JP6928892B2 - トレリングアーム - Google Patents
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Description
このようなトーションビーム式サスペンションのトレリングアームの中には、アルミダイカストで作製されており、車体に枢支される枢支部、車輪を懸架する車輪懸架部、コイルスプリングを支持するスプリング支持部、及びショックアブソーバの一端が取付けられるショック取付部が一体成形されているものがある(例えば、特許文献1参照)。一般的にトレリングアームは、入力される横力と前後力に対してタイヤの姿勢を決めるトー/キャンバー剛性が要求されている。そのため、従来のトレリングアームでは、ハブが取付けられるバックプレート取付座の板厚を極端に厚くし、トー剛性及びキャンバー剛性を確保している。
また、一般的に鋳造、特にダイカスト鋳造においては、厚肉部の内部に鋳造欠陥が発生しやすく、特にハブ取付部の内部に鋳造欠陥が発生すると強度低下に繋がるおそれがあるので、トレリングアームの品質を確保する上で好ましくなかった。
したがって、本発明のトレリングアームでは、荷重が入力されるハブ取付面の肉厚を薄くしても、要求される剛性を確保しつつ、ハブ取付面の肉厚を低減させることができ、軽量化を図ることができる。
また、本発明のトレリングアームでは、ダイカスト鋳造において鋳造欠陥が発生しやすい厚肉部を設ける必要が無いので、ハブ取付部の鋳造品質を向上させ、軽量で良好な内部品質を確保することができる。
図1〜図11は本発明の実施形態に係るトレリングアーム及び該トレリングアームを備えたトーションビーム式サスペンションを示すものである。なお、図において、矢印Frは車両前方、矢印Oは車両外側方向、矢印Uは車両上方をそれぞれ示している。また、図3において、矢印F1はタイヤ接地点Gの上下力(上下荷重)、矢印F2はタイヤ接地点Gの前後力(前後荷重)、矢印F3はタイヤ接地点Gの横力(横荷重)の方向をそれぞれ示している。
トーションビーム4は、トレリングアーム3に入力される横力、前後力、上下力に対して高い剛性を有しているが、ロール荷重(左右の車輪2が上下逆位相でストロークした場合)の時は、トーションビーム4を捩じりながらストロークするため、適度な剛性が要求されている。主に、横力、前後力、上下力に対する剛性はトレリングアーム3部の剛性が支配し、ロール荷重に対する剛性はトーションビーム4部の剛性が支配している。それに加えて、トーションビーム4には、繰り返し荷重に対する耐久強度と大荷重に対する静強度も要求されている。
このようなトーションビーム4は、アルミニウム押出し材に限らず、ダイカスト製、鋳造製でも良い。しかも、トーションビーム4の材質は、トレリングアーム3と同様、アルミニウムに限らず、マグネシウムなどの軽金属材料、樹脂材料でも良い。また、トレリングアーム3のビーム接合部3aとトーションビーム4のアーム接合部4aの垂直断面形状は、略V字型、略C型でも良い。
図4及び図5は、本発明の第1実施形態に係るトレリングアームを示すものであり、図4はトレリングアームを下方から見た平面図、図5は図4におけるA−A線断面図である。なお、図1〜図3に示した上記実施形態のトーションビーム式サスペンションで説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複した説明は省略する。
さらに、トレリングアーム3Aは、ハブ取付部32Aの車両下側からスプリング取付部33の車両外側面下側の前後ほぼ中央位置に向かって車両幅方向に延び、これらハブ取付部32Aとスプリング取付部33とを連結する連結部35を有している。この連結部35は、車両下方視でほぼ直線的に延びるリブ状に形成され、ハブ取付部32Aの車両前後方向のほぼ中央位置に設けられている。
すなわち、本実施形態のトレリングアーム3Aでは、荷重が入力されるハブ取付面32bの肉厚を薄くしても、ハブ取付部32Aのトー剛性及びキャンバー剛性などの要求される剛性を確保することが可能となり、ハブ取付面32bの肉厚を低減させ、軽量化を実現することができる。
また、本実施形態のトレリングアーム3Aでは、ダイカスト鋳造において鋳造欠陥が発生しやすい厚肉部を設ける必要が無いので、ハブ取付部32Aの鋳造品質を向上させ、軽量で良好な内部品質を確保することができる。
図6は、本発明の第2実施形態に係るトレリングアームを示すものであり、図4におけるA−A線断面と同一箇所の断面図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複した説明は省略する。
この第2実施形態のトレリングアーム3Bのハブ取付面32bには、上述した第1実施形態の構成に加えて、図6に示すように、第1の補強構造部36からハブ取付部32Bの車両前側部分32Baへ向かって延びる第2の補強構造部37が設けられている。そして、第1の補強構造部36とハブ取付部32Bの車両前側部分32Baとは、第2の補強構造部37を介して互いに接続されている。また、第2の補強構造部37は、起立した縦壁リブの形態で直線的に延びて設けられている。
したがって、第2実施形態のトレリングアーム3Bでは、ハブ取付面32bに第1の補強構造部36からハブ取付部32Bの車両前側部分32Baへ向かって延びる第2の補強構造部37が設けられ、第1の補強構造部36とハブ取付部32Bの車両前側部分とは、第2の補強構造部37を介して接続されているので、タイヤ2から様々な方向の入力を受けると、ハブ取付面32bを介して特に応力が掛かるトレリングアーム3Bのハブ取付部32Bの車両前側部分32Baを補強することができる。そのため、タイヤ2からの様々な方向の入力に対してトレリングアーム3Bの剛性性能を更に向上させることが可能となり、トレリングアーム3Bの破損などを防止でき、トレリングアーム3Bの性能を保持し、トレリングアーム3Bを搭載した車両の良好な乗り心地を確保できる。その他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
図7は、本発明の第3実施形態に係るトレリングアームを示すものであり、図4におけるA−A線断面と同一箇所の断面図である。なお、上述した第1実施形態及び第2実施形態で説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複した説明は省略する。
この第3実施形態のトレリングアーム3Cのハブ取付面32bには、上述した第2実施形態の構成と同様、図7に示すように、第1の補強構造部36からハブ取付部32Cの車両前側部分32Caへ向かって延びる第2の補強構造部37Cが設けられている。そして、第1の補強構造部36とハブ取付部32Cの車両前側部分32Caとは、第2の補強構造部37Cを介して互いに接続されている。また、第2の補強構造部37Cは、起立した縦壁リブの形態で直線的に延びて設けられている。しかも、第2の補強構造部37Cは、第1の補強構造部36とハブ取付部32Cの車両前側部分32Caとの間の距離が最も短くなる位置に設けられている。
したがって、第3実施形態のトレリングアーム3Cでは、ハブ取付面32bに第1の補強構造部36からハブ取付部32Cの車両前側部分32Caへ向かって延びる第2の補強構造部37Cが設けられ、第1の補強構造部36とハブ取付部32Cの車両前側部分32Caとは、第2の補強構造部37Cを介して接続されているとともに、第2の補強構造部37Cが、第1の補強構造部36とハブ取付部32Cの車両前側部分32Caとの間の距離が最も短くなる位置に設けられているので、最も効率的にタイヤ2からの様々な方向の入力に対してトレリングアーム3Cの剛性性能を向上させることが可能となり、トレリングアーム3Bの破損などを防止できる。また、第2の補強構造部37Cを設ける量が少なくて済むため、軽量化にも資することができる。その他の効果は、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
図8は、本発明の第4実施形態に係るトレリングアームを示すものであり、図4におけるA−A線断面と同一箇所の断面図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複した説明は省略する。
この第4実施形態のトレリングアーム3Dのハブ取付部32Dにおける第1の補強構造部36Dは、図8に示すように、取付孔32aの中心Cと同心の環状に形成されている。すなわち、第4実施形態における第1の補強構造部36Dは、取付孔32aの周縁部から一定の距離だけ離れた位置に設けられており、取付孔32aを囲うように連続して配置されている。
したがって、第4実施形態のトレリングアーム3Dでは、第1の補強構造部36Dが取付孔32aの中心Cと同心の環状に形成されているので、タイヤ2を通じて様々な方向から入力した荷重を第1の補強構造部36Dに均一に分散させることができる。そのため、上記第1実施形態の効果をより一層高めて得ることができる。
図9〜図11は、本発明の第5実施形態に係るトレリングアームを示すものであり、図9はトレリングアームを下方から見た斜視図、図10は図9におけるB−B線断面図、図11は図におけるC−C線断面図である。なお、上述した第1実施形態及び第4実施形態で説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複した説明は省略する。
この第5実施形態のトレリングアーム3Eのハブ取付部32Eにおける第1の補強構造部36Eは、図9〜図11に示すように、取付孔32aの中心Cと同心の環状に形成されているとともに、取付孔32aの周縁部に設けられている。すなわち、第5実施形態における第1の補強構造部36Eは、取付孔32aの周縁部の位置に設けられており、取付孔32aを囲うように連続して配置されている。
したがって、第5実施形態のトレリングアーム3Dでは、第1の補強構造部36Eが取付孔32aの中心Cと同心の環状に形成され、かつ取付孔32aの周縁部に設けられているので、第1の補強構造部36Eが取付孔32aに最も内側に位置した縦壁部となる。そのため、第5実施形態のトレリングアーム3Dは、軽量化を実現しながら、タイヤ2を通じて様々な方向から入力した荷重を第1の補強構造部36Eに均一に分散させることができる。しかも、第1の補強構造部36Eの内側が円筒形状の空洞となっているので、別部品のハブ7を挿入できるクリアランスを確保したガイドの役割を果たし、組付作業性の向上を図ることができる。その他の効果は、上記第1実施形態及び第4実施形態と同様である。
2 車輪
3,3A,3B,3C,3D,3E トレリングアーム
3a ビーム接合部
3b 前側アーム部
3c 後側アーム部
4 トーションビーム
4a アーム接合部
5 スプリング
6 ショックアブソーバ
7 ハブ
32,32A,32B,32C,32D,32E ハブ取付部
32Ba,32Ca ハブ取付部の車両前側部分
32a 取付孔
32b ハブ取付面
33 スプリング取付部
34 アブソーバ取付部
35 連結部
36,36D,36E 第1の補強構造部
37,37C 第2の補強構造部
Claims (4)
- 車両幅方向の左右両側に配置され、少なくともハブ取付部を有するトレリングアームにおいて、
前記ハブ取付部は、取付孔が設けられたハブ取付面を有し、前記取付孔の周囲には、前記ハブ取付面に対して鉛直方向へ延び、かつ前記取付孔を囲うように連続して配置された第1の補強構造部が設けられ、
前記ハブ取付面には、前記第1の補強構造部から前記ハブ取付部の車両前側部分へ向かって延びる第2の補強構造部が設けられ、前記第1の補強構造部と前記ハブ取付部の車両前側部分とは、前記第2の補強構造部を介して接続されていることを特徴とする、トレリングアーム。 - 前記第2の補強構造部は、前記第1の補強構造部と前記ハブ取付部の車両前側部分との間の距離が最も短くなる位置に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のトレリングアーム。
- 車両幅方向の左右両側に配置され、少なくともハブ取付部を有するトレリングアームにおいて、
前記ハブ取付部は、取付孔が設けられたハブ取付面を有し、前記取付孔の周囲には、前記ハブ取付面に対して鉛直方向へ延び、かつ前記取付孔を囲うように連続して配置された第1の補強構造部が設けられ、
前記第1の補強構造部は、前記取付孔の中心と同心の環状に形成されていることを特徴とする、トレリングアーム。 - 前記第1の補強構造部は、前記取付孔の周縁部に設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のトレリングアーム。
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