以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
本願明細書において,「衛生用紙」とは,JISの「紙・板紙及びパルプ用語」(JISP 0001)で定義された「衛生用紙」を意味する。「衛生用紙」には,タオル,生理用紙,ティシュペーパー,トイレットペーパー,ちり紙が含まれる。「衛生用紙」は,JISで定められている他の紙類(新聞巻取紙,印刷・情報用紙,包装用紙,雑種紙)や,板紙類(段ボール原紙,紙器用板紙,建材原紙,紙管原紙,ワンプ,その他板紙)とは区別される。なお,本願明細書において,「A〜B」というときは「A以上B以下」であることを意味する。また,本願明細書において「ほぼ」とは,±5%の差を許容することを意味する。
本発明は,ティシュペーパーやトイレットペーパーとして利用される家庭用の衛生用紙の製造方法に関する。特に,本発明によって製造される衛生用紙は,坪量が10〜25g/m2の範囲にある薄葉紙であることが好ましい。また,本発明の衛生用紙は,2枚又は3枚以上を重ね合わせて,2プライ又は3プライ以上の製品とすることもできる。
衛生用紙の製造方法は,原料パルプ繊維の懸濁液である抄紙原料(パルプスラリー)を得る調製工程,抄紙原料から原料パルプ繊維を抄いて繊維ウェブを形成し乾燥させる抄紙工程(図1),及び抄紙後のウェブを複数枚重ね合わせたりミシン目を形成するなどの加工を行う加工工程(図2)を含む。
調整工程では,衛生用紙の原料となる抄紙原料(パルプスラリー)を調整する。抄紙原料は,パルプを主原料としている。原料パルプとしては,例えば,広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)や針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP); サルファイトパルプ(SP)やソーダパルプ(AP)等の化学パルプ; セミケミカルパルプ(SCP)やケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ; 砕木パルプ(GP)やサーモメカニカルパルプ(TMP,BCTMP)等の機械パルプ; あるいは,楮,三椏,麻,ケナフ等を原料とする非木材パルプ,コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ,古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。抄紙原料は,薄葉紙の用途や要求される性能に応じて,1種類の原料パルプを使用してもよく,又は複数種類の原料パルプを任意の比率で使用してもよい。原料パルプは,未叩解パルプであってもよく,全体または一部が叩解されていてもよい。
調整工程で調整された抄紙原料は,抄紙工程において抄紙され衛生用紙となる。抄紙工程は,抄紙機100を利用して行うことができる。図1に示されるように,抄紙機1000は,ワイヤパート110,プレスパート120,ドライパート130,カレンダパート140,及びリールパート150を含む。
ワイヤパート110は,パルプスラリーに含まれる水分を搾水し,薄層状の湿紙を形成する部分である。ワイヤパート110は,抄き網を環状の無限軌道ベルトに構成した一対の上下2枚のワイヤ111と,パルプスラリーを2枚のワイヤ111の間に噴き付けるヘッドボックス112とを備える。ヘッドボックス112は,ワイヤ111のニップ部に向かってパルプスラリーを薄く噴き付ける。パルプスラリーに含まれる水分は,フォーミングロール113からの圧力で相互に圧着される2枚のワイヤ111の網目から搾水される。ワイヤ111は,駆動ロールとして機能するフォーミングロール113とドライブロール14によって走行させる。フォーミングロール113及びドライブロール114はワイヤ111と当接するように配置されており,フォーミングロール113及びドライブロール114の回転力がワイヤ111に伝達されることでワイヤ111に推進力が付与されている。
プレスパート120は,ワイヤパート110で形成された薄層状の湿紙の水分を更に除去する部分である。プレスパート120は,フェルトを環状の無限軌道ベルトに構成したドライヤフェルト121と,このドライヤフェルト121に当接してドライヤフェルトの走行とともに回転する、複数のフェルトロール122とを備える。プレスパート120においては,ワイヤパート110ら送り込まれた湿紙をドライヤフェルト121の表面に載置し,繊維状のドライヤフェルト121を透過させて湿紙に含まれる水分を更に除去する。
ドライパート130は,プレスパート120で水分の除去された湿紙を更に乾燥する部分である。ドライパート130は,加熱可能な円柱状のヤンキードライヤ131と,熱風の噴射口を有するフード132とを備える。ドライパート130においては,内部に蒸気を吹き込み加熱状態としたヤンキードライヤ131の外周面に湿紙を圧着させ,更にフード132内部に設置された噴射口からヤンキードライヤ131の外周側に熱風を噴き付けることによって湿紙を乾燥させる。また,ヤンキードライヤシリンダ131の表面に形成された乾燥した原紙をドクターブレード133によりクレープを付けながら引き剥がす。原紙のクレープ率は,例えば15〜45%又は20〜38%とすることが好ましい。なお,なお,クレープ率とは,[(ヤンキードライヤの周速)−(リールドラムの周速))/(ヤンキードライヤの周速)]×100(%)で算出される値である。なお,家庭用の衛生用紙はこのようなクレープが形成されていることが特徴の一つであるが,このクレープは製造過程において紙粉を発生させる原因の一つになる。
カレンダパート140は,ドライパート130で乾燥させた原紙に対してカレンダー加工を施す部分である。カレンダパート140は,カレンダロール141と受けロール142を備える。カレンダパート140においては,原紙をカレンダロール141と受けロール142の間に挟みこんで押圧することで,原紙表面の平滑化,組織の緻密化,紙厚の均一化,及び光沢の付与等を行う。カレンダロール141や受けロール142の種類は特に限定されないが,例えば金属製のものを好適に用いることができる。
リールパート150は,カレンダー加工を施した原紙を巻き取る部分である。リールパート150は,リールドラム151を備える。リールパート150においては,リールドラム151に巻芯152を固定した上で,原紙を巻芯152に巻き付け,リールドラム151を回転させることで原紙を巻芯152に巻き取る。これにより,原紙がロール状に巻取られた原反ロールを得ることができる。
本実施形態では,抄紙機100のカレンダパート140とリールパート150の間に,欠陥検査装置300が備え付けられている。欠陥検査装置300は,衛生用紙の原紙の片面側に紙面と対面するように設置された撮影装置(カメラ)310と,この撮影装置310と有線又は無線で接続された画像解析装置320を備える。抄紙機100は,カレンダパート140からリールパート150の間,特に撮影装置310と原紙が対面している部分において,この原紙を一定速度で一定方向に向かって搬送している。このため,撮影装置310は,一定速度で一定方向に向かって移動する原紙の紙面を撮影する。撮影装置310によって取得された衛生用紙の撮影画像は,画像解析装置320に入力され,この画像解析装置320において衛生用紙の紙面上に欠陥が生じているかどうかの解析が実行される。画像解析装置320における欠陥検出処理についての詳細については,後述する。
上記した抄紙機100により得られた衛生用紙の原紙は,加工機200において加工されて製品となる。抄紙工程は,抄紙機100を利用して行うことができる。図2に示されるように,加工機200は,2層の原紙を重ね合わせて積層シートを形成した後に,この積層シートにエンボスとミシン目を形成する。また,加工機200では,ミシン目加工の後に積層シートの欠陥検査を行うこととしている。
具体的に説明すると,図2左側の装置上流から右側の装置下流に向かってシート部材が搬送される。装置上流には,第1の原反ロール211と第2の原反ロール212が位置している。第1の原反ロール211には長尺の第1の原紙S1が巻回されており,第2の原反ロール212には長尺の第2の原紙S2が巻回されている。第1の原反ロール211及び第2の原反ロール212からそれぞれ第1の原紙S1及び第2の原紙S2が繰り出されると,各原紙S1,S2は駆動回転する搬送ローラや従動回転するガイドローラを介して装置下流側へと搬送され,第1の重ね合せ部220(重ね合せローラ221)において,互いに重ね合わされる。ここで,第1の原紙S1及び第2の原紙S2が重ね合わされた複数層のシートを積層シートと称する。積層シートは,装置下流側へと搬送される。
第1の重ね合せ部220の下流は,エンボス加工部230が位置している。図2に示された例では,積層シートはエンボス加工部230において第1の原紙S1と第2の原紙S2とに再度分離されて,シートごとにエンボス加工が施される。エンボス加工部230は,例えば各シートの搬送経路を挟んで対向する位置にエンボスローラ231,232と受けローラ233,234とを備える。第1の原紙S1は,第1のエンボスローラ231と第1の受けローラ233の間に導入され,第2の原紙S2は,第2のエンボスローラ232と第2の受けローラ234の間に導入される。各エンボスローラ231,232,は,各原紙S1,S2に対して付与するエンボスのパターンに応じた複数の凸部を有する。他方,各受けローラ233,234は,例えばエンボスローラ231,232の凸部のパターンと相補的な凹パターンが外周面に形成された金属製のローラや,ローラの外周面がゴムで被覆されたラバー製のローラを用いることができる。エンボス加工部230においては,エンボスローラ231,232と受けローラ233,234との間に原紙S1,S2を導入し,これらを挟みこんで押圧することにより,エンボスローラ231,232の凸部に応じたパターンのエンボスを,各原紙S1,S2の紙面に付与する。
エンボス加工部230の下流側には,第2の重ね合わせ部240(重ね合せローラ241)が位置している。第2の重ね合わせ部240では,エンボス加工部230においてそれぞれ別々にエンボス加工が施された第1の原紙S1と第2の原紙S2を互いに重ね合わせる。これにより,各層にエンボスが施された2層構造の積層シートが得られる。また,例えばキッチンペーパーを製造する場合など,エンボス加工後に各層の間に粘着剤を塗布して2層を接着することとしてもよい。
第2の重ね合わせ部240の下流側には,ミシン目加工部250が位置している。ミシン目加工部250では,積層シートに対し,幅方向(搬送方向と平面的に直交する方向)に延びるミシン目を,搬送方向に向かって一定間隔で形成する。ミシン目を形成することで,積層シートを所定の長さごとに切り離しやすくなる。ミシン目加工部250は,例えば固定刃251と回転刃252とを備える。固定刃251の周面には,そのローラの軸方向に沿って複数の刃がミシン目パターンにて間欠的に設けられており,回転刃252との間で積層シートを挟み込むことで,その刃によって積層シートにミシン目が形成される。ミシン目が必要なシート製品としては,トイレットペーパーやキッチンペーパーが挙げられる。
ミシン目加工部250の下流側には,ログ形成部260が位置している。ログ形成部260では,ミシン目加工後,巻取りローラによって所定の長さとなるまで積層シートを巻き取り,ログを形成する。積層シートのログは,その後に切断部(図示省略)へと搬出され,ログソー等によって所定幅に切断されて,個々のシート製品となる。このような工程では,トイレットロールやキッチンロールといったロール状のシート製品を製造することができる。ただし,本発明はティッシュペーパー等のシート製品にも適用することが可能である。
本実施形態では,ミシン目加工部250とログ形成部260の間に欠陥検査装置300の撮影装置310が備え付けられている。欠陥検査装置300は,上述したものと同様に,撮影装置310と画像解析装置320を備える。この欠陥検査装置300は,ミシン目が形成された積層シートを検査対象として,その紙面上における欠陥の有無を検査する。図2に示した例のように,各シートに対してミシン目加工を施す場合には,このミシン目加工の際にシートに欠陥が生じやすいためミシン目加工部250の直後に少なくとも1箇所,欠陥検査装置300を設けることが好ましい。加工機200は,ミシン目加工部250とログ形成部260の間,特に撮影装置310と積層シートが対面している部分において,この積層シートを一定速度で一定方向に向かって搬送している。このため,撮影装置310は,一定速度で一定方向に向かって移動する積層シートの紙面を撮影する。撮影装置310によって取得された撮影画像は,画像解析装置320に入力され,この画像解析装置320において衛生用紙の紙面上に欠陥が生じているかどうかの解析が実行される。
続いて,欠陥検査装置300の構成について具体的に説明する。欠陥検査装置300は,基本的に,カメラによって衛生用紙(その原紙や積層シート)を撮影し,その撮影画像を解析することで衛生用紙に生じた欠陥の有無を検査する。検査対象とする欠陥の種類は特に制限されないが,例えば衛生用紙に生じた穴や破れ,スジ,ムラ,あるいは衛生用紙の表面に付着した汚れや異物などを検査対象とすることができる。
図3は,欠陥検査装置300の機能ブロックを示している。図3に示されるように,欠陥検査装置300は,基本的に撮影装置310と画像解析装置320とを備える。撮影装置310と画像解析装置320は有線又は無線によって接続されている。
撮影装置310は,静止画又は動画の画像データを取得するためのカメラである。撮影装置310によって取得された画像データは,画像解析装置320へと送信され欠陥検出のための所定の画像解析が行われる。カメラは,例えば,レンズ,メカシャッター,シャッタードライバ,CCDイメージセンサユニットやCMOSイメージセンサユニットといった光電変換素子,光電変換素子から電荷量を読み出し画像データを生成するデジタルシグナルプロセッサ(DSP),ICメモリなどで実現される。なお,カメラは,静止画を撮影するものであってもよいし,所定のフレームレートの動画を撮影するものであってもよい。
また,欠陥検査装置300は,衛生用紙の撮影対象範囲を照明する照明装置(不図示)を備えていてもよい。照明装置は,撮影装置に隣接して配置されていてもよいし,衛生用紙を挟んで撮影装置と反対側に配置されていてもよい。すなわち,撮影装置が配置されている方の面を衛生用紙の表側とした場合に,照明装置は表側に配置してもよいし,裏側に配置してもよい。照明装置を表側に配置する場合,衛生用紙の表面において反射した光が撮影装置に入射する。他方で,照明装置を裏側に配置する場合,衛生用紙を透過した光が撮影装置に入射する。照明装置は,白色光を衛生用紙に照射するものであることが好ましい。照明装置の例としては,蛍光灯,LED(発光ダイオード),OLED(有機発光ダイオード),ランプ,アーク灯,白熱電球などが挙げられる。
画像解析装置320としては,一般的なコンピュータを用いればよい。画像解析装置320は,撮影装置用のインターフェースを備えており,撮影装置310が取得した画像データが入力される。画像解析装置320は,制御演算部321,記憶部(データベース)327,表示部328,及び操作部329といったハードウェアを備える。制御演算部321は,他の要素327,328,329を制御するとともに,記憶部327に記憶されている欠陥検査用のコンピュータプログラムに従って,撮影装置310から取得した画像データの画像解析処理を行う。制御演算部321は,CPU又はGPUといったプロセッサにより実現できる。記憶部327は,HDD又はSDDといった不揮発性メモリや,RAM又はDRAMといった揮発性メモリにより実現できる。表示部328は,液晶ディスプレイや有機ELディスプレイのような表示装置である。表示部328には,撮影装置310から取得した画像データを表示することもできる。操作部329は,マウス,キーボード,タッチパネル,マイクなどの入力装置により構成され,人による操作情報を受け付ける。なお,表示部328と操作部329は一体となってタッチパネルディスプレイを構成していてもよい。
画像解析装置320の制御演算部321は,基本的に,衛生用紙の画像データの画素又は画素群ごとに濃度を測定し,正常な濃度範囲よりも暗い部分又は明るい部分があったときに,その画像データの衛生用紙に欠陥があると判断する。例えば,衛生用紙に異物が付着している場合,その異物部分については濃度が暗く表れる。例えば,衛生用紙の一方面側から撮影し他方面側から照明する透過式の検査方法において,撮影装置310に対して衛生用紙の裏側に付着した異物は,この衛生用紙を通して撮影装置310により撮影されることとなるが,その場合その異物は撮影画像中に薄暗く表れる。また,透過式の検査方法において,一枚の衛生用紙を検査する場合に,その衛生用紙に穴が開いているとき,画像データではその穴部分については濃度が明るく表れる。また,衛生用紙が複数層積層されている場合において,その積層シートの撮影画像を解析することもできる。例えば,透過式の検査方法において,積層シートのうちの一層に形成された穴は,表側の層に穴がある場合と裏側の層に穴がある場合のいずれの場合でも,穴の部分が1層少なくなることによって明るく表れることとなる。このように,制御演算部321は画像データの濃度に異常が発生している部位を,衛生用紙(原紙あるいは積層シート)の欠陥部位であると判断する。
図3に示されるように,制御演算部321は,機能ブロックとして,欠陥検出部322,欠陥区別部323,既定部位検査部324,欠陥情報出力部325,及び欠陥情報記録部326を有する。これらの機能ブロックは,制御演算部321を構成するプロセッサの機能であり,例えば記憶部327に記憶されているソフトウェアによって実現できる。以下これらの機能ブロックについて,図4に示したフロー図を参照して詳しく説明する。
図4に示されるように,撮影装置310によって撮影された衛生用紙の画像データが画像解析装置320の制御演算部321に入力される(ステップS1)。すると,欠陥検出部322が,画像データの中から欠陥を抽出する処理を行う(ステップS2)。具体的には,前述したように画像データの濃度に異常が発生している部位(正常な部位よりも濃度が薄い部位及び濃い部位)を欠陥部位として抽出する。
その後,欠陥検出部322は,ステップS2で抽出した欠陥部位が衛生用紙の紙面上の欠陥であるか否かを判断する処理を行う(ステップS3)。すなわち,衛生用紙の撮影画像の中には,衛生用紙の紙面上に発生した穴や破れ,スジ,ムラ,汚れの他に,衛生用紙の周囲を浮遊する紙粉や或いはそれ以外の異物(埃や虫)などが写り込んでいる可能性がある。そこで,欠陥検出部322は,紙面上に発生した欠陥とそれ以外とを識別する処理を行う。基本的に,欠陥検出部322は,衛生用紙の搬送方向と異なる方向に向かって移動する欠陥及び衛生用紙の搬送速度と異なる速度で移動する欠陥を検出対象から除外する。
図5を参照して,欠陥検出部322での処理についてより詳しく説明する。図5(a)は,撮影装置310によるシャッタースピードが,衛生用紙を撮影装置310の1フレーム分搬送する搬送速度を上回っている場合の例を示している。すなわち,図5(a)の例では,搬送中の衛生用紙上の同じポイントを固定された撮影装置310によって複数回撮影できる程度にシャッタースピードが高速に設定されている。例えば,衛生用紙を撮影装置310の1フレーム分搬送するのに要する単位時間をtとした場合に,撮影装置310のシャッタースピードは,t/2以下,t/3以下,t/4以下,又はt/5以下であることが好ましく,例えばt/2〜t/50,t/3〜t/30,t/5〜t/20とすればよい。
欠陥検出部322は,撮影装置310から取得した画像データの前後のフレームを比較して,衛生用紙の搬送方向と異なる方向に向かって移動する欠陥,及び衛生用紙の搬送速度と異なる速度で移動する欠陥を検出対象から除外する。言い換えると,図5(a)に示した例では,欠陥検出部322は,衛生用紙の搬送方向と同じ方向に向かって移動し,かつ,衛生用紙の搬送速度と同じ速度で移動する欠陥のみを検出対象とする。なお,欠陥検出部322において比較するフレームは,必ずしもあるフレームとその直後のフレームである必要はなく,あるフレームと所定間隔後のフレームとを比較することとしてもよい。
図5(a)に示した例において,例えば第1フレームの画像データからP1〜P4の4つの欠陥が抽出される。また,第1フレームの後に第2フレームの画像が存在する。このため,ある特定の欠陥が第1フレームに写った位置と第2フレームに写った位置とを比較することで,その欠陥の移動速度と移動方向を求めることができる。欠陥検出部322は,この第1フレームと第2フレームを比較して欠陥を検出するか否かを判断する。なお,図5に示した例では,衛生用紙の搬送方向をXとし,これに平面的に直交する衛生用紙の幅方向をYとしている。
例えば,欠陥P1は,第1フレームと第2フレームを比較すると,移動速度V1で移動していることが判る。この移動速度V1は,衛生用紙の搬送速度Vとほぼ等しい。たとえば,移動速度V1が搬送速度Vの±5%の範囲内であれば,移動速度V1と搬送速度Vは同じであると判断することができる。また,第1フレームにおける欠陥P1の座標と第2フレームにおける欠陥P1の座標とを比較すると,搬送方向の座標(X座標)は異なるものの幅方向の座標(Y座標)はほぼ等しい。例えば,第1フレームと第2フレームにおける欠陥P1のY座標の差が衛生用紙の全幅の±5%の範囲内であれば,前後のフレームにおける欠陥P1のY座標は同じであると判断することができる。このような場合,欠陥P1は,衛生用紙の搬送方向と同じ方向に,かつ,衛生用紙の搬送速度と同じ速度で移動していると判断できる。つまり,欠陥P1は,衛生用紙の紙面上に形成された欠陥であると推測できる。このような場合に,欠陥検出部322は,欠陥P1を欠陥として検出する(ステップS4)。
他方で,第1フレームと第2フレームを比較すると,欠陥P2は,衛生用紙の搬送方向と同じ方向に移動しているものの,その移動速度V2が衛生用紙の搬送速度Vよりも遅いことがわかる。また,欠陥P3は,衛生用紙の搬送方向と反対の方向に移動していることがわかる。さらに,欠陥P4は,衛生用紙の搬送速度とほぼ同じ速度で移動しているものの,その移動方向が衛生用紙の搬送方向と異なっていることがわかる。このように欠陥P2〜P4は,衛生用紙の搬送方向と異なる方向に向かって移動する欠陥であるか,あるいは衛生用紙の搬送速度と異なる速度で移動する欠陥であるといえる。従って,欠陥検出部322は,欠陥P2〜P4を非検出とする(ステップS5)。
図5(b)は,撮影装置310によるシャッタースピードが,衛生用紙を撮影装置310の1フレーム分搬送する搬送速度と等しい場合の例を示している。すなわち,図5(b)の例では,搬送中の衛生用紙上の同じポイントを固定された撮影装置310によって一度しか撮影できない程度にシャッタースピードが低速に設定されている。この例では,衛生用紙を撮影装置310の1フレーム分搬送するのに要する単位時間をtとした場合に,撮影装置310のシャッタースピードはtとなる。なお,衛生用紙上に撮影されない領域を生じさせないために,シャッタースピードが低速に設定に設定されている場合であっても,そのシャッタースピードは少なくともt/2〜tとすることが良い。
一般的に衛生用紙の周囲を浮遊する紙粉などの浮遊物は,その移動速度が衛生用紙の搬送速度よりも遅い。そこで,図5(b)に示したように低速のシャッタースピードで衛生用紙の紙面を撮影する場合には,第1フレームと第2フレームとを比較して,両フレームに写っている欠陥を紙粉等の浮遊物であると推定し,それらを非検出にする。他方で,第1フレームと第2フレームとを比較して,第1フレーム(前のフレーム)にのみ写っている欠陥を衛生用紙上の欠陥であると推定してこれを検出対象とする。
例えば,欠陥P5は,第1フレームにのみ写り込み第2フレームには写り込まない。この実施形態の場合,欠陥P5の移動速度や移動方向を求めることはできないが,欠陥P5を衛生用紙上に形成された欠陥であると推定して,これを検出対象とする(ステップS4)。また,欠陥P6も同様に第1フレームにのみ写り込み第2フレームには写り込まない。欠陥P6は,実際には衛生用紙の搬送方向と異なる方向に移動しているため衛生用紙上の欠陥ではないが,この実施形態ではこの欠陥P6も検出対象とする。このように,図5(b)の実施形態はエラーが発生する場合があるため,欠陥の検出精度は図5(a)の実施形態の方が優れているといえる。ただし,図5(b)の実施形態はフレームレートを低く抑えることができ,またPCにおける解析処理の負荷が軽減されるため,低スペックのPCでも処理できるというメリットがある。
他方で,欠陥P7及び欠陥P8は,第1フレームと第2フレームの両方に写り込んでいる。このため,少なくともこれらの欠陥P7,P8の移動速度は,衛生用紙の搬送速度Vよりも低速であることが判る。従って,欠陥検出部322は,欠陥P7,P8を非検出とする(ステップS5)。
続いて,欠陥区別部323は,欠陥検出部322が検出した欠陥を所定の基準に基づいて区別する処理を行う。図4に示したフロー図の例において,欠陥区別部323は,検出された欠陥が周期的な欠陥であるか否かを判断し(ステップS6),周期的な欠陥については既知の周期性を持つ欠陥であるか否かを判断し(ステップS10),周期的かつ既知の欠陥についてはそれが報知対象か否か(ステップS15)及びそれがさらに詳しい検査対象とされているか否かを判断する(ステップS17)。このようにして,欠陥区別部323は,欠陥検出部322が検出した欠陥を区別する。
図6は,欠陥区別部323における欠陥が周期的なものか否かを判断する処理(ステップS6)の一例を示している。例えば,トイレットペーパーなどの衛生用紙には,搬送方向に沿った一定間隔で,幅方向全幅に延びるミシン目が形成されることが一般的である。そこで,欠陥区別部323は,このようなミシン目等の周期欠陥とそれ以外とを区別する。図6(a)に示した例において,欠陥P1,P2,P3,P4は,衛生用紙の幅方向における座標(Y座標)がほぼ等しい。また,欠陥P1から欠陥P2,欠陥P2から欠陥P3,及び欠陥P3から欠陥P4の搬送方向の間隔はそれぞれD1であり,各欠陥P1〜P4の搬送方向の間隔がほぼ等しくなっている。このような一群の欠陥を,欠陥区別部323は周期的な欠陥(周期欠陥)であると認定する(ステップS7)。欠陥P1〜P4のような一群の欠陥は,衛生用紙上に意図的に形成されたミシン目である可能性が高い。
他方で,図6(a)に示した例において,欠陥P5,P6,P7は,衛生用紙の幅方向における座標(Y座標)がほぼ等しいものの,搬送方向の間隔はそれぞれ異なっている(つまり,欠陥P5から欠陥P6の間隔はD2であり,欠陥P6から欠陥P7の間隔はD3である)。このような場合に,欠陥区別部323は,これらの欠陥P5〜P7を非周期的な欠陥(非周期欠陥)であると認定する(ステップS8)。欠陥区別部323において非周期欠陥が発見された場合,欠陥情報出力部325は,その非周期欠陥に関する情報を表示部328に出力する。例えば,非周期欠陥が存在することを警告するアラートや,非周期欠陥が写り込んだ画像,非周期欠陥の位置座標(X座標,Y座標)を表示部328の画面上に出力すればよい。衛生用紙上の非周期欠陥は,製造者の意図しないものである可能性が極めて高い。そこで,このような非周期欠陥が発見された場合には,すぐに警告を表示することが好ましい。
なお,図6(b)は,衛生用紙上のミシン目を識別する別の方法を示している。ミシン目が衛生用紙の搬送方向に沿って周期的に形成されていることが既知である場合,各ミシン目の形状的特徴を識別すれば済む。すなわち,図6(b)に示されるように,衛生用紙の全幅に亘って形成されている欠陥が存在する場合,欠陥区別部323はこのような欠陥の搬送方向の間隔を求めずに,周期的な欠陥(周期欠陥)であると認定することとしてもよい(ステップS7)。また,図6(d)に示されるように,ミシン目の流れ方向の幅を予め記憶部327に記憶しておき,そのミシン目の幅とほぼ同サイズのもの又はミシン目の幅以下のものを周期欠陥(すなわちミシン目)であると認定してもよい。なお,衛生用紙は流れ方向に向かってテンションが掛けられているため,ミシン目は流れ方向に沿って目が開くこととなる。このため,ミシン目の流れ方向の幅を記憶する際には,このテンションによって目が開く分を考慮する。また,ミシン目の流れ方向の幅は極めて小さいため,ミシン目として認定する欠陥の幅とそれ以上の幅を持つ欠陥との間で閾値を定めておけば,ミシン目とそれ以外の欠陥とを容易に区別することができる。
次に,欠陥区別部323は,周期欠陥の周期性が既知のものであるか否かを判断する(ステップS10)。図6(a)で例示したように,欠陥区別部323は,周期的に出現する欠陥について搬送方向の間隔を測定する。また,記憶部327には,欠陥の周期性(間隔)に関する情報に関連付けて,欠陥の種類に関する情報が記憶されている。欠陥の種類に関する情報としては,その欠陥を形成した設備に関する情報であってもよいし,その欠陥の形状的特徴であってもよい。例えば,図6(a)に示した例を参照すると,記憶部327には,欠陥P1〜P4の周期性D1と関連付けて,その欠陥がミシン目であることの情報や,そのミシン目を形成した設備に関する情報,あるいはそのミシン目の形状的特徴に関する情報などが記憶されている。このため,欠陥区別部323は,欠陥の周期性に基づいて記憶部327を参照すれば,その周期性を持つ欠陥の種類を特定できる(ステップS11)。
他方で,欠陥の周期性に関する情報が記憶部327に記憶されていない場合,欠陥区別部323は,その周期欠陥を不知のものであると判断する(ステップS12)。このように,欠陥区別部323において不知の周期欠陥が発見された場合,欠陥情報出力部325は,その不知の周期欠陥に関する情報を表示部328に出力する。例えば,不知の周期欠陥が存在することを警告するアラートや,不知の周期欠陥が写り込んだ画像,不知の周期欠陥の位置座標(X座標,Y座標),不知の周期欠陥の周期性に関する情報を表示部328の画面上に出力すればよい。衛生用紙上の不知の周期欠陥は,製造者の意図しないものである可能性がある。ただし,不知の周期欠陥は,製造者が意図したものであるにも関わらず記憶部327にまだそれに関する欠陥情報(メタデータ)が記憶されていないという場合もある。また,不知の周期欠陥が製造者の意図したものでない場合であっても,一度の報知で十分であり,報知を継続することを望まない場合もある。そこで,不知の周期欠陥については,作業者に対して,その欠陥情報を入力することを促すこととしてもよい(ステップS13)。例えば,作業者は,操作部329を介して,その周期欠陥が報知対象となる欠陥であるか否か(報知対象から除外するか否か)や,その周期欠陥を形成する設備に関する情報などメタデータを入力することができる。これにより,不知の周期欠陥が製造者の意図したものである場合,その欠陥を手動で報知対象から除外することができる。また,このような不知の周期欠陥は,製造設備の異常が原因となり発生するものであるが,このような製造設備の異常は容易には改善することができない。このため不知の周期欠陥が発見された場合であっても,この欠陥を後工程で除去するなどの対応を取ることを前提として,衛生用紙の製造を継続することもある。そのような場合に,不知の周期欠陥について報知(警告)を継続することとすると,他の欠陥を作業員が見逃しやすくなる。そこで,上記のように,不知の周期欠陥のうち,作業員が指定したものを報知対象から除外できるようにすることが好ましい。
不知の周期欠陥を報知対象から除外する方法の例について説明する。まず,第1の例としては,検出した周期欠点を作業者がワンクリックで選択して,その周期欠陥を報知対象から除外できるようにすることが考えられる。具体的には,画像解析装置320により,撮影画像中の一連の周期欠点を目立つように表示させ,その強調表示された周期欠陥を作業者が操作部329を通じて指定(クリック)することで,その一連の周期欠陥を報知対象から除外することを記憶部327に記録することとしてもよい。また,第2の例として,作業者によって選択された周期欠陥の幅方向の位置を把握し,その周辺の一定幅の領域に存在する欠点を全て報知対象から除外することが考えられる。また,第3の例として,作業者によって選択された周期欠陥の流れ方向及び幅方向の位置を把握し,その周辺の一定領域を非検査領域に指定して,その非検査領域に存在する欠陥を無視することが考えられる。このように,不知の周期欠陥については,それを報知対象とするかどうかを含めて,作業者にその欠陥に関する情報を入力する機会を与えることが好ましい。その後,欠陥情報記録部326は,操作部329を介して入力された不知の周期欠陥に関する各種情報を記憶部327に記録する(ステップS14)。
次に,欠陥区別部323は,ステップS11で種類を特定した周期欠陥が報知の対象であるか否かを判断する(ステップS15)。具体的に説明すると,周期欠陥の周期性(欠陥の間隔)が判れば,その周期欠陥を形成する原因となった製造設備を特定できる。例えば,前述したように周期欠陥の周期性からそれがミシン目であることを特定できる。また,周期欠陥の周期性が衛生用紙を搬送するある特定の搬送ローラの回転周期に対応している場合,例えばその周期欠陥はその搬送ローラを通過する際に付着した煤汚れであることなどを推定できる。このように,周期欠陥の周期性とそれに関連する製造設備の情報が記憶部327に記憶されている。また,記憶部327には,周期欠陥の種類ごとにその周期欠陥が報知対象であるか否かの情報(フラグ)が記憶されている。例えば,前述したように,周期欠陥が衛生用紙上のミシン目であれば,これは意図的に形成されたものであるため報知対象とされない。他方で,周期欠陥が特定の搬送ローラの煤汚れであると推定される場合には,これは意図的に形成されたものではないため報知対象に指定されている。そこで,欠陥区別部323は,記憶部327に記憶されている情報を参照して,周期欠陥の種類に応じて,その周期欠陥が報知対象であるか否かを判断する。欠陥区別部323により周期欠陥が報知対象であると判断された場合,欠陥情報出力部325は,その周期欠陥に関する情報を表示部328に出力する(ステップS16)。例えば,報知対象となった周期欠陥が存在することを警告するアラートや,その周期欠陥が写り込んだ画像,その周期欠陥の位置座標(X座標,Y座標),その周期欠陥の原因となった設備に関する情報などを表示部328の画面上に出力すればよい。
次に,欠陥区別部323は,ステップS15で報知対象ではないと判断した周期欠陥が詳細な検査の対象であるか否かを判断する(ステップS17)。記憶部327には,周期欠陥の種類ごとにその周期欠陥が検査対象であるか否かの情報(フラグ)が記憶されている。例えば,衛生用紙に形成されたミシン目は検査の対象とされる。なお,衛生用紙上の全てのミシン目を検査対象としてもよいし,一定の間隔でミシン目を検査対象としその他のミシン目を検査対象外とすることとしてもよい。検査の対象外とされた周期欠陥については特に問題はないため,欠陥区別部323は正常な欠陥であると判断する(ステップS18)。正常な欠陥に関する情報については,特に表示部328に出力する必要はない。
欠陥区別部323により検査対象であると判断された周期欠陥については,既定部位検査部324が撮影画像に基づいて検査を行う(ステップS19)。この検査では,基本的に,周期欠陥が既定の位置に又は既定の周期で衛生用紙上に存在しているか否かの確認が行われる。そして,既定部位検査部324は,周期欠陥に何らかの異常があるか否かを判断する(ステップS20)。周期欠陥に異常がなければその周期欠陥は正常なものであると判断され(ステップS21),異常が発見された周期欠陥についてはその旨が報知される(ステップS22)。
図7は,既定部位検査部324が行う欠陥検査の一例を示している。特に,図7では,ミシン目が検査の対象とされている場合を例として示している。図7(a)に示されるように,正常なミシン目は,搬送方向(X方向)に沿って一定の周期(間隔D)で形成される。他方で,図7(a)に示した例では,ミシン目の一部が欠落しており,その欠落部位では周期性が失われている。具体的には,ミシン目の欠落部位では,搬送方向における欠陥の間隔が2D以上となっている。既定部位検査部324がこのような周期性の欠落箇所を発見した場合,欠陥情報出力部325はその周期欠陥に生じた異常に関する情報を表示部328に出力する。例えば,周期欠陥に異常が存在することを警告するアラートや,その周期欠陥の異常箇所が写り込んだ画像,その周期欠陥の異常箇所の位置座標(X座標,Y座標),その周期欠陥の原因となった設備に関する情報標などを表示部328の画面上に出力すればよい。
また,既定部位検査部324は,図7(b)に示されるように,ミシン目が衛生用紙の全幅に延在しているか否かを検査することとしてもよい。そして,既定部位検査部324が衛生用紙の全幅に満たない衛生用紙を発見した場合に,欠陥情報出力部325はその周期欠陥に生じた異常に関する情報を表示部328に出力する。
また,既定部位検査部324は,図7(c)に示されるように,ミシン目を構成する穴の形状やサイズを測定し,その穴に異常があるか否かを検査することもできる。例えば,既定部位検査部324は,ミシン目を構成する穴のそれぞれについて衛生用紙の搬送方向のサイズを測定し,その測定値が既定のサイズを超える場合(又は既定のサイズに満たない場合)には,ミシン目の穴に異常があると判断する。そして,既定部位検査部324が既定のサイズを超えるミシン目穴(又は既定のサイズに満たないミシン目穴)を発見した場合に,欠陥情報出力部325はその周期欠陥に生じた異常に関する情報を表示部328に出力する。
なお,既定部位検査部324が欠陥検査の基準とする情報は,すべて記憶部324に記憶されている。既定部位検査部324は,記憶部324に記憶されている基準情報を参照しながら,周期欠陥の検査を行う。また,欠陥検査の態様は,図7に示したものに限られず,周期欠陥の種類に応じて適宜定めることができる。
また,図示は省略するが,欠陥区別部323は,欠陥が周期的なものであるかを判断する工程(ステップS6)の代わりに,衛生用紙に発生している欠陥の特徴に基づいて,その欠陥が報知対象であるか否かや,その欠陥が検査対象であるか否かを判断することとしてもよい。欠陥の特徴とは,欠陥の形状的特徴や色調的特徴である。例えば,欠陥区別部323は,撮影画像に写り込んだ欠陥の形状を解析して,その形状に応じて欠陥の種類を特定し,その欠陥が報知対象であるか,あるいは検査対象であるかを判別できる。また,欠陥区別部323は,撮影画像に写り込んだ欠陥の色調(濃淡や色彩)を解析して,その形状に応じて欠陥の種類を特定し,その欠陥が報知対象であるか,あるいは検査対象であるかを判別することもできる。なお,欠陥の形状的特徴や色調的特徴に関する情報は,その欠陥が報知対象や検査対象となるかを指定するフラグとともに記憶部327に記憶されている。このため,欠陥区別部323は,この記憶部327に記憶された情報に基づいて,欠陥を区別することができる。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。