JP6836518B2 - 超音波外科手術装置及び関連する方法 - Google Patents

Description

本発明は、手術器具及び関連する使用方法に関する。より詳しくは、本発明は、外科治療における超音波エネルギーの使用に関する。本発明は、手術部位での望ましくない組織損傷を低減するための方法及び装置を意図する。本発明は、神経外科、及び肝臓切除術などの一般的な手術において、又は創傷、いぼ若しくは他の病変、しわ若しくは皮膚疾患の治療において用いられることができる。あるいは、本発明は、腹腔鏡検査において用いられることができる。

過去３０年に亘って、外科手術で組織の除去又は切断に用いることができるいくつかの超音波道具が発明されてきた。特許文献１、２は、そのような装置を開示する。

実際には、これらの外科装置は、振幅が最大３００μｍ以上で、２０ｋｃ〜１００ｋｃの周波数で振動する先端が尖っていない中空プローブを含む。このような装置は、細胞を内破及び粉砕するキャビテーション気泡の生成、組織の圧迫及び応力の緩和を生じさせること（「ジャックハンマー効果（ｊａｃｋｈａｍｍｅｒ ｅｆｆｅｃｔ）」とも呼ばれる）、又は組織基質での気泡のマイクロストリーミングなどの他の作用のいずれかによって、組織を除去する。その効果は、組織が液化されて分離されることである。そして、断片化された組織は洗浄液で乳化される。次いで、生じた乳濁液又は組織残屑のスラリーをその部位から吸引する。組織の大量切除は、望ましくない腫瘍の周り及び下側にエネルギーを加えて組織を周囲構造から分離することによって可能となる。次いで外科医は、鉗子などの一般的な道具で組織を取り出すことができる。

管状のプローブは、上記周波数範囲内の交流電気信号を縦方向又は横断方向の振動に変換する圧電式又は磁歪式のいずれかの振動エネルギー源又はトランスデューサーによって振動される。プローブがトランスデューサーに取り付けられると、これらは、直列及び並列共振する単一要素となる。設計者は、適切な動作周波数が得られるようにこれらの要素の機械特性及び電気特性を調整する。大抵の場合、要素は、直線状の長軸、及びこの長軸に垂直な平面で切断された先端を有する。これは、簡略化と経済性を考慮した結果である。医療用又は産業用にかかわらず、ほとんどすべての用途で、このような実施形態は実用的であり有用である。

したがって、乳化の効率を高め、手術部位を加熱せずに手術時間を減少させる、超音波外科用吸引器と結合されることができるプローブの提供が望まれる。

超音波切除器具は、望ましくない組織を効果的に除去するために、高い往復運動の程度、すなわち高振幅で駆動される必要がある。この組織が除去されると、高振幅は患者のその部分で強い疼痛知覚をもたらすことがあり、手術者が気を付けないと神経組織などの生存組織の破壊につながることもある。

米国特許第４２２３６７６号明細書 米国特許第５１８８１０２号明細書

本発明は、特に血管や神経などの重要な解剖学的構造物に隣接した軟質及び硬質の有機組織の除去において使用するための、改良された超音波手術器具を提供することを目的とする。本発明は、手術効率を高め、患者の一つ以上の特定の器官、例えば神経組織又は血管を損傷する可能性を低下させる超音波手術器具を意図する。

本発明による手術器具アセンブリは、（ｉ）ハンドピースとそのハンドピースに取り付けられたプローブ又はホーンとを含む手術器具と、（ii）プローブ又はホーンに作用可能に接続された超音波振動エネルギー源と、（iii）プローブ又はホーンの遠位端が接触した手術部位で患者の有機組織に電流を送るようにして作用可能に接続された電源と、（iv）手術部位から所望の距離を離れて患者と接触して配置可能な電位センサとを含む。センサは、所定の大きさの検出された電位に応答して超音波振動エネルギー源の出力を自動的に減衰させるために、超音波振動エネルギー源に作用可能に接続される。

本発明の関連する実施形態では、超音波振動エネルギー源に接続される代わりに、センサは、外科医が敏感な組織から手術器具を離す及び／又は適用されるエネルギーの大きさを減少させるような有効な手段を取ることができることを目的として、手術している外科医に自動的に警告を発する電気音響変換器又は光源などの警告信号発生器に作用可能に接続されてもよい。

センサは、患者の神経又は神経束に近接する患者の組織表面に配置されるように構成された電極の形態を取ることができる。あるいは、センサは、血管内又は血管上に配置されるように構成された電極であってもよい。いずれの場合においても、電極は、超音波作用が神経又は血管などの容易に損傷する組織の近くで生じていることを示す近接センサとして機能する。

超音波振動エネルギーの減衰は、センサによって検出される電位の大きさに応じて変えられてもよい。電位が大きくなる程、超音波エネルギーの連続した適用は監視されている組織を損傷する可能性が高い。したがって、検知された電位が大きい程、超音波エネルギーがより減衰される。超音波振動エネルギーは、検出された電位の大きさが所定の許容される上限値になるまで低減されてもよい。神経又は神経束がセンサによって監視される場合には、検知された電位は、神経に作用する最大振幅であってもよく、あるいは神経に作用する数回のサイクルで計算された平均電位であってもよい。

本発明の別の特徴によれば、手術部位に適用される超音波エネルギーの減少を開始するための所定の閾値は、外科医又は手術者によって変更可能であってもよい。したがって、手術器具アセンブリは、センサによって検出された電位の大きさに応じた出力の減衰の度合いを変えるために、超音波振動エネルギー源に作用可能に接続された、手術者による調整を可能にする少なくとも１つの入力要素を備えてもよい。

通常は、超音波器具アセンブリは、手術部位から断片化された有機組織を除去するために潅注手段及び吸引手段を含むことができる。吸引は繊細な神経組織又は血管に損傷を与える可能性があるので、センサは、所定の大きさの検出された電位に応答して自動的に負圧源の出力レベルを減衰させるために、負圧源に作用可能に接続されてもよい。

したがって、本発明による手術器具アセンブリは、（ｉ）ハンドピースとそのハンドピースに取り付けられたプローブ又はホーンとを含む手術器具と、（ii）プローブ又はホーンに作用可能に接続された第１の供給源である超音波振動エネルギー源と、（iii）プローブ又はホーンの遠位端が接触した手術部位で患者の有機組織に電流を送るようにして手術器具に作用可能に接続された第２の供給源である電源と、（iv）手術器具を介して手術部位の吸引を行うために手術器具に接続された第３の供給源である負圧源と、（ｖ）手術部位から所望の距離を離れて患者と接触して配置可能な電位センサとを含む。センサは、所定の大きさの検出された電位に応答して少なくとも第１の供給源又は第３の供給源の出力を自動的に減衰させるために、少なくとも第１の供給源又は第３の供給源に作用可能に接続される。

手術器具アセンブリは、神経路又は血管に沿って閾値の大きさの電位を検出したことに応答して減衰される、超音波又は吸引、あるいはその両方を有するように構成されてもよい。閾値の電位及び電力減衰の度合い又は割合は、二つの態様である超音波及び吸引の間で異なってもよい。したがって、減衰又は電力低減は、一方の態様ついて他方よりも低いレベルで開始されてもよい。更に、減衰又は電力低減の速度若しくは量は、一方の態様ついて他方より大きくてもよい。

本発明による外科方法は、（ａ）ハンドピースとそのハンドピースに取り付けられたプローブ又はホーンとを含む手術器具を与えることと、（ｂ）手術部位で患者の有機組織に接触してプローブ又はホーンの遠位端又は作用端を配置することと、（ｃ）手術部位から離して患者にセンサを配置することと、（ｄ）上記遠位端又は作用端と有機組織が接触している間に、プローブ又はホーンを超音波周波数で振動させることと、（ｅ）上記遠位端又は作用端と有機組織が接触してプローブ又はホーンが振動している間に、少なくとも手術部位の近くで患者に電流を伝導することと、（ｆ）上記遠位端又は作用端と有機組織が接触してプローブ又はホーンが振動している間に、電位を検出するためにセンサを作動させることと、（ｇ）所定の大きさの検出された電位に応答してプローブ又はホーンの振動を減衰させることとを含む。

出力の減衰は、プローブ又はホーンの振動及び行われる吸引の程度の少なくとも一方を自動的に減衰させるフィードバックループの作動を含んでもよい。

出力の減衰は、センサによって検出された電位の大きさに応じて、任意で変更可能である。

本発明による外科方法は、追加的に又は代替的に、（ａ）ハンドピースとそのハンドピースに取り付けられたプローブ又はホーンとを含む手術器具を与えることと、（ｂ）手術部位で患者の有機組織に接触してプローブ又はホーンの遠位端又は作用端を配置することと、（ｃ）手術部位から離して患者にセンサを配置することと、（ｄ）上記遠位端又は作用端と有機組織が接触している間に、プローブ又はホーンを超音波周波数で振動させることと、（ｅ）上記遠位端又は作用端と有機組織が接触してプローブ又はホーンが振動している間に、少なくとも手術部位の近くで患者に電流を伝導することと、（ｆ）上記遠位端又は作用端と有機組織が接触してプローブ又はホーンが振動している間に、手術器具を介して手術部位の吸引を行うことと、（ｇ）上記遠位端又は作用端と有機組織が接触してプローブ又はホーンが振動している間に、電位を検出するためにセンサを作動させることと、（ｈ）所定の大きさの検出された電位に応答してプローブ又はホーンの振動及び行われる吸引の程度の少なくとも一方を減衰させることとを含む。

やはり、出力の減衰は、プローブ又はホーンの振動及び行われる吸引の程度の少なくとも一方を自動的に減衰させるフィードバックループの作動を含んでもよい。また、出力の減衰は、センサによって検出された電位の大きさに応じて変えられてもよい。

センサを配置することは、患者の神経に近接して患者の組織表面と作用可能に接触してセンサを配置すること、又は血管内若しくは血管の近くにセンサを配置することを含んでもよい。

この方法は、センサによって検出された電位の大きさに応じた減衰の度合いを変えるために、手術器具に作用可能に接続された入力要素を調節することを更に含んでもよい。

本発明は、一般的には手術で、より広い用途を見出すことができると考えられる。したがって、本発明による手術器具アセンブリは、手術器具と、手術器具の遠位端が接触した手術部位で患者の有機組織に電流を送るようにして作用可能に接続された電源と、手術部位から所望の距離を離れて患者と接触して配置可能な電位センサとを含み、そのセンサは、所定の大きさの検出された電位に応答して手術器具の出力を自動的に減衰させるために、手術器具に作用可能に接続される。手術器具が、有機組織に超音波エネルギー、電磁放射（例えば、赤外線、光、紫外線など、又はレーザ）、又は電流などのエネルギーを加える場合、加えられるエネルギーの大きさ又は強度を下げることによって減衰が生じ得る。あるいは、手術器具がロボット制御下にある場合、減衰は手術部位から自動的に手術器具を離すことによって、全体又は一部において達成されることができる。上述されたように、センサは、代替的に又は追加的に、所定の大きさの検出された電位に応答して警告信号を生成するための警告信号発生器に接続されてもよい。それにより警告又は警告信号に応答して、加えられるエネルギーの減衰が手術者によって行われる。

本発明は、その一部として、手術器具、センサ、第１のエネルギー源、第２のエネルギー源、吸引器、電気信号検出器及び振動減衰器を含む外科キットを意図する。手術器具は、ハンドピース及びそのハンドピースに取り付けられたプローブ又はホーンと、手術部位で患者の有機組織と接触して配置可能なプローブ又はホーンの遠位端又は作用端とを含む。センサは、手術部位から離れて患者に配置されるように構成される。第１のエネルギー源は、上記遠位端又は作用端と有機組織が接触している間に超音波周波数でプローブ又はホーンを振動させるために、プローブ又はホーンに作用可能に接続される。一方で第２のエネルギー源は、上記遠位端又は作用端と有機組織が接触してプローブ又はホーンが振動している間に少なくとも手術部位の近くで患者に電流を伝導するために、プローブ又はホーンに作用可能に接続される。吸引器は、上記遠位端又は作用端と有機組織が接触してプローブ又はホーンが振動している間に、手術器具を介して手術部位の吸引を行うように構成される。電気信号検出器は、上記遠位端又は作用端と有機組織が接触してプローブ又はホーンが振動している間に電位を検出するために、センサに作用可能に接続される。振動減衰器は、所定の大きさの検出された電位に応答してプローブ又はホーンの振動及び行われる吸引の程度の少なくとも一方を減衰させるように構成される。

振動減衰器又は減衰手段は、プローブ又はホーンの振動及び／又は行われる吸引の程度のいずれかを自動的に減衰させるように作動可能なフィードバックループを含む。振動減衰器又は減衰手段は、センサによって検出された電位の大きさに応じて、プローブ又はホーンの振動及び行われる吸引の程度の少なくとも一方の減衰が変化するように構成されてもよい。

センサは、患者の神経に近接して患者の組織表面と作用可能に接触して配置されるように構成されてもよい。あるいは、センサは、血管内に配置されるように構成されてもよい。

外科キットは、センサによって検出された電位の大きさに応じた減衰の度合いを変えるために手術器具に作用可能に接続される、調整を可能にする入力要素を更に含むことができる。

本発明による外科キットは、ハンドピース及びハンドピースに取り付けられたプローブ又はホーンと、手術部位で患者の有機組織と接触して配置可能なプローブ又はホーンの遠位端又は作用端とを含む手術器具を含む。そのキットで提供されるセンサは、手術部位から離れて患者に配置可能である。プローブ又はホーンは、超音波周波数で振動可能である。そのキットはまた、少なくとも手術部位の近くで患者に電流を伝導するための手段と、電位を検出するためにセンサを作動させるための手段とを含む。そのキットはまた、所定の大きさの検出された電位に応答してプローブ又はホーンの振動を減衰させるための手段を含む。その減衰させるための手段は、プローブ又はホーンの振動及び行われる吸引の程度の少なくとも一方を自動的に減衰させるように作動可能なフィードバックループを含んでもよい。その減衰させるための手段は、センサにより検出された電位の大きさに応じて出力を変えることを含んでもよい。

本発明による医療アセンブリ又はシステムの部分的な概略斜視図及び部分的な正面図である。 図１の装置又はシステムの機能要素のブロック図である。

図１に示されるように、医療又は手術アセンブリは、ハンドピース１６内のトランスデューサーアセンブリ１４から機械振動エネルギーを受けるために、トランスデューサーアセンブリ１４に動作可能に接続されたプローブ１２を含む超音波器具１０４を含み、プローブの作用端１８は、創傷剥離又は有機組織の他の除去などの外科的処置を行うのに適した超音波周波数で振動するようにされる。第１の電圧源又は電圧発生器２０は、超音波周波数を有する交流電圧でアセンブリを作動させるために、トランスデューサーアセンブリ１４に作用可能に接続される。第２の電圧源又は電圧発生器２２は、プローブ１２（又はシース若しくはシースでの電極などの他の金属部品）の作用端１８を患者と接触させて配置した後に、プローブ１２の作用端１８を通じて患者に伝導される制限された電流及び制限された電圧の信号をプローブ１２に供給するために、プローブ１２に作用可能に接続される。発生器２２によって生成された信号は、患者の有機組織の損傷を防ぐように制限された電流及び電圧（又は電力出力）を有し、その一方でプローブ１２の遠位端若しくは作用端１８が適用された作用部位又は手術部位から離れて患者の組織において生じた電位又は電流の検出を可能とする。その検出は、例えば標的手術部位に近接した神経線維又は神経束を覆う患者の皮膚表面に取り付けるように、あるいは手術部位に近接した血管に又は血管の近くに配置されるように構成された電極センサ１０２によって達成される。

電圧源又は電圧発生器２２によって生成される電流及び電圧のパラメータ又は電気信号は、脳波検査（ＥＥＧ）、筋電図検査（ＥＭＧ）、及び誘発電位などの電気生理学的方法が手術中に特定の神経構造（例えば、神経、脊髄、及び脳の部分）の機能的健全性を監視するために使用される、術中神経生理学的モニタリング（ＩＯＮＭ）又は術中神経モニタリングのための既知の装置のものと実質的に同じである。ＩＯＮＭの目的は、神経系への患者の医原性損傷のリスクを低減すること、並びに／又は外科医及び麻酔科医への機能的な手引きを提供することである。

図１に更に示されように、医療又は手術アセンブリは、灌注流体供給源１０６と、吸引源又は真空発生装置１０８とを更に含み、それぞれが手術部位へ生理食塩水などの流体の洗浄剤を供給するため、及び手術部位から組織片のスラリーを吸引するために、器具１０４に接続される。

図２に示されるように、医療アセンブリは、器具１０４を通じての患者への電気監視信号の伝導をプローブ１２の振動と同期させるために、一部で電圧源２０、２２に作用可能に接続された制御ユニット又は制御回路２４を更に含む。典型的には、電圧発生器又は電圧源２０からの所定周波数の超音波波形によってエネルギーを与えられてプローブ１２がトランスデューサー１４の作用により振動している時にのみ、電圧発生器２２からの電流は、プローブ１２及びその作用端１８を通じて伝導される。制御回路２４はまた、作用端１８が神経又は血管に近くて神経又は血管へ損傷をもたらす可能性があり、吸引又は超音波振動エネルギーが衰えずに継続するであろうことを示す、電極又はセンサ１０２の位置での電位の上昇を電極又はセンサにより検知した際に、適用される吸引及び／又は超音波振動エネルギーの大きさを減衰又は減少させるために、吸引源又は真空発生装置１０８と、超音波周波数発生器又は電圧源２０とに接続される。より具体的には、制御回路２４は、電圧源２０の超音波波形出力の振幅を選択的に減衰又は減少させるために電圧源２０に作用可能に接続された第１の電力調整モジュール２６を含む。第２の電力調整モジュール２８は、吸引源１０８で生じて器具１０４に伝えられる吸引量又は真空圧の大きさを選択的に減衰又は減少させるために、吸引源１０８に作用可能に接続される。

電極又はセンサ１０２は、デジタイザ又はアナログ−デジタル変換器１１０を介して制御ユニット２４に接続される。制御ユニット２４は、変換器１１０からコード化された電位の大きさを受け取り、その大きさをメモリ３２に記憶された所定の基準値又は閾値と比較する比較器３０を含む。比較結果は、電力調整モジュール２６、２８の作動を引き起こす又は調節するために、それらに接続された出力を有する制御ロジック回路３４に供給される。

制御ロジック３４は、インターフェース３８を介して手動制御器３６から手術者の指示を受け取る。手術者の指示に応答して、制御ロジック３４はメモリ３２に記憶された基準値又は閾値を変更することができる。メモリ３２は、任意で複数の基準値を記憶することができる。例えば、下限の基準値又は閾値が、超音波周波数発生器２０又は吸引源１０８のいずれかの電力出力の増大を起こす又は開始するために使用されることができる。上限閾値及び下限閾値は、超音波周波数発生器２０及び／又は吸引源１０８に加えられる電力の範囲を定めるために設定されることができる。更に、超音波振動エネルギーと吸引のために別々の閾値が定められてもよい。別の実施形態又は変形例では、複数の電極又はセンサ１０２が設けられてもよい。異なるセンサ１０２が、手術部位に近接して患者の内部又は表面での異なる位置に配置されてもよく、異なる神経及び／又は異なる血管の電位を監視してもよい。異なる電極センサ１０２の出力信号は多重化されてもよい。すなわち、それぞれの時間セグメントで監視され、比較器３０によって連続的に又は順次、処理されてもよい。あるいは、複数の比較器３０が、並列信号処理のために与えられてもよい。

制御ユニット２４は、患者への電気信号の伝導が始まった後、所定時間が経過した後にのみプローブが振動を開始することを可能にするための時間遅延要素４０を含むことができる。したがって、器具１０４の作用端１８が最初に敏感な組織の非常に近くに配置された場合に、制御ロジック３４が超音波及び／又は吸引の作動を一時的に阻害又は調節する機会がある。遅延要素４０は、制御ロジック３４や電力調整回路２６に組み込まれてもよい。

閾値への到達、超音波波形生成器２０又は吸引源１０８の電力出力の調整は、制御ロジック３４からの信号に応答して電気音響変換器又はスピーカー４４を起動させる警報信号発生器４２により、手術者に伝えられてもよい。

図１、２の治療装置の使用では、センサ電極１０２は、予定の手術部位から離れて患者に配置される。外科医はハンドピース１６を操作して、プローブ先端１８を手術部位で患者と接触させて配置する。電圧源２２は、プローブ先端１８が患者と接触している間にプローブ先端を通じて患者に伝導される近接検出電圧又は電位を生成するために作動される。電流伝導の開始と同時に又はその開始に続いて電圧源２０は起動されて、プローブ１２において超音波周波数を有する定在機械圧縮波を生成するために、トランスデューサーアセンブリ１４にエネルギーを与える。作用端１８は、通常は定在圧縮波の腹に位置し、超音波周波数で振動する。

センサ電極１０２は、遠位の器具末端又は作用端１８と有機組織が接触してプローブ又はホーン１２が振動している間に、電位を検出するために作動する。閾値の近傍を超えたことを示す比較器３０からの信号に応答して、制御ロジック３４及び電力調整モジュール２６は、電圧源又は波形発生器２０の超音波波形出力の振幅を選択的に減衰又は減少させるために作用する。電圧源２２、電極１０２、比較器３０、制御ロジック３４及び電力調整モジュール２６は、センサ電極１０２によって検出された電位に応じてプローブ又はホーン１２の振動を調節又は制限するフィードバックループとして機能し、それによって超音波によって生じた熱、キャビテーション又は有機組織に対する他の影響に起因する神経又は血管への損傷を防止又は最小限にする。

追加的に又は代替的に、吸引源１０８が設けられて手術部位から組織片を吸引するために利用される場合、制御ロジック３４と電力調整モジュール２８とを含むフィードバックループは、真空力による神経又は血管への損傷を防止又は最小限にするために、行われる吸引の程度を吸引源１０８が自動的に減衰するように作動してもよい。

超音波波形発生器２０又は吸引源１０８の出力の減衰は、センサによって検出された電位の大きさに応じて任意で変更可能である。したがって、手術者は、メモリ３２に記憶された基準値又は閾値値（１つ又は複数）を変更するために、手動制御器３６及びインターフェース３８を介して制御ロジック３４に指示を与えることができる。

警報信号発生器４２を用いることで、出力エネルギーの自動減衰は省略されてもよいことに留意されたい。その場合、手術者又は外科医は、例えば、手術部位からプローブ１２を外す又は出力エネルギーを低下させることによって、敏感な有機組織に対する望ましくない影響を抑制するための責任を負う。また、警報信号発生器４２は、電気音響以外の形態、例えば、電気光学的又は電気化学的（例えば、芳香性組成物のミストを噴霧する噴霧器）であってもよい。更に、プローブ１２は、信号発生器２２からの電流を流す電極を備えた組織接触面を有する汎用手術器具、例えば、メス、焼灼器、又は吸引器の形態にすることもできる。プローブ１２が吸引器又は吸引カニューレである場合、センサ１０２は、敏感な組織を保護する目的で吸引源１０８にのみに作用可能に接続される。

本明細書に記載の種々の構成要素が、輸送及び外科手術中の使用を容易にするために、キットで１つにパッケージ化されてもよいことに更に留意されたい。

１２ プローブ又はホーン
１４ トランスデューサーアセンブリ
１６ ハンドピース
１８ プローブの作用端又は先端
２０ 第１の電圧源又は電圧発生器（超音波周波数発生器）
２２ 第２の電圧源又は電圧発生器
２４ 制御ユニット又は制御回路
２６ 第１の電力調整モジュール
２８ 第２の電力調整モジュール
３０ 比較器
３２ メモリ
３４ 制御ロジック回路
３６ 手動制御器
３８ インターフェース
４０ 時間遅延要素
４２ 警報信号発生器
４４ 電気音響変換器又はスピーカー
１０２ 電極センサ
１０４ 超音波器具
１０８ 吸引源又は真空発生装置
１１０ デジタイザ又はアナログ−デジタル変換器

Claims (5)

1. ハンドピース（１６）と該ハンドピース（１６）に取り付けられたプローブ又はホーン（１２）とを含む手術器具（１０４）と、
   前記プローブ又はホーン（１２）に作用可能に接続された、超音波振動エネルギーの第１供給源（２０）と、
   前記プローブ又はホーン（１２）の遠位端（１８）が接触した手術部位で患者の有機組織に電流を送るようにして前記手術器具（１０４）に作用可能に接続された、電流の第２供給源（２２）と、
   を含む手術器具アセンブリであって、
   前記手術器具（１０４）を介して前記手術部位の吸引を行うために前記手術器具（１０４）に接続された、負圧の第３供給源と、
   前記手術部位から所望の距離を離れて前記患者と接触して配置可能な電位センサ（１０２）と、
   前記プローブ又はホーンの振動及び行われる吸引の程度の少なくとも一方の出力を減衰させるための手段（２６、２８）と
   を含み、前記センサ（１０２）は、所定の大きさの検出された電位に応答して前記第１供給源（２０）及び前記第３の供給源（１０８）の出力を自動的に減衰させるために、前記第１供給源（２０）及び前記第３の供給源（１０８）に作用可能に接続されることを特徴とする、手術器具アセンブリ。
2. 前記出力の減衰は、前記センサ（１０２）によって検出される電位の大きさに応じて変えられることができる、請求項１に記載の手術器具アセンブリ。
3. 前記センサ（１０２）は、前記患者の神経に近接する前記患者の組織表面に配置されるように構成された電極である、請求項１に記載の手術器具アセンブリ。
4. 前記センサ（１０２）は、血管内に配置されるように構成された電極である、請求項１に記載の手術器具アセンブリ。
5. 前記センサ（１０２）によって検出された電位の大きさに応じた前記出力の減衰の度合いを変えるために、手術者による調整を可能にする少なくとも１つの入力要素（３６）が、前記第１供給源（２０）及び前記第３の供給源（１０８）に作用可能に接続される、請求項１に記載の手術器具アセンブリ。

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