JP6998023B2 - 非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法、非アルコール性脂肪肝疾患検出用キットおよび非アルコール性脂肪肝疾患検出用バイオマーカー - Google Patents
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Description
本発明の第2の態様によると、第1の態様の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、前記検出における、2-アミノアジピン酸に対応する検出信号の大きさに基づいて得られた、前記哺乳動物が、非アルコール性脂肪肝疾患を患っているか否かについての情報を出力する。
本発明の第3の態様によると、第2の態様の非アルコール性脂肪感疾患の検出方法において、前記検出信号の大きさに基づいて、前記試料における2-アミノアジピン酸の濃度を算出し、算出された前記濃度が所定の閾値に基づく条件を満たしているか否かに基づいて得られた、前記哺乳動物が非アルコール性脂肪肝疾患を患っているか否かについての情報を出力する。
本発明の第4の態様によると、第1から第3までのいずれかの態様の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、前記検出は、ガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、質量分析、ガスクロマトグラフィ/質量分析、液体クロマトグラフィ/質量分析、核磁気共鳴分光法、および免疫学的検出法の少なくとも一つにより行われる。
本発明の第5の態様によると、第1から第4までのいずれかの態様の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、前記哺乳動物は、人間である。
本発明の第6の態様によると、第1から第5までのいずれかの態様の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、前記体液は、血液である。
本発明の第7の態様によると、非アルコール性脂肪肝疾患検出用キットは、2-アミノアジピン酸の測定試薬を含む。
本発明の第8の態様によると、非アルコール性脂肪肝疾患検出用バイオマーカーは、2-アミノアジピン酸を含む。
なお、以下の実施形態において、「マーカーを検出する」とは、試料に含まれているマーカーを定量するための検出を行うことを指し、イオン化されたマーカー、解離されたマーカー、またはマーカーの誘導体等の、マーカー由来の物質を直接検出するがマーカー自体を直接検出しない場合も含む。
NAFLDを患っている個体由来の試料と、健常な個体由来の試料とにおいてマーカーの濃度が異なれば、対象となる個体の生物種は特に限定されないが、哺乳動物が好ましく、人間がより好ましい。
試料におけるマーカーの検出方法は、検出されたマーカーの濃度が、NAFLDに対応する濃度か否かを所望の精度で判別することができれば特に限定されない。
被験者から採血等により得られた試料は、適宜保管された後、前処理に供される。試料は、血液のまま保管されてもよいし、血液を遠心分離して得られた血漿または血清の状態で保管されてもよい。試料の保管方法は特に限定されず、冷凍保存、冷蔵保存または常温での保存を行うことができる。
検出により得られたデータを解析する方法は特に限定されず、試料におけるマーカーの濃度(以下、マーカー濃度と呼ぶ)が算出できれば良い。当該データの解析は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置や、検出装置に含まれる処理装置等の解析装置により行われることが好ましいが、人間が行ってもよい。質量分析によりマーカーの検出を行った場合には、マススペクトルやマスクロマトグラムに対応するデータが作成される。その後、これらにおけるピークの強度や面積に基づいてマーカーの検出量が算出され、マーカーの検出量を内部標準の検出量で割った値と、内部標準の既知の濃度との積等によりマーカー濃度が算出される。
(1)本実施形態の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法は、人間の血液に由来する試料を取得することと、試料における2-アミノアジピン酸、2-オキソカプロン酸、2-オキソグルタル酸、アラニン、グルタミン酸、チロシン、乳酸、尿酸、バリン、ピルビン酸、フェニルアラニン、およびプロリンからなる群から選択される少なくとも一つの分子の検出を行うことと、を備える。これにより、迅速に非アルコール性脂肪肝疾患のスクリーニングを行うことができる。また、これらの分子は後述の実施例に記載されたように、大規模な症例に基づいた分析により得られたマーカーであるから、正確なスクリーニングを行うことができる。
なお、本発明は、以下の実施例に示された数値、条件に限定されない。
2015年10月から2016年9月までに病院を訪れた日本人の人間ドック受診者からランダムに抽出した者のうち、採用基準を満たした3733人の血清の分析を行った。採用基準は以下の(1)~(5)のいずれにもあてはまらないこととした。
(1)研究参加に不同意を表明した者
(2)アルコール摂取量(男性:エタノール換算30g/日以上、女性:エタノール換算20g/日以上)であった者
(3)肝疾患で治療中の現病歴を有する者
(4)糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の少なくとも一つについて治療中の現病歴を有する者
(5)悪性疾患について治療中の現病歴を有する者
上記採用基準を満たした者はいずれも人間ドックで腹部超音波所見が得られており、病院内の研究倫理審査委員会の承諾の下に臨床情報と血清を分析した結果とがつき合わされた。
採血後、遠心分離により血清が抽出され、採血から5~8時間以内に-80℃で冷凍保存された。冷凍保存された血清を25℃に5分間置いて解凍した。解凍された血清を、10,000×g、4℃の条件で1分間遠心を行い上清をうつしかえ、氷上に静置した。メタノール/水/クロロホルムを2.5:1:1の割合で混合した混合液250μLに、内部標準溶液(0.1mg/mL 2‐イソプロピルリンゴ酸)6μLを添加し、この混合液をうつしかえた血清試料に加え、ボルテックスミキサーを用いて撹拌した。血清試料を37 ℃、30分間、1,200rpmの条件で振とうした。振とう後の試料を16,000×g、25℃の条件で5分間遠心した。遠心後の上清150μLを、予め、水140μLを加えたチューブに添加し、ボルテックスミキサーを用いて撹拌した。撹拌後の溶液を、16,000×g、25℃の条件で5分間遠心した。遠心後の上清180μLを新しいチューブに回収した。室温で60分間遠心エバポレーターにより濃縮を行った。濃縮後の試料を、-80℃下に30分放置し凍結させた。凍結した試料をオーバーナイトで乾燥させた。乾燥後の試料は、デシケーターで保存した。乾燥した試料にメトキシアミン溶液(20mg/mL、ピリジンで溶解)80μLを添加し、37℃、30分間、200rpmの条件で振とうした。その後、N-メチル-N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド40μLを添加し、37℃、30分間、1200rpmの条件で振とうした。振とう後の試料を、16000×g、25℃の条件で5分間遠心した。遠心後の上清50μLをガラスバイアルに移し、このバイアルをGC-MSのオートサンプラーに設置した。
ガスクロマトグラフィの条件
システム:GCMS-TQ8040(島津製作所)
カラムオーブン温度:80℃、インジェクション温度:280℃、インジェクションモード:スプリット導入法、キャリアガス:ヘリウム、キャリアガス流量:39cm/sec
分離カラム:
DB-5(アジレントテクノロジー):固定相;(5%-フェニル)-メチルポリシロキサン(無極性)、長さ;30.0m、内径:0.25mm、膜厚:1.00μm
カラム温度プログラム:
時間(分) 温度(℃)
0 80
2.5 80
18.5 280
23.0 280
システム:GCMS-TQ8040(島津製作所)
イオン源温度:200℃、インターフェイス温度:250℃、検出器電圧:0.2kV、測定モード:スキャンモード、走査範囲:m/z 85-500
各保持時間においてm/zを走査して得られた検出強度から、各保持時間におけるマススペクトルを作成した。過去に得られた血清試料におけるマススペクトルのデータに基づいて、作成したマススペクトルにおける各ピークに対応する代謝物(136種)を同定した。各代謝物に対応する検出強度を、内部標準であるイソプロピルリンゴ酸に対応する検出強度を用いて標準化し、試料における濃度を算出した。NAFLD群と正常群とにおいて各代謝物の濃度を統計解析により比較した。統計解析では、単変量解析として対応の無いt検定およびマン・ホイットニーのU検定を用い、複数の代謝物についての多変量解析としてロジスティック回帰分析を用いた。NAFLDの診断能は、各代謝物については、ROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を作成し、ROC曲線より下側の部分の面積(AUC)を用いて評価した。複数の代謝物での検討はLASSO法を用いた。代謝物および調整因子を投入したモデルでは、c統計量を用いて評価した。
NAFLD群および正常群の2群間で対応のないt検定を行い、有意な差が認められた代謝物はグルタミン酸、2-オキソグルタル酸、バリン、チロシン、2-アミノアジピン酸、フェニルアラニン、ピルビン酸、尿酸、2-オキソカプロン酸およびアラニン(p値が最も小さい代謝物を第1位とし、p値が小さい順に第10位までの代謝物を列挙)であった。以下の表2に、これらの代謝物のp値とt統計量とを示した。t統計量はいずれの代謝物においても負の値であったことから、NAFLD群よりも正常群において代謝物の量が少なかったことがわかる。表中「xE-y」の表記は、xに10の-y乗を掛けあわせた値を示し、以下の各表でも同様である。
日本国特許出願2018年第180886号(2018年9月26日出願)
Claims (8)
- 哺乳動物の体液に由来する試料を取得することと、
前記試料における2-アミノアジピン酸の検出を行うことと、を備える非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法。 - 請求項1に記載の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、
前記検出における、2-アミノアジピン酸に対応する検出信号の大きさに基づいて得られた、前記哺乳動物が、非アルコール性脂肪肝疾患を患っているか否かについての情報を出力する、非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法。 - 請求項2に記載の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、
前記検出信号の大きさに基づいて、前記試料における2-アミノアジピン酸の濃度を算出し、算出された前記濃度が所定の閾値に基づく条件を満たしているか否かに基づいて得られた、前記哺乳動物が非アルコール性脂肪肝疾患を患っているか否かについての情報を出力する、非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法。 - 請求項1から3までのいずれか一項に記載の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、
前記検出は、ガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、質量分析、ガスクロマトグラフィ/質量分析、液体クロマトグラフィ/質量分析、核磁気共鳴分光法、および免疫学的検出法の少なくとも一つにより行われる、非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法。 - 請求項1から3までのいずれか一項に記載の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、
前記哺乳動物は、人間である、非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法。 - 請求項1から3までのいずれか一項に記載の非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法において、
前記体液は、血液である、非アルコール性脂肪肝疾患の検出方法。 - 2-アミノアジピン酸の測定試薬を含む、非アルコール性脂肪肝疾患検出用キット。
- 2-アミノアジピン酸を含む、非アルコール性脂肪肝疾患検出用バイオマーカー。
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Yi-syuan LAI et al.,Mass-spectrometry-based serum metabolomics of a C57BL/6J mouse model of high-fat-diet-induced non-al,Journal of agricultural and food chemistry,2015年09月09日,Vol.63,No.35,PP.7873-7884 |
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