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JP6825249B2 - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、重合体及び化合物 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、重合体及び化合物 Download PDF

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JP6825249B2 JP2016133773A JP2016133773A JP6825249B2 JP 6825249 B2 JP6825249 B2 JP 6825249B2 JP 2016133773 A JP2016133773 A JP 2016133773A JP 2016133773 A JP2016133773 A JP 2016133773A JP 6825249 B2 JP6825249 B2 JP 6825249B2
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Description

本発明は、感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、重合体及び化合物に関する。
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイス構造の微細化に伴って、リソグラフィー工程におけるレジストパターンのさらなる微細化が要求されており、そのため、種々の感放射線性樹脂組成物が検討されている。このような感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線、極端紫外線(EUV)、電子線などの露光光の照射により、露光部に酸を生成させ、この酸の触媒作用により露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる。
かかる感放射線性樹脂組成物には、単に解像性等に優れるだけでなく、ラインアンドスペースパターン形成等におけるLWR(Line Width Roughness)性能及びびレジストパターンの断面形状の矩形性に優れ、また、ホールパターン形成等におけるCDU(Critical Dimension Uniformity)性能に優れると共に、焦点深度及びMEEF(Mask Error Enhancement Factor)性能にも優れ、高精度なパターンを高い歩留まりで得られることが求められる。この要求に対しては、感放射線性樹脂組成物に含有される重合体の構造が種々検討されており、ブチロラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造を有することで、レジストパターンの基板への密着性を高めると共に、これらの性能を向上できることが知られている(特開平11−212265号公報、特開2003−5375号公報及び特開2008−83370号公報参照)。
しかし、レジストパターンの微細化が線幅45nm以下のレベルまで進展している現在にあっては、上記性能の要求レベルはさらに高まり、上記従来の感放射線性樹脂組成物では、これらの要求を満足させることはできていない。また、最近では、露光後加熱(Post Exposure Bake(PEB))の際のレジスト膜の収縮が小さいことが要求され、その結果、上述のレジスト諸性能がより向上することが求められている。
特開平11−212265号公報 特開2003−5375号公報 特開2008−83370号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、LWR性能、CDU性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、MEEF性能及び膜収縮抑制性に優れる感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、重合体及び化合物を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、下記式(1)で表される基(以下、「基(I)」ともいう)を含む第1構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する第1重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)と、感放射線性酸発生体(以下、「[B]酸発生体」ともいう)と、溶媒(以下、「[C]溶媒」ともいう)とを含有する感放射線性樹脂組成物である。
Figure 0006825249
(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を表してもよい。*は、上記構造単位(I)における上記基(I)以外の部分との結合部位を示す。)
上記課題を解決するためになされた別の発明は、基板の一方の面に、当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程と、上記塗工工程により得られるレジスト膜を露光する工程と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程とを備えるレジストパターン形成方法である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、上記基(I)を含む構造単位を有する重合体である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、下記式(i)で表される化合物(以下、「化合物(i)」ともいう)である。
Figure 0006825249
(式(i)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を表してもよい。R10は、重合性炭素−炭素二重結合を含む1価の基である。
ここで、「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。また、「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。この「炭化水素基」は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の両方を含む。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。但し、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいう。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。「環員数」とは、脂環構造、芳香環構造、脂肪族複素環構造及び芳香族複素環構造の環を構成する原子数をいい、多環の場合は、この多環を構成する原子数をいう。
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、優れた焦点深度、MEEF性能及び膜収縮抑制性を発揮しつつ、LWR及びCDUが小さく、解像度が高く、断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。本発明の重合体は、当該感放射線性樹脂組成物の重合体成分として好適に用いることができる。本発明の化合物は、当該重合体の単量体として好適に用いることができる。従って、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用に好適に用いることができる。
<感放射線性樹脂組成物>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体と[B]酸発生体と[C]溶媒とを含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[D]酸拡散制御体及び/又は[E][A]重合体よりもフッ素原子の質量含有率が大きい重合体(以下、「[D]重合体」ともいう)を含有してもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について説明する。
<[A]重合体>
[A]重合体は、構造単位(I)を有する重合体である。当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体が構造単位(I)を有することで、LWR性能、CDU性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、MEEF性能及び膜収縮抑制性(以下、「LWR性能等」ともいう)に優れる。当該感放射線性樹脂組成物が上記構成を有することで、上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、[A]重合体の構造単位(I)は、酸の作用により分解してヒドロキシ基を生じるアセタール構造を2つ有している。この構造単位(I)は、酸の作用により分解し易く、かつヒドロキシ基を2つ生じるため、露光部と未露光部との間のコントラストをより大きくすることができる。また、構造単位(I)は、多くの酸素原子を含み、高い極性を有しているため、[B]酸発生体から発生した酸の拡散長を適度に短くすることができる。これらの結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能、CDU性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度及びMEEF性能を向上させることができる。また、露光部の構造単位(I)において、酸の作用により2つのヒドロキシ基を生じるため、[A]重合体の重合体鎖のヒドロキシ基間の水素結合等により、PEBの際のレジスト膜の収縮を抑えることができると考えられ、当該感放射線性樹脂組成物は膜収縮抑制性に優れる。
[A]重合体は、構造単位(I)以外に、構造単位(I)以外の構造単位であって、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)及び/又はラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位(以下、「構造単位(III)」ともいう)を有することが好ましく、構造単位(I)〜(III)以外のその他の構造単位を有していてもよい。[A]重合体は、上記構造単位をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、基(I)を含む構造単位である。基(I)は、下記式(1)で表される基である。
Figure 0006825249
上記式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を表してもよい。*は、上記構造単位(I)における上記基(I)以外の部分との結合部位を示す。
〜Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)、上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
1価及び2価のヘテロ原子含有基を構成するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR’−、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。これらの中で、−O−が好ましい。
1価のヘテロ原子含有基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基(−SH)等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子が好ましい。
、R及びRとしては、酸素原子への結合部位が炭素原子である基が好ましい。R、R及びRとしては、置換又は非置換の炭素数1〜16の1価の炭化水素基及びラクトン環基が好ましく、置換又は非置換の炭素数1〜16の1価の炭化水素基がより好ましく、アルキル基、アリール基及びフッ素化アルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基及びトリフルオロエチル基がさらに好ましい。
また、R、R及びRとしては、構造単位(I)を与える単量体の合成容易性の観点から、下記式(a)で表される基が好ましい。
Figure 0006825249
上記式(a)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜15の1価の炭化水素基である。**は、上記式(1)におけるRが結合する炭素原子に隣接する酸素原子又はRが結合する炭素原子に隣接する酸素原子に結合する部位を示す。
で表される炭素数1〜15の1価の炭化水素基としては、例えば上記R〜Rとして例示した1価の炭化水素基のうち、炭素数1〜15のもの等が挙げられる。
及びRとしては、炭素数1〜20の1価の有機基が好ましく、置換又は非置換の炭素数1〜16の1価の炭化水素基がより好ましい。
Lで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば上記R〜Rの1価の有機基として例示した基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
Lとしては、2価の有機基が好ましく、2価の炭化水素基がより好ましく、アルカンジイル基がさらに好ましい。
〜R及びLの基のうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の環構造としては、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環の飽和脂環構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の飽和脂環構造;
インデン構造等の単環の芳香族炭素環構造;
フルオレン構造等の多環の芳香族炭素環構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造等の単環の脂肪族複素環構造;
オキサノルボルナン構造、オキサアダマンタン構造等の多環の脂肪族複素環構造などが挙げられる。
とRとが構成する環構造としては、例えばジオキサシクロヘキサン構造、ジオキサシクロヘプタン構造等の2つの酸素原子を含む脂肪族複素環構造などが挙げられる。
とRとが構成する環構造としては、例えばシクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造等のシクロアルカン構造等の脂環構造などが挙げられる。
とR及びR及びRが構成する環構造としては、例えばオキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造等の1つの酸素原子を含む脂肪族複素環構造などが挙げられる。
LとRとは、互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に構成される環員数5〜20の環構造を表すことが好ましい。
LとRとが構成する環構造としては、ジオキサシクロヘキサン構造、ジオキサシクロヘプタン構造等などの2つの酸素原子を含む脂肪族複素環構造などが挙げられる。
基(I)としては、例えば下記式(1−1)〜(1−12)で表される基(以下、「基(I−1)〜(I−12)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(1−1)〜(1−12)中、*は、上記式(1)と同義である。
これらの中で、基(I−1)〜(I−12)が好ましい。
構造単位(I)としては、下記式(A)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(A)中、Zは、上記基(I)である。Yは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。
Yとしては、単結合が好ましい。
及びRとしては、構造単位(I)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、メチル基及びカルボニルオキシ炭化水素基が好ましく、メチル基及び酸解離性基が結合したカルボニルオキシ基がより好ましい。
構造単位(I)としては、例えば下記式(A−1)〜(A−3)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)〜(I−3)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(A−1)、(A−2)及び(A−3)中、Z、R、R及びRは、上記式(A)と同義である。
上記式(A−2)中、Rは、炭素数1〜19の1価の有機基である。
上記式(A−3)中、Rは、炭素数1〜10の1価の有機基である。pは、0〜4の整数である。pが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
で表される炭素数1〜19の1価の有機基としては、例えば上記R〜Rで表される1価の有機基のうち、炭素数1〜19のもの等が挙げられる。Rで表される炭素数1〜10の1価の有機基としては、例えば上記R〜Rで表される1価の有機基のうち、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。
構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、5モル%がさらに好ましく、10モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましく、30モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。
構造単位(I)を与える化合物は、基(I)を含む。構造単位(I)を与える化合物としては、例えば下記式(i)で表される化合物(i)等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(i)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を表してもよい。R10は、重合性炭素−炭素二重結合を含む1価の基である。
10の1価の基における重合性炭素−炭素二重結合を含む基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基等が挙げられる。
化合物(i)としては、例えば下記式(i1)〜(i12)で表される化合物(以下、「化合物(i1)〜(i12)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(i1)〜(i9)、(i11)及び(i12)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
これらの中で、化合物(i1)〜(i12)が好ましい。
化合物(i)は、例えば上記式(i)におけるLの炭素数1〜20の2価の有機基と、Rのメチル基とが互いに合わせられ、かつR及びRがR12である化合物(i’)の場合、下記スキームに従い、簡便かつ収率よく合成することができる。
Figure 0006825249
上記スキーム中、L’は、炭素数1〜20の3価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。R10は、重合性炭素−炭素二重結合を含む1価の基である。R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。
上記式(i−a)で表される重合性炭素−炭素二重結合を有するジヒドロキシ化合物と、上記式(i−b)で表されるα−ジケト化合物と、HC(OR12で表されるオルトギ酸エステルとを、p−トルエンスルホン酸等の触媒存在下、メタノール等の溶媒中で反応させることにより、化合物(i’)を得ることができる。
得られた生成物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留等により適切に精製することにより化合物(i)を単離することができる。
化合物(i’)以外の化合物(i)についても、上記同様の方法により合成することができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、構造単位(I)以外の構造単位であって、酸解離性基を含む構造単位である。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体が構造単位(I)に加え構造単位(II)を有することで、感度がより高まり、その結果、LWR性能等をより向上させることができる。
構造単位(II)としては、例えば下記式(2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)」ともいう)、アセタール構造を含む構造単位(以下、「構造単位(II−2)」ともいう)等が挙げられる。[A]重合体は、構造単位(II−1)及び(II−2)をそれぞれ1種又は2種以上を有していてもよい。[A]重合体は、構造単位(II−1)及び構造単位(II−2)の両方を有していてもよい。以下、構造単位(II−1)及び構造単位(II−2)について説明する。
(構造単位(II−1))
構造単位(II−1)は、下記式(2)で表される構造単位である。上記式(2)における−CR151617で表される基が酸解離性基である。
Figure 0006825249
上記式(2)中、R14は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R15は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R16及びR17は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の脂環構造を表す。
14としては、構造単位(II−1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
15、R16及びR17で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば上記式(1)のR〜Rとして例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。R16及びR17の基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の脂環構造としては、例えば上記式(1)のR〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に構成される環構造のうち、脂環構造であるもの等が挙げられる。
構造単位(II−1)としては、下記式(2−1)〜(2−5)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1−1)〜(II−1−5)」ともいう)が好ましい。
Figure 0006825249
上記式(2−1)〜(2−5)中、R14〜R17は、上記式(2)と同義である。i及びjは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。
構造単位(II)及び構造単位(II−1−1)〜(II−1−5)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 0006825249
Figure 0006825249
上記式中、R14は、上記式(2)と同義である。
構造単位(II)としては、構造単位(II−1−1)が好ましく、1−アルキル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び2−アルキル−2−テトラシクロデカニル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がより好ましい。
(構造単位(II−2))
構造単位(II−2)は、アセタール構造を含む構造単位である。アセタール構造を含む基としては、例えば下記式(X)で表される基(以下、「基(X)」ともいう)等が挙げられる。基(X)は、酸の作用により分解して、*−OH、R=O及びROHを生じる。基(X)において−C(R)(R)(OR)が酸解離性基である。
Figure 0006825249
上記式(X)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。Rは、単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。R、R、R及びRのうちの2つ以上が、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を形成していてもよい。*は、構造単位(II−2)中の上記基(X)以外の部分との結合部位を示す。
、R及びRで表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば上記式(1)のR〜Rとして例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。
及びRとしては、水素原子及び鎖状炭化水素基が好ましく、水素原子及びアルキル基がより好ましく、水素原子及びメチル基がさらに好ましい。Rとしては、鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
としては、単結合又は鎖状炭化水素基が好ましく、鎖状炭化水素基がより好ましく、アルカンジイル基がさらに好ましく、メタンジイル基が特に好ましい。
、R、R及びRのうちの2つ以上が形成する環員数3〜20の環構造としては、例えば1,3−ジオキサシクロペンタン構造等の1,3−ジオキサシクロアルカン構造などが挙げられる。
基(X)としては、環状アセタール構造を含む基が好ましく、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサシクロペンタン構造を含む基がより好ましい。
構造単位(I−2)としては例えば下記式(3)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(3)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。Tは、上記基(X)である。nは、1〜3の整数である。nが2以上の場合、複数のTは同一でも異なっていてもよい。
としては、構造単位(I−2)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
で表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば置換又は非置換の炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−CO−等が挙げられる。上記炭化水素基の置換基としては、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基等が挙げられる。
としては、単結合及び−CO−が好ましく、−CO−がより好ましい。
nとしては、1及び2が好ましく、1がより好ましい。
構造単位(I−2)としては、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサシクロペンタン−5−イル基を含む構造単位が好ましい。
[A]重合体が構造単位(II)を有する場合、構造単位(II)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の感度がさらに向上し、結果として、LWR性能等をさらに向上させることができる。
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(III)をさらに有することで、現像液への溶解性をより調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 0006825249
Figure 0006825249
Figure 0006825249
上記式中、RL1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
構造単位(III)としては、これらの中で、ノルボルナンラクトン構造を含む構造単位、γ−ブチロラクトン構造を含む構造単位、エチレンカーボネート構造を含む構造単位及びノルボルナンスルトン構造を含む構造単位が好ましい。
[A]重合体が構造単位(III)を有する場合、構造単位(III)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、55モル%がさらに好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をさらに向上させることができる。また、レジストパターンの基板への密着性をより向上させることができる。
[その他の構造単位]
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(III)以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、例えばヒドロキシ基を含む構造単位等が挙げられる。ヒドロキシ基としては、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。[A]重合体がフェノール性水酸基を含む構造単位を有すると、KrF露光、EUV露光、電子線露光等の場合の感度をより高めることができる。
ヒドロキシ基を含む構造単位としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式中、RL2は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
ヒドロキシ基を含む構造単位としては、ヒドロキシスチレンに由来する構造単位及び3−ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
[A]重合体がヒドロキシ基を含む構造単位を有する場合、ヒドロキシ基を含む構造単位の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。
[A]重合体は、ヒドロキシ基を含む構造単位以外にもその他の構造単位を有してもよい。このようなその他の構造単位としては、例えばカルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基又はこれらの組み合わせを含む構造単位、非解離性の炭化水素基を含む構造単位等が挙げられる。これらの構造単位の含有割合の上限としては、20モル%が好ましく、10モル%がより好ましい。
[A]重合体の含有量の下限としては、当該感放射線性樹脂組成物の全固形分([C]溶媒以外の成分の総和)に対して、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、85質量%がさらに好ましい。
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
ラジカル重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。これらの中で、AIBN及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル重合開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの重合に使用される溶媒は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
重合における反応温度の下限としては、40℃が好ましく、50℃がより好ましい。上記反応温度の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましい。重合における反応時間の下限としては、1時間が好ましく、2時間がより好ましい。上記反応時間の上限としては、48時間が好ましく、24時間がより好ましい。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の下限としては、1,000が好ましく、2,000がより好ましく、3,000がさらに好ましく、5,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、50,000が好ましく、30,000がより好ましく、20,000がさらに好ましく、15,000が特に好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の塗工性を向上させることができ、その結果、現像欠陥抑制性をより向上させることができる。
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)の上限としては、5が好ましく、3がより好ましく、2がさらに好ましく、1.7が特に好ましい。上記比の下限としては、通常1であり、1.1が好ましい。
本明細書における重合体のMw及びMnは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
GPCカラム:東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、露光により酸を発生する物質である。この発生した酸により[A]重合体等が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基、ヒドロキシ基等が生じ、[A]重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、低分子化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
[B]酸発生剤の具体例としては、例えば特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物等が挙げられる。
[B]酸発生体から発生する酸としては、例えばスルホン酸、イミド酸、アミド酸、メチド酸、ホスフィン酸、カルボン酸等が挙げられる。これらの中で、スルホン酸、イミド酸、アミド酸及びメチド酸が好ましい。
[B]酸発生剤としては、例えば下記式(4)で表される化合物(以下、「[B1]酸発生剤」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(4)中、Aは、1価のスルホン酸アニオン、1価のイミド酸アニオン、1価のアミド酸アニオン又は1価のメチド酸アニオンである。Zは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
[B1]酸発生剤は、上記式(4)におけるAがスルホン酸アニオンの場合(以下、「[B1a]」酸発生剤)ともいう)、スルホン酸が発生する。Aがイミド酸アニオンの場合(以下、「[B1b]酸発生剤」ともいう)、イミド酸が発生する。Aがアミド酸アニオンの場合(以下、「[B1c]酸発生剤」ともいう)、アミド酸が発生する。Aがメチド酸アニオンの場合(以下、「[B1d]酸発生剤」ともいう)、メチド酸が発生する。
[B1a]酸発生剤としては、例えば下記式(4−1)で表される化合物(以下、「化合物(4−1)」ともいう)等が挙げられる。[B1]酸発生剤が下記構造を有することで、[A]重合体成分の構造単位(I)及び構造単位(II)との相互作用等により、露光により発生する酸のレジスト膜中の拡散長がより適度に短くなると考えられ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。
Figure 0006825249
上記式(4−1)中、Rp1は、環員数6以上の環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0〜10の整数である。np2は、0〜10の整数である。np3は、0〜10の整数である。但し、np1+np2+np3は、1以上30以下である。np1が2以上の場合、複数のRp2は同一でも異なっていてもよい。np2が2以上の場合、複数のRp3は同一でも異なっていてもよく、複数のRp4は同一でも異なっていてもよい。np3が2以上の場合、複数のRp5は同一でも異なっていてもよく、複数のRp6は同一でも異なっていてもよい。Zは、上記式(3)と同義である。
p1で表される環員数6以上の環構造を含む1価の基としては、例えば環員数6以上の脂環構造を含む1価の基、環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香族複素環構造を含む1価の基等が挙げられる。
環員数6以上の脂環構造としては、例えば
シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環の飽和脂環構造;
シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環の不飽和脂環構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の飽和脂環構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環の不飽和脂環構造などが挙げられる。
環員数6以上の脂肪族複素環構造としては、例えば
ヘキサノラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
ヘキサノスルトン構造、ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサシクロヘプタン構造、オキサノルボルナン構造等の酸素原子含有複素環構造;
アザシクロヘキサン構造、ジアザビシクロオクタン構造等の窒素原子含有複素環構造;
チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造のイオウ原子含有複素環構造などが挙げられる。
環員数6以上の芳香環構造としては、例えば
ベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造等が挙げられる。
環員数6以上の芳香族複素環構造としては、例えば
フラン構造、ピラン構造、ベンゾピラン構造等の酸素原子含有複素環構造;
ピリジン構造、ピリミジン構造、インドール構造等の窒素原子含有複素環構造などが挙げられる。
p1の環構造の環員数の下限としては、7が好ましく、8がより好ましく、9がさらに好ましく、10が特に好ましい。上記環員数の上限としては、15が好ましく、14がより好ましく、13がさらに好ましく、12が特に好ましい。上記環員数を上記範囲とすることで、上述の酸の拡散長をさらに適度に短くすることができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。
p1の環構造が有する水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中でヒドロキシ基が好ましい。
p1としては、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基がより好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン−イル基、ノルボルナンスルトン−イル基及び5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−イル基がさらに好ましく、アダマンチル基が特に好ましい。
p2で表される2価の連結基としては、例えばカルボニル基、エーテル基、カルボニルオキシ基、スルフィド基、チオカルボニル基、スルホニル基、2価の炭化水素基等が挙げられる。これらの中で、カルボニルオキシ基、スルホニル基、アルカンジイル基及び2価の脂環式飽和炭化水素基が好ましく、カルボニルオキシ基及び2価の脂環式飽和炭化水素基がより好ましく、カルボニルオキシ基及びノルボルナンジイル基がさらに好ましく、カルボニルオキシ基が特に好ましい。
p3及びRp4で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基等が挙げられる。Rp3及びRp4で表される炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のフッ素化アルキル基等が挙げられる。Rp3及びRp4としては、水素原子、フッ素原子及びフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
p5及びRp6で表される炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のフッ素化アルキル基等が挙げられる。Rp5及びRp6としては、フッ素原子及びフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
p1としては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、0〜2の整数がさらに好ましく、0及び1が特に好ましい。
p2としては、0〜5の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0及び1がさらに好ましく、0が特に好ましい。
p3の下限としては、1が好ましく、2がより好ましい。np3を1以上とすることで、化合物(4−1)から生じる酸の強さを高めることができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。np3の上限としては、4が好ましく、3がより好ましく、2がさらに好ましい。
p1+np2+np3の下限としては、2が好ましく、4がより好ましい。np1+np2+np3の上限としては、20が好ましく、10がより好ましい。
で表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば下記式(Z−1)〜(Z−3)で表されるカチオン(以下、「カチオン(Z−1)〜(Z−3)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(Z−1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Ra1〜Ra3並びにR及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRa1〜Ra3並びにR及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(Z−2)中、Ra4は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は、0〜7の整数である。Ra4が複数の場合、複数のRa4は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRa4は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。Ra5は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。Ra5が複数の場合、複数のRa5は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRa5は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。rは、0〜3の整数である。Ra6は、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。tは、0〜2の整数である。
上記式(Z−3)中、Ra7及びRa8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Ra7、Ra8、R及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRa7、Ra8、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
a1〜Ra3、Ra4、Ra5、Ra7及びRa8で表されるアルキル基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基;
i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状アルキル基などが挙げられる。
a1〜Ra3、Ra4及びRa5で表される芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
a4及びRa5で表される芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
a6で表される2価の有機基としては、例えば上記式(a−3)のRの1価の有機基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
アルキル基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
a1〜Ra3、Ra4、Ra5、Ra7及びRa8としては、非置換のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−R”及び−SO−R”が好ましく、フッ素化アルキル基及び非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。R”は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
式(Z−1)におけるk1、k2及びk3としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。式(Z−2)におけるk4としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、1がさらに好ましい。k5としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。rとしては、2及び3が好ましく、2がより好ましい。tとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。式(Z−3)におけるk6及びk7としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
としては、これらの中で、カチオン(Z−1)及びカチオン(Z−2)が好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン及び4−ブトキシナフタレン−1−イルテトラヒドロチオフェニウムカチオンがより好ましい。
[B1a]酸発生剤としては、例えば下記式(4−1−1)〜(4−1−15)で表される化合物(以下、「化合物(4−1−1)〜(4−1−15)」ともいう)等が挙げられる。[B1b]酸発生剤としては、例えば下記式(4−2−1)〜(4−2−3)で表される化合物(以下、「化合物(4−2−1)〜(4−2−3)」ともいう)等が挙げられる。[B1c]酸発生剤としては、例えば下記式(4−3−1)、式(4−3−2)で表される化合物(以下、「化合物(4−3−1)、(4−3−2)」ともいう)等が挙げられる。[B1d]酸発生剤としては、例えば下記式(4−4−1)、式(4−4−2)で表される化合物(以下、「化合物(4−4−1)、(4−4−2)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006825249
Figure 0006825249
上記式(4−1−1)〜(4−1−15)、(4−2−1)〜(4−2−3)、(4−3−1)、(4−3−2)、(4−4−1)及び(4−4−2)中、Zは、1価のオニウムカチオンである。
[B1]酸発生剤としては、[B1a]酸発生剤が好ましく、化合物(4−1−1)、(4−1−2)、(4−1−11)及び(4−1−12)がより好ましい。
[B1]酸発生剤としては、オニウム塩化合物が好ましく、スルホニウム塩及びテトラヒドロチオフェニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウム塩及び4−ブトキシナフタレン−1−イルテトラヒドロチオフェニウム塩がさらに好ましい。
また、[B]酸発生体としては、下記式(4−1’)で表される構造単位を有する重合体等の酸発生体の構造が重合体の一部として組み込まれた重合体も好ましい。
Figure 0006825249
上記式(4−1’)中、Rp7は、水素原子又はメチル基である。Lは、単結合又は、−COO−又は2価のカルボニルオキシ炭化水素基である。Rp8は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。Zは、上記式(4)と同義である。
p7としては、上記式(4−1’)で表される構造単位を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
としては、2価のカルボニルオキシ炭化水素基が好ましく、カルボニルオキシアルカンジイル基及びカルボニルアルカンジイルアレーンジイル基がより好ましい。
p8としては、炭素数1〜4のフッ素化アルカンジイル基が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルカンジイル基がより好ましく、ヘキサフルオロプロパンジイル基がさらに好ましい。
[B]酸発生体が[B]酸発生剤の場合、[B]酸発生剤の含有量の下限としては、[A]重合体成分100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、4質量部がさらに好ましく、7質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、50質量部が好ましく、40質量部がより好ましく、30質量部がさらに好ましく、25質量部が特に好ましい。[B]酸発生剤の含有量と上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物は、感度及び現像性が向上し、その結果、LWR性能等をより向上させることができる。[B]酸発生体は、1種又は2種以上を含有することができる。
<[C]溶媒>
[C]溶媒は、少なくとも[A]重合体、[B]酸発生体及び所望により含有される[D]酸拡散制御体等を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
[C]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
酢酸プロピレングリコール等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの中で、エステル系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒及び環状ケトン系溶媒がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びシクロヘキサノンがさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は、[C]溶媒を1種又は2種以上含有していてもよい。
<[D]酸拡散制御体>
当該感放射線性樹脂組成物は、必要に応じて、[D]酸拡散制御体を含有してもよい。[D]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上すると共に、レジストとしての解像度がより向上する。さらに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。[D]酸拡散制御体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物(以下、適宜「[D]酸拡散制御剤」という)の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[D]酸拡散制御剤としては、例えば下記式(B)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう)、窒素原子を3個有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(B)中、R20、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
含窒素化合物(I)としては、例えばn−ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
含窒素化合物(II)としては、例えばエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
含窒素化合物(III)としては、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン化合物;ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えばピリジン、2−メチルピリジン等のピリジン類;N−プロピルモルホリン、N−(ウンデシルカルボニルオキシエチル)モルホリン等のモルホリン類;ピラジン、ピラゾール等が挙げられる。
含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニルピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
また、[D]酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基としては、例えば露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(5−1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(5−2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(5−1)及び式(5−2)中、R23〜R27は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。E及びQは、それぞれ独立して、OH、Rβ−COO、Rβ−SO 又は下記式(5−3)で表されるアニオンである。但し、Rβは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
Figure 0006825249
上記式(5−3)中、R28は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化アルキル基又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。uが2の場合、2つのR28は同一でも異なっていてもよい。
上記光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記光崩壊性塩基としては、これらの中で、スルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウムサリチレート及びトリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートがさらに好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物が[D]酸拡散制御体として[D]酸拡散制御剤を含有する場合、[C]酸拡散制御剤の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.3質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。
<[E]重合体>
[E]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子の質量含有率が大きい重合体である。当該感放射線性樹脂組成物が、[E]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に、膜中の含フッ素重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍で偏在化する傾向があり、液浸露光時における酸発生剤や酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、この[E]重合体の撥水性的特徴により、レジスト被膜と液浸媒体との前進接触角が所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト被膜を形成することができる。
[E]重合体のフッ素原子含有率の下限としては、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、4質量%がさらに好ましく、7質量%が特に好ましい。上記フッ素原子含有率の上限としては、60質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。重合体のフッ素原子含有率(質量%)は、13C−NMRスペクトル測定等により重合体の構造を求め、その構造から算出することができる。
[E]重合体としては、下記構造単位(Ea)、下記構造単位(Eb)及びこれらの組み合わせを有することが好ましい。[E]重合体は、構造単位(Ea)及び構造単位(Eb)をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。
[構造単位(Ea)]
構造単位(Ea)は、下記式(6a)で表される構造単位である。[E]重合体は、構造単位(Ea)を有することでフッ素原子含有率を調整することができる。
Figure 0006825249
上記式(6a)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−CO−O−、−SO−O−NH−、−CO−NH−又は−O−CO−NH−である。Rは、炭素数1〜6の1価のフッ素化鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価のフッ素化脂肪族脂環式炭化水素基である。
で表される炭素数1〜6の1価のフッ素化鎖状炭化水素基としては、例えばトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロi−プロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロi−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
で表される炭素数4〜20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基としては、例えばモノフルオロシクロペンチル基、ジフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロペンチル基、モノフルオロシクロヘキシル基、ジフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシルメチル基、フルオロノルボルニル基、フルオロアダマンチル基、フルオロボルニル基、フルオロイソボルニル基、フルオロトリシクロデシル基、フルオロテトラシクロデシル基等が挙げられる。
構造単位(Ea)を与える単量体としては、例えば
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル等の直鎖部分フッ素化アルキル(メタ)アクリル酸エステル;
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル等の分岐鎖部分フッ素化アルキル(メタ)アクリル酸エステル;
パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル等の直鎖パーフルオロアルキル(メタ)アクリル酸エステル;
パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル等の分岐鎖パーフルオロアルキル(メタ)アクリル酸エステルなどのフッ素化鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、
パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、モノフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル等の単環のフッ素化脂環式飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
フルオロノルボルニル(メタ)アクリル酸エステル等の多環のフッ素化脂環式飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどのフッ素化脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの中で、フッ素化鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、直鎖部分フッ素化アルキル(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステルがさらに好ましい。
[E]重合体が構造単位(Ea)を有する場合、構造単位(Ea)の含有割合の下限としては、[E]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、95モル%が好ましく、75モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。このような含有割合にすることによって液浸露光時においてレジスト膜表面のより高い動的接触角を発現させることができる。
[構造単位(Eb)]
構造単位(Eb)は、下記式(6b)で表される構造単位である。[E]重合体は、構造単位(Eb)を有することで疎水性が上がるため、当該感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト膜表面の動的接触角をさらに向上させることができる。
Figure 0006825249
上記式(6b)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R29は、炭素数1〜20の(s+1)価の炭化水素基であり、R29のR30側の末端に酸素原子、硫黄原子、−NR’−、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。R’は、水素原子又は1価の有機基である。R30は、単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基である。Xは、炭素数1〜20の2価のフッ素化鎖状炭化水素基である。Aは、酸素原子、−NR”−、−CO−O−*又は−SO−O−*である。R”は、水素原子又は1価の有機基である。*は、R31に結合する結合部位を示す。R31は、水素原子又は1価の有機基である。sは、1〜3の整数である。但し、sが2又は3の場合、複数のR30、X、A及びR31はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
31が水素原子である場合には、[E]重合体のアルカリ現像液に対する溶解性を向上させることができる点で好ましい。
31で表される1価の有機基としては、例えば酸解離性基、アルカリ解離性基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基等が挙げられる。
構造単位(Eb)としては、例えば下記式(6b−1)〜(6b−3)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 0006825249
上記式(6b−1)〜(6b−3)中、R29’は、炭素数1〜20の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基である。R、X、R31及びsは、上記式(6b)と同義である。sが2又は3である場合、複数のX及びR31はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
[E]重合体が構造単位(6b)を有する場合、構造単位(6b)の含有割合の下限としては、[E]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、15モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、85モル%がより好ましく、80モル%がさらに好ましい。このような含有割合にすることによって、当該感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト膜表面は、アルカリ現像において動的接触角の低下度を向上させることができる。
[構造単位(Ec)]
[E]重合体は、構造単位(Ea)及び(Eb)以外にも、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(Ec)」ともいう。)を有してもよい(但し、構造単位(Eb)に該当するものを除く)。[E]重合体が構造単位(Ec)を有することで、得られるレジストパターンの形状がより良好になる。構造単位(Ec)としては、上述の[A]重合体における構造単位(II)等が挙げられる。
[E]重合体が構造単位(Ec)を有する場合、構造単位(Ec)の含有割合の下限としては、[E]重合体を構成する全構造単位に対し、5モル%が好ましく、25モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、75モル%がさらに好ましい。
[他の構造単位]
また、[E]重合体は、上記構造単位以外にも、例えばアルカリ可溶性基を含む構造単位、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位、脂環式基を含む構造単位等の他の構造単位を有していてもよい。上記アルカリ可溶性基としては、例えばカルボキシ基、スルホンアミド基、スルホ基等が挙げられる。ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位としては、上述の[A]重合体における構造単位(III)等が挙げられる。
他の構造単位の含有割合の上限としては、[E]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%が好ましく、20モル%がより好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有する場合、[E]重合体の含有量の下限としては、[A]重合体の100質量部に対して、0.5質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、2質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物は、上記[A]〜[E]以外にも、その他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば偏在化促進剤、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
[偏在化促進剤]
偏在化促進剤は、当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有する場合等に、[E]重合体を、より効率的にレジスト膜表面に偏析させる効果を有するものである。当該感放射線性樹脂組成物にこの偏在化促進剤を含有させることで、[E]重合体の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、解像性、LWR性能等を損なうことなく、レジスト膜から液浸液への成分の溶出をさらに抑制することや、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制するレジスト膜表面の疎水性を向上させることができる。このような偏在化促進剤として用いることができるものとしては、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物を挙げることができる。このような化合物としては、具体的には、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。
ラクトン化合物としては、例えばγ−ブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。ニトリル化合物としては、例えばスクシノニトリル等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えばグリセリン等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物が偏在化促進剤を含有する場合、偏在化促進剤の含有量の下限としては、当該感放射線性樹脂組成物における重合体の総量100質量部に対して、10質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、20質量部がさらに好ましく、25質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、500質量部が好ましく、300質量部がより好ましく、200質量部がさらに好ましく、100質量部が特に好ましい。
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗工性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、DIC社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業社)等が挙げられる。界面活性剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、2質量部が好ましい。
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物における脂環式骨格含有化合物の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、5質量部が好ましい。
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生剤等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物における増感剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、2質量部が好ましい。
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生体、[C]溶媒並びに必要に応じて含有される[D]酸拡散制御剤等を所定の割合で混合し、好ましくは得られた混合物を、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより調製することができる。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。
<レジストパターン形成方法>
当該レジストパターン形成方法は、基板の一方の面に、当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう)と、上記塗工工程により得られるレジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)とを備える。
当該レジストパターン形成方法によれば、上述の当該感放射線性樹脂組成物を用いているので、優れた焦点深度及び膜収縮抑制性を発揮しつつ、LWRが小さく、解像度が高く、断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。以下、各工程について説明する。
[塗工工程]
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物を用い、レジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等が挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗工方法としては、例えば回転塗工(スピンコーティング)、流延塗工、ロール塗工等が挙げられる。塗工した後に、必要に応じて、塗膜中の溶媒を揮発させるため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PBの温度の下限としては、60℃が好ましく、80℃がより好ましい。上記温度の上限としては、140℃が好ましく、120℃がより好ましい。PBの時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。上記時間の下限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。形成されるレジスト膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、1,000nmが好ましく、500nmがより好ましい。
液浸露光を行う場合で、当該感放射線性樹脂組成物が撥水性重合体添加剤を含有していない場合等には、上記形成したレジスト膜上に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を避ける目的で、液浸液に不溶性の液浸用保護膜を設けてもよい。液浸用保護膜としては、現像工程の前に溶媒により剥離する溶媒剥離型保護膜(特開2006−227632号公報参照)、現像工程の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(国際公開第2005/069076号及び国際公開第2006/035790号参照)のいずれを用いてもよい。但し、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
[露光工程]
本工程では、レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)露光光を照射し、露光する。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、極端紫外線(EUV)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、遠紫外線、EUV及び電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、EUV及び電子線がより好ましく、ArFエキシマレーザー光、EUV及び電子線がさらに好ましい。
露光を液浸露光により行う場合、用いる液浸液としては、例えば水、フッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤をわずかな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により[B]酸発生体等から発生した酸による[A]重合体等が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性の差を増大させることができる。PEBの温度の下限としては、50℃が好ましく、80℃がより好ましい。上記温度の上限としては、180℃が好ましく、130℃がより好ましい。PEBの時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。上記時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。
当該レジストパターン形成方法によれば、上述の当該感放射線性樹脂組成物を用いるので、PEBの際のレジスト膜の収縮を抑制することができる。
[現像工程]
本工程では、露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像工程における現像方法は、アルカリ現像であっても、有機溶媒現像であってもよい。有機溶媒現像の場合、露光部がレジストパターンを形成するため、当該感放射線性樹脂組成物が膜収縮抑制性に優れることによる利益が大きい。
アルカリ現像の場合、現像に用いる現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等が挙げられる。これらの中でも、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
有機溶媒現像の場合、現像液としては、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶媒、上記有機溶媒を含有する溶媒等が挙げられる。上記有機溶媒としては、例えば上述の感放射線性樹脂組成物の[E]溶媒として列挙した溶媒の1種又は2種以上等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶媒及びケトン系溶媒が好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エステル系溶媒が好ましく、酢酸n−ブチルがより好ましい。ケトン系溶媒としては、鎖状ケトンが好ましく、2−ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶媒の含有量の下限としては、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、99質量%が特に好ましい。現像液中の有機溶媒以外の成分としては、例えば水、シリコンオイル等が挙げられる。
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
<重合体>
当該重合体は、上記基(I)を含む構造単位を有する重合体である。当該重合体は、上述の性質を有するので、当該感放射線性樹脂組成物の重合体成分として好適に用いることができ、これを含有する感放射線性樹脂組成物は、LWR性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度及び膜収縮抑制性に優れる。
<化合物>
当該化合物は、上記式(i)で表される化合物である。当該化合物は、上述の性質を有するので、当該重合体の原料単量体として好適に用いることができる。
当該重合体及び当該化合物については、上記[A]重合体の項で説明している。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における各測定は下記方法により行った。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
東ソー製GPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本、G4000HXL:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
13C−NMR分析]
核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
<化合物の合成>
[実施例1](化合物(M−1)の合成)
300mLの丸底フラスコに(m−1)13.8g(78.5mmol)、ジアセチル13.5g(157mmol)、オルトギ酸トリメチル25.0g(236mmol)、メタノール100mL、p-トルエンスルホン酸一水和物1.49g(7.85mmol)を加え、70℃にて6時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、過剰のジアセチルおよび
オルトギ酸トリメチルを減圧留去した。酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄した。水で1回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することにより、(M−1)を10.2g(収率45%)得た。
Figure 0006825249
[実施例2〜12](化合物(M−2)〜(M−12)の合成)
前駆体を適宜選択し、実施例1と同様の操作を行うことによって、下記式(M−2)〜(M−12)で表される化合物を合成した。
Figure 0006825249
<重合体の合成>
[A]重合体及び[E]重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。
Figure 0006825249
[[A]重合体の合成]
[実施例13](重合体(A−1)の合成)
化合物(M−1)4.79g(20モル%)、化合物(M’−10)5.51g(30モル%)及び化合物(M’−1)9.70g(50モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのAIBN0.72g(全単量体に対して5モル%)を添加して単量体溶液を調製した。次いで20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合反応液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を合成した(16.8g、収率84%)。重合体(A−1)のMwは7,400であり、Mw/Mnは1.54であった。13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M’−10)及び(M’−1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ19.9モル%、30.2モル%及び49.9モル%であった。
[実施例14〜33及び35〜41並びに合成例1〜11](重合体(A−2)〜(A−21)及び(A−23)〜(A−29)並びに(CA−1)〜(CA−11)の合成)
下記表1〜3に示す種類及び使用量の単量体を用い、実施例13と同様の操作を行うことによって、重合体(A−2)〜(A−21)及び(A−23)〜(A−29)並びに(CA−1)〜(CA−11)を合成した。
[実施例34](重合体(A−22)の合成)
化合物(M’−3)47.0g(60モル%)、化合物(M−1)53.0g(40モル%)、ラジカル重合開始剤としてのAIBN3.97g(全単量体に対して5モル%)、並びにt−ドデシルメルカプタン1、14gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合反応終了後、重合反応液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで得られた重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、さらに、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−22)を得た(66.2g、収率75%)。重合体(A−22)のMwは7400であり、Mw/Mnは1.89であった。13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び(M−1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ60.1モル%及び39.9モル%であった。
Figure 0006825249
Figure 0006825249
Figure 0006825249
[[E]重合体の合成]
[合成例12](重合体(E−1)の合成)
化合物(M’−12)79.9g(70モル%)及び化合物(M’−17)20.91g(30モル%)を、100gの2−ブタノンに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート4.77gを溶解させて単量体溶液を調製した。次いで100gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。重合反応液を2L分液漏斗に移液した後、150gのn−ヘキサンで上記重合反応液を均一に希釈し、600gのメタノールを投入して混合した。次いで30gの蒸留水を投入し、さらに攪拌して30分静置した。その後、下層を回収し、重合体(E−1)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率60%)。重合体(E−1)のMwは7,200であり、Mw/Mnは2.00であった。13C−NMR分析の結果、(M’−12)及び(M’−17)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ71.1モル%及び28.9モル%であった。
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]溶媒、[D]酸拡散制御剤及び[F]偏在化促進剤について以下に示す。
[[B]酸発生剤]
各構造式を以下に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノルボルナンスルトン−2−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
Figure 0006825249
[[C]溶媒]
C−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−2:シクロヘキサノン
[[D]酸拡散制御剤]
各構造式を以下に示す。
D−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート
D−2:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
D−3:N−(n−ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
D−4:2,6−ジi−プロピルアニリン
D−5:トリス[2−(2−メトキシメトキシ)エチル]アミン
Figure 0006825249
[[F]偏在化促進剤]
F−1:γ−ブチロラクトン
[ArF露光用感放射線性樹脂組成物の調製]
[実施例42]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)8.5質量部、[C]溶媒としての(C−1)2,240質量部及び(C−2)960質量部、[D]酸拡散制御剤としての(D−1)2.3質量部、[E]重合体としての(E−1)3質量部、並びに[F]偏在化促進剤としての(F−1)30質量部を混合し、得られた混合物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
[実施例43〜73及び比較例1〜11]
下記表4及び表5に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例42と同様に操作して、感放射線性樹脂組成物(J−2)〜(J−32)及び(CJ−1)〜(CJ−11)を調製した。
Figure 0006825249
Figure 0006825249
<レジストパターンの形成(1)>(ラインアンドスペースパターン、有機溶媒現像)
[実施例74〜105及び比較例13〜24]
12インチのシリコンウエハー表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(日産化学工業社の「ARC66」)を塗工した後、205℃で60秒間加熱することにより、平均厚み105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して、上記調製した感放射線性樹脂組成物を塗工し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、乾燥してネガ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅40nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量を最適露光量とした。
<評価>
上記形成したレジストパターンについて下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物を下記項目について評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。評価結果を下記表6に示す。
[LWR性能]
レジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、この値をLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど良いことを示す。LWR性能は、4.00nm以下の場合は「良好」と、4.00nmを超える場合は「不良」と評価できる。
[解像性]
上記最適露光量以下の露光量にてターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースとなるマスクパターンを介して露光した際、露光量の減少と共に得られるラインパターンの最小線幅を解像性(nm)とした。解像性は、35nm以下の場合は「良好」と、35nmを超える場合は「不良」と評価できる。
[断面形状の矩形性]
上記最適露光量において解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの中間での線幅Lb及び膜の上部での線幅Laを測定して、La/Lbを算出し、これを断面形状の矩形性の指標とした。断面形状の矩形性は、0.90≦La/Lb≦1.10である場合は「良好」と、La/Lb<0.90又は1.10<La/Lbである場合は「不良」と評価できる。
[焦点深度]
上記最適露光量において解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%〜110%に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定結果を焦点深度(nm)とした。焦点深度は、値が大きいほど良いことを示す。焦点深度は、40nm以上の場合は「良好」と、40nm未満の場合は「不良」と評価できる。
[膜収縮抑制性]
上記「レジストパターンの形成(1)」に記載の方法により、平均厚み90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、70mJで全面露光を行った後に膜厚測定を実施し、膜厚Aを求めた。次いで、90℃で60秒間のPEBを実施した後に、再度膜厚測定を実施し膜厚Bを求めた。膜厚A及び膜厚Bの値から、100×(A−B)/A(%)を算出し、このPEBによる膜収縮率の値を、膜収縮抑制性の指標とした。膜収縮抑制性は、値が小さいほど良いことを示す。膜収縮抑制性は、20%以下の場合は「良好」と、20%を超える場合は「不良」と評価できる。
Figure 0006825249
<レジストパターンの形成(2)>(ホールパターン、有機溶媒現像)
[実施例106〜137及び比較例25〜36]
12インチのシリコンウエハー表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(日産化学工業社の「ARC66」)を塗工した後、205℃で60秒間加熱することにより、平均厚み105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して、上記調製した感放射線性樹脂組成物を塗工し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、クロスポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、45nmホール/90nmピッチのパターン形成用のマスクを介して露光した。露光後、90℃60秒間PEBを行った。その後、酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、乾燥してネガ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が45nmホールに形成される露光量を最適露光量とした。
<評価>
上記形成したレジストパターン(ホールパターン)について下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物を下記項目について評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。評価結果を下記表7に示す。
[MEEF性能]
上記最適露光量にて、46nm、45.5nm、44.5nm、44nmホールパターン形成用マスクをそれぞれ用い、90nmピッチのホールパターンを形成した際のホールサイズを測長した。ホールパターン形成用マスクサイズ(nm)を横軸に、露光後にレジスト膜に形成されたホールパターンサイズ(nm)を縦軸にプロットした時の直線の傾きを求め、これをMEEF性能とした。MEEF性能は、4.0以下の場合は「良好」と、4.0を超える場合は「不良」と評価できる。
[CDU性能]
上記最適露光量にて形成した45nmホールパターンの寸法を任意のポイントで計1,800個測長し、ホール径のバラつき(3σ)を求め、これをCDU性能(nm)とした。CDU性能は、3σの値が小さいほど良好であると評価できる。CDU性能は、5.5nm以下の場合は「良好」と、5.5nmを超える場合は「不良」と評価できる。
[解像性]
上記最適露光量以上の露光量にてターゲット寸法が45nmホール90nmピッチとなるマスクパターンを介して露光した際、露光量の増加に伴い得られるホールパターンの最小寸法を解像性(nm)とした。解像性は、35nm以下の場合は「良好」と、35nmを超える場合は「不良」と評価できる。
Figure 0006825249
表6の結果から明らかなように、実施例の感放射線性樹脂組成物は、ArF露光の場合、ラインアンドスペースパターン形成におけるLWR性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度及びPEB収縮抑制性に優れており、また、表7の結果から明らかなように、ホールパターン形成におけるMEEF性能、CDU性能及び解像性に優れている。
[電子線露光用感放射線性樹脂組成物の調製]
[実施例138]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20質量部、[C]溶媒としての(C−1)4,280質量部及び(C−2)1,830質量部並びに[D]酸拡散制御剤としての(D−1)3.6質量部を混合し、得られた混合物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−33)を調製した。
[実施例139〜141及び比較例37]
下記表8に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例138と同様に操作して、感放射線性樹脂組成物(J−34)〜(J−36)及び(CJ−13)を調製した。
Figure 0006825249
<レジストパターンの形成(3)>(有機溶媒現像)
[実施例142〜145及び比較例38]
8インチのシリコンウエハー表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、上記調製した感放射線性樹脂組成物を塗工し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm)を用いて電子線を照射した。照射後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、酢酸n−ブチルを用いて現像し、乾燥してネガ型のレジストパターンを形成した。
<評価>
上記形成したレジストパターンについて、上記「レジストパターンの形成(1)」と同様にして、LWR性能、解像性、断面形状の矩形性及び焦点深度について評価した。電子線露光の場合、LWR性能は、5.00nm以下の場合は「良好」と、5.00を超える場合は「不良」と評価できる。評価結果を下記表9に示す。
Figure 0006825249
表9の結果から明らかなように、実施例の感放射線性樹脂組成物は、電子線露光の場合、LWR性能、解像性、断面形状の矩形性及び焦点深度に優れている。実施例の感放射線性樹脂組成物は、上述のArF露光の場合と同様、膜収縮抑制性にも優れると推測される。また、一般的に、電子線露光によれば、EUV露光の場合と同様の傾向を示すことが知られており、従って、実施例の感放射線性樹脂組成物によれば、EUV露光の場合においても、LWR性能等に優れると推測される。
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、優れた焦点深度及び膜収縮抑制性を発揮しつつ、LWRが小さく、解像度が高く、断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。本発明の重合体は、当該感放射線性樹脂組成物の重合体成分として好適に用いることができる。本発明の化合物は、当該重合体の単量体として好適に用いることができる。従って、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される基を含む第1構造単位を有する第1重合体と、
    感放射線性酸発生体と、
    溶媒と
    を含有する感放射線性樹脂組成物。
    Figure 0006825249
    (式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を表してもよい。*は、上記第1構造単位における上記式(1)で表される基以外の部分との結合部位を示す。)
  2. 上記式(1)におけるR及びRが有機基であり、この有機基が置換又は非置換の炭素数1〜16の1価の炭化水素基である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
  3. 上記式(1)におけるR、R及びRの有機基が、置換又は非置換の炭素数1〜16の1価の炭化水素基である請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  4. 上記R、R及びRの置換又は非置換の炭素数1〜16の1価の炭化水素基が、下記式(a)で表される請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 0006825249
    (式(a)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜15の1価の炭化水素基である。**は、上記式(1)におけるR、R及びRがそれぞれ結合する酸素原子に結合する部位を示す。)
  5. 上記式(1)におけるLとRとが互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に構成される環員数5〜20の環構造を表す請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  6. 上記第1構造単位が、下記式(A)で表される請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 0006825249
    (式(A)中、Zは、上記式(1)で表される基である。Yは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。)
  7. 基板の一方の面に、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を塗工する工程と、
    上記塗工工程により得られるレジスト膜を露光する工程と、
    上記露光されたレジスト膜を現像する工程と
    を備えるレジストパターン形成方法。
  8. 下記式(1)で表される基を含む構造単位を有する重合体。
    Figure 0006825249
    (式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間に−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR’−若しくはこれらのうちの2つ以上を組み合わせた基を含む基(α)、又は上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基若しくはスルファニル基(−SH)で置換した基である。R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を表してもよい。*は、上記構造単位における上記式(1)で表される基以外の部分との結合部位を示す。)
  9. 下記式(i)で表される化合物。
    Figure 0006825249
    (式(i)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。但し、R〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に構成する環員数3〜20の環構造を少なくとも1つ有する。R10は、重合性炭素−炭素二重結合を含む1価の基である。)
  10. 上記式(i)におけるLとRとが互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に構成される環員数5〜20の環構造を表す請求項9に記載の化合物。
  11. 下記式(i)で表される化合物。
    Figure 0006825249
    (式(i)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間に−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR’−若しくはこれらのうちの2つ以上を組み合わせた基を含む基(α)、又は上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基若しくはスルファニル基(−SH)で置換した基(但し、重合性炭素−炭素二重結合を含む基を除く。)である。R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R〜R及びLのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する原子鎖と共に環員数3〜20の環構造を表してもよい。R10は、重合性炭素−炭素二重結合を含む1価の基である。)
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