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JP6908978B2 - 歯肉ケア剤及びそれを含有する歯肉ケア用口腔用組成物 - Google Patents

歯肉ケア剤及びそれを含有する歯肉ケア用口腔用組成物 Download PDF

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JP6908978B2 JP2016155030A JP2016155030A JP6908978B2 JP 6908978 B2 JP6908978 B2 JP 6908978B2 JP 2016155030 A JP2016155030 A JP 2016155030A JP 2016155030 A JP2016155030 A JP 2016155030A JP 6908978 B2 JP6908978 B2 JP 6908978B2
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Description

本発明は歯肉に作用して所期の効果を発揮する歯肉ケア剤、及びそれを含有する歯肉ケア用口腔用組成物に関する。具体的には、本発明は、歯肉の細胞同士の接着に関与する細胞間接着因子の発現を増強するために使用される歯肉ケア剤(細胞間接着因子発現増強剤)、または歯肉を強化するために使用される歯肉ケア剤(歯肉強化剤)、及びそれを含有する歯肉ケア用口腔用組成物に関する。
歯肉は、強いブラッシングや義歯による圧迫などの物理的刺激(メカニカルストレス)、歯周病原菌の内毒素などの化学的刺激に曝されると、炎症性メディエーターや炎症性サイトカインにより組織破壊が進んで細胞間バリアー機能が低下し、歯肉退縮、義歯性口内炎、または歯槽膿漏などの疾患が生じることが知られている(例えば、非特許文献1〜5等参照)。特に歯周病の発症は、歯肉上皮の細胞間接着が弱まることによって開始すると考えられている。歯肉上皮には、細胞間接着因子としてEカドヘリンが発現しており、歯肉上皮の機能(細胞と細胞を強固に接着させる機能)維持に深く関わっていると考えられているが、細胞間接着不全は、当該細胞間接着因子(タンパク)の発現低下、細胞間接着装置の機能低下によって引き起こされるとされている。歯周病の発症と深く関わりがある歯周ポケットの形成は、歯面から歯肉上皮が剥がれるのではなく、細胞間接着不全により歯肉上皮の細胞間に間隙ができることによって始まり、次いで炎症性細胞の浸潤が起こり、さらには炎症性細胞が分泌する酵素などによって組織破壊が起こることで歯周病に進展していく(非特許文献5)。
従来、歯肉への物理的な刺激を低減する方法として、毛先の形状を工夫して歯肉為害性を低減した歯ブラシ(特許文献1)や、軟弾性を発現して歯茎への負担を軽減する効果のある義歯安定剤(特許文献2)が提案されている。最近の研究では、物理的並びに化学的刺激に対して強い歯肉にすることが重要だと言われており、歯肉の物理的バリアである細胞間接着装置(デスモソーム、タイトジャンクション)を正常に保つための方法として、胃粘膜保護成分であるイルソグラジンマレイン酸を利用することが提案されている(非特許文献5)。
ところで、ε−アミノカプロン酸やトラネキサム酸等の抗プラスミン剤には、血液凝固を阻害するプラスミンに拮抗する作用によって、口腔内の炎症や出血を抑制できることが知られており、抗プラスミン剤を配合した口腔用組成物も報告されている(特許文献3)。
しかしながら、これらの成分に、歯肉上皮の細胞間接着因子の遺伝子発現を増強し、細胞間接着を強固にする作用があることについては知られていない。
特開2001-353026号公報 特開2011-63538号公報 特開2002-20250号公報
壽永旭博ら、「メカニカルストレスを加えた歯肉上皮細胞に発現される炎症性メディエーターの解析」、日本補綴歯科学会雑誌 52(3): 439-439, 2008 壽永旭博ら、「メカニカルストレスを負荷した歯肉上皮細胞における炎症反応について」、Journal of Oral Biosciences 50(suppl): 126-126, 2008 壽永旭博ら、「メカニカルストレスを負荷した歯肉上皮細胞におけるヒアルロン酸による炎症抑制効果について」、九州歯科学会雑誌 63(5/6): 292, 2010 住田光信ら、「義歯床下粘膜の炎症について」、日本補綴歯科学会雑誌 5(2): 189-192, 1961 藤田剛、日歯周誌 55(4):287―293, 2013
本発明は、細胞間接着を強くすることで歯肉を強化し、歯肉の退縮を抑制したり、歯周ポケットの形成を抑制する方法を提供することを課題とする。より詳細には、細胞間接着因子の発現量を増強させることで刺激に強い歯肉にするための歯肉ケア剤、具体的には、細胞間接着因子発現増強剤、及び歯肉強化剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究したところ、ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩が歯肉の細胞間接着因子の遺伝子発現量を増強させることを見出した。かかる知見から、これらの成分によれば、物理的または化学的刺激に対して強い歯肉にすることができ、歯肉の退縮を抑制したり、また歯周ポケットの形成を抑制することができる。
本発明はかかる知見に基づき完成されたものであり、下記の実施態様を包含するものである。
(I)歯肉ケア剤
(I−1)ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩を含む歯肉ケア剤。
(I−2)前記歯肉ケア剤が細胞間接着因子発現増強剤である、(I−1)記載の歯肉ケア剤。
(I−3)前記歯肉ケア剤が歯肉強化剤である(I−1)に記載する歯肉ケア剤。
(I−4)前記歯肉ケア剤の歯肉強化作用が、細胞間接着因子の遺伝子発現を増強する作用に起因するものである(I−3)に記載する歯肉ケア剤。
(I−5)前記細胞間接着因子がEカドヘリンである(I−2)または(I−4)に記載する歯肉ケア剤。
(II)歯肉ケア用口腔用組成物
(II−1)(I−1)〜(I−5)のいずれかに記載する歯肉ケア剤を含有する歯肉ケア用口腔用組成物。
(III)歯肉ケア方法
(III−1)ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩を含む口腔用組成物を用いて被験者の口腔内を処理する工程を有する歯肉ケア方法。
(III−2)前記歯肉ケア方法が、被験者の歯肉に対する歯肉強化方法である、(III−1)に記載する方法。
(III−3)前記歯肉ケア方法が、被験者の歯肉に対する歯肉退縮抑制方法または歯周ポケット形成抑制方法である、(III−1)に記載する方法。
本発明の歯肉ケア剤を含む歯肉ケア用口腔用組成物で、口腔内を処理することで、歯肉上皮の細胞間接着因子の遺伝子発現を増強することができ、その結果、歯肉上皮の細胞間接着を増強することで歯肉を強化し、歯肉の退縮を抑制したり、歯周ポケットの形成を抑制することができる。
(I)歯肉ケア剤
本発明の歯肉ケア剤は、ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩を含むことを特徴とする。
以下、本発明の歯肉ケア剤に含まれる成分、及び歯肉ケア剤について説明する。
(A)ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩
ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩は、抗プラスミン効果、止血効果、抗炎症効果を有し、化粧品や医薬品などに広く使用されている。ε−アミノカプロン酸の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される限り特に制限されないが、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;塩酸塩、硫酸塩等の無機酸塩等が挙げられる。これらのε−アミノカプロン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の歯肉ケア剤において、ε−アミノカプロン酸またはその塩のいずれか一方を単独で使用してもよく、またこれらを組み合わせて使用してもよい。好ましくはε−アミノカプロン酸である。これらのε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩は、化粧品または医薬品原料として商業的に入手することができ、例えばε−アミノカプロン酸は日本理化学薬品株式会社、協和ファーマケミカル株式会社等から入手することができる。 本発明の歯肉ケア剤における当該ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩の配合量は、歯肉ケア剤100質量%中、0.001〜1質量%の範囲を挙げることができる。好ましくは0.005〜0.5質量%、より好ましくは0.01〜0.2質量%である。
(B)その他の成分、及びその形態
本発明の歯肉ケア剤は、後述するように口腔用組成物に薬理作用(歯肉ケア作用)を有する有効成分として配合して使用される。本発明の歯肉ケア剤は、前記ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩からなるものであってもよいし、前記成分に加えて、本発明の効果を妨げない範囲で、任意に他の成分を含有するものであってもよい。かかる他の成分としては、当技術分野においてよく知られている1つまたは複数の添加剤(例えば、賦形剤、希釈剤、増粘剤、緩衝剤、保存剤、表面活性剤、界面活性剤、結合剤、分散剤、崩壊剤、溶剤)を制限なく挙げることができる。その他、抗酸化剤、安定剤、乳化剤、防腐剤、着色剤、甘味剤、着香剤を配合することもできる。
本発明の歯肉ケア剤は、当該技術分野においてその製剤形態に応じて、それを調製するための成分を配合することができる。歯肉ケア剤の形態としては、液状、ゲル状、クリーム状(ペースト状)、粉末状(散剤状)、顆粒状、錠剤状、フィルム状、シート状等を制限なく例示することができる。
(C)歯肉ケア剤の作用及び用途
本発明の歯肉ケア剤は、後述する実験例で示すように、歯肉上皮の細胞間接着因子であるEカドヘリンの遺伝子発現を増強する作用を有する。
このため、本発明の歯肉ケア剤は歯肉上皮の細胞間接着因子の発現を増強するための製剤(細胞間接着因子発現増強剤)として有効に使用することができる。また本発明の歯肉ケア剤は、細胞間接着因子発現増強剤による歯肉上皮の細胞間接着を強固にするための製剤(細胞間接着増強剤)として有効に使用することができる。
また本発明の歯肉ケア剤は、細胞間接着を増強して歯肉を強化することで、細胞間接着不全によって生じる歯肉の退縮(歯茎の痩せ)を抑制するために有効に使用することができる。
さらに本発明の歯肉ケア剤は、細胞間接着を増強して歯肉を強化することで、細胞間接着不全によって生じる歯周ポケットの形成を抑制するために有効に使用することができる。
つまり、本発明の歯肉ケア剤は細胞間接着を増強することで歯肉を総合的に強化することができるため、歯肉強化剤として有効に使用することができる。
これら各種の歯肉ケア剤(細胞間接着因子発現増強剤、歯肉退縮抑制剤、歯周ポケット形成抑制剤、歯肉強化剤)は、口腔用組成物に添加配合され、歯肉ケア用口腔用組成物として口腔内に適用することでその効果を発揮することができる。このため、本発明の歯肉ケア剤は各種の口腔用組成物に添加配合されて使用される。
かかる口腔用組成物としては、歯磨き剤(粉末状、液体状、クリーム状、ペースト状の製剤を含む)、洗口剤(液体状、フォーム状の製剤を含む)、軟膏剤、パスタ剤、歯肉クリーム、歯肉ゲル、義歯安定剤、トローチ剤、咀嚼剤(チューインガム、グミ等を含む)、貼付剤(フィルム、パック)等を例示することができる。これらの口腔用組成物は、各形態に応じて、当該分野で使用される各種の成分を配合することができ、本発明の効果を妨げない限り、それを制限するものではない。例えば、歯磨き剤の場合、本発明の効果を妨げない範囲で、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、発泡剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、香料、着色料、pH調整剤、その他の薬用成分を配合することができる。
これらの口腔用組成物に添加配合して使用される場合の本発明の歯肉ケア剤の配合割合として、口腔用組成物を100質量%とすると、本発明の歯肉ケア剤の有効成分であるε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩の割合は、0.001〜1質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%、より好ましくは0.01〜0.2質量%である。
また口腔用組成物に配合するε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩の濃度として、75〜75000μM、好ましくは375〜37500μM、より好ましくは750〜15000μMを挙げることができる。
(II)歯肉ケア用口腔用組成物
本発明は、前記歯肉ケア剤(細胞間接着因子発現増強剤、歯肉退縮抑制剤、歯周ポケット形成抑制剤、歯肉強化剤)を有効成分として含有する歯肉ケア用の口腔用組成物である。当該口腔用組成物は歯肉ケアのために有効に使用することができる。具体的は、歯肉の退縮(歯茎の痩せ)を抑制するために、または歯周ポケット形成を抑制するために、または歯肉を強化するために使用することができる。
前述するように、本発明の歯肉ケア用口腔用組成物に添加配合する歯肉ケア剤の配合割合としては、歯肉ケア用口腔用組成物を100質量%とすると、歯肉ケア剤の有効成分であるε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩の割合に換算して通常0.001〜1質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%、より好ましくは0.01〜0.2質量%である。 また本発明の歯肉ケア用口腔用組成物に含まれるε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩の濃度として、75〜75000μM、好ましくは375〜37500μM、より好ましくは750〜15000μMを挙げることができる。
本発明の歯肉ケア用口腔用組成物には、歯磨き剤(粉末状、液体状、クリーム状、ペースト状の製剤を含む)、洗口剤(液体状、フォーム状の製剤を含む)、軟膏剤、パスタ剤、歯肉クリーム、歯肉ゲル、義歯安定剤、トローチ剤、咀嚼剤(チューインガム、グミ等を含む)、貼付剤(フィルム、パック)等を例示することができる。これらの歯肉ケア用口腔用組成物は、各形態に応じて、当該分野で使用される各種の成分を配合することができ、本発明の効果を妨げない限り、それを制限するものではない。例えば、歯磨き剤の場合、本発明の効果を妨げない範囲で、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、発泡剤、粘稠剤、界面活性剤、甘味剤、香料、着色料、防腐剤、その他の薬用成分(例えば、抗炎症剤など)を配合することができる。
[研磨剤]沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、歯磨用リン酸水素カルシウム、第二リン酸カルシウム2水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム等のリン酸系研磨剤、水酸化アルミニウム、アルミナ、二酸化チタン、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム、第八リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤。
[湿潤剤]グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、マルチトール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、キシリトール等の多価アルコール等。
[粘結剤]カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系粘結剤、キサンタンガム、カラギーナン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、カチオン化セルロース、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム等。
[発泡剤]ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-アシルグルタメート等のN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等。
[粘稠剤]グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、還元でんぷん糖化物等。
[界面活性剤]アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等を配合できる。アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、アルキルグルコシド、ラウリン酸デカグリセリル等が用いられる。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインや、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等。
[甘味剤]サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、スクラロース、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトール、マルチトール等。
[香料]ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料や、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等。
[着色料]青色1号、黄色4号、緑色3号等。
[防腐剤]メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等。
[薬用成分]フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズなどのフッ素化合物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、ポリリン酸ナトリウム、トラネキサム酸、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、塩酸ピリドキシン、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、アズレンスルホン酸ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン、グリチルレチン酸、グルコン酸銅、銅クロロフィリンナトリウム等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、ゼオライト、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エピジヒドロコレステリン、塩化セチルピリジウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、ラウロイルサルコシンナトリウム、ジヒドロコレステロール、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物、塩化リゾチーム、塩化ナトリウム等。
なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で当業界で使用される通常の量とすることができる。
(III)歯肉ケア方法
本発明は、被験者の歯肉をケアする方法に関する。ここで歯肉のケアとは、被験者の歯肉上皮の細胞間接着不全を抑制すること、歯肉の退縮を抑制すること、歯周ポケット形成を抑制すること、または歯肉を強化することのいずれか少なくとも一つを為すことを意味する。
当該方法は、ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩を含む口腔用組成物を用いて被験者の口腔内を処理することで実施することができる。
ここで使用する口腔用組成物は前述した本発明の歯肉ケア用口腔用組成物であり、各口腔用組成物の用途に応じて通常の使用をすることで被験者の口腔内を処理することができる。例えば、歯肉ケア用口腔用組成物が歯磨き剤である場合、当該歯肉ケア用口腔用組成物を用いて被験者の歯を磨くことで本発明の歯肉ケア方法を実施することができる。また、歯肉ケア用口腔用組成物が洗口剤である場合、当該歯肉ケア用口腔用組成物を用いて被験者の口腔を洗浄(リンス)することで本発明の歯肉ケア方法を実施することができる。
歯肉ケアする回数は特に制限されず、1日に1回乃至複数回、好ましくは食後、または/及び就寝前後に実施することができる。
以下、実験例及び実施例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実験例に何ら制限されるものではない。
実験例1 Eカドヘリンの遺伝子発現評価試験
(1)試験方法
ヒト歯肉上皮細胞株OBA9をHuMedia−KG2培地(KURABO社)で培養した。6ウェルプレートに細胞を3×10個/ウェルで播種し、これを37℃、5%CO条件のインキュベータ−内でコンフルエントの状態になるまで培養した。その後、HuMedia−KG2培地(牛脳下垂体抽出液BPEを除く)(コントロール)、あるいは各種の被験物質を表1に記載する濃度で加えたHuMedia−KG2培地(牛脳下垂体抽出液BPEを除く)に交換し、同条件で24時間培養した。コントロールとして、被験物質を添加しない「無添加群」を用いた。なお、評価濃度は各物質について安全性が確認されている最も高い濃度を採用した
Figure 0006908978
細胞からの Total RNAの抽出は、RNeasy mini kit(QIAGEN社)を用い、添付マニュアルに従って調製した。RNA濃度は、BioPhotometer plus(Eppendorf社)を用い算出した。
500ngのTotal RNAを使い、Super Script VILO Master Mix kit(invitrogen社)を用い、添付マニュアルに従い逆転写反応を行った。
リアルタイムPCRは、StepOneplus リアルタイムPCR System(Applied Biosystems社)を用いて実施した。具体的には、Universal SYBR Select master mix(ライフテクノロジーズABI社)および表2に示した各種プライマー(100nM、シグマアルドリッチ社)を用い、コントロールを基準としてComparative CT(△△CT)法により遺伝子発現比較を実施した。内部標準遺伝子としてGAPDHの発現量を定量し、標準化した。得られた値から、下記式によりEカドヘリン遺伝子発現増強率(%)を算出した。
Figure 0006908978
Figure 0006908978
結果を表3に示す。
Figure 0006908978
表3に示すように、ε-アミノカプロン酸は、抗炎症作用や抗菌作用が知られている他の化合物と比較して、細胞間接着因子(Eカドヘリン)の遺伝子発現を有意に増強することが判明した。歯肉の物理的バリアである細胞間接着装置(デスモソーム、タイトジャンクション)を正常に保つために有用とされているイルソグラジンマレイン酸(非特許文献5)についても細胞間接着因子(Eカドヘリン)の遺伝子発現を増強する作用はなかった。
処方例
処方例1:ペースト状歯磨き剤
下記成分を混合し、常法に従ってペースト状歯磨き剤を調製する。
Figure 0006908978
処方例2:ペースト状歯磨き剤
下記成分を混合し、常法に従ってペースト状歯磨き剤を調製する。
Figure 0006908978
処方例3:ペースト状歯磨き剤
下記成分を混合し、常法に従ってペースト状歯磨き剤を調製する。
Figure 0006908978
処方例4:液体状歯磨き剤
下記成分を混合し、常法に従って液体状歯磨き剤を調製する。
Figure 0006908978
処方例5:洗口剤
下記成分を混合し、常法に従って洗口剤を調製する。
Figure 0006908978
配列番号1はEカドヘリン遺伝子の検出に使用したプライマーのセンス鎖の塩基配列、配列番号2はEカドヘリン遺伝子の検出に使用したプライマーのアンチセンス鎖の塩基配列、配列番号3はGAPDH遺伝子の検出に使用したプライマーのセンス鎖の塩基配列、配列番号4はGAPDH遺伝子の検出に使用したプライマーのアンチセンス鎖の塩基配列を示す。

Claims (2)

  1. ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩を含む歯肉上皮における細胞間接着因子発現増強剤であって、
    前記細胞間接着因子がEカドヘリンである、細胞間接着因子発現増強剤
    (但し、下記の組成物を除く:
    グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール、イソプロピルメチルフェノール、及び塩化セチルピリジウムを含む組成物;
    ポルフィロモナス・ジンジバリスが産生する酵素を免疫した鶏卵から得られる鶏卵抗体を含有する口腔用組成物;及び
    マグネシウム−ポリリン酸処理したリン酸−水素カルシウムを含む組成物。)。
  2. ε−アミノカプロン酸またはその薬学的に許容される塩を含む歯肉退縮抑制剤(但し、下記の組成物を除く:
    グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール、イソプロピルメチルフェノール、及び塩化セチルピリジウムを含む組成物;
    ポルフィロモナス・ジンジバリスが産生する酵素を免疫した鶏卵から得られる鶏卵抗体を含有する口腔用組成物;及び
    マグネシウム−ポリリン酸処理したリン酸−水素カルシウムを含む組成物。)。
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