JP6953655B1 - 足場を構成する一組の箱 - Google Patents
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Abstract
Description
クレーン等の重機や人力作業によって足場は構築され、また解体される。また昇降装置によって足場床が所定の高所に昇降可能な足場もある。足場を設置する場所や、必要とする高さや規模等の個々の現場状況によって、数ある足場の種類の中から最適な足場が選定されて、実用されている。特に都市部の建築補修工事においては、人力作業によって足場の組立て解体が実施され、高所作業や資材の運搬中の落下事故などの危険と隣り合わせの作業状況である。
足場の構築・撤去工事は、それぞれの現場状況によって最適な足場の構造は異なるが、作業の省力化、危険な高所作業の削減、作業工期の短縮、工費の低減などさらなる改善・改良が期待される建設工事の一分野である。
この方式の足場の場合、部材の組立て解体の作業の実施場所は設置現場と異なるが、作業の量は同じであり省力化されていない。また、高さは低くなるがユニット化するための組立て解体作業もやはり高所作業であり、墜落落下の危険性は変わらない課題がある。
前記特許文献2の伸縮足場は、作業台が最上部だけに設けられている。つまり建造物内部の高さが一定の天井等の補修工事等に適している。建造物の壁面、つまり上下左右に広がる面を補修する場合には効率が良くない足場と言える。また、高さの方向に伸縮する場合には作業台は人力では重く、上昇させる動力装置が必要となり、足場の規模に比べて動力装置利用の効率が良くない。
前記特許文献3の伸縮足場は、作業台が最上部に設けられて、作業台を支える支柱が伸縮する足場である。通常の足場と同様に、足場の組立て解体作業はほとんどが高所作業となり、作業の危険性は他の足場と比較して少ないとは言えない。文献に記載されているがボイラー内部等の特殊な空間で採用される伸縮足場であり、現場で組立て解体され、足場の移動は効率の良くない足場である。
図1で表すように本願発明の足場を構成する一組の箱は、
外郭は支柱2fと梁2gで構成され入れ子構造に納まる一組の箱であって、
該一組の箱を略垂直に立てたとき外側の箱の上面は開放されていて、
外側の箱1aと1bから内側の箱1bと1cを揚重機で上方に突出すことができる装置2bを有し、
突出された内側の箱を支える支持具2iを有し、
箱内部に床材3aを装着していることを特徴とする一組の箱である。
また図2と図4で表すように、
箱の内側側面は床材3aと係合して該床材を該箱の側面に沿って着脱可能に装着できる構造を有し、
箱の内部は該床材と係合して該床材を略水平方向に並ぶ梁に床材の端部を着脱可能に敷設できる構造を有している
ことを特徴とする一組の箱である。
また図3で表すように、
外側の箱の支柱2fと内側の箱の支柱2fとの間に、
上下方向に長い板2h1あるいは2h2で構成された支柱間滑り装置を有する
ことを特徴とする一組の箱である。
また図5で表すように、
揚重機としてウインチを採用した場合、ロープと相まって
一組の箱のいずれかの箱の上方に定滑車を装着している
ことを特徴とする一組の箱である。
さらに図7で表すように、
上記で説明したような一組の箱を使用して、
入れ子構造に納まった一組の箱1を略垂直に設置する工程と、
外側の箱から内側の箱を揚重機6で上方に突出す工程と、
突出した内側の箱を支持具2iで支える工程と、
箱の側面に装着した床材3aを外す工程と
外した床材を略水平に敷設して足場床5aを構築する工程を
有することを特徴とする足場構築方法である。
工場製作された一組の箱で構成された足場は再利用が可能であるため利用コストは安い。工場から現場までの往復の運搬においては、一組の箱の足場は入れ子構造に納められているため、運搬時の容積が大きくならず、運搬コストは安い。
現場では、揚重機を使用して、既に支柱と梁が組立てられている、入れ子構造の外側の箱から内側の箱を取り出して、高い足場を構築するため、施工が早い。従って一台の揚重機で複数組の箱を取り扱うことが出来て動力装置の利用効率が良い。
また、本願の箱の側面に構造部材以外の足場床や手摺、階段等の諸足場部材が装着可能で、それら部材は箱と一緒に高所まで運ばれるため、あらためて高所へ荷揚げ又は荷下ろしする必要がなく、省力化されている。従って、高所の危険作業が削減される。またヒンジ装置を付けた床材を採用した場合には、床材は梁から外れないので落下する危険がない。
本願一組の箱で構築された足場は多階層で、複数の一組の箱を横に連結することも可能で、面的な広がりがあるため、足場を使った本体工事の作業も効率よく出来る。
足場の解体・撤去作業も構築方法の逆の手順で実施することが出来るため、作業の省力化と高所危険作業の削減が可能である。
本願で言うところの台座とは、構築を目的とする組立て足場構造物の下方にあって、上方にある本願一組の箱を重力的に支持する構造物部分である。
台座はコンクリートや金属製であるとよい。また台座は高さを調整可能なアジャスター機能やジャッキ機能があってもよい。また台座に車輪が付加されて、一組の箱を台座に載せたまま容易に水平移動することが出来る台座であっても良い。台座には足場の転倒に対する抵抗力を増すためにアウトリガーのように足を広げる装置があってもよい。あるいは台座は一組の箱の底面にあらかじめ装着されていても良い。
基盤(地面)がコンクリートや鋼材で補強されている場合には、台座を使用することなく、一組の箱を直接地盤の上に設置することでも良い。
ここでまず本願内容を説明するために、入れ子構造の一組の箱を構成する各箱の名称を説明する。
一番外側の大きな箱を外箱と言う。一番内側の小さな箱を内箱と言う。外箱と内箱の間にある箱を中間箱と言う。中間箱は無くともよい。また中間箱は複数在っても良い。複数ある場合には、各中間箱の寸法は入れ子構造をなすように段階的に大から小へ異なる。
よって本願で言う一組の箱とは、外箱、中間箱、内箱が入れ子構造なって中間箱と内箱が外箱の中に納まることが出来る複数の箱である。入れ子構造となった一組の箱の外箱を台座又は地盤の上に立てたとき、外箱あるいは中間箱の内部の箱が上方に抜け出すことが可能となるように、外箱と中間箱の上面は開放されて(吹抜になって)いることが特徴の一組の箱である。外箱、中間箱、内箱は置かれた場所の関係で多少構造と機能が異なる。また、外箱、中間箱、内箱の言い方とは別に、置かれた位置の相対的な呼称として、外側の箱と内側の箱と言う。外箱は常に外側の箱であり、内箱は常に内側の箱である。中間箱は、相対的に外側の箱や内側の箱となる。
箱の形状は、一組の箱の外箱を台座又は地盤の上に立てたとき、直方体となる形状が使用の上で良好な形状である。外箱、中間箱と内箱は概ね外箱と相似形の断面形状であることが利用し易い。直方体以外の多角柱体でも本願発明の機能と効果は直方体と同様に発揮できるが、箱の製作費や現場での融通性に不利があると思われる。
台座上に本願一組の箱を略垂直に立てたときの高さ方向の寸法は、中間箱や内箱が外箱の高さより小さくとも、同じであっても、大きくても良い。
本願は、現場で足場構築作業の省力化と工期短縮、作業の安全性向上を主目的としている。そのため、工場や仮設ヤードにて各箱を入れ子構造に組立てた後、(縦型の箱は横に倒して)トラックで運搬して現場へ運ぶ。そのため外箱の大きさはトラックに積める大きさが良い。概ね海上コンテナの大きさ程度が良い。しかし建設足場は、幅方向は人が通れる幅、あるいは部分的にそれ以下の幅で良いため、海上コンテナの幅(トラックに積込んだ時の車幅方向の幅)より小さくて良い。施工中の足場の幅方向への転倒抑止に壁つなぎや控え等が必要である。
足場としての強度を必要とするため、素材は木材、金属や樹脂等が良い。強度の強いコンクリートを部分的に採用することも可能である。
一組の箱の各箱は鋼管や型鋼を使った骨組み構造(支柱と梁)で良い。骨組みの一部または全部を板や網等で覆ったものでも良い。骨組み構造の節点は繰り返しの使用に耐えるためと、節点の場所を取らないために溶接がよい。骨組みの間に筋交いや小梁等の補助部材が在ってもよい。
尚、本願一組の箱は外郭が支柱と梁で構成された直方体が最適な形状である。箱を立てたとき背が高い箱では水平方向の梁によって階層を構成し、横に長い箱では鉛直方向の支柱によって箱の内部を区画化することが、足場床や階段部材、手摺、筋交い等を設置するのに都合がよい。梁の間隔や支柱の間隔は概ね2m以下であると、作業員の手足が届き、資機材の取り付け、取り外し、受け渡しが容易にできる区画化空間が構成できる。また、箱の構造体としての剛性強度もよくなる。
以下、箱の上下左右を明確に説明するために、箱を台座の上において、略垂直に立てた箱の状態で説明する。
台座の上に立てた状態の一組の箱の側面の一部に、あらかじめ床材や階段等の足場の部材を装着しておくことができる。箱の支柱、梁や支柱間滑り装置の幅に納まるように、床材等の部材を薄く装着する方法であれば、入れ子構造の内側の箱を出し入れ(上昇、下降)させるときの支障とならない。
これらの床材や階段部材の上端あるいは下端を箱の梁となる部分にヒンジ装置で装着しておくことで、一組の箱が立てられるとき、あるいは立てられた後に、箱の側面に装着されていた床材や階段部材を倒すあるいは起こす方法で上下方向に回転させて、それらを略水平の足場床や斜めの昇降階段として利用することが出来る。同様に手摺、筋交い、つなぎ部材や張り出し部材等を箱の側面に装着しておき、揚重機を使って箱を立てて内側の箱を上昇(突出す)させることで、箱の上昇と同時にそれらの足場材や箱の補助部材も上方まで荷揚げすることが出来て、材料の上下方向の運搬作業が非常に省力化され、工期も短縮化される。
また運搬作業に限らず、足場の構築作業においても、作業員は床材等を上下方向あるは水平方向に移動することなく、あらかじめ設置位置まで運搬された材料を回転移動するだけで略水平の足場床、斜めの階段を安全に構築することができるので、工事の危険作業が削減される。
本願一組の箱は入れ子構造に納められて、トラックで運搬され、クレーン(揚重機)でトラックから降ろされ、略垂直に設置される。その後そのクレーンを使って、入れ子構造の内側の箱を吊上げた状態で、支持具を設置し、内側の箱の下降や落下を阻止して状態で、足場として利用される。(足場の外部と壁つなぎ等の転倒抑止が必要である)
クレーン等の大型揚重機の代わりに、外箱の外部にウインチ等の小型揚重機を設置し、外箱や中間箱に設置された滑車とロープを使って入れ子構造の内部の箱を上昇と下降させることが可能である。その装置と操作方法については後記する。
支持具は、揚重機で吊上げられた内側の箱の重量を外側の箱に伝達する装置である。支持具2iの一例を図1と2に表している。
図1で表す支持具は、外側の箱の梁に鋼管の支持具2iを載せて内側の箱の重量を支えるような簡易な構造である。
図2で表す支持具は、外側の箱の支柱に設けられた水平方向に回転可能なブラケットを支持具とする構造である。内側の箱をクレーンで吊った状態でブラケットを水平回転させ、ブラケットを内側の箱の支柱底部又は梁の下に位置させて、クレーンで吊った内側の箱を下げてブラケットの上に内側の箱を載せる手順で使用される。この支持具で相対的に内側の箱が外側の箱に対して沈降することがない。ブラケットの旋回は、外部から電動式やひも等を使って操作することで、吊り荷の下に作業員が立ち入ることなく安全に作業が可能である。
あるいは支持具は、揚重機によって内側の箱を吊上げた状態で、外側の箱と内側の箱の支柱に設けた孔にピンを貫通させることで、外側と内側の箱が上下方向にずれることを阻止する簡単な構造であってもよい。
またあるいは、内側の箱全体を外側の箱から抜き出してから、外側の箱の上に内側の箱を載せる構造であってもよい。この場合であっても、内側の箱は外側の箱の上面の開放された空間より小さいために、内側の箱を支えるための支持具が必要である。
内側の箱を外側の箱で支える方法は、上記の例に限らず、公知の方法の装置を採用して支持具とすることでもよい。
尚、一組の箱で構成された足場は、荷重、地震、風、振動、揺れ等に対して、支持具以外の他の手段を併用して適切に補強される必要がある。
図3は、鋼管支柱を採用した本願一組の箱の、内側の箱の上下方向移動をスムースにする支柱間滑り装置を表した図である。
A図は、本願一組の箱の平面断面を表している。箱の四隅の支柱付近に支柱間滑り装置を採用する。装置は、外側の箱の支柱あるいは支柱直近の梁に、支柱と若干の間隔をとって溶接又はビス止め等で取付けられるもので、内側の箱が上下に移動する範囲に、凹凸がなく滑らかに取り付けられる装置である。
B図で表す支柱間滑り装置2h1は、内側の箱の支柱管より大きい径の管を、縦方向に概ね3〜4分割した部材であり、いわば縦に長い湾曲した鋼板を取付けた装置である。
C図で表す支柱間滑り装置2h2は、外側の箱の内側の箱の支柱が当たる部分に帯状の板を装着した装置である。板は金属や樹脂製で、外側の箱の支柱や梁に固定された部材である。
本願入れ子構造の箱を上方に引き抜く場合あるいは下方に収納する場合は、内側の箱と外側の箱の間に若干の遊びがあるため、前後左右に揺れながら、あるいは前後左右に小衝突を繰り返しながら内側の箱が上昇あるいは下降する。支柱間滑り装置はその前後左右の振れ幅を制限する装置である。特に本願一組の箱は箱の側面に足場部材等を装着しているため、内部の箱がそれら部材と小衝突を避けるための間隔を保持するための装置である。従って、大きな間隔が必要な場合には、板と固定する支柱や梁との間にスペーサーを挿入して、間隔を大きくした装置であってもよい。
一組の箱は略垂直に立てられているため、箱間に作用する水平力は、箱相互が寄りかかる力以外はない。その力は極僅かであり、よって摩擦力も小さいため、上記のような装置で機能する。車輪やベアリング等の機械製品を使用しないため安価な装置である。
外側の箱から内側の箱が完全に抜出してしまうことを防止する装置であり、内側の箱の上昇を途中で止める装置である。外側の箱の上方内面に突起を設け、内側の箱の下方外面に突起を設け、内側の箱が上方に突出したときに双方の突起が衝突して、外側の箱から内側の箱が抜出さないような構造の装置である。突起は小さな型鋼や鋼管を箱に付けたもので良い。あるいは曲げやせん断に耐える強度のボルトやフックのような簡易なものであってもよい。ただし、図6で表すような小型揚重機と滑車を採用した本願一組の箱の場合では、この上昇止め装置には装置より内側の箱の重量と同じ大きさの力が作用するため、それなりの強度が必要である。
なお、維持管理のために外側の箱から内側の箱を取り出す必要もあるため、上昇止め装置は着脱可能あるいは設置位置の移動が可能である必要がある。
床材は箱の側面に装着され、箱のトラック運搬、箱の設置、箱の突出しの作業を経て、現場の足場高所の設置位置まで運搬されることが可能である。鋼板、アルミ板、樹脂板、木材等が床材の材料として適している。
箱の側面に装着された床材は、箱が足場としての所定の位置に固定された状態で、箱の梁の上に略水平に移動・設置されて足場床として利用される。床材は箱の側面にあるとき、上端または下端がヒンジ装置で箱の梁に装着されているとよい。ヒンジ装置を使って床材を回転させるだけで略水平に箱の梁の上に設置することが可能となる。床材の反対の端部は爪やボルト、ベルト等の装置で他方の梁に取り外し可能に固定されるとよい。
床材は二枚構造や引き出し式等になっていて長さが調整可能であるとよい。足場床として利用する際梁間隔に長さを合わせることが出来て便利である。
箱には前後左右と四側面がある。建造物の方向の側面に、斜材や吊りチェーン等を併用してベランダのように突出す足場床も可能である。隣接する別の一組の箱の足場の方向の側面では、その側面の床材を使って渡り歩廊を構成する足場床を構築することも可能である。
箱の側面に昇降用の階段部材を装着することも可能である。階段部材も床材と同様に、上端または下端がヒンジ装置で箱の梁に装着されているとよい。ヒンジを利用して回転させることで斜めの階段を構築することができる。階段部材はルーバー窓のようにステップ板が回転可能であると、全体の厚みを薄く構成することが出来て、箱の側面に装着しやすい。階段部材は長さが調整可能なものがよい。
また足場の昇降装置として、階段の代わりにハシゴやタラップであってもよい。それらの場合、箱の側面に固定したままのものであってもよい。
足場関連部材や箱の補強部材をボルトやクリップ、ベルト等を使って箱の側面に装着しておくことができる。隣接する別の足場への連結部材や建造物への壁つなぎ、あさがお、筋交い、手摺等々、箱の側面に装着しておくことで運搬作業を省力化し、危険な高所作業を削減することができる。
現場状況に対応すべく横に長い一組の箱を採用する場合であっても、外箱と中間箱は内側の箱を上方に突出すために、箱の上面を吹抜にする必要がある。上面を吹抜にすると長い箱の幅が運搬中あるいは足場を構築中に変化するおそれがある。外箱と中間箱の上面には箱の幅止めのために、着脱可能な梁を装着する。外箱や中間箱の上面を内側の箱が上方に通過するときは着脱可能な梁を外して箱の上面を吹抜にすることが出来る梁である。
図1は本願発明の実施例を説明する図である。図の内容が錯綜しないように、この図では主に入れ子構造の一組の箱1の外郭の支柱2fと梁2gを表している。足場床等に関する諸部材の説明は別図で表す。A図は、外側の箱と中間箱と内側の箱の三個の箱の一組の箱が、まだ入れ子構造の状態で台座の上に垂直に立てられた状況を表している。B図は外側の箱1aから内側の箱1bと1cが揚重機で上方に突出されて、内側の箱を支える支持具2iで支えられている状態を表している。箱の内部1dの底面には床材3aが装着されている。
言い換えると図1は、
外郭は支柱2fと梁2gで構成され入れ子構造に納まる一組の箱1であって、該一組の箱を略垂直に立てたとき外側の箱1aと1bの上面2cは開放されていて、外側の箱から内側の箱1bと1cを揚重機で上方に突出すことができる装置2bを有し、突出された内側の箱を支える支持具2iを有し、箱内部に床材3aを装着している一組の箱を表している。
建造物の高さが低い場合は高い足場を必要としない。図は横に長い足場を構成する一組の箱を表している。外箱と中間箱の上面は吹抜である必要があるが、横に長い吹抜空間では、中間部に押さえがないと部材がゆがむ。そのためこの一組の箱の外箱と中間箱の上面には着脱可能な梁2kを装備して、箱の上面の幅の変化を防いでいる。着脱可能な梁2kを外すことで箱の上面2cは必要な時いつでも開放される、吹き抜け状態であると言える。
また図で表す一組の箱では、外箱と中間箱の上面から30〜50cm下方に追加の長手方向の梁2lを装備している。この梁2lは、箱の上面の着脱可能な梁2kを外したときに、一時的にその着脱可能な梁2kを設置することが可能な梁であって、箱の上面の幅の変化を抑えることが出来る装置である。また、図で表すように内側の箱を支える支持具2iと相まって、内側に箱を支える機能を担うこともできる梁である。
図2は本願発明の別の形態の実施例を説明する図である。この図では主に入れ子構造の一組の箱1の外郭の支柱と梁を説明している。足場床等に関する諸部材の説明は別図で表す。
A図は、外箱1aの内側に中間箱1bが、中間箱の内側1cに内箱があって、三つの箱が入れ子構造となって略垂直に台座の上に立てられている状態を表している。各箱は外郭が鋼管の支柱2fと梁2gで構成され、梁は高さ方向に1〜2m程度の間隔で設けられている。
A図で表される一組の箱は、外郭は支柱2fと梁2gで構成され入れ子構造に納まる一組の箱1である。該一組の箱を略垂直に立てたとき外側の箱の上面2cは開放されていて、外側の箱から内側の箱を揚重機で上方に突出すことができる装置2bを有している。
B図は、入れ子構造の三つの箱の断面平面図である。箱の側面の梁2gと重なって床材3aが装着されている状況を表している図である。
C図は、A図で表された一組の箱が揚重機と吊り装置2bとで吊上げられて、外側の箱から内側の箱を上方に突出した後、外側の箱に有る支持具2iで、突出された内側の箱を支えている状況を表している。また箱の内部側面に床材3aを装着している。
外側の箱から内側の箱を突出すと背が高くなるため、図では高さ方向の表示を一部省略して表している。
D図は、床材を箱の側面に装着する手段の一例として、床材3aとヒンジ装置3cと爪装置3dを表した図である。床材3aのヒンジ装置3cは、床材に付いた環状のリングがリングと係合する太さや位置の梁を回転軸として、床材が回転運動をすることが出来る装置である。また、床材に付いた爪装置は、爪状の金属が係合する太さで係合する位置にある梁に爪がかかって容易に外れない構造の爪を表している。ある部分を押すか引くと爪が外れる装置である。このように本願は、箱の内側側面(の梁や支柱)は床材3aと係合して該床材を側面に沿って着脱可能に装着できる太さや位置や止め具等の構造を有している。尚、床材を梁や支柱に装着するための装置は他の形式のものであってもよい。
床材は揚重機によって箱が動かされるとき、箱に付いて移動するため、別途運搬する必要がない。床材を箱の側面に装着している箱の状況に関しては後記で説明する。
図3は入れ子構造の一組の箱において、外側の箱から内側の箱を滑らかに突出すことが可能であることを説明する図である。A図は入れ子構造の一組の箱の平面図であり、B図とC図はその支柱部分の詳細図である。
B図は、外側の箱の支柱と内側の箱の支柱との間に、上下方向に金属管を縦に切断した長い板で構成された支柱間滑り装置2h1を表している。
C図は、外側の箱の支柱と内側の箱の支柱との間に、上下方向に長い金属板2枚で構成された支柱間滑り装置2h2を表している。
入れ子構造の外側の箱から内側の箱が抜け出す場合には、支柱、梁、筋交い、手摺や足場材料である床材、ステップ等の諸々の部材が接触して支障となる。しかし、外側の箱と内側の箱の支柱に注目して、上記の縦に切断した金属管2h1あるいは金属板2h2等を用いて外側と内側の箱の支柱相互の間隔を離すことで、その支障を解消することが出来る。
一組の箱は略垂直であり、支柱と支柱間滑り装置の間では、水平方向の力が作用していないため静止摩擦力は極わずかである。ここで、梁や筋交い、足場材等の各部材を、箱の側面の装着する場合、支柱の径と支柱と支柱間滑り装置の造り出す隙間との薄い厚みの空間の内部に納まるように構成する必要があるが、それは部材の寸法を調整することで容易に可能である。
図4は本願一組の箱の側面や内部の仕組みと床材等の装着構造を説明する図である。
A図とB図で表す箱は、入れ子構造の箱の任意の一つを表した箱である。
A図で表す箱の構造は、箱の内部の側面の支柱や梁の間隔が、床材が側面に納まるように床材と係合した寸法である。また、床材は支柱や梁と着脱可能で装着するためにヒンジ装置や爪装置あるいはボルトやソケットのような装置を有しているが、支柱や梁にはそれら装置と係合して受け止める装置と構造を有している。図2D図で一例を表したが、リングを使ったヒンジ装置の場合、床材にリングが装着されて、梁がリングの輪の中にあってヒンジの回転軸の役割をする。
ここで言い換えるとA図で表す本願の箱は、箱の内側側面は、梁や支柱の間隔や太さや着脱装置などの点において、床材と係合して床材を側面に沿って着脱可能に装着できる構造を有している。
また床材の厚み方向の寸法に関して、前記で説明したが、床材等は支柱と支柱間滑り装置とで構成する狭い空間に薄い形状で納める必要があり、床材は支柱の径より薄く製作する必要がある。また階段部材はステップ板をルーバー窓のように回転させる構造とすれば階段を薄い形状とすることは可能である。あるいは、支柱間滑り装置を外側の箱の支柱から離して取付けることで、広い空間を構成することも可能である。
尚、壁つなぎ、連結材、補強材、あさがお等のその他の部材も箱の側面に着脱可能に装着しておくことも出来る。その場合、箱の支柱や梁にそれらに係合して、受け止める装置と構造が必要となる。
この状態においても、箱の内部の支柱や梁は略水平に敷設する床材と係合して、支柱や梁の間隔、太さ、補強材や斜材等の配置、ヒンジ装置や爪装置、ボルト、ソケット等を受け止める装置や構造を有していなければない。
また、足場を撤去する場合には、足場床(床材)5aの爪装置3dを外して、ヒンジ装置3cを利用して足場床5aを上下方向に回転させて、箱の側面の元の位置(側面)に床材として装着することが可能である。
つまり、本願一組の箱の内部は床材と係合して床材を略水平に着脱可能に敷設できる構造を有している。
図は、既に3組の一組の箱で構成される足場が台座の上に設置され、揚重機6で内側の箱を上方に突出し、支持具2iで支持された状態を表している。さらに四番目の入れ子構造に納まる一組の箱が台座の上に略垂直に設置されている状態を表している。
箱の内側側面2dは床材3aと係合して床材を側面に沿って着脱可能に装着できる構造を有している。箱の内部は床材と係合して床材を略水平に着脱可能に敷設できる構造を有している。
本願の一組の箱を採用することで、支柱、梁、足場床、階段等、筋交い、手摺等も揚重機を使って短時間で使用位置まで運ぶ(荷揚げ)ことが出来る。従って諸部材を上方に運び上げる必要はなくなる。また足場床等の設置作業も床の一部がヒンジ装置で梁に連結されているため落下等の事故の発生を防ぐことが出来、安全である。(工期短縮と省力化に貢献)
また本願一組の足場の撤去手順は、組立て手順の逆の手順で出来る。上方から足場床や階段等を箱の側面に収納(装着)し、下方に降りてくる。揚重機の吊り具を装着後、必要最小限残された階段等を箱の側面に収納しながら作業員が足場を離れた後、揚重機で吊上げて一組の箱を入れ子状に収納し、運搬トラックに積み込むことで、撤去作業は終了出来る。
図5は、小型揚重機の力の伝達方式にロープと滑車を採用した場合の本願発明の、一組の箱のいずれかの箱の上方に定滑車を装着している、一組の箱を説明する図である。図は分かりやすくイラスト的に、外部揚重機と滑車とロープによって、入れ子構造の外箱、中間箱、内箱の3個の箱がどのように動くかを説明している。足場材や箱の構造などの表示は省略して、模式的かつ透視的な図である。
A図は滑車の配置を正面から見易く並べた図である。B図は滑車と箱の位置関係を表す断面図的な説明図である。C図は揚重機と滑車を使って内箱と中間箱を外箱から突出させた状態を表すイラスト図である。
ここで、滑車やロープによる力の損失はないもとして、入れ子構造の内部の箱が上昇する方法を説明する。なおここでは、内部箱を上昇させることと内部の箱を突出させることとは同じ意味である。
外箱の外部には小型揚重機(ウインチ等)が外箱または基盤等に固定されている。外箱の上方には定滑車Aが配置されている。中間箱の下方に定滑車Bと上方に定滑車Cが配置されている。内箱の下方にはロープの一端を固定する定着装置Dがある。ロープはロープ引張装置である小型揚重機から諸装置A、B,C,Dの順に配線されている。
(1)小型揚重機でロープを引張すると、内箱の重量より大きな引張力によって、まずCとDの間が引き寄せられて近づく。Cは下がることはないので、Dが上昇する。Dは内箱に固定されているため、つまり内箱が上昇する。その時の引張力(第一段階引張力)は内箱の重量と箱相互の若干の摩擦抵抗の合力と同じである。
(2)内箱が上昇して、内箱の外面の上昇止め装置が中間箱の内面の上昇止め装置に突き当たることで、第一段階引張力ではこれ以上内箱を上昇させることはできない。この状態で支持具1を機能させて内箱と中間箱との動きを固定することができる。
(3)引張力をさらに大きくすると、次にAとBの間が引き寄せられて近づく。Aは下がることはないので、Bの滑車が上昇してAに近づく。Bの滑車は中間箱に固定されているため、つまり中間箱が上昇する。この時の引張力(第二段階引張力)は内箱と中間箱の重量と箱間の摩擦力の合力である。ここで、定滑車Bは中間箱に固定された定滑車であるが、定滑車Bは中間箱と一体となって動くので、動滑車と同じ機能をしている。
(4)中間箱が上昇して、中間箱の外面の上昇止め装置が外箱の内面の上昇止め装置に突き当たることで、第二段階引張力による内箱と中間箱の上昇は止まる。この状態で支持具2を機能させて、中間箱と外箱との動きを固定することで、一組の箱の内部の箱を突出させることが出来る。
(5)中間箱が複数ある一組の箱の足場であっても、滑車と上昇止め装置の数を増やすことで、上記と同様ステップで、入れ子構造の内側の箱からの順序で複数の中間箱を上昇させることが可能である。
(6)入れ子構造の一組の箱を入れ子状態に戻す方法は、揚重機を使って再度ロープに引張力を与え(ロープをわずかに牽引して)、内箱と中間箱の荷重をロープで受け止めた状態で、支持具1及び支持具2の機能を解除した後、ロープの引張力を弱めて、ロープを繰り出すことで、中間箱と内箱を徐々に外箱の内部に納めることが出来る。
図7は、前記で説明した本願入れ子構造の一組の箱を使って足場を構成する方法を説明する手順図である。
A図は、工場又は仮設ヤードで入れ子構造に納められた一組の箱1をトラックで運搬して建設現場へ搬入する様子を表した図である。入れ子構造の箱の側面に足場材料(床材3a等)が装着されているため、トラックへの積み込み積み下ろしは一組の箱1ごと行うことで、作業は非常に短時間で出来る。
B図は、搬入された入れ子構造に納まった一組の箱1を、揚重機6を使って台座2aの上に、略垂直に設置している工程の作業状況を表している。台座に高さ調整機能があれば非常に容易な作業である。
C図は、一組の箱の外側の箱から内側の箱を揚重機で上方に吊り上げる(外側の箱から内側の箱を突出す)工程であり、足場を高くする作業をしている様子を表している。
この状態で、内側の箱の底面と外側の箱の梁の間に支持具2iを挿入し、揚重機の吊具を下げることで、外側の箱から突出した内側の箱を支持具2iで支えることが出来る。この工程で入れ子構造の一組の箱の支柱と梁が、高い足場の構造材の役割をすることになる。(この作業工程は入れ子構造の内側の箱の大きな箱から小さな箱の順で、箱ごとに行う。あるいは、内側の箱と外側の箱と間に、前記の上昇止め装置2jを設置することで、内側の箱を吊上げることで、外側の箱を繋がって吊上げることも可能である。)
尚、図では支持具2iは鋼管を表しているが、支持具は別な形態のものであってもよい。また、足場が高くなるにつれて、壁つなぎや控えやタイロープ等の転倒抑止措置が必要である。
D図は、作業員が箱の側面2dに装着してあった床材3aを外し、外した床材を略水平に敷設して足場床5aを構築している作業工程を表している。
本願一組の箱は支柱の間隔と水平方向の梁の間隔は概ね2m以下で配置されて、足場床を梁の上に載せて容易に安全な作業床とすることが出来る。また高さ方向の梁の間隔はやはり概ね2m以下であるため、足場床を2m以下ごとの使いやすい(作業員の手が届く高さ)階層で構築することができる。
この足場床の構築が終了することで、足場を利用する大工、塗装工、配管工等々の足場に不慣れな本体工事の職人が足場上に立ち入り、作業をすることが出来る。
1a:外箱
1b:中間箱
1c:内箱
1d:箱の内部
2:箱の各部
2a:台座
2b:吊り装置
2c:箱の上面
2d:箱の側面
2e:箱の底面
2f:支柱
2g:梁
2h1:支柱間滑り装置
2h2:別な形態の支柱間滑り装置
2i:支持具
2j:上昇止め装置
2k:着脱可能な梁
2l:上辺追加の横梁
3:足場部材
3a:床材
3b:階段部材
3c:ヒンジ装置
3d:爪装置
3e:手摺材
3f:壁つなぎ
3g:斜材
4:ロープ
4a:箱の上方の定滑車
4b:箱の下方の定滑車
4c:小型揚重機(ロープ引張装置)
4d:ロープ定着装置
5:足場
5a:足場床
6:揚重機
7:基盤
Claims (2)
- 外郭は支柱と梁で構成され入れ子構造に納まる一組の箱であって、
該一組の箱を略垂直に立てたとき外側の箱の上面は開放されていて、
外側の箱から内側の箱を揚重機で上方に突出すことができる装置を有し、
突出された内側の箱を支える支持具を有し、
箱内部に床材を装着して、
箱の内側側面は床材と係合して該床材を該箱の側面に沿って着脱可能に装着できる構造を有し、
箱の内部は該床材と係合して該床材を略水平方向に並ぶ梁に床材の端部を着脱可能に敷設できる構造を有している
ことを特徴とする足場を構成する一組の箱。
- 請求項1記載の一組の箱を使用して、
入れ子構造に納まった一組の箱を略垂直に設置する工程と、
外側の箱から内側の箱を揚重機で上方に突出す工程と、
突出した内側の箱を支持具で支える工程と、
箱の側面に装着した床材を外し、
外した床材を略水平に敷設して足場床を構築する工程を有する
ことを特徴とする足場構築方法。
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