器91を支持する支持層930と、が用意される。支持層930は、切断ラインL1に沿って切断されることで、それぞれ複数の第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d及び第5基板93eになる予定の層である第1基板層930a、第2基板層930b、第3基板層930c、第4基板層930d及び第5基板層930eを有している。
続いて、上述した検査装置500による外観検査と同様の手法により、支持層930に支持された複数のファブリペロー干渉フィルタ1の各々について、第2積層体24の第1積層体22とは反対側の表面24aに付着した異物Fを検出する。続いて、上述した検査装置500によるエアブローと同様の手法により、検出された異物Fの位置に基づいて気流ピークの位置が調整されたエアーを第2積層体24の表面24aに吹き付ける。これにより、異物Fが検出されたファブリペロー干渉フィルタ1の第2積層体24の表面24aから異物Fが除去される。
続いて、上述のようにして支持層930に支持された複数のファブリペロー干渉フィルタ1の各々から異物Fが除去された後に、図24に示されるように、複数のファブリペロー干渉フィルタ1に対応するように複数の開口94cが形成された蓋基板層940を支持層930(ここでは、第5基板層930eの上面)に接合する。具体的には、蓋基板層940は、方向Aにおいて複数の開口94cの各々が複数のファブリペロー干渉フィルタ1の各々に対向するように、支持層930に接合される。蓋基板層940は、切断ラインL1に沿って切断されることで、複数の蓋基板94になる予定の層である。蓋基板層940は、光透過基板層940a及び遮光層940bを有している。光透過基板層940aは、蓋基板層940が切断ラインL1に沿って切断されることで、複数の光透過基板94aになる予定の層である。遮光層940bは、蓋基板層940が切断ラインL1に沿って切断されることで、複数の遮光層94bになる予定の層である。上述のような蓋基板層940が支持層930に接合されることにより、切断ラインL1において一次元又は二次元に連結された複数の光検出装置10Aが得られる。
続いて、切断ラインL1に沿って、蓋基板層940と支持層930とが接合された部分を切断する。これにより、個々の光検出装置10A(図21及び図22参照)が得られる。
[異物除去方法及び光検出装置の製造方法による作用及び効果]
上述した異物除去方法は、ファブリペロー干渉フィルタ1を用意する工程と、第2積層体24の第1積層体22とは反対側の表面24aに付着した異物Fを検出する工程と、検出された異物Fの位置に基づいて気流ピークの位置が調整されたエアーを第2積層体24の表面24aに吹き付けることにより、第2積層体24の表面24aから異物Fを除去する工程と、を含む。なお、ウェハ100に対してエアブローを行う場合には、ファブリペロー干渉フィルタ1、第1積層体22、及び第2積層体24は、ファブリペロー干渉フィルタ部1A、第1ミラー層220、及び第2ミラー層240とそれぞれ読み替えられる。
上記の異物除去方法によれば、ファブリペロー干渉フィルタ1の第2積層体24の表面24aに付着した異物Fを検出し、エアーの吹き付けによって当該異物Fを除去することができる。エアーの気流ピークの位置は、検出された異物Fの位置に基づいて調整されているため、当該エアーの吹き付けによって異物Fを適切に除去することができる。以上により、上記の異物除去方法によれば、ファブリペロー干渉フィルタ1に付着した異物Fを効果的に除去することができ、ファブリペロー干渉フィルタ1を歩留まり良く得ることができる。
ここで、ファブリペロー干渉フィルタ1では、互いに対向する第1積層体22の少なくとも第1ミラー部31を含む部分と第2積層体24の少なくとも第2ミラー部32を含む部分との間に空隙Sが形成されている。すなわち、第2積層体24のうち対向方向から見て空隙Sと重なる部分(メンブレン部)は、いわゆるメンブレン構造を有しており、比較的脆弱な部分となっている。このため、従来、メンブレン部に負荷となる応力を生じさせ、メンブレン部の変形又は破損等が懸念される方式による異物除去は試みられておらず、異物Fが付着したファブリペロー干渉フィルタ1は、不良品として扱われることが多かった。しかし、本発明者らの鋭意研究の結果、エアーを吹き付ける方式であれば、メンブレン部に応力を生じさせる方法であるにもかかわらず、ファブリペロー干渉フィルタ1の特性に大きな影響を与えることなく、異物Fを除去することが可能であることが確認された。
また、異物Fを除去する工程において、気流ピークの位置は、異物Fの位置に合うように調整される。この場合、気流ピーク(すなわち、エアーの流速が最も大きい部分)が異物Fに直接当たることにより、異物Fをより確実に除去することができる。
また、第2積層体24のうち、第1ミラー部31と第2ミラー部32とが互いに対向する方向から見て空隙と重なる部分(メンブレン部)には、第2積層体24の表面24aから空隙Sに至る複数の貫通孔24bが形成されており、異物Fを除去する工程において、少なくとも第2積層体24の表面24aのうち複数の貫通孔24bが形成された領域にエアーを吹き付ける。この場合、第2積層体24の表面24aに吹き付けられたエアーを、複数の貫通孔24bを介して空隙S内に侵入させることができる。空隙S内に侵入したエアーは、空隙S内に新たに侵入してくるエアーによって押し出されるようにして、空隙S内に新たに侵入してくるエアーが流通する貫通孔24bとは異なる貫通孔24bを介して第2積層体24の表面24a側へと排出される。このようにして空隙Sから外側に排出されるエアーによって、第2積層体24の表面24aに付着した異物Fを吹き上げることができる。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ1に付着した異物Fをより一層効果的に除去することができる。
また、ファブリペロー干渉フィルタ1を用意する工程においては、複数のファブリペロー干渉フィルタ1が二次元に連結されたウェハ100が用意され、異物Fを検出する工程及び異物Fを除去する工程は、ウェハ100を構成するファブリペロー干渉フィルタ(すなわち、ファブリペロー干渉フィルタ部1A)に対して実施されてもよい。すなわち、ウェハ段階において、エアブローによる異物除去が実施されてもよい。この場合、ウェハ100を構成するファブリペロー干渉フィルタ部1Aに異物Fが付着している場合に、当該異物Fをエアーの吹き付けにより除去することができる。これにより、ウェハ100を構成する複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aのそれぞれを検査する場合に、異物Fが付着したファブリペロー干渉フィルタ部1Aを直ちに不良と判定することなく、異物Fが除去されたファブリペロー干渉フィルタ部1Aを良品として後工程に回すことができる。したがって、ファブリペロー干渉フィルタ1の歩留まりを向上させることができる。なお、このようにウェハ100に対してエアブローを行う場合には、異物Fが発見されたファブリペロー干渉フィルタ部1Aの表面から当該異物Fを除去するだけでなく、当該異物Fがウェハ100の表面全体から除去されるように比較的広範囲にエアブローを行うことが好ましい。
また、ファブリペロー干渉フィルタ1を用意する工程においては、個片化されたファブリペロー干渉フィルタ1が用意されてもよい。すなわち、チップ段階において、エアブローによる異物除去が実施されてもよい。例えば、ウェハ100を構成するファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対してエアーの吹き付けによる異物除去を行った場合、異物Fが当該ウェハ100を構成する他のファブリペロー干渉フィルタ部1A上に飛散し、当該他のファブリペロー干渉フィルタ部1Aに悪影響を及ぼすおそれがある。一方、上記のようにファブリペロー干渉フィルタ1が個片化された段階で、当該ファブリペロー干渉フィルタ1に対してエアーの吹き付けによる異物除去を行うことにより、上述したような他のファブリペロー干渉フィルタ部1Aへの悪影響の発生を防止することができる。
また、上述した第1実施形態の光検出装置の製造方法は、光を入射させる開口71aが形成されたキャップ73及びキャップ73に接合されるステム72を有するパッケージ71と、パッケージ71内に配置されたファブリペロー干渉フィルタ1と、パッケージ71内に配置され、ファブリペロー干渉フィルタ1を透過した光を検出する光検出器77と、を備える光検出装置10の製造方法である。この製造方法は、ファブリペロー干渉フィルタ1及び光検出器77が固定されたステム72を用意する工程と、ステム72に対して固定されたファブリペロー干渉フィルタ1の第2積層体24の表面24aに付着した異物Fを検出する工程と、検出された異物Fの位置に基づいて気流ピークの位置が調整されたエアーを第2積層体24の表面24aに吹き付けることにより、第2積層体24の表面24aから異物Fを除去する工程と、異物Fを除去する工程の後に、ステム72にキャップ73を接合する工程と、を含む。
第1実施形態の光検出装置の製造方法によれば、ファブリペロー干渉フィルタ1及び光検出器77がステム72に対して固定された状態において、ファブリペロー干渉フィルタ1の第2積層体24の表面24aに付着した異物Fを検出し、エアーの吹き付けによって当該異物Fを除去することができる。すなわち、光検出装置10が得られる直前の状態においてファブリペロー干渉フィルタ1に付着した異物Fの検出及び除去を適切に実施することができる。ここで、光検出装置10の組立作業は、清浄度の高いクリーンルーム内で行われるとは限らないため、当該組立作業時において、ファブリペロー干渉フィルタ1の表面24aに異物Fが付着する可能性が比較的高まる可能性がある。上記の製造方法によれば、光検出装置10の製造工程の最終段階において、ファブリペロー干渉フィルタ1の特性に大きな影響を与えることなく、ファブリペロー干渉フィルタ1に付着した異物Fを除去することができる。これにより、最終製品である光検出装置10の良品率を向上させることができ、光検出装置10を歩留まり良く得ることができる。
また、上述した第2実施形態の光検出装置の製造方法は、蓋基板94及び蓋基板94に接合される支持体93を有するSMDパッケージ92と、SMDパッケージ92内に配置されたファブリペロー干渉フィルタ1と、SMDパッケージ92内に配置され、ファブリペロー干渉フィルタ1を透過した光を検出する光検出器91と、を備える光検出装置10Aの製造方法である。この製造方法は、一次元又は二次元に配置された複数のファブリペロー干渉フィルタ1と、複数のファブリペロー干渉フィルタ1に対応して設けられた複数の光検出器91と、複数のファブリペロー干渉フィルタ1及び複数の光検出器91を支持する支持層930であって、複数の支持体93に切断される予定の支持層930と、を用意する工程と、複数のファブリペロー干渉フィルタ1の各々について、第2積層体24の表面24aに付着した異物Fを検出する工程と、検出された異物Fの位置に基づいて気流ピークの位置が調整されたエアーを第2積層体24の表面24aに吹き付けることにより、第2積層体24の表面24aから異物Fを除去する工程と、異物Fを除去する工程の後に、複数の蓋基板94に切断される予定の蓋基板層940を支持層930に接合することにより、一次元又は二次元に連結された複数の光検出装置10Aを得る工程と、蓋基板層940と支持層930とが接合された部分を切断することにより、個々の光検出装置10Aを得る工程と、を含む。
第2実施形態の光検出装置の製造方法によれば、複数のファブリペロー干渉フィルタ1が支持層930に支持された状態において、各ファブリペロー干渉フィルタ1の第2積層体24の表面24aに付着した異物Fを検出し、エアーの吹き付けによって当該異物Fを除去することができる。すなわち、光検出装置10Aが得られる直前の状態(具体的には、蓋基板層940を支持層930に接合することによって各ファブリペロー干渉フィルタ1が収容される空間が密封される直前の状態)において、各ファブリペロー干渉フィルタ1に付着した異物Fの検出及び除去を適切に実施することができる。よって、本製造方法によれば、上述した光検出装置10の製造方法と同様の効果が得られる。
また、複数の光検出装置10Aを得る工程においては、複数の開口94cが予め形成された蓋基板層940を、複数の開口94cの各々が複数のファブリペロー干渉フィルタ1の各々に対向するように、支持層930に接合する。このように、複数の開口94cが予め形成された蓋基板層940を用いることにより、光を入射させるための開口94cが蓋基板94に形成された光検出装置10Aを、蓋基板層940及び支持層930の切断後に直ちに得ることができる。これにより、切断後に個々の光検出装置10Aの蓋基板94に開口94cを形成するための工程を不要とすることができる。
なお、ウェハ100では、複数のファブリペロー干渉フィルタ1になる複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aが有効エリア101に設けられている。その一方で、基板層110の外縁110cに沿い且つ有効エリア101を囲むダミーエリア102に複数のダミーフィルタ部2Aが設けられており、各ダミーフィルタ部2Aでは、互いに対向する第1ミラー部31と第2ミラー部32との間に中間層23が設けられている。これにより、ウェハ100全体の強度が十分に確保される。そのため、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aについて上述した検査方法を実施する際におけるウェハ100のハンドリングが容易になる。また、ウェハ100が反り難くなるため、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対する検査、及び異物が検出されたファブリペロー干渉フィルタ部1Aに対するエアブローを精度良く実施することができる。
また、ウェハ100の製造方法では、複数のファブリペロー干渉フィルタ部1Aがウェハ100の状態のままで、各ファブリペロー干渉フィルタ部1Aにおいて空隙Sが形成される。これにより、空隙Sの形成が個々のチップレベルで実施される場合に比べ、極めて効率良く、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間に空隙Sを形成することができる。しかも、有効エリア101では、二次元に配置された複数の除去予定部50に対して中間層230のエッチングが同時に実施される等、基板層110内の任意の基板11に対応する部分と、それを囲む周囲の基板11に対応する部分とで、同時にプロセスが進行するため、基板層110の面内での応力の偏りを少なくすることができる。よって、ウェハ100の製造方法によれば、品質の高いファブリペロー干渉フィルタ1を安定して量産することを可能にするウェハ100を得ることができる。
また、レーザ光Lの照射によって、各ライン5に沿って基板層110の内部に改質領域7を形成することで、各ライン5に沿ってウェハ100を切断することは、次の理由により、ファブリペロー干渉フィルタ1を製造する上で極めて有効である。すなわち、レーザ光Lを用いたウェハ100の切断では、水が不要であるため、空隙S上に浮いた第2ミラー部32が水圧によって破損したり、空隙S内に水が浸入してスティッキング(第2ミラー部32が第1ミラー部31に接触して動かなくなる現象)が発生したりすることがない。よって、レーザ光Lを用いたウェハ100の切断は、ファブリペロー干渉フィルタ1を製造する上で極めて有効である。
[変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
図14に示されるように、ウェハ100では、基板層110の内部に、第1溝290に対応するように改質領域7が形成されていてもよい。ここで、改質領域7が第1溝290に対応するとは、対向方向から見た場合に改質領域7が第1溝290と重なること意味し、特には、改質領域7か各ライン5に沿って形成されている状態を意味する。これにより、改質領域7から基板層110の厚さ方向に亀裂を伸展させて、ウェハ100から複数のファブリペロー干渉フィルタ1を容易に且つ精度良く切り出すことができる。この場合、基板層110の第2表面110b側にエキスパンドテープ60が貼り付けられていてもよい。このとき、ウェハ100に貼り付けられたエキスパンドテープ60の外縁部は、環状のフレームによって保持される。これにより、基板層110の内部に改質領域7が形成された状態であっても、ウェハ100を容易にハンドリングすることができる。なお、基板層110の内部に改質領域7が形成されたウェハ100では、改質領域7から不意に亀裂が伸展するおそれがある。ウェハ100では、ダミーエリア102のうち一対のエリア102aに、複数のダミーフィルタ部2A並びに第1溝290及び第2溝470が設けられていないため、亀裂の伸展は、一対のエリア102aによって停止させられる。
また、異物Fを検出する工程、及び検出された異物Fの位置に基づいて気流ピークの位置が調整されたエアーを吹き付ける工程は、上記実施形態のように、検査装置500の動作制御(コンピュータ制御)により実行されてもよいし、手動により実行されてもよい。例えば、異物Fを検出する工程は、第2積層体24の表面24aに付着した異物Fを作業者が目視によって確認することによって実行されてもよい。また、上記エアーを吹き付ける工程は、ハンドガンタイプのエアーガンを作業者が手で操作してエアブローを行うことによって実行されてもよい。
また、第2実施形態に係る光検出装置10Aでは、支持体93は、互いに別体として形成された第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d及び第5基板93eによって形成されていたが、支持体93を構成する基板の層数(ここでは一例として5層)は、5層より少なくてもよいし、5層より多くてもよい。また、支持体93は、一体的に形成された部材であってもよい。すなわち、第1基板93a、第2基板93b、第3基板93c、第4基板93d及び第5基板93eは、一体的に形成されていてもよい。この場合、光検出装置10Aの製造工程において、上述した支持層930の代わりに、上述した第1基板層930a、第2基板層930b、第3基板層930c、第4基板層930d及び第5基板層930eが一体として形成された支持層が用いられる。
また、上述した第2実施形態に係る光検出装置の製造方法において、複数の開口94cが形成されていない蓋基板層が用いられてもよい。この場合、蓋基板層及び支持層930の切断後、開口94cが形成されていない蓋基板を有する光検出装置が得られる。その後、このようにして得られた光検出装置の蓋基板に開口94cを形成することにより、上述した光検出装置10Aが得られる。なお、開口94cが形成されていない蓋基板を有する光検出装置を製造する者と、当該蓋基板に開口94cを形成する者とは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、複数の開口94cが形成されていない蓋基板層を用いて製造された光検出装置(すなわち、蓋基板に開口94cが形成されていない状態の光検出装置)が出荷され、出荷先において、当該光検出装置の蓋基板に開口94cが形成されてもよい。