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JP6924683B2 - 杭頭免震構造およびその構築方法 - Google Patents

杭頭免震構造およびその構築方法 Download PDF

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JP6924683B2 JP2017232250A JP2017232250A JP6924683B2 JP 6924683 B2 JP6924683 B2 JP 6924683B2 JP 2017232250 A JP2017232250 A JP 2017232250A JP 2017232250 A JP2017232250 A JP 2017232250A JP 6924683 B2 JP6924683 B2 JP 6924683B2
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Description

本発明は、杭頭免震構造およびその構築方法に関し、さらに詳しくは、外周面を覆う鋼管を備えた既製杭を用いて施工工期を短縮しつつ、杭径に応じた外径サイズの大きい免震装置を杭頭部に固定できる杭頭免震構造およびその構築方法に関するものである。
地盤に打設した杭の杭頭部の上面に載置して固定した免震装置によって上部構造体を免震支持する杭頭免震構造が種々提案されている(例えば、特許文献1)。杭頭免震構造は、基礎フーチングどうしを大きな基礎梁でつなぐ従来の免震基礎構造に比して、掘削土量やコンクリートの打設量、鉄筋等を削減できるメリットがある。
特許文献1に記載の杭頭免震構造を場所打ち杭を用いて構築する場合は、場所打ちコンクリートの施工に多大な工数を要する。一方、一般的な既製杭を用いて構築する場合は、アンカーボルトを筒状の外殻コンクリートの内空部分に配置した後、内空部分に生コンクリートを打設して固化させることでアンカーボルトを杭頭部に埋設する必要がある。そのため、杭頭部に固定できる免震装置の最大外径サイズは、内空部分の直径程度に制限される。即ち、杭頭部の上面の広さを無駄なく利用して外径サイズの大きな免震装置を設置することが不可能になる。使用する免震装置の外径サイズに合わせて既製杭を選定すると、杭径が不必要に大きくなって、既製杭の軸力が要求スペックよりも過剰になるという問題がある。
特開2017−57600号公報
本発明の目的は、外周面を覆う鋼管を備えた既製杭を用いて施工工期を短縮しつつ、杭径に応じた外径サイズの大きい免震装置を杭頭部に固定できる杭頭免震構造およびその構築方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の杭頭免震構造の構築方法は、既製杭を地盤に打設し、前記既製杭の杭頭部の上面に免震装置を載置して、前記既製杭に対して前記免震装置を固定する杭頭免震構造の構築方法において、前記既製杭を製造する工程で、鋼管の内側に配置した生コンクリートを、前記鋼管を管軸心を中心にして回転させて遠心力締固め成形して筒形状に固化させることにより、外周面に前記鋼管を一体化させた筒状の外殻コンクリートを有し、前記鋼管の上端部を前記外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた前記既製杭を製造しておき、施工現場では、前記既製杭を地盤に打設した後、前記杭頭部の内空部分を、固化部材によって埋めた状態にすることにより、前記杭頭部の上面を平坦にするととともに、前記固化部材には前記外殻コンクリートの上端面の上方位置に周方向に間隔をあけて複数本のアンカーボルトを埋設した状態にして、次いで、前記上面に前記免震装置を載置して、前記複数本のアンカーボルトを介して前記既製杭に対して前記免震装置を固定することを特徴とする。
本発明の杭頭免震構造は、地盤に打設された既製杭の杭頭部の上面に載置された免震装置が、前記既製杭に対して固定されている杭頭免震構造において、前記既製杭として、外周面に鋼管を一体化させた筒状の外殻コンクリートを有し、前記鋼管の上端部を前記外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた杭が使用されて、前記杭頭部の内空部分が固化部材により埋められて前記杭頭部の上面が平坦になっていて、前記固化部材には、前記外殻コンクリートの上端面の上方位置に周方向に間隔をあけて複数本のアンカーボルトが埋設されていて、前記複数本のアンカーボルトを介して前記免震装置が前記既製杭に対して固定されていることを特徴とする。
本発明では、外周面に鋼管を一体化させた筒状の外殻コンクリートを有する既製杭を施工に用いるので、場所打ち杭を用いる場合に比して施工工期を短縮することができる。この既製杭は、鋼管の上端部を外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させているので、施工現場で既製杭を地盤に打設した後、杭頭部の内空部分を埋める固化部材を、生コンクリートを充填して固化して成形する場合には、鋼管が生コンクリートに対する型枠として機能する。これに伴い、面倒な型枠設置作業が不要になるので施工工期を短縮するには有利になる。固化部材として予め固化させた柱状のコンクリートを用いる場合は、施工工期を短縮するには益々有利になる。
そして、固化部材には外殻コンクリートの上端面の上方位置に周方向に間隔をあけて複数本のアンカーボルトが埋設されている。そのため、免震装置の固定に用いるアンカーボルトは杭の外周面に近い位置に配置されることになる。したがって、杭頭部の上面の広さを無駄なく利用して、既製杭の杭径と同程度の外径サイズの大きい免震装置を杭頭部に固定することが可能になる。
本発明の杭頭免震構造を縦断面視で模式的に示す説明図である。 図1の既製杭を横断面視で例示する説明図である。 図1の既製杭を地盤に打設した状態を縦断面視で例示する説明図である。 図3の杭頭部の内空部分を固化部材によって埋めた状態を縦断面視で例示する説明図である。 本発明の杭頭免震構造の別の実施形態を縦断面視で模式的に示す説明図である。 本発明の杭頭免震構造のさらに別の実施形態を縦断面視で模式的に示す説明図である。
以下、本発明の既製杭を用いた杭頭免震構造およびその構築方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1および図2に例示する本発明の杭頭免震構造1は、地盤Gに打設した既製杭2の杭頭部の上面に載置して固定した免震装置10によって上部構造体15を免震支持する。この杭頭免震構造1は、例えば、ビルやマンションなどの上部構造体15の免震構造として採用することができる。
本発明では、従来使用されているSC杭(鋼管複合杭)をそのまま使用するのではなく、杭の製造工程で特別な工夫をする。この製造工程により製造した特別な構造の杭頭部を有する既製杭2を地盤Gに打設して杭頭免震構造1を構築する。
免震装置10は一般的な免震装置である。免震装置10は、複数の鋼板が上下に間隔をあけて埋設された積層ゴム11と、積層ゴム11の下端に接合された下フランジ13と、積層ゴム11の上端に接合された上フランジ12とを備えている。免震装置10の仕様やサイズは、要求される許容軸力等に応じて適宜決定される。下フランジ13の積層ゴム11よりも外周側の位置には、免震装置10とアンカーボルト4とを連結する固定用ボルト14が挿通する貫通孔が周方向に間隔をあけて複数形成されている。免震装置10(積層ゴム11、鋼板、上下フランジ12、13)は平面視で円形状になっているが、四角形などの多角形にすることもできる。積層ゴム11に代えてすべり支障を備えた免震装置10を用いることもできる。
本発明の杭頭免震構造1では、既製杭2として、外周面に鋼管5を一体化させた筒状の外殻コンクリート3を有して、鋼管5の上端部が外殻コンクリート3の上端面よりも杭長手方向に突出させたSC杭を使用する。即ち、この既製杭2は、通常のSC杭において上端部の外殻コンクリート3が省略された構造になっている。
詳述すると、鋼管5は外殻コンクリート3の外周面を全長に渡り被覆して外殻コンクリート3に接合されている。外殻コンクリート3は高強度コンクリートで形成されている。既製杭2(杭頭部)の杭径サイズは、免震装置10(下フランジ13)の外径サイズと概ね同じ大きさに設定されている。
この実施形態では、鋼管5の上端部の内周面に、周方向に連続する環状の凸部5aが上下方向に間隔をあけて配置されている。凸部5aは、鋼管5aの内周面の表面積を増大させるものであればよく、周方向に断続的に設けることも、点在させて設けることもできる。凸部5aは必要に応じて任意で設けることができる。
既製杭2の杭頭部の内空部分2aは、固化部材6により埋められて杭頭部の上面は平坦になっている。固化部材6は、例えば、コンクリートやセメント等で形成される。固化部材6は、相対的に外径が大きい大径部の下端に相対的に外径が小さい小径部が接合された形状になっていて、小径部が外殻コンクリート3の上端部の内空部分2aに嵌り込んでいる。
固化部材6には、外殻コンクリート3の上端面の上方位置に周方向に間隔をあけて複数本のアンカーボルト4が埋設されている。杭頭部とは、例えば既製杭2の上端面から下方に2〜4m程度の範囲である。
この実施形態の固化部材6は、杭頭部の内空部分2aに充填されたコンクリート6aと、複数本のアンカーボルト4に加えて、コンクリート6aに埋設されて周方向に間隔をあけて配置された上下方向に延在する複数本の主筋6bおよびこれら主筋6bを囲む環状の帯筋6c(フープ筋)とで形成されている。即ち、この実施形態では、鉄筋コンクリート構造の固化部材6によって、杭頭部の内空部分2aが埋められている。
主筋6bおよび帯筋6cは、アンカーボルト4の下端よりも下方位置からアンカーボルト4の上端位置近傍まで配筋されている。主筋6bおよび帯筋6cは必要に応じて任意で設けることができる。杭頭部よりも下側の内空部分2aおよび拡頭杭16の内空部分には中詰材7として、セメントミルク等が充填されている。
それぞれのアンカーボルト4は、下フランジ13に形成されている貫通孔と対応する位置に配置されている。この実施形態では、12本のアンカーボルト4が周方向に等間隔で配置されている。固定部材6に埋設されるアンカーボルト4の仕様や本数、配置などは、杭頭免震構造1に要求される許容軸力や免震装置10の仕様等に応じて適宜決定される。
それぞれのアンカーボルト4の上端部は、アンカーボルト4と固定用ボルト14とを連結する連結部4a(ソケット)になっている。連結部4aの上端の高さ位置は、固定部材6の上面と同じレベル(同じ高さ位置)に設定されている。鋼管5の上端も同様に固定部材6の上面と同じレベルに設定されている。
この実施形態では、地盤Gのより深い位置に拡頭杭16(拡径断面を有するPHC杭やPRC杭)が打設されていて、拡頭杭16の上に既製杭2が打設されている。拡頭杭16の上端部と既製杭2の下端部は継手金具によって連結されている。打設された既製杭2は、杭頭部の上面が地盤Gの表面よりも上方に突出した状態になっている。既製杭2の下端部には拡頭杭に代えて、PHC杭やPRC杭等を連結することも、他の杭を連結しない構成にすることもできる。
杭頭部の上面に載置されている免震装置10は、複数本のアンカーボルト4を介して既製杭2に対して固定されている。この実施形態では、上方から下フランジ13の貫通孔に挿通された固定用ボルト14が、連結部4aに螺合して固定されることで、既製杭2に対して免震装置10が固定されている。上フランジ12はボルトなどの固定部材によって上部構造体15に固定されている。
上部構造体15の下面には、このような既製杭2と免震装置10とで構成された複数の杭頭免震構造1が水平方向に間隔をあけて配置されている。そして、隣り合う杭頭部どうしが、地盤G上に形成されたつなぎ梁9によって連結されている。つなぎ梁9は、例えば、鉄筋コンクリート構造で形成される。この実施形態では、杭頭部の左右前後の四方につなぎ梁9が設けられている。既製杭2を構成する鋼管5の外周面には、スタッドボルト8が杭半径方向外側に突出して接合されていて、そのスタッドボルト8はつなぎ梁9に埋設された状態になっている。つなぎ梁9は必要に応じて設ければよく、つなぎ梁9を有していない杭頭免震構造1にすることもできる。
次に、本発明の杭頭免震構造1を構築する手順を説明する。
本発明では、既製杭2を製造する工程で、図3に例示する既製杭2を予め製造しておく。その製造工程では、鋼管5の内側に生コンクリートを配置し、この生コンクリートが鋼管5の一端部の所定範囲に流入しないようにする仕切り板を、鋼管5の内部に設置する。この状態で、鋼管を管軸心を中心にして回転させて、生コンクリートを遠心力締固め成形して筒形状に固化させる。これにより、外周面に鋼管5を一体化させた筒状の外殻コンクリート3を有して、鋼管5の上端部を外殻コンクリート3の上端面よりも杭長手方向に突出させた既製杭2を製造する。即ち、SC杭を製造する従来方法において、鋼管5の内側の一端部に生コンクリートを配置しない状態にして既製杭2を製造する。製造した既製杭2は施工現場に搬送される。
施工現場では、杭頭免震構造1を構築する地盤Gに、アースオーガ等の掘削機を使用して既製杭2を打設するための縦穴を所定の深さまで掘削する。そして、縦穴の底部に根固め材を注入し、縦穴の中途の範囲に杭周固定液を充填して、従来と同様に施工を行う。
次いで、図3に示すように、掘削した縦穴に既製杭2を挿入して打設する。この実施形態では、既製杭2の下端部と拡頭杭16の上端部とを継手金具で連結した状態で、既製杭2および拡頭杭16を縦穴に挿入して打設する。打設した既製杭2の杭頭部の上面は、地盤Gの表面よりも上方に突出した状態にする。プレボーリング工法によって既製杭2を打設する方法を例示したが、中堀杭工法やバイブロハンマー工法によって既製杭2を打設することもできる。
既製杭2の杭頭部よりも下側の内空部分2aと拡頭杭16の内空部分には、中詰材7を充填する。杭頭部の内空部分2aは、空洞の状態にしておく。鋼管5の外周面には溶接によってスタッドボルト8を接合する。
次いで、図4に示すように、杭頭部の内空部分2aを固化部材6によって埋めることによって杭頭部の上面を平坦にする。例えば、杭頭部の内空部分2aの外殻コンクリート3の上端面の上方位置に、周方向に間隔をあけて複数本のアンカーボルト4を上下に延在させて配置する。また、この内空部分2aに主筋6bと帯筋6cを配筋する。
その後、この内空部分2aに生コンクリートを充填して固化させることで固化部材6を成形する。充填する生コンクリートに対して、鋼管5が型枠として機能する。
他の方法としては、固化部材6として、予め固化させた柱状(大径部の下端に小径部が接合された形状)のコンクリート部材を用いることもできる。この場合は、上下に延在する複数本のアンカーボルト4が周方向に間隔をあけて埋設され、主筋6bおよび帯筋6cが埋設された柱状のコンクリート部材(固化部材6)を、工場等で予め製造しておく。
予め製造しておいた柱状のコンクリート部材(固化部材6)を杭頭部の内空部分2aに嵌合させることによって内空部分2aを埋める。内空部分2aに嵌合させたコンクリート部材(固化部材6)の外周面と外殻コンクリート3の内周面との隙間には、モルタルなどの接着材を充填するとよい。
次いで、平坦にした杭頭部の上面に免震装置10を載置して、複数本のアンカーボルト4を介して既製杭2に対して免震装置10を固定する。この実施形態では、下フランジ13に形成されている貫通孔と、杭頭部の上面に露出している連結部4aの嵌合穴との位置を合わせて免震装置10を載置する。この貫通孔に下フランジ13の上方から固定用ボルト14を挿入して、連結部4aのボルト穴に螺合することで既製杭2に対して免震装置10を固定する。免震装置10を設置した後には、免震装置10の上に上部構造体15を構築し、免震装置10の上フランジ12に対して上部構造体15を固定する。
つなぎ梁9を設ける場合には、隣接する杭頭部どうしの間につなぎ梁9を構成する鉄筋9aを配筋するとともに、その鉄筋の外側を型枠17で囲む。そして、型枠17の内側に生コンクリートを打設して固化させた後に、型枠17を取り外す。以上により、つなぎ梁9を有する杭頭免震構造1の施工が完了する。
施工手順は、上記で示した手順に限らず適宜変更することができる。例えば、杭頭部に免震装置10を固定する前に、つなぎ梁9を構築することもできる。また、例えば、既製杭2を製造する段階で、既製杭2にスタッドボルト8を接合することもできる。
このように本発明では、SC杭を改良した既製杭2を施工に用いるので、場所打ち杭を用いる場合に比して施工工期を短縮することができる。固化部材6を施工現場で生コンクリートを打設して形成する場合であっても、鋼管5が生コンクリートに対する型枠として機能するので、面倒な型枠設置作業が不要になり、施工工期を短縮するには有利になる。さらに、固化部材6と外殻コンクリート3および鋼管5との一体性をより向上させることができる。この実施形態のように、鋼管5の内周面に凸部5aが設けられていると、固化部材6と鋼管5との一体性を一段と向上させることができる。この実施形態は、凸部5aを設けないこともできる。
固化部材6として予め固化させた柱状のコンクリート部材を用いる場合は、生コンクリートを固化させるための養生期間が不要になるため、現場で生コンクリートを打設して固化部材6を形成する場合に比して、工期を短縮するには益々有利になる。施工現場の状況等に応じて、いずれかの方法を選択して固化部材6を形成すればよい。1つの施工現場において、いずれか一方の方法だけで固化部材6を形成することも、両方の方法を用いて固化部材6を形成することもできる。
さらに、固化部材6には外殻コンクリート3の上端面の上方位置に周方向に間隔をあけて複数本のアンカーボルト4が埋設されているので、これらアンカーボルト4は杭の外周面に近い位置に配置される。したがって、杭頭部の上面の広さを無駄なく利用して、既製杭2の杭径と同程度の外径サイズの大きい免震装置10を杭頭部に固定することが可能になる。
これにより、既製杭2の許容軸力と、既製杭2に固定できる免震装置10の許容軸力との差を小さくすることができる。これに伴い、既製杭2の杭径をより小さくすることが可能になるので、施工コストの低減には非常に有利になる。尚、平面視で多角形の免震装置10を用いる場合、免震装置10の外径サイズとは免震装置10に対する外接円の直径サイズを意味する。
また、この既製杭2によれば、地震などでアンカーボルト4に大きな応力がかかった場合にも、鋼管5によって外殻コンクリート3の変形や破損を効果的に抑制することができる。それ故、杭頭免震構造1の耐久性を向上するには有利になる。
固化部材6を鉄筋コンクリート6aで構成すると、固化部材6の強度をより高くできる。そのため、地震などでアンカーボルト4に大きな応力が生じた場合にも、固化部材6によって外殻コンクリート3の変形や破損を抑制できる。したがって、杭頭免震構造1の耐久性を向上するには益々有利になる。
鋼管5の上面と固化部材6の上面とを同じレベルに設定すると、杭頭部の上面を迅速に平坦にできる。そのため、杭頭免震構造1をより少ない作業工数で構築することができ、施工工期を短縮するには有利になる。
図5に例示する杭頭免震構造1の別の実施形態は、先の実施形態とは鋼管5の構成が異なっている。その他の構成は実質的に同じである。
この杭頭免震構造1では、鋼管5のつなぎ梁9を形成する位置にはそれぞれ、水平方向に貫通する貫通孔5bが形成されている。つなぎ梁9を構成する水平方向に延在する鉄筋9aが、貫通孔5bと固化部材6を挿通して配筋されている。即ち、固化部材6を構成するコンクリート6aには、複数本のアンカーボルト4と、固化部材6を構成する主筋6bおよび帯筋6cと、つなぎ梁9を構成する鉄筋9aとが埋設されている。
次に、この杭頭免震構造1を構築する手順を説明する。
既製杭2を製造する工程は先の実施形態と同様である。鋼管5のつなぎ梁9を連結する位置に貫通孔5bを形成しておく。貫通孔5bは施工現場で形成することができる。
施工現場では、既述した実施形態と同様に、既製杭2を地盤Gに打設する。次いで、杭頭部の内空部分2aに複数本のアンカーボルト4を配置するとともに、主筋6bおよび帯筋6cを配筋する。この配筋作業とともにつなぎ梁9を構成する鉄筋9aの配筋作業を行なう。鉄筋9aは貫通孔5bを挿通させて配筋し、鉄筋9aの外側を型枠で囲む。
次いで、杭頭部の内空部分2aに生コンクリートを複数本のアンカーボルト4の上端位置まで充填して、複数本のアンカーボルト4を生コンクリートに埋設した状態にして固化させる。これにより固化部材6を成形して、内空部分を埋めた状態にして杭頭部の上面を平坦にする。また、型枠の内側に充填した生コンクリートを固化させることでつなぎ梁9を成形する。生コンクリートが固化した後、型枠を取り外す。次いで、杭頭部(固化部材6)の上面に免震装置10を載置して、先の実施形態と同様に、複数本のアンカーボルト4を介して既製杭2に対して免震装置10を固定する。
この実施形態においても、鋼管5の上端部が固化部材6を形成する際の型枠として機能する。そして、杭頭部とつなぎ梁9とをコンクリートの継ぎ目がない状態で一体的に成形することができる。そのため、杭頭部とつなぎ梁9とがより強固に接合されて両者の一体性を向上させることができる。
この実施形態では、鋼管5の外周面に鉄筋9aが挿通する程度の小さな貫通孔5bを複数有しているが、つなぎ梁9の横断面と同程度の大きさの貫通孔5bを有する構成にすることもできる。
図6に例示する杭頭免震構造1の別の実施形態は、図1〜図4に例示した実施形態とは杭頭部の構成が異なっている。その他の構成は実質的に同じである。
この杭頭免震構造1では、鋼管5の上端よりも上方の位置にも鉄筋コンクリート構造の固化部材6が突出して配置されている。即ち、一部だけが鋼管5に埋入される固化部材6が使用されている。それぞれのアンカーボルト4は、鋼管5の上端面を上下に跨いで配置されている。
地盤Gに打設された既製杭2の鋼管5の上端は、地盤Gの表面と同じレベルに設定されている。連結部4aの上端の高さ位置は、地盤Gの表面よりも高い位置に設定されている。
この実施形態では、固化部材6で構成された杭頭部の上部が円柱形状になっていて、その外径は既製杭2の杭径と同じ寸法に設定されている。固化部材6を外殻コンクリート3および鋼管5よりも上方に突出させることで、杭頭部の上側部分を円柱形状に限らず、四角柱形状(多角形形状)などの所望の形状、大きさにできる利点がある。連結部4aの上端の高さ位置は、固化部材6の上面と同じレベルに設定されている。
この実施形態では、さらに、つなぎ梁9を構成する水平方向に延在する複数本の鉄筋9aが、固化部材6を挿通して配筋されている。即ち、固化部材6を構成するコンクリート6aには、複数本のアンカーボルト4と、固化部材6を構成する主筋6bおよび帯筋6cと、つなぎ梁9を構成する鉄筋9aとが埋設されている。
次に、この杭頭免震構造1を構築する手順を説明する。
既製杭2を製造する工程は既述した実施形態と同様である。施工現場では、既述した実施形態と同様に既製杭2を地盤Gに打設する。鋼管5の上端は、地盤Gの表面と同じレベルにする。
次に、杭頭部の内空部分2aに、複数本のアンカーボルト4を配置するとともに、主筋6bおよび帯筋6cを配筋する。つなぎ梁9を設ける場合には、主筋6bおよび帯筋6cの配筋作業とともにつなぎ梁9を構成する鉄筋9aの配筋作業を行なう。地盤Gから上方に突出しているアンカーボルト4、主筋6b、帯筋6cおよび鉄筋9aの外側を型枠で囲む。
次いで、杭頭部の内空部分2aおよび型枠の内側に、生コンクリートを充填して、複数本のアンカーボルト4を上端位置まで生コンクリートに埋設した状態にして固化させる。これにより固化部材6を成形して、内空部分2aを埋めた状態にして杭頭部の上面を平坦にする。また、型枠の内側に充填したコンクリートを固化させることで、つなぎ梁9を成形する。生コンクリートが固化した後、型枠を取り外す。次いで、杭頭部(固化部材6)の上面に免震装置10を載置して、既述した実施形態と同様に、複数本のアンカーボルト4を介して既製杭2に対して免震装置10を固定する。
この実施形態では、杭頭部とつなぎ梁9とをコンクリートの継ぎ目がない状態で一体的に成形できる。そのため、杭頭部とつなぎ梁9とがより強固に接合されて両者の一体性を向上させることができる。また、鋼管5の上端部を固化部材6を成形する際の型枠の一部として機能させることができる。
図1〜4に例示した実施形態と同様に、固化部材6として、予め固化させた柱状のコンクリートを用いることもできる。この場合は、複数本のアンカーボルト4が埋設された柱状のコンクリート(固化部材6)の一部だけを鋼管5に埋入させて、固化部材6を鋼管5の上端面から突出させた状態にする。
例示したそれぞれの実施形態では、杭頭部の上面に免震装置10が直接載置されているが、例えば、杭頭部の上面と免震装置10(下フレンジ13)との間に、介在部材(台座や防水シート等)を設けることもできる。その場合には、介在部材に固定用ボルト14が挿通する貫通孔を形成する。
1 杭頭免震構造
2 既製杭
2a 内空部分
3 外殻コンクリート
4 アンカーボルト
4a 連結部
5 鋼管
5a 凸部
5b 貫通孔
6 固化部材
6a コンクリート
6b 主筋
6c 帯筋
7 中詰材
8 スタッドボルト
9 つなぎ梁
9a 鉄筋
10 免震装置
11 積層ゴム
12 上フランジ
13 下フランジ
14 固定用ボルト
15 上部構造体
16 拡頭杭
17 型枠
G 地盤

Claims (6)

  1. 既製杭を地盤に打設し、前記既製杭の杭頭部の上面に免震装置を載置して、前記既製杭に対して前記免震装置を固定する杭頭免震構造の構築方法において、
    前記既製杭を製造する工程で、鋼管の内側に配置した生コンクリートを、前記鋼管を管軸心を中心にして回転させて遠心力締固め成形して筒形状に固化させることにより、外周面に前記鋼管を一体化させた筒状の外殻コンクリートを有し、前記鋼管の上端部を前記外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた前記既製杭を製造しておき、
    施工現場では、前記既製杭を地盤に打設した後、前記杭頭部の内空部分を、固化部材によって埋めた状態にすることにより、前記杭頭部の上面を平坦にするととともに、前記固化部材には前記外殻コンクリートの上端面の上方位置に周方向に間隔をあけて複数本のアンカーボルトを埋設した状態にして、
    次いで、前記上面に前記免震装置を載置して、前記複数本のアンカーボルトを介して前記既製杭に対して前記免震装置を固定することを特徴とする杭頭免震構造の構築方法。
  2. 前記固化部材を、前記外殻コンクリートの上端面の上方位置に周方向に間隔をあけて前記複数本のアンカーボルトを配置して、前記杭頭部の内空部分に前記生コンクリートを充填するとともに前記複数本のアンカーボルトを埋設した状態にして固化させることにより成形して、前記内空部分を埋めた状態にする請求項1に記載の杭頭免震構造の構築方法。
  3. 前記固化部材として、前記複数本のアンカーボルトが周方向に間隔をあけて配置されて予め固化させた柱状のコンクリート部材を用いて、このコンクリート部材を前記内空部分に嵌合させることにより、前記内空部分を埋めた状態にする請求項1に記載の杭頭免震構造の構築方法。
  4. 前記固化部材の上面と前記鋼管の上面とを同じレベルに設定する請求項1〜3のいずれかに記載の杭頭免震構造の構築方法。
  5. 前記固化部材の上面を前記鋼管の上面よりも上方に突出させた状態にする請求項1〜3のいずれかに記載の杭頭免震構造の構築方法。
  6. 地盤に打設された既製杭の杭頭部の上面に載置された免震装置が、前記既製杭に対して固定されている杭頭免震構造において、
    前記既製杭として、外周面に鋼管を一体化させた筒状の外殻コンクリートを有し、前記鋼管の上端部を前記外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた杭が使用されて、
    前記杭頭部の内空部分が固化部材により埋められて前記杭頭部の上面が平坦になっていて、前記固化部材には、前記外殻コンクリートの上端面の上方位置に周方向に間隔をあけて複数本のアンカーボルトが埋設されていて、前記複数本のアンカーボルトを介して前記免震装置が前記既製杭に対して固定されていることを特徴とする杭頭免震構造。
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