JP6962217B2 - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents
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Description
1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に直接又は他の層を介して0.2〜2.0μmの離型層が積層された離型フィルムであって、離型層表面の領域表面粗さ(Sa)が7nm以下であり、前記離型層が1分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する重量平均分子量2000〜10万のエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂を少なくとも含む塗膜が硬化されてなるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. 離型層が、1分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する分子量2000〜10万のエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂以外のエネルギー線硬化型樹脂成分及びポリオルガノシロキサン成分を含まない上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. 1分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する重量平均分子量2000〜10万のエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂が、(メタ)アクリロイル基の前駆体を有するモノマー類とポリオルガノシロキサン基を有するモノマー類を少なくとも含む複数種のモノマー類が共重合されているアクリルコポリマー(I)に対して、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がグラフトされているものであり、アクリルコポリマー(I)に対するポリオルガノシロキサン基の導入量が0.01〜10mol%、(メタ)アクリロイル基のグラフトによる導入量が70〜99.95mol%である上記第1または第2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. ポリエステルフィルムが少なくとも2層以上からなる積層ポリエステルフィルムであって、前記積層ポリエステルフィルムの離型層が積層された側の表面層Aには実質的に無機粒子が含有されていない上記第1〜第3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
5. 積層ポリエステルフィルムの表面層Aとは反対側の表面層Bが粒子を含有し、前記粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、合計の粒子の含有量が表面層Bの総質量に対して5000〜15000ppmである上記第4に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
6. 上記第1〜第5のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm〜1.0μmの厚みであるセラミックグリーンシートの製造方法。
本発明において基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム用基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム形成したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン?2,6?ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明の離型フィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明の離型層は、1分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有するエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂を少なくとも含む塗膜を硬化してなることが好ましい。1分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有するエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂を用いることで、離型層の硬化収縮を抑えつつ、架橋密度を向上させることができるため、離型層の耐溶剤性が向上しセラミックシート加工や電極印刷時の有機溶媒による離型層の浸食を抑制することができる。また、ポリオルガノシロキサン基が分子中に導入されているため、セラミックグリーンシートへ移行することを抑制できるため好ましい。
本発明で用いるエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂とは、1分子中に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有するものをいう。より詳しくその構造を述べると、シロキサン基および(メタ)アクリロイル基を分子内に有するアクリル樹脂をさし、(メタ)アクリロイル基を含有するポリジメチルシロキサン(アクリル変性シリコーンと呼ぶこともある)は含まない。
本発明の離型層には、光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。特に、表面硬化性に優れるとされる、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましく、中でも、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
紫外線による硬化の場合、増感剤を用いることができる。増感剤としては、アミン系、チオール系など特に限定なく使用できる。
本発明の離型層には、粒子径が1μm以下の粒子などを含有することができるが、ピンホール発生の観点から粒子など突起を形成するものは含有しないほうが好ましい。
本発明において、離型層の形成方法は、特に限定されず、離型性の樹脂を溶解もしくは分散させた塗液を、基材のポリエステルフィルムの一方の面に塗布等により展開し、溶媒等を乾燥により除去後、硬化させる方法が用いられる。
一般に、積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック素体を有する。セラミック素体の内部には、第1の内部電極と第2の内部電極とが厚み方向に沿って交互に設けられている。第1の内部電極は、セラミック素体の第1の端面に露出している。第1の端面の上には第1の外部電極が設けられている。第1の内部電極は、第1の端面において第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、セラミック素体の第2の端面に露出している。第2の端面の上には第2の外部電極が設けられている。第2の内部電極は、第2の端面において第2の外部電極と電気的に接続されている。
ミリトロン(電子マイクロインジケーター)を用い、測定すべきフィルムの任意の4箇所より5cm角サンプル4枚を切り取り、一枚あたり各5点(計20点)測定して平均値を厚みとした。
JIS K 7367−5:2000に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2-テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
離型層の厚みは、光干渉式膜厚計(F20、フィルメトリクス社製)を用いて測定した。(離型層の屈折率は1.52として算出)
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100、菱化システム社製)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学社製: 全自動接触角計 DM−701)を用いて離型フィルムの離型面に水(液滴量1.8μL)、ジヨードメタン(液適量0.9μL)、エチレングリコール(液適量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は、各液を離型フィルムに滴下後10秒後の接触角を採用した。前記方法で得られた、水、ジヨードメタン、エチレングリコールの接触角データを「北崎−畑」理論より計算し離型フィルムの表面自由エネルギーの分散成分γsd、極性成分γsp、水素結合成分γshを求め、各成分を合計したものを表面自由エネルギーγsとした。本計算には、本接触角計ソフトウェア(FAMAS)内の解析ソフトを用いて行った。
測定に用いる離型フィルムを5cm×5cmの大きさに切り取り、液温25℃のトルエン30mLが入ったガラス製のトレーの中に、離型面を下にして5分間浸漬させた。浸漬した離型フィルムを取り出し離型面を上にして15分間風乾した後、25℃で1晩真空乾燥させた。こうして得たトルエン浸漬後の離型フィルムのジヨードメタン接触角を前記接触角の測定方法と同様の方法にて測定した。
前記方法にて測定したトルエン浸漬前の初期の離型層表面のジヨードメタン接触角をθ1、トルエン浸漬後の離型層表面のジヨードメタン接触角をθ2とした時の、θ1−θ2の絶対値の値をトルエン浸漬前後の接触角変化の値とした。以下の基準で接触角変化の評価を行った。
◎:|θ1―θ2| < 1.0°
○:1.0°≦ |θ1―θ2| < 2.0°
△:2.0°≦ |θ1―θ2| ≦ 3.0°
×:|θ1―θ2| > 3.0
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで30分間分散し、セラミックスラリーを調製した。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール 3.5質量部
(積水化学工業社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のセラミックグリーンシートが0.8μmになるように塗工し90℃で2分乾燥後、以下の基準で塗工性を評価した。
○:ハジキなどがなく全面に塗工できている。
△:塗工端部でややハジキがあるが、ほぼ全面に塗工できている。
×:塗工端部以外にもハジキが多く、全面に塗工できていない。
前記セラミックスラリーの塗工性評価と同様の方法でセラミックグリーンシートを成型した後、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cm2の範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。測定は5回測定し平均値を採用した。
◎:ピンホールの発生なし
○:ピンホールの発生がほぼなし(目安:ピンホールが測定面積当たり2個以下)
△:ピンホールの発生があり(目安:ピンホールが測定面積当たり3個以上、5個以下)
×:ピンホールの発生が多数あり(剥離不可も含む)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで60分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 38.3質量部
エタノール 38.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 64.8質量部
ポリビニルブチラール 6.5質量部
(積水化学工業社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 3.3質量部
次いで離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のセラミックグリーンシートが10μmの厚みになるように塗布し90℃で2分乾燥しセラミックグリーンシートを離型フィルム上に成型した。得られたセラミックグリーンシート付き離型フィルムを30mm幅、80mm長さにカットし、剥離力測定用サンプルとした。除電機(キーエンス社製、SJ−F020)を用いて除電した後に、剥離試験機(協和界面科学社製、VPA−3)を用いて、剥離角度90度、剥離温度25℃、剥離速度10m/minで剥離した。剥離する向きとしては、剥離試験機付属のSUS板上に両面接着テープ(日東電工社製、No.535A)を貼りつけ、その上にセラミックグリーンシート側を両面テープと接着する形で離型フィルムを固定し、離型フィルム側を引っ張る形で剥離した。得られた測定値のうち、剥離距離20mm〜70mmの剥離力の平均値を算出し、その値を剥離力とした。測定は計5回実施し、その剥離力の平均値の値を採用し、評価を行った。得られた剥離力の数値から下記の基準で判定した。
◎:剥離力が2.0mN/mm以下の非常に軽い力で剥離できた。
○:剥離力が2.0mN/mmよりも大きく、3.0mN/mm以下の比較的軽い力で剥離できた。
△:剥離力が3.0mN/mmよりも大きく、4.0mN/mm以下の軽い力で剥離できた。
×:剥離力が4.0mN/mmよりも大きい力を必要であった。
離型フィルムサンプルを10cm×10cmサイズにカットし、離型フィルムに張力がかからないようにして熱風オーブンで90℃、1分間熱処理を行った。その後、オーブンから取り出し室温まで冷却したのち、離型面が上になるように白上質紙の上に離型フィルムサンプルを置いて、上白紙から浮いている部分の高さを測定した。このとき上白紙から一番大きく浮いている部分の高さを測定値とした。以下の基準でカール性の評価を行った。
◎:カールが1mm以下であり、ほとんどカールしていない
○:カールが1mmよりも大きく、3mm以下であり、少しカールが見られた。
△:カールが3mmよりも大きく、10mm以下であり、カールが見られた。
×:カールが10mmよりも大きくカールしていた。
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ポリビニルブチラール(PVB)溶解液を得た。
トルエン 45.0質量部
エタノール 45.0質量部
ポリビニルブチラール(積水化学工業社製 エスレックBM−S) 10.0質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のPVBシートが10μmになるように塗工し90℃で2分乾燥後、離型フィルムを剥離し、剥離したPVBシートの離型フィルムが接触していた面(離型層)および、PVBシートを塗工する前の離型フィルムの離型層を蛍光X線装置(Rigaku製ZSX Primus2)にてSi強度を測定し、シリコーンの移行量を定量した。蛍光X線装置の測定条件は下記の通りとした。
分析線:Si−KA、 ターゲット:Rh4.0kW
管電圧:50kV、 管電流:60mA
フィルタ:OUT、 アッテネータ:1/1、 スリット:S4、 分光結晶:PET
検出器:PC、 PHA条件:100(下限)-300(上限)
測定径:30mm、雰囲気:真空
シリコーンの移行量は、PVBシートを塗工する前の離型フィルムの離型面のSi強度をSi(前)、PVBシートを塗工・剥離後の離型フィルムの離型面のSi強度をSi(後)として、Si(前)からSi(後)を引いた値をシリコーン移行量とした。得られたシリコーン移行量の数値から下記の基準で判断した。
◎:0.04kcps以下
○:0.04kcpsより大きく、0.10kcps以下
△:0.10kcpsより大きく、0.20kcps以下
×:0.20kcps以上
スチールウール(日本スチールウール社製、ボンスター(登録商標) No.0000)を重さ200g、大きさ700mm2の金属製の台座に貼り付けてスチールウール評価用治具を作成した。この治具を用いて、離型フィルムの離型面側とスチールウールが接触する形で200gの荷重をかけながら5往復離型面側を擦った。擦った面の中央部の2×2cmの範囲を蛍光灯透過下で観察し、目視で見えるキズの個数を評価した。キズの個数を以下の基準で判定し、評価した。
◎:キズの個数 ≦ 1個
○:1個 < キズの個数 ≦ 10個
△:10個 < キズの個数 ≦ 20個
×:20個 < キズの個数
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製 HLC−8220GPC)を用いて以下の条件で分析を行い、ポリスチレン換算により算出した。
カラム:Shodex (登録商標)KF−805L
媒体:テトラヒドロフラン、
流速:1.0mL/min、
試料濃度:1.5mg/ml、
注入量:300μL、
カラム温度:40℃
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm2)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒子径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒子径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/(II)=60%/40%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ31μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは28nmであった。
積層フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、25μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX2を得た。得られたフィルムX2の表面層AのSaは3nm、表面層BのSaは29nmであった。
厚み25μmのポリエステルフィルム(東洋紡エステル(登録商標)フィルムE5101、東洋紡社製)を使用した。E5101は、2層構造の表面層A中にも無機粒子を含有した構成になっている。表面層AのSaは24nm、表面層BのSaは24nmであった。
メチルメタクリレート10g、片末端メタクリロイル変性ポリジメチルシロキサン(JNC社製、製品名:FM0721、分子量5,000)10g、グリシジルメタクリレート80g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下60℃まで昇温した。その後AIBNを、計2g添加し、6時間攪拌し、前駆体アクリルコポリマー1aを得た。重量平均分子量1万、固形分濃度は35質量%であった。
次に、空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.1g、トリフェニルホスフィン0.5gを加えた。5分後、アクリル酸40.7gをMIBK76gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を90〜100℃に保った。その後液温を110℃に上げ、この温度で8時間維持した後、室温に戻し、エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂1bを得た。固形分濃度は35質量%、重量平均分子量は11,000であった。
メチルメタクリレート10g、片末端メタクリロイル変性ポリジメチルシロキサン(信越化学社製、製品名:X−22−174ASX、分子量900)30g、グリシジルメタクリレート60g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下60℃まで昇温した。その後AIBNを、計2g添加し、6時間攪拌し、前駆体アクリルコポリマー2aを得た。重量平均分子量1万、固形分濃度は35質量%であった。
次に、空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.1g、トリフェニルホスフィン0.5gを加えた。5分後、アクリル酸30.6gをMIBK58gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を90〜100℃に保った。その後液温を110℃に上げ、この温度で8時間維持した後、室温に戻し、エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂2bを得た。固形分濃度は35質量%、重量平均分子量は11,000であった。
メチルメタクリレート10g、片末端メタクリロイル変性ポリジメチルシロキサン(JNC社製、製品名:FM0721、分子量5,000)1g、グリシジルメタクリレート89g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下60℃まで昇温した。その後AIBNを、計2g添加し、6時間攪拌し、前駆体アクリルコポリマー3aを得た。重量平均分子量1万、固形分濃度は35質量%であった。
次に、空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.1g、トリフェニルホスフィン0.5gを加えた。5分後、アクリル酸45.4gをMIBK85gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を90〜100℃に保った。その後液温を110℃に上げ、この温度で8時間維持した後、室温に戻し、エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂3bを得た。固形分濃度は35質量%、重量平均分子量は11,000であった。
片末端メタクリロイル変性ポリジメチルシロキサン(JNC社製、製品名:FM0721、分子量5,000)3g、グリシジルメタクリレート97g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下60℃まで昇温した。その後AIBNを、計2g添加し、6時間攪拌し、前駆体アクリルコポリマー4aを得た。重量平均分子量1万、固形分濃度は35質量%であった。
次に、空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.1g、トリフェニルホスフィン0.5gを加えた。5分後、アクリル酸49.4gをMIBK93gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を90〜100℃に保った。その後液温を110℃に上げ、この温度で8時間維持した後、室温に戻し、エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂4bを得た。固形分濃度は35質量%、重量平均分子量は11,000であった。
メチルメタクリレート10g、片末端メタクリロイル変性ポリジメチルシロキサン(JNC社製、製品名:FM0721、分子量5,000)10g、グリシジルメタクリレート80g、ドデシルメルカプタン1.5g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下55℃まで昇温した。その後AIBNを、計1.5g添加し、10時間攪拌し、前駆体アクリルコポリマー5aを得た。重量平均分子量5万、固形分濃度は35質量%であった。
次に、空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.1g、トリフェニルホスフィン0.5gを加えた。5分後、アクリル酸40.7gをMIBK76gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を90〜100℃に保った。その後液温を110℃に上げ、この温度で8時間維持した後、室温に戻し、エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂5bを得た。固形分濃度は35質量%、重量平均分子量は52,000であった。
メチルメタクリレート30g、片末端メタクリロイル変性ポリジメチルシロキサン(JNC社製、製品名:FM0721、分子量5,000)10g、グリシジルメタクリレート60g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下60℃まで昇温した。その後AIBNを、計2g添加し、6時間攪拌し、前駆体アクリルコポリマー6aを得た。重量平均分子量1万、固形分濃度は35質量%であった。
次に、空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.1g、トリフェニルホスフィン0.5gを加えた。5分後、アクリル酸30.7gをMIBK58gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を90〜100℃に保った。その後液温を110℃に上げ、この温度で8時間維持した後、室温に戻し、エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂6bを得た。固形分濃度は35質量%、重量平均分子量は11,000であった。
メチルメタクリレート20g、グリシジルメタクリレート80g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下60℃まで昇温した。その後AIBNを、計2g添加し、6時間攪拌し、前駆体アクリルコポリマー7aを得た。重量平均分子量1万、固形分濃度は35質量%であった。
次に、空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.1g、トリフェニルホスフィン0.5gを加えた。5分後、アクリル酸40.7gをMIBK76gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を90〜100℃に保った。その後液温を110℃に上げ、この温度で8時間維持した後、室温に戻し、エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂7bを得た。固形分濃度は35質量%、重量平均分子量は11,000であった。
積層フィルムX1の表面層A上に以下に示す組成の塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥後の離型層膜厚が0.9μmになるように塗工し、90℃で30秒乾燥した後、積算光量が70mJ/cm2の紫外線を紫外線照射機(ヘレウス社製、LC6B、Hバルブ)を用いて照射することでセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムにセラミックスラリーを塗工し、離型層表面粗さ、表面自由エネルギー、塗工性、ピンホール、剥離性、カール、耐キズ付性、シリコーン移行性、耐溶剤性を評価したところ、良好な評価結果が得られた。
メチルエチルケトン 10.48質量部
イソプロピルアルコール 31.42質量部
エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂1b 57.10質量部
(固形分35質量%)
光重合開始剤 1.00質量部
(Omnirad127、IGM Resins社製)
エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂を表1に記載のものに変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
離型層の膜厚を表1に記載した値にした以外は実施例4と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
基材フィルムを積層フィルムX2に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
積層フィルムX1の表面層A上に以下に示す組成の塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥後の離型層膜厚が0.9μmになるように塗工し、140℃で30秒乾燥した後、積算光量が70mJ/cm2の紫外線を紫外線照射機(ヘレウス社製、LC6B、Hバルブ)を用いて照射することでセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 13.25質量部
イソプロピルアルコール 39.75質量部
エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂4b 40.00質量部
(固形分35質量%)
ヘキサメトキシメチルメラミン 6.00質量部
(固形分100%、東京化成工業社製)
4-メチル安息香酸 0.40質量部
(固形分100%、東京化成工業社製)
光重合開始剤(Omnirad127、IGM Resins社製) 0.60質量部
エネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂を表1に記載の7bに変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムは、分子内にポリオルガノシロキサンを有していないエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂を用いたため、剥離することができなかった。
基材フィルムとして積層フィルムX3を用いて、離型層の膜厚を0.2μmになるように塗工した以外は、実施例4と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムは離型層の表面粗さが大きく、セラミックグリーンシートにピンホールが発生していた。また、セラミックグリーンシート剥離力が重く、シリコーン移行性、耐溶剤性の評価も悪かった。
以下に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 19.70質量部
イソプロピルアルコール 59.10質量部
ジペンタエリストリールヘキサアクリレート 20.00質量部
(A−DPH、新中村化学工業社製、固形分100%)
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.20質量部
(BYK UV−3500、ビッグケミー・ジャパン社製固形分100%)
光重合開始剤 1.00質量部
(Omnirad127、IGM Resins社製)
得られた離型フィルムは、表面自由エネルギーが大きく剥離力が重かった。また、離型層の硬化収縮が大きくカールが発生しており、シリコーン移行性、耐溶剤性も悪かった。
以下に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 19.75質量部
イソプロピルアルコール 59.25質量部
両末端アクリレート変性ポリジメチルシロキサン 20.00質量部
(X−22−2445、信越化学工業社製、固形分100%)
光重合開始剤 1.00質量部
(Omnirad127、IGM Resins社製)
得られた離型フィルムは、基材フィルムに対するポリジメチルシロキサンの濡れ性が悪く、基材フィルム表面で凝集しており、表面粗さが大きかった。また、表面自由エネルギーが小さく、セラミックスラリーを塗工した時にハジキが発生しており、セラミックグリーンシートにピンホールが発生していた。加えて、キズ付性、耐溶剤性、シリコーン移行性も悪く、剥離力も重かった。
積層フィルムX1の表面層A上に以下に示す組成の塗布液をワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が0.6μmとなるように塗工し、次いで、160℃で15秒乾燥することで超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 33.00質量部
トルエン 33.00質量部
熱硬化付加型シリコーン 33.30質量部
(KS−847H、信越シリコーン社製、固形分30質量%)
白金触媒 0.70質量部
(CAT−PL−50T、信越化学工業社製)
得られた離型フイルムは、表面自由エネルギーが低く、セラミックスラリーを離型フィルム上に塗布した際にハジキが発生し、成型したセラミックグリーンシートにピンホールが発生していた。また、キズ付性、耐溶剤性、シリコーン移行性も悪かった。
Claims (6)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に直接又は他の層を介して0.2〜2.0μmの離型層が積層された離型フィルムであって、離型層表面の領域表面粗さ(Sa)が7nm以下であり、前記離型層が1分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する重量平均分子量2000〜10万のエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂を少なくとも含む塗膜が硬化されてなるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 離型層が、1分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する分子量2000〜10万のエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂以外のエネルギー線硬化型樹脂成分及びポリオルガノシロキサン成分を含まない請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 1分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する重量平均分子量2000〜10万のエネルギー線硬化型共重合アクリル樹脂が、(メタ)アクリロイル基の前駆体を有するモノマー類とポリオルガノシロキサン基を有するモノマー類を少なくとも含む複数種のモノマー類が共重合されているアクリルコポリマー(I)に対して、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がグラフトされているものであり、アクリルコポリマー(I)に対するポリオルガノシロキサン基の導入量が0.01〜10mol%、(メタ)アクリロイル基のグラフトによる導入量が70〜99.95mol%である請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- ポリエステルフィルムが少なくとも2層以上からなる積層ポリエステルフィルムであって、前記積層ポリエステルフィルムの離型層が積層された側の表面層Aには実質的に無機粒子が含有されていない請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 積層ポリエステルフィルムの表面層Aとは反対側の表面層Bが粒子を含有し、前記粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、合計の粒子の含有量が表面層Bの総質量に対して5000〜15000ppmである請求項4に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm〜1.0μmの厚みであるセラミックグリーンシートの製造方法。
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