以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1を参照し、ガスコンロ1について説明する。ガスコンロ1は、ビルトインコンロである。ガスコンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口し、開口部分に天板3が設置される。天板3において、右手前には右バーナ4、左手前には左バーナ5、中央奥側には奥バーナ6が設けられる。右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6の夫々の側面には多数の炎孔が設けられる。右バーナ4の炎孔の近傍には、イグナイタ4Aの点火電極と熱電対4B(図6参照)が炎孔に臨むようにして設置される。左バーナ5の炎孔の近傍には、イグナイタ5Aの点火電極と熱電対5B(図6参照)が炎孔に臨むようにして設置される。奥バーナ6の炎孔の近傍には、イグナイタ6Aの点火電極と熱電対6B(図6参照)が炎孔に臨むようにして設置される。イグナイタ4A、5A、6Aは、駆動することにより点火電極においてスパーク放電を発生し、炎孔から噴出されるガスに点火する。熱電対4B、5B、6Bは、炎孔に形成される火炎により加熱されて熱起電力を発生する。故にガスコンロ1は、熱電対4B、5B、6Bに発生する熱起電力に基づき、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6における失火を検出できる。
天板3の後方部には、筐体2内に設置されたグリル装置(図示略)の排気口7が設けられる。ガスコンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は、グリル装置に設けられるグリル庫(図示略)の前側開口部分を開閉する。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11、12が横方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11、12と同じ高さ位置に、同一形状の2つの操作つまみ13、14が横方向に並んで設けられる。操作つまみ11〜14の夫々は、右バーナ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥バーナ6、左バーナ5の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。操作つまみ11〜14は、夫々、燃料供給装置20(図2参照)の前端部に取り付けられる。
図2〜図4を参照し、燃料供給装置20について説明する。ガスコンロ1は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、及びグリル装置にガスを供給する4つの燃料供給装置を備える。そのうち、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20は公知のプッシュ・プッシュ機構24を備えた同一構成の装置である。また、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置(図示略)は、燃料供給装置20と同様のプッシュ・プッシュ機構を備えるが、ガス流量の調節を電磁弁119(図6参照)によって行うため、流量調節部(図示略)を別体に設ける。以下では、左バーナ5にガスを供給する燃料供給装置20を一例として説明し、右バーナ4、奥バーナ6、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置については説明を省略する。なお、右バーナ4にガスを供給する燃料供給装置と、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置は、燃料供給装置20と同一構成であるので、便宜上、同一の符号を付して燃料供給装置20と呼ぶ。
図2、図3に示すように、燃料供給装置20は、操作つまみ14の押込操作と回動操作により、左バーナ5の点火と消火、及び左バーナ5に供給するガス量の調節を行う装置である。押込操作は、操作つまみ14の前面を後方へ押圧し、ガスコンロ1の筐体2の前面F(パネル装置9Bの前面)よりも奥側に押し込む操作である。回動操作は、操作つまみ14の側面を把持し、前後方向の軸(軸心AX)を中心に回転する操作である。燃料供給装置20は、操作つまみ14、プッシュ・プッシュ機構24、ガス流路部22、火力調節カム26、流量調節部31、連結部材25、中火ガイド90等を備える。
操作つまみ14は略円柱状に形成される。操作つまみ14は、ガスコンロ1の後方へ向けて押し込む押込操作が行われる度に、待機位置から第一押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から第二押込位置を経て待機位置に移動する動作とを交互に行う。図4(A)に示すように、待機位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fとほぼ面一となる位置である。待機位置において、操作つまみ14の先端面は、筐体2の前面Fよりも僅かに後側に位置してもよいし、僅かに前側に位置してもよい。なお、図2、図3に示す燃料供給装置20は、操作つまみ14が待機位置に位置する。
図4(B)に示すように、第一押込位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみ14は、第一押込位置において待機位置よりも後方に位置する。図4(C)に示すように、操作位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fに対して突出する位置である。操作つまみ14は、操作位置において待機位置よりも前方に位置する。操作位置にあるとき、操作つまみ14は、前後方向に沿う軸心AXを中心に回転可能(回動操作可能)である。図4(D)に示すように、第二押込位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみ14は、第二押込位置において、待機位置よりも後方且つ第一押込位置よりも前方に位置する。
図3に示すように、プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ14を待機位置、第一押込位置、操作位置、第二押込位置の各位置において位置決めし、各位置に応じて後述するメイン弁39を開放状態又は閉鎖状態に維持する。プッシュ・プッシュ機構24の内部には、操作つまみ14の押込操作に合わせて前後方向に移動する前スライダ40、後スライダ41と、前スライダ40及び後スライダ41を夫々前方へ向けて付勢するバネ42及びバネ43が設けられる。前スライダ40と後スライダ41には、夫々、カム機構44、45が設けられる。なお、カム機構44、45は何れも周知のものであるので、動作の詳細な説明は省略する。
前スライダ40は、操作つまみ14が押込操作される度に、カム機構44によって、操作つまみ14を待機位置から第一押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から第二押込位置を経て待機位置に移動する動作とを繰り返す。後スライダ41は前スライダ40と連動し、操作つまみ14が待機位置から第一押込位置に移動するときにメイン弁39と安全弁48を後方に押圧することで開放し、且つカム機構45によって、メイン弁39を開放状態に維持する。また、後スライダ41は、操作つまみ14が操作位置から第二押込位置を経て待機位置に移動するときに、メイン弁39の押圧状態を解除する。
プッシュ・プッシュ機構24は、右側面にイグナイタスイッチ15(図2参照)を備え、左側面に基板スイッチ16(図4参照)を備える。イグナイタスイッチ15と基板スイッチ16はレバースイッチであり、後スライダ41から右側方と左側方に夫々突出する駆動片41A(図2参照)と駆動片41B(図4参照)により、オン又はオフの状態に操作される。
ガス流路部22は、プッシュ・プッシュ機構24の後側に連結される。ガス流路部22の内部には第一ガス通路46が形成される。第一ガス通路46は、下部に開口する導入口23に接続するガス供給管(図示略)から供給されるガスを、流量調節部31に流通する。第一ガス通路46にはメイン弁39と安全弁48が設けられる。メイン弁39は、バネ47によって第一ガス通路46を閉じる閉状態に弾性付勢される。上記したように、メイン弁39は、操作つまみ14の押込操作に応じて移動する前スライダ40に連動する後スライダ41によって押圧されると、第一ガス通路46を開放する。また、メイン弁39は、後スライダ41による押圧が解除されると、バネ47により、第一ガス通路46を閉鎖する。安全弁48は、バネ49によって第一ガス通路46を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式の弁である。安全弁48は、操作つまみ14の押込操作に応じて移動する前スライダ40に連動する後スライダ41によってメイン弁39とともに押圧されると、第一ガス通路46を開放する。安全弁48は電磁操作式の弁であり、後スライダ41によって開放されたときに、ガスコンロ1の制御回路100に搭載されるCPU101(図6参照)によって開放状態に維持される。なお、CPU101は、メイン弁39の閉鎖によって左バーナ5が消火すると、安全弁48の開放状態を解除する。この場合、安全弁48は、バネ49によって第一ガス通路46を閉鎖する。
図2、図3に示すように、流量調節部31はプッシュ・プッシュ機構24とガス流路部22の上部に設けられる。流量調節部31の内部には第二ガス通路19(図3参照)が形成される。第二ガス通路19は、ガス流路部22から供給されるガスを流通し、上部に開口する流出口32に接続されるガス供給管(図示略)を介して左バーナ5に供給する。流量調節部31の前端部には第二ガス通路19に連通する穴部30が形成され、ニードル弁28が挿入される。ニードル弁28は、前端部側が穴部30から外部に露出され、後端部側が第二ガス通路19内において前後方向に移動可能に配置される。ニードル弁28の前端部には、上下方向に延びるピン29が設けられる。
火力調節カム26は略半円筒状に形成され、プッシュ・プッシュ機構24の前端側上部を覆うようにして、軸心AXの回りを回転可能に設けられる。火力調節カム26は、前後方向への移動が規制される。火力調節カム26の外周部には、カム溝27が設けられる。カム溝27は、軸心AXを中心とする螺旋状に形成される。カム溝27にはニードル弁28に設けられたピン29の下端部が係合する。火力調節カム26が回転すると、カム溝27がピン29を案内し、ニードル弁28を前後方向に移動する。
火力調節カム26は前方に延びる延伸部34を備え、延伸部34の前端部分に内向きに突出する歯部35を有する。歯部35は操作つまみ14が操作位置(図4(C)参照)にあるときに連結部材25の歯部38(後述)に噛合し、連結部材25を介して火力調節カム26を操作つまみ14と共に軸心AXを中心に回転する。延伸部34は、途中で狭窄するテーパ部34Aを備える。操作つまみ14に対する押込操作がなされるときに、テーパ部34Aは中火ガイド90に係合し、中火ガイド90を回転する。
火力調節カム26の延伸部34の外周面には、略半円筒状のLED操作部材36が固定される。LED操作部材36は火力表示部材70に連結する。火力表示部材70は、LED光の遮蔽によって火力表示を行う。火力表示部材70は後述する。LED操作部材36は火力調節カム26と共に軸心AXを中心に回転し、火力表示部材70による火力の表示をガスの流量に応じて行う。LED操作部材36は、下面に、前方から後方へ向けて狭窄する溝部36Aを有する。
連結部材25は、プッシュ・プッシュ機構24の前スライダ40から前方に延び、軸心AXを軸とする軸体37に係合する。連結部材25は軸体37の前端部に保持され、軸心AXを中心に軸体37の周囲を回転可能な状態で、前スライダ40と共に前後方向へ移動可能に設けられる。操作つまみ14は連結部材25の先端部25Aに保持され、連結部材25と共に前後方向へ移動可能、且つ軸心AXを中心に回転可能に設けられる。連結部材25は、後端部外周面に、火力調節カム26の歯部35に噛合する歯部38を有する。操作つまみ14が操作位置にあるとき、連結部材25の歯部38は火力調節カム26の歯部35と噛合し、操作つまみ14と火力調節カム26を連結する。操作つまみ14が操作位置にない場合には、火力調節カム26の歯部35は連結部材25の歯部38の前方に位置して噛合せず、操作つまみ14と火力調節カム26の連結状態を解除する。
中火ガイド90は連結部材25の後側に配置される。中火ガイド90は前スライダ40の軸体37に固定されて、前スライダ40と共に前後方向へ移動可能に設けられる。中火ガイド90は、固定部91、半鍔部92、案内部93を有する。固定部91は筒状を呈し、中火ガイド90を軸体37に固定する。半鍔部92は固定部91の前端部のうち下側の部分から径方向外向きに鍔状に突出する。連結部材25は半鍔部92の前面に対して回転可能に設けられる。
案内部93は略筒状を呈し、下側部分の後端部内面が半鍔部92の外周部分に接続する。案内部93の上側部分は下側部分よりも大径に設けられ、後端部内面と固定部91の前端部のうち上側の部分との間に開口部94が形成される。開口部94には、火力調節カム26の延伸部34が挿通される。下側部分の内径は、連結部材25の歯部38の最大径よりも大きい。また、案内部93の上側部分の上面には、案内突起95が設けられる。案内突起95は、LED操作部材36の下面に設けられる溝部36Aに係合する。
次に、パネル装置9A、9Bについて説明する。図1に示すように、ガスコンロ1は、グリル扉8の右側の領域に、右バーナ4とグリル装置の火力表示を行うパネル装置9Aを備え、グリル扉8の左側の領域に、左バーナ5と奥バーナ6の火力表示を行うパネル装置9Bを備える。
なお、グリル装置の燃料供給装置は、操作つまみ12の回転位置に応じてオン・オフが切り替わる複数のスイッチ(図示略)を備える。グリル装置の流量調節部は、複数のスイッチのオン・オフの状態に応じて複数の電磁弁119の開閉状態を切り替えることによって、グリルバーナの火力調節を行う。従って、グリル装置の火力表示は、複数のスイッチのオン・オフの状態に合わせ、パネル装置9Aに設けたLEDの点灯・消灯の状態を段階的に切り替えることによって行われる。
これに対し、パネル装置9Aにおける右バーナ4の火力表示と、パネル装置9Bにおける左バーナ5と奥バーナ6の火力表示を行う上で、燃料供給装置20は、操作つまみ11、13、14の回転量を検出するエンコーダを搭載しない。よって、パネル装置9A、9Bは、操作つまみ11、13、14の回転位置に応じてLEDの点灯・消灯の状態を切り替える制御は行わない。本実施形態では、パネル装置9A、9Bは、操作つまみ11、13、14の回転位置に対応する位置のLED光を透過し、他の位置のLED光を火力表示部材70で遮蔽することによって火力表示を行う。
以下では、パネル装置9Bについて説明する。なお、パネル装置9Aにおける右バーナ4の火力表示に係る部分の構成は、パネル装置9Bにおける左バーナ5、奥バーナ6の火力表示に係る部分の構成と同じである。よって、パネル装置9Aの構成は、パネル装置9Bの構成に準ずるものとして、説明を省略する。
図5に示すように、パネル装置9Bは、パネル本体部50、表示基板60、火力表示部材70、化粧パネル80を備える。パネル本体部50は、筐体2の前端部に組み付けられる。パネル本体部50の下側部分51は箱型に形成され、操作パネル114(図6参照)が収容される。パネル本体部50の上側部分52は、下側部分51から上方へ向けて板状に突出する。上側部分52には、前後方向に貫通する2つの貫通穴53が左右方向に並んで形成される。貫通穴53の内径は、操作つまみ13、14の外径より大きい。左バーナ5と奥バーナ6の燃料供給装置20は、左右に並べた状態で、パネル本体部50の上側部分52に後側から固定される。2つの燃料供給装置20の連結部材25と操作つまみ13、14は、夫々、2つの貫通穴53内に配置される。
2つの貫通穴53の上側外周部分には、夫々、複数の導光部54が周方向に並んで設けられる。導光部54は、前後方向に延びる筒状体であり、本実施形態では7つずつ設けられる。夫々の導光部54の筒穴55は、互いに独立に形成される。
上側部分52の後面には、表示基板60が固定される。表示基板60は貫通穴53に干渉しないように下端部が二双の円弧状に形成される。表示基板60の前面には複数のLED61が実装され、下端部に沿って二双の円弧状に並んで配置される。本実施形態では、2つの円弧に沿って、夫々7つのLED61が設けられる。各LED61は、夫々の導光部54の各筒穴55の形成位置に対応する位置に設けられる。表示基板60がパネル本体部50に固定されると、複数のLED61は、夫々、導光部54の各筒穴55内に配置される。
図2に示すように、火力表示部材70は、本体部71とフランジ部76を備える。本体部71は前後方向に延びる円筒形状を呈する。本体部71の外径はパネル本体部50の貫通穴53の内径より小さく、内径は操作つまみ11、13、14の外径より大きい。本体部71は周方向の3ヶ所に、2つのフック75と1つの係合部74を有する。2つのフック75は、貫通穴53の後面に掛け留められ、火力表示部材70を、軸心AXを中心に回転可能に保持する。係合部74は、LED操作部材36の先端部に設けた係合片36Bに係合する。本体部71において、係合部74を周方向の両側から挟む部分は夫々後方へ延び、係合片36Bを外れにくくする。フランジ部76は、本体部71の前端部分において径方向外向きに突出し、周方向に一周する鍔状に形成される。フランジ部76は、切り欠き状の光通過部77を有する。
図5に示すように、化粧パネル80は、パネル本体部50の上側部分52の前側に組み付けられる板状体である。化粧パネル80は、前後方向に貫通する2つの開口部86と、夫々の開口部86の上部に配列される複数の透光部81を有する。化粧パネル80は正面視略長方形状であり、上端部にスライドロック85を備える。化粧パネル80をパネル本体部50の上側部分52に組み付けたとき、スライドロック85を右側にスライドすると、化粧パネル80がパネル本体部50に固定される。
2つの開口部86は左右方向に並んで形成される。2つの開口部86の内径は、夫々、操作つまみ13、14の外径より大きい。2つの開口部86内には夫々、操作つまみ13、14が配置される。複数の透光部81は、化粧パネル80をパネル本体部50の上側部分52に組み付けたときの導光部54の夫々の形成位置に対応する位置に設けられる。透光部81は、LED61から出射され、導光部54を介して後面から入射する光を、化粧パネル80の前面から前方へ出射する。
左バーナ5用の燃料供給装置20と、奥バーナ6用の燃料供給装置20は、左右に並べた状態で、取付金具33を用い、パネル装置9Bのパネル本体部50の裏面に螺子で固定される。LED操作部材36の係合片36Bは、火力表示部材70の係合部74に係合する。よって火力表示部材70は、LED操作部材36が固定される火力調節カム26が軸心AXの周りを回転するとき、パネル本体部50の貫通穴53内で軸心AXを中心に回転する。
次に、ガスコンロ1の電気的な構成について説明する。ガスコンロ1は、制御回路100を備える。制御回路100は、CPU101、ROM102、RAM103、タイマ104に加え、図示しない、I/Oインタフェイス等を備える。CPU101はガスコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM102は、火力表示処理(図8参照)を含む、ガスコンロ1の各種プログラムを記憶する。RAM103は、各種情報を一時的に記憶する。タイマ104はプログラムで作動するものであり、後述する火力表示処理において消灯時間を計測する。
制御回路100には、電源回路120、スイッチ入力回路111、熱電対入力回路112、操作パネル114、LEDドライバ回路115、安全弁回路116、電磁弁回路117、イグナイタ回路118等が各々接続される。電源回路120は、電源125から供給される交流(例えば100V)を直流(例えば5V)に降圧して整流し、各種回路に電力を供給する。なお、図中において、電源は「AC」と表す。スイッチ入力回路111は、燃料供給装置20のイグナイタスイッチ15と基板スイッチ16のオン・オフの状態を検出し、電源回路120と制御回路100に入力する。なお、制御回路100は、いずれかの燃料供給装置20の基板スイッチ16がオンの状態になると作動し、全ての燃料供給装置20の基板スイッチ16がオフの状態になると動作を停止する。熱電対入力回路112は、熱電対4B、5B、6Bからの検出値(熱起電力に対応する信号)を制御回路100に入力する。操作パネル114は、使用者によるタイマ設定、調理内容に応じた火力制御の選択等の入力、CPU101の制御内容に応じたLEDの点灯及び消灯等に用いられる。
LEDドライバ回路115は、パネル装置9A、9Bの表示基板60に搭載する複数のLED61の点灯及び消灯を制御する。安全弁回路116は、CPU101の制御に基づき、燃料供給装置20の安全弁48を開閉する。電磁弁回路117は、CPU101の制御に基づき、グリル装置の流量調節部(図示略)に設けられる複数の電磁弁119を開閉する。イグナイタ回路118は、イグナイタスイッチ15の状態に応じてCPU101が出力する制御信号に基づき、イグナイタ4A、5A、6Aを各々駆動する。また、図6では、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6に夫々設けられるサーミスタ、グリルバーナに設けられる熱電対、イグナイタ等は省略する。
次に、図1〜図6を参照しながら、図7に示すタイミングチャートに基づいて、操作つまみ14の押込操作と回動操作による点火及び消火と火力の調節について説明する。T0時、操作つまみ14は待機位置にある。基板スイッチ16とイグナイタスイッチ15はオフ状態であり、左バーナ5は消火状態である。T1時、左バーナ5を点火するため、ユーザは操作つまみ14に対する押込操作を開始する。押込操作に伴い、前スライダ40と後スライダ41は後方への移動を開始する。安全弁48とメイン弁39は後スライダ41に押圧されて開放する。
T2時、後スライダ41の駆動片41Bが基板スイッチ16に接触し、基板スイッチ16をオン状態にする。制御回路100に電力が供給されて、CPU101が駆動する。CPU101は安全弁回路116に制御信号を送信し、安全弁48を開放状態に維持する。また、CPU101は、LEDドライバ回路115に制御信号を送信し、LED61を発光させる。なお、LED61は、後述する火力表示処理(図8参照)により、少し遅れたタイミングに発光する。
T3時、点火時の火力を中火にするための中火ガイド90による案内が開始され、火力調節カム26は、左右の略中央の位置へ向けて回動し始める。なお、火力調節カム26が実際に回動を開始する位置は、延伸部34のテーパ部34Aが開口部94の縁部に当接する位置である。故に中火ガイド90による案内は、火力調節カム26が回動範囲の両端に位置する場合であればT3時に開始され、火力調節カム26が回動範囲の中央寄りに位置する場合は、T3時よりも後の時期に開始される。また、火力調節カム26に固定されたLED操作部材36によって、火力表示部材70も回動し始める。
T4時、後スライダ41の駆動片41Aがイグナイタスイッチ15に接触し、イグナイタスイッチ15をオン状態にする。制御回路100は、イグナイタ回路118に制御信号を送信し、イグナイタ5Aを駆動する。なお、制御回路100は、イグナイタスイッチ15がオン状態になったら、イグナイタ5Aを所定時間駆動する。所定時間経過後、熱電対入力回路112から入力される熱電対5Bの検出値に基づき、左バーナ5に着火していなければ、安全弁回路116への制御信号の送信が停止され、安全弁48が閉鎖される。
中火ガイド90による火力を中火にするための案内は、T5時に終了する。火力調節カム26は左右の略中央に位置し、ガスの流量が中火相当となる位置にニードル弁28が移動するので、左バーナ5には点火に十分な量のガスが供給され、且つ点火時の炎あふれが防止される。また、火力表示部材70の回動もT5時に終了する。T6時、操作つまみ14は第一押込位置に到達する。
T7時に、ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14は前スライダ40のバネ42の付勢力により、第一押込位置から操作位置へ向けて移動し始める。また、後スライダ41も、バネ43と、メイン弁39のバネ47の付勢力により、前方へ移動し始める。イグナイタスイッチ15はT8時にオフ状態になるが、オン状態となったときから所定時間が経過するまで、イグナイタ5Aは駆動する。
T9時に、カム機構45が後スライダ41の前方への移動を制止し、後スライダ41は開弁維持位置に到達する。後スライダ41は、開弁維持位置において、メイン弁39を開放状態に維持し、且つ基板スイッチ16をオンの状態に維持する。前スライダ40は、T9時以降も前方へ移動し続け、T10時に操作位置に到達すると、移動を停止する。操作位置に到達する直前に、連結部材25の歯部38と火力調節カム26の歯部35が噛合することで、操作つまみ14は火力調節カム26に連結する。
操作つまみ14が操作位置にある状態で操作つまみ14が回動操作されると、火力調節カム26は操作つまみ14と共に軸心AXの回りを回転する。火力調節カム26が回転すると、ニードル弁28のピン29がカム溝27に案内されて、前後方向に移動する。これにより、ニードル弁28が前後方向に移動するので、ニードル弁28の位置に応じて第二ガス通路19を流通するガスの流量が調節され、左バーナ5の火力が変更される。また、操作つまみ14の回動操作によって火力表示部材70も回動し、火力に応じた位置のLED光がフランジ部76の光通過部77を通過して、化粧パネル80の透光部81から出射され、火力が表示される。
T11時、左バーナ5を消火するため、ユーザは操作つまみ14に対する押込操作を開始する。押込操作に伴い、前スライダ40は後方への移動を開始する。連結部材25の歯部38と火力調節カム26の歯部35の噛合状態が解除され、操作つまみ14は火力調節カム26との連結を解除する。よって消火時の押込操作の途中で操作つまみ14が回動することがあっても、火力は変化しない。また、火力表示部材70も回動しないので、火力表示は変わらない。
T12時、前スライダ40は後スライダ41に当接し、後スライダ41を後方へ押圧する。前スライダ40と後スライダ41は、押込操作により、後方へ移動する。T13時に、操作つまみ14は第二押込位置に到達する。そしてT14時に、ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14は前スライダ40のバネ42と、後スライダ41のバネ43と、メイン弁39のバネ47の付勢力により、第一押込位置から待機位置へ向けて移動し始める。また、後スライダ41も、バネ43と、メイン弁39のバネ47の付勢力により、前方へ移動し始める。
T15時、基板スイッチ16がオフ状態になる。制御回路100は、安全弁回路116への制御信号の送信を停止し、安全弁48の電磁操作を解除する。バネ49の付勢力によって安全弁48が閉鎖されるので、ガスの供給が絶たれた左バーナ5は消火する。T16時、操作つまみ14が待機位置に到達する。後スライダ41も前スライダ40と共に移動範囲の前端に位置するので、メイン弁39は閉鎖状態となる。
ところで、上記したように、点火時において、火力表示のためのLED61は、基板スイッチ16がオン状態になり、制御回路100が駆動することによって点灯される。点火の過程では、中火ガイド90によって火力調節カム26が回動すると、火力表示部材70も回動するので、火力表示の状態が変化する可能性がある。故にガスコンロ1は、制御回路100のCPU101が火力表示処理を行うことによって、点火処理中の火力表示を待機する。
以下、図8を参照し、火力表示処理について説明する。ユーザが待機位置にある操作つまみ14に対して押込操作を行い、左バーナ5への点火を行うと、基板スイッチ16がオンの状態になり、制御回路100に電力が供給されて、CPU101が駆動する。CPU101は、基板スイッチ16がオンの状態になることを契機に、その他の制御処理と並行して火力表示処理の実行を開始する。CPU101はタイマ104を駆動し、消灯時間の計時を開始する(S1)。CPU101は、消灯時間が経過するまで、LEDドライバ回路115に制御信号を送信せず、処理を待機する(S2:NO)。消灯時間は、例えば500msであり、押込操作によって操作つまみ14が待機位置から第一押込位置に移動するのに十分な時間が設定されている。従って、押込操作中に中火ガイド90によって火力表示部材70が回動しても、LED61が消灯状態であるので、火力表示が行われず、火力表示の状態が変化することはない。
消灯時間が経過すると(S2:YES)、CPU101は、LEDドライバ回路115に制御信号を送信し、LED61を点灯させて、火力表示を開始する。左バーナ5の火力に応じた適切な火力表示がLED光によって行われる。CPU101は、基板スイッチ16がオン状態である間、処理を待機する(S4:NO)。ユーザが操作位置にある操作つまみ14に対して押込操作を行い、左バーナ5の消火を行うと、基板スイッチ16がオフ状態になる。制御回路100は、LEDドライバ回路115への制御信号の送信を停止し、LED61を消灯する(S5)。CPU101は、火力表示処理の実行を終了する。なお、上記説明した火力表示処理は左バーナ5の火力表示に対する処理であるが、右バーナ4、奥バーナ6の火力表示についても同様の火力表示処理が実行される。
以上説明したように、左バーナ5の点火時、操作つまみ14に対する押込操作に連動し、ガス流路部22が左バーナ5にガスを供給し、イグナイタ回路118がイグナイタ5Aを駆動してガスに点火する。火力調節カム26は、ガス流路部22、イグナイタ回路118とともに操作つまみ14に連動して動作するので、点火時の押込操作によって火力調節カム26が動作する可能性がある。パネル装置9Bは、火力調節カム26と機械的に連動する火力表示部材70によって、左バーナ5の点火状態と火力状態を表示する。火力調節カム26が動作することによって火力表示部材70も動作するため、火力表示部材70は、左バーナ5の点火状態と火力状態の表示に変化をもたらす。ところで、ユーザが点火動作のため操作つまみ14に対して押込操作を行ったときに、誤操作等により操作つまみ14を回転させてしまい、意図せずに火力の調節動作が行われてしまった場合、仮に連結部材25がなく操作つまみ14と火力調節カム26が常に連動する状態であれば、パネル装置9Bの表示状態が変化するため、ユーザが戸惑う可能性がある。そこで制御回路100のCPU101は、基板スイッチ16がオン状態になってから所定の消火時間が経過するまで、LED61を消灯状態に維持する。LED61が消灯状態であれば、パネル装置9Bによる左バーナ5の点火状態と火力状態の表示は行われない。消火時間は、基板スイッチ16がオン状態になってから左バーナ5の点火が完了するまでに要する時間であることが望ましい。その間に火力表示部材70が動作しても、パネル装置9Bには点火状態と火力状態の表示がなされないので、ユーザが戸惑うことはない。
操作つまみ14に対する押込操作によって左バーナ5が点火されるとき、中火ガイド90は、火力調節カム26と機械的に連動し、ガスの供給量を点火量(中火)に調整する。故に、火力調節カム26と機械的に連動する火力表示部材70は、点火動作の途中で火力調節カム26が動作することによって、左バーナ5の点火状態と火力状態の表示に変化をもたらす可能性がある。制御回路100のCPU101は、基板スイッチ16がオン状態になってから所定の消火時間が経過するまで、LED61を消灯状態に維持する。これにより、基板スイッチ16がオン状態になってから所定の消火時間、パネル装置9Bによる左バーナ5の点火状態と火力状態の表示は行われない。その間に火力表示部材70が動作しても、パネル装置9Bには点火状態と火力状態の表示がなされないので、ユーザが戸惑うことはない。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。CPU101は基板スイッチ16がオフ状態からオン状態になることを契機に火力表示処理を実行したが、イグナイタスイッチ15がオフ状態からオン状態になることを契機に火力表示処理を実行してもよいし、別途、火力表示処理実行の契機となるスイッチを設けてもよい。また、CPU101は、基板スイッチ16がオン状態からオフ状態になることを契機に火力表示処理を実行してもよい。なおこの場合、CPU101の非駆動時に基板スイッチ16がオン状態であり、駆動時にオフ状態であればよい。
消灯時間は500msに限らず、適宜変更してもよい。燃料供給装置20は点火・消火の動作と火力の調整動作を行うが、夫々別体の装置によって行ってもよい。操作つまみ11、13、14は回動操作によって右バーナ4、奥バーナ6、左バーナ5の火力を調整するが、火力調節レバーを設け、レバー操作によって火力調整を行ってもよい。この場合、操作つまみは、点火操作を点火ボタンとして機能してもよい。なお、火力調節レバーと点火ボタンが別体に設けられたとしても、ユーザが点火動作のために点火ボタンを操作したときに、意図せず火力調節レバーに触れてしまい、調節動作が行われてしまう場合がある。この場合でも、本実施形態のように点火動作中の火力表示を待機することで、調節動作に応じて火力表示部材70が動作しても、パネル装置9Bには点火状態と火力状態の表示がなされないので、ユーザが戸惑うことはない。
また、燃料供給装置20は、点火動作においてイグナイタスイッチ15がオン状態に移行するT4時よりも後のT5時に、中火ガイド90による火力を中火にするための案内が終了する構成であるが(図7参照)、これに限らない。例えば、イグナイタスイッチ15がオン状態に移行するT4時よりも前の時期に、中火ガイド90による火力を中火にするための案内が終了する構成であってもよい。なお、この構成の場合、CPU101は、イグナイタスイッチ15がオン状態に移行することを契機に火力表示処理を実行すれば、たとえ待機時間が0sであっても、LED61の点灯後に火力表示部材70が中火ガイド90による案内に起因して動作することはない。しかし、点火時に操作つまみ14が待機位置から第一押込位置に移動する際の前スライダ40と後スライダ41の移動距離は、比較的短い。故に、製品の個体差によってはイグナイタスイッチ15がオン状態に移行する時期と、中火ガイド90による案内が終了する時期とが、逆転する場合もあり得る。このような場合でも、本実施形態のように点火動作中の火力表示を待機することで、調節動作に応じて火力表示部材70が動作しても、パネル装置9Bには点火状態と火力状態の表示がなされないので、ユーザが戸惑うことはない。
上記説明において、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6が本発明の「バーナ」の一例である。ガス流路部22が本発明の「供給機構」の一例である。火力調節カム26が本発明の「調節機構」の一例である。イグナイタ回路118とイグナイタ4A、5A、6Aが本発明の「点火機構」の一例である。操作つまみ11、13、14が本発明の「操作部」の一例である。プッシュ・プッシュ機構24と流量調節部31が本発明の「操作機構」の一例である。基板スイッチ16が本発明の「検出スイッチ」の一例である。LED61が本発明の「発光部」の一例である。CPU101が本発明の「制御部」の一例である。パネル装置9A、9Bが本発明の「表示装置」の一例である。火力表示部材70が本発明の「態様変化部」の一例である。中火ガイド90が本発明の「調整部材」の一例である。