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JP6914127B2 - 2液常温硬化型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法 - Google Patents

2液常温硬化型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法 Download PDF

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JP6914127B2 JP2017138359A JP2017138359A JP6914127B2 JP 6914127 B2 JP6914127 B2 JP 6914127B2 JP 2017138359 A JP2017138359 A JP 2017138359A JP 2017138359 A JP2017138359 A JP 2017138359A JP 6914127 B2 JP6914127 B2 JP 6914127B2
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Description

本発明は、年間を通して可使時間を十分に確保することができ、しかも汎用性のある2液常温硬化型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物に関する。
ウレタン防水材は、不定形状および狭小部分の施工に適していることより、新築工事あるいは改修工事を問わず、マンション等集合住宅のベランダ、バルコニー、開放廊下や比較的大面積の屋上の平場部分、立面部分、パラペット、架台周り等に使用されている。
一般的なウレタン防水材は、2液の液状物を攪拌機で混合した後、コテ、ヘラ、ローラー、刷毛等で手塗り施工するものであり、攪拌機で混合した後少なくとも30分程度の使用可能時間(以下、「可使時間」と称す。)が必要とされている。可使時間については、23℃において2液混合後から、粘度が6万mPa・sに到達するまでの時間とするのが一般的である。
手塗り用2液常温硬化型ウレタン防水材は、冬季の施工と夏季の施工では外気温が大幅に異なるため、夏季の30℃前後での施工に適した夏用配合と、冬季の5℃前後の施工に適した冬用配合が用意されているのが一般的であり、平場用防水材においては、各季節の施工温度において、可使時間が30分以上となるよう工夫されている。塗布作業において可使時間は長いほど好ましいが、一般的には可使時間を長くしようとすると硬化性が悪くなり、次工程を施工するために塗膜上に作業員が乗れるまでに時間(以下、「施工可能時間」と称す。)も長くなってしまう。通常の作業では、ウレタン防水材を夕方に塗布し終わり、翌朝には施工可能状態となることが望まれており、施工可能時間は年間を通して冬期でも19時間程度以内、それ以外の季節は17時間程度以内に調整できることが好ましいとされている。
現在汎用化されている2液常温硬化型手塗用ウレタン防水材は、トリレンジイソシアナート(以下、「TDI」と称す。)とポリオキシプロピレンポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを主剤とし、一方の硬化剤中の活性水素として、比較的低反応性の芳香族ポリアミンである、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MOCA」と称す。)を主成分とし、低反応性の2級ポリオールであるポリオキシプロピレンポリオールを併用している。また、低反応性のポリオキシプロピレンポリオールの反応を促進させるために、カルボン酸鉛を促進剤として用いるのが一般的である。カルボン酸鉛を使用しない場合には、ポリオールとの反応が促進されないため、特に夏季においては主剤のイソシアナート基と水分との反応が進行してしまい、その結果副生する炭酸ガスにより発泡現象を起こし低物性化してしまう。
上記の防水材はMOCA架橋型防水材と称せられており、MOCAは結晶性が激しくしかも溶解性に乏しい原料であるが、ポリオキシプロピレンポリオールにはある程度溶解し安定化させることができ、手塗施工に適した可使時間を有する防水材となるため、いまだに汎用防水材として用いられている。
MOCA架橋型防水材には環境面での大きな問題がある。硬化剤に用いられているMOCAは労働安全衛生法で特定化学物質第2類物質に指定されており、硬化剤には上限値の1%を超えて使用されているため、特定化学物質等障害予防規則(以下、「特化則」と称す。)該当品となってしまう。また、MOCAはIARC(国際がん研究機関)による発がん性評価でグループ1(ヒトに対して発がん性を示す)に分類されている。
また、主剤に用いられているTDIも特定化学物質に指定されており、汎用品の主剤には遊離TDIが上限値の1%を超えて存在するため、主剤も特化則該当品となってしまい、製造時および施工時に種々の制約を受けることとなる。さらに、促進剤として用いるカルボン酸鉛化合物は、世界的に使用が厳しく制限されている材料であり、化学物質排出把握管理促進法(通称、化管法)の特定第1種指定化学物質に指定されており、環境面からは使用を避けたい材料である。
一方、MOCA架橋型防水材と同様にTDIとポリオキシプロピレンポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを主剤とし、硬化剤中の活性水素として、MOCAの替わりに高反応性の芳香族ポリアミンであるジエチルトルエンジアミン(以下、「DETDA」と称す。)を用いた、DETDA架橋型ウレタン防水材も開発されている。この方法は、DETDAが高反応性であるため低温硬化性は良好であるが、夏季の可使時間を確保することに問題があり、特殊なTDIを使用した主剤を用いる方法(特許文献1)、低反応性ポリイソシアナートであるイソホロンジイソシアナート(以下、「IPDI」と称す。)をTDIと併用する方法(特許文献2)、硬化剤に反応性の穏やかな芳香族2級アミンである4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)を併用する方法(特許文献3)等が提案されている。
DETDA架橋型防水材は、硬化剤には特定化学物質のMOCAを用いなくともよく、さらにはカルボン酸鉛を使用しなくとも硬化性や発泡性には問題がないため、環境面ではMOCA架橋型よりは優れた防水材となるが、主剤には遊離TDIが含まれている。条件によっては主剤中の遊離TDI含有量を1質量%以下とすることで特化則上は非該当とはなるが、少量とはいえ特定化学物質のTDIが含まれているため環境上好ましくない。
そこで、特定化学物質であるMOCAおよびTDIを使用しないウレタン防水材として、ノルボルナンジイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、DETDAからなる芳香族ポリアミン鎖延長剤とポリオールを含有する硬化剤からなる常温硬化型ポリウレタン塗膜防水材が提案されている(特許文献4)。
しかしながら、この方法では可使時間を十分に確保するために硬化剤にポリオールを併用することが必要であり、更にそのポリオールの反応を完結させるためには環境上問題のある鉛化合物の使用が実質上必須となっている。
特許第3114557号公報 特許第3957779号公報 特許第3445364号公報 特開2000−73008号公報
現在汎用化されている防水材は特化則に該当する成分やカルボン酸鉛といった鉛化合物も含まれている場合が多く、より環境面に配慮した施工性の良い汎用防水材が望まれている。また、従来の2液常温硬化型ウレタン防水材の配合技術では、仕上がり性や物性等の実用性に問題がないうえで、夏季の施工に必要とされる可使時間を十分に確保するという技術には限界があった。また、冬季においては、促進剤を用いることにより硬化性はある程度改善されるが可使時間が短縮されてしまい、施工性は悪化してしまうという問題も残されており、年間を通して十分な可使時間を保持したうえで硬化性にも問題がないという汎用性のある防水材の検討が不十分であった。
本発明者らはこれらの問題点を鑑み、年間を通して十分な可使時間を有し、しかも発泡現象やピンホールといった施工上の問題を起こさず、同時に硬化性も適宜にコントロールでき、かつ特定化学物質であるMOCAおよびTDI、更には鉛化合物等の有害物質を使用しない、より安全性の高い2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物に関して鋭意検討した結果、主剤のポリイソシアナート成分としてビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用い、硬化剤の芳香族ポリアミンとしてDETDAを用い、更に冬季配合においては酸無水物硬化促進剤を使用することにより、防水材に必要な物性と、年間を通して適度な可使時間と良好な硬化性を併せ持つ防水材組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明[I]は、ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、主剤のポリイソシアナートがビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含み、主剤のイソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が1.4〜5.5質量%であり、硬化剤の芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含む、2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物である。
本発明[II]は、被着体に対し、プライマー層を施した後、またはプライマー層と防水層を施した後に、本発明[I]の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法である。
本発明[III]は、被着体に対し、通気緩衝シート、高分子シート、防根シートまたは高分子塗膜材を施した後に、本発明[I]の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法である。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、主剤のポリイソシアナートがビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含み、主剤のイソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が1.4〜5.5質量%であり、硬化剤の芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含む、2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[2]主剤のポリイソシアナートが1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンである、[1]に記載の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[3]硬化剤中の芳香族ポリアミンの50当量%超がジエチルトルエンジアミンである、[1]または[2]に記載の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[4]被着体に対し、プライマー層を施した後に、またはプライマー層と防水層を施した後に、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
[5]被着体に対し、通気緩衝シート、高分子シート、防根シートまたは高分子塗膜材を施した後に、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の2液常温硬化型手塗り用防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
本発明の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材は、夏季の使用において発泡現象等の施工上の問題を起こさずに、十分な可使時間を確保することができ、冬季においては促進剤を選定することで可使時間を保持した上で低温硬化性の良い防水材とすることができる。さらに、原材料として特定化学物質を用いず、促進剤として鉛化合物も用いないため、優れた環境対応型防水材となる。
本発明は、2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物に関する。ここで、2液とは、主剤と硬化剤の2つをいう。常温硬化型とは、外気温で硬化する性質を有するものであることをいい、すなわち敢えて熱を加えることをせずに周囲の自然環境に放置することによって硬化させるタイプであることをいう。手塗り用とは、コテ、ヘラ、ローラー、刷毛等を用いて人の手で塗って使用するものであることをいう。
本発明の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物は、ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなり、主剤のポリイソシアナートがビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含み、主剤のイソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が1.4〜5.5質量%であり、硬化剤の芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含む。
(主剤ポリイソシアナート)
主剤はポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む。本発明は、ポリイソシアナートとしてビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む必要があり、ポリイソシアナートの80当量%以上がビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンであることが好ましく、90当量%以上であることがより好ましく、95当量%以上であることが最も好ましい。ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが80当量%未満では十分な可使時間を有した物性の良い防水材とはなり難い。ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとは、具体的には、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、またはそれらの混合物である。
尚、一部その他のポリイソシアナートを併用することができる。併用できるイソシアナートとしては、反応性の穏やかな、脂肪族あるいは脂環族ポリイソシアナートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水添トリレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート、水添ジフェニルメタンジイソシアナート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアナート等が挙げられる。また、TDI、キシリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナートといった芳香族ポリイソシアナートも一部使用することができるが、TDIは労働安全衛生法の特定化学物質であり、環境的な面より好ましくない。
(主剤ポリオール)
主剤に用いるポリオールとしては、通常ウレタン防水材の主剤に用いられるポリオールを用いることができるが、低粘度で施工性のよい主剤とするためには、分子量が300〜8000のポリオキシプロピレンポリオールやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールといったポリエーテル系ポリオールを用いることが好ましい。また、ポリエステル系などその他の高分子量ポリオールも一部であれば使用することができる。
さらに、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールといった短鎖ポリオールも使用することができる。
(主剤NCO含有量)
一般的に、可使時間を確保するためには、主剤のNCO含有量を少なくすることが効果的であるが、その結果硬化性が低下したりウレタン防水材として必要とされる強度や耐熱性・耐アルカリ性といった耐久性が低下するという問題が発生してしまう。
しかし本発明のウレタン防水材は、比較的NCO含有量が低い領域においてもウレタン防水材に必要とされる強度や耐久性を確保することができる。本発明において、主剤のNCO含有量を1.4〜5.5質量%の範囲にすることで、十分な可使時間を有した上でウレタン防水材に必要とされる強度や耐久性を確保することができる。尚、可使時間確保および施工可能時間確保の面より、NCO含有量が1.5〜5.0質量%であることが好ましく、1.6〜4.5質量%であることがより好ましく、さらには1.8〜4.0質量%であることが最も好ましい。NCO含有量が1.4質量%未満では、ウレタン防水材に必要とされる強度や耐久性を確保することが難しくなり、5.5質量%超では可使時間の確保が難しくなる。
(主剤NCO基/OH基当量比)
本発明で使用する主剤製造時のイソシアナート基とポリオールのOH基との比である、NCO基/OH基当量比は1.4〜2.7の範囲であることが好ましく、1.5以上2.5未満であることがより好ましく、1.6以上2.3未満であることが最も好ましい。従来のTDIを用いた主剤と異なり、製造時のNCO基/OH基が1.5近辺であっても反応を簡単に完結させることができ、比較的低粘度で貯蔵安定性の良い主剤を製造することができる。
尚、NCO基/OH基当量比が1.4未満になると増粘が激しくなり、2.7超では可使時間の確保や物性に悪影響を与える。
(主剤の合成)
本発明のイソシアナート基末端プレポリマーの合成方法では、単に加熱するだけでは反応が促進しにくいため、反応促進剤を用いることが好ましい。一般的なウレタン化反応促進剤が使用できるが、なかでもジブチル錫ジラウレートやジオクチル錫ジラウレートといった有機第2錫触媒が好ましく、0.0001〜0.1質量%といった少量の添加で効率的に反応を促進させることができる。反応温度は60〜100℃であることが好ましく、2〜6時間程度で反応を完結させることができる。尚、反応終了後には、リン酸等により反応促進剤を失活させておく方が好ましい。
(硬化剤中の芳香族ポリアミン)
硬化剤は、芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む。芳香族ポリアミンはジエチルトルエンジアミン(DETDA)を含む。DETDAには、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミンなどの異性体が存在するが、いずれの異性体を用いてもよく、またそれらの混合物を用いてもよい。工業用としては例えばアルベマール社製のエタキュア100(2,4−異性体/2,6−異性体の質量比80/20)などが入手できる。
また、芳香族ポリアミンの50当量%超がDETDAであることが好ましく、55当量%超であることがより好ましく、60当量%超であることが最も好ましい。高凝集性で高反応性でありしかも液状で溶解性の良いDETDAが50当量%超でないと、硬化性が良くしかも高物性の防水材とすることができない。
尚、DETDAと併用できる芳香族ポリアミンとしては、DETDAと同様の高反応性であるクミアイ化学工業株式会社製のキュアハードMED(4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤハード(登録商標)AA(4,4′−メチレンビス(2−エチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤボンド(登録商標)C−300(4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤボンド(登録商標)C−400(4,4′−メチレンビス(2,6−ジiso−プロピルアニリン))等が挙げられる。
また、低反応性の芳香族ポリアミンではあるが、アルベマール社製のエタキュア420(4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン))、アルベマール社製のエタキュア300(ジメチルチオトルエンジアミン)、クミアイ化学株式会社製のエラスマー(登録商標)650P(ポリテトラメチレングリコールビス(p−アミノベンゾエート))、クミアイ化学株式会社製のポレアSL−100A(ポリ(テトラメチレン/3−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールビス(4−アミノベンゾエート))等が使用できる。その中で、エタキュア420はDETDAほど高凝集性ではないが、低反応性であるため可使時間を延長させる効果があり、しかも硬化性をあまり悪くさせないという特徴があるため、特に好ましく使用することができる。
(主剤NCO/硬化剤NH当量比)
また、ウレタン防水材に必要とされる強度や耐久性は、硬化剤中の芳香族ポリアミン量に依存するところが大きいため、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比を、0.8〜1.6の範囲にすることが好ましく、0.9〜1.5にすることがより好ましく、0.95〜1.4にすることが最も好ましい。イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が0.8未満では芳香族アミノ基が過剰であるため硬化物の高分子量化が不十分となり低物性化してしまい、1.6超では芳香族ポリアミン量が少なくなり強度や耐久性が不十分になってしまい、硬化性も低下してしまう。
(可塑剤)
本発明では、可塑剤の使用量は、主剤中のプレポリマー成分100質量部に対し、可使時間確保および物性の面より15〜90質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。可塑剤量が15質量部未満では、可使時間を十分確保した経済性のあるウレタン防水材とはなり難く、90質量部を超えるとウレタン防水材に必要とされる強度や耐久性を確保することが難しくなり、可塑剤のブリードアウトも激しくなる。尚、可塑剤は硬化剤に配合することが原則であるが、一部主剤側に配合することもできる。
本発明で用いる可塑剤としては、ウレタン樹脂に一般的に配合できる可塑剤を使用することができる。具体例として、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)などのフタル酸エステル類、脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、セバシン酸エステル類、エポキシ脂肪酸エステル類、グリコールエステル類、動植物油系脂肪酸エステル類、石油・鉱物油系可塑剤、アルキレンオキシド重合系可塑剤等が挙げられる。中でも、引火点が200℃以上である、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)は長期的にも質量減少を起こし難く、芳香族ポリエステルであり加水分解も起こし難いため、好ましく使用することができる。なお、硬化剤中に溶剤を使用することもできるが、施工後の揮発により収縮を起こす危険性や無機充填剤を沈降しやすくする傾向があり、環境面での問題もあるため5質量%以内で用いることが好ましく、使用しないことがより好ましい。
(無機充填剤)
また、本発明は、硬化剤に無機充填剤を配合する必要がある。無機充填剤の補強効果なしでウレタン防水材必要とされる強度を確保するのは効率的でなく、また無機充填剤を配合することで経済性に優れた汎用性のある防水材とすることができる。無機充填剤は硬化剤の総量を基準として20〜80質量%配合することが好ましい。20質量%未満では補強効果が不十分でありまた経済性を損なってしまい、80質量%を超えると増粘が高くなり施工性が悪化してしまう。
本発明は、硬化剤側に可塑剤を比較的多く配合することで、無機充填剤も多く配合することができ、それにより主剤/硬化剤の配合比1/2(質量比)も可能となるため、経済性に優れた汎用性のある防水材とすることができ、可使時間を確保した上でウレタン防水材に必要とされる強度や耐久性を十分にクリアーした防水材にすることができる。
無機充填剤としては炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムは経済効果が高いと同時に、硬化剤製造時の分散性が良好であり多量に配合しても増粘性が少なく、硬化剤貯蔵時の沈降性を少なくすることも容易であり、物性面での補強効果も高い。尚、炭酸カルシウムには、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、表面処理コロイダル炭酸カルシウム等種々の炭酸カルシウムがあるが、いずれの炭酸カルシウムも使用することができる。
また、シリカ、カオリン、タルク、ベントナイト、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム等の無機充填剤を一部使用することができる。尚、上記のような無機充填剤は付着水を含有し、この付着水がイソシアナート基と徐々に反応すると思われるが、付着水は活性水素とみなしていないのが一般的である。また、主剤と硬化剤を混合する際に巻き込まれる湿分(水分)や、防水材塗布後に塗膜表面より吸収される湿分(水分)もある程度イソシアナート基と反応するとされるのが一般的である。
(硬化促進剤)
本発明においては、硬化剤中の芳香族ポリアミンとしてイソシアナート基との反応性が高いDETDAを含んでいるため、硬化促進剤は特に使用しなくても構わないが、速硬化性を必要とする場面や施工温度が低い冬季用配合、あるいは主剤NCO/硬化剤NH当量比が高く過剰のイソシアナート基と水分との反応を促進させる必要がある場合などにおいて、必要に応じて硬化促進剤を使用することができる。
本発明では、有機酸、有機酸金属塩、酸無水物、有機第2錫、イミダゾール化合物などの一般的なポリウレタン用硬化促進剤を用いることができる。有機酸としては具体的には、プロピオン酸、2−メチルペンタン酸、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、樹脂酸などが挙げられ、有機酸金属塩としては前記有機酸の亜鉛塩、ビスマス塩、マグネシウム塩、ジルコニウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、銅塩、鉛塩などが挙げられる。但し、有機酸鉛は環境上使用しないことが好ましい。
酸無水物としては、例えば、無水酢酸、プロピオン酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、テトラプロペニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
有機第2錫系化合物としては、例えばジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ2−エチルへキサノエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプタイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート、ジブチル錫オキシラウレート、ジオクチル錫ジネオデカネート、ジブチル錫ビスブチルマレート、ジオクチル錫2−エチルヘキシルマレートなどが挙げられる。
イミダゾール化合物としては、例えば1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールのような1位と2位に置換基を有する化合物や、1−メチルイミダゾール、1−アリルイミダゾールのような1位に置換基を有する化合物が使用できる。
上記促進剤の中でも酸無水物を主剤あるいは主剤と硬化剤を混合する時に添加した場合には、可使時間をあまり短縮させずに硬化性を促進させることができるため好ましい。さらに、酸無水物の中でも特に日立化成株式会社製のHN−2200(3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物と4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物の混合物)、日立化成株式会社製のMHAC−P(メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物)、新日本理化株式会社製のリカシッド(登録商標)MH−700(3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物/4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物=70/30の混合物)、三洋化成工業株式会社製のDSA(テトラプロペニルコハク酸無水物)などがより好ましい。尚、各促進剤は単独でも二種以上を併用しても構わない。また、その使用量は可使時間と硬化性のバランスを考慮して適宜決めることができる。
(その他添加剤)
その他、硬化剤には、湿潤剤、消泡剤、顔料、耐候性付与剤などの添加剤類を必要に応じて適量を配合することができる。
(主剤/硬化剤 配合比)
主剤と硬化剤の配合比は特に限定はされないが、質量比で1/1〜1/3の範囲であることが好ましく、1/1〜1/2であることがより好ましい。
(防水工法)
また、本発明の2液常温硬化型環境対応手塗り用ウレタン防水材は、コンクリート等の無機系下地に対し直接塗布することはできない。無機系下地の場合はウレタン防水材とは接着しないため、下地の水分をある程度遮蔽し接着性を確保することのできるプライマーを塗布した後に、施工することができる。また改修時を含め、既存ウレタン防水層の上に場合によっては仲介プライマーを施し施工することができる。また、無機系下地に対し通気緩衝シート、塩ビシート等高分子系シート、ゴムシート、不織布シートをプライマー、接着剤、機械固定、置き敷き等で固定した上に施工することができる。さらに、金属系下地の場合も直接本願のウレタン防水材を塗布しても接着性は確保できないため、専用のプライマーを塗布した後に塗布することができる。
本発明は、アスファルト系防水層の改修を目的とはしておらず、コンクリート等の無機下地、金属系下地、高分子系樹脂下地、ゴム下地の防水および保護を目的としたものである。また、本発明の2液常温硬化型環境対応手塗り用ウレタン防水材は日光が直接当たるような部分に使用する場合はトップコートを塗布することが原則となる。
原材料
以下の実施例および比較例で用いた原材料は、次のとおりである。
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン: タケネート600、三井化学株式会社製
T−100: コロネート(登録商標)T−100、2,4−トリレンジイソシアナート100%含有品、NCO含有量48.3質量%、東ソー株式会社製
NBDI: コスモネートNBDI、ノルボルナンジイソシアナート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの混合物、三井化学株式会社製
サンニックスPP−2000: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量2000、OH価56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGH−5000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量5000、OH価:33.7mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGH−3000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3000、OH価:56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGP−600: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量600、OH価:280.5mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
MC−2000ソルベント: ノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、三協化学株式会社製
ジオクチル錫ジラウレート: KS−1200A−1,共同薬品株式会社製
DETDA: エタキュア100、ジエチルトルエンジアミン、アルベマール日本株式会社製
エタキュア420: 4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、芳香族二級ジアミン、アルベマール社製
DINP: サンソサイザーDINP、ジイソノニルフタレート、新日本理化株式会社製
炭酸カルシウム NS#100: NS#100、炭酸カルシウム、日東粉化工業株式会社製
添加剤類: 楠本化成株式会社製
HN−2200: テトラヒドロメチル無水フタル酸、日立化成株式会社製
2−エチルヘキサン酸: オクチル酸、東洋合成工業株式会社製
主剤の調製
表1〜6の配合に従って、四つ口フラスコにポリオールと溶剤とジオクチル錫ジラウレートを仕込み、次いでポリイソシアナート化合物を仕込んだ。その後攪拌しながら85〜95℃で2〜7時間反応させて各主剤を得た。
硬化剤の調製
表1〜6の配合に従って、金属容器に液物を仕込み、攪拌機(ディゾルバー羽根)で低速混合し均一にした後、炭酸カルシウムを配合し1500rpmで15分間混合して各硬化剤を得た。
実施例1〜3
実施例1〜3は表1の配合に従って、主剤と硬化剤を得た。これら主剤と硬化剤を質量比1:2で混合しウレタン防水材組成物を得た。
硬化剤に芳香族ポリアミンとしてDETDAを用い、主剤のNCO含有量がそれぞれ2.90、2.41、1.92質量%である実施例1、2、3は、23℃での可使時間はいずれも30分以上を確保していた。また、23℃および5℃での施工性ではいずれも翌日施工が可能な範囲であった。さらに、得られた塗膜はいずれも高伸長形手塗り用ウレタン防水材として良好な初期物性と十分な耐熱・耐アルカリ性を示した。
比較例1
比較例1は主剤のポリイソシアナート化合物に、特化物であるTDIの中でも特殊品であるT−100(2,4−異性体100%)を使用しているDETDA架橋型防水材組成物の例である。
得られた塗膜は高伸長形手塗り用ウレタン防水材として良好な初期物性と耐熱物性を示しているが、23℃での可使時間が43分であり、夏用配合としては不十分であった。
比較例2
主剤のポリイソシアナート化合物をビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンからNBDI(ノルボルナンジイソシアナート)に替えた以外は実施例1と同様に実施した例である。得られた塗膜は高伸長形手塗り用ウレタン防水材として良好な初期物性と耐熱物性を示しているが、23℃での可使時間が26分であり、冬用配合としても不十分であった。
実施例4〜6
実施例4〜6は表3の配合に従って、主剤と硬化剤を得た。これら主剤と硬化剤を質量比1:2で混合しウレタン防水材組成物を得た。
実施例4は実施例1と同じ主剤に対して、芳香族ポリアミンとしてDETDAとエタキュア420を70:30の当量比で含む硬化剤を使用した例である。実施例5,6はそれぞれ実施例2、3と同じ主剤に対して、芳香族ポリアミンとしてDETDAとエタキュア420を80:20の当量比で含む硬化剤を使用した例である。硬化剤に芳香族ポリアミンとしてDETDAとエタキュア420を併用したことにより、23℃での可使時間はいずれも十分に長く、また23℃での施工性ではいずれも翌日施工が十分に可能な範囲となり、夏用配合として有効であった。さらに、得られた塗膜はいずれも高伸長形手塗り用ウレタン防水材として良好な初期物性と十分な耐熱・耐アルカリ性を示した。
実施例7
実施例7は、硬化剤100gに対して、硬化促進剤である2−エチルヘキサン酸を0.20g添加した以外は、実施例5と同様に実施した例である。
実施例7は、23℃での可使時間は32分とやや短めであるが、5℃での施工可能時間は14時間と冬季条件でも翌日施工が可能であった。また、得られた塗膜は高伸長形手塗り用ウレタン防水材として良好な初期物性と十分な耐熱・耐アルカリ性を示した。
実施例8、9
実施例8、9は、主剤100gに対して、酸無水物硬化促進剤であるHN−2200を0.5g添加した以外は、それぞれ実施例2、5と同様に実施した例である。
実施例8、9は、23℃での可使時間はそれぞれ44、56分と実施例2、5に比べるとやや短くなるが、5℃での施工可能時間は12、14時間と大幅に短縮され冬季条件でも翌日施工が可能であった。また、得られた塗膜は高伸長形手塗り用ウレタン防水材として良好な初期物性と十分な耐熱・耐アルカリ性を示した。
実施例10、11
実施例10、11は主剤と硬化剤の混合比を、おのおの質量比1:1.5、1:1に変えた以外は実施例4と同様に実施した例である。
実施例10、11は、23℃での可使時間はそれぞれ51、42分と実施例4に比べるとやや短くなるが、23℃での施工可能時間は9、7時間と短縮され十分に翌日施工が可能であった。また、得られた塗膜の機械物性は実施例2と比べると引張強さ、引裂き強さが増加しており、より強度を必要とする防水材に有用であった。
実施例12、13、14
実施例12は硬化剤中のDETDAとエタキュア420の当量比を70:30から60:40に変えた以外は実施例10と同様に実施した例である。
実施例12は、23℃での可使時間は63分と実施例10に比べると長くなるが、23℃での施工可能時間は12時間と翌日施工が可能であった。得られた塗膜は高伸長形手塗り用ウレタン防水材として良好な初期物性と十分な耐熱・耐アルカリ性を示した。
実施例13、14は主剤のNCO含有量がそれぞれ3.50、4.01質量%に変えた以外は実施例12と同様に実施した例である。実施例13、14は、23℃での可使時間はそれぞれ46、37分と実施例12に比べるとやや短くなるが、23℃での施工可能時間はそれぞれ9、8時間と短縮され翌日施工が可能であった。また、得られた塗膜の機械物性は実施例12と比べると引張強さ、引裂き強さが増加しており、より強度を必要とする防水材に有用であった。
実施例15
実施例15は主剤のポリオールを表6の配合に変え、主剤のNCO含有量を3.73、質量%とした以外は実施例12と同様に実施した例である。
実施例15は、23℃での可使時間は54分と実施例12に比べるとやや短くなるが、23℃での施工可能時間は12時間と翌日施工が可能であった。また、得られた塗膜の機械物性は実施例12と比べると引張強さ、引裂き強さが増加しており、より強度を必要とする防水材に有用であった。
なお、各評価項目の測定方法は次のとおりである。
[NCO(質量%)]
200mLの三角フラスコに主剤約1gを精秤し、これに0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLおよび適量のブロムフェノールブルーを加えた後メタノール約100mLを加え溶解する。この混合液を0.25N塩酸溶液で滴定する。NCO(質量%)は以下の式によって求められる。
NCO(質量%)=(ブランク滴定値−0.5N塩酸溶液滴定値)×4.202×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷サンプル質量
[可使時間(分)]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合開始から、BH型粘度計で2rpmにおける粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を測定した。
[施工可能時間(時間)]
23℃または5℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m塗布し、完全には硬化していないが、塗膜上を靴で歩行が可能となり、次工程の作業を開始できるまでの時間を測定した。
[引張強さ(N/mm)]
養生条件を23℃、湿度50%で7日とした試験片について、JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS A 6021のウレタンゴム系高伸長形では引張強さは2.3N/mm以上)。
[破断時の伸び率(%)]
養生条件を23℃、湿度50%で7日とした試験片について、JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS A 6021のウレタンゴム系高伸長形では破断時の伸び率は450%以上)。
[引裂き強さ(N/mm)]
養生条件を23℃、湿度50%で7日とした試験片について、JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS A 6021のウレタンゴム系高伸長形では引裂き強さは14N/mm以上)。
[加熱処理後の引張強さ比(%)(耐熱性)]
23℃、湿度50%で7日養生後、80℃の乾燥機に28日(JIS A 6021では80℃で7日)入れて加熱処理した試験片について、JIS A 6021に基づいて行い、処理前に対する引張強さ比(%)を求めた(JIS A 6021のウレタンゴム系高伸長形では引張強さ比は80℃、7日で80%以上)。
[アルカリ処理後の引張強さ比(%)(耐アルカリ性)]
23℃、湿度50%で7日養生後、アルカリ処理条件を60℃、7日(JIS A 6021では23℃で7日)に変えた以外は、JIS A 6021に基づいて行い、処理前に対する引張強さ比(%)および破断時の伸び率(%)を求めた(JIS A 6021のウレタンゴム系高伸長形では引張強さ比は23℃、7日で60%以上)。
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本発明の組成物は、高伸長2液常温硬化型環境対応手塗り用ウレタン防水材として、建築物の屋上やマンション等の集合住宅のベランダ等の防水に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、主剤のポリイソシアナートがビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含み、ポリイソシアナートの80当量%以上がビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンであり、主剤のイソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が1.4〜5.5質量%であり、硬化剤の芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含む、2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  2. 主剤のポリイソシアナートが1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンである、請求項1に記載の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  3. 硬化剤中の芳香族ポリアミンの50当量%超がジエチルトルエンジアミンである、請求項1または2に記載の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  4. 被着体に対し、プライマー層を施した後に、またはプライマー層と防水層を施した後に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
  5. 被着体に対し、通気緩衝シート、高分子シート、防根シートまたは高分子塗膜材を施した後に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液常温硬化型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
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