以下、本発明に係る実施の形態について説明する。なお、以下の実施例では、画像形成装置について、電子写真プロセスを利用したレーザービームプリンタを例に説明する。以降の説明において、このレーザービームプリンタをプリンタ1と呼ぶ。
《実施例1》
[画像形成装置]
図11は本実施例におけるプリンタ1の概略断面図である。このプリンタ1は、タンデム方式−中間転写方式のフルカラープリンタであり、イエロ(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、ブラック(Bk)色の各色トナーの画像(以降、トナー像)を形成する4つの画像形成部UY・UM・UC・UBkを有する。
各画像形成部は、それぞれ、感光ドラム2、帯電器3、レーザスキャナ4、現像器5、一次転写帯電器6、ドラムクリーナ7を有する。なお、図の煩雑を避けるため画像形成部UY以外の画像形成部UM・UC・UBkにおけるこれらの機器に対する符号の記入は省略した。また、これら画像形成部の電子写真プロセスや作像動作は公知であるからその説明は割愛する。
各画像形成部のドラム2から回動する中間転写ベルト8に対して各色のトナー像が所定に重畳されて一次転写される。これによりベルト8上に4色重畳のトナー像が形成される。一方、カセット9又は10、或いは手差しトレイ11からシート(記録材、用紙)Pが一枚宛給送されて搬送路12を通って所定の制御タイミングでベルト8と二次転写ローラ13との圧接部である二次転写ニップ部に導入される。これにより、シートPに対してベルト8上の4色重畳のトナー像が一括して二次転写される。そのシートPが定着装置40に導入されてトナー像の定着処理を受ける。
定着装置40を出たシートPは片面画像形成モードの場合はフラッパ14の制御により搬送路15の側に誘導されて排出トレイ16上にフェイスダウンで排出される。或いは、搬送路17の側に誘導されて排出トレイ18上にフェイスアップで排出される。
両面画像形成モードの場合は、定着装置40を出たシートPはフラッパ14の制御により搬送路15の側に一旦誘導された後にスイッチバック搬送されて両面搬送路19の側に導入される。そして、表裏反転された状態で再び搬送路12を通って二次転写ニップ部に導入されて他方の面にトナー像が形成される。以後は、片面画像形成の場合と同様に定着装置40に導入され、排出トレイ16又は18に両面画像形成物として排出される。
なお、本実施例のプリンタ1においては、大小各種幅サイズのシートPの搬送は、シート幅中心の所謂中央基準でなされる。以下において、装置に使用可能な最大幅サイズのシートを大サイズシート、それよりも幅狭のシートを小サイズシートと記す。
[定着装置]
次に、本実施例における定着装置40について説明する。図9の(a)は、定着装置40の要部の横断面模式図、(b)は定着ベルトの層構成模式図である。図10は、定着装置40の要部の途中部分省略の縦断正面模式図である。定着装置40の正面はシート導入側から見た面である。
この定着装置40はベルト加熱方式の画像加熱装置である。定着装置40は、大別して、シートP上の画像を加熱するベルトユニット(以下、ユニットと記す)60と対向部材(ニップ形成部材)としての弾性加圧ローラ(以下、ローラと記す)70と、これらを収容している装置筐体41と、を有する。
ユニット60は、可撓性を有する薄肉の定着ベルト(伝熱部材:エンドレスベルト、以下、ベルトと記す)603を、ベルト603の内面に当接するヒータ600によって加熱する低熱容量な構成となっている。そのため、ベルト603を効率よく加熱することができ、定着開始時の立ち上げ性能に優れている。
ベルト603がヒータ600とローラ70に挟持されるとニップ部(定着ニップ部)Nが形成される。そして、ローラ70は矢印R70の反時計回り方向に、ベルト603は矢印R603の時計回り方向に回転して、ニップ部Nに給送されたシートPを挟持して搬送する。このとき、ヒータ600の熱がベルト603を介してシートPに付与されるため、シートP上のトナー画像Tはニップ部Nにて加熱・加圧されてシートPに定着される。ニップ部Nを通過したシートPはベルト603から分離され排出される。本実施例では、上述のようにして定着処理が行われる。
ユニット60はその長手方向がローラ70の長手方向と実質平行となるように設けられている。ユニット60は、ヒータ600と、ヒータホルダ601と、支持ステー602と、ベルト603を備えている。
ヒータ600は、ベルト603の内面に摺動可能に当接してベルト603を加熱する加熱部材である。また、ヒータ600は、ニップ部Nがシート搬送方向aにおいて所望の幅となるように、ベルト603をその内面側からローラ70に向けて押圧する。ヒータ600の形状は、短手幅5〜20mm、長手方向長さ350〜400mm、厚み0.5〜2mmの板状の部材である。ヒータ600は、シートPの搬送方向aに直交する方向(シートPの幅方向)を長手とする基板610と、抵抗発熱体620(以後、発熱体620と呼ぶ)を備えている。
ヒータ600は、ヒータホルダ601の下面にホルダ長手に沿って形成されている凹部601aに嵌入されてホルダ長手方向に沿って固定されている。なお、本実施例では、基板610の裏面側(ベルト603と摺動しない面側)に発熱体620を設けている。しかし、これに限られるものではなく、発熱体620を基板610の表面側(ベルト603と摺動する面側)に設けてもよい。しかしながら、発熱体620の非発熱部によってベルト603に与える熱にムラが生じないように、基板610の均熱効果が得られる基板610の裏面側に発熱体620を設ける構成が望ましい。ヒータ600の詳細は後述する。
ベルト603は、シートP上の画像Tをニップ部Nにて加熱するための円筒状のベルト(フィルム:エンドレスベルト)である。ベルト603としては、図9の(b)の層構成模式図のように、例えば、基材603a上に弾性層603bを設け、弾性層603b上に離型層603cを設けたものが用いられる。基材603aとしては、ステンレスやニッケル等の金属材料や、ポリイミド等の耐熱樹脂などが用いられる。弾性層603bとしては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性及び耐熱性を有する材料を用いることができる。離型層603cとしては、フッ素樹脂やシリコーン樹脂を用いることが出来る。
本実施例のベルト603は、外径φ約30mm、長手方向(幅方向)の長さは約330mm、厚み約30μmの円筒状のニッケル部材を基材603aとして用いている。そして、この基材603a上に厚み約300μmのシリコーンゴムの弾性層603bを形成し、さらに、厚み約20μmのフッ素樹脂チューブ(離型層603c)を弾性層603b上に被覆している。
ヒータホルダ601(以後、ホルダ601と呼ぶ)は、ヒータ600をベルト603の内面に向かって押圧した状態で保持する部材である。また、ホルダ601は、横断面形状がほぼ半円弧形状であり、ベルト603の回転軌道を規制する機能を備えている。ホルダ601には、耐熱性の樹脂等が用いられる。本例では、デュポン社のゼナイト7755(商品名)を使用した。
支持ステー602は、ホルダ601を介してヒータ600を支持する。支持ステー602は高い圧力を掛けられても撓みにくい材質であることが望ましく、本実施例においてはSUS304(ステンレス鋼)を使用した。
図10に示すように、支持ステー602は、その長手方向の両端部において、一端側と他端側のフランジ411a・411bに支持されている。フランジ411a・411bを総称してフランジ411と呼ぶ。フランジ411は、ベルト603の長手方向の移動、および周方向の形状を規制している。フランジ411には耐熱性の樹脂等が用いられる。本実施例ではPPS(ポリフェニレンサルファイド)を使用した。フランジ411(a,b)と加圧アーム414(a,b)との間には加圧バネ415(a,bが縮められた状態で設けられている。以後、加圧バネ415a、415bを総称して加圧バネ415と呼ぶ。
このような構成により、フランジ411、支持ステー602、ホルダ601を介して、加圧バネ415の弾性力がヒータ600に伝わる。そして、ベルト603がローラ70の上面に対して所定の押圧力で加圧され、シート搬送方向aにおいて所定幅のニップ部Nが形成される。本実施例に於ける加圧力は一端側と他端側がそれぞれが約156.8N、総加圧力が約313.6N(32kgf)である。
図10に示すように、コネクタ700は、ヒータ600に給電を行うためにヒータ600と電気的に接続する給電部材である。コネクタ700は、ヒータ600の長手方向の一端側に着脱可能に取り付けられる。コネクタ700はヒータ600に対して簡便に着脱可能に設けられているため、定着装置40の組立や、ベルト603やヒータ600が破損した際の交換を容易に行うことができ、メンテナンス性に優れている。コネクタ700の詳細は後述する。
ローラ70は、ベルト603の外面に当接することでベルト603と協働してシート上のトナー像Tを加熱するためのニップ部Nを形成するニップ形成部材であるとともにベルト603を回転駆動する駆動回転体である。ローラ70には、金属製の芯金71上に弾性層72が、弾性層72上に離型層73が順に積層した多層構造となっている。
芯金71の材料の例としてはSUS(ステンレス鋼)、SUM(硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材)、Al(アルミニウム)等が挙げられる。弾性層72の材料の例としては弾性ソリッドゴム層、弾性スポンジゴム層、あるいは弾性気泡ゴム層が挙げられる。離型層73の材料の例としてはフッ素樹脂材料が挙げられる。
本実施例のローラ70は、鉄製の芯金71と、芯金71上の発泡シリコーンゴムの弾性層72と、弾性層72上のフッ素樹脂チューブの離型層73とを備えた構成となっている。また、ローラ70の弾性層72及び離型層73を有する部分の寸法は、外径φ約30mm、長さ約330mmである。
図10に示すように、ローラ70の芯金71の両端部はそれぞれ装置筐体41の一端側と他端側の側板41(a,b)との間に軸受け42(a,b)を介して回転可能に保持されている。また、芯金71の軸線方向の一方側の端部にはギアGが設けられており、制御回路(制御部)100で制御されるモータ(駆動源)Mの駆動力をローラ70の芯金71に伝達する。
モータMからの駆動力が伝達されたローラ70は図9の(a)において矢印R70の方向(反時計回り)に回転駆動される。そして、ニップ部Nにてローラ70を介してベルト603に駆動力を伝達することで、ベルト603を矢印R603の方向(時計回り)に従動回転させる。
モータMは、ギアGを介してローラ70を駆動する駆動手段である。制御回路100はモータMの通電を制御するためにモータMに電気的に接続されている。制御回路100によって通電が行われると、モータMはギアGの回転(駆動)を開始する。制御回路100はモータMの回転制御を行っている。制御回路100は、モータMを介してローラ70とベルト603を所定の速度で回転させる。そして、定着処理の実行にともないニップ部Nにて狭持搬送するシートPの速度が、所定のプロセススピード(例えば約200[mm/sec])となるように調整する。
上記のように、モータMの駆動により加圧ローラ70が回転駆動され、これに伴いベルト603が従動回転する。そして、後述するように、加熱するシートPの幅サイズに応じて発熱体領域が発熱するようにヒータ600に対する通電制御がなされ、かつヒータ600の発熱領域が所定の温度に立ち上げられて温調される。
この定着装置状態において、画像形成部側から定着装置40に未定着のトナー像Tを担持したシートPが導入されてニップ部Nに進入して挟持搬送される。これにより、ニップ部Nでトナー像がシートに加熱加圧定着される。ニップ部Nを通過したシートPはベルト603の面から曲率分離して排出搬送されていく。
[ヒータ]
次に、定着装置40に用いられるヒータ600についてその構成を詳細に説明する。先ず、ヒータの発熱方式および発熱幅の切り替え方式を図6の模式図により説明する。(a)は、ヒータ600に用いる発熱方式を説明する説明図である。(b)は、ヒータ600に用いる発熱領域の切り替え方式を説明する説明図である。本実施例のヒータ600は、この図6の(a)、(b)に示す発熱方式を用いるヒータである。
図6の(a)に示すように、A配線には第A電極〜第C電極が接続されており、B配線には第D電極〜第F電極が接続されている。A配線に接続する電極とB配線に接続する電極は発熱体の長手方向((a)の左右方向)に交互に並べて配置されており、各電極の間には通電によって発熱する発熱体(小区間発熱体)が接続されている。A配線とB配線の間に電圧Vが印加されると、隣り合う電極の間には電位差が生じる。そして、図中の矢印で示すように、隣り合う小区間発熱体で流れる電流の向きが互い違いとなるように、各小区間発熱体に電流が流れる。本方式のヒータはこのように発熱を行う。
また、図6の(b)に示すように、B配線と第F電極の間にスイッチ等を設けてB配線と第F電極の接続を切断したとき、第B電極と第C電極は同電位であるので、その間の小区間発熱体には電流が流れなくなる。本方式では、長手方向に並べられた小区間発熱体のそれぞれに個別に通電が行われるため、このようにして配線の接続の一部を切断することで、複数の小区間発熱体の一部だけを発熱させることができる。つまり本方式では配線間にスイッチ等を設けることで発熱領域を切り替えることができる。
本実施例におけるヒータ600は、上述した方式を用いて発熱体620の発熱領域を切り替え可能に構成している。
発熱体は通電が行われるのであれば電流の向きに関係なく発熱するが、本方式のように発熱体の長手方向に沿った向きに電流が流れるように小区間発熱体と電極を配置することが好ましい。なぜならば、本方式では、発熱体に流れる電流が短手方向(長手方向と直交する方向、図6の(a)において上下方向)に沿った向きとなるように電極を配置する構成と比べて次のような利点があるからである。
即ち、発熱体に通電してジュール発熱をさせる場合、発熱体はその抵抗値に応じた発熱を行うため、発熱体は抵抗値が所望の値となるように流す電流の向きに応じて寸法、材質が設計される。このとき、発熱体を設ける基板の寸法は、長手方向に比べて短手方向が非常に短い。そのため、発熱体に対して短手方向に電流を流す場合、低抵抗の材料を用いて発熱体に所望の抵抗値を持たせることは困難である。一方で、発熱体に対して長手方向に電流を流す場合、低抵抗の材料を用いて発熱体に所望の抵抗値を持たせることは比較的に容易である。
また、発熱体に高抵抗の材料を用いる場合、発熱体の厚みムラにより温度ムラを招く虞がある。例えばスクリーン印刷等によって基板の長手方向長手に沿って発熱体材料を塗布する場合、その短手方向において5%程度の厚みムラを生じることがある。これはヘラ状の部材の短手方向の微少な圧力差によって発熱体材料の塗りムラを生じるためである。したがって、本方式のように発熱体に対して長手方向に通電するように発熱体と電極を配置する構成が好ましい。
また、長手方向に並べられた小区間発熱体のそれぞれに個別に通電を行う場合、本方式のように隣り合う小区間発熱体で流れる電流の向きが互い違いとなるように小区間発熱体と電極を配置することが好ましい。
発熱体と電極の他の配置方法としては、両端が電極に接続された複数の小区間発熱体を、長手方向に並べて配置して、長手の同一方向に通電する方法が考えられる。しかしながらこの方法では隣り合う小区間発熱体間に2つの電極が配置されるため、短絡の虞がある。また、求められる電極の数が増え、大きな非発熱部を生じてしまう。
そのため、本方式のように隣り合う小区間発熱体で間に位置する電極を兼用するように小区間発熱体と電極を配置することが望ましい。この配置方法により、電極間での短絡の虞を解消し、また、非発熱部を小さくすることができる。
次に、本実施例のヒータ600の基本構成を図2の模式図を用いて説明する。このヒータ600は、細長い基板610を有する。基板610のベルト630の内面に接する側を表面側とし、その反対側の面を裏面側としている。基板610の表面側にはベルト内面との接触面領域に摺動層690(図3、図4)として、例えば、厚さ約10μmのポリイミド層を設けてもよい。摺動層690を設けることで、ベルト630とヒータ600の間の摺擦抵抗を低減してベルト内面の摩耗を抑制することができる。さらに摺動性を高める場合は、ベルト内面にグリス等の潤滑剤を塗布するとよい。
基板610の裏面側には、基板長手に沿って延在している通電により発熱する抵抗発熱体620、共通電気接点641、この共通電気接点641から発熱体620の長手に沿って延在している共通配線(共通給電配線)640が配設されている。また、その共通配線640から長手に沿って間隔をあけて分岐している複数の共通電極であって、それぞれ発熱体620を横断して発熱体620と電気的に接続している共通電極642(a〜g)が配設されている。
また、複数の個別電気接点651・661(a,b)、その複数の個別電気接点からそれぞれ発熱体620の長手に沿って延在している対向配線(対向給電配線)650・660(a,b)が配設されている。また、それらの対向配線のそれぞれから分岐している複数の対向電極652(a〜d)・662(a,b)を有する。これらの対向電極は、共通電極642(a〜g)と交互に配置されていて発熱体620を横断して発熱体620と電気的に接続して共通電極642(a〜g)とともに発熱体620を長手に沿って複数の小区間発熱体620(a〜l)に区分している。
上記において、共通配線640が図6におけるA配線に相当する。対向配線650・660(a,b)がB配線に相当する。共通電極642(a〜g)が第A電極〜第C電極に相当する。そして、対向電極652(a〜d)・662(a,b)が第D電極〜第F電極に相当する。
以後、小区間発熱体620a〜620lを総称して発熱体620と呼ぶ。共通電極642a〜642gを総称して共通電極642と呼ぶ。対向電極652a〜652cを総称して対向電極652と呼ぶ。対向電極662a〜662bを総称して対向電極662と呼ぶ。対向配線660a、660bを総称して対向配線660と呼ぶ。共通電気接点641と個別電気接点651・661を総称して電気接点と呼ぶ。共通電気接点641、共通配線640、共通電極642、個別電気接点651・661、対向配線650・660、対向電極652・662を総称して導体パターンもしくは配線(給電配線)と呼ぶ。
そして、図3、図4に示すように、導体パターンの共通電気接点641と個別電気接点651・661を除いた部分及び発熱体620は耐熱性ガラスからなる絶縁コート層680によって被覆されている。この絶縁コート層680によって発熱体620、及び上記の導体パターン部分は、リークやショートが生じないように電気的に保護されている。
基板610は、ヒータ600の寸法や形状を決定する部材であり、ベルト603の長手方向(幅方向)に沿ってベルト内面に当接可能な部材である。基板610の材料には、耐熱性・熱伝導性・電気絶縁性などに優れたアルミナ・窒化アルミ等のセラミック材料が用いられる。本実施例では長手方向の長さが約380mm、短手方向の長さ約8mm、厚さ約1mmの窒化アルミの板部材を用いている。窒化アルミの熱伝導率は150[W・(m・K)]である。
発熱体620と導体パターンは導電厚膜ペーストを用いて厚膜印刷法(スクリーン印刷法)によって形成されている。本実施例では、導体パターンには抵抗率が低くなるように銀ペーストが用いられており、発熱体620には抵抗率が高くなるように銀−パラジウム合金のペーストが用いられている。
導体パターンの一部としての共通電気接点641及び複数の個別電気接点651・661(a,b)は基板610の長手方向の一端側610aに基板長手に沿って並べて配設されている。
基板610の長手方向の他端側610cには、発熱体620と導体パターンの一部としての共通電極642a〜642gと対向電極652a〜652d・662a〜662bが設けられている。
基板610の一端側610aと他端側610cの間には、中間領域610bが設けられている。発熱体620よりも基板610の短手方向の一端側610dには、導体パターンの一部としての単一線からなる共通配線(共通給電配線)640が設けられている。
発熱体620よりも基板610の短手方向の他端側610eには、導体パターンの一部としての複数線からなる対向配線(対向給電配線)650・660が設けられている。
発熱体620(620a〜620l)は、通電によってジュール熱を生じる抵抗体である。発熱体620は、基板610上にその長手方向に沿った細長い1つの発熱体として形成されており、基板610の領域610cにおいて基板短手方向の略中央付近に配置されている。
発熱体620は抵抗値が所望の値となるように、幅(基板610の短手方向長さ)1〜4mm、厚み5〜20μmに調整されている。本実施例の発熱体620は、幅約2mm、厚み約10μmである。また、発熱体620の長手方向の総長さは約298mmであり、A4サイズ(幅サイズ:約297mm)のシートPを加熱可能な長さを有する。
発熱体620上には7本の共通電極642a〜642gが長手方向に間隔をあけて並べて積層されている。換言すると、発熱体620は共通電極642a〜642gによって長手方向に6つの区間に区切られている。さらに、発熱体620の長手方向における上記6つの各区間の中央部には6本の対向電極652・662(652a〜652d・662a・662b)の1つがそれぞれ積層されている。
こうして、発熱体620は共通電極642と対向電極652・662とによって長手に沿って合計12の小区間に区切られる。この12の小区間に区切られた発熱体620は複数の小区間発熱体620a〜620lとみなすことができる。別の見方をすれば、複数の小区間発熱体620a〜620lは、隣り合う電極同士を電気的に接続しているといえる。このような構成により、発熱体620は、その長手方向において部分的に発熱することができる。
なお、発熱体620は抵抗値が長手方向で均一となるように形成されており、本実施例においては約92.4Ωである。さらに本実施例では、上記複数の小区間発熱体620a〜620lの両端部の小区間発熱体620aと同620lの長手方向の寸法を他の小区間発熱体620b〜620kの寸法よりも短くする。これにより、抵抗値を小さくして発熱体620の端部での温度ダレを防止する。本実施例において、上記両端部の小区間発熱体620aと同620lの長手方向の寸法は約16mmであり、他の小区間発熱体620b〜620kの長手方向の寸法は約26.6mmである。
発熱量は発熱体の抵抗値に反比例し、発熱体の抵抗値は長手方向の寸法に比例するため、両端部の小区間発熱体620aと同620lの単位面積あたりの発熱量は、他の小区間発熱体620b〜620kの発熱量に対して約166%となる。
なお、発熱体620上の共通電極642及び対向電極652・662が形成された位置では、発熱体620はほぼ発熱しない。しかしながら、基板610の均熱作用があるため、電極642・652・662の太さを1mm以下に抑えることで、定着処理への影響は無視できる程度となる。本実施例の各電極642・652・662の太さは1mm以下となっている。
共通電極642(a〜g)は、上述した導体パターンの一部である。共通電極642は、発熱体620の長手方向と直交するように基板610の短手方向に沿って設けられる。本実施例では、共通電極642は発熱体620上に積層するように設けられている。共通電極642は、本実施例では、発熱体620に接続する電極のうち、発熱体620の長手方向一端から奇数番目に位置する各電極である。共通電極642は、単一線からなる共通配線640、給電用のコネクタ700等を介して、ヒータに給電する電源部である電源110(図1)の一方側の端子110aに接続する。
対向電極652・662は、上述した導体パターンの一部である。対向電極652・662は、発熱体620の長手方向と直交するように基板610の短手方向に沿って設けられる。対向電極652・662は発熱体620に接続する電極のうち、上述した共通電極642以外の電極である。つまり、本実施例では、発熱体620の長手方向一端から偶数番目に位置する各電極である。
つまり、共通電極642と対向電極662・652は発熱体620の長手方向に交互に並べて配置されている。対向電極652・662は、複数線からなる対向配線650・660、給電用のコネクタ700等を介して、電源110の他方側の端子110bに接続する。
共通電極642及び、対向電極652・662は発熱体620に給電する為の電極部として機能を有する。なお、ここでは、発熱体620の長手方向一端から奇数番目を共通電極642、発熱体620の長手方向端部から偶数番目を対向電極652・662として説明したが、ヒータ600はこの構成には限られない。例えば、発熱体620の長手方向一端から偶数番目を共通電極642、発熱体620の長手方向端部から奇数番目を対向電極652・662としてもよい。
また、本実施例では、発熱体620に接続する全ての対向電極うちの4つを対向電極652として設けている。また、発熱体620に接続する全ての対向電極うちの2つを対向電極662として設けている。しかしながら、対向電極の割り振りは本実施例の構成には限られず、ヒータ600が対応する発熱幅に応じて適宜変更してよい。例えば、対向電極652を2つ、対向電極662を4つとしてもよい。
共通配線640は、上述した導体パターンの一部である。共通配線640は、基板610の短手方向の一端側610dにおいて基板610の長手方向に沿って基板長手の一端側610aへと延びている。共通配線640は小区間発熱体620a〜620lに接続された共通電極642a〜642gに接続されている。共通配線640は共通電気接点641に接続されている。
対向配線650は、上述した導体パターンの一部である。対向配線650は基板610の短手方向の他端側610eにおいて基板610の長手方向に沿って基板長手の一端側610aへと延びている。また、対向配線650は小区間発熱体620c〜620j)に接続された対向電極652a〜652d)に接続されている。対向配線650は個別電気接点651に接続されている。
対向配線660(660a、660b)は、上述した導体パターンの一部である。対向配線660aは基板610の短手方向の他端側610eにおいて基板610の長手方向に沿って基板長手の一端側610aへと延びている。また、対向配線660aは発熱体620(620a、620b)に接続された対向電極662aに接続されている。
対向配線660aは、個別電気接点661aに接続されている。対向配線660bは基板610の他端側610eにおいて基板610の長手方向に沿って基板の一端側610aへと延びている。対向配線660bは発熱体620に接続する対向電極662bに接続されている。また、対向配線660bは、個別電気接点661bに接続されている。
共通電気接点641および複数の個別電気接点651・661(a,b)は、上述した導体パターンの一部である。これらの電気接点641・651・661は、コネクタ700からの給電を確実に受けられるように、2.5mm×2.5mm以上の面積を有することが望ましい。本実施例においては、電気接点641・651・661は、基板610の長手方向に沿った長さを約3mmとし、基板610の短手方向に沿った長さを2.5mm以上の配置可能な各長さとした。
電気接点641・651・661a・661bは、発熱体620よりも基板610の長手方向の一端側610aにおいて、基板610の長手方向に約4mmの間隔をあけて並べて設けられている。
図3、図4に示すように、ヒータ600の電気接点641・651・661a・661bのある部位には絶縁コート層680が設けられておらず、これらの電気接点は露出した状態となっている。また、電気接点641・651・661a・661bは基板610のベルト603の長手方向端部から突出する領域610aに設けられる。コネクタ700はこの基板610の領域610aに対して着脱可能に装着(嵌着)される。そのため、電気接点641・651・661a・661bは、コネクタ700と接触して電気的に接続することができる。
ヒータ600にコネクタ700が接続されて、共通電気接点641と個別電気接点651の間に電圧が印加された場合、共通配線640及び対向配線650を介して、共通電極642b〜642fと対向電極652a〜652dの間に電位差が生じる。
そのため、小区間発熱体620c・620d・620e・620f・620g・620h・620i・620jにおいて、基板610の長手方向に沿った電流が隣り合う発熱体で互い違いの向きに流れる。そして、第1の発熱領域としての小区間発熱体620c・620d・620e・620f・620g・620h・620i・620jがそれぞれ発熱する。
ヒータ600にコネクタ700が接続されて、共通電気接点641と個別電気接点661aの間に電圧が印加された場合、共通配線640及び対向配線660aを介して、共通電極642と対向電極662aの間に電位差が生じる。そのため、個別発熱体620a・620bにおいて、基板610の長手方向に沿った電流が隣り合う発熱体で互い違いの向きに流れる。そして、第1の発熱領域に隣接する第2の発熱領域としての小区間発熱体620a・620bがそれぞれ発熱する。
ヒータ600にコネクタ700が接続されて、共通電気接点641と個別電気接点661bの間に電圧が印加された場合、共通配線640及び対向配線660bを介して、共通電極642と対向電極662bの間に電位差が生じる。そのため、小区間発熱体620k・620lにおいて、基板610の長手方向に沿った電流が隣り合う発熱体で互い違いの向きに流れる。そして、第1の発熱領域に隣接する第3の発熱領域としての小区間発熱体620k・620lがそれぞれ発熱する。
このように、ヒータ600は電圧をかける電気接点を選択することで、小区間発熱体620a〜620lの中から発熱させたい小区間発熱体に選択的に通電することができる。
基板610の長手方向の一端側610aと他端側610cの間には中間領域610bが設けられている。詳細には、本実施例では、基板610の共通電極642aと個別電気接点651との間の領域が中間領域610bである。中間領域610bは、ベルト603内に配置されるヒータ600に対して、コネクタ700を取り付けられるようにするための猶予の間隔である。本実施例では中間領域610bとして約26mmを設けた。この値は、共通電極642aと個別電気接点651の間を絶縁する為の距離よりも十分に大きい。
[コネクタ]
次に、コネクタ700についてその構成を詳細に説明する。図4はコネクタ700のハウジング750について説明する図である。図5はコンタクト端子710について説明する図である。
本実施例のコネクタ700はヒータ600に着脱可能に取り付けられることでヒータ600に電気的に接続される。コネクタ700は、共通電気接点641に接触して電気的に接続可能な第1のコンタクト端子710と、個別電気接点651に接触して電気的に接続可能な第2のコンタクト端子730と、を備えている。また、個別電気接点661aに接触して電気的に接続可能な第3のコンタクト端子720aと、個別電気接点661bに接触して電気的に接続可能な第4のコンタクト端子720bと、を備えている。
そして、コネクタ700とベルト603が接触しないように、ヒータ600のベルト603の長手方向から突出した領域610aの表裏をコネクタ700が挟みこむ。これにより、第1乃至第4の各コンタクト端子710・730・720a・720bがそれぞれ対応する電気接点641・651・661a・661bに接続する。
このような構成である本実施例の定着装置40では、コネクタ700と電気接点641・651・661a・661bとの接続に半田付け等を用いない。そのため、定着処理の実行に伴い温度上昇するヒータ600とコネクタ700との間の接続を高い信頼性で維持することができる。また、本実施例の定着装置40では、コネクタ700がヒータ600に対して着脱可能であるため、ベルト603やヒータ600の交換を容易に行うことが出来る。以下、コネクタ700の構成について更に詳細に説明する。
図3に示すように、金属製のコンタクト端子710・720a・720b・730を備えたコネクタ700は、基板610の長手方向の一端側610aにおいて基板610の短手方向の片側からヒータ600に取り付けられる。各コンタクト端子710・720a・720b・730について第1のコンタクト端子710を例に説明する。
図5に示すように、第1のコンタクト端子710は、共通電気接点641と後述する第1のスイッチSW643を電気的につなぐ部材である。コンタクト端子710は電気接点641に接触するための電気接点711と、スイッチSW643に接続するためのケーブル712を備えている。
コンタクト端子710はコの字の形状をしており、図5の矢印方向に移動させることでコの字の形状の隙間にヒータ600を差し込むことができる。コンタクト端子710の電気接点641と接触する個所には電気接点711が設けてあり、この電気接点711が電気接点641と接触することで電気接点641とコンタクト端子710が電気的に接続する。この電気接点711は板バネ性を有しているため押圧しながら電気接点641と接触する。そのため、コンタクト端子710は、ヒータ600の表裏を挟み込んでその位置を固定することが出来る。
同様に、コンタクト端子720aは、電気接点661aと後述するスイッチSW663を電気的につなぐ部材である。コンタクト端子720aは電気接点661に接触するための電気接点721aと、スイッチSW663に接続するためのケーブル722aを備えている。
同様に、コンタクト端子720bは、電気接点661bと後述するスイッチSW663を電気的につなぐ部材である。コンタクト端子720bは電気接点661に接触するための電気接点721bと、スイッチSW663に接続するためのケーブル722bを備えている。
同様に、コンタクト端子730は、電気接点651と後述するスイッチSW653を電気的につなぐ部材である。コンタクト端子730は電気接点651に接触するための電気接点731と、SW653に接続するためのケーブル732を備えている。
金属製の各コンタクト端子710・720a・720b・730は樹脂製のハウジング750に一体に保持されている。各コンタクト端子710・720a・720b・730はヒータ600にコネクタ700を取り付ける際にそれぞれ対応する電気接点641・661a・661b・651にそれぞれ接続可能にハウジング750内において間隔をあけて並べて配置されている。各コンタクト端子間には隔壁が設けられており、各コンタクト端子間の電気的な絶縁性が保たれている。
なお、上述した説明では、コネクタ700を基板610の短手方向端部から取り付ける例について説明したが、コネクタ700の基板610への取り付け方はこれのみには限られない。たとえば、コネクタ700を基板610の長手方向端部から取り付ける構成であってもよい。
[ヒータへの給電]
ヒータ600への給電は、発熱体620の上記の複数の小区間発熱体620a〜620lに関して加熱するシートPの幅サイズに応じてその幅サイズに対応する領域幅にかかる部分における小区間発熱体が発熱するようになされる。これは、共通電気接点641と複数の個別電気接点651・661の少なくとも1つとの電気接点間に電圧が印加されることでなされる。
即ち、発熱体620(a〜l)の発熱領域に関して加熱するシートPの幅サイズに応じた複数の発熱幅、本実施例では第1の発熱幅Aとそれよりも幅狭の第2の発熱幅Bの2つの発熱幅に変更可能である。このような構成により、シートPに効率よく熱を供給することができる。なお、本実施例の定着装置40は、中央基準でシートPを搬送するため、発熱領域も中央を基準して広がっている。
以下、ヒータ600への給電について図1を用いて詳細に説明する。電源(電源部)110は、ヒータ600に電力を供給する機能を有する回路である。本実施例では単相交流の実効値が約100Vの商用交流電源(交流電源)を用いている。本実施例の電源110は、電位の異なる電源端子110aと電源端子110bとを備えている。なお、ヒータ600に電力を供給する機能を有していれば、電源110は直流電源であってもよい。
制御回路100は、スイッチSW643・SW653・SW663をそれぞれ制御するためにそれぞれのスイッチに電気的に接続されている。スイッチSW643は、電源端子110aと電気接点641の間に設けられたスイッチ(リレー)であり、制御回路100からの指示に応じて、電源端子110aと電気接点641を接続するか否か(ON/OFF)の切り替えを行う。
スイッチSW653は、電源端子110bと、電気接点651の間に設けられたスイッチであり、制御回路100からの指示に応じて、電源端子110bと電気接点651を接続するか否かの切り替えを行う。
スイッチSW663は、電源端子110bと、電気接点661(a,b)の間に設けられたスイッチであり、制御回路100からの指示に応じて、電源端子110bと電気接点661(a,b)を接続するか否かの切り替えを行う。
制御回路100は、プリントジョブ(印刷ジョブ)の実行指示の受信にともない、定着処理に使用されるシートPの幅サイズ情報を取得する。この幅サイズ情報に応じてスイッチSW643・SW653・SW663のON/OFFの組みあわせを制御する。即ち、制御回路100は、発熱体620の長手における発熱幅が、取得した幅サイズ情報に対応した幅サイズのシートPを加熱処理するのに適した発熱幅となるように制御する。このとき、制御回路100、電源110、スイッチSW643・SW653・SW663、コネクタ700は、ヒータ600に給電する給電手段として機能する。
装置に導入されるシートPが大サイズシートの場合、たとえばA3サイズを縦送りするシートPや、A4サイズを横送りするシートPの場合、シートPの幅サイズは約297mmとなる。そのため、制御回路100は、発熱体620を第1の発熱幅Aまで発熱させる制御を行う。
具体的には、制御回路100は、スイッチSW643・SW653・SW663のすべてをON状態とする。この場合は、ヒータ600には共通電気接点641及び全ての個別電極661a・661b・651から給電が行われ、発熱体620は12の全ての小区間発熱体620a〜620lが発熱する。このとき、ヒータ600は、第1の発熱幅Aとしての約298mmの全長領域(複数の小区間発熱体620a〜620lの全長域)が均一に発熱するので、幅サイズ約297mmの大サイズシートPを加熱するのに適している。
装置に導入されるシートPが小サイズシートの場合、たとえばA4サイズを縦送りするシートPや、A5サイズを横送りするシートPの場合、シートPの幅サイズは約210mmとなる。
そのため、制御回路100は、発熱体620を第2の発熱幅Bまで発熱させる制御を行う。具体的には、制御回路100は、スイッチSW643と同SW653はON状態にし、スイッチSW663はOFF状態にする。
この場合は、ヒータ600には共通電気接点641及び個別電極651から給電が行われ、個別電極661a・661bに対する給電はなされない。従って、発熱体620は12の小区間発熱体620a〜620lのうちの8の小区間発熱体620c〜620jが発熱する。このとき、ヒータ600は、第2の発熱幅Bとしての約213mm領域が均一に発熱するので、約210mmのシートPを加熱するのに適している。即ち、装置に使用可能な最大幅サイズのシートよりも幅狭のシートを加熱する場合は、制御回路100は上記の複数の電気接点のうちの所定の電気接点間に電圧を印加する。
上述したように、本実施例のヒータ600では、複数の小区間発熱体620(a〜l)の端部の小区間発熱体620aと同620lの長手方向の寸法を他の小区間発熱体620b〜620kの長手方向の寸法よりも短くしている。即ち、これにより、複数の小区間発熱体620(a〜l)の端部の小区間発熱体620aと同620lの抵抗値を他の小区間発熱体620b〜620kの抵抗値よりも小さくして発熱体620の端部での温度ダレを防止する。
こうすることにより、発熱体620の長手方向の総長さがA4サイズ(幅約297mm)のシートPを加熱可能な最小限の長さである約298mmであっても問題はない。即ち、第1の発熱幅Aまで発熱させる制御を行うことによって、シートPの幅方向端部においても定着性が低下することがなく、幅方向に均一な定着性を得ることができる。また、発熱体620の長手方向の総長さが約298mmまで短くすることが可能となり、発熱体のコストアップ及び画像加熱装置の大型化を抑制することができる。
加えて、本実施例の定着装置40では、ヒータ600の長手方向の一端側に単一のコネクタ700を取り付けてヒータ600に給電を行う。言い換えれば、ヒータ600の長手方向の他端側にコネクタ700を取り付けることをしない。したがって、ヒータ600にコネクタ700を取り付け可能にするための基板610の猶予の間隔が、基板610の一端側にのみ求められる。そのため、基板610の両端側にコネクタを取り付ける場合と比べて基板610の長手長さの拡大を抑制することができる。
つまり、コネクタ700を取り付け可能にしたことによる基板610及び画像加熱装置40の長手方向への大型化を抑制することができる。そして、ヒータ600の製造コストを削減することができる。
[温度センサ]
図1において、630はヒータ温度を検知する温度センサとしてのサーミスタ(TH)である。このサーミスタ630はヒータ裏面側において絶縁コート層680の表面に接着されて配設されており、絶縁コート層680により発熱体620や導体パターンとは電気的に絶縁されている。なお、図1においては、絶縁コート層680は省略されている。
また、本実施例のプリンタ1においてはシートの搬送が中央基準でなされる。そこで、サーミスタ630は発熱体620の長手方向のほぼ中央部に対応するヒータ部分の温度を検知すべく、小区間発熱体620fと同620gの両者に跨る部分に対応するヒータ裏面部分に配設されている。
サーミスタ630は、リード線630aとA/Dコンバータ(不図示)を介して制御回路100に接続しており、検知した温度に応じた出力を制御回路100に送信する。制御回路100は、各種制御に伴う演算を行うCPUと、各種プログラムを記憶したROM等の不揮発性記憶媒体を備えた回路である。このROMにはプログラムが記憶されており、CPUがこれを読みだして実行することで、各種制御を実行する。なお、制御回路100としては、同様の機能を果たせばASIC等の集積回路などでもよい。
また、制御回路100は、電源110の通電内容を制御するように電源110と電気的に接続されている。また、制御回路100は、サーミスタ630の出力を取得するようにサーミスタ630に電気的に接続されている。制御回路100はサーミスタ630から取得(入力)した検知温度情報を電源110の通電制御に反映させている。
つまり、制御回路100は、サーミスタ630の出力をもとに、電源110を介してヒータ600へ供給する電力を制御している。本実施例では、制御回路100が電源110の出力の波数制御を行うことで、ヒータ600の発熱量を調整する。このような制御をおこなうことで、ヒータ600は定着を行う所定の温度(例えば、約180℃)に立ち上げられてほぼ一定に維持される。
《実施例2》
次に、実施例2のヒータ600について説明する。実施例2のヒータ600の構成は、実施例1ほぼ同様である。即ち、長手方向の総長さが約298mmである発熱体620を有する。その発熱体620が7本の共通電極642a〜642gと6本の対向電極652、662(652a〜652d、662a、662b)によって長手に沿って12の小区間発熱体620(a〜l)に区切られている。また、発熱体620の端部の小区間発熱体620aと同620lの長手方向の寸法が他の小区間発熱体620b〜620kの寸法(約26.6mm)よりも短くなっている。
実施例1のヒータ600と異なっているのは、発熱体620の端部の小区間発熱体620aと同620lの長手方向の寸法が異なっている点であり、小区間620aの寸法が同620lの寸法よりも短くなっている。
これは、ヒータ600の長手方向の一端側に単一のコネクタ700を取り付けた場合に、発熱時の熱がコネクタ700へ逃げやすくなってしまう。これによりコネクタ700が取り付けられていない側(非コネクタ側)よりも定着性が低下してしまうことを防止するためである。
具体的に、本実施例のヒータ600において、小区間発熱体620aの長手方向の寸法は約15mmであり、小区間発熱体620lの長手方向の寸法は約17mmである。なお、発熱体620は抵抗値が長手で均一となるように形成されており、本実施例においては実施例1と同様に約92.4Ωである。小区間発熱体620aと小区間620lの単位面積あたりの発熱量はそれぞれ、小区間発熱体620b〜620kの発熱量に対して約177%と約156%となる。
《比較例1》
図7は比較例1のヒータ800の構成模式図であり、使用するシートの幅サイズに応じて発熱領域の幅サイズを変更することができないヒータである。このヒータ800は、基板810と、基板810上の発熱体820と、導体のパターン(給電配線)830・840と、発熱体820と導体のパターン(給電配線)を覆う絶縁コート層(不図示)を備えている。基板810及び発熱体820の材料・寸法・製法は実施例1における基板610及び発熱体620と同じである。
図7に示すように、基板810の長手方向の一端側810aには、導体パターンの一部としての電気接点831・841が設けられている。基板810の長手方向の他端側810cには、発熱体820と導体パターンの一部としての電極832・842が設けられている。基板810の一端側810aと他端側810cの間には、中間領域810bが設けられている。
発熱体820よりも基板810の長手方向の一端側810bには、導体パターンの一部としての給電配線840が設けられている。発熱体820よりも基板810の短手方向の他端側810eには、導体パターンの一部としての給電配線830が設けられている。
発熱体820は実施例1と同じく、幅約2mm、厚み約10μmであり、発熱体820の長手方向の総長さも実施例1と同じく、A4サイズ(幅約297mm)のシートPを加熱可能な長さである約298mmとしている。
発熱体820の抵抗値は長手方向で均一となるように形成されており、実施例1と長手方向全域にわたる総発熱量が同じになるように抵抗値を調整した。発熱体820の抵抗値は約7.7Ωである。この比較例1のヒータ800は、給電用のコネクタ700により電気接点831・841間に電圧が印加されることで発熱体820の全長域が専らに発熱するもので、使用するシートの幅サイズに応じて発熱領域の幅サイズを変更することができない。
《比較例2》
図8は比較例2のヒータ600Aの構成模式図である。この比較例2のヒータ600Aの構成は実施例1のヒータ600とほぼ同様である。実施例1のヒータ600と異なっているのは、複数の小区間発熱体620a〜620lの各長手方向の寸法がすべて等しくなるように共通電極と対向電極とにより区切られている点である。すなわち、発熱体620の長手方向の総長さは約298mm(A4サイズ(幅約297mm)のシートPを加熱可能な長さ)であるから、小区間発熱体620a〜620lの各長手方向の寸法は約24.8mmである。
発熱体620は抵抗値が長手方向で均一となるように形成されており、本比較例2においては実施例1と同様に約92.4Ωである。したがって、各小区間発熱体620a〜620lにおける単位面積あたりの発熱量は略等しくなる。また、本比較例2において各電極の太さは実施例1と同様に1mm以下となっており、電極が形成された位置が発熱しないことによる定着処理への影響は無視できる程度である。
《比較例3》
比較例3のヒータ600Bについて説明する。この比較例3のヒータ600Bは、実施例2のヒータ600との対比において次の点が異なるだけで他のヒータ構成は同じである。即ち、実施例2のヒータ600においては、前記のように、発熱体620の長手方向の一端側の小区間発熱体620aの長手方向の寸法を約15mmに、他端側の小区間発熱体620lの長手方向の寸法を約17mmにしている。本比較例3のヒータ600Bではその寸法関係を逆にして、一端側の小区間発熱体620aの長手方向の寸法を約17mmに、他端側の小区間発熱体620lの長手方向の寸法を約15mmにしたものである。
従って、一端側の小区間発熱体620aと他端側の小区間発熱体620lの単位面積あたりの発熱量はそれぞれ、他の小区間発熱体620b〜620kの発熱量に対して、実施例2のヒータ600の場合とは逆に約156%と約177%となる。
《評 価》
実施例1および2のヒータ600と比較例1、2、3のヒータ800・600A・600Bとの比較評価結果を表1に示す。比較評価は、実施例および比較例に係るヒータをそれぞれ図9、図10で説明したベルト加熱方式の定着装置40のヒータとして用いて定着装置を稼働して調べた。
(非通過部昇温の評価)
非通過部昇温(非通紙部昇温)の評価は、低温度(15℃程度)かつ低湿度(10%程度)の環境下で行った。加圧ローラ70の回転速度(周速)を246mm/secとした。シートとしてA4サイズシート(用紙:商品名「GF−C104」、キヤノン株式会社製)を用いた。このシートを横送り(幅約297mm)50枚/分で連続プリントしたときと、縦送り(幅約210mm)26枚/分で連続プリントしたときのベルト603におけるシートの非通過部(非通紙部)の表面温度に基づいて行った。
具体的には、ニップ部Nからシート搬送方向上流側90°に位置するベルト603の長手方向中央部における表面温度が170℃に維持されるように、ヒータによる加熱温度を調整しながら500枚連続プリントを行う。そして、500枚連続プリント中のベルト603の非通過部領域の表面温度を放射型温度計で測定した。
本評価においては、ベルト603が所定温度(例えば250℃)以上にまで加熱されると定着装置が劣化・破損してしまうことに鑑み、ベルト603の非通過部領域の表面温度が250℃に到達した場合はそこでプリントを終了した。
(定着性の評価)
定着性の評価についても非通過部昇温の評価と同様、低温度(15℃程度)かつ低湿度(10%程度)の環境下で行った。加圧ローラ70の回転速度(周速)を246mm/secとした。シートとして、坪量80g/m2のA4サイズシート(用紙:商品名「Red Label」、キヤノン株式会社製)を用いた。このシートを横送り(幅約297mm)50枚/分、及び縦送り(幅約210mm)26枚/分で連続プリントした。シート導入中のベルト603の表面温度は約170℃とした。
ここで定着性とは定着画像の擦りに伴う濃度低下率(単位:%)をもって表される。濃度低下率とは、定着装置40が冷えた状態から、黒およびハーフトーン(灰色)の5mm角の未定着画像がA4サイズシートの上に9ヵ所配されたシートPを定着装置40によって定着させる。そして、出力されたシートPの定着画像を一定の条件で擦ったときの、擦り前の濃度から擦り後の濃度を引いた濃度低下分を、擦り前の濃度で割ったものとして算出する。
このとき、画像の濃度は濃度測定器(マクベス社製)にて測定する。よって、この擦り試験による濃度低下率が小さいほど定着性が良いということになる。この濃度低下率はA4サイズシート上の9ヵ所の黒およびハーフトーン画像全てに関して算出し、500枚を連続プリントしたときの所定枚数にて1ヵ所でも20%を超えるとNG(×)と判断している。
比較例1のヒータ800(図7)は、使用するシートの幅サイズに応じて発熱領域の幅サイズを変更することができないため、小サイズシート(A4縦送り)を連続導入したときの非通過部温度が250℃以上であり、非通過部昇温の発生を抑制できない。
一方、比較例2のヒータ600A(図8)は、使用するシートの幅サイズに応じて発熱領域の幅サイズを変更することができるため、大サイズシート(A4横送り)及び小サイズシート(A4縦送り)のいずれにおいても非通紙昇温を十分に抑制できている。小サイズシート(A4縦送り)を連続導入するときには、発熱体620は12個の小区間発熱体620a〜620lのうち8個の小区間発熱体620c〜620jが発熱する。
このとき、ヒータ600Aの発熱体620は8個の小区間発熱体620c〜620jの約198mmの領域が均一に発熱するが、A4縦サイズ(幅約210mm)よりも発熱幅が短くなってしまう。したがって、非通過部温度は低くなるものの、シート幅端部の定着性は大幅に低下してしまうことになる。
一方、大サイズシート(A4横送り)を連続導入するときには、発熱体620は12個の小区間発熱体620a〜620lのすべての区間が発熱する。このとき、ヒータ600Aの発熱体620は約298mmの全長領域が均一に発熱する。しかし、シート幅サイズ(約297mm)とほぼ同等の幅であるため、シート幅中央部では良好(濃度低下率20%未満)な定着性が得られる加熱状態であっても、発熱領域外のベルト端部やローラ端部及びヒータ基板端部などへの熱逃げによる温度ダレが生じる。そのために、シート幅端部の定着性は低下してしまう。
これに対し、実施例1のヒータ600(図1、図2)では、比較例2のヒータ600B(図8)と同様にシート幅サイズに応じて発熱領域の幅サイズを変更することができる。そのため、大サイズシート(A4横送り)及び小サイズシート(A4縦送り)のいずれにおいても非通過部昇温を十分に抑制できている。
加えて、発熱体620の発熱幅Aは約298mmで、A4横サイズ(幅約297mm)とほぼ同等の幅である。これにもかかわらず、発熱体620の長手方向両端部の小区間発熱体620aと同620lの長手方向の寸法を他の小区間発熱体620b〜620kの寸法よりも短くして単位面積あたりの発熱量を大きくしている。この効果によって、シート幅端部においても良好な定着性が得られている。
さらに、実施例2のヒータ600では、実施例1のヒータ600と同様に発熱体620の両端部の小区間発熱体620aと同620lの長手方向の寸法が他の小区間発熱体620b〜620kの寸法よりも短い。これに加え、コネクタ700が接続される基板610の一端側に位置する小区間発熱体620aの長手方向の寸法を他端側(非コネクタ側)の小区間発熱体620lの寸法よりも短くしている。
即ち、コネクタ側の小区間発熱体620aの単位面積あたりの発熱量を非コネクタ700側の小区間発熱体620lの発熱量よりも大きくした効果によって、コネクタ700側のシート端部の定着性が実施例1よりも良化している。すなわち、実施例1のヒータ600と同様にシート幅サイズによらず非通過部昇温を抑制できる。これに加え、大サイズシート(A4横送り)において実施例1よりも幅方向に均一な定着性を得ることができている。
一方で、比較例3のヒータ600Bでは、実施例2のヒータ600とは反対にコネクタ700側の小区間発熱体620aの単位面積あたりの発熱量を非コネクタ側の小区間発熱体620lの発熱量よりも小さくしている。そのため、コネクタ700側のシート幅端部の定着性が低下してしまっている。
以上のように、実施例1、2のヒータ600では、発熱体620の発熱領域をシート幅サイズに応じて切り替え可能である。そして、発熱体620の長手方向両端部の小区間発熱体620aと同620lの電極間での抵抗をそれら以外の各小区間発熱体620b〜620kの電極間での抵抗よりも低くすることで、発熱体620の端部での温度ダレを防止する。
こうすることで、発熱体620の長手方向の総長さがA4サイズ(幅約297mm)のを加熱可能な最小限の長さである約298mmであっても、発熱幅Aまで発熱させる制御を行うことによって、シート幅方向端部においても定着性が低下することがない。そのため、シート幅方向に均一な定着性を得ることができる。また、発熱体620の長手方向の総長さが約298mmまで短くすることが可能となり、発熱体620のコストアップ及び定着装置(画像加熱装置)の大型化を抑制することができる。
加えて、実施例1、2の定着装置40では、ヒータ600の長手方向の一端側に単一のコネクタ700を取り付けてヒータ600に給電を行う。言い換えれば、ヒータ600の長手方向の他端側にコネクタ700を取り付けることをしない。
したがって、ヒータ600にコネクタ700を取り付け可能にするための基板610の猶予の間隔が、基板610の一端側にのみ求められる。そのため、基板610の両端側にコネクタを取り付ける場合と比べて基板610の長手長さの拡大を抑制することができる。つまり、コネクタを取り付け可能にしたことによる基板610及び画像加熱装置の長手方向への大型化を抑制することができる。そして、ヒータ600の製造コストを削減することができる。
一方で、単一のコネクタ700をヒータ600の長手方向一端側に取り付けた場合、コネクタ700側のシート幅方向端部における定着性が非コネクタ側のシート幅方向端部の定着性よりも低下してしまう。そのため、発熱体620のコネクタ側端部の小区間発熱体620aの抵抗を非コネクタ側端部の小区間発熱体620lの抵抗以下とする。これにより、コネクタ700を一端側に取り付けたことによる温度ダレの非対称性を抑制することができ、より幅方向に均一な定着性を得ることができる。
《その他の実施例》
(1)以上、本発明を適用することができる実施例について説明したが、各実施例で例示した寸法等の数値は一例であって、この数値に限定されるものではない。発明を適用できる範囲において、数値は適宜選択できる。また、発明を適用できる範囲において実施例に記載の構成を適宜変更してもよい。
(2)ヒータ600の発熱領域のパターンは大サイズと小サイズの2パターンのみには限られない。例えば、3パターン以上の発熱領域を有していてもよい。
(3)発熱体620の形成方法は、実施例に記載の方法のみには限られない。詳細には、実施例では、基板610の長手方向に沿って延びた発熱体620上に共通電極642と対向電極652・662を積層している。しかしながら、基板610の長手方向に電極を並べて形成し、隣り合う各電極間に小区間発熱体620a〜620lをそれぞれ形成する構成であってもよい。
(4)発熱体620の長手方向両端部の小区間発熱体620aと同620lの抵抗をそれ以外の小区間発熱体620b〜620kよりも低くする方法は、実施例に記載の長手方向の寸法を短くするのみには限られない。例えば、小区間発熱体620aと同620lの幅をそれ以外の小区間発熱体620b〜620kの幅よりも広くしてもよい。また、小区間発熱体620aと同620lの厚みをそれ以外の発熱体620b〜620kの幅よりも厚くしたりすることによって抵抗を低くしてもよい。
(5)また、電気接点の数は3つ又は4つには限られない。全ての電気接点が基板610の一端側610aに配置された構成であれば、5つ以上の電気接点を有していてもよい。例えば、実施例1、2において、基板610の一端側610aにおいて、電気接点641、651、661a、661bとは異なる電気接点が設けられていてもよい。
(6)また、電源端子110a側に接続される電気接点は、電気接点641のみには限られない。例えば、基板の一端側610aにおいて、電源端子110a側に接続される電気接点であって電気接点641とは異なる電気接点を設けてもよい。
(7)ベルト603は、ヒータ600によってその内面を支持され、ローラ70によって駆動される構成に限られない。例えば、複数のローラに架け渡されてこれらの複数のローラのいずれかによって駆動されるベルトユニット方式であってもよい。しかしながら、低熱容量化の観点から実施例のような構成が望ましい。
(8)ベルト603とニップ部Nを形成するものは、ローラ70のようなローラ部材には限られない。例えば、複数のローラにベルトを架け渡した加圧ベルトユニットを用いてもよい。
(9)プリンタ1を例に説明した画像形成装置は、フルカラーの画像を形成する画像形成装置に限られず、モノクロの画像を形成する画像形成装置でもよい。また画像形成装置は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、複写機、FAX、及び、これらの機能を複数備えた複合機等、種々の用途で実施できる。
以上の説明における画像加熱装置は、未定着のトナー画像をシートPに定着する装置のみには限られない。例えば、半定着済みのトナー画像をシートPに定着させる装置や、定着済みの画像に対して加熱処理を施す装置であってもよい。したがって、画像加熱装置としての定着装置40は、例えば、画像の光沢や表面性を調節する表面加熱装置であってもよい。