JP6823938B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
しかし、この血管新生が、過剰に行われた場合には皮膚状態の悪化、特にシワ形成が促進されることがすでに知られている。
血管新生は血管内皮増殖因子(VEGF)の働きにより亢進し、トロンボスポンジン1(TSP−1)がその働きに抑制をかけることが分かっており、紫外線照射時にはVEGFの発現が上昇しTSP−1の発現は低下することが報告されている(非特許文献1)。すなわち、VEGFとTSP−1のバランスが崩れ、相対的にVEGFが優位に働くことにより血管新生が促進される。
紫外線照射を受けた部位の新生血管からは、エラスターゼを産生する好中球が容易に皮膚組織に浸潤可能であるため、エラスチン線維の破壊を惹起する。その結果、皮膚構造の変化、特にシワ形成が促進される。
特許文献2には、ウスヒラタケ、ヌメリスギタケ、クリタケの抽出物を含有する血管新生抑制剤が記載されている(特許請求の範囲)。実施例ではクリタケ抽出物を5.0重量%含有するローションが記載されている。
特許文献3には、発酵大麦エキスが血管新生抑制作用を持つとされ、前記エキスを含有する機能性食品素材が記載されている。
本発明の皮膚外用剤は、ホップの雌花穂の抽出物及びマジョラムの葉の抽出物から選ばれる1種以上の抽出物を血管新生抑制作用の有効成分として含有するものである。
冷浸抽出法による抽出方法は、公知の方法を採用することができる。例えば、ホップの雌花穂やマジョラムの葉100gに対して前記抽出溶媒1〜1.5Lを加え、室温で攪拌等して、本発明で用いる抽出物を得ることができる。
加熱抽出法による抽出方法も、公知の方法を採用することができる。例えば、ホップの雌花穂やマジョラムの葉100gに対して前記抽出溶媒0.5〜1Lを加え、加熱還流して、本発明で用いる抽出物を得ることができる。
本発明で用いる抽出物は、優れた血管新生抑制作用を有しており、少量で高い効果を得ることができる。
ホップ抽出物とマジョラム抽出物を組み合わせて使用するときは、
ホップ抽出物の皮膚外用剤中の含有割合は0.05〜3質量%が好ましく、0.06〜2質量%がより好ましく、
マジョラム抽出物の皮膚外用剤中の含有割合は0.1〜1.5質量%が好ましく、0.12〜1質量%がより好ましい。
ホップ抽出物とマジョラム抽出物の合計量中の割合は、ホップ抽出物/マジョラム抽出物(質量比)で、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましく、1/2〜1/1がさらに好ましい。
本発明の皮膚外用剤は、ホップ抽出物とマジョラム抽出物が乾燥物(粉末など)である場合は、皮膚外用剤に配合される各種成分と組み合わせることが好ましい。
炭化水素、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、アルキッド、アクリル、スルホンアミド樹脂、ニトロセルロース;
ミネラルオイル、オリーブ油、アーモンド油、カカオ脂、マカデミアナッツ油、アボカド油、硬化パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、月見草油、合成トリグリセライド、ロウ、ヒマワリ種子ロウ、ミツロウ、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル、直鎖・環状シリコーンオイル、ジメチルポリシロキサン、モノステアリン酸グリセリン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ロジンペンタエリスリトットエステル、ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリイソオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、モノラウリン酸プロピレングリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどの油剤;
精製水、エタノール、イソプロパノール、多価アルコール、水溶性高分子、ベントナイト、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブタノール;グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジグリセリン、マンニトール、POEメチルグリコシド、生体高分子、蔗糖などの保湿剤;
エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルなどのエモリエント成分;クインスシード、ペクチン、セルロース誘導体、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ソアギーナ、カルボキシビニルポリマー;
ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール、モノオレイン酸ソルビタン、トリイソオクタン酸グリセリン、オクチルメトキシシンナメート、モノオレイン酸POEソルビタン、イソセチル、イソステアリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸アセチルトリブチル、ジ安息香酸トリメチルペンタンジイル、ステアリルコニウムベントナイト;
増粘剤、防腐剤、乳化剤、安定化剤;
陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、蛋白質系界面活性剤;
薬効成分、ビタミンCジパルミテート、ビタミン類、アミノ酸、美白剤、殺菌剤;
タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、アルミナ、シリカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、化粧品用タール色素、有機色素、βカロチン、カルサミン、カルミン、クロロフィル、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、カーボンブラック、白色顔料、パール顔料などの顔料、
ナイロンパウダー、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル、ウールパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、でんぷん粉、アルミニウム粉末、球状ナイロン、球状ポリスチレン、雲母チタン、二酸化チタン、酸化チタン、酸化鉄、その他の粉体;
pH調整剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、金属イオン封止剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料、防腐剤、キレート剤、酸化防止剤、分散剤、褐色防止剤、緩衝剤、沈殿防止成分、ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、使用性改質剤、等が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、化粧料や皮膚疾患用の医薬部外品として用いることができる。
水で洗浄した後粉砕したホップの雌花穂500gを、約5Lの抽出溶媒(水/1,3−ブタンジオール=1:1(質量比))を用いて加熱抽出(80℃還流加熱)して得られた抽出物を濾過し、赤褐色の抽出液と滓に分離した。得られた抽出液の溶媒を留去して、ペースト状の濃縮物であるホップ抽出物を得た。
水で洗浄した後粉砕したマジョラムの葉500gを、約5Lの抽出溶媒(水/1,3−ブタンジオール=1:1(質量比))を用いて加熱抽出(80℃還流加熱)して得られた抽出物を濾過し、黄褐色の抽出液と滓に分離した。得られた抽出液の溶媒を留去して、ペースト状の濃縮物であるマジョラム抽出物を得た。
上記調製例1、2の抽出液を任意の割合で混合して、褐色の混合抽出液を得た。得られた混合抽出液の溶媒を留去して、ペースト状の濃縮物であるホップ抽出物とマジョラム抽出物の混合物を得た。
調製例1のホップ抽出物単独、調製例2のマジョラム抽出物単独、及び調整例3のホップ抽出物とマジョラム抽出物の混合物をサンプルとして使用して、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた細胞増殖率によりそれぞれの血管新生抑制作用を評価した。
まず、次の(i)血管内細胞基礎培地1、(ii)血管内細胞基礎培地2及び(iii)発色液を調製した。
HuMedia−EB2(倉敷紡績社製)に、FBS(終濃度2容量%)、10ng/mLhEFG、1.34μg/mLHC、50μg/mLGM、50ng/mLATB、5ng/mLhFGF−B、10μg/mLHPを添加して調製した。
前記(i)の血管内皮細胞基礎培地1に、5ng/mLVEGFを添加して調製した。
〔3-(4,5-Dimethylthial-2-yl)-2,5-DiphenyltetrazaliumBromide〕(MTT)を5mg/mLとなるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS(−))に溶解させて調製した。
2時間後、希釈した発色液を除去し、イソプロパノール150μLで色素を抽出しマイクロプレートリーダーにより吸光度を測定した。測定波長は570nm、参照波長は620nmとした。
図1より、ホップ抽出物は0.125質量%以上の濃度においてHUVECの過剰な増殖を抑制していることを確認した。また、0.0625質量%以上の濃度において過剰な増殖に対し抑制傾向を示していることを確認した。
図2より、マジョラム抽出物は1.0質量%以上の濃度においてHUVECの過剰な増殖を抑制していることを確認した。また、0.5質量%以上の濃度において過剰な増殖に対し抑制傾向を示していることを確認した。
図3より、ホップ、マジョラム抽出物の組み合わせによりそれぞれの抑制作用が増強されることを確認した。ホップ抽出物及びマジョラム抽出物の混合物は、ホップ抽出物0.0625質量%以上の濃度のもの及びマジョラム抽出物0.125質量%以上の濃度のものを組み合わせて配合することにより効果が得られることを確認した。
図1より、ホップ抽出物は4.0質量%よりも小さい濃度において、細胞に対する毒性傾向がないことを確認した。
図2より、マジョラム抽出物は2.0質量%よりも小さい濃度において、細胞に対する毒性傾向がないことを確認した。
図3より、ホップ抽出物及びマジョラム抽出物の混合物は、ホップ抽出物4.0質量%及びマジョラム抽出物2.0質量%の組み合わせたものよりも各濃度が小さい濃度において、細胞に対する毒性傾向がないことを確認した。
下記の成分(1)〜(5)を混合後加熱溶解して75℃とし、これに混合、加熱融解し75℃とした(6)〜(9)および(12)を添加して乳化し、撹拌冷却後、(10)および(11)を添加して、肌用クリームを得た。
(組成)(質量%)
(1)ステアリン酸 1.00
(2)バチルアルコール 1.00
(3)モノステアリン酸グリセリン 0.50
(4)スクアラン 15.00
(5)ソルビタンモノステアレート 2.00
(6)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.00
(7)水酸化カリウム 0.05
(8)カルボキシビニルポリマー 0.10
(9)パラヒドロキシ安息香酸メチル 0.10
(10)ホップ抽出物(実施例1)、マジョラム抽出物(実施例2) 1.00
(11) 香料 0.10
(12) 精製水 77.15
全量 100.00
日常的に日光への暴露があり、肌の弾力の衰えを感じているパネラー20名(男性7名、年齢29〜48歳、女性13名、年齢26〜53歳)を第1群、別のパネラー20名(男性8名、年齢27〜46歳、女性12名、年齢28〜55歳)を第2群として試験した。
比較例1として、実施例1、2のホップ抽出物、マジョラム抽出物の代わりに同量の保湿液(水/1,3ブチレングリコール=1:1)を配合した肌クリームを使用した。
実施例1、2の肌クリームと比較例1の肌クリームをブラインド試験にて、パネラーの顔面に1回の塗布量1.5mg/cm2で塗布した。
使用期間は10月1日から末日までの1ヶ月として、毎朝の洗顔後に1回使用した。
表1の肌弾力(実施例1と比較例1)と官能評価(実施例1と比較例1)は、第1群のパネラーで試験した。
表2の肌弾力(実施例2と比較例1)と官能評価(実施例2と比較例1)は第2群のパネラーで試験した。
(肌弾力)
「上昇」、「変化なし」、「やや低下」、「低下」の4段階で各パネラーが評価して、人数で示した。結果を表1に示す。
(官能評価)
「ハリを感じた」、「変化なし」、「ややハリがなくなった」、「ハリがなくなった」の4段階で各パネラーが評価して、人数で示した。結果を表2に示す。
また、実施例1,2での試験濃度において細胞に対する毒性傾向を示さず、問題となる皮膚刺激性も見られないことより、安全性の懸念も少ない優れた皮膚外用剤であることを確認した。
実施例1、2に示す成分(10)1質量%に代えて、ホップ抽出物1質量%及びマジョラム抽出物2質量%の混合物3質量%を配合し、(12)75.15質量%を配合した以外は、実施例1、2と同様にして、肌用クリームを得た。
実施例1、2と同様の肌弾力と官能評価を行ったところ、実施例1、2と比べて同等以上の効果を確認した。
Claims (3)
- マジョラム(ORIGANUM MAJORANA=MAJORANA HORTENSIS)の葉の抽出物を、血管新生抑制作用の有効成分として0.3〜1.5質量%含有する皮膚外用剤。
- ホップ(HUMULUS LUPULUS)の雌花穂の抽出物及びマジョラム(ORIGANUM MAJORANA=MAJORANA HORTENSIS)の葉の抽出物の混合物を含有する皮膚外用剤であって、
前記混合物中、ホップの雌花穂の抽出物の含有割合が血管新生抑制作用の有効成分として0.05〜3質量%、マジョラムの葉の抽出物の含有割合が血管新生抑制作用の有効成分として0.1〜1.5質量%であり、
ホップの雌花穂の抽出物とマジョラムの葉の抽出物の合計量中の含有割合が、ホップの雌花穂の抽出物/マジョラムの葉の抽出物(質量比)が1/2〜1/1である、皮膚外用剤。 - 前記抽出物が、水と、エタノール、1,3−ブタンジオール及びイソプロパノールから選ばれる有機溶媒の混合溶媒を用いて得られるものである、請求項1または2記載の皮膚外用剤。
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