JP6942102B2 - 自走式掃除機 - Google Patents
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Description
たとえば、特許文献1には、本体の移動中に障害物検知手段が障害物を検知した場合、本体の移動方向を変える障害物回避制御モードを本体に具備した自走式掃除機が記載されている。
この特許文献2の自走機器は、床面のゴミを検出するゴミ検出手段と、通常は予め定めた走行パターンを走行する走行手段と、走行手段の走行の向きを制御する走行制御手段と、障害物までの距離を測定する測距手段とを備えている。
また、ゴミ検出手段が清掃面のゴミを検出した場合、自走機器は、その周辺を念入りに走行し、その後通常の走行に戻るように走行パターンを変更する。
また、ゴミの検出場所の近隣にも、ゴミが残っている可能性が高いので、念入りに掃除する範囲を、特定の場所に限定するのではなく、ある程度広げた方が好ましい場合もある。
しかし、スポット運転をした場合、どこまで円の半径を大きくすればよいかを判断することは難しい。たとえば、円の半径を次第に大きくしていくと、やがて部屋の中に存在する机の脚や椅子などの障害物に衝突することになる。
このようにスポット運転の開始位置に戻れない場合は、ゴミの取り残しが発生する場合や、同じルートを再度走行することになる場合もあり、必ずしも効率的にゴミの除去をすることができるとは限らない。
<自走式掃除機の構成>
図1において、この発明の自走式掃除機(以下、掃除機またはクリーナとも呼ぶ)は、主として、制御部11、充電池12、障害検知部13、角度検出部14、ゴミ検知部15、ゴミ判定部16、距離測定部17、誘導信号受信部18、スポット最大半径決定部19、充電台接続部20、走行制御部21、駆動輪22、吸気口31、排気口32、集塵部33、入力部34、記憶部41を備える。
この発明の自走式掃除機1は、設置された場所の床面を自走しながら、床面上の塵埃を含む空気を吸い込み、塵埃を除去した空気を排気することにより床面上を掃除する掃除ロボットである。この発明の自走式掃除機1は、掃除が終了すると、自律的に充電台に帰還
する機能を有する。
また、床面を掃除する複数の走行パターンを持ち、特に、所定量以上のゴミを検知した場合に、その検知した位置周辺を重点的に掃除しながら、所定の部屋の床面全体の清掃を行う機能を有する。
図2において、本発明の自走式掃除機1は、円盤形の筐体2を備え、この筐体2の内部および外部に、回転ブラシ、サイドブラシ10、集塵部33、電動送風機、複数の駆動輪22、障害検知部13、誘導信号受信部18、図1に示したその他の構成要素が設けられている。
図2において、誘導信号受信部18が配置されている部分を前方部、図示しない従動輪の後輪が配置されている部分を後方部、筐体内部にゴミ検知部15や集塵部33が配置されている部分を中間部と呼ぶ。自走式掃除機1は、通常、前方部の正面に向かって進行する。
ただし、障害物があれば、それを避けながら、充電台100の方向へ移動する。
図1の制御部11は、掃除機1の各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
CPUは、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各ハードウェアを有機的に動作させて、この発明の掃除機能、走行機能などを実行する。
たとえば、後述するように、ゴミ判定部16によってゴミが存在すると判定された場合、制御部11は、筐体を、ゴミが存在すると判定されたスポット初期位置を含む所定の床面領域を、スポット走行モードの走行パターンで移動させ、集塵部33によって所定の床面領域のゴミを収集させる。
充電池12の充電は、掃除機1と充電台100とを接続した状態で行われる。
掃除機1と充電台100との接続は、互いの接続部(20,101)である露出した充電端子どうしを接触させることにより行う。
なお、図示しない電池残量検出部を備え、充電池の残りの容量(電池残量)を検出し、検出された電池残量(%)に基づいて、充電台の方へ帰還するべきか否かを判断し、帰還してもよい。
通常走行モードは、ゴミの有無やゴミの多少に関係なく、所定の室内空間を、障害物を避けながら移動するモードであり、たとえば、不規則な走行を繰り返すランダム走行パターン、縦横に規則的な走行を繰り返すジグザグ走行パターンなどによって、室内全体の掃除を行う。
スポット走行モードでは、たとえば、ゴミが存在すると判定された位置を開始位置として、その位置を中心とする円の半径を徐々に大きくして、スパイラル(螺旋)状の走行軌跡を描くように筐体を移動させる走行パターン(スパイラル走行パターン)で、掃除を行う。
このスパイラル走行では、ゴミが存在するあるいはゴミが多いと判定された位置を中心とする所定の半径内の円形領域が、重点的に掃除される。
このゴミが存在するあるいはゴミが多いと判定された位置を、スポット初期位置と呼ぶ。
このスポット走行パターンの実施例については、後述する図3、図4、図5、図6に示す。
また、図示しないエンコーダを、駆動輪の左輪と右輪にそれぞれ設け、車輪の回転数や回転方向、回転位置、回転速度によって、所定の基準点(たとえば、充電台の位置)からの自走式掃除機の移動距離を計測してもよい。
また、段差も、障害物の1つであると考えれるので、障害検知部13として、段差を検知するクリフ検知センサを設けてもよい。
CPUは、障害検知部13から出力された信号に基づいて、障害物の存在する位置を認識する。認識された障害物の位置情報に基づいて、その障害物を避けて次に走行すべき方向を決定する。
また、後述するように、スポット走行モードで筐体を移動させているときに、障害検知部13が、所定の床面領域内に障害物を検知した場合、走行制御部21によって、筐体を、スポット初期位置に戻させる。
ジャイロセンサ14から出力される信号に基づいて、基準となる方向からの角度が計算される。これにより、移動する方向が検出される。
たとえば、90度の左旋回をする場合は、ジャイロセンサの状態をチェックしながら、最初の角度位置から90度左方向に回転するように駆動用モータを制御して、静止した状態で、右輪と左輪とを互いに逆方向に回転させる。
また、ジャイロセンサ14は、この他に、現在位置の確認、移動制御の誤差の補正や姿勢の微調整にも用いられる。
ゴミ検知部15としては、たとえば、光学式センサが用いられ、吸気口31の近傍に、吸気口31をはさむように対向して配置された発光部と受光部とからなる。発光部としては、たとえば、赤外発光ダイオードが用いられ、受光部としては、フォトトランジスタが用いられ、ゴミがないときは、赤外発光ダイオードから出力された赤外光が、フォトトランジスタに検出される。
一方、吸気口31にゴミが吸引された場合、ゴミが吸気口付近を通過するときにそのゴミによって赤外光が遮られるので、赤外光がフォトトランジスタに受光されなくなる。
したがって、フォトトランジスタによる赤外光の受光の有無によって、ゴミの通過(有無)を検出することができる。
フォトトランジスタからは、赤外光の受光の有無に対応した信号が、ゴミ判定部16に与えられる。
たとえば、一定時間あたりの赤外光の受光がなかった回数をカウントすることにより、ゴミの多少を判定することができる。
この赤外光の受光がなかった回数をゴミの検知数(GC)と考えた場合、所定の数値をゴミ判定値(Gmax)47として予め記憶しておき、ゴミの検知数(GC)が、ゴミ判定値(Gmax)以上であった場合(GC≧Gmax)、そのゴミの検知位置を重点的に掃除すべきスポットと考えて、ゴミ有りと判定する。
一方、ゴミの検知数(GC)が、ゴミ判定値(Gmax)よりも小さかった場合、すなわちGC<Gmaxの場合、ゴミ無しと判定する。
このゴミ判定部16の判定結果は、後述するように、スポット走行をするか、スポット走行を中止するか、あるいは通常走行をするかの判断に利用する。
たとえば、後述するように、筐体をスポット走行モードの走行パターンで移動させているときに、ゴミ判定部16によって、ゴミが存在しないと判定された場合、スポット走行モードを中止し、筐体を、スポット初期位置に戻させる。
また、後述するように、ゴミ判定部16によってゴミが存在すると判定されたスポット初期位置において、距離測定部17によって検知された障害物までの距離を測定する。
さらに、この測定距離に基づいて、スポット走行モードの走行パターンで筐体を移動さ
せる所定の床面領域を、上記検知された障害物に衝突しない範囲に設定する。
スポット最大半径決定部19は、後述するように、スポット走行モードにおいて、スポット初期位置を円の中心として、円の半径を徐々に増加させながらスパイラル走行を行う場合、そのスパイラル走行の円の最大半径を決定する部分である。
最大半径は、距離測定部17によって測定された障害物までの距離から算出される。
たとえば、発見されたいくつかの障害物のうち、筐体から障害物までの距離が最小の距離をLminとすると、スパイラル走行によって自走式掃除機1がその障害物に近づいたとしても、障害物に接触することがないように、最大半径Rmとしては、障害物までの最小距離Lminよりも短い数値が設定される。
この充電台接続部20と、充電台100の掃除機接続部101とを物理的に接触させることにより、充電台100の電力供給部104から与えられる電力を、充電池12に供給し充電する。
充電台接続部20は、掃除機接続部101と接触させるために、掃除機1本体の側面に露出した状態で形成される。
自走式掃除機1は、充電台100の近傍に帰還した後、誘導信号受信部18によって受信された赤外線を利用して、充電台接続部20と掃除機接続部101とを接触させるように、接続処理を行う。
また、吸気口31と連通する流入路と、排気口32と連通する排出路とを有し、吸気口31から吸い込まれた空気を流入路を介して集塵容器内に導き、集塵後の空気を排出路を介して排気口32から外部へ放出する。
吸気口31および排気口32は、それぞれ掃除のための空気の吸気および排気を行う部分であり、前記したような位置に形成される。
あるいは、入力部34としては、掃除機本体とは別に、リモコンユニットを設け、ユーザがこのリモコンユニットに設けられた操作ボタンを押すことにより、赤外線や無線電波信号を送出し、無線通信により動作の指示入力をしてもよい。
入力部34として、電源スイッチ、起動スイッチ、主電源スイッチ、充電要求スイッチ、その他のスイッチ(運転モードスイッチ,タイマースイッチ)などが設けられる。
たとえば、自動走行中に、充電要求スイッチが押し下げられた場合に、充電台に帰還する必要があると判断し、帰還処理を実行する。
記憶部41には、主として、現在位置42、スポット初期位置43、最大半径44、現在半径45、測定距離46、ゴミ判定値47、距離判定値48などが記憶される。
現在位置42は、たとえば、充電台を出発した後、充電台から自走式掃除機が今いる位置までの移動距離と、ジャイロセンサ14によって検出された移動方向とを用いて、算出することができる。
スポット初期位置43は、スポット走行モードを開始する位置を示したものであり、これも、充電台などの基準点からの相対的な位置座標によって表される。
スポット走行モードを開始する位置は、たとえば、ゴミ判定部16によってゴミ有りと判定された位置とする。スポット初期位置43は、スパイラル走行の円の中心点でもある。
現在半径45は、スパイラル走行をしているときの筐体の現在位置における円の中心点からの半径を意味する。言いかえれば、現在半径45は、筐体の現在位置と、スポット初期位置との距離に相当する。また、円の中心点は、スポット初期位置43に相当する。
現在半径45は、スパイラル走行の進行とともに徐々に変化するが、最大半径44は、予め設定した固定値とする。
最大半径44としては、出荷時に、適切な数値を固定値として記憶部41に記憶してもよいが、利用者が自ら、掃除を行う自己の部屋にとって適切と考える数値を、設定変更できるようにしてもよい。
たとえば、測定距離Lsよりも1cm程度小さな数値を、最大半径Rmとして設定する。
ゴミ判定値47は、ゴミ判定部16が、「ゴミ有り」と判定するためのしきい値である。
ゴミ判定値47としては、出荷時に所定の固定値を設定してもよいが、床面の材質などによって設定変更できるようにしてもよい。
上記したように、たとえば、ゴミ検知部15によるゴミ検知数が、ゴミ判定値47以上の場合に、「ゴミ有り」と判定し、ゴミ検知数がゴミ判定値47よりも小さい場合に、「ゴミ無し」と判定するものとする。
一方、測定距離≧距離判定値の場合は、障害物は近くにないと判定する。
たとえば、掃除中あるいは静止状態において、イオンを発生する構成(イオン発生器)を備えて、除菌や消臭(または脱臭)を行うようにしてもよい。
また、掃除処理を実行する時間を設定するタイマースイッチを設け、タイマースイッチの入(ON)操作がされた場合には、予め設定された時間(たとえば60分間)のカウントを開始し、その設定時間が経過するまで掃除処理を実行するようにしてもよい。
この設定時間が経過した後は、掃除処理を中止し、自動的に充電台に帰還するようにしてもよい。
図1において、充電台100は、主として、掃除機接続部101、誘導信号送信部102、制御部103、電力供給部104とを備え、室内の壁などに配置された商用電源105のコンセントからのAC交流電力の供給を受ける。
電力供給部104は、商用電源105からの交流電力を受け入れ、掃除機1を充電することのできる直流電力に変換し、掃除機接続部101に与える部分である。
充電台100の制御部103は、充電台の各種機能を実現する部分であり、主として、赤外線信号の発信処理と、充電電力の供給制御を行う。制御部103は、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータにより実現できる。
以下に、ゴミを検出し、ゴミ有りと判定された場合に行うスポット走行パターンのいくつかの実施例を示す。
(スポット走行パターン−実施例1)
図3に、スポット走行パターンの実施例1の概略説明図を示す。ここでは、スパイラル走行をする場合の走行軌跡の例を示す。
図3(a),(c)の「始S」は、自走式掃除機のスポット初期位置を示し、図3(b),(d)の「終E」は、スポット走行の終了位置を示している。スポット走行の終了位置は、スポット初期位置と同一であるものとする。
「始S」は、ゴミ判定部16によって、ゴミ有りと判定された位置に相当する。
スパイラル走行中も、ゴミ収集動作は継続して行う。
図3(a),(b)の「Rm」の位置は、スパイラル走行の円運動によって、円の半径を徐々に大きくしていき、予め定められた円の最大半径Rmとなった位置を示している。
スパイラル走行は、図3(a)の「始S」で示すスポット初期位置からスタートし、スパイラル円の半径を所定の増加率で大きくしながら、時計と反対回りに回転する。ただし、回転方向は、時計と同じ方向でもよい。
スパイラル走行中は、常に、現在半径Raを記憶しておき、記憶部41に記憶された最大半径Rmと比較する。
そして、現在半径Ra<最大半径Rmの状態では、スパイラル走行をそのまま進めて、現在半径Raが最大半径Rmに一致した場合に、その位置で一旦停止する。すなわち、半径が増大するようなスパイラル走行を停止させる。
たとえば、最大半径Rm=1メートルに設定されていたとすると、スポット初期位置を中心とする半径1mの円形領域について、重点的な掃除がされたことになる。
図3(b)では、図3(a)と同様に、時計と反対回りに回転し、半径を小さくしながら、スポット初期位置に戻る場合を示している。
ただし、図3(a)のスパイラル走行の停止位置で、180度回転し、図3(a)に示したスパイラル走行の軌跡を逆にたどって、スポット初期位置に戻ってもよい。
図3(b)に示すように、スポット初期位置に戻った後は、通常走行モードに戻して、部屋内を、通常走行モードとして定められていた走行パターンで走行するようにすればよい。
図3(c)において、図3(a)と同様にスパイラル走行をしているとき、スパイラルの現在半径が最大半径Rmに一致する前に、障害検知部13によって、柱に衝突したことを検知したとする。
このとき、衝突を検知した位置で一旦スパイラル走行を中止し、その位置で、180度反転する。
その後、図3(d)に示すように、図3(c)に示したスパイラル走行の軌跡を逆にたどって、円の半径を徐々に小さくしながら、スパイラルの終了位置に相当するスポット初期位置に戻る。
図3(d)において、スポット初期位置に戻った後は、通常走行モードに切り替えて、所定の走行パターンで掃除処理を継続する。
たとえば、衝突後も円の半径を大きくし続けた場合、最大半径の位置に来た後、スパイラルの軌跡を逆にたどって戻ろうとすると、また柱に衝突することになり、スポット初期位置に戻るのに時間がかかる。
図4に、スポット走行パターンの実施例2の概略説明図を示す。
ここでは、重点的に掃除すべき領域が長方形領域であって、その長方形領域を、横方向にジグザグ走行しながら、スポット運転を行う場合の走行軌跡の例を示している。
図4(a),(b)の「S」で示す位置が、スポット初期位置であり、「E」で示す位置が、スポット終了位置であるとする。
図4(a)は、スポット走行を行う長方形領域に、障害物がない場合を示している。
破線で示す長方形領域(縦L1、横W1)を、予め定められたスポット走行の領域とす
る。
図4(a)の場合、スポット初期位置「S」をスタートして、図に示すような軌跡のとおりに走行して、スポット終了位置「E」まできたときに、スポット走行モードを終了する。
その後、通常運転モードに戻って、スポット終了位置から、所定の走行パターンで掃除を継続する。
図4(b)において、右方向への移動中に、柱に衝突したとすると、その位置で一旦停止し、180度回転して所定の距離だけ戻る。あるいは停止した位置からそのままの状態で所定の距離だけ後進してもよい。
戻る所定の距離としては、特に、適切な距離を定めることはできないが、たとえば、柱に再度ぶつかることがないように、10数cm程度の距離だけ戻ればよい。
その後、戻った位置から、スポット走行を再開し、図4(b)に示すような軌跡を描きながら走行する。
ここで、戻った位置を考慮して、スポット走行再開後の長方形領域は、図4(a)の長方形領域の横幅W1よりも小さい横幅W2としてもよい(W1>W2)。
すなわち、再度柱に衝突することがないように、重点的に掃除する長方形領域を変更してもよい。
図4(b)において、たとえば、2回目のジグザグ走行をした後、長方形領域を出たところをスポット終了位置「E」とし、ここでスポット走行モードを終了してもよい。
また、図3(d)に示したのと同じように、柱に衝突した後、スポット初期位置に戻ってもよい。
図5に、スポット走行パターンの実施例3の概略説明図を示す。
ここでは、重点的に掃除すべき領域が長方形領域であって、その長方形領域を、8の字パターンで走行しながら、スポット運転を行う場合の走行軌跡を示している。
図5(a)は、図4(a)と同様にして定めたスポット初期位置「S」からスタートし、8の字を1つ描いたような走行をした場合を示している。ここでは、所定の長方形領域のやや内側のみを掃除している。
図5(a)において、8の字を描いた走行をした場合、障害物に衝突しなかったとすると、図5(b)に示すように、図5(a)の8の字パターンのやや外側の破線で示す軌跡上を走行させる。
長方形領域内に、障害物がなかったとすると、破線で示すような8の字パターンを走行した後、スポット終了位置「E」で、スポット走行モードを終了する。
図5(c)に示すように、長方形領域の右下位置で、2周目の8の字走行をする経路上に、柱があったとする。
この場合、スポット走行の途中で、図5(d)に示すように、柱に衝突したとする。
柱に衝突したことを検知した場合、その位置で一旦停止してスポット走行を中止し、たとえば、図5(e)に示すような破線で示す走行軌跡を描いて、スポット終了位置「E」
へ進む。
あるいは、スポット終了位置を設定することができない場合は、衝突を検知した位置から、もとのスポット初期位置「S」へ戻ってもよい。
スポット終了位置「E」や、スポット初期位置「S」にきた後は、通常運転モードに戻り、所定の走行パターンで掃除を継続する。
したがって、図5(e)に示すように、柱に衝突した場合は、スポット走行モードを終了して、迅速に通常走行モードに戻った方が、無駄な走行を回避して、部屋全体の掃除を早く終了させることができる。
図6に、スポット走行パターンの実施例4の概略説明図を示す。
ここでは、スポット初期位置で、ゴミを検知した後、図3に示すようなスパイラル走行を開始させる。スパイラル走行中におけるゴミ検知および判定処理において、ゴミ無しと判定された場合、そのゴミ無しと判定された位置(図6の「A」の位置)で、半径を増加させるスパイラル走行を一旦停止させる。その後、半径を減少させるスパイラル走行をして、もとのスポット初期位置へ戻る場合の走行軌跡を示している。
図6(b)は、その位置「A」から、同方向にスパイラル走行を継続し、半径を徐々に減少させながら、スポット初期位置「始S」に相当する終了位置「終E」に戻ることを示している。
また、図6(d)は、上記位置「A」で一旦停止し、180度回転して、スパイラル走行の軌跡を逆方向にたどって、終了位置「終E」に戻る場合を示している。
ゴミ無しと判定された位置「A」における現在半径が、最大半径Rmよりも小さい場合、ゴミが少ないと予想される位置「A」よりも外側の領域のスポット掃除が省略されることになるので、ゴミが多いと考えられるスポット初期位置の近くの領域の重点的な掃除が効率的に行われ、スポット走行モードをより早く終了させることができる。
以下に、この発明の自走式掃除機の自動走行処理について、3つの実施例のフローチャートを示す。
以下のフローチャートでは、ゴミ有りと判定された後に、スポット走行モードを開始するが、スポット走行モードとしては、スポット初期位置を円の中心としたスパイラル走行を行うものとして説明する。ただし、図4や図5のように、長方形領域を走行するようにしてもよい。
図7に、この発明の自動走行処理の第1実施例におけるフローチャートを示す。
図7において、自走式掃除機1が起動され、ステップS1に示すように、現在、通常走行モードによって設定された自動走行パターンで、掃除を行っていたとする。
たとえば、所定のジグザグパターンで、走行していたとする。
ステップS2において、ゴミ検知部15がゴミを検出したか否かを、チェックする。
たとえば、一定時間ごとのゴミの検出数をカウントする。
ステップS3において、ゴミ判定部16が、ゴミ検出の結果に基づいて、ゴミ有りと判定すべきかどうかを判断する。
逆に、ゴミ検出数がゴミ判定値より少ない場合、「ゴミ無し」と判定する。
ゴミ有りと判定された場合、ステップS6へ進み、ゴミ無しと判定された場合、ステップS4へ進む。
ステップS4において、制御部11が、通常走行モードを終了すべきか否かをチェックする。
通常走行モードを終了すべき場合とは、たとえば、充電池の残量が所定値よりも少なくなった場合、あるいは所定の掃除時間が経過したなどの場合である。
ステップS5において、充電台への帰還処理を実行する。
充電台への帰還処理は、たとえば、誘導信号受信部18が、充電台100から出力された誘導信号を受信しつつ、直線的走行あるいは壁ぎわ走行をしながら、充電台100のある方向へ戻る処理である。
充電台100の近傍へ戻り、掃除機接続部101と、充電台接続部20とを接触させることにより、充電可能状態となった後、処理を終了する。
ここで、最大半径44は、予め定められた固定値か、あるいは、利用者などによって設定入力された数値である。
ステップS7において、ゴミ有りと判定された位置を、スポット初期位置43として、記憶部41に記憶する。
ここで、記憶される位置は、たとえば、ジャイロセンサ14などを用いて算出された、所定の基準点(たとえば充電台)からの相対位置座標である。
ステップS8において、制御部11は、スポット走行モードを開始させる。
ここでは、図3に示したようなスパイラル走行を開始させるが、まずスパイラルの円の半径の初期値を、現在半径45に設定し、記憶部41に記憶する。
ステップS10において、障害検知部13によって、障害物に衝突していないか否かを、チェックする。
ステップS11において、障害物(たとえば、壁)に衝突したことを検知した場合、ステップS16へ進み、そうでない場合はステップS12へ進む。
すなわち、障害物に衝突したので、一時停止し、半径を増大させるようなスパイラル走行を中止して、もとのスポット初期位置へ戻る準備をする。
その後、ステップS17へ進む。
ステップS13において、測定距離が、記憶部41に記憶された所定の距離判定値48
よりも小さい場合、ステップS16へ進み、そうでない場合はステップS14へ進む。
測定距離<距離判定値であった場合は、近くに障害物が存在することを意味し、このまま、半径を増加させるようなスパイラル走行を継続していくと、その障害物に衝突する可能性があることを意味する。
したがって、実際にはまだ障害物に衝突してはいないが、近い将来障害物に衝突する可能性がある場合は、スパイラル走行を中止するために、ステップS16へ進む。
現在半径≧最大半径の場合、すでに当初予定したスパイラル領域の掃除が終了したと考え、ステップS17へ進む。
一方、現在半径<最大半径の場合は、スパイラル走行を継続するため、ステップS15へ進む。
ステップS15において、スパイラルの円の半径を、所定の増加率で増加させ、現在半径45を更新して、記憶部41に記憶する。
その後、ステップS9へ戻り、スパイラル走行を継続する。
ステップS18において、現在位置42をチェックする。
現在位置42は、ステップS7と同様に、ジャイロセンサ14などを用いて算出する。
ステップS19において、算出された現在位置42と、記憶部41に記憶されたスポット初期位置42とを比較し、両者がほぼ一致するか否かをチェックする。
両者の位置がほぼ一致した場合は、スポット走行モードを終了し、ステップ1へ戻る。
現在位置42がまだスポット初期位置43まで戻っていない場合は、ステップS20へ進む。
ステップS20において、スパイラルの円の半径を所定の減少率で減少させ、その後、ステップS17へ戻り、半径を減少させながらスパイラル走行を継続させる。
また、スパイラル走行中に、障害物に衝突したり、近傍に障害物を発見した場合には、スパイラル走行を中止して、スパイラル走行の開始位置であるもとのスポット初期位置に戻ることにより、迅速に、部屋の他の領域の掃除を行うことが可能となる。
図8に、この発明の自動走行処理の第2実施例におけるフローチャートを示す。
ここでは、予め記憶部41に記憶された最大半径を読み出して利用する第1実施例と異なり、ゴミ有りと判定された場合に、スポット走行モードを開始する前に、ゴミ有りと判定された位置(スポット初期位置)から障害物までの距離を測定し、その障害物までの測定距離に基づいて、スパイラル走行の最大半径を決定する。
図8のフローチャートにおいて、図7のステップと同じ処理を行うステップには、同一の符号を付与している。
ステップS31において、距離測定部17が、障害検知部13の超音波センサから取得した信号を利用して、周囲にある障害物(たとえば、壁)までの距離を測定する。
このとき、ゴミ有りと判定された位置を中心として、360度の全部の方向について、障害物までの距離を測定し、記憶部41に記憶する。また、発見された障害物が複数ある場合は、それらの障害物までの距離のうち、最小の距離を記憶しておく。
スパイラル走行をするときに、発見された障害物に衝突することを避けるために、最大半径44としては、測定された障害物までの距離よりも短い数値を設定する。
最大半径として、どのような数値を設定するかの基準は、1つの基準に限定する必要はなく、任意の基準を採用することができる。
たとえば、最大半径44として、測定された距離よりも一律に1cmだけ短い数値を設定してもよい。あるいは、測定された距離に対して、5%だけ短い数値を、最大半径44に設定してもよい。
これにより、スポット走行モードに入る前に、障害物までの距離を考慮したスパイラルの最大半径が事前に設定され、障害物に衝突しない範囲のスパイラル走行が行われ、障害物に衝突することなく、スポット初期位置を中心とするゴミが存在する領域の掃除を、迅速に行うことができる。
図9に、この発明の自動走行処理の第3実施例におけるフローチャートを示す。
ここでは、スパイラル走行中に、ゴミ検出処理を実行し、ゴミ無しと判定された場合には、その位置で半径を増加させるようなスパイラル走行を中止し、スポット初期位置へ戻る処理について説明する。
このフローチャートは、図6(c),(d)に対応するものである。
図9において、図7のステップS10からS13までの処理の代わりに、ステップS41とS42の処理を実行する。
その他のステップについては、図7に示したフローチャートのステップと同様の処理を行うので、同一の符号を付与している。
ただし、ステップS6の代わりに、図8のステップS31とS32を実行してもよい。
ステップS9において、スパイラル走行を開始した後、ステップS41において、ゴミ検出部15によって、ゴミの検出確認処理を行う。
このステップS41の処理内容は、ステップS2と同様の処理を行えばよい。
このステップS42の処理内容は、ステップS3と同様の処理を行えばよい。
ステップS42の判定処理において、ゴミ有りと判定された場合は、まだスパイラル走行を継続するために、ステップS14へ進む。
一方、ゴミ無しと判定された場合は、これ以上掃除をする必要はないと考えて、スパイラル走行を中止するために、ステップS16へ進む。
この処理によれば、図6(c),(d)に示したように、スパイラル走行中に、ゴミが
無いと判定された時点で、スポット走行モードの掃除を中止することができ、より迅速に、スパイラル走行を終了させて、スポット初期位置まで戻った後、通常走行モードで掃除を行うことができる。
(実施形態1)
ゴミ判定部によってゴミが存在すると判定された場合、スポット初期位置を含む所定の床面領域を、スポット走行モードの走行パターンで、重点的に掃除させる。このスポット走行モードの走行パターンとしては、次のうちいずれかを利用すればよい。
(1−a)スパイラル走行
掃除すべき床面領域を円形とし、その円の中心となるスポット初期位置を開始位置とし、円形領域の円の半径が徐々に大きくなるスパイラル状の走行軌跡を描くように、筐体を移動させる。
(1−b)長方形領域の走行
スポット初期位置を含む所定の大きさの長方形領域を掃除すべき床面領域として設定し、その長方形領域内を、ジグザグ走行させる。ジグザグ走行のパターンは、ランダムでよい。あるいは、長方形領域内を、8の字を描くように、筐体を移動させてもよい。
(1−c)その他の走行
床面領域の形状は、円形、長方形形状に限定するものではなく、その他の形状でもよい。また、走行パターンとしては、たとえば、ジグザグのようなパターンで、筐体を移動させてもよい。
スポット走行モードを中止する方法としては、主として、次のような3つのパターンがある。
(2−a)衝突検知
筐体をスポット走行モードの走行パターンで移動させているときに、障害物に実際に衝突した場合、その衝突した位置で、スポット走行モードを中止させる。
(2−b)障害物までの距離による判定
障害物を検知した場合、障害物までの距離を測定し、測定距離が所定の距離判定値よりも小さくなった場合に、その判定を行った位置で、スポット走行モードを中止させる。
(2−c)ゴミ検知による判定
筐体をスポット走行モードの走行パターンで移動させているときに、ゴミが存在しないと判定された場合に、その判定を行った位置で、スポット走行モードを中止させる。
(2−d)走行位置による判定
筐体が予め定められた位置に到達した場合、たとえば、スパイラル走行において、現在半径が最大半径と一致する位置にまで到達した場合、あるいは、所定の床面領域の全体の掃除を終了すべき位置に移動してきた場合、その位置で、スポット走行モードを中止させる。
(3−a)ゴミが存在すると判定された場合にスポット走行モードで走行する床面領域は、予め初期設定された走行パターンの領域をそのまま利用するか、あるいは、走行パターンが複数個記憶されている場合は、利用者が、入力部を用いて、利用する走行パターンの領域を設定できるようにしてもよい。たとえば、スパイラル走行をするか、長方形領域のランダム走行をするかを、利用者が設定してもよい。
(4−a)スポット走行モードで走行する床面領域の大きさについて、予め初期設定された大きさをそのまま利用するか、あるいは、スポット走行モードの走行を実際に開始する
前に、その大きさを、障害物に衝突しない範囲に設定してもよい。障害物に衝突しない範囲に設定するために、スポット初期位置に静止した状態で、全方位について障害物までの距離を測定し、スポット初期位置から見てその測定距離よりも短い距離の範囲内のみ移動するように、走行すべき床面領域を設定する。
(4−b)スパイラル走行をする場合は、障害物までの測定距離に基づいて、スパイラルの最大半径を設定する。
(4−c)長方形領域の走行をする場合、障害物までの測定距離に基づいて、長方形領域の縦と横の辺の長さを設定する。
スポット走行モードを中止した場合、次のようないずれかの措置をとることができる。(5−a)スポット走行モードを開始したスポット初期位置に戻り、スポット初期位置から、通常走行モードを再開する。
(5−b)スポット走行モードを中止した位置から、通常走行モードを再開する。
ゴミの検知方法としては、次の方法のうちいずれかを用いればよい。
(6−a)発光部および受光部を、吸気口の近傍に設け、受光部における光の受光の有無により、ゴミの有無を検知する。発行する光は、可視光、赤外光などを用いればよい。
(6−b)その他、吸引力の増減により、ゴミの有無を検知する方法も考えられる。
障害物の検知方法としては、次の方法のうち、いずれかを用いればよい。ただし、(7−a)と(7−b)の両方を利用することが好ましい。
(7−a)筐体側面に設けられたバンパー(側板前部)に連動したマイクロスイッチを設け、障害物に接触したときに、マイクロスイッチが押し下げられることによって、障害物に衝突したことを検知する。
(7−b)超音波センサにより、障害物までの距離を測定し、測定距離が、所定の距離判定値よりも短い場合に、障害物を検知したと判断する。
(7−c)その他、クリフ検知センサにより、段差を検知する。
スポット最大半径決定部、 20 充電台接続部、 21 走行制御部、 22 駆動輪、 31 吸気口、 32 排気口、 33 集塵部、 34 入力部、 41 記憶部、 42 現在位置、 43 スポット初期位置、 44 最大半径、 45 現在半径、 46 測定距離、 47 ゴミ判定値、 48 距離判定値、 100 充電台、
101 掃除機接続部、 102 誘導信号送信部、 103 制御部、 104 電力供給部、 105 商用電源
Claims (3)
- 予め定められている走行パターンで移動する通常走行モードと、ゴミが存在する、あるいはゴミが多いと判定された場合には、ゴミが存在すると判定されたスポット初期位置とその位置の周囲を含む所定の床面領域を移動しつつゴミを収集し、前記通常走行モードとは異なり、前記スポット初期位置から開始されるスポット走行モードを行う自走式掃除機であって、
筐体と、
前記筐体を走行させる走行制御部と、
床面のゴミを収集する集塵部と、
前記床面のゴミの有無を検知するゴミ検知部と、
前記検知されたゴミの有無に基づいて、床面に、所定量以上のゴミが存在するか否かを判定するゴミ判定部と、
前記ゴミ判定部によってゴミが存在すると判定された場合、前記走行制御部によって、前記筐体を、前記所定の床面領域を、前記スポット走行モードの走行パターンで移動させ、前記集塵部によって前記所定の床面領域のゴミを収集させる制御部と、を備え、
前記所定の床面領域が長方形領域であり、
前記スポット走行モードは、前記ゴミ判定部によってゴミが存在する、あるいはゴミが多いと判定された場合、前記長方形領域において走行してきた方向と略平行方向、かつ逆の方向に所定の距離だけ戻り、前記長方形領域において走行してきた軌跡を横切る動作を含むことを特徴とする自走式掃除機。 - 前記走行制御部は、前記スポット走行モードにおいて、前記逆の方向に戻るように前記筐体を移動させた後、前記走行してきた方向に進むように前記筐体を移動させることを特徴とする請求項1に記載の自走式掃除機。
- 前記走行制御部は、前記スポット走行モードにおいて、前記ゴミ判定部によってゴミが存在する、あるいはゴミが多いと判定された位置を少なくとも2回通過する動作を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の自走式掃除機。
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