以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態である衛星電波時計の外観を示す正面図、図2は実施の形態である衛星電波時計の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態である衛星電波時計Wは、本発明の衛星電波時計を腕時計に適用したものであり、衛星が送信する時刻情報を含んだ衛星信号を受信し、この時刻情報を用いて時刻情報の修正を行う。
図1に示すように、本実施の形態である衛星電波時計Wは、衛星電波時計Wの外装(時計ケース)である胴1、胴1内にそれぞれ配置された文字板2、時刻を示す指針である時針3、分針4、秒針5を有する。また、胴1の3時側の側面にはユーザーが種々の操作を行うための竜頭6、ボタン7が配置されている。胴1の12時側及び6時側の側面からは、バンドを固定するためのバンド固定部8が伸びている。
なお、図1に示した衛星電波時計Wのデザインや指針等は一例であり、本発明が適用される衛星電波時計Wの外観構成は図1に限定されない。一例として、胴1を丸型でなく角型にしてもよいし、竜頭6やボタン7の有無、数、配置は任意である。また、図1に示した例では、指針を時針3、分針4、秒針5の3本としているが、これに限定されず、秒針5を省略しても、あるいは、曜日、タイムゾーンやサマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加したりしてもよい。
図2に示すように、本実施の形態である衛星電波時計Wは、アンテナ10、受信回路20、制御回路30、発振器31、電源40、駆動機構50、及び時刻表示部51を有する。
アンテナ10(図1も参照)は、衛星から送信される衛星信号を受信する。本実施の形態では、アンテナ10は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される周波数約1.6GHzの電波を受信することとする。GPSは、衛星測位システムの一種であって、地球の周囲を周回する複数のGPS衛星によって実現されている。これらのGPS衛星は、それぞれ高精度の原子時計を搭載しており、原子時計によって計時された時刻情報を含んだ衛星信号を周期的に送信している。なお、以下では、衛星信号に含まれる時刻情報によって示される時刻を、GPS時刻という。
受信回路20は、アンテナ10によって受信された衛星信号を復号して、復号の結果得られる衛星信号、特に時刻情報の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。具体的に、受信回路20は、高周波回路(RF回路)21、デコード回路22及び差分データ算出部23を有する。
高周波回路21は、高周波数で動作する集積回路であって、アンテナ10が受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路22は、ベースバンド処理を行う集積回路であって、高周波回路21が出力するベースバンド信号を復号化してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し、制御回路30に対して出力する。
差分データ算出部23は、後述する週番号(WN)記憶部34に格納された週番号情報と、デコード回路22の出力である時刻情報に含まれる閏秒に関する情報とに基づいて、所定の時刻から閏秒が更新されるタイミングまでの差分データを算出して制御回路30に出力する。好ましくは、この差分データは、所定の時刻から次回の閏秒更新日までの日数と、現在の閏秒と更新後の閏秒との差分秒数とを有する。
制御回路30は、マイクロコンピュータ等であって、図略のROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体に格納されたプログラムがこれも図略の演算部により実行されることで、このプログラムに従った各種情報処理動作が行われる。また、各種情報処理動作時の処理対象となるデータも上述の記憶媒体に一時的に格納される。
制御回路30は、内部時刻生成部32、週番号(WN)カウント部33、週番号(WN)記憶部34、及び閏秒更新部35を有する。
発振器31は、衛星電波時計W内部での計時に使用されるクロック信号を供給し、内部時刻生成部32は、発振器31から供給される信号によって計時された内部時刻を、受信回路20によって受信された時刻情報に基づいて修正して、時刻表示部51に表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。そして、制御回路30は、この決定された表示時刻に応じて、後述する駆動機構50に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、制御回路30によって生成された表示時刻が時刻表示部51に表示される。
週番号カウント部33は、受信回路20から週番号(WN)情報を受信する度に、週番号記憶部34に格納されている週番号情報を更新するとともに、内部時刻生成部32が日曜日の0時00分00秒をカウントする度に、週番号記憶部34に格納されている週番号情報を更新する。このようにして、週番号記憶部34には常に更新された週番号情報が格納されることになる。
週番号記憶部34に格納された週番号情報は、受信回路20による衛星信号受信時に適宜この受信回路20に送信される。
また、週番号情報は一定値(1023週=約19.6年)を超えるとロールオーバー(桁あふれ)になって0にリセットされる。このため、週番号記憶部34には、5ビット程度の容量を有する図略のロールオーバーカウント部を有し、このロールオーバーカウント部には週番号情報のリセット回数が格納されている。このロールオーバーカウント部の情報も、受信回路20による衛星信号受信時に適宜この受信回路20に送信される。なお、週番号情報は0〜1023の値を取ることから、10ビットの容量を有するもので足りる。
電源40は、二次電池等の蓄電デバイスを含んで構成され、図略の太陽電池によって発電された電力を蓄積する。そして、蓄積された電力を、受信回路20や制御回路30に対して供給する。特に電源40から受信回路20への電力供給路の途中にはスイッチ41が設けられており、このスイッチ41のオン/オフは制御回路30が出力する制御信号によって切り替えられる。すなわち、制御回路30は、スイッチ41のオン/オフを切り替えることで、受信回路20の動作タイミングを制御できる。受信回路20は、スイッチ41を介して電源40から電力が供給されている間だけ動作し、その間にアンテナ10が受信した衛星信号の復号を行う。
太陽電池は、文字板2(図1参照)の下に配置されており、衛星電波時計Wに対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を電源40に供給する。
駆動機構50は、制御回路30から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータと、輪列と、を含んで構成され、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、指針(時針3、分針4、秒針5)を回転させる。
なお、受信回路20及び制御回路30を構成する差分データ算出部23、週番号カウント部33及び週番号記憶部34の動作の詳細については後述する。
次に、GPS衛星が送信する衛星信号の構成について説明する。図8及び図9は、GPS衛星から送信される衛星信号(航法データ)の構成を示す概要図である。図8に示すように、各GPS衛星は、計25フレーム(ページ)を1セットとする航法データを繰り返し送信している。各フレームは30秒分の信号を含んでおり、GPS衛星は、全25フレームの信号を12.5分周期で送信する。さらに、各フレームは、5個のサブフレームから構成される。1フレームが30秒なので、1個のサブフレームは6秒分の信号に相当する。さらに、1サブフレームは10ワードから構成され、1ワードが30ビット、1サブフレーム全体で300ビット分の情報を含んでいる。ここで、第4サブフレームと第5サブフレームは、送信されるフレームごとに異なる内容となっており、それぞれ25ページで構成される。閏秒に関する情報は、第18ページ目のフレームの第4サブフレームに含まれている。
図8及び図9(a)に示すように、各サブフレームの先頭ワード(第1ワード)は、TLM(TeLeMetry word)と呼ばれ、その先頭部分(すなわち、サブフレーム全体の先頭部分)には、当該サブフレームの開始位置を示すプリアンブルが含まれる。さらに各サブフレームの2番目のワード(第2ワード)は、HOW(HandOver Word)と呼ばれ、その先頭部分には、TOW(Time Of Week)と呼ばれる時刻情報が含まれている。このTOWは、週の始まり(日曜日の午前0:00)を起点としたGPS時刻を示す時刻情報である。衛星電波時計Wは、1又は複数のGPS衛星からこのTOWのデータを受信して、週番号WNの情報と組み合わせることで、GPS衛星によって計時されているGPS時刻を知ることができる。週番号WNは、TOWにより表される時刻が属する週の番号を示す情報であって、週に1度、日曜日の午前0:00になるごとにカウントアップされる。週番号WNの情報は、各フレームの第1サブフレーム内に格納されてGPS衛星から送信されている。
衛星電波時計Wは、いずれかのサブフレームに含まれるTOWを受信することで、GPS衛星が送信している時刻情報を取得できる。しかしながら、この時刻情報が示すGPS時刻は、協定世界時(UTC)に対して、閏秒によって生じる整数秒分のずれが存在する。具体的に、GPS時刻は、GPS衛星の最初の打ち上げ当時(1980年)以降に累積された閏秒の分だけ協定世界時とずれている。そのため、衛星電波時計Wは、GPS衛星から得られるGPS時刻を、閏秒の情報を用いて協定世界時に準拠した時刻に修正する必要がある。
この修正に必要な閏秒に関する情報は、やはりGPS衛星から定期的に送信されている。具体的に、図9(b)に示すように、GPS衛星が送信する全25フレームの衛星信号のうち、第18ページ目のフレームの第4サブフレームに、閏秒に関する情報が含まれている。具体的には、このサブフレームの後半2ワード(すなわち、先頭から数えて241ビット以降)に閏秒調整のためにGPS時刻に対して補正すべき整数値である現在の閏秒のオフセット値ΔtLSに関する情報が含まれている。
また、現在の閏秒のオフセット値ΔtLSを含むサブフレームには、現在の閏秒のオフセット値ΔtLSとともに、次回の閏秒調整が行われる予定日時の情報(閏秒調整予告情報)が含まれている。具体的には、閏秒が更新される週の週番号WNLSF、閏秒の更新日DN、及び、更新後の閏秒のオフセット値ΔtLSFが含まれている。この情報は、次回の閏秒調整の実施予定日が決定されると更新され、まだ次の閏秒調整実施タイミングが決定していない間は、前回の閏秒調整が実施された日時を示す情報になっている。この閏秒調整予告情報が未来の日時を示していれば、その日時が到来するまでは現在の閏秒のオフセット値ΔtLSが変更されないことが分かる。
以下、本明細書において、現在の閏秒のオフセット値ΔtLS、閏秒が更新される週の週番号WNLSF、閏秒の更新日DN、及び、更新後の閏秒のオフセット値ΔtLSFを総称して閏秒情報と称する。
閏秒情報は全航法データのうちの1個のサブフレームだけに含まれているので、12.5分に1回の周期でGPS衛星から送信されていることになる。
また、内部時刻生成部32により生成される内部時刻は、この協定世界時に対して時差を考慮する必要がある。時差は、GPS衛星から送信される衛星信号を用いた測位受信により求めるか、あるいは、ボタン7等を用いてユーザーが手動設定した都市名等に基づいて算出される。
次に、本実施の形態である衛星電波時計Wによる閏秒受信動作を説明する前に、図3及び図4のシーケンス図を参照して、上述した従来の衛星電波時計を含む一般的な衛星電波時計の閏秒受信動作について説明する。
図3は、一般的な衛星電波時計の閏秒受信動作の一例を示すシーケンス図である。
まず、ステップS1において、制御回路30は所定の間隔毎にスイッチ41をオンすることで受信回路20を起動させる指令を行う。ステップS2では、ステップS1においてスイッチ41がオンされたことにより受信回路20に電源が供給されてこの受信回路20がオンする。受信回路20がオンされたことにより、この受信回路20はアンテナ10からの衛星信号を受信し、その高周波回路21及びデコード回路22は時刻情報を生成する。
そして、ステップS3に示すように、受信回路20は、上述したように最大12.5分かけて閏秒情報を取得する。受信回路20の電源がオンされてからこの受信回路20が閏秒情報を取得するまでの時間は、第18ページ目のフレームの第4サブフレームを受信回路20が受信するタイミングによって異なる。
閏秒情報を取得した受信回路20は、ステップS4においてこの閏秒情報を含む時刻情報を制御回路30に送出する。この際、受信回路20から制御回路30に送信されるデータは、図7(a)に示す閏秒情報、すなわち、現在の閏秒のオフセット値ΔtLSが8ビット、更新後の閏秒のオフセット値ΔtLSFが8ビット、閏秒が更新される週の週番号WNLSFが8ビット、そして閏秒の更新日DNが4ビット、計28ビットと、時刻情報としてのHOWデータとを含む。ここで、WNLSFは8ビットであるため、閏秒が更新される週の正しい週番号は、不明である。制御回路30は、WNLSFの8ビットデータの前に時計内部で記憶される週番号WNの上位2ビットを付加することにより、閏秒が更新される週の正しい週番号を算出することができる。
この後、ステップS5において、制御回路30はスイッチ41をオフすることで受信回路20の起動を停止する指令を行い、ステップS5においてスイッチ41がオフされたことにより、ステップS6において、受信回路20への電源供給が断たれて受信回路20がオフする。
次に、図4は、一般的な衛星電波時計の閏秒受信動作の他の例を示すシーケンス図である。
図4に示す例でも、まず、ステップS10において、制御回路30が所定の間隔毎に受信回路20をオンさせる指令を行い、ステップS11において受信回路20がこの指令に基づいてオンされる。
アンテナ10からの衛星信号を受信回路20が受信することで、ステップS12に示すように、最大6秒の間に受信回路20はHOWを取得し、ついでステップS13に示すように、最大30秒の間に受信回路20は週番号(WN)を取得し、そして、ステップS14に示すように、最大12.5分の間に受信回路20は閏秒情報を取得する。図4に示す例では、週番号WNを取得しているため、閏秒が更新される週の正しい週番号は、週番号WNの上位2ビットを更新する週の週番号WNLSFの8ビットに付加することにより、受信回路側で算出することができる。
閏秒情報を取得した受信回路20は、ステップS15においてこの閏秒情報を含む時刻情報を制御回路30に送出する。この際、受信回路20から制御回路30に送信されるデータは、図7(b)に示す週番号(受信WN)の上位2ビットを付加した週の週番号WNLSFを含む閏秒情報(30ビット)と、ステップS13で取得した週番号(受信WN)と、HOWデータとを含む。
この後、ステップS16において、制御回路30はスイッチ41をオフすることで受信回路20の起動を停止する指令を行い、ステップS16においてスイッチ41がオフされたことにより、ステップS17において、受信回路20への電源供給が断たれて受信回路20がオフする。
このように、一般的な衛星電波時計においては、閏秒情報として30ビットのデータが受信回路20から制御回路30に送信される。本実施の形態である衛星電波時計Wは、制御回路30に週番号記憶部34を設け、この週番号記憶部34に格納されている週番号(WN)情報を受信回路20に提供することで、受信回路20から制御回路30に送信される閏秒情報のビット数の削減を図ったものである。
上述したように、受信回路20はアンテナ10からの衛星信号に基づいて時刻情報を生成するものの、この時刻情報を保持することはしない。一方、制御回路30は、その内部時刻生成部32においてほぼ正確な内部時刻を生成しているので、週番号記憶部34に格納されている週番号(WN)情報もほぼ正確なものとなる。
そして、週番号記憶部34に格納されている週番号(WN)情報を受信回路20と制御回路30とで共有することで、衛星信号から得られる閏秒情報の全てを受信回路20から制御回路30に送信せずに、その差分値を送信することで、送信される閏秒情報のビット数の削減を図っている。
図5は、本実施の形態である衛星電波時計Wの閏秒受信動作の一例を示すシーケンス図である。
図5に示す例でも、まず、ステップS20において、制御回路30が所定の間隔毎に受信回路20をオンさせる指令を行い、ステップS21において受信回路20がこの指令に基づいてオンされる。
ここで、本実施の形態である衛星電波時計Wでは、ステップS20において、制御回路30は受信回路20をオンさせる指令を行うとともに、週番号記憶部34のロールオーバーカウント部に格納されているロールオーバー情報(これも週番号情報である)を送信している。
アンテナ10からの衛星信号を受信回路20が受信することで、ステップS22に示すように、最大6秒の間に受信回路20はHOWを取得し、ついでステップS23に示すように、最大30秒の間に受信回路20は週番号(WN)を取得し、そして、ステップS24に示すように、最大12.5分の間に受信回路20は閏秒情報を取得する。
閏秒情報を含む時刻情報を取得し、さらに制御回路30からロールオーバー情報を受け取った受信回路20は、ステップS25において、その差分データ算出部23が、これら時刻情報及びロールオーバー情報を用いて、現在の時刻から閏秒が更新されるタイミングまでの差分データを算出する。ここに、差分データは、図7(c)に示すように、現在の閏秒のオフセット値ΔtLSとして8ビットのデータと、次回の閏秒更新時に現在の閏秒のオフセット値ΔtLSから1秒進めるか(+)または1秒遅らせるか(−)を示す1ビットのデータと、次回の閏秒更新日までの日数を示すデータとである。
次回の閏秒更新日までの日数を示すデータは、どの時点を起算点とするかによってそのビット数も異なるが、図7(c)に示す例では、最大半年分の日数としているので、データのビット数は8ビットとなる。閏秒の更新タイミングは、通常最短で半年であるから、次回の閏秒更新日までの日数を示すデータとして最大半年分の日数を確保しておけば、制御回路30は問題なく正確なタイミングで閏秒の更新を行うことができる。このとき、制御回路30は、半年ごとに閏秒情報を取得できるように自動受信制御を行うように構成するとよい。例えば、2月〜6月の間や8月〜12月の間に自動で閏秒受信動作をすることにより、常に正しい情報が得られる。なお、1月や7月中は次回閏秒が挿入されるか決定されていないか、決定していても衛星信号に反映されていない可能性があるので、その間は閏秒受信動作を実施しないようにするとよい。
なお、次回の閏秒更新日までの日数が既に過ぎている場合は、この日数に関するデータを0とすることで更新日が過ぎていることを示すことができる。また、日数に関するデータを0とすることで、通常閏秒更新日とされている1月1日または7月1日に閏秒が挿入されないことを示すことができる。
以上から、差分データ算出部23が算出する差分データは17ビットのデータとなる。
差分データを算出した受信回路20は、ステップS26においてこの差分データを含む時刻情報を制御回路30に送出する。この際、受信回路20から制御回路30に送信されるデータは、図7(c)に示す差分データ(17ビット)と、ステップS23で取得した週番号(受信WN)と、ステップS22で取得したHOWデータとを含む。
この後、ステップS27において、制御回路30はスイッチ41をオフすることで受信回路20の起動を停止する指令を行い、ステップS27においてスイッチ41がオフされたことにより、ステップS28において、受信回路20への電源供給が断たれて受信回路20がオフする。
差分データを受信した制御回路30は、その閏秒更新部35が差分データに基づいて閏秒を更新する。
閏秒更新部35による閏秒の更新の手法は任意であるが、一例として、まず、閏秒更新部35が現在の閏秒のオフセット値ΔtLSを制御回路30内の記憶媒体に格納する。次いで、閏秒更新部35が、現在の閏秒のオフセット値ΔtLS及び次回の閏秒更新時に1秒進めるか(+)または1秒遅らせるか(−)を示すデータに基づいて、更新後の閏秒のオフセット値ΔtLSFを算出し、これも制御回路30内の記憶媒体に格納する。
さらに、閏秒更新部35が、次回の閏秒更新日までの日数が0であるか否かを判定し、日数が0でない(すなわち正の値を取る)と判定したら、日数に関するデータ、及び内部時刻生成部32が生成する内部時刻、または受信回路20から受信した時刻情報に基づいて、閏秒が更新される週の週番号WNLSF及び閏秒の更新日DNを生成する。
一方、閏秒更新部35が、日数に関するデータが0であると判定したら、閏秒の更新日DNをクリアし、この更新日DNを存在しない日、すなわち非存日(一例として2月30日、11月31日など)に設定する。
そして、内部時刻生成部32により生成された内部時刻と更新日DNとが一致したら、あるいは更新日DNを過ぎたら、閏秒更新部35が、更新後の閏秒のオフセット値ΔtLSFを時刻に反映させる。
次に、図6は、本実施の形態である衛星電波時計Wの閏秒受信動作の他の例を示すシーケンス図である。
図6に示す例では、まず、制御回路30が、ステップS31において、その内部時刻生成部32により生成された内部時刻を参照して、アンテナ10により受信される衛星信号に閏秒情報が含まれるタイミング、言い換えれば、第18ページ目のフレームの第4サブフレームを受信する直前を待ち、次いで、ステップS31において、制御回路30が受信回路20をオンさせる指令を行い、ステップS32において受信回路20がこの指令に基づいてオンされる。
ここで、本実施の形態である衛星電波時計Wでは、ステップS31において、制御回路30は受信回路20をオンさせる指令を行うとともに、週番号記憶部34に格納されている週番号情報(含むロールオーバーカウント部に格納されているロールオーバー情報)を送信している。
アンテナ10からの衛星信号を受信回路20が受信することで、ステップS33に示すように、最大6秒の間に受信回路20はHOW及び閏秒情報を取得する。
閏秒情報を含む時刻情報を取得し、さらに制御回路30から週番号情報を受け取った受信回路20は、ステップS34において、その差分データ算出部23が、これら時刻情報及び週番号情報を用いて差分データを算出する。ステップS34における差分データ算出手順は上述したステップS25のそれと同様であるので、ここでの説明は省略する。
差分データを算出した受信回路20は、ステップS35においてこの差分データを含む時刻情報を制御回路30に送出する。この際、受信回路20から制御回路30に送信されるデータは、図7(c)に示す差分データ(17ビット)と、ステップS33で取得したHOWデータとを含む。
この後、ステップS36において、制御回路30はスイッチ41をオフすることで受信回路20の起動を停止する指令を行い、ステップS36においてスイッチ41がオフされたことにより、ステップS37において、受信回路20への電源供給が断たれて受信回路20がオフする。
差分データを受信した制御回路30は、その閏秒更新部35が差分データに基づいて閏秒を更新する。閏秒更新部35による閏秒の更新手順は上述のそれと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、図6にステップS31及びステップS32における動作は、閏秒に関する情報を受信回路20が受信するタイミングでこの受信回路20を起動させる起動制御部に相当する。
以上のように構成された本実施の形態である衛星電波時計Wでは、受信回路20の差分データ算出部23が、制御回路30の週番号記憶部34に格納された週番号情報と、時刻情報に含まれる閏秒に関する情報とに基づいて、所定の時刻から閏秒が更新されるタイミングまでの差分データを算出して制御回路30に出力している。
従って、閏秒受信動作のために受信回路20から制御回路30に送信されるデータを削減することができ、これにより、データに基づいて閏秒受信動作を行う制御回路30に対する負担を可能な限り軽減できる。
すなわち、図7(b)に示すように、一般的な衛星電波時計においては、閏秒情報として30ビットのデータを受信回路20から制御回路30に送信していたが、本実施の形態である衛星電波時計Wによれば、図7(c)に示すように、これを17ビットのデータにまで削減することができる。これにより、削減されたデータに基づく閏秒更新部35の負担を可能な限り軽減できる。
なお、本実施の形態である衛星電波時計Wでは、差分データ算出動作を受信回路20により行わせているが、通常、制御回路30よりも受信回路20は高機能であるので、受信回路20の差分データ算出部23に差分データ算出動作を行わせることに大きな問題は生じない。
特に図6のシーケンス図に示す動作例では、時計内部で記憶しているWN及びロールオーバーのデータを用いるため、受信によるWN情報の取得が不要となり、衛星信号に閏秒情報が含まれるタイミングを直前まで待って、制御回路30が受信回路20の電源をオンにして受信動作をおこなう。これにより、受信回路20がオンしている時間を、他の実施の形態よりも短縮することができ、衛星電波時計W全体の消費電力を低減させることもできる。また、受信時間が短くなることによって他の実施形態よりも、受信中の周囲の環境の変化に左右されにくく、受信性能を向上させることができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
一例として、受信回路20から制御回路30に送出される差分データは上述の実施の形態に限定されない。例えば、図7(d)に示すように、次回の閏秒更新日までの日数を示すデータを一月分、すなわち0〜31までの値を取るデータとすれば、次回の閏秒更新日までの日数を示すデータのデータ量を5ビットにまで削減することができ、結果、差分データのデータ量を全体として14ビットにまで削減できる。
受信時間は最大6秒であるとして説明を行ったが、これに限定されず任意の時間に設定してもよい。例えば、受信回路20の起動時間や、衛星を捕捉するのにかかる時間などを考慮して、18ページのサブフレーム4のプリアンブルを取得できるように開始タイミングを設定し、6秒以上の受信を行うようにしてもよい。
衛星電波を受信するにあたっては、受信環境の影響に左右されやすく、屋内や周囲に建物が密集しているような環境では受信に失敗するおそれがある。そこで、受信を開始する前に、受信環境が整っているか否かの判定を行い、受信環境が整っている場合に、受信を開始するような構成にしてもよい。例えば、受信信号の強度、捕捉可能な衛星数、照度や時計の加速度などを測定し、各値に応じて判定を行う。受信環境が適していないと判定される場合には、12.5分間待機し、次回の受信タイミングで閏秒データを取得するようにしてもよい。