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JP6995047B2 - ダイヤフラムバルブと半導体製造装置用流量制御機器 - Google Patents

ダイヤフラムバルブと半導体製造装置用流量制御機器 Download PDF

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JP6995047B2 JP2018535628A JP2018535628A JP6995047B2 JP 6995047 B2 JP6995047 B2 JP 6995047B2 JP 2018535628 A JP2018535628 A JP 2018535628A JP 2018535628 A JP2018535628 A JP 2018535628A JP 6995047 B2 JP6995047 B2 JP 6995047B2
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Description

本発明は、ダイヤフラムバルブと半導体製造装置用流量制御機器に関し、特に弁座に金属製ダイヤフラムをダイレクトに接離させて弁開閉をおこなうダイレクトタッチ型のメタルダイヤフラムバルブに関する。
一般的に、半導体製造プロセスにおける高純度ガスの供給システムは、製造装置の省スペース化などの要請から、バルブなどの各種の流体制御装置、或は継手・ブロックや圧力制御装置などの各種の装置・機器類が直列状に連結されて1本のライン上に集積化され、これらが並列状に敷き詰められるようにして構成されている。
また、高純度ガスの供給に際しては、所謂パーティクルフリーやデッドスペースフリーといった特性が厳しく要求されることから、その配管系統に使用される制御弁として、摺動部がなくデッドスペースが最小限であり、高いガス置換性とクリーン性を構造的に充足し易いダイヤフラム型の制御弁(特にダイレクトタッチ型)が採用される場合が多い。特に、供給流体が高温流体や腐食性ガスなどの場合は、耐高温性・耐食性に優れたニッケル基やコバルト基の各種合金製メタルダイヤフラムが使用される場合が多い。
一方で、近年の半導体素子は益々微細化・高集積化が進むと共に、シリコンウェハーや液晶パネル等の大型化、或は半導体製造におけるランニングコスト低減や生産システムの大型化、さらに歩留まり率向上の需要の高まりなどに伴い、半導体製造プロセスに使用される各種のガスには、さらなる供給流量の増加が要求されている。このため、特に供給ガスの制御弁として使用される上記のようなダイヤフラムバルブにも、供給流量の増加が必要となり、これは概して流路の大径化、すなわちバルブの大型化という構造改良につながるものとなる。
ところが、ダイヤフラムバルブは上記のように他の機器類と共にライン上に集積化され、しかも通常は複数箇所に設けられるので、これを大型化すると設置スペースも増大し、ひいては半導体製造装置も大型化して半導体の製造コストの増加などの問題をもたらす。特に横幅方向への大型化はバルブのフットスペース増加をもたらし、半導体製造装置の最適化(集積化・省スペース化)に対して致命的となる。
これに対し、流路径など流路スペースを増加させて流量の増加を図りつつ弁室或はバルブサイズを維持や小型化(配管部品等のダウンサイジング)するようにした場合は、ストロークの増加によりダイヤフラムの寿命が低下したり、バルブの耐久性や気密性が低下する等の問題をもたらす。よって、流量増大化と小型化とは互いに相反する課題であり、半導体製造プロセスの配管系統に使用されるダイヤフラムバルブには、良好な弁閉シール性はもとより、これらの問題を同時に且つ適切に解決することが課題であった。このような課題は、弁室内部やダイヤフラム形状などの構造に直結するものであり、関連する先行技術として特許文献1が提案されている。
特許文献1に示されたダイヤフラム弁は、シートに押圧・離間されて弁開閉する弾性変形可能な球殻状ダイヤフラムを備えており、ボディ凹所底面の平坦部に、流体流出通路の凹所の底面に開口している部分を含むように環状溝やざぐりが設けられ、流体流出通路の断面形状は円形のほか、楕円形、三日月形状などに形成されている。また、押さえアダプタは下面全体がテーパ形状であり、ボディ凹所底面は円形平坦部とその外周に連なり平坦部に対し凹まされた凹所を有しており、流路が閉状態において、ダイヤフラム外周縁部の上面が押さえアダプタのテーパ状下面と面接触し、外周縁部の下面がボディ凹所底面の平坦部外周と線接触するように構成されている。同文献では、このような構成により小型化されたダイヤフラム弁の耐久性の低下を招かずに流量を増大することが図られている。
また、ダイヤフラムの形状に関しては、特許文献2、3が提案されている。特許文献2に示された流路シール装置では、バルブボディはバルブベースと入口パイプ及び出口パイプを有しており、ダイヤフラムはバルブボディ縁部とカバー縁部の間にクランプされている。また、ダイヤフラムはカップ形状を呈し、放物形状のドームと、ダイヤフラム底部と角度を形成する円形状リムを有し、この円形状リムは傾斜環状部へ延びる上向きの環状屈曲部を有し、傾斜環状部は環状屈曲部を介してドームへ繋がり、この環状屈曲部はドームの周縁部に延びるように構成されている。同文献では、このような構成によりダイヤフラムの耐久性の向上等を図っている。
特許文献3には、バルブのボンネットと干渉せず、また、フローギャップを維持しつつ変形量を抑制して寿命を向上させるべく、内側部分の曲率半径を外側部分の曲率半径より2倍以上程度に設定したダイヤフラムの形状等が開示されている。
さらに、弁室の内部構造等に関しては、特許文献4が示されており、同文献に示されたメタルダイヤフラム弁は、中央部が上方に膨出されたメタルダイヤフラムを備えており、弁室の下方に形成されて流出路に連通する環状溝と流出路との交差断面積が流出路の断面積より大きい場合であって、環状溝が両側面と底面とを備え流出路が環状溝の両側面と底面とに接続され流出路の直径が環状溝の溝幅より大きくしたような場合、又は、環状溝の溝幅より断面円状を呈する流出路の直径を1.5~2.5倍大きくした構成であり、このような構成により弁室から流出路に至る流路全体として大きな流量を流すことが図られている。
WO2016/002515号公報 米国特許登録第5967492号公報 米国特許公開第2005/0109973号公報 特許第4587419号公報
しかしながら、流路を流れる流体流量は流路断面積や流路抵抗に基づいて定まる基本原理からすれば、流入流路と流出流路を有するボディの弁室に外周囲を押圧したダイヤフラムと弁座シート部とを備え、このダイヤフラムをステムの昇降動により弁室を開閉自在に設けたようなダイヤフラムバルブの内部構造において、上記課題の簡易かつ最適な解決を図れる構造を考える場合、先ず、弁開時に流体が弁室内へ流入する際に通過するダイヤフラムと弁座との間に形成される間隙で規定される開口面積(この流路断面積を、以下「弁口断面積」という。)が確実に確保されることが不可欠である共に、バルブへの流体の流入から流出まで、即ち流路構造の全体において流路断面積や流路抵抗の最適化が必要となる。また、これと併せて、弁口断面積の確保、即ちダイヤフラムストロークを増大させる必要があることとの関係で、ダイヤフラムの曲面形状や耐久性が損なわれないようにする必要もある。
これに対し特許文献1は、先ず、ダイヤフラムの形状としては球殻状のみが示されているので、弁口断面積を適切に確保できない。仮にダイヤフラム形状を球殻状に維持したまま断面積を確保しようとした場合は、ダイヤフラムストロークを増大させるために膨出高さを高くしなければならないことから、ダイヤフラムそのものを大型化しなければならない。よって、バルブの大型化が不可避なものとなると共に、ダイヤフラムの寿命の維持乃至向上も図れない。したがって同文献を参照しても上記課題を適切に解決することはできない。さらに、ダイヤフラム外周縁部に平坦部が存在しないから、少なくとも押さえアダプタとボデーとの間のダイヤフラムの狭着が不完全となりやすい。しかも、ダイヤフラム外周縁部の上面が押さえアダプタのテーパ状下面と面接触すると共にダイヤフラム外周縁部の下面がボデー凹所底面の平坦部外周と線接触するようにしているから、バルブ構造が複雑化している。よって作業性や生産性、メンテナンス性に難点があると言える。
また、特許文献2に示されたダイヤフラムの形状は、中央領域のドーム部と外周縁部のリム部とが、角度の急な屈曲部や傾斜部を介して繋がった扁平カップ形状を呈している。このような形状は、弁口断面積を確保し易い形状であると共に、略平坦な中央領域の可撓性は高いためステムの昇降動に追随し易いものの、この可撓性のため流体圧により容易に上方に膨出し易く、さらに、屈曲部や傾斜部を有する外縁附近の剛性が高いことから、ダイヤフラムの中央部が確実に弁座に密着可能として良好な弁閉シール性を満たすために、弁座径に対して外周縁部のリムの大きさがかなり大径のものを使用しなければならない。このため、弁室サイズの大型化、すなわちバルブの大型化が不可避なものとなる。しかも、断面が円弧形状でないので、自然形状への自己復帰性も悪い。また、ダイヤフラムの形状以外の上記課題に関する点についても一切開示が無いので、弁室側において流路断面積を確保することもできない。よって同文献を参照しても上記課題の解決は不可能である。
特許文献3にも、弁室やバルブの大型化の回避と流量増大に関する記載や示唆はなく、ダイヤフラムの形状も、異なる目的をもって単に内側と外側の曲率を異なるものに設定した形状に過ぎない。よって、上記課題を最適・適切に解決可能なダイヤフラムの具体的構成が知得できないばかりか、弁室側における流路構造なども全く不明である。したがって同文献を参照しても上記課題は到底解決できない。
さらに、特許文献4では、少なくとも環状溝の溝幅より流出路の直径が大きい必要があると共に、環状溝と流出路との交差断面積が流出路の断面積より大きい必要があることから、ボデーの大型化、すなわちバルブの大型化を招きやすい構造であると言える。このことは、同文献にバルブサイズの維持乃至小型化に関する記載や示唆が無いことからも裏付けられる。また、流出入路を含めて弁室内部構造全体が比較的複雑であるから、少なくともバルブの生産性やメンテナンス性に難点があると言える。しかも、弁室構造以外の上記課題に関する点についても一切開示が無い。よって同文献を参照しても上記課題の解決は不可能である。
そこで、本発明は上記問題点を解決するために開発されたものであり、その目的とするところは、弁座の大径化やストロークの増大などによるバルブの大型化を回避しつつバルブ流量を確実に増大することができ、しかも、バルブの耐久性・寿命をも維持乃至向上可能とした、簡易かつ最適に構成されたダイヤフラムバルブを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、流入流路と流出流路を有するボデーの弁室に外周囲を押圧したダイヤフラムと弁座シート部とを備え、このダイヤフラムをステムの昇降動により弁室を開閉自在に設けたダイヤフラムバルブであって、このダイヤフラムの形態は、前記弁座シート部をシールする位置に設けられ、第1の曲率半径を有し円形状の連続曲面領域である略平面状の中央領域と、中央領域よりも外周側で且つ曲率半径が前記第1の曲率半径よりも小さい第2の曲率半径を有し中央領域の外周側を包囲するように形成された環状曲面領域である境界領域とを有する断面略扁平形状を呈し、境界領域は、弁座シート部の外周側近傍に位置させると共に、弁座シート部の外周側の弁室には、深溝が設けられており、この深溝には流出流路と連通させた出口縦穴流路が設けられ、この出口縦穴流路の開口部の形状が円弧状の長穴形状であり、流入流路と弁室とを連通させる入口縦穴流路が設けられ、深溝の流路断面積を、入口縦穴流路断面積の1/2以上とし、自然状態における弁座シート部の内周縁から中央領域下面までの離間距離を第1の距離とし、弁座シート部の外周縁から境界領域の下面までの離間距離を第2の距離としたとき、第1の曲率半径、第2の曲率半径、及び中央領域の外径は、ダイヤフラムが非押圧状態のとき、第1の距離および第2の距離が互いに等しくなるように設定されているダイヤフラムバルブである。
請求項2に係る発明は、深溝内の外側面は、開口側に沿って広がった傾斜面であり、この傾斜面によりダイヤフラムの外周位置をシールするダイヤフラムシール部が断面台形状に形成されたダイヤフラムバルブである。
請求項3に係る発明は、ダイヤフラムバルブを半導体製造装置のガス流路に適用した流量制御機器として用いる半導体製造装置用流量制御機器である。
請求項1に記載の発明によると、本発明のダイヤフラムは、略平面状の中央領域と、この中央領域よりも外周側で且つ曲率半径が小さい境界領域とを有する断面略扁平状であり、境界領域は、弁座シート部の外周側近傍に位置させたので、このダイヤフラム形状の断面視において、中央領域から境界領域へは滑らかな曲面で繋がることになると共に、少なくとも弁座中心から弁座シート部にかけて、曲率が緩く略平面状のダイヤフラム下面領域が上側から流入流路開口部を覆うようにダイヤフラムが設けられる。よって、必要となる流量確保のため弁口断面積を増大させても(弁座シート部に対するダイヤフラムの高さを上げても)、少なくとも外周囲側においては優れた可撓性・形状復帰性を備えた断面略球形状を維持すると共に、シール面領域においては良好なシール性を備えた断面略平面状を維持したまま、ダイヤフラム中央部が上方へ膨出するような形状変形を極めて抑制することができる。
また、境界領域が上記位置であるから、本発明のダイヤフラムの形状は、単に中央側と外周側との曲率を変えたような単純形状ではなく、中央領域の範囲が、必要な弁閉シール性を確保しつつ弁口断面積を必要量増大させるにあたって必要最小限の範囲に抑えられている。一方で、曲率の急な略円弧状のダイヤフラム下面側領域が滑らかな凹曲面となって中央領域から外周囲に繋がることになるから、弁口断面積を通過した流体は弁室内へスムーズに導かれる。よって、ダイヤフラムのサイズ・ストロークの増大、或は弁室構造の大型化、形状復帰性の劣化、弁閉シール性の悪化、及び流体抵抗の増大を招くことなく、弁口断面積を適切に増大可能となり、もってバルブの大型化を確実に回避しつつ流量の増大が可能となる。
さらに、上記形状は、ダイヤフラムストロークが同一である断面円弧形状の従来のダイヤフラムと比較して、弁開閉に伴うダイヤフラムの変形量を低減できるから、ダイヤフラムの耐久性・寿命も維持乃至向上させることができる。
ダイヤフラムが非押圧状態のときには、第1の距離と第2の距離とが等しくなるように設定していることで、ダイヤフラムと弁座シート部との間が狭まることなく、広く流路・弁口断面積を確保しつつも、ダイヤフラムそのものの大きさは最小限にできる。この構成により、効率的に流量確保可能になり、特に流路が大口径の場合に流量確保の効率が顕著となる。
また、弁座シート部の外周側の弁室には、深溝が設けられており、この深溝には流出流路と連通させた出口縦穴流路が設けられ、この出口縦穴流路の開口部の形状が円弧状の長穴形状であるから、弁口断面積に応じて弁室容量を適切に増大・確保することができると共に、この弁室容量に応じて、出口縦穴流路の開口面積を適切に調整することができる。したがって、弁室への流体の流入量及び流出量の収支を適切に整合させることができるので、バルブ全体の流体抵抗を低下させ(或はCv値を向上させ)、もってバルブの流量を向上させることができる。
バルブ流量増大を図る際に簡易に改良可能な箇所、即ち、弁口断面積と、弁座シート部の外周側の断面積と、出口縦穴流路の断面積とが、すべて適切に改良されているから、流量増大のために必要なバルブ構成を最適化することができる。さらに、簡易に改良可能であるから、現行品の容易な改良・転用や部品の容易な共通化等が可能となり、新たなバルブの設計・製作を回避してコスト性・メンテナンス性・汎用性を大幅に高めることも可能となる。
さらに、流入流路と弁室とを連通させる入口縦穴流路が設けられ、深溝の流路断面積を、入口縦穴流路断面積の1/2以上としたから、深溝の流路断面積と入口縦穴流路断面積とを、少なくとも流路断面積のレベルで整合させることができる。よって、バルブの流量を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によると、ダイヤフラムの外周縁部を強い押圧力で押圧しても、ダイヤフラムシール部は、断面台形状に形成されているので、押圧力に対する強度が増加し、仮に高圧対応のバルブであっても耐圧性を確保することが可能となり、深溝の流路断面積の広さとダイヤフラムシール部の強度とがバランス良く確保できる。
請求項3に記載の発明によると、外観を大型化することなく流量を向上させることが可能となり、しかも耐圧性を確保した半導体製造用の流量制御機器を提供することができる。
本実施形態のダイヤフラムバルブの断面図である。 図1のA-A断面図である。 図2において、流体の流れを模式的に示した模式図である。 図1の要部を拡大した一部拡大断面図である。 (イ)は本発明の自然状態のダイヤフラムが弁室内に取り付けられた状態を模式的に示した断面図であり、(ロ)は従来の自然状態のダイヤフラムが弁室内に取り付けられた状態を模式的に示した断面図であり、(ハ)は(ロ)に示した従来の自然状態のダイヤフラムの曲率半径を小さくしたダイヤフラムを模式的に示した断面図である。
以下、本発明の一実施形態の構造を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態のダイヤフラムバルブの断面図である。図2は、図1のA-A断面図であり、弁室2の平面視構造を示している。図4は、図1におけるダイヤフラム1と弁室2の部分を拡大した一部拡大断面図である。図5(イ)は、本発明のダイヤフラム1の断面と弁座3とを模式的に示した模式図である。
図1に示すように、本発明のダイヤフラムバルブは、ボデー4に流入流路5と流出流路6とを有し、ボデー4の弁室2には外周囲7を押圧したダイヤフラム1と弁座シート部8とを備えている。また、図4、図5(イ)に模式的に示すように、本発明のダイヤフラム1(外周囲7を除く)の断面形状は、略平面状の中央領域9と、中央領域9よりも外周側で且つ曲率半径が小さい境界領域10とを有する断面略扁平状であり、本例の具体的断面形状は、ダイヤフラム1の中心を含んだ中央領域9から周縁側の境界領域10付近までは、中心付近を頂点として僅かな高さだけドーム状に膨出した断面略平面状の領域であり、この中心側の領域は、境界領域10付近におけるやや大きい曲率の断面略円弧状の領域を介して外周囲7に繋がっている。このためダイヤフラム1の外観形状は、断面を図5(イ)に示したように、極めて浅底で鍔縁と平たい底が緩やかな丸みで繋がった扁平丸皿形状を呈する。
このダイヤフラム1は、弁閉の際は外力作用により形状変形されて弁座3に密着して流体を封止できる可撓性と、弁開の際は同図に示す自然状態の形状へ自己復帰可能な形状復帰性を有する。なお、ダイヤフラムバルブとは、ダイヤフラムを使用したバルブを意味するものであり、このため、例えば昇降動手段は、開閉ハンドルを使用した手動弁のほか、アクチュエータを使用した自動制御可能な自動弁であってもよく、また、アクチュエータは空気圧によるものや電磁力によるものでもよく、ダイヤフラムを使用するバルブは実施に応じて任意に選択可能である。
図5(イ)において、本例の弁座3は、樹脂(PCTFE)を所定の環形状に成形して製作され、入口縦穴流路11の弁室2側の開口部12に設けられボデー4と一体形成された弁座保持用の環状溝13に嵌合され、この環状溝13をかしめることで固定されている。弁座シート部8は、弁閉時において押圧されたダイヤフラム1下面に密着する弁座3上側のシール面であり、14は本例の弁座シート部8の内周側、15は本例の弁座シート部8の外周側を示す。また、Sはダイヤフラム1のステムストロークの長さ(中央部分の上下方向の弾性変形代)を模式的に示している。なお、本例の弁座3は上記のように環状溝13に加締め固定された樹脂製パッキンであるが、素材としては上記のほかPTFE、PI、PFA等の耐熱性非金属部材でもよく、さらに上記構成の他、金属製弁座や、ボデーと一体成型された弁座などでもよく、実施に応じて任意に選択可能である。特に、高硬度金属製ダイヤフラムとダイヤフラムより硬度が低いSUS316L等の金属製弁座とで構成した場合、高精度の流量調整と共に高い耐久性とシール性が発揮できる。
図5(イ)において、HINは、弁座シート部8の内周側14から同図に示す自然状態(高さS)におけるダイヤフラム1下面までの距離(内側高さ)を示し、HOUTも同様に、弁座シート部8の外周側15からダイヤフラム1下面までの距離(外側高さ)を示している。これらHIN、HOUTは、弁座3とダイヤフラム1との間に形成される弁口断面積(流路断面積の高さ)を規定する要素であり、また、ダイヤフラム(バルブ)ストロークにほぼ等しい。
図5(イ)において、ダイヤフラム1に形成された中央領域9は、円形状のダイヤフラム1において中心対称的に中心を含むように形成された連続領域であり、略平面形状であるが上方に僅かに凸となるような所定の曲率半径で規定された曲面領域である。この中央領域9は、ストロークSの長さが内側高さHIN(又は外側高さHOUT)とほぼ同じ高さに維持されるように領域・曲率半径が設定されていれば好適である。
図5(イ)において、ダイヤフラム1に形成された境界領域10は、中央領域9の外周側を中心対称的に包囲するように形成された環状曲面領域であり、また、この曲面の曲率半径は、中央領域9の曲率半径より小さく設定されている。この境界領域10は、中央領域9と外周囲7とを、ダイヤフラム1の外周囲7を除いた部分の形状を断面略扁平状に維持しつつ滑らかに繋ぐことができるように領域・曲率半径が設定されていれば好適である。
また、本発明のダイヤフラム1は、境界領域10が弁座シート部8の外周側15近傍に位置するようにしている。本例においては、図5(イ)に示すように、外側高さHOUTが内側高さHINとほぼ同じ高さとなるような領域・曲率半径に設定されており、また中央領域9と外周囲7とは、この境界領域10付近を介して、弁座3とダイヤフラム1との距離が必要な流路断面積(弁口断面積)を確保する上で必要最小限の距離を維持するようにしつつ、ダイヤフラム1が弁座シート部と外周側15付近を上側から被覆するようにして繋がっている。さらに、確保すべき流量が決まっている場合、すなわち内側高さHIN(又は外側高さHOUT)が決まっている場合は、例えば、図示していないが弁座シート部8の外周側15からの距離がHOUT(又はHIN)である領域が形成する断面視における円弧状軌跡に外接するような凹曲面から適当な領域を選択してもよい。
なお、中央領域9及び境界領域10の何れも1つの曲率半径で規定された曲面形状の場合に限られず、断面の全体形状が扁平球面形状であれば、上記実施形態に限定されないものである。
一方、図5(ロ)、(ハ)は、従来のダイヤフラム1’、1”の自然状態の断面形状をそれぞれ模式的に示しており、それぞれ断面円弧形状である。図5(ロ)のS’は、本発明を示した図5(イ)におけるダイヤフラムストロークSと同程度の長さのストロークを示しており、同図のHIN’、HOUT’は、このストロークS’の場合における内側高さ、外側高さをそれぞれ示している。図5(ロ)に示すように、ストロークS’をSと同程度に設定しつつ断面円弧形状を維持した場合は、曲率が一定であることから特に外周側でカーブが急になり外側高さHOUT’がHOUTと比較して低くならざるを得ないので、弁口断面積が小さくなり必要流量を確保できなくなる。
また、図5(ハ)に示すように、断面円弧形状において外側高さHOUT”をHOUTと同程度に確保した場合は、ダイヤフラムのサイズは同一であるから、この高さの増分だけ円弧の曲率が大きくならざるを得ず、特に中央側で上方に膨出するようになることからストロークS”がSと比較して高くならざるを得ないので、バルブストロークの増大によるバルブの大型化やダイヤフラムの変形量増大による寿命の低下を招くものとなる。
これに対して図5(イ)に示した本発明のダイヤフラム1の断面形状では、高さHIN、HOUTを確保(弁口断面積を確保)して必要な流量増大が可能であり、且つ、全体が断面略扁平状を維持している。換言すれば、ストロークS、高さHIN又はHOUTをそれぞれ同じ程度に設定して弁口断面積を確保するにあたって最適化された断面形状に形成されている。よって、弁座シート部8の上側においてはダイヤフラム1下面がほぼ平面状であって境界領域下面においては滑らかに湾曲しているから、ダイヤフラム1と弁座シート部8の間が狭まることなく、広く流路・弁口断面積を確保しつつもダイヤフラム1そのものの大きさは最小限にできる。また、このようなダイヤフラム1の構造により、駆動時のダイヤフラム1のストローク(ダイヤフラム1の変形量)も小さくでき、高い耐久性も得られる。しかも、少なくとも外周囲7側においては断面略球状を維持していることで、高い形状復帰性も確保できると共に、滑らかな接触面であるから流体抵抗も小さい。
さらに、ダイヤフラムが従来の断面円弧形状(或はドーム形状)の場合、ステムストロークに対して、これより小さいダイヤフラム(バルブ)ストロークしか得られないことから、ステムストロークに対して少ない流量しか得られないため効率的でなく、この点は、ダイヤフラム形状の膨出するドームが高い(断面円弧形状の曲率半径が小さい)ほど非効率的であったが、本発明のダイヤフラム1は、上記構成により、ステムストロークとダイヤフラムストロークとがほぼ等しい(SとHIN又はHOUTがほぼ等しい)から、効率的に流量確保可能であり、特に流路が大口径の場合に流量確保の効率が顕著となる。
なお、本例のダイヤフラム1は、Co合金やNi-Co合金、SUS、インコネル、ハステロイ等の高硬度金属製薄板を円形に切り抜いて中央を上方へ膨出させた逆皿形状に成形し、複数枚を適宜積層して設けられている。
次に本発明の弁室2の内部構造を説明する。図1、2、4に示すように、弁座シート部8の外周側15の弁室2には、深溝16が設けられており、この深溝16には流出流路6と連通させた出口縦穴流路17が設けられ、この出口縦穴流路17の開口部18の形状が円弧状の長穴形状である。また、流入流路5と弁室2とを連通させる入口縦穴流路11が設けられ、深溝16の流路断面積を、入口縦穴流路11断面積の1/2以上としている。
図2、4に示すように、本発明の弁室2には、底面19、内側面20及び外側面21を有した所定深さFの深溝16が環状に形成されている。本例の深さFは、開口部12から底面19までの高さであり、図示するように弁座3の高さの約2倍程度に設定されている。開口部12から下側であって内側面20、外側面21と底面19に包囲された領域Mは、深溝16の流路断面積である。また、本例の外側面21は、底面19に対して角度θの傾斜面となっており、この外側面21の上端部は、後述のキャップ22のダイヤフラム押圧部23と共に下側からダイヤフラム1の外周囲7を保持して流体密に狭着固定可能なダイヤフラムシール部24に繋がっている。ダイヤフラムシール部24は、図4に示すように、外径側にも溝部25が形成されていることで傾斜面となっていることから、断面略台形状に形成されている。すなわち、深溝16の外側面21は、深溝16の上方開口側に沿って広がった傾斜面(外側面)21であり、この傾斜面21によりダイヤフラム1の外周位置をシールするダイヤフラムシール部24が断面台形状に形成されている。
なお、本発明の深溝16の断面形状或は流路断面積は、弁口断面積の増大に基づく流体抵抗の増加(流量収支の調整)に応じてCv値を向上させるため、実施に応じて任意の形状・断面積に設定可能であり、上記構造の他、断面矩形状や台形状、半円弧状や楕円形状などでもよく、内外の側面部や底面部が形成されないような断面形状であってもよい。
また、外側面21の傾斜角度θも、実施に応じて任意に設定可能であるが、本例では約70度に設定している。これは、本例のダイヤフラム1の外周囲7が、後述のようにキャップ22のダイヤフラム押圧部23で上側から押圧されて弁室2内に狭着固定される構造なので、バルブが高圧対応であるほど耐圧性の確保のためキャップ22の押圧力を強めてダイヤフラムシール性等を高める必要があり、このため、キャップ22の強い押圧力によりダイヤフラムシール部24が潰れる可能性があり、また、潰れた場合は、少なくとも潰れた分だけダイヤフラム1の位置が下がって弁口断面積が狭まりバルブの流量低下を招くことから、ダイヤフラムシール部24を断面台形状にテーパ形成して構造的に上側からの押圧力への耐久性を確保したものである。
そして、この外側面21の傾斜角度θが小さいほど、ダイヤフラムシール部24は広いテーパ断面形状となって強度を増加させることができる。その一方で、深溝16内の外側面21が開口側に沿って広がった傾斜面であることから、領域Mの面積が狭められており、角度θを垂直に近づけるほど領域Mは長方形状に近づき深溝16の流路断面積を広く確保可能となる。したがって角度θは、深溝16の流路断面積の広さとダイヤフラムシール部24の強度の高さとの双方がバランスよく確保可能な角度であれば最適であり、本例では70度がこの角度として最適である。
さらに、弁室2の内部構造に関しては、深さFを比較的浅く設定して、弁室2内における弁座3の高さが低くなるようにすることにより、例えばダイヤフラムシール部24の高さより弁座シート部8の高さが低くなるように設定することで、大きな弁口断面積を確保するようにしてもよい。

図2において、深溝16には流出流路6と連通させた出口縦穴流路17が設けられている。本例では、この出口縦穴流路17の開口部18の形状は、円弧状の長穴形状としており、また、出口縦穴流路17の断面積は、流入流路5と弁室2とを連通させる入口縦穴流路11の断面積と同等以上としている。さらに、入口縦穴流路11断面積は、深溝16の流路断面積の2倍以下としている。なお、出口縦穴流路17の開口部18の形状は、上記の他、深溝の流路断面積や流体抵抗の低減などに応じて、深溝16に沿ったような三日月形状や楕円形状など、任意に設定可能である。
上記構造により、本発明のダイヤフラムバルブでは、少なくとも、バルブの大型化やダイヤフラム1の特性劣化等を伴うことなく、ダイヤフラム1の形状(弁口断面積)により入口縦穴流路11から弁室2内へ流入する流量を増大可能であり、この流量増大に応じて、深溝16により弁室2内の容量が確保されてダイヤフラム1と弁座シート部8との間から弁室2への流体流入抵抗が低下してスムーズになり、この深溝16による容量増大に応じて、出口縦穴流路17の開口部18が確保されて深溝16から出口縦穴流路17への流体流入抵抗も低下してスムーズになる。また、入口縦穴流路11の断面積、深溝16の流路断面積、出口縦穴流路17の断面積が、互いに適切に調整されているから、少なくとも流量収支が整合している。さらに、ボデー4の流入流路5や流出流路6の改善(大径化)などによっても流量増大を図れる。実際に、本例のダイヤフラムバルブでは外観形状を大型化することなく従来製品のCv値が0.8程度であったものが、本例ではCv値を1.2倍程度から1.5倍にすることができた。
ダイレクトダイヤフラムバルブの流量を向上させるために内部構造の改良を検討する上では、流入流路5と入口縦穴流路11、及び流出流路6に関しては十分な流路断面積を確保することが可能なので、簡易かつ最適な構造改善の余地としては、弁口断面積(ダイヤフラムと弁座との間の領域面積)、弁座3の外周側の弁室2内部構造、出口縦穴流路17の断面積の3箇所が挙げられるが、本発明では上記構成によりこれら3箇所すべてが改善されて適切な流量向上が実現されており、しかも外観の大型化を回避しつつバルブ耐久性も確保されている。よって本発明では従来の課題に対してバルブ構造が最適化(流路体積の最大化)されている。
次に本発明のダイヤフラムバルブの他の部分の構造を説明する。図1に示すように、本実施形態のダイヤフラムバルブは、ステム26の昇降動手段がハンドル27の手動弁である。ボデー4は、ステンレス(SUS316L)等の金属により形成され、ボデー4内部には、流入流路5と入口縦穴流路11とで形成される断面略L字形状の一次側流路と、流出流路6と出口縦穴流路17とで形成される断面略L字形状の二次側流路が形成されており、これらは前述の弁室2へ繋がっている。また、弁室2の外周囲側には、キャップ22の外径に適合してこれを嵌合可能な環状凹部28が形成されている。なお、ボデー4や弁室2内部の流体が接触する接触面の全部又は一部に、サブミクロンレベルの鏡面仕上げ等の表面処理を施すようにしてもよい。
図1、4において、キャップ22は、ステンレス(SUS304)等の金属により略筒状に形成され、下端面には断面略円弧形状の凹面部29と、その外周にダイヤフラム押圧部23が設けられている。ダイヤフラムバルブの組立の際には、ダイヤフラム1の外周囲7をダイヤフラムシール部24に載置し、キャップ22の下部外周面をボデー4の環状凹部28内周面に挿入・嵌合させて、キャップ22のダイヤフラム押圧部23をダイヤフラム1の外周囲7の上側に設置する。次いで、キャップ22に設けられた締付部材30(ユニオンナット)の雌ねじ部31をボデー4の雄ねじ部32に螺合させると、この螺着に伴い締付部材30がキャップ22に設けられた鍔部33を押動してキャップ22をボデー4に締め付け、この締め付けに伴いダイヤフラム押圧部23がダイヤフラム1の外周囲7を上側から押圧して固着させることができる。また、キャップ22の上部には所定の開閉表示盤34も固着されている。
図1において、ハンドル27は、アルミダイキャスト(ADC12)や樹脂等により所定形状に成形され、横穴から螺合した止ねじ35(六角穴付き)でステム26の上部36に固着されており、図示していないが、開閉表示盤34をバルブ上側から容易に視認可能に設けられている。また、ステム26の下部37には、皿バネ38と押圧部材39(ダイヤフラムピース)が設けられている。よって、本例の昇降動部材は、ステム26、ハンドル27、皿バネ38、押圧部材39から構成されている。
図1において、ステム26は、ステンレス(SUS303)等の金属により略棒状に形成され、ステム26の外周面には、キャップ22の内周面に設けられたメネジ部40に螺合可能なオネジ部41が設けられており、このオネジ部41がメネジ部40に対して進退することで、昇降動部材がステムストロークの範囲で昇降動可能となっている。ステム26とキャップ22との間にはOリング42が設けられており、ステム26とキャップ22との間をシールすると共に、ステム26のキャップ22内における摺動(回動)をスムーズにしている。また、ステム26の下部37には皿バネ38が設けられ、ステム26の段部43と押圧部材39との間を弾発(押圧部材39をダイヤフラム1に向けて弾発)している。さらに、押圧部材39とステム26の下端部との間には所定のクリアランスが確保されている。
押圧部材39は、ステンレス(SUS304)等の金属を材質として、ダイヤフラム1にダイレクトタッチ可能にバルブに設けられており、ステム26(皿バネ38)の回転スラストがダイヤフラム1に伝達されないようにするベアリング機構としての作用を有すると共に、ステム26と押圧部材39との間や、ダイヤフラム1と弁座3との間などにある程度ミスアラインメントがある場合であっても押圧部材39の弾性変形により誤差を吸収乃至補正し、これにより弁閉時の弁座シート部8におけるシール面圧を周方向に均一化する作用も有する。
なお、弁閉した際に、主にダイヤフラム1のシール面と外周囲7との間の領域に応力集中するように変形するが、この変形したダイヤフラム1はなるべく押圧部材39や凹面部29に当たることなく自由に変形できるように空間が確保されていれば、強制的な変形によりダイヤフラム1が負担する余計な応力が低減され、応力集中による劣化や破壊も低減され、ダイヤフラム1の寿命が向上するため好適である。このため例えば、中心対称的な凸曲面形状に形成されているダイヤフラムに接触する押圧面部44の形状を、シール性を損なわない範囲で中心側より外縁側の曲率を大きくして外縁側のカーブを大きく形成し、このような形状によりダイヤフラム1の自由な変形を許容する空間(隙間G)を確保するようにしてもよい。
続いて、本実施形態の作用を説明する。図1に示すように、本発明のダイヤフラムバルブは、ダイヤフラム1をステム26の昇降動により弁室を開閉自在に設けたダイヤフラムバルブであり、同図の左側半分は全開状態を示し、右側半分は全閉状態を示している。
図1において、バルブの全開から全閉までの動作を説明すると、全開状態のハンドル27を回動させることにより、ステム26が供回りしてオネジ部41がキャップ22のメネジ部40を降下し、この降下によりステム26の段部43が皿バネ38をほぼ非回転状態を維持しつつ下へ押し下げ、この皿バネ38の降下により押圧部材39が下方に弾発されることでダイヤフラム1を下へ向けて押圧し、自然状態であったダイヤフラム1の中心側を弁座シート部8へ向けて徐々に凹ませて変形していくことができる。この変形量に応じて弁口断面積が規定され、ハンドル27(ステム26)をストローク途中で係止させることで所定範囲の流量調整も可能である。ハンドル27を更に回動すると、ダイヤフラム1が更に押圧変形されて弁口断面積が狭まっていき、最終的にはダイヤフラム1のシール面が弁座シート部8に密着してバルブの全閉状態となる。
図5(イ)に示すように、弁開時は入口縦穴流路11から流入した流体はダイヤフラム1に当たって略直角方向へ拡散するように弁室2側へ流入するが、その弁口断面積は、図5(ロ)に示したステムストロークが同程度の従来のバルブの弁口断面積に比べて大きく確保されている。また、基本的には方向性無く弁室2内に流体は流入するから、図3に示すように、万遍無く弁室1の深溝16内に流体が流入し、この流体は、深溝16に連通するように1箇所に設けられた出口縦穴流路17の開口部18へ、2方向から向かうことになる。
よって、少なくともバルブの流量収支を考えるにあたっては、入口縦穴流路11から弁室2に流入する流量は2分割され、これらがそれぞれ同じ様にして2方向から1箇所の出口縦穴流路17へ流入すると考えることができるので、深溝16の流路断面積は、入口縦穴流路11の断面積の1/2以上に確保することで、流入流路5と弁室2との間の流量収支を整合させることができる。同様に、出口縦穴流路17の断面積を入口縦穴流路11の断面積と同程度に設定しておけば、流入流路5と流出流路6との間の流量収支を整合させることもできる。
このダイヤフラムバルブは、CVD、ALD、エッチング装置などの半導体製造装置のガス流路に設けられる流体制御機器に適用される。この流体制御機器は、ガス流路の途中に設けられ、圧力センサ、逆止弁、レギュレータ、マスフローコントローラ或は本例におけるダイヤフラムバルブである開閉弁やその他の部品によって構成されている。特に、本例のダイヤフラムバルブをこの流体制御機器に適用することによって、コンパクトでありながら流量を最大限に流すことが可能であり、しかも耐圧性にも優れているダイヤフラムバルブを含む流体制御機器を得ることができる。
更に、本発明は、前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
1 ダイヤフラム
2 弁室
3 弁座
4 ボデー
5 流入流路
6 流出流路
7 外周囲
8 弁座シート部
9 中央領域
10 境界領域
11 入口縦穴流路
15 外周側
16 深溝
17 出口縦穴流路
18 開口部
26 ステム

Claims (3)

  1. 流入流路と流出流路を有するボデーの弁室に外周囲を押圧したダイヤフラムと弁座シート部とを備え、このダイヤフラムをステムの昇降動により弁室を開閉自在に設けたダイヤフラムバルブであって、このダイヤフラムの形態は、前記弁座シート部をシールする位置に設けられ、第1の曲率半径を有し円形状の連続曲面領域である略平面状の中央領域と、中央領域よりも外周側で且つ曲率半径が前記第1の曲率半径よりも小さい第2の曲率半径を有し前記中央領域の外周側を包囲するように形成された環状曲面領域である境界領域とを有する断面略扁平形状を呈し、前記境界領域は、前記弁座シート部の外周側近傍に位置させると共に、前記弁座シート部の外周側の弁室には、深溝が設けられており、この深溝には前記流出流路と連通させた出口縦穴流路が設けられ、この出口縦穴流路の開口部の形状が円弧状の長穴形状であり、前記流入流路と弁室とを連通させる入口縦穴流路が設けられ、前記深溝の流路断面積を、前記入口縦穴流路断面積の1/2以上とし、自然状態における前記弁座シート部の内周縁から前記中央領域下面までの離間距離を第1の距離とし、前記弁座シート部の外周縁から前記境界領域の下面までの離間距離を第2の距離としたとき、前記第1の曲率半径、前記第2の曲率半径、及び前記中央領域の外径は、前記ダイヤフラムが非押圧状態のとき、前記第1の距離および前記第2の距離が互いに等しくなるように設定されていることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
  2. 前記深溝内の外側面は、開口側に沿って広がった傾斜面であり、この傾斜面により前記ダイヤフラムの外周位置をシールするダイヤフラムシール部が断面台形状に形成された請求項1に記載のダイヤフラムバルブ。
  3. 請求項1に記載のダイヤフラムバルブを半導体製造装置のガス流路に適用した流量制御機器として用いることを特徴とする半導体製造装置用流量制御機器。
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