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JP6940688B2 - 光開始剤修飾ポリ酸ポリマー - Google Patents

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JP6940688B2 JP2020510533A JP2020510533A JP6940688B2 JP 6940688 B2 JP6940688 B2 JP 6940688B2 JP 2020510533 A JP2020510533 A JP 2020510533A JP 2020510533 A JP2020510533 A JP 2020510533A JP 6940688 B2 JP6940688 B2 JP 6940688B2
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Description

本発明は、共有結合性開始剤化合物を有する特定の開始剤修飾ポリ酸ポリマーを含む歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物に関する。本発明はまた、共有結合性開始剤化合物を有する特定の開始剤修飾ポリ酸ポリマーに関する。さらに本発明は、歯科用組成物を調製するための開始剤修飾ポリ酸ポリマーの使用に関する。
開始剤修飾ポリ酸ポリマーの共有結合性開始剤化合物はノリッシュI型開始剤化合物であってもよく、またはノリシュII型開始剤の増感剤または電子供与体成分であってもよい。さらに、開始剤修飾ポリ酸ポリマーの共有結合性開始剤化合物は、レドックス開始剤系のにおける酸化化合物または還元化合物であってもよい。
重合性成分を含む歯科用組成物は、硬化のための開始剤系を必要とする。開始剤系は、400〜800nmの範囲の可視光によって活性化される光開始剤系であってもよい。別の方法としてまたは追加的に、開始剤系は、レドックス開始剤の異なる成分が混合された時に活性化される自己硬化型レドックス開始剤系を含みうる。
樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、反応性微粒子状ガラスおよび、セメント反応において反応性微粒子状充填剤と反応するポリ酸ポリマーをさらに含む歯科用組成物を含有する重合性成分である。樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、セメント反応およびラジカル重合を含む二つの独立した硬化機構によって硬化される。セメント反応は、ポリ酸ポリマーの酸性基との塩形成反応が発生しうる前に、反応性微粒子状ガラスから、粒子の親水性表面層へ滲出させるカチオンを必要とする。一方、重合性モノマーの光重合は、組成物のバルク内で行われる。光重合を効率的に開始するために、重合性モノマーおよび光開始剤は近接しているべきである。
歯科用組成物で使用する光開始剤化合物は、硬化された組成物から浸出しうる小分子であり、これは毒物学的懸念を生じさせうる。共有結合性開始剤化合物を有するポリ酸ポリマーが周知である。KR2015/0000063Aは、リチウムイオン電池のためのシリコンベースの陽極のための結合剤としての光架橋性ポリアクリル酸を開示している。光架橋性ポリアクリル酸では、光反応残基は、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物に由来する。具体的には、光架橋性ポリアクリル酸は、カップリング剤1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドメチオジド(EDC)の存在下、ポリアクリル酸および4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾフェノンの反応によって調製され、約3.7%の4−(6−ヘキシルオキシ)ベンゾフェノン基の置換度がある。しかし、KR2015/0000063 Aの光架橋性ポリアクリル酸は、セメント反応では反応しない。
本発明の目的は、
−改善された色安定性、
−改善された生体親和性、および
−特に曲げ強度の観点からの、硬化後の優れた機械的特性、を有する歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物を提供することである。
さらに、本発明の課題は、歯科用組成物を調製するための開始剤修飾ポリ酸ポリマーの使用を提供することである。
第一の態様によると、本発明は、
(a)反応性微粒子状充填剤と、
(b)セメント反応において反応性微粒子状充填剤と反応するポリ酸ポリマーと、を含む歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物を提供することであって、この組成物がさらに一つ以上の開始剤化合物から成る開始剤系を含み
前記一つ以上の開始剤化合物の少なくとも一つが、共有結合によってポリ酸ポリマー(b)に連結され、共有結合性芳香族アミン開始剤化合物を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーを形成する芳香族アミンであり、
この開始剤修飾ポリ酸ポリマーが以下の式(I)であって、
Figure 0006940688

式中、
Xは、同一でも異なっていてもよく、独立してOH、O−L−Z、またはNH−L−Zを表し、式中、
Lは単結合または二価のリンカー基、および、
Zは共有結合性開始剤化合物であり、
Yは水素原子、COOH、または共有結合性開始剤化合物であり、
k、l、m、n、oおよびpは、独立して少なくとも0の整数であり、
k+l+m+n+o+pは、少なくとも1であり、ならびに
Yが水素原子またはCOOHであるときに、OHではない少なくとも一つのXが存在し、
ポリ酸ポリマーが1〜300kDaの重量平均分子量を有する、式(I)の繰り返し単位を有する化合物であり、
開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、ポリ酸ポリマーの酸性基の100モル%当たり、共有結合性開始剤化合物を0.01〜20モル%含有する。
第二の態様によれば、本発明は、共有結合性芳香族アミン開始剤化合物を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーを提供し、開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、開始剤修飾ポリ酸ポリマーの酸性基の100モル%あたり、共有結合性開始剤化合物を0.01〜20モル%含有し、開始剤修飾ポリ酸ポリマーが以下の式(I)であって、
Figure 0006940688

式中、
Xは、同一でも異なっていてもよく、独立してOH、O−L−Z、またはNH−L−Zを表し、
式中、
Lは単結合または二価のリンカー基、および、
Zは共有結合性芳香族アミン開始剤化合物であり、
Yは水素原子、COOH、または共有結合性芳香族アミン開始剤化合物であり、
k、l、m、n、oおよびpは、独立して少なくとも0の整数であり、
k+l+m+n+o+pは、少なくとも1であり、ならびに
Yが水素原子またはCOOHであるときに、OHではない少なくとも一つのXが存在し、ここで、ポリ酸ポリマーは1〜300kDaの重量平均分子量を有する、式(I)の繰り返し単位を有する化合物である。
第三の態様によれば、本発明は、歯科用組成物の調製のための本発明の第二の態様によるポリ酸ポリマーの使用を提供する。
本発明は、ポリ酸ポリマーに共有結合した開始剤化合物は、ラジカル硬化機構を効率的に開始するために、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物に使用されてもよいという認識に基づく。驚くべきことに、微粒子状反応性ガラスの親水性表面上のセメント反応に関与する開始剤修飾ポリ酸ポリマーは、同時に歯科用組成物の疎水性バルクにおける独立した硬化機構を効率的に開始する場合がある。
したがって、共有結合性開始剤化合物を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、特に曲げ強度の観点からの、硬化後の改善された色安定性、改善された生体親和性、および優れた機械的特性を有する硬化した歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物を提供することが見出された。具体的には、非共有結合性開始剤化合物を有する、従来の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物と比較して、黄変が著しく減少する。加えて、硬化した歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の浸出の問題を緩和する。
「樹脂改質された」という用語は本明細書で使用される場合、重合性モノマーの形態の樹脂が歯科用ガラスイオノマー組成物中に含まれることを意味する。
「反応性微粒子状充填剤」という用語は、セメント反応においてポリ酸ポリマー(b)と反応する能力を有する任意の微粒子状成分を意味する。「セメント反応」という用語は、反応性微粒子状充填剤(a)とポリ酸ポリマー(b)との間の酸−塩基反応を意味する。具体的には、反応性微粒子状充填剤(a)はアルカリ性であり、ポリ酸ポリマーのカルボキシル基などの酸基と反応して、酸−塩基反応が起こり、イオン結合の形成が生じる。
ポリ酸ポリマーと共に使用される用語「ポリ酸」は、ポリマーが、反応性微粒子状充填剤(a)とのセメント反応に関与し得る複数の酸性基、好ましくはカルボン酸基、を有することを意味する。例えば、カルボン酸基の形態の酸性基は、好ましくは、ポリマーの骨格中に存在し、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、および/またはイタコン酸に由来しうる。
「開始剤系」という用語は、例えば、光への暴露および/または、光化学またはレドックスプロセス中の一つ以上のさらなる化合物との相互作用によって、活性化された時に、フリーラジカルを形成する二つ以上の化合物のうちの一つ、またはフリーラジカルを形成する二つ以上の化合物の混合物の任意の系を意味し、それによって重合性化合物の重合が開始される。開始剤系は、400〜800 nmの範囲の波長を有する光で照射された時に、単独または組み合わせフリーラジカルを生成する一つ以上の開始剤化合物から成る光開始剤系であってもよい。あるいは、開始剤系は、混合されたときにフリーラジカルを生成する二つ以上の開始剤化合物から成るレドックス開始剤系であってもよい。
開始剤系に関連して「開始剤化合物」という用語は、例えば、レドックス開始剤成分、ノリッシュI型またはII型光開始剤、電子供与体成分、増感剤成分、または共開始剤成分などの、開始剤系の任意の化合物を意味する。「光開始剤」という用語は、例えば、光化学プロセスにおいて、光に暴露することにより、または増感剤との相互作用により活性化されると、フリーラジカルを形成する任意の化学化合物を意味する。「電子供与体」という用語は、光化学プロセスにおいて電子を供与する能力を有する任意の化合物を意味し、例えば、孤立電子対を有するヘテロ原子を有する有機化合物、アミン化合物など、を意味する。「増感剤」という用語は、光化学プロセスにおいて光開始剤などの別の分子に化学変化を生じさせる分子を指す。「共開始剤」という用語は、光開始剤、例えばヨードニウム、スルホニウムおよびホスホニウム塩ならびに第三級芳香族ホスフィン化合物の重合性能を改善する任意の化合物を指す。
ポリ酸ポリマーと関連して「開始剤修飾」という用語は、開始剤系の任意の開始剤化合物が、共有結合によってポリ酸ポリマーに連結されていることを意味する。
本歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、樹脂の重合と組み合わせた、反応性微粒子状充填剤(a)とポリ酸ポリマー(b)とのセメント反応に基づいて、硬化された歯科用ガラス−イオノマー組成物を提供し、このフリーラジカル重合は開始剤系によって開始される。
本発明は、硬質歯科組織の一時的または最終修復物として、またはクラウンおよびブリッジ接合のための合着用セメントとして使用されうる歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物に関する。
反応性微粒子状充填剤(a)
本発明の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、(a)反応性微粒子状充填剤を含む。歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物 は、二つ以上の反応性微粒子状充填剤(a)のうちの一つ、または二つ以上の反応性微粒子状充填剤(a)の混合物を含みうる。
セメント反応においてポリ酸ポリマー(b)と反応している任意の顆粒状の成分は、反応性微粒子状充填剤(a)、すなわち、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物に好適な任意のアルカリ性顆粒状化合物として使用されうる。
好ましくは、反応性微粒子状充填剤(a)は、二つ以上の金属酸化物のうちの一つ、または二つ以上の金属酸化物の混合物、最も好ましくはガラス、すなわち金属酸化物の非晶質固体混合物であることが好ましい。
ガラスの形態の反応性微粒子状充填剤(a)は、熱溶融プロセスにより金属酸化物の固体混合物をガラスへ形質転換し、次いで粉砕することによって得られることが可能であり、このガラスはセメント反応においてポリ酸ポリマー(b)と反応することができる。
任意の従来の反応性歯科用ガラスは、反応性微粒子状充填剤(a)として使用されうる。微粒子状反応性ガラスの具体例は、カルシウムアルミノシリケートガラス、カルシウムアルミノフルオロシリケートガラス、カルシウムアルミニウムフルオロボロシリケートガラス、ストロンチウムアルミノシリケートガラス、ストロンチウムアルミノフルオロシリケートガラス、ストロンチウムアルミノフルオロボロシリケートガラス、または、例えばUS−A3,655,605、US−A3,814,717、US−A4,143,018、US−A4,209,434、US−A4,360,605、およびUS−A4,376,835に記載のイオン溶出性ガラスから選択される。
代替的または追加的に、酸化亜鉛および/または酸化マグネシウムなどの反応性金属酸化物を、反応性微粒子状充填剤(a)としてガラスおよび/または結晶形態で使用しうる。
好ましくは、反応性微粒子状充填剤(a)は、
1)20〜45重量%のシリカと、
2)20〜40重量%のアルミナと、
3)20〜40重量%の酸化ストロンチウムと、
4)1〜10重量%のPと、
5)3〜25重量%のフッ化物と、を含むガラスである。
本歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、20〜90重量%、より好ましくは30〜85重量%、最も好ましくは20〜80重量%の反応性微粒子状充填剤(a)を含む。
反応性微粒子状充填剤(a)は、例えば電子顕微鏡法により、またはMALVERN Mastersizer S若しくはMALVERN Mastersizer 2000装置により具現される従来のレーザー回折粒度分布測定法を用いて測定され、一般に0.1〜100μm、好ましくは1〜40μmの平均粒子径を有する。
反応性微粒子状充填剤(a)は、単峰性または多峰性(例えば、二峰性)粒度分布を有してもよく、多峰性反応性微粒子状充填剤(a)は、異なる平均粒子径を有する二つ以上の微粒子画分の混合物を表す。
反応性微粒子状充填剤(a)は、修飾ポリ酸および/または(メタ)アクリロイルモノマーなどの重合性樹脂の存在下で反応性微粒子状充填剤を凝集させることによって得られる凝集反応性微粒子状充填剤であり得る。凝集反応性微粒子状充填剤(a)の粒子径は、粉砕等の好適サイズ減少プロセスによって調整され得る。
反応性微粒子状充填剤(a)は、表面改質剤によって表面改質されていてもよい。好ましくは、表面改質剤はシランである。シランは、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の有機成分との有利な均質混合を可能にする、反応性微粒子状充填剤(a)に好適な疎水溶性をもたらす。反応性微粒子状充填剤(a)は、その表面上のシランカップリング剤を持ちうるが、例えば、反応性微粒子状充填剤(a)の表面を少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆うコーティングの形態でありうる。
ポリ酸ポリマー(b)および開始剤系
本発明の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、セメント反応において反応性微粒子状充填剤と反応する(b)ポリ酸ポリマーを含む。歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、二つ以上のポリ酸ポリマー(b)のうちの一つ、または二つ以上のポリ酸ポリマー(b)の混合物を含みうる。
ポリ酸ポリマー(b)は開始剤修飾され、すなわち、少なくとも一つ以上の開始剤化合物を共有結合によってポリ酸ポリマー(b)に連結することによって形成される。少なくとも一つの開始剤化合物は、芳香族アミン開始剤化合物である。
好ましくは、ポリ酸ポリマー(b)では、複数の酸性基は、基(C=Het)−HetHから選択される酸性基を含み、ここにいて、Hetは酸素原子または硫黄原子であり、Hetは酸素原子または硫黄原子である。すなわち、酸性基は、カルボン酸基((C=O)−OH)、(C=S)−SH、(C=O)−SHおよび(C=S)−OHから選択されることが好ましい。最も好ましい酸性基は、カルボン酸基((C=O)−OH)である。
ポリ酸ポリマー (b) の酸性基は、反応性微粒子状充填剤 (a)と反応して、歯科用材料として使用できるガラスイオノマーセメントを形成することができる。
ポリ酸ポリマー(b)は水溶性であることが好ましい。「水溶性」という用語は、少なくとも0.1g、好ましくは0.5gのポリ酸ポリマー(b) が、20℃の水100gに溶解することを意味する。
さらに、ポリ酸ポリマー(b)は加水分解安定性であることが好ましい。「加水分解安定性」とは、ポリ酸ポリマー(b)が歯科用組成物中などの酸性媒体中で加水分解に対して安定であることを意味する。具体的には、ポリ酸ポリマー(b)は、1ヶ月以内に室温でpH3の水性媒体中で加水分解する基、例えばエステル基を含まないことが好ましい。
ポリ酸ポリマー(b)は、下記式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーである。
Figure 0006940688
式(I)では、Xは同一でも異なっていてもよく、独立してOH、O−L−Z、またはNH−L−Zを表し、式中、Lは単結合または二価のリンカー基であり、Zは共有結合性開始剤化合物である。Yは水素原子、COOHまたは共有結合性開始剤化合物であり、k、l、m、n、oおよびpは独立して、少なくとも0の整数であり、式中、k+l+m+n+o+pは少なくとも1である。式(I)では、Yが水素原子またはCOOHであるときに、OHではない少なくとも一つのXが存在する。少なくとも一つの開始剤化合物は、芳香族アミン開始剤化合物である。
式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーは、1〜300kDa、好ましくは10〜250kDaの重量平均分子量を有する。
式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、1kDa未満の重量平均分子量を有する時、硬化した歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の強度は低くなりうる。一方、式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、300kDaを超える重量平均分子量を有する時、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物を混合および配合すると、高粘性になり過ぎて、結果的に作業性が悪化しうる。従って、式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーは、1〜300 kDaの重量平均分子量を有する。
式(I)では、基Xの二価のリンカー基Lは、脂肪族及び/または芳香族であってもよいが、好ましくは脂肪族であり、且つ好ましくは1〜45個の炭素原子を有する炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は飽和であってもよくまたは不飽和であってもよい。炭化水素基は、1〜6個のC1−4アルキル基で置換されていてもよい。アルキル基の具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルまたはtert−ブチルである。好ましい実施形態では、Lについては、リンカー基の炭化水素基は、酸素、窒素及び硫黄から選択される1〜20個のヘテロ原子を含んでもよい。炭化水素基中の酸素原子、窒素原子及び硫黄原子は、エーテルまたはチオエーテル結合、アミン結合、ケトまたはスルホキシド基、カルボン酸またはエステル基、アミド基、スルホン酸またはエステル基、水酸基及びチオールまたはチオエステル基の形態であってもよい。
好ましくは、Lは、酸素原子、硫黄原子、および窒素原子の群から選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい二価C1‐20炭化水素である。より好ましくは、Lは、酸素、窒素及び硫黄から選択される1〜20個のヘテロ原子を含んでもよく、このヘテロ原子が上述の形態であってもよい、直鎖状C〜C20または分岐状C〜C20アルキレン基、直鎖状C〜C20及び分岐状C〜C20アルケニレン基、C〜C20シクロアルキレンまたはシクロアルケニレン基の形態の脂肪族基である。
本発明の一態様によると、Lは次式(V)の基である。
Figure 0006940688
式(V)では、aが0、または1から10の整数であり、Hetが、硫黄、酸素、および水素原子(NH)または直鎖状C1〜6アルキル基、または分岐状もしくは環状のC3〜6アルキル基で置換された窒素の群から選択される。より好ましくは、式(V)において、aが0または1〜6の整数であり、Hetが酸素またはNHであり、最も好ましくは、aが0または1〜3の整数であり、HetがNHである。
本発明の別の態様によると、Lはアルキレン(ポリオキシアルキレン)基であってもよい。Lに対するアルキレン(ポリオキシアルキレン)は特に限定されないが、C2‐6アルケニレン−(O−C2‐6アルキレン)(式中、kは1〜20)であることが好ましい。アルキレン(ポリオキシアルキレン)はエチレン(ポリオキシエチレン)であり、式中、kは1〜10、最も好ましくは、1〜5であることが好ましい。
式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマー(b)では、共有結合性開始剤化合物YおよびZは、以下に詳細に記述される開始剤系の任意の開始剤化合物から、相互に独立して選択されてもよい。
式(I)では、共有結合性光開始剤化合物YおよびZは、ベンゾフェノン、1,2−ジケトン、1,3ジケトン、芳香族アミン、ヨードニウム塩、およびホスフィンの群から相互に独立して選択されることが好ましく、より好ましくは1,2−ジケトン、芳香族アミン、およびホスフィンから、最も好ましくは芳香族アミンからである。少なくとも一つの開始剤化合物は、芳香族アミン開始剤化合物である。
式(I)では、共有結合性レドックス開始剤化合物YおよびZは、一つ以上の還元剤または酸化剤のいずれかを含む群から相互に独立して選択されることが好ましい。還元剤は、第三級アミン、または−SOM基を含有する有機化合物であってもよく、式中、Mは、スルフィン酸またはアルカリ金属スルフィン酸塩などのHまたはアルカリ金属イオンである。還元剤はN,N−ジヒドロキシエチルp−トルイジン、N,N−ジメチルp−トルイジン、N,N−ジメチルアミノフェニルエチルアルコール、N,N−ジメチルアミノフェニル酢酸、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィン酸ナトリウム、および/またはトルエンスルフィン酸カリウムでもよい。少なくとも一つの開始剤化合物は、芳香族アミン開始剤化合物である。酸化剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、ジ‐t−ブチルペルオキシド、および/またはt−ブチル過酸化水素などの過酸化物であってもよい。
最も好ましくは、式(I)では、共有結合性開始剤化合物YおよびZは、式(II)の以下の部分から相互に独立して選択される。
Figure 0006940688
式(II)では、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、独立してC1−6直鎖状、C3−6分岐状または環状アルキル基、好ましくはC1−4直鎖状または分岐状アルキル基を表す。
式(I)では、共有結合性開始剤化合物YおよびZはさらに、式(III)および(IV)の以下の部分から相互に独立して選択されてもよい。
Figure 0006940688
ポリ酸ポリマー(b)は、以下の式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーを提供するステップ(a)を含むプロセスによって調製されることが好ましい。
Figure 0006940688
式(VI)では、RはOHまたはNHで随意に保護基で保護されている、Rは水素原子またはCOOHであり、およびk+l+m+n+o+pは、式(I)について上記に定義される。式(VI)の化合物の平均分子量は、好ましくは5〜290kDa、より好ましくは7〜270kDa、最も好ましくは9〜230kDaである。
下記式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーは、アクリル酸またはアクリル酸を含む混合物を重合することによって調製されうる。
アクリル酸を含む混合物は、一つ以上の不飽和モノカルボン酸または不飽和ジカルボン酸または不飽和ジカルボン酸の無水物をさらに含みうる。具体的な例には、イタコン酸、マレイン酸、メタクリル酸、2−クロロアクリル酸、2−シアノアクリル酸、アコニット酸、メサコン酸、フマル酸、グルタコン酸、シトラコン酸、utraconic酸、および不飽和ジカルボン酸の無水物が含まれる。イタコン酸およびマレイン酸が好ましく、最も好ましいのはイタコン酸である。
繰り返し数pを有する繰り返し単位は、それをRと重合させてOHまたはNHとし、または好適な保護基で保護されているOHまたはNHとすることによって、以下の式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーに導入されうる。随意に保護されたOHまたはNH基の保護基は、特に制限されていない。有機化学の当該技術分野で公知のOHまたはNH基の任意の保護基は、例えば、P.G.M.WutsおよびT.W.Greene、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis、4th Edition、John Wiley and Sons Inc.、2007に記載されているように、使用してもよい。
さらに、アクリル酸を含む混合物は、カルボン酸官能性またはその無水物を持たない共重合性モノマーをさらに含んでもよく、それにより、不飽和カルボン酸単位の比率が、構造単位全体の50モル%以上であることが好ましい。式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーは、50〜100モルパーセントのアクリル酸繰り返し単位を含むことが好ましい。
共重合性モノマーは、エチレン性不飽和重合性モノマーであることが好ましく、共重合性モノマーは、例えば、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、塩化ビニル、塩化アリル、酢酸ビニル、1,1,6−トリメチルヘキサメチレンジメタクリレートエステルを含む。
式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーにおいて、アクリル酸のホモポリマー、およびアクリル酸およびイタコン酸無水物との共重合体が好ましい。好ましい実施形態によると、式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーは、ポリアクリル酸またはアクリル酸とイタコン酸無水物との共重合体である。
ステップ(a)により提供される式(VI)の繰返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーは、次に続くステップ(b)で、式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーのCOOH基と反応することができる反応性基を有する開始剤化合物の誘導体と反応する。開始剤化合物の誘導体は、イソシアネート基、アミン基、アルコール基あるいはCl、BrまたはIから選択されるハロゲン原子から選択される反応性基を有することが好ましい。
ステップ(b)により、開始剤系の二つ以上の開始剤化合物のうちの一つ、または開始剤系の二つ以上の開始剤化合物の混合物のうちの少なくとも一つが、式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーを形成する共有結合によってポリ酸ポリマーに連結される。式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーは、開始剤修飾ポリ酸ポリマーの酸性基の100モル%当たり、共有結合性開始剤化合物を0.01〜20モル%、より好ましくは0.05〜10モル%含有することが好ましい。
二つ以上の開始剤化合物の一つ、または二つ以上の開始剤化合物の混合物のイソシアネート、アミン、アルコール誘導体、またはハロゲノ誘導体は、以下の式(VII)、(VIII)および(IX)の化合物から選択されることが好ましい。
Figure 0006940688
式(VII)、(VIII)および(IX)では、Lは、式(I)に対して上記で定義された式(V)の単結合または二価のリンカーであり、およびRは、イソシアネート基、アミン基、アルコール基、あるいはCl、BrまたはIから選択されるハロゲン原子から選択され、さらに式(VII)では、RおよびRは、式(XVI)について定義されたのと同じ意味を持ち、Arは芳香族基を表し、nは1〜3である。
式(VII)では、芳香族基Arは、C4−14アリール基または、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含むC3−14ヘテロアリール基であってもよく、好ましくは、C6−10アリール基または1または2個の窒素原子を含むC5−9 ヘテロアリール基であってもよい。最も好ましくは、芳香族基Arはフェニル基、ナプチル基またはピリジル基である。
式(VII)では、Arはフェニル基であり、nは1であることがより好ましく、さらにより好ましくは、Arはフェニル基であり、nは1であり、ここにおいて基NRはLに対してパラ位であり、最も好ましくは、Arはフェニル基であり、nは1であり、ここにおいて基NRはLおよびRに対してパラ位であり、Lは単結合であり、Rはイソシアネート基である。
式(VII)、(VIII)および(IX)では、Rはイソシアネート基であることが好ましい。
本発明によると、ステップ(b)における共有結合による一つ以上の開始剤化合物を、以下の式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーと連結するために、ポリマーのカルボン酸基が保護されることが必要ではないことが好ましい。従って、ステップ(b)の後、したがって得られた式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーは、保護基を除去するためのさらなる処理なしに本発明によるポリ酸ポリマー(b)として直接使用されうる。
式(VII)、(VIII)および(IX)の化合物を R に反応させイソシアネート基とするため、ステップ(b)で、式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーのカルボン酸基を活性化するために、カップリング剤を随意に添加しうる。カップリング剤は、式(VII)、(VIII)および(IX)の化合物と反応する前に添加されることが好ましい。好ましくは、カップリング剤はカルボジイミドであり、より好ましくは、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル炭酸塩(EDC)、およびN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)から選択されるカルボジイミドである。
式(VII)、(VIII)および(IX)の化合物では、R がイソシアネート基である場合、式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーのカルボン酸基を、式(VII)、(VIII)および(IX)の化合物のイソシアネート誘導体と反応させ、中間化合物として混合酸無水物を得て、カルボキシル基を除去する。それによって、少なくとも部分的にXはNH−L−Zである式(I)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸性酸の形態のN置換アミドが得られる。
式(VII)、(VIII)および(IX)の一つ以上の化合物の0.02〜0.5当量が、式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーのカルボン酸基の総数に基づいて、式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーと反応することが好ましい。
本発明のステップb)による反応の反応条件は特に制限されない。従って、適切な任意の溶媒または二つ以上の溶媒の適切な混合物で反応を実行することが可能である。溶媒は、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、四塩化炭素、およびテトラヒドロフラン(THF)の群から選択されうることが好ましい。ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、および/またはアセトニトリルが使用されることがより好ましく、ジオキサンが最も好ましい。
反応温度は特に制限されない。好ましくは、反応は−10℃と溶媒の沸点との間の温度で実行される。反応温度は0°C〜100°Cの範囲であることが好ましく、より好ましくは20°C〜60°C、および最も好ましくは30°C〜50°Cである。反応時間は特に限定されない。反応時間は、好ましくは10分〜120時間、より好ましくは1時間〜80時間、最も好ましくは4〜16時間の範囲内である。式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーと、式(VII)、(VIII)および(IX)の一つ以上の化合物間の反応は、30〜50 °Cの温度で4〜16時間実行されることが好ましい。
ステップb)で得られる反応生成物を沈殿、デカンテーション、および/または濾過により単離してもよい。この生成物は、再結晶および/または適切な溶媒で洗浄することで精製されうる。
本歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の適用のために、ポリ酸ポリマー(b)は反応性微粒子状充填剤(a)と合わされる。この文脈では、「合わせる」とは、成分の物理的混合と、成分の物理的混合が好ましくは単一のステップで促進されるような成分の結合を含む。従って、ポリ酸ポリマー(b)および反応性微粒子状充填剤(a)は、パーツキットまたは、二つもしくはマルチパック組成物で合わされてもよく、ここでポリ酸ポリマー(b)および反応性微粒子状充填剤(a)は保存用に分離される。
共有結合によって開始剤修飾ポリ酸ポリマーに連結された上記開始剤化合物以外に、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、代替的にまたは追加的に、上記の式(II)、(III)または(IV)の開始剤化合物とは別の、二つ以上のさらなる開始剤化合物のうちの一つ、または二つ以上のさらなる開始剤化合物の混合物を含んでもよい。これらのさらなる開始剤化合物は、開始剤修飾ポリ酸ポリマーに共有結合されてもよく、またはそれらは個別の成分として歯科用セメント組成物中に含まれてもよい。
光開始剤系は、400〜800nmの範囲の波長を有する光で照射された時に、単独または組み合わせフリーラジカルを生成する一つ以上の開始剤化合物から成る。
開始剤化合物として、光を照射することによって重合反応を開始することができる任意の化合物が、本歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の硬化を可能にするために適切に使用され得る。「硬化性」という用語は、光で照射されたときに、架橋ポリマーネットワークに重合するであろう歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物を指し、それにより、(共)重合性モノマー、オリゴマー、および重合性ポリマーさえもがポリマーネットワークへと重合する。
例えば、適切な光開始剤系は、二成分系または三成分系の形態であってもよい。二成分系は、光開始剤及び電子供与体化合物を含み得る。例えば、米国特許第5,545,676号に記載されるように、三成分系は光開始剤、電子供与体化合物、および共開始剤を含んでもよい。
光開始剤系に好適な光開始剤は、ノリッシュI型およびノリッシュII型光開始剤である。
「ノリッシュI型」という用語は、エネルギー吸収により励起され、その後化合物が一つ以上のラジカルに分解される光開始剤を指す。
「ノリッシュII型」という用語は、励起される光開始剤を指し、励起された光開始剤は、エネルギー移動またはレドックス反応のいずれかによって、電子供与体、共開始剤、または増感剤などの第二の化合物と相互作用して、いずれかの化合物からフリーラジカルを形成する。
好適なノリッシュI型光開始剤は、例えば、ホスフィンオキシド、またはSi−もしくはGe−アシル化合物である。
ホスフィンオキシド光開始剤は約380nm〜約450nmの機能的波長範囲を有し、米国特許第4,298,738号、同第4,324,744号、及び同第4,385,109号、ならびに欧州特許公開第0 173 567号に記載されているようなアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシドを含む。アシルホスフィンオキシドの具体例として、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ジベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、トリス(2,4−ジメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、トリス(2−メトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイル−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシドを挙げることができる。約380nm超〜約450nmの波長範囲で照射された場合、フリーラジカル開始が可能な市販されているホスフィンオキシド光開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403)、重量比25:75のビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(IRGACURE 1700)との混合物、重量比1:1のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 4265)との混合物、及びエチル2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィナート(LUCIRIN LR8893X)、を含む。典型的には、ホスフィンオキシド開始剤は、組成物の総重量に基づいて、触媒有効量、例えば0.1重量%〜5.0重量%で組成物中に存在する。
好適なSi−またはGe−アシル化合物は、以下の式(X)を有することが好ましく:
X−R
(X)
式中、
Xは、次式(XI)の基であり、
Figure 0006940688

式中、
MはSiまたはGeであり、
10は、置換もしくは非置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルカルボニル基を表し、
11は、置換もしくは非置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルカルボニル基を表し、
12は、置換または非置換ヒドロカルビル基を表す。また、
i)はXと同じ意味を有し、これにより式(X)の化合物は対称であってもまたは非対称であってもよく、あるいは
ii)は以下の式(XII)の基であり、
Figure 0006940688

式中、
Yは単結合、酸素原子または、基NR’を表し、ここにおいてR’は、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
13は、置換若しくは非置換ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)ジヒドロカルビルシリル基、またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基を表す。
驚くべきことに、式(X)のSi−またはGe−アシル化合物は、歯科用組成物に特に適切な1,2−ジケトン光開始剤を表すことが見出された。式(X)の化合物を用いると、高い重合効率が達成され、着色の問題が生じず、またはカンファーキノンなどの従来の光開始剤を含む重合系では、着色が効率的に抑制される。さらに、式(X)の化合物は、歯科用途において典型的に適用される波長範囲内で光吸収を有し、それらは歯科用組成物の成分と適合性があり、さらに生理学的に無害であると考えられる。
式(X)のSi−またはGe−アシル化合物に関連して、本明細書で使用する「置換された」という用語は、R10、R11,、R12、R13、およびR’が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、および−NR基から成る群から選択される置換基で置換されていてもよいことを意味し、式中RおよびRは互いに独立してC1−6アルキル基を表す。ここで、ハロゲン原子の例示は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素とすることができる。C1−6アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、及びn−ブチルである。C1−6アルコキシ基の例示は、例えば、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシである。これらの置換基におけるアルキル部分は、直鎖状、分岐状または環状であってもよい。好ましくは、置換基は、塩素原子、ニトロ基、C1−4アルコキシ基及び−NR基(式中、R及びRは互いに独立してC1−4アルキル基を表す)から選択される。
10、R11およびR12が置換される場合、それらは1〜3個の置換基、より好ましくは1個の置換基で置換されることが好ましい。
式(X)の化合物において、R10、R11、およびR12部分は、以下のように定義されてもよい:
10およびR11は、互いに独立して、置換若しくは非置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルカルボニル基を表し、R12は、置換または非置換ヒドロカルビル基を表す。
ヒドロカルビル基は、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であってもよい。
アルキル基は、直鎖状または分岐状C1−20アルキル基、典型的にはC1−8アルキル基であってもよい。C1−6アルキル基の例としては、1〜6個の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、及びn−ヘキシルを挙げることができる。
シクロアルキル基は、C3−20シクロアルキル基、典型的にはC3−8シクロアルキル基であってもよい。シクロアルキル基の例としては、3〜6個の炭素原子を有する基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを挙げることができる。
シクロアルキルアルキル基は、4〜20個の炭素原子を有してもよく、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基と3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基との組み合わせを含んでもよい。シクロアルキルアルキル(−)基の例としては、例えば、メチルシクロプロピル(−)メチルシクロブチル(−)、メチルシクロペンチル(−)、メチルシクロヘキシル(−)、エチルシクロプロピル(−)、エチルシクロブチル(−)、エチルシクロペンチル(−)、エチルシクロヘキシル(−)、プロピルシクロプロピル(−)、プロピルシクロブチル(−)、プロピルシクロペンチル(−)、プロピルシクロヘキシル(−)を挙げることができる。
アリールアルキル(−)基は、C7−20アリールアルキル(−)基、典型的には、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基と6〜10個の炭素原子を有するアリール(−)基との組み合わせであってもよい。アリールアルキル(−)基の具体例は、ベンジル(−)基またはフェニルエチル(−)基である。
アリール基は、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を含むことができる。アリール基の例は、フェニル及びナフチルである。
10およびR11のヒドロカルビルカルボニル基は、有機残基Rorgが上記で定義されたヒドロカルビル残基であるアシル基(Rorg−(C=O)−)を表す。
式(X)の化合物は、1個または2個のヒドロカルビルカルボニル基を含んでもよく、即ちR10またはR11のいずれか一方がヒドロカルビルカルボニル基であるか、またはR10およびR11の両方がヒドロカルビルカルボニル基である。好ましくは、式(V)の化合物は、1個のヒドロカルビルカルボニル基を含む。
好ましくは、ヒドロカルビルカルボニル基はアリールカルボニル基であり、より好ましくはベンゾイル基である。
好ましくは、R10およびR11は、直鎖状または分岐状C1−6アルキル基、およびフェニル基またはベンゾイル基から成る群から独立して選択され、これらの基は、ハロゲン原子、ニトロ基、C1−4アルコキシ基、および−NR 基から選択される1〜3個の置換基で随意に置換されてもよく、式中、RxおよびRyは互いに独立してC1−4アルキル基を表し、R12は直鎖状または分岐状C1−6アルキル基またはフェニル基である。
最も好ましくは、R10及びR11は、直鎖状または分岐状C1−4アルキル基、およびフェニル基またはベンゾイル基から成る群から独立して選択され、これらの基は、ハロゲン原子、ニトロ基、C1−4アルコキシ基および−NR基から選択されたものから成る群から選択される1個の置換基で随意に置換されてもよく、式中、RおよびRは互いに独立してC1−4アルキル基を表し、R12は直鎖状または分岐状C1−4アルキル基である。
式(X)の化合物では、RはXと同じ意味を有してもよく、これにより式(X)の化合物は対称または非対称であってもよい。あるいは、Rは、置換若しくは非置換のヒドロカルビル基、または式(XII)の基を表してもよい。好ましくは、RがXと同じ意味を有する場合、式(X)の化合物は非対称である。Rが置換または非置換ヒドロカルビル基を表す場合、ヒドロカルビル基は、R10について上記で定義されたものと同じ意味を有し、且つそれらから独立して選択される。
式(X)の化合物の式(XII)の基において、R13は、置換または非置換ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)−ジヒドロカルビルシリル基、またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基を表す。
式(XII)のR13がトリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)−ジヒドロカルビルシリル基、またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基である場合、ヒドロカルビルおよびヒドロカルビルカルボニル基の各々は、R10、R11およびR12について定義されたものと同じ意味を有し、且つそれらから独立して選択される。
式(XII)では、R’はR12について定義されたのと同じ意味を有し、且つそれらから独立して選択される。
例えば、RがXと同じ意味を有し、且つ対称である式(X)の化合物は、以下の構造式を有してもよい。
Figure 0006940688
例えば、Rが式(XII)の基を表し、Yが結合、酸素原子、またはNR´基であり、またR13が置換もしくは非置換ヒドロカルビル基を表す式(X)の化合物は、以下の構造式を有してもよい。
Figure 0006940688
例えば、Rが式(XII)の基を表し、R13がトリヒドロカルビルシリル基を表す式(X)の化合物は、以下の構造式を有する。
Figure 0006940688
好ましくは、式(X)の化合物は、以下から成る群から選択され:
Figure 0006940688

M=Siである式(X)の化合物が特に好ましい。
より好ましくは、式(X)の化合物は、以下の構造式を有し、
Figure 0006940688

特に好ましくは、M=Siである。すなわち、tert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)−グリオキシレート)(DKSi)が特に好ましい。
光硬化性歯科用組成物が酸性組成物の形態である場合、即ち組成物のpH7が未満である場合、組成物のpHに応じて、式(X)の化合物は、エステル基を含有しないか、または少なくとも、1ヶ月以内に室温にてpH3の水性媒体中で著しく加水分解しないエステル基のみという条件で選択することが好ましい。それにより、未硬化光硬化性歯科用組成物の保存期間の安定性、ならびに患者の口の内での硬化後の安定性に関して、7未満のpHを有する組成物である酸性光硬化性歯科用組成物の有利な安定性が確保される。従って、酸性光硬化性歯科用組成物のためには、Rが式(XII)(Yは酸素原子である)の基であるものを除いて、式(X)の化合物が特に好ましい。
さらに、アシルシリル部分(−C(=O)−Si−)は塩基性条件、即ち7よりも高いpHに対して感受性がある場合があるので、アシルシリル部分が選択された塩基性pHの水性媒体中で1ヶ月の間室温にて開裂されないという条件で、7より高い組成物のpH値を適宜選択することが好ましい。
例えば国際公開第2017/060459A1号に記載されるように、式(X)の化合物は、市販されているか、または公表された手順に従って調製され得る公知の化合物であってもよい。
好適なノリッシュII型光開始剤は、カンファーキノン、ベンジル、2,2’−3,3’−および4,4’−ジヒドロキシベンジル、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオンフリル、ビアセチル、1,2−シクロヘキサンジオン、1,2−ナフタキノン、およびアセナフタキノンからなる群から選択されてもよい。カンファーキノンが好ましい。
特に好ましい光開始剤は、ノリッシュI型またはII型に関わらず、約400nm〜約520nm、好ましくは約450〜約500nmの範囲内の光吸収を有する1,2−ジケトンを含む。
ノリッシュI型またはII型に関わらず、好ましくは光開始剤は1,2−ジケトン、さらに好ましくは、カンファーキノンまたは、式(X)のSi−もしくはGe−アシル化合物、なおさらに好ましくは、カンファーキノンまたはDKSi、最も好ましくはカンファーキノンである。
一つの好ましい実施形態によると、光開始剤系は、ポリ酸ポリマーに共有結合したノリッシュI型光開始剤から成る。
別の好ましい実施形態によると、光開始剤系は、電子供与体成分、共開始剤成分、または増感剤成分を含むノリッシュII型光開始剤から成り、ここで電子供与体成分、共開始剤成分、または増感剤成分は、ポリ酸ポリマーに共有結合されており、その他の成分は歯科用セメント組成物に含有されているか、またはポリ酸ポリマーに共有結合している。
好ましい電子供与体成分としては、例えば、アミン、アミド、エーテル、チオエーテル、尿素、チオ尿素、フェロセン、スルフィン酸およびその塩、フェロシアン化物の塩、アスコルビン酸およびその塩、ジチオカルバミン酸およびその塩、キサンテートの塩、エチレンジアミン四酢酸の塩、およびテトラフェニルボロン酸の塩、またはSi、Ge、もしくはSnの有機水素化物を含む。
電子供与体成分は、アミン化合物、またはSi、Ge、もしくはSnの有機水素化物化合物であることがより好ましい。
好ましいアミン化合物は第三級アミン化合物であり、より好ましくは、トリエタノールアミン、4−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリル、メチルN,N−ジメチルアミノベンゾエート、エチルN,N−ジメチルアミノベンゾエート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びイソアミル4−N,N−ジメチルアミノベンゾエート、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエタノールトルイジン、ジメチルアミノアニソール、1または2−ジメチルアミノナフタレンからなる群から選択される第三級アミン化合物である。最も好ましくは、その第三級アミン化合物は、トリエタノールアミン、メチル4−N,N−ジメチルアミノベンゾエート、エチル4−N,N−ジメチルアミノベンゾエート、4−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びイソアミル4−N,N−ジメチルアミノベンゾエートからなる群から選択される。
Si、Ge、またはSnの好ましい有機水素化物は、以下の式(XIII)を有し:
−H
(XIII)、
式中、Lは、以下の式(XIV)の部分である。
X*−
(XIV)
式(XIV)では、Xは、Si、Ge、またはSnを表し、Rは水素原子、有機部分、または異なる部分Lを表し、およびRとRとは互いに独立して、有機部分を表す。
式(XIII)の有機金属水素化物は、アルファ−ジケトン増感剤との光励起錯体中で水素供与剤として反応し得る。したがって、アルファ−ジケトンが可視光を吸収し、式(XIII)の有機金属水素化物と励起錯体を形成する場合、有機金属水素化物からアルファ−ジケトン化合物への水素移動が起こり、それにより、式(XIII)の有機金属水素化物は、重合反応を促進し得るラジカル種へ変換される。
式(XIV)において、XはSi、GeまたはSnを表す。好ましくは、XはSiまたはGeを表す。より好ましくは、XはGeである。特定の実施形態によれば、式(XIII)の化合物はシラン化合物である。さらなる特定の実施形態によれば、式(XIII)の化合物はゲルマン化合物である。
式(XIV)において、Rは水素原子、有機部分または異なる部分Lであってもよい。Rが水素原子である場合、式(XIII)の化合物は二つの金属水素化物結合(X−H)を含む。Rが水素原子である場合、XはSiである。
が有機部分である場合、Rは好ましくは芳香族基、脂肪族基または脂環式基である。芳香族基はフェニル基であってもよい。フェニル基は、一つ以上の炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数3〜6の脂環式基、ハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよい。その脂肪族基は一つ以上の芳香族基、3〜6個の炭素原子を有する脂環式基、ハロゲン原子、水酸基、またはアミノ基によって置換されてもよい1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基であってよい。脂環式基は一つ以上の芳香族基、脂肪族基、ハロゲン原子、水酸基、またはアミノ基によって置換されてもよい3〜6個の炭素原子を有する基であってよい。
が異なる部分Lである場合、式(XIII)の式(XIII) の化合物は金属−金属結合を含む。二つの部分Lが存在する場合、各X、R、Rおよび、 Rは、同一でも互いに異なってもよく、独立して本発明により定義される意味を有する。
および Rは互いに独立して、有機部分を表す。有機基は、芳香族、脂肪族または脂環式基であってもよい。芳香族基はフェニル基であってもよい。フェニル基は、一つ以上の炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数3〜6の脂環式基、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基で置換されていてもよい。その脂肪族基は一つ以上の芳香族基、3〜6個の炭素原子を有する脂環式基、ハロゲン原子、水酸基、またはアミノ基によって置換されてもよい1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基であってよい。脂環式基は一つ以上の芳香族基、脂肪族基、ハロゲン原子、水酸基、またはアミノ基によって置換されてもよい3〜6個の炭素原子を有する基であってよい。
好ましい実施形態によれば、式(XIII)の式(XIII)の化合物中のR、Rおよび、Rは同一であり、脂肪族、芳香族または脂環式炭化水素基を表す。
好ましい実施形態によれば、式(XIII)の式(XIII)の化合物は、以下の式の化合物である。
Figure 0006940688
好ましい実施形態によれば、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、組成物の総重量に基づいて0.05〜5重量%の量で、式(VIII)の化合物を含有する。
共開始剤成分は、ヨードニウム塩、スルフィオニウム塩、ホスホニウム塩、および第三級芳香族ホスフィン化合物から選択されることが好ましい。
好ましいヨードニウム、スルフィオニウム、またはホスホニウム塩はそれぞれ、以下から選択されるカチオンを有し:
(1)次式(XVII)のヨードニウムイオンであって、
−I−R (XVII)
式中、
およびRは互いに独立しており、有機部分を表し、
(2)次式(XVIII)のスルホニウムイオンであって、
(XVIII)
式中、
、RおよびRは互いに独立しており、有機部分を表し、随意にR、Rおよび Rのうちのいずれか二つが、それらが結合しているイオウ原子と共に環状構造を形成し、
(3)次式(XIX)のホスホニウムイオンであって、
10 (XIX)
式中、
、RおよびR10は互いに独立しており、有機部分を表す。
式(XVII)、(XVIII)および(XIX)から選択されるカチオンを有する塩は、特に効率的なヨードニウム、スルホニウムまたはホスホニウム塩を表し、光開始剤系の重合性能を著しく改善する。
好ましくは、式(XVII)のヨードニウムイオンのRおよびR、式(XVIII)のスルホニウムイオンのR、RおよびR、および式(XIX)のホスホニウムイオンのR、RおよびR10はそれぞれ、芳香族基、脂肪族基、または脂環式基から選択される。芳香族基はフェニル基であってもよい。そのフェニル基は、一つ以上の1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルコキシ基、アリール基またはアリールオキシ基等の芳香族基、3〜6個の炭素原子を有する脂環式基、ハロゲン原子、水酸基、またはアミノ基によって置換されてもよい。その脂肪族基は一つ以上の芳香族基、3〜6個の炭素原子を有する脂環式基、ハロゲン原子、水酸基、またはアミノ基によって置換されてもよい1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基であってよい。脂環式基は一つ以上の芳香族基、脂肪族基、ハロゲン原子、水酸基、またはアミノ基によって置換されてもよい3〜6個の炭素原子を有する基であってよい。
より好ましくは、式(XVII)のヨードニウムイオンのRおよびR、式(XVIII)のスルホニウムイオンのR、RおよびRはそれぞれ、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アミノ基、C1−6アルキル基、およびC1−6アルコキシ基から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェニル基から選択される。好ましくは、R’は、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アミノ基、C1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基から選択される1〜3個の基で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、または環状アルキル基である。
好ましい実施形態によれば、式(XVII)のヨードニウムイオンはジアリールヨードニウムイオンである。有用なジアリルヨードニウムイオンの例としては、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム、フェニル−4−メチルフェニルヨードニウム、ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウム、ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウム、ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウム、ジ(ナフチル)ヨードニウム、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム;ジフェニルヨードニウム、ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウム、フェニル−2−チエニルヨードニウム、3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウム、ジフェニルヨードニウム、2,2’−ジフェニルヨードニウム、ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウム、ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウム、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウム、ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウム、ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウム、ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウム、ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウム、およびジフェニルヨードニウムが挙げられる。
式(XVII)の芳香族ヨードニウムイオンは、ジアリールヨードニウム、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム、4−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、および4−(1−メチルエチル)フェニル4−メチルフェニルヨードニウムからなる群から選択されることがより好ましい。式(XVII)の芳香族ヨードニウムイオンは、 ジフェニルヨードニウム、または(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムであることが最も好ましい。
好ましい式(XVIII)のスルホニウムイオンは、次式のS−(フェニル)チアントレニウムである。
Figure 0006940688
好ましくは、式(XIX)のホスホニウムイオンにおいて、R、RおよびR10は相互に独立して、脂肪族基を表し、より好ましくは、一つ以上の芳香族基、3〜6個の炭素原子を有する脂環式基、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基で置換されうる1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基を表す。より好ましくは、式(XIX)のホスホニウムイオンにおいて、R、RおよびR10は相互に独立して、一つ以上のハロゲン原子、水酸基またはアミノ基によって置換されうる、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基を表す。
特に好ましい式(XIX)のホスホニウムイオンは、テトラキス−(ヒドロキシメチル)−ホスホニウム(THP)である。
式(XVII)、(XVIII)または(XIX)のカチオンを有するヨードニウム、スルホニウムまたはホスホニウム塩において、アニオンはヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメチルサルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロアルセネート、およびテトラフェニルボレートから選択されてもよい。
好ましい芳香族第三級ホスフィン化合物は下記式(I)を有し:
−R
(XV)
式中、
は、次式(XVI)の基であり、
(Ar)P−
(XVI)
式中、
は、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
Arは置換または非置換型アリールまたはヘテロアリール基を表す。
は、アリール基であり、水酸基、アミノ基、−NR基(式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、C1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、および重合性二重結合を有する基から選択される一つ以上の基によって置換されていてもよい。
式中、R基及びAr基は、水酸基、オキソ基、−NR基(式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子およびC1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、および重合性二重結合を有する基から選択される一つ以上の基によって置換されてもよく、および、
は、水酸基、オキソ基、−NR基(式中、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子およびC1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、および重合性二重結合を有する基から選択される一つ以上の基によって置換されてもよい。
式(XV)において、Rについて、一価のヒドロカルビル基が、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基であってもよい。
Arは、置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基を表す。アリール基は、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、及びスチリル基から選択されてもよい。ヘテロアリール基は、ピリジル基であってもよい。
は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、及びウレタン結合から選択される結合を含有していてもよい置換または非置換型の二価のヒドロカルビル基である。Lについて、二価のヒドロカルビル基が、アルキルジイル基、シクロアルキルジイル基、シクロアルキルアルキル−ジイル基、アリールアルキル−ジイル基またはアリールジイル基であってもよい。シクロアルキルアルキル−ジイルにおいて、シクロアルキル部分もしくはアルキル部分のそれぞれに一価が結合していてもよく、または両方の原子価がシクロアルキル部分もしくはアルキル部分のどちらかに結合していてもよい。アリールアルキル−ジイル基において、アリール部分もしくはアルキル部分のそれぞれは、それぞれ一価であってもよく、またはアリール部分もしくはアルキル部分のどちらかが二価であり、他方の部分はゼロ価である。シクロアルキルアルキル−ジイルにおいて、シクロアルキル部分またはアルキル部分のそれぞれは、それぞれ一価であってもよく、またはシクロアルキル部分またはアルキル部分のどちらかが二価、他方の部分はゼロ価である。
以下の定義は一価及び二価の両方のヒドロカルビル基に当てはまり、したがって二価ヒドロカルビル基の定義のために「ジイル」及び「ジイル」という接尾辞が括弧書きされている。
アルキル(ジイル)基は、直鎖状または分岐状C1−20 アルキル(ジイル)基、典型的にはC1−8アルキル(ジイル)基であってもよい。C1−6アルキル(ジイル)基の例は、1〜6個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル(ジイル)基、例えば、メチル(ジイル)、エチル(ジイル)、n−プロピル(ジイル)、イソプロピル(ジイル)、n−ブチル(ジイル)、イソブチル(ジイル)、sec−ブチル(ジイル)、tert−ブチル(ジイル)、n−ペンチル(ジイル)、イソペンチル(ジイル)及びヘキシル(ジイル)を含むことができる。
シクロアルキル(ジイル)基は、C3−20シクロアルキル(ジイル)基であってもよい。シクロアルキル(ジイル)基の例は、3〜14個の炭素原子を有する基を含むことができ、例えばシクロプロピル(ジイル)、シクロブチル(ジイル)、シクロペンチル(ジイル)及びシクロヘキシル(ジイル)を含むことができる。シクロアルキルアルキル(ジイル)基は、4〜20個の炭素原子を有する基を含むことができる。
シクロアルキルアルキル(−ジイル)基は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル(ジイル)基と3〜14個の炭素原子のシクロアルキル(ジイル)基との組み合わせを含むことができる。シクロアルキルアルキル(−ジイル)基の例は、例えば、メチルシクロプロピル(−ジイル)メチルシクロブチル(−ジイル)、メチルシクロペンチル(−ジイル)、メチルシクロヘキシル(−ジイル)、エチルシクロプロピル(−ジイル)、エチルシクロブチル(−ジイル),エチルシクロペンチル(−ジイル)、エチルシクロヘキシル(−ジイル)、プロピルシクロプロピル(−ジイル)、プロピルシクロブチル(−ジイル)、プロピルシクロペンチル(−ジイル)、プロピルシクロヘキシル(−ジイルを)含むことができる。
アリールアルキル(−ジイル)基は、C7−20アリールアルキル(−ジイル)基、典型的には、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル(ジイル)基と6〜10個の炭素原子を有するアリール(−ジイル)基との組み合わせであってもよい。アリールアルキル(−ジイル)基の具体例は、ベンジル(−ジイル)基またはフェニルエチル(−ジイル)基である。
アリール(ジイル)基は、6〜10個の炭素原子を有するアリール(ジイル)基を含むことができる。アリール(ジイル)基の例は、フェニル(ジイル)及びナフチル(ジイル)である。アリール(ジイル)基は、1〜3つの置換基を含むことができる。このような置換基の例は、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アミノ基、C1−6アルキル基及びC1−6アルコキシ基を含むことができる。ここで、ハロゲン原子の例示は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素とすることができる。C1−4アルキル(ジイル)基は、例えば、メチル(ジイル)、エチル(ジイル)、n−プロピル(ジイル)、イソプロピル(ジイル)及びn−ブチル(ジイル)である。C1−4アルコキシ(ジイル)基の例は、例えば、メトキシ(ジイル)、エトキシ(ジイル)及びプロポキシ(ジイル)である。これらの置換基におけるアルキル(ジイル)部分は、直鎖状、分岐状、または環状であってもよい。
好ましくは、ヒドロカルビル基は、フェニル(ジイル)基及びナフチル(ジイル)基から選択されるアリール(ジイル)基であり、これらの基は、随意にハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、水酸基、C1−6アルキル基及びC1−6アルコキシ基から選択される1〜3個の基により置換されてもよく、またはヒドロカルビル基は直鎖状若しくは分岐状アルキル基、直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、または直鎖状若しくは分岐状アルキニル基から選択された非芳香族ヒドロカルビル基である。
1−8アルキル(ジイル)基及びC3−14シクロアルキル(ジイル)基は随意に、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、フェニル基、及び水酸基から選択される基の一つ以上のメンバーによって置換されてもよい。C1−4アルキル基の例は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルを含むことができる。C1−4アルコキシ基の例は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、及びtert−ブトキシを含むことができる。
さらに、式(XV)において、いずれのヒドロカルビル基も、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基または水酸基から選択された1以上の基で置換されていてもよい。したがって、ヒドロカルビル基では、水素原子の一部または全部がハロゲン原子(例えば、フルオロ、ブロモ、クロロ)、例えばクロロメチル、クロロプロピル、ブロモエチル及びトリフルオロプロピル等のハロ置換アルキル基、並びにシアノエチルで置き換えられる。
ヒドロカルビル基がアルキル(ジイル)鎖を含む場合、アルキル(ジイル)鎖中の1個以上の炭素原子が酸素原子、イオウ原子、アミド基、エステル基、またはウレタン基で置き換えられてもよい。ヒドロカルビル基が1個より多い炭素原子を有するアルキル基である場合、アルキル基はアルキレンを含む。したがって、ヒドロカルビル基がn−ヘキシル基である場合、末端メチル基を除くアルキレン鎖の炭素原子のいずれかが酸素原子、イオウ原子、アミド基、エステル基、ウレタン基、またはNH基で置き換えられてもよい。したがって、以下の基を酸素原子が一つ以上の場合の具体的な例に挙げることができる。
Figure 0006940688
式(XV)において、基Rおよび/またはArは、Rと同様におよび/または重合性二重結合、好ましくは炭素−炭素二重結合で置換されていてもよい。重合性炭素間二重結合の例は、ビニル、共役ビニル、アリル、アクリル、メタクリル、及びスチリルを含む。好ましくは、重合性二重結合は、メタクリル、アクリル及びスチリルからなる群から選択される。より好ましくは、その二重結合はスチリルである。
好ましくは、RおよびArは、独立して、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、およびスチリル基から選択される芳香族ヒドロカルビル基である。
Rに関しては、この部分はアリール基であり、水酸基、アミノ基、−NRaRb基(式中、Ra及びRbは同一でも異なっていてもよく、C1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、及び重合性二重結合を有する基から選択される一つ以上の基によって置換されていてもよい。好ましい実施形態によれば、Rは、水酸基、アミノ基、−NRaRb基(式中、Ra及びRbは同一でも異なっていてもよく、C1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、及び重合性二重結合を有する基から選択される一つ以上の基によって置換されるアリール基である。より好ましくは、Rは、水酸基、アミノ基、−NRaRb基(式中、Ra及びRbは同一でも異なっていてもよく、C1−6 アルキル基から選択される)、カルボキシル基、及び重合性二重結合を有する基から選択される一つまたは二つの基によって置換されるフェニル基である。
更により好ましくは、芳香族ホスフィン化合物は、式(XV)の化合物であり、式中、Zが下記式の基である。
Figure 0006940688
式(XV)の化合物の具体的な例としては、トリフェニルホスフィン(TPP)、4−(ジフェニルホスフィノ)スチレン(DPPS)、4−(ジフェニルホスフィノ)安息香酸、4−(ジフェニルホスフィノ)安息香酸、3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオン酸、(4−(ジフェニルホスフィノ)N,N’−ジメチルアニリン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゾフェノン(BDPPEP)、ビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル(BDPPE)、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィンが挙げられる。好ましくは、式(XV)の化合物は、トリフェニルホスフィン(TPP)または4−(ジフェニルホスフィノ)スチレン(DPPS)、より好ましくは4−(ジフェニルホスフィノ)スチレン(DPPS)である。
上記の式(XV)の芳香族第三級化合物から、4−(ジフェニルホスフィノ)スチレン(DPPS)が特に好ましい。その理由は、この化合物が、トリフェニルホスフィン(TPP)で得られた既に有利な結果と比較して、特に改善された光退色結果をもたらすためである。
式(XV)の化合物は、市販されているか、または、例えば国際公開第2016/156363 A1に記載されているように、公表された手順に従って調製され得る既知の化合物であり得る。
光開始剤および随意の電子供与体成分および/または共開始剤成分の他に、光開始剤系はさらに、増感剤成分を含みうる。
増感剤成分は、上述の通り、ノリッシュI型またはII型光開始剤から選択されうる。増感剤成分は、この光開始剤系の光開始剤以外の追加的な光開始剤を表す。
好ましい実施形態によれば、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物はレドックス開始剤を含有する。用語「レドックス開始剤」は、酸化剤及び還元剤ならびに、随意に触媒、例えば金属塩との組み合わせ、を意味する。レドックス開始剤はラジカルを形成するレドックス反応をもたらす。これらのラジカルはラジカル重合性化合物の重合を開始させる。典型的には、レドックス開始剤系は、レドックス開始剤系を酸化剤及び還元剤の少なくとも部分的な分解をもたらす水および/または有機溶媒との接触させることによることを含むレドックス開始剤系の成分を混合することにより、活性化される。光開始剤系とレドックス開始剤との混合物は「二重硬化開始剤系」である。
適切なレドックス開始剤系は還元剤及び酸化剤を含み、これらは光の存在とは関係なく、モノマー(c) および/または 架橋剤(d)の重合性二重結合の重合を開始することができるフリーラジカルを生成する。還元剤及び酸化剤は、典型的な歯科条件下での貯蔵および使用を可能にするために、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物が十分に貯蔵安定性であり、望ましくない着色がないように選択される。さらに、還元剤及び酸化剤は、二重硬化開始剤系が樹脂系と十分に混和して組成物中にレドックス開始剤系が溶解できるように選択される。
有用な還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及び米国特許第5,501,727号に記載されているような金属錯体化アスコルビン酸化合物; アミン類、即ち三級アミン類、好ましくは三級芳香族アミン、例えば4−tert−ブチルジメチルアニリン;芳香族スルフィン酸塩、例えばp−トルエンスルフィン酸塩、ベンゼンスルフィン酸塩、最も好ましくはパラ−トルエンスルフィン酸ナトリウム;チオ尿素、例えば1−エチル−2−チオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1,1−ジブチルチオ尿素、及び1,3−ジブチルチオ尿素;ならびにこれらの混合物、が挙げられる。他の補助還元剤としては、塩化コバルト(III)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、亜ジチオン酸または亜硫酸陰イオンの塩、及びそれらの混合物が挙げられてもよい。
好適な酸化剤としては、過硫酸及びその塩、例えばアンモニウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、及びアルキルアンモニウム塩、好ましくは無機ペルオキソ二硫酸塩、最も好ましくはペルオキソ二硫酸カリウムが挙げられる。追加の酸化剤としては、ベンゾイルペルオキシドなどの過酸化物、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びアミルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド、並びに、塩化コバルト(III)及び塩化第二鉄、硫酸セリウム(IV)などの遷移金属の塩、過ホウ酸及びそれらの塩、過マンガン酸及びそれらの塩、過リン酸及びそれらの塩、並びにそれらの混合物が挙げられる。一つ以上の異なる酸化剤または一つ以上の異なる還元剤を開始剤系に使用してもよい。少量の遷移金属化合物を添加してレドックス硬化の速度を促進してもよい。還元剤及び酸化剤は、適切なフリーラジカル反応速度を可能にするのに十分な量で存在する。
還元剤または酸化剤は、組成物の貯蔵安定性を増強するため、及び必要に応じて、還元剤及び酸化剤を一緒に包装できるようにするためにマイクロカプセル化されてもよい(米国特許第5,154,762号)。封入剤を適切に選択することにより、貯蔵安定状態で酸化剤と還元剤とを組み合わせ、且つ酸官能性成分及び所望により充填剤さえも組み合わせることができる場合がある。さらに、水不溶性封入剤を適切に選択することにより、微粒子反応性ガラス及び水と一緒に還元剤及び酸化剤を貯蔵安定状態で組み合わせられる。
特に好ましいレドックス開始剤は、(i)無機ペルオキソ二硫酸塩、(ii)芳香族アミン、及び(iii)芳香族スルフィン酸塩を含有する。特に好ましいレドックス開始剤については、無機ペルオキソ二硫酸塩がペルオキソ二硫酸カリウムであり;及び/または芳香族アミンは、tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン(4−tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン)であり;及び/または芳香族スルフィン酸塩はパラ−トルエンスルフィン酸ナトリウムであることが好ましい。最も好ましくは、レドックス開始剤は、(i’)ペルオキソ二硫酸カリウム、(ii’)4−tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン、および(iii’)パラ−トルエンスルフィン酸ナトリウムを含有する。
二重硬化開始剤系は、式(XVI)、(III)または(IV)を有する共有結合性開始剤化合物XまたはZを有する光開始剤系を含有することが好ましく、またレドックス開始剤は、(i)無機ペルオキソ二硫酸塩、(ii)芳香族アミン、および(iii)芳香族スルフィン酸塩を含有することが好ましく、より好ましくは、レドックス開始剤は、(i’) ペルオキソ二硫酸カリウム、(ii’)tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン、および(iii’)パラ−トルエンスルフィン酸ナトリウムを含有する。
上述の開始剤化合物は、共有結合によって開始剤修飾ポリ酸ポリマーに連結されうる。この連結は、式(I)の繰り返し単位を有する光開始剤修飾ポリ酸ポリマーを調製するプロセスについて上述の通り類似して達成されうるが、これは、ステップ (a)によってもたらされた、式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーの、続くステップ(b) における、上述の光開始剤/増感剤、電子供与体および共開始剤のいずれか一つの誘導体との反応によってであり、この誘導体は、式(VI)の繰り返し単位を有する前駆体ポリ酸ポリマーのCOOH基と反応しうる反応性基を有する。これらの誘導体は、イソシアネート基、アミン基、アルコール基または、Cl、BrもしくはIから選択されるハロゲン原子から選択される反応性基を有することが好ましい。
水溶性で加水分解安定性のモノマー(c)
随意に、本発明による歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、(c)単一の重合性二重結合および随意にカルボン酸基もしくは水酸基を有する水溶性で加水分解安定性のモノマーを含み、このモノマーは以下では「モノマー(c)」と呼称される。歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物 は、二つ以上のモノマー(c)のうちの一つ、または二つ以上のモノマー(c)の混合物を含みうる。
モノマー(c)に関連して本明細書で使用する用語「重合性二重結合」は、付加重合が可能な任意の二重結合、特にフリーラジカル重合、好ましくは炭素−炭素二重結合を意味する。
これに関連して使用される「加水分解安定性」という用語は、モノマー(C)が、酸性媒体、例えば歯科用組成物中で加水分解に対して安定であることを意味する。具体的には、モノマー(C)は、pH3の水性媒体中で室温で1ヶ月以内に加水分解するエステル基等の基を含まない。
さらに、これに関連して使用される「水溶性」という用語は、モノマー(C)の少なくとも0.1g、好ましくは0.5gが20℃の水100gに溶解することを意味する。
随意の加水分解安定性で水溶性のモノマー(c)は、硬化した形態での本歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の機械的特性のさらなる改善を提供する場合がある。なぜならモノマー(c)は、例えば、少なくとも二つの重合性炭素−炭素二重結合を有する架橋剤と共に重合することができ、それによって架橋ポリマーネットワークが形成されるからである。
モノマー(c)は加水分解安定性であり、すなわちモノマー(c)は、好ましくは、1ヶ月以内にpH3で加水分解する基を含まない。特に、好適なモノマー(C)は、エステル基を全く含まない。
さらに、モノマー(c)は単一の二重結合を含有する。好適な重合性二重結合は、アルケニル基及びビニル基等の炭素−炭素二重結合である。
モノマー(c)はカルボン酸基を有し、一般式(XX)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006940688
式(XX)中、R11は水素原子、または直鎖状もしくは分岐状のC1−3アルキル基であり、R12は水素原子、または−COOH基によって置換されていてもよい直鎖状もしくは分岐状のC1−6アルキル基である。式(XX)中、点線は、R11がcis配位またはtrans配位のいずれかであってもよいことを示す。好ましくは、R11は水素原子であり、R12は水素原子、または随意に−COOH基で置換されたC1−3アルキル基である。より好ましくは、R11は水素原子であり、R12は水素原子または−COOH基で置換されたメチル基であり、すなわち式(XX)の化合物はアクリル酸またはイタコン酸である。最も好ましくは、式(XX)の化合物はアクリル酸である。
好ましくは、式(XX)において、残基R11およびR12は、(D)による単一の重合性二重結合を有するモノマーの分子量が最大200Da、好ましくは最大150Da、より好ましくは最大100Daであることの条件で、選択される。
さらに、モノマー(c)は、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、およびN−エチル−N−メチル(メタ)アクリルアミドであってもよい。
モノマー(c)は、好ましくは最終歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の良好な加工性及び適応性の観点で、特に粘度に関して選択される。従って、モノマー(c)の粘度は、好ましくは0.1〜100mPa・s、より好ましくは0.3〜50mPa・s、さらにより好ましくは0.5〜25mPa・s、さらにより好ましくは0.8〜10mPa・s、特に0.9〜3mPa・sである。
カルボン酸基を含むモノマー(c)は、こうしたモノマーが歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物に追加的カルボン酸基を導入するので、特に有利である。これらの追加的なカルボン酸基は、セメント反応を受けることができ、結果的に反応性微粒子状充填剤(a)の存在下でさらなる改善された凝結または硬化反応をもたらす。
好ましくは、モノマー(c)は、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物中に、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の総重量に基づいて、0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらにより好ましくは2〜10重量%の量で含有される。モノマー(c)が存在しない場合、長期間の機械的抵抗が低くなる可能性がある。一方、モノマー(c)の量が20重量%を超えると、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物から得られる歯科用ガラスイオノマーセメントの収縮が起こり得る。
水溶性で加水分解安定性の重合性架橋剤(d)
随意に、本発明による歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、(d)少なくとも二つの重合性炭素‐炭素二重結合を有する水溶性で加水分解安定性の重合性架橋剤を含み、この架橋剤は、以下では、「架橋剤(d)」と呼称される。歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、二つ以上の架橋剤(d)のうちの一つ、または二つ以上の架橋剤(d)の混合物を含みうる。
架橋剤(d)に関連して本明細書で使用する用語「重合性炭素−炭素二重結合」は、付加重合が可能な任意の炭素−炭素二重結合、特にフリーラジカル重合を意味する。
架橋剤(d)は、アルキレンジオールジメチルアクリレート、例えば1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、アルキレンジオールジビニルエーテル、例えば1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートまたはトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートであることができる。
好ましくは、架橋剤(d)は、欧州特許公開第2705827号、及び国際特許公開第2014040729号に開示されている下記式(XXI)の重合性化合物であり:
A−L(B) (XXI)
式中、
Aは下記式(XXII)の基であり、
Figure 0006940688

10は、CO、CS、CH、または基[X10010であり、ここにおいてX100は酸素原子、硫黄原子、またはNHであり、Z10は直鎖状または分岐状のC1−4アルキレン基であり、kは1〜10の整数であり、
13は、水素原子、
−COOM10
3−6シクロアルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM10、−PO10、−O−PO10 、または−SO10によって置換されていてもよい直鎖状または分岐状のC1−16アルキル基、
1−16アルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM10、−PO10、−O−PO10 または−SO10によって置換されていてもよいC3−6シクロアルキル基、
−COOM10、PO10、−O−PO10 または、−SO10によって置換されていてもよいC6−14アリールまたはC3−14ヘテロアリール基であり、
14は、水素原子、
−COOM10
6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM10、−PO10、−O−PO10 および−SO10によって置換されていてもよい直鎖状または分岐状のC1−16アルキル基、
1−16アルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM10、−PO10、−O−PO10 または、−SO10によって置換されていてもよいC3−6シクロアルキル基、あるいは
−COOM10、−PO10、−O−PO10 および、−SO10によって置換されていてもよいC6−14アリールまたはC3−14ヘテロアリール基であり、
は単結合またはリンカー基であり、
Bは独立して、
Aの定義による基、
下記式(XXIII)の基、
Figure 0006940688

式中、
20は独立して、式(XXII)においてXについて定義されるのと同じ意味を有し、
13およびR14は、互いに独立して、および独立して、式(XXII)について定義されるのと同じ意味を有し、
R°は、水素原子、
3−6シクロアルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM10、−PO10、−O−PO10 、または−SO10によって置換されていてもよい直鎖状または分岐状のC1−16アルキル基、
1−16アルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM10、−PO10、−O−PO10 または−SO10によって置換されていてもよいC3−6シクロアルキル基、
−COOM10、−PO10、−O−PO10 または、−SO10によって置換されていてもよいC6−14アリール基であり、
下記式(XXIV)の基、
Figure 0006940688

式中、
30は、CO、−CHCO−、CSまたは、−CHCS−であり、
13およびR14は、互いに独立して、および独立して、式(XXII)について定義されるのと同じ意味を有し、あるいは、
基[X40200Eであり、
式中、
200は、直鎖状または分岐状のC1−4アルキレン基であり、
40は、酸素原子、硫黄原子、またはNHであり、
Eは、水素原子、
PO
3−6シクロアルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM10、−PO10、−O−PO10 、または−SO10によって置換されていてもよい直鎖状または分岐状のC1−16アルキル基、
1−16アルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM10、−PO10、−O−PO10 または−SO10によって置換されていてもよいC3−6シクロアルキル基、
−COOM10、−PO10、−O−PO10 または、−SO10によって置換されていてもよいC6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基であり、
は、1〜10の整数であり、
ならびに
n’は1〜4の整数であり、
ここで、互いに独立しているM10は、それぞれ水素原子または金属原子を表す。好ましくは、Lが単結合である場合、BはAの定義による基であることも、式(XXIII)の基であることもできない。
以下の基は、式(XXII)の好ましい基であり、M10は水素原子または金属原子である。
Figure 0006940688
好ましい二価のリンカー基は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン及び以下の二価の基から選択され得る:
Figure 0006940688
N,N’−(2E)−ブタ−2−エン−1,4−ジアリルビス−[(N−プロパ−2−エン−1)アミド、及びN,N−ジ(アリルアクリルアミド)プロパンが好ましい。
他のさらなる成分
本発明による歯科用樹脂改質グラスイオノマー組成物は、随意の成分モノマー(c)および/または架橋剤(d)の他に、追加の随意の成分を含むことができる。
本発明による歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、反応性微粒子充填剤(a)以外のさらなる充填剤、放射線不透性を改善する成分、溶媒、4−メトキシフェノールなどのフリーラジカルスカベンジャー、重合阻害剤、界面活性剤(阻害剤の溶解性を強化するため、例えば、ポリオキシエチレン)充填剤の反応性を高めるためのカップリング剤、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、およびレオロジー改質剤などのさらなる成分を含みうる。
好ましくは、反応性微粒子状充填剤(a)以外のさらなる充填剤は、例えば、不活性ガラス、フッ化物徐放性ガラス、粒状予備重合充填剤、粉砕予備重合充填剤、および充填剤凝集体から選択されうる。
用語「不活性ガラス」は、セメント反応において酸性基を含むポリマーと反応することができないガラスを指す。不活性ガラスは、例えば、Journal of Dental Research、1979年6月、1607〜1619頁、またはより最近では、米国特許第4814362号、同第5318929号、同第5360770号、及び米国特許出願公開第2004/0079258A1号に記載されている。具体的には、米国特許出願公開第2004/0079258A1号により、強塩基性酸化物、例えばCaO、BaO、SrO、MgO、ZnO、NaO、KO、LiOなどを、弱塩基性酸化物、例えばスカンジウムまたはランタニド系列中の弱塩基性酸化物で置換した不活性ガラスが知られている。
用語「フッ化物徐放性ガラス」は、フッ化物を放出することができるガラスを指す。ガラスがフッ化物徐放性、好ましくは持続的フッ化物徐放性を有するという条件で、フッ化物を含有するガラス無機粒子を形成するために酸化物の混合物に添加することによって、フッ化物放出能力を与えることができる。このような無機粒子は、フッ化ナトリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化ランタン、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、及びカルシウム含有フルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択することができる。
本明細書で使用される用語「シラン化」は、充填剤がその表面にシランカップリング剤を、例えば少なくとも部分的に、好ましくは完全に充填剤の表面を覆うコーティングの形態で有することを意味する。
放射線不透性を改善する成分は、例えば、CaWO、ZrOおよび、YFから選択されうる。
好適な溶媒は、水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール(n−、i−)、ブタノール(n−、iso−、tert−)、およびケトン、例えばアセトンから選択され得る。
1パック型またはマルチパック型歯科用組成物
本歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、1パック型またはマルチパック型歯科用組成物とすることができる。
本明細書で使用される用語「1パック型」は、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の全ての成分を、一つの単一のパック、例えば少なくとも二つの容器を有するカプセルまたは二重バレルシリンジに含むことを意味する。
本明細書で使用される用語「マルチパック型」は、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の成分を、多数の別々のパックに含むことを意味する。例えば、成分の第一の部分は第一のパックに含まれ、さらに成分の第二の部分は第二のパックに含まれ、成分の第三の部分は第三のパックに含まれてもよく、成分の第四の部分は第四のパックに含まれてもよい、などである。
好ましくは、歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、2パック以上の組成物、より好ましくは2パックの組成物である。2パック型歯科用組成物の場合、2パック型粉末/液体組成物が好ましい。
2パック型粉末/液体組成物では、粉末パックは、(a)反応性微粒子状充填剤を含み、液体パックは、(b)セメント反応において反応性微粒子状充填剤と反応するポリ酸ポリマーを含むことが好ましい。
硬化した歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物
本発明の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は硬化性歯科用組成物である。硬化した歯科用ガラスイオノマー組成物/セメントは、反応性微粒子状充填剤(a)をポリ酸ポリマー(b)とセメント反応によって反応させることによってそこから取得でき、ここで加えて、光重合が光開始剤系によって開始される。
硬化した本歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物は、下記の特に有利な機械的特性を有することが見出された。
−曲げ強度は、ISO4049に従って測定すると少なくとも80MPaであり、および/または
−エナメル質および/または象牙質に対する接着力は、ISO29022:2013に従う測定で、少なくとも5MPaである。
特に好ましい実施形態
特に好ましい実施形態によれば、開始剤修飾ポリ酸ポリマーは、下記式(I’)の繰り返し単位を有し:
Figure 0006940688

式中、
X’は、同一でも異なっていてもよく、独立してOH、またはNH−L’−Zを表し、
式中、
L’は単結合または以下の式(V’)を有する二価のリンカー基であり、
Figure 0006940688

式中、
a’は、0または、1〜6の整数であり、
Het’は、酸素またはNHであり、
好ましくは、a’は0であるか、または1〜3の整数であり、Het’はNHであり、より好ましくはL’は単結合であり、および
Z’は、式(II’)の共有結合性開始剤化合物であり、
Figure 0006940688

式中、
’およびR
これらは同一でも異なっていてもよく、独立してC1−6直鎖状、C3−6分岐状または環状アルキル基、好ましくはC1−4直鎖状または分岐状アルキル基を表し、
Y’は水素原子、COOHまたは共有結合性開始剤化合物であり、
k’、l’、m’、n’、o’およびp’は、独立して少なくとも0の整数であり、
k’+l’+m’+n’+o’+p’は、少なくとも1であり、式中、m’および/またはp’が0であることが好ましく、最も好ましくはmおよびp’が0であり、ならびに
Y’が水素原子またはCOOHであるときに、OHではない少なくとも一つのX’が存在し、
ポリ酸ポリマーが1〜300kDaの重量平均分子量を有する。
式(XV)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーの用途
上記の、式(XV)の繰り返し単位を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーは、歯科用組成物の調製のために、好ましくは歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の調製のために、より好ましくは上記の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物の調製のために使用されうる。
本発明を以下の実施例により更に説明する。
実施例1
ポリ[(N−(4−(ジメチルアミノフェニル)アクリルアミド)−co−(アクリル酸)]の合成
40℃の15mlジオキサン中の5gポリアクリル酸(Mw 136.00g/mol)の溶液に、5mlジオキサン中に溶解させた4−(ジメチルアミノ)フェニルイソシアナト(phenylisocyanat)563mg(69mmol)を5分間以内に加えた。溶液を40℃で一晩攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、200mlのアセトニトリルに滴下した。次に、被さっている溶液をデカントすることによって、沈殿した修飾ポリマーを分離し、100mlの水中に溶解した。100mbarおよび40°Cでの蒸留によってアセトニトリルを除去し、次に、残りの溶液を透析し(MWCO=1000 Da)、水を凍結乾燥により除去した。
歩留まり:1.89(36%)
ポリマー修飾(H NMR):appr.2.5%
H NMR(DMSO−d):δ(ppm)=12.23(s,COOH)、7.27−6.67(m,Ar)、2.84−2.82(d,CHCH CH)、2.11(s,CH)、1.51−1.33(m,CH CH CH)、
Figure 0006940688
適用例1および2ならびに比較例1
本発明による適用例1および比較例1の水性歯科用ガラスイオノマー組成物は、それぞれ合計100重量%になる下記の表1に列挙される成分の液体および粉末組成物を、表示された粉末/液体(P/L)比で両方の部分を混合して形成することによって調製された。
[硬化時間]
作業時間:特性に悪影響を与えずに材料を操作することが可能である、表示されたP/L比で粉末とガラスとの混合を開始する時から測定された時間の期間。
凝結時間:混合物が加圧下でさえも変形可能でなくなった時点。
[曲げ強度]
実施例1および比較例1の得られた歯科用ガラスイオノマー組成物を、試験片の準備のために、(25±2)mm×(2.0±0.1)mm×(2.0±0.1)mmのサイズを有するステンレス鋼の型に充填した。このようにして得られた歯科用ガラスイオノマー組成物を、外部動力源なしで(自己硬化、SC)、および歯科用硬化光を用いて(光硬化、LC)硬化させた。結果として得られる硬化した歯科用ガラスイオノマー組成物については、曲げ強度がISO4049に従って判定されている。
Figure 0006940688

Figure 0006940688

Claims (11)

  1. 歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物であって、前記組成物が、
    (a)反応性微粒子状充填剤と、
    (b)セメント反応において、前記反応性微粒子状充填剤と反応するポリ酸ポリマーと、を含み、前記組成物がさらに一つ以上の開始剤化合物から成る開始剤系を含み、
    前記一つ以上の開始剤化合物の少なくとも一つが、共有結合によってポリ酸ポリマー(b)に連結され、共有結合性芳香族アミン開始剤化合物を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーを形成する芳香族アミンであり、
    前記開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、以下の式(I)であって、
    Figure 0006940688

    式中、
    Xは、同一でも異なっていてもよく、独立してOH、O−L−Z、またはNH−L−Zを表し、式中、
    Lは単結合または二価のリンカー基、および、
    Zは共有結合性開始剤化合物であり、
    Yは、水素原子、COOH、または共有結合性開始剤化合物であり、
    k、l、m、n、oおよびpは、独立して少なくとも0の整数であり、
    k+l+m+n+o+pは、少なくとも1であり、ならびに
    Yが水素原子またはCOOHであるとき、またはp=0のときに、OHではない少なくとも一つのXが存在し、
    前記ポリ酸ポリマーが1〜300kDaの重量平均分子量を有する、前記式(I)の繰り返し単位を有する化合物であり、
    前記開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、前記ポリ酸ポリマーの酸性基の100モル%当たり、共有結合性開始剤化合物を0.01〜20モル%含有する、組成物。
  2. 開始剤系が、400〜800nmの範囲の波長を有する光で照射された時に、単独または組み合わせでフリーラジカルを生成する一つ以上の開始剤化合物から成る光開始剤系である、請求項1に記載の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物。
  3. 前記開始剤系が、混合されたときにフリーラジカルを生成する二つ以上の開始剤化合物から成るレドックス開始剤系である、請求項1に記載の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物。
  4. 前記ポリ酸性ポリマー(b)が、ポリアクリル酸または、アクリル酸とイタコン酸との共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物。
  5. 前記光開始剤系が、増感剤成分および電子供与体成分を含むノリッシュII型光開始剤から成る、請求項に記載の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物。
  6. 前記共有結合性開始剤化合物YおよびZが、以下の式(II)であって、
    Figure 0006940688

    式中、
    およびRは、
    同一でも異なっていてもよく、独立してC1−6直鎖状、C3−6分岐状または環状アルキル基を表す、前記式(II)の部分から相互に独立して選択される、請求項1に記載の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物。
  7. (c)単一の重合性二重結合および、随意にカルボン酸基または水酸基を有する、水溶性で加水分解安定性のモノマー、ならびに/あるいは
    (d)少なくとも二つの重合性炭素−炭素二重結合を有する、水溶性で加水分解安定性の重合性架橋剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物。
  8. 前記開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、前記開始剤修飾ポリ酸ポリマーの酸性基の100モル%あたり、共有結合性開始剤化合物を0.05〜10モル%含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の歯科用樹脂改質ガラスイオノマー組成物。
  9. 共有結合性芳香族アミン開始剤化合物を有する開始剤修飾ポリ酸ポリマーであって、前記開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、前記開始剤修飾ポリ酸ポリマーの酸性基の100モル%あたり、共有結合性開始剤化合物を0.01〜20モル%含有し、前記開始剤修飾ポリ酸ポリマーが、以下の式(I)であって、
    Figure 0006940688

    式中、
    Xは、同一でも異なっていてもよく、独立してOH、O−L−Z、またはNH−L−Zを表し、式中、
    Lは単結合または二価のリンカー基、および、
    Zは共有結合性芳香族アミン開始剤化合物であり、
    Yは、水素原子、COOH、または共有結合性芳香族アミン開始剤化合物であり、
    k、l、m、n、oおよびpは、独立して少なくとも0の整数であり、
    k+l+m+n+o+pは、少なくとも1であり、ならびに
    Yが水素原子またはCOOHであるとき、またはp=0のときに、OHではない少なくとも一つのXが存在し、
    前記ポリ酸ポリマーが1〜300kDaの重量平均分子量を有する、前記式(I)の繰り返し単位を有する化合物である、開始剤修飾ポリ酸ポリマー。
  10. 前記共有結合性開始剤化合物YおよびZが、以下の式(II)であって、
    Figure 0006940688

    式中、
    およびRは、
    同一でも異なっていてもよく、独立してC1−6直鎖状、C3−6分岐状または環状アルキル基を表す、前記式(II)の部分から相互に独立して選択される、請求項9に記載の開始剤修飾ポリ酸ポリマー。
  11. 歯科用組成物の調製のための、請求項9または10に記載の開始剤修飾ポリ酸ポリマーの使用。
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