以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同じ構成要素(ブロック)または相当する構成要素(ブロック)には同じ符号を付している。以下の説明において、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器の構成図である。図2は、本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器の操作部における表示を示す模式図である。図3A〜図3Dは、本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器の加熱コイルおよび被加熱物の配置例を示す模式図である。
まず、本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器100の構成について説明する。図1に示す誘導加熱調理器100において、外郭を構成する本体1の上面に、被加熱物が載置されるトッププレート2が設置されている。トッププレート2は、結晶化ガラスで作製されることが多いが、それに限られない。
トッププレート2の下方には、縦(図1では前後方向)に並べられた複数の加熱コイル3が配置されている。図1に示す誘導加熱調理器100では、複数の加熱コイル3は、4つの加熱コイル、即ち、第1の加熱コイル3a、第2の加熱コイル3b、第3の加熱コイル3c、および、第4の加熱コイル3dにより構成されている(以下、総称して、単に加熱コイル3と称することがある)。トッププレート2下方の複数の加熱コイル3(本実施の形態では、4つの加熱コイル3a,3b,3c,3d)は、トッププレート2に描かれた2つの加熱エリア、すなわち、第1の加熱エリア4aおよび第2の加熱エリア4bにグループ分けされている。第1の加熱エリア4aには、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bが配置され、第2の加熱エリア4bには、第3の加熱コイル3cおよび第4の加熱コイル3dが配置されている。
また、第1の加熱エリア4aおよび第2の加熱エリア4bが隣接して配置されていることにより、1つの被加熱物が複数の加熱エリア4に跨って載置されても、被加熱物を加熱することが可能となっている。複数の加熱コイル3(即ち、第1の加熱コイル3a、第2の加熱コイル3b、第3の加熱コイル3cおよび第4の加熱コイル3d)は、制御部8の指示に従ってインバータ回路5より供給される高周波電流によって磁束を発生し、これによりトッププレート2に載置される被加熱物を誘導加熱する。
なお、本実施の形態では、複数の加熱コイル3は、縦に4行、横に1列、並べられているが、2つ以上の加熱コイルが並べられるのであれば、このような配置に限定されない。
また、加熱コイル3、インバータ回路5、負荷検出部6、操作部7、制御部8および無負荷報知部9は、それぞれが相互に電気的な入出力信号を送受信しているが、その結線を記載すると図が煩雑となるため、あえて結線は記載せず、その繋がりは文章にて説明する。
インバータ回路5は、加熱コイル3に高周波(約20kHz〜100kHz)の電流を供給し、加熱コイル3の直上にある鍋などの金属で構成された被加熱物を加熱する。また、インバータ回路5は、負荷検出部6に、加熱を行う際に流れるコイルの電流およびコイル両端の電圧などの情報を出力し、加熱可能な被加熱物(負荷)が直上にある加熱コイル3の情報を負荷検出部6から入力する。また、インバータ回路5は、被加熱物(負荷)が直上にある加熱コイル3には、継続して高周波電流を供給する。さらに、インバータ回路5は、制御部8に、正常に高周波電流を供給することができるか、或いは、異常が発生して電流を供給できなければ、どの様な異常が発生しているかという情報を出力する。
負荷検出部6は、加熱コイル3と、インバータ回路5と、操作部7と、制御部8とに接続されている。また、負荷検出部6は、インバータ回路5から電流が加熱コイル3へと供給されたときのコイル電流、コイル間電圧およびインバータ回路への入力電力などから、加熱コイル3の直上に加熱可能な被加熱物(負荷)があるか無いかを検出する。また、負荷検出部6は、加熱コイル3で負荷を検出した情報を、インバータ回路5、操作部7および制御部8に出力している。
なお、負荷検出部6は、静電容量で被加熱物と加熱コイルとの容量結合を検知することで、被加熱物の有無を検出する静電容量式であっても、また、別途設けられた検知用のコイルのインダクタンスの変化を検知することにより、負荷(被加熱物)の有無を検出するものであっても、同様の効果を得ることができる。
操作部7は、誘導加熱調理器100の使用者が操作できる入力部と、入力部(後に図2の説明で詳細を記述する)によって選択、或いは、設定された情報を表示する表示部(後に図2の説明で詳細を記述する)とを備える。操作部7は、制御部8と、無負荷報知部9とに接続されている。また、操作部7は、誘導加熱調理器100の使用者が選択した加熱エリア4の位置情報を負荷検出部6へ出力し、使用者が選択した加熱エリア4の位置と、加熱する電力量(火力)などの設定された情報を制御部8へと出力する。また、操作部7は、インバータ回路5が正常に選択された加熱エリア4で設定された電力量(火力)を供給できているか、異常が発生していれば、どの様な異常が発生しているか、などの情報を制御部8から入力して表示する。さらに、操作部7は、設定された加熱エリア4内に被加熱物が直上に無い加熱コイル3の情報が無負荷報知部9から入力されると、加熱コイル3が無負荷であることを、後述する加熱コイル表示部11を点滅させるなどして、目視できる報知を行う。
さらに、操作部7は、負荷検出部6から出力された、加熱コイル3における負荷情報をもとに、後述するコイル表示部11での表示を変更する。
制御部8は、インバータ回路5、負荷検出部6、操作部7および無負荷報知部9に接続されている。制御部8には、操作部7から出力された、使用者が選択した誘導加熱調理器100の加熱エリア4、および、加熱エリアでの設定された電力量(火力)などの情報が入力され、入力された情報はインバータ回路5へと出力される。また、制御部8には、インバータ回路5から、異常なく正常に選択された加熱エリア4で設定された電力量(火力)を供給できているか、異常が発生していれば、どの様な異常が発生しているか等の情報が入力される。さらに、制御部8には、負荷検出部6から、どの加熱コイル3の直上に鍋などの被加熱物(負荷)があるか等の情報が入力され、入力された情報は操作部7および無負荷報知部9に出力される。
無負荷報知部9は、操作部7および制御部8に接続されている。無負荷報知部9は、発音部を備えていてもよい。本実施の形態では、無負荷報知部9は発音部を備えている。無負荷報知部9は、制御部8から入力された情報(信号)をもとに、選択された加熱コイル3の少なくとも1つの上に被加熱物(負荷)が無い状態を表示する情報を、操作部7へ出力する。発音部を備えている場合は、必要に応じてブザー音および音声を用いた報知を、発音部により行う。
なお、本実施の形態では、インバータ回路5と、負荷検出部6と、操作部7と、制御部8と、無負荷報知部9とは、それぞれの別々の回路ブロックとして存在して結線されている形態を例示しているが、この形態に拘るものではない。同一の基板上に全ての回路ブロック(インバータ回路5、負荷検出部6、操作部7、制御部8および無負荷報知部9)が混在しても、また、マイクロコンピュータ内部にプログラムとして混在していても、同等の効果が得られ、表示および報知が可能であることはいうまでもない。
また、本実施の形態では、無負荷報知部9は発音部を備えているが、これに拘るものではなく、他の報知機能が用いられてもよく、また、選択された加熱コイル3上に被加熱物(負荷)が無い状態を表示する情報を操作部7へ出力するだけでも、本発明の効果が得られることは言うまでもない。
図2は、操作部7を上から見た図であり、図1に記載の加熱エリア4aが使用者により選択されて、火力がレベル5に設定され、第1の加熱コイル3aおよび加熱コイル3bの直上に、被加熱物(負荷)が載置されたとき(後に説明する図3Aの配置)の操作部7における表示例を示している。
操作部7は、加熱エリア選択部10、電源入切部12および火力調節部13などの入力部と、加熱コイル表示部11と、設定表示部14とから構成されている。それぞれの入力部は、トッププレート2下面に電極を備えており、人がトッププレート2の上から触れることによって変化する静電容量の変化を利用して、操作されたことを検知している。
それぞれの表示部は、トッププレート2下面に配置された発光素子(LED)を発光、消灯または点滅させることにより、もしくは輝度を変化させることにより、あるいは発光色を変化させることにより、トッププレート2を透過して発光状態の変化が目視できるように構成されている。
なお、本実施の形態では、それぞれの入力部はトッププレート2に予め印刷されているが、それに限らず、操作が可能な入力部だけを表示し、操作が出来ない入力部は表示しない機能を有する表示部を備えた入力部が用いられた場合でも、本実施の形態による効果と同等の効果を得ることができる。
また、それぞれの入力部は、静電容量の変化によって操作されたことを検知する静電容量方式によって操作内容を検知しているが、操作部7はトッププレート2がくり貫かれるなどして別の材質で構成されていても同等の効果が得られる。例えば、接点を備えたスイッチを使用した接点方式によって操作内容を検知することで、静電容量式よりも安価な検知構成を実現することができる。
また、本実施の形態において、それぞれの表示部は、発光素子(LED)を用いて発光状態の変化を表示しているが、液晶を用いて発光している部分の形状を変化させてもよく、多様なバリエーションで発光状態を表現することが可能である。
加熱エリア選択部10は、加熱エリア4aを選択するための加熱エリア選択部10aと、加熱エリア4bを選択するための加熱エリア選択部10bとから構成されている。また、それぞれの加熱エリア選択部10a,10bを2度押しすると、加熱エリア4aと加熱エリア4bの両方を選択することが可能な構成となっている。
加熱コイル表示部11は、第1の加熱コイル3aの状態を表示する第1の加熱コイル表示部11a、第2の加熱コイル3bの状態を表示する第2の加熱コイル表示部11b、第3の加熱コイル3cの状態を表示する第3の加熱コイル表示部11c、および、第4の加熱コイル3dの状態を表示する第4の加熱コイル表示部11dから構成されている。加熱エリア選択部10aを使用者が選択すると、加熱エリア選択部10aの内にある第1の加熱コイル表示部11aおよび第2の加熱コイル表示部11bが輝度を変化させて明るく輝く(図2では、この状態を太線で示しており、明るく輝いていない他のコイル表示部は細線で示している)。
なお、本実施の形態では、四角い形状である加熱エリア選択部10の内側に楕円の加熱コイル表示部11を表示する構成を例示しているが、加熱エリア選択部10は、例えば単なるドット表示を各加熱エリア選択部10の中心位置に配置するなどの他の表示方法であってもよい。加熱エリア選択部10は、加熱エリア選択部10を操作することで、複数の加熱コイル3が選択されるよう構成されていればよい。
また、加熱コイル表示部11についても、楕円である必要はなく、四角、丸および複数の線など、任意の形状であっても、どの加熱コイル3に各加熱コイル表示部11が対応しているか判別できる形状および色彩であれば、同等の効果を得ることができる。
また、加熱コイル表示部11は、操作部7の中に配設されているが、特に操作部7内部に配設されている構成に拘るものではなく、使用者が目視しやすい場所に設置され、どの加熱コイルを表示しているか明確に判る配置であればよい。
電源入切部12は、誘導加熱調理器の主電源を入り切りする入力部である。火力調節部13は、第1の火力調節部13aと第2の火力調節部13bとから構成されており、第1の火力調節部13aを操作すると、選択された加熱エリア4での火力のレベルがアップし、第2の火力調節部13bを操作すると火力のレベルがダウンする。
設定表示部14は、第1の加熱エリア4aで設定された火力のレベルを表示する第1の設定表示部14aと、第2の加熱エリア4bで設定された火力のレベルを表示する第2の設定表示部14bとから構成されている。
なお、本実施の形態では、加熱が設定されていない設定表示部14bはゼロを表示しているが、加熱設定されていない場合は消灯していてもよく、設定表示部14bが他の表示をしていても、本発明を何ら制約するものではない。また、設定表示部14の表示位置も、加熱コイル表示部11の外側に配置されているが、内側に配置されていてもよい。むしろ、設定表示部14が加熱コイル表示部11の内側に配置されている場合は、どの加熱コイルがどの様な設定となっているか判りやすく視認できる。
図3A〜図3Dは、加熱エリア4の上に被加熱物15が載置されている様子を誘導加熱調理器の上から見た配置図であり、図1に記載のトッププレート2に透明なガラス板が使用された場合に、加熱コイル3を図3A〜図3Dの位置に確認することができる。
図3Aは、加熱エリア4a上に正しく被加熱物15が載置されている状態を示している。この状態では、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bともに直上に被加熱物15があると負荷検出部6によって検知される。このため、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bともに、インバータ回路5から高周波電流が供給され、被加熱物15の底面が斑なく加熱される。
図3Bは、加熱エリア4aから少し食み出て被加熱物15が載置されている状態を示している。この状態では、加熱コイル3bの直上に被加熱物15があると負荷検出部6によって検知されるが、第1の加熱コイル3aの直上に被加熱物15が無いと負荷検出部6によって検知される。このため、インバータ回路5から第1の加熱コイル3aには高周波電流が供給されず、第2の加熱コイル3bだけに高周波電流が供給され、被加熱物15の中央部だけが加熱されるため、第2の加熱コイル3bの直上に戴置されていない被加熱物15の部分は加熱されず斑ができてしまう。
図3Cは、加熱エリア4aから半分ほど食み出て被加熱物15が載置されている状態を示している。この状態では、第2の加熱コイル3bの直上に被加熱物15があると負荷検出部6によって検知されるが、第1の加熱コイル3aの直上に被加熱物15が無いと負荷検出部6によって検知され、さらに、第3の加熱コイル3cの直上にも被加熱物15があると検知される。
図3Dは、加熱エリア4a内に被加熱物15が載置されているが、被加熱物15が加熱コイル3の1つ分の大きさしか無いため、第2の加熱コイル3bの直上に被加熱物15があると負荷検出部6によって検知される。しかしながら、加熱コイル3aの直上に被加熱物15が無いと負荷検出部6によって検知される。この状態は、使用者の意図通りであり、正しい使い方と判断されて被加熱物15が加熱される。
次に、加熱の設定および負荷の加熱を表示する動作について説明する。
まず、操作部による加熱コイルの選択動作について説明する。本実施の形態の誘導加熱調理器100では、誘導加熱調理器100の使用者が、操作部7に配置された電源入切部12に触れると、全ての加熱コイル表示部11が暗く点灯し、設定表示部14はゼロを表示する。
次に、第1の加熱エリア選択部10aに触れると第1の加熱エリア4aが選択され、第1の加熱エリア4aを構成する第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bそれぞれに対応する第1の加熱コイル表示部11aおよび第2の加熱コイル表示部11bの輝度が増して、第3の加熱コイル表示部11cおよび第4の加熱コイル表示部11dよりも明るく点灯する。
このとき、同様に第2の加熱エリア選択部10bに触れると、第3の加熱コイル表示部11cおよび第4の加熱コイル表示部11dの輝度が増して明るく点灯(以下、この点灯状態を明点灯と称す)し、第1の加熱コイル表示部11aおよび第2の加熱コイル表示部11bは、輝度が低下して暗く点灯(以下、この点灯状態を暗点灯と称す)する。
なお、第1の加熱エリア選択部10a或いは第2の加熱エリア選択部10bの何れかを連続で2回触れると、第1の加熱エリア4aおよび第2の加熱エリア4bの両方が選択される。この場合、第1の加熱コイル表示部11a、第2の加熱コイル表示部11b、第3の加熱コイル表示部11cおよび第4の加熱コイル表示部11dの全てが明点灯する。
さらに、火力調節部13を操作することにより、第1の設定表示部14aは火力レベルを表示し、第1の加熱エリア4aでの加熱動作が開始する。
上述のように、本実施の形態では、操作部7によって、上側(本体奥側)の2つの加熱コイル3(第3の加熱コイル3cおよび第4の加熱コイル3d)、下側(本体手前側)の2つの加熱コイル3(第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3b)、もしくは、全ての加熱コイル3を選択できるように、加熱エリア選択部10が構成されている。ここで、加熱エリア選択部10は、使用者にとって使い勝手が良いように加熱コイルが選択され得ることが好ましく、上述のような選択パターンに限定されなくても、2つ以上の加熱コイル3が選択できる構成であり、さらに、選択した加熱エリア4の周辺に選択されていない加熱コイル3が設置されていれば、本実施の形態による効果と同等の効果を有する。
次に、負荷検出部および制御部の動作(第1の制御動作)について説明する。
上述のように、加熱エリア選択部10aが操作されると、操作部7は、選択された第1の加熱エリア4aに対応する第1の加熱コイル表示部11aおよび第2の加熱コイル表示部11bを明点灯する。次に、火力調節部13が操作されると、設定された火力レベルで加熱を開始するべく、操作部7は設定された情報を、負荷検出部6と、制御部8へ出力する。
制御部8には、操作部7からの設定情報が入力され、制御部8は、入力された設定情報に準じた加熱情報をインバータ回路5へ出力する。インバータ回路5は、入力された設定情報に準じて、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bへと高周波電流を供給する。
上述のように、本実施の形態では、例えば第1の加熱エリア4aが選択されると、インバータ回路5は第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bへ同時に高周波電流を供給している。しかし、このような構成に拘るものではなく、第1の加熱コイル3aへ高周波電流を供給してコイル電流およびコイル間電圧などの情報を入手した後で、第2の加熱コイル3bへ高周波電流を供給してコイル電流およびコイル間電圧を入手する構成とすることで、コイル電流を検知する構成、および、コイル間電圧を検知する構成を共用することが可能となる。このような構成によっても同等の効果を有することは明白である。
インバータ回路5は、加熱コイル3のそれぞれへと高周波電流を供給し、それぞれのコイル電流およびコイル間電圧の情報を負荷検出部6へ出力すると、負荷検出部6は、加熱コイル3のそれぞれの直上に誘導加熱が可能な被加熱物15があるか無いか検出し、検出した情報をインバータ回路5と、制御部8と、無負荷報知部9とへ出力する。
以下、このように構成された誘導加熱調理器における第1の制御動作を説明する。
負荷検出部6からの情報(信号)が、選択された全ての加熱コイル3の上に被加熱物がある場合(例えば、図3Aの状態)では、インバータ回路5は、制御部8から入力された加熱情報の通り、加熱コイル3へと高周波電流の供給を継続し、操作部7も表示内容を変更せず設定状態を維持し、制御部8も加熱コイル3への加熱情報を変更せず維持し、無負荷報知部9は何も動作しない。
次に、負荷検出部6からの情報が、選択された加熱コイル3のうち少なくとも1つの加熱コイル3の上に被加熱物が無い場合、例えば、図3Bに示すような配置では、インバータ回路5は、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bへの高周波電流の供給を停止する。制御部8は、負荷検出部6から送信された情報、すなわち第1の加熱コイル3a上に被加熱物15が無く、第2の加熱コイル3b上に被加熱物がある状態の出力情報を得て、インバータ回路5と負荷検出部6へ第1の加熱コイル3aでの負荷検出を継続する出力を6秒間ほど行い、無負荷報知部9へ第1の加熱コイル3aの上に被加熱物15が無い状態を報知する情報を6秒間ほど出力する。無負荷報知部9は、例えばスピーカ(発音部)などを用いて音声で使用者へ第1の加熱コイル3a上に鍋が無いことを注意する旨を報知する。無負荷報知部9は、さらに操作部7へと第1の加熱コイル3a上に鍋が無いことを報知する情報を出力し、操作部7は無負荷報知部9からの入力により第1の加熱コイル表示部11aを点滅させて鍋が無いことを注意喚起する。
制御部8の出力によってインバータ回路5および負荷検出部6が加熱コイル3a上での負荷の有無を検知している間に、使用者が図3Bに示すような配置から図3Aに示すような配置へと被加熱物15が移動された場合は、負荷検出部6が第1の加熱コイル3a上の被加熱物15を検知し、その検知情報を制御部8へと出力する。制御部8は、使用者が選択した第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bの2つ加熱する指示をインバータ回路5へ出力する。また、制御部8は、第1の加熱コイル3aにおいて無負荷の状態から負荷がある状態へと変化した情報を無負荷報知部9へ出力する。無負荷報知部9は、第1の加熱コイル3a上に鍋が無いことの報知と、操作部7へと第1の加熱コイル3a上に鍋が無いことを報知する情報の出力とを停止する。操作部7は、無負荷報知部9からの出力が停止したことを認識して、第1の加熱コイル表示部11aの点滅表示を明点灯表示へ戻す。
一方で、制御部8の出力によってインバータ回路5および負荷検出部6が第1の加熱コイル3a上での負荷の有無を検知している状態で、無負荷報知部9によって第1の加熱コイル3aには被加熱物(負荷)が無い状態を報知しているにも関らず、被加熱物(負荷)の位置が変わらないまま6秒が経過すると、制御部8は、第2の加熱コイル3bだけで加熱して第1の加熱コイル3aでの加熱は停止する信号をインバータ回路5へ出力する。また、制御部8は、第1の加熱コイル3aでの負荷の検知を停止する信号を負荷検出部6へ出力する。また、第1の加熱コイル3a上に鍋が無いことを無負荷報知部9へ報知することを停止する信号を出力するため、無負荷報知部9は操作部7へ第1の加熱コイル3a上に鍋が無いことを報知する信号の出力を停止し、操作部7は第1の加熱コイル表示部11aの点滅を停止する。
また、操作部7は、操作部7から第1の加熱コイル3aと第2の加熱コイル3bとで加熱することが設定されたにも関らず、第2の加熱コイル3b上だけに鍋があり、第1の加熱コイル3aには鍋が無いまま6秒が経過したため、第1の加熱コイル3aで加熱を行わない情報を操作部7へと出力する。操作部7は、第1の加熱コイル表示部11aの表示を、加熱を選択された状態である明点灯から選択されていない状態である暗点灯へと変更する。
次に、負荷検出部および制御部の動作(第2の制御動作)について説明する。まず、第2の制御動作について、例えば図3Cに示すような配置では、操作部7において第1の加熱エリア4aを選択する第1の加熱エリア選択部10aが操作され、第1の加熱コイル表示部11aおよび第2の加熱コイル表示部11bが明点灯する。火力調節部13が操作された場合、負荷検出部6は、第1の加熱コイル3a上に被加熱物15が無く、第2の加熱コイル3b上に被加熱物15があることを検知し、インバータ回路5と、制御部8と、無負荷報知部9とへ、第1の加熱コイル3aでは負荷が無い状態で、第2の加熱コイル3bでは負荷がある状態という情報を送信する。
負荷検出部6からの情報を受信し、インバータ回路5は、第1の加熱コイル3aへの高周波電流の供給を停止する。制御部8は、第1の加熱エリア4aに隣接する第2の加熱エリア4bに配置された第3の加熱コイル3cの直上に、被加熱物15があるか無いかを確認する信号を、インバータ回路5および負荷検出部6へと送信する。無負荷報知部9は、選択された加熱エリア4aに隣接する加熱エリア4bに配置された加熱コイル3cの上方に負荷があるか無いかという情報を待つ。
インバータ回路5は、制御部8からの信号を受信し、使用者が選択していない第3の加熱コイル3cへと高周波電流を供給し、負荷検出部6が第3の加熱コイル3c上に被加熱物15があるか無いか判断できるコイル電流およびコイル間電圧の情報が得られた時点で高周波電流の供給を停止し、コイル電流およびコイル間電圧の情報を負荷検出部6へ送信する。
図3Cに示すような配置で被加熱物15が第3の加熱コイル3c上に載置されている場合、負荷検出部6は、インバータ回路5が第3の加熱コイル3cへ高周波電流を供給して得たコイル電流およびコイル間電圧の情報をもとに、第3の加熱コイル3cの直上に被加熱物15があることを判定して、第3の加熱コイル3c上では負荷があるという情報を制御部8および無負荷報知部9へ送信する。
制御部8は、負荷検出部6から送信された情報、すなわち選択された第1の加熱エリア4a内の第1の加熱コイル3a上に被加熱物15が無く、選択された第1の加熱エリア内の第2の加熱コイル3bと選択されてない第3の加熱コイル3c上に被加熱物がある状態の情報を得て、インバータ回路5および負荷検出部6へ第1の加熱コイル3aでの負荷検出を継続する出力を6秒間ほど行う。また、制御部8は、無負荷報知部9へ第1の加熱コイル3aの上に被加熱物15が無い状態を報知する情報を約6秒間出力する。無負荷報知部9は、スピーカ(発音部)などを用いて音声で使用者へ第1の加熱コイル3a上に鍋が無いことを注意する旨を報知し、さらに操作部7へと第1の加熱コイル3a上に鍋が無いことを報知する情報を出力する。操作部7は、無負荷報知部9からの出力により、第1の加熱コイル表示部11aを点滅させて鍋が無いことを注意喚起する。
この後、負荷検出部6が第1の加熱コイル3a上に被加熱物15が載置されていない状態を報知している間(例えば6秒間)に、被加熱物15の位置を使用者が移動させた場合、或いは移動させなかった場合の各ブロックでの動作は、上述した第1の制御動作と同じである。
一方で、例えば図3Dに示すような配置においても、操作部7において第1の加熱エリア4aを選択する第1の加熱エリア選択部10aが操作され、第1の加熱コイル表示部11aおよび第2の加熱コイル表示部11bが明点灯する。火力調節部13が操作された場合、負荷検出部6は、第1の加熱コイル3a上に被加熱物15が無く、第2の加熱コイル3b上に被加熱物15があることを検知する。また、負荷検出部6は、インバータ回路5と、制御部8と、無負荷報知部9とへ、第1の加熱コイル3aでは負荷が無い状態で、第2の加熱コイル3bでは負荷がある状態という情報を送信する。
インバータ回路5は、負荷検出部6からの情報を受信し、第1の加熱コイル3aへの高周波電流の供給を停止する。制御部8は、第1の加熱エリア4aに隣接する第2の加熱エリア4bに配置された第3の加熱コイル3cの直上に、被加熱物15があるか無いかを確認する信号を、インバータ回路5および負荷検出部6へ送信する。無負荷報知部9は、選択された第1の加熱エリア4aに隣接する第2の加熱エリア4bに配置された第3の加熱コイル3cに負荷があるか無いかという情報を待つ。
インバータ回路5は、制御部8からの信号を受信し、第3の加熱コイル3cへ高周波電流を供給し、第3の加熱コイル3c上に被加熱物15があるか無いか判断できるコイル電流およびコイル間電圧の情報を負荷検出部6へ送信する。
図3Dに示すような配置の場合、すなわち被加熱物15が第3の加熱コイル3c上に載置されていない場合、負荷検出部6は、第3の加熱コイル3cの直上に被加熱物15が無いことを検出し、その情報を制御部8および無負荷報知部9へ送信する。
制御部8は、負荷検出部6から送信された情報、すなわち選択された第1の加熱エリア4a内の第1の加熱コイル3a上にも、第1の加熱エリア4aに隣接する第2の加熱エリア4b内の第3の加熱コイル3c上にも、被加熱物15が無く、選択された第2の加熱エリア4a内の第2の加熱コイル3b上に被加熱物がある状態の情報を得て、トッププレート2上の被加熱物15が加熱コイル3の1個と同等の大きさであると判断する。また、制御部8は、第1の加熱コイル3aでの加熱動作を停止して第2の加熱コイル3bだけで加熱する状態へ変更すべく、インバータ回路5と、負荷検出部6と、操作部7とへ加熱状態の情報を出力する。
制御部8が出力する加熱状態によって、インバータ回路5は、第2の加熱コイル3bのみへ高周波電流を供給する。負荷検出部6は、加熱している第2の加熱コイル3bだけ負荷の状態が変化しないか継続して検知を行う。操作部7は、第1の加熱コイル表示部11aを選択されている明点灯表示から加熱していない暗点灯表示へと変化させて、無負荷報知部9は何の動作も行わない。
すなわち、第2の制御動作は、第1の制御動作と異なり、選択された加熱エリア4内にある加熱コイル3のうち少なくとも1つの加熱コイルの直上に被加熱物15が無い場合には、加熱エリア4に近接した加熱エリア4内の加熱コイル3の上に被加熱物15があるか無いかが検知され、ある場合は無負荷報知部9によって無負荷の加熱コイル3があることが報知され、無い場合は無負荷報知部9での報知は行われない。
なお、図3Bに示すような配置は、第2の加熱コイル3bおよび第3の加熱コイル3cが近接することによって図3Cと実質的に同等の配置になる。また、被加熱物15および加熱コイル3の大きさが近くなると、図3Dと実質的に同等の配置となる。
また、負荷検出部6が、選択された全ての加熱コイル3の直上に被加熱物15が存在しないと判定した場合、その判定信号を受けた制御部8は、選択された加熱エリア4内にある加熱コイル3上に負荷が無い状態のままか継続して検知する指示をインバータ回路5と負荷検出部6とへ1分間ほど出力する。また、制御部8は、選択された加熱エリア4内にある全ての加熱コイル3に被加熱物15が無い状態を無負荷報知部9へ1分間ほど出力する。無負荷報知部9は、スピーカ(発音部)などを用いて音声で使用者へ選択された加熱コイル3上に被加熱物15が無いことを注意する旨を報知し、さらに、選択された加熱エリア4内の加熱コイル3全ての上に被加熱物15が無いことを操作部7へと報知する情報を出力する。操作部7は、無負荷報知部9からの出力により選択された加熱エリア4内の加熱コイル3に対応する加熱コイル表示部11を点滅させて被加熱物15が無いことを注意喚起する。
加熱コイル3上の被加熱物15が無い状態が1分間ほど継続して続いた場合、制御部8は、選択された加熱エリア4での火力設定などを初期化する。また、操作部7においては、明点灯していた加熱コイル表示部11は、暗点灯に戻され、設定表示部14の表示内容も設定されていない表示へと戻す。
このように、本実施の形態においては、選択された加熱エリア4内の2つ以上の加熱コイル3全ての上方に被加熱物15が無いことを報知する報知時間は、選択された加熱エリア4内の2つ以上の加熱コイルのいずれか1つの上方に被加熱物15が無いことを報知する報知時間よりも長く設定されていてもよい。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2の誘導加熱調理器の構成を示す模式図である。図5は、本発明の実施の形態2の誘導加熱調理器の操作部における表示を示す模式図である。図6A〜図6Cは、本発明の実施の形態2の誘導加熱調理器の加熱コイルおよび被加熱物の配置例を示す模式図である。
まず、本実施の形態における誘導加熱調理器200の構成について説明する。
図6A〜図6Cに示す誘導加熱調理器200において、図1と同じ構成要素(ブロック)には同じ符号を付している。温度検知素子16は、加熱エリア4のそれぞれに1つずつ、かつ、隣接する加熱コイル3の間に配置されている。具体的には、例えば図6Aに示すように、第1の加熱コイル3aと第2の加熱コイル3bとの間に第1の温度検知素子16aが、第3の加熱コイル3cと第4の加熱コイル3dとの間に第2の温度検知素子16bが設けられている。
温度検知素子16は、被加熱物15から放射される赤外線の量を検知して温度を測定できるフォトダイオード等から構成される赤外線式の温度検知素子(以下、赤外線センサと称する)から構成されている。赤外線センサは、トッププレート2を介して(或いは透過して)被加熱物15の温度を検知し、または被加熱物15以外から入射する赤外線(以下、外乱光と称する)を検知して、検知した温度データを温度調節部17へと出力する。
なお、本実施の形態では、温度検知素子16は、被加熱物15から放射される赤外線の量を検知して温度を測定できるフォトダイオード等から構成される赤外線センサによって構成されているが、単に温度を検知するだけの機能を有する伝熱式のサーミスタなどの温度センサでもよく、温度を検知する素子が用いられていれば、本実施の形態により得られる効果と同等の効果を得ることができる。
また、温度調節部17は、温度検知素子16と電気的に接続され、さらにインバータ回路5、負荷検出部6および制御部8と接続されている。温度調節部17は、温度検知素子16が検知して出力された被加熱物15の赤外線の量および外乱光による温度データを入力して、インバータ回路5と、負荷検出部6と、制御部8とへ温度調節の情報を出力する。
インバータ回路5は、複数の加熱コイル3それぞれへ高周波電流を供給し、負荷検出部6が加熱コイル3の直上に被加熱物15があるか無いか、或いは、被加熱物15の材質が同じであるかを判断するためのコイル電流、コイル間電圧およびインバータ回路に流れる入力電力などの情報が得られた時点で、高周波電流の供給を停止する。また、インバータ回路5は、複数の加熱コイル3それぞれで得られたコイル電流、コイル間電圧およびインバータ回路5への入力電力などの情報を負荷検出部6へ出力する。
インバータ回路5は、選択された加熱コイル3上に被加熱物15が載置されて加熱できる場合、温度調節部17からの情報を入力し、火力をアップ、ダウン、或いは、加熱を停止するなどして、被加熱物15の温度が設定温度となるように火力を調節する。また、負荷検出部6および制御部8から異常を検出した情報が入力されると、火力を低下させ、或いは、加熱を停止し、火力を低下した状態または加熱を停止した状態を制御部8へと出力する。
負荷検出部6は、温度調節部17からの情報を入力し、正しく被加熱物15の温度が検出できているのか、またはインバータ回路5によって加熱を開始する時点で、既に所定の温度以上となる異常な温度データが検出されているのかなどの負荷状態を検出し、制御部8へと検出した情報を出力する。さらに、負荷検出部6は、所定の電力量で加熱を行うと被加熱物15が正常に温度上昇しているか、または温度上昇していない場合は外乱光に含まれる赤外線によって被加熱物15が温度の調節を行えない形状であるか、或いは、複数の被加熱物15が加熱エリア4の内にあるかなどの負荷状態を検出し、制御部8へと検出した情報を出力する。
制御部8には、温度調節部17からの情報が入力され、制御部8は、インバータ回路5が正常に加熱している状態か、或いは負荷検出部6が正常に温度調節を行える状態かなどの出力情報を総合的に判断して、操作部7から入力された設定通りに加熱を継続するか、もしくは操作部7から入力された設定とは異なる設定に変更する等の制御を行う。具体的には、例えば、制御部8は、加熱を停止するなどして、異常を使用者へ報知すべく操作部7にて異常を表示したり、加熱コイル3の上に被加熱物15が正しく載置されていないことを報知する表示へと表示内容を変更したりする。
図4に示すように、本実施の形態の誘導加熱調理器200は、温度調節部17を備えている。誘導加熱調理器200は、さらに、図5に示すように、入力部として温度調節設定部18を備えている。本実施の形態の誘導加熱調理器200は、使用者が選択した加熱エリア4で加熱を設定する際に、火力レベルを設定するだけでなく、温度調節設定部18を操作して温度調節する設定温度について火力調節部13を用いて設定することで、被加熱物15を加熱しながら被加熱物15の温度を設定した値に温度調節する機能を備えている。
図6A〜図6Cは、図1に記載したトッププレート2の上に被加熱物15が載置されている様子を誘導加熱調理器の上から見た配置図である。トッププレート2が透明なガラス板を使用した場合に、加熱コイル3と、第1の加熱エリア4aと、温度検知素子16とを図6A〜図6Cで示す位置に確認することができる。
図6Aは、第1の加熱エリア4a上に被加熱物15が正しく載置されている。この状態では、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bともに直上に被加熱物15があると負荷検出部6によって検知される。このため、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bともに、インバータ回路5から高周波電流が供給され、被加熱物15の底面が斑なく加熱される。また、図6Aの配置例においては、第1の温度検知素子16aは、外乱光の影響を受けることなく、被加熱物15の温度を正しく検知している。
図6Bは、被加熱物15が加熱エリア4aから半分ほど食み出て載置されている状態を示している。この状態では、加熱コイル3bの直上に被加熱物15があると負荷検出部6によって検知されるが、加熱コイル3aの直上に被加熱物15が無いと負荷検出部6によって検知され、さらに、加熱コイル3cの直上にも被加熱物15があると検知される。また、この状態では、第1の温度検知部16aも被加熱物15の温度を正しく検知できず、さらに、被加熱物15が放射する赤外線以外の外乱光に含まれる赤外線の量を検知する。
図6Cは、第1の加熱エリア4a上に第1の被加熱物15aおよび第2の被加熱物15bが載置されている。図6Cにおいて、第1の被加熱物15aは、第1の加熱コイル3aの直上に、第2の被加熱物15bは、第2の加熱コイル3bの直上に、載置されている。しかしながら、第1の温度検知素子16aの上には、第1の被加熱物15aおよび第2の被加熱物15bのどちらも載置されておらず、第1の被加熱物15aおよび第2の被加熱物15bのどちらの温度も正しく検知できずに、外乱光が検知される。
なお、本実施の形態において、第1の被加熱物15aと第2の被加熱物15bとは異なる材質で構成されている。例えば、第1の被加熱物15aはアルミ生地の底面に発熱体を埋め込んだ鍋、第2の被加熱物15bは磁性ステンレスで底面が構成された鍋である。負荷検出部6は、第1の被加熱物15aおよび第2の被加熱物15bのどちらかが僅かに第1の温度検知素子16aの上に載せられて被加熱物の温度を検知した場合でも、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bの上にある鍋が異なる材質であることを検出し、制御部8は、温度調節部17を伴った加熱動作を停止する。
次に、加熱の設定および負荷の加熱を表示する動作について説明する。
まず、操作部による加熱コイルの選択動作について説明する。本実施の形態の誘導加熱調理器200では、誘導加熱調理器200の使用者が操作部7に配置された電源入切部12に触れると、全ての加熱コイル表示部11が暗点灯となり、設定表示部14はゼロを表示する。
次に、第1の加熱エリア選択部10aに触れると、第1の加熱エリア4aが選択され、第1の加熱エリア4aを構成する第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bに対応する、第1の加熱コイル表示部11aおよび第2の加熱コイル表示部11bは、明点灯となり、第3の加熱コイル表示部11cおよび第4の加熱コイル表示部11dは暗点灯を継続する。
さらに、温度調節設定部18が操作されると、第1の設定表示部14aは、設定された温度を表示する。第1の火力調節部13a或いは第2の火力調節部13bが操作されると、第1の設定表示部14aが表示している設定温度がアップ、或いはダウンする。操作部7は、制御部8へ設定された加熱エリア4の情報と、温度調節レベルの情報を出力して、温度調節を伴った加熱動作が開始される。
上述のように、本実施の形態では、操作部7によって、上側(本体奥側)の2つの加熱コイル3(第3の加熱コイル3cおよび第4の加熱コイル3d)、下側(本体手前側)の2つの加熱コイル3(第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3b)、もしくは、全ての加熱コイル3を選択できるように、加熱エリア選択部10が構成されている。本実施の形態における誘導加熱調理器200は、2つ以上の加熱コイル3と、加熱コイル3の間に温度検知素子が設置されている。ここで、加熱エリア選択部10は、使用者にとって使い勝手が良いように加熱コイルが選択され得ることが好ましく、上述のような選択パターンに限定されるものではない。2つ以上の加熱コイル3と、1つ以上の温度検知素子が選択できる構成であればよく、さらに、選択した加熱エリア4の周辺に、選択されていない加熱コイル3が設置されていれば、本実施の形態により得られる効果と同等の効果を有する。
次に、負荷検出部および制御部の動作(第3の制御動作)について説明する。
上述のように、操作部7で第1の加熱エリア4aを選択し、温度調節設定部18を操作して設定すると、制御部8は、操作部7からの設定情報を受信し、インバータ回路5と、負荷検出部6と、温度調節部17とへ、選択された加熱エリアおよび設定された温度などの情報を出力する。
図6Aに示すような位置に被加熱物15が配置されている場合、第1の加熱エリア4a内にある第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bともに被加熱物15が直上にあり、かつ、同じ材質であると、負荷検出部6によって判定され、負荷検出部6は検出した結果(情報)を制御部8へと出力する。
また、赤外線センサなどによって構成される第1の温度検知素子16aによって、検知された赤外線の量から算出される温度データを、温度調節部17は検知して負荷検出部6へと出力する。負荷検出部6は、加熱を開始する時点では温度が低く、加熱が開始され所定の電力量でインバータ回路5が加熱すると、被加熱物15の温度が所定値以上まで上昇するなど、正常に被加熱物15の温度が検知できる状態であると判定し、検出した結果(情報)を制御部8へと出力する。
負荷検出部6から出力された情報より、制御部8は、操作部7によって設定された温度に調節する加熱動作が可能であると判断し、温度調節部17からの温度情報によって第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bへ供給する高周波電流の量を加減するように制御する信号をインバータ回路5へと出力する。
図6Bに示すような位置に被加熱物15が配置されている場合、第1の加熱コイル3a上に被加熱物15が無く、第2の加熱コイル3bおよび、第3の加熱コイル3cの上に被加熱物15がある状態を負荷検出部6は検知し、第1の温度検知素子16a上には被加熱物15が存在しないと判定し、制御部8へと検出した判定結果(情報)を出力する。
制御部8は、負荷検出部6から出力された情報より、操作部7によって設定された温度に調節する加熱動作はできないと判断する。この場合、制御部8は、第1の加熱コイル3a上に被加熱物15が無く、第3の加熱コイル3c上に被加熱物15があることを無負荷報知部9へ報知させる。また、制御部8は、第1の加熱コイル3aでの負荷検出を継続して行うように、インバータ回路5および負荷検出部6それぞれへ指示情報を出力する。
制御部8は、無負荷報知部9による報知を所定時間ほど継続して行った後、負荷検出部6によって第1の加熱コイル3aでの負荷状態に変化が無ければ、インバータ回路5および負荷検出部6へ負荷検出を停止させる。また、制御部8は、無負荷の報知を停止させるよう無負荷報知部9へ指示情報を出力するとともに、使用者が設定した温度調節設定を解除して電源を入れた直後の表示へと変更させるように操作部7へ指示情報を出力する。
一方で、無負荷報知部9による報知を行っている間に、第1の加熱コイル3a上に被加熱物15が検出され、かつ、第1の加熱コイル3a上の被加熱物15の材質と、第2の加熱コイル3b上の被加熱物15の材質とが同じと判断された場合、制御部8は、操作部7によって設定された温度に調節する加熱動作が可能であると判断する。また、制御部8は、温度調節部17からの温度情報に従って第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bへ供給する高周波電流の量を加減するように制御する指示情報を、インバータ回路5へ出力する。
第1の被加熱物15aおよび第2の被加熱物15bが図6Cに示す位置に配置されている場合、負荷検出部6は、第1の加熱コイル3a上および第2の加熱コイル3b上に被加熱物が存在していると判定する。
しかしながら、温度調節部17からの温度情報において、加熱コイル3で加熱する前から外乱光に含まれる赤外線によって第1の温度検知素子16aからの温度データが所定値以上の温度である場合、および、被加熱物の温度が急上昇しないレベルの所定の電力量で加熱を行っても第1の温度検知素子16aによって検知された温度が所定値まで上昇しない場合などは、負荷検出部6は、外乱光の影響によって正しく温度が検知できない状態であると判定し、制御部8へと判定結果(情報)を出力する。
制御部8は、負荷検出部6からの情報を得て、操作部7によって設定された温度に調節する加熱動作はできないと判断し、無負荷報知部9へ被加熱物が適正でないことを報知するように指示情報を出力する。また、制御部8は、インバータ回路5および負荷検出部6へ、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bの上に被加熱物が継続して置かれているか、断続的に検知を継続するよう指示情報を出力する。
負荷検出部6は、加熱コイル3の上に載置された第1の被加熱物15aおよび第2の被加熱物15bの底面を構成する材質を検知する機能を備える。第1の被加熱物15aがアルミ生地の底面に発熱体を埋め込んだ鍋、および、第2の被加熱物15bが磁性ステンレスで底面を構成した鍋である場合、第1の被加熱物15aが直上に載置された第1の加熱コイル3aと、第2の被加熱物15bが直上に載置された第2の加熱コイル3bとへ、同じコイル電流を供給したとき、インバータ回路5への入力電力が変化する。具体的には、第1の加熱コイル3aよりも第2の加熱コイル3bへ供給したときの方がインバータ回路5への入力電力が増加することから、材質の差を判定することが可能である。また、負荷検出部6は、1つの加熱エリア内に2つの材質の被加熱物が載置され、温度調節部17を伴う加熱を行うには不適切な被加熱物の配置であることを検知し、その情報を制御部8へと出力する。
負荷検出部6から1つの加熱エリア4内に2つの被加熱物が載置されて温度調節部17による加熱動作を行えない状態であるという情報が制御部8へ出力されると、制御部8は、その情報の信号を無負荷報知部9へと出力して使用者へと報知させる。これと同時に、インバータ回路5および負荷検出部6へ継続して第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bの直上にある被加熱物の材質を継続して検知を行う指示を出力する。
無負荷報知部9は、制御部8から1つの加熱エリア内に2つの被加熱物が載置されている情報を受け、無負荷報知部9が備えているスピーカ(発音部)などを用いて、音声にて使用者へ、複数の被加熱物が同時に1つの加熱エリアに戴置された場合は温度調節部17で温度を検知しながら火力を調節することはできないことを報知する。また、無負荷報知部9は、異なる被加熱物が第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bそれぞれに載置されていることを表示する信号を操作部7へ出力する。
操作部7は、無負荷報知部9からの信号を受けて、第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bに、異なる材質の鍋が載置されていることを視覚で使用者が理解できるように、第1の加熱コイル表示部11aおよび第2の加熱コイル表示部11bにより、操作部7における第1の加熱コイル3aおよび第2の加熱コイル3bそれぞれに対応する表示色、点滅の間隔および点滅のタイミング等を変化させる。
次に、インバータ回路および制御部の別の形態について説明する。
本実施の形態の誘導加熱調理器200においては、選択された加熱コイル3のうち少なくとも1つの加熱コイルの上方に被加熱物が存在しないと判定された場合、制御部8およびインバータ回路5は、上方に被加熱物が存在しないと判定された加熱コイルへの高周波電流の供給を一時的に停止する。
ここで、制御部8は、負荷検出部6によってインバータ回路5を動作させず、別途設置された負荷検出用のコイルおよび電極等によって被加熱物の有無を検知し、加熱コイルの直上に被加熱物15が存在しないと判定された時点から所定時間経過後に、初めて電力の供給を停止するように構成されていてもよい。さらに、制御部8は、上記のように電力の供給を停止するまでの間、直上に被加熱物15が存在しないと判定された加熱コイル3、或いは、異なる材質の被加熱物15が載置されている加熱コイル3に対応する加熱コイル表示部11を点滅させるよう構成されていてもよい。このような構成により、被加熱物15の位置と選択された加熱エリア4内の加熱コイル3の位置との不整合が、使用者に通知されることができる。被加熱物15が載置された位置に誤りがあれば、この通知によって、使用者は、被加熱物15を載置する位置を正すべき猶予時間が与えられることになる。
なお、被加熱物15の大きさよりも大きい範囲で加熱エリア4が選択されてしまっていた場合には、直上に被加熱物15が存在しないと判定された加熱コイル3については、そのまま放置しておけば自動的に電力供給が停止することになる。
また、本実施の形態の誘導加熱調理器200において、使用する予定の加熱コイル3に対応する操作部7が操作(選択)されてから実際に加熱が開始されるまでに、所定時間の待ち時間が設けられていてもよい。また、本実施の形態の誘導加熱調理器200は、加熱開始操作部が別途設けられ、加熱開始操作部が操作されてから加熱が開始されるよう構成されていてもよい。
このような構成により、使用者が、使用する予定の加熱コイル3に対応する操作部7を操作(選択)する際、操作誤りなどにより、使用者の意図とは異なる選択状態となったとしても、加熱開始までの時間において使用者は再度選択操作を行うことができる。よって、本実施の形態の誘導加熱調理器200は、鍋などの被加熱物(負荷)の誤った置き位置によって発生する加熱の斑および調理物の焦げなどの調理の失敗を防止することができ、使用者にとって扱いやすい安心感のある操作体系を備える。
以上説明したように、本実施の形態の誘導加熱調理器200は、使用予定の複数の加熱コイルが予め選択され、選択された加熱エリア内の加熱コイル3のうち少なくとも1つの加熱コイルの直上に被加熱物が無い場合には、操作部の加熱コイル表示部などにより被加熱物が無い加熱コイルを報知するため、使用者が被加熱物の位置を修正することを可能として、加熱の斑および調理の焦げなどの調理の失敗を防止することができる。
また、本実施の形態の誘導加熱調理器200においては、使用者が予め選択する使用予定の加熱エリアの中にある加熱コイルと、使用予定の加熱エリアに隣接する加熱コイルに対してのみ被加熱物の検出が行われる。つまり、本実施の形態の誘導加熱調理器200においては、加熱対象として選択されていなくて、かつ、加熱する加熱エリアに隣接していない加熱コイルについては、被加熱物の検出が行われない。
このため、本実施の形態の誘導加熱調理器200においては、消費電力、インバータおよび加熱コイルの発熱、並びに、不要輻射についての低減、並びに、負荷検出にかかる時間についての短縮を図ることができる。使用者にとっては、実際に加熱させる(複数の)加熱エリア4および加熱コイル3の範囲に関するイメージと、操作部7および加熱エリア選択部10による操作範囲に関するイメージとが、合致しやすくなる。つまり、使用者は、加熱しようとして選択する位置(場所)を直感的に把握することができる。
また、本実施の形態の誘導加熱調理器200においては、使用者が使用する予定の加熱コイルを選択する際、予め被加熱物の大きさを正確に把握する必要はない。即ち、使用者は、被加熱物よりも多少大きい範囲の加熱エリアを選択すればよい。また、本実施の形態の誘導加熱調理器200においては、選択された範囲における加熱コイルのうちから、被加熱物を加熱しないと判定された加熱コイル、即ち、直上に被加熱物が存在しないと判定された加熱コイルを自動的に省くこと(即ち、停止すること)ができる。さらに、本実施の形態の誘導加熱調理器200においては、簡単な操作で加熱範囲を選択できるとともに、消費電力、インバータおよび加熱コイルの発熱並びに不要輻射を抑え、負荷検出にかかる時間を短縮することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、本体と、被加熱物が載置されるトッププレートと、トッププレートの下方に配置され被加熱物を加熱する複数の加熱コイルと、トッププレートに設けられ被加熱物が載置される位置を示す複数の加熱エリアとを有する。本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、さらに、複数の加熱コイルの各々の上方に被加熱物が載置されたことを検出する負荷検出部と、複数の加熱エリアから加熱される加熱エリアを選択するための操作部と、複数の加熱コイルの動作状況を表示するコイル表示部とを有する。本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、さらに、負荷検出部およびコイル表示部の動作を制御する制御部を有する。本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器において、複数の加熱エリアの各々の下方には、複数の加熱コイルのうち2つ以上が配置されている。また、コイル表示部は、複数の加熱コイルそれぞれに対応する表示部を有する。コイル表示部は、複数の加熱エリアから、加熱される加熱エリアが操作部により選択されたとき、選択された加熱エリアの内に配置されている2つ以上の加熱コイルに対応する表示部により、選択された加熱エリアが加熱される加熱エリアとして選択されていることを表示する。負荷検出部は、選択された加熱エリア内にある2つ以上の加熱コイルの各々の上方に被加熱物があるか無いかを検出する。制御部は、選択された加熱エリア内にある2つ以上の加熱コイルのうち少なくとも1つの上方に被加熱物があると負荷検出部が検知した場合には、2つ以上の加熱コイルのうち、上方に被加熱物が戴置されている加熱コイルに対応する表示部において、上方に被加熱物が戴置されている加熱コイルが加熱される加熱コイルとして選択されていることの表示を継続する指示信号をコイル表示部へ出力する。また、制御部は、選択された加熱エリア内にある2つ以上の加熱コイルのいずれか1つの上方に被加熱物が無いと負荷検出部が検知した場合には、上方に被加熱物が無い加熱コイルに対応する表示部において、加熱が選択されていることを示す表示を変更して、無負荷報知部により無負荷であることを報知する指示信号を出力する。制御部は、さらに、上方に被加熱物が無い加熱コイルは加熱される加熱コイルとして選択されていないことを示す表示へと変更する指示信号をコイル表示部へ出力するよう構成されている。
このような構成により、使用者が複数ある加熱コイルの中から使用する加熱コイルを予め選択でき、選択された加熱コイルのうち一部に加熱コイルの直上に鍋などの被加熱物(負荷)が載置されていない場合は、部分的に無負荷であることを報知した後で、選択した加熱コイルの表示から実際に加熱している加熱コイルの表示へと変更する。これにより、加熱エリアから被加熱物が食み出して載置された場合でも、設定された加熱エリア内で加熱されていない加熱コイルがあることを使用者が認識して、被加熱物の位置を正しく置き直すことができる。また、鍋などの被加熱物(負荷)が誤った位置に置かれることにより発生する加熱の斑および調理物の焦げなどの調理の失敗を防止することができる。
さらに、このような構成により、1つの被加熱物を予め指定した複数の加熱コイルで加熱する場合、指定した加熱コイルの一部が加熱される加熱コイルとして表示されている状態から、実際に加熱される加熱コイル(すなわち、上方に被加熱物が戴置された加熱コイル)として表示される状態へと変更する際に、上方に被加熱物が戴置されていない無負荷状態であることを報知する無負荷報知部によって、指定した加熱コイルの一部が無負荷であることを使用者へ報知することができる。これにより、使用者が被加熱物の位置を修正することが可能となるため、加熱の斑が発生することを防止し、調理物の焦げなどの調理の失敗を防止することができる。
また、このような構成により、使用者により選択された加熱コイルに対して、選択された状態を表示して負荷検出を行い、鍋などの被加熱物(負荷)が直上に無い一部の加熱コイルでは、選択された状態を解除して、一部の加熱コイルには被加熱物(負荷)が無いことを、加熱を行う前に使用者へ報知することが可能となる。
また、コイル表示部は、それぞれの加熱コイルに対応して操作部の近傍で表示を行っていることから、実際に加熱させる加熱コイルの範囲に関するイメージと、操作部における操作範囲に関するイメージとが、使用者にとって合致しやすくなる。さらに、使用者が加熱しようとして選択すべき位置を直感的に把握することができ、簡単な操作で加熱コイルを選択することができる。
また、指定された加熱エリア内の加熱コイルと、加熱エリア周辺に設置された加熱コイルのみ負荷検出を行うため、加熱する予定のない加熱コイルの負荷検出を行わなくて済む。これにより、消費電力、インバータおよび加熱コイルの発熱、および、不要輻射を抑えるとともに、負荷検出にかかる時間を短縮することができる。
本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、選択された加熱エリア内の2つ以上の加熱コイルのうち少なくとも1つの上方に被加熱物が無い状態であることを負荷検出部が検出したときは、制御部は、コイル表示部により、被加熱物が上方に無い加熱コイルが選択されていることを報知する。また、制御部は、被加熱物が上方に無い加熱コイルが選択されていることが報知されている間は、負荷検出部により被加熱物が上方に無いと検知された加熱コイルに対して被加熱物の有無を継続して検出するよう構成されていてもよい。また、被加熱物が上方に無い加熱コイルが選択されていることが報知されている間に、選択された加熱エリア内の加熱コイル全ての上方に被加熱物がある状態へと変化したことを負荷検出部が検出したときは、制御部は、無負荷の加熱コイルがあることの報知を停止する指示信号を出力し、選択された加熱エリア内の加熱コイルでの加熱、および、コイル表示部において加熱が選択された表示を行う指示信号を出力するよう構成されていてもよい。
このような構成により、使用者により選択された2つ以上の加熱コイルのうち、少なくとも1つの加熱コイルの直上に被加熱物が無い場合、無負荷加熱コイルの存在を使用者へと報知しつつ、無負荷加熱コイルで負荷検出を継続して行うことができる。これにより、使用者が無負荷報知部の報知に気付き、被加熱物(負荷)の場所を正しく修正した後は、改めて加熱エリアの選択および加熱の設定を行う必要がなく、そのまま継続して以前の設定で加熱することができる。よって、消費電力および不要な輻射を抑制することができる。
本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器において、選択された加熱コイル全ての上方に被加熱物が無いと検知された場合、選択された加熱エリアに配置された2つ以上の加熱コイル全ての上方に被加熱物が無いことを報知する報知時間が、選択された加熱エリアに配置された2つ以上の加熱コイルの少なくとも1つの上方に被加熱物が無いことを報知する報知時間よりも長く設定されていてもよい。
このような構成により、そもそも加熱エリアよりも小さい鍋などの被加熱物(負荷)を加熱する場合、および、選択した加熱エリア付近に被加熱物(負荷)があって、意図的に被加熱物の一部を加熱する場合などには、被加熱物(負荷)が直上にない加熱コイルを無負荷報知部が報知する時間を短くして、速やかに加熱調理を開始することができる。また、使用者が未だ被加熱物(負荷)を準備中で被加熱物(負荷)が誘導加熱調理器の近くに無い場合など、加熱コイル全ての上に被加熱物がない場合は、被加熱物がないことを報知する時間を長くして、選択した加熱エリアの直上へ載置するまで待機することができる。このため、使用者が選択した加熱エリアおよび加熱の設定を維持して、被加熱物(負荷)を適切に載置するだけで、意図した加熱を短時間に開始することができる。
本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、選択された加熱エリアに配置された2つ以上の加熱コイルのうち少なくとも1つの上方に被加熱物が無いと検知された場合には、負荷検出部が、複数の加熱エリアのうちの選択された加熱エリアに隣接する加熱エリアに配置された2つ以上の加熱コイルの上方に被加熱物があるか無いかを検出するよう構成されていてもよい。この場合、隣接する加熱エリアに配置された2つ以上の加熱コイルの上方に被加熱物があると検出された場合には、制御部は、選択された加熱エリアには被加熱物が上方に無い加熱コイルがあることを報知する指示信号を出力する。隣接する加熱エリアに配置された2つ以上の加熱コイルの上方に被加熱物が無いと検知された場合には、制御部は、選択された加熱エリアは無負荷であることの報知を行う指示信号を出力せず、コイル表示部において、加熱される加熱コイルとして選択されている状態の表示から、上方に被加熱物があると検出された加熱コイルが加熱される加熱コイルであることを表示へと変更する指示信号を出力する。
このような構成により、使用者により選択された加熱エリアよりも小さい被加熱物(負荷)を加熱する場合は、無負荷報知部による報知を無くし、直ぐに加熱動作を行うことができる。また、使用者により選択された加熱エリアから食み出して鍋が載置された場合には、選択した加熱エリアからずれて被加熱物(負荷)が載置されていることを使用者へ無負荷報知部によって報知し、正しい選択された加熱エリアへと被加熱物(負荷)を移動させることを誘導することができる。これにより、鍋などの被加熱物(負荷)の誤った置き位置によって発生する加熱の斑および調理物の焦げなどの調理の失敗を防止することができる。また、消費電力、発熱および不要な輻射を抑制することができる。
本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、選択された加熱エリア内に設けられた温度検知素子と、温度検知素子からの温度情報によってトッププレートに載置された被加熱物の温度を調節する温度調節部とをさらに備えていてもよい。この場合、温度検知素子は、選択された加熱エリア内に配置された2つ以上の加熱コイルのうち隣接する加熱コイルの間に配設され、負荷検出部が、選択された加熱エリア内に配置された2つ以上の加熱コイルそれぞれの上方に被加熱物があると検出した場合に、温度調節部による加熱を行うよう構成されていてもよい。
このような構成により、使用者に選択された加熱エリアで鍋などの被加熱物の温度調整を行いながら加熱する場合、温度検知素子の両側にある少なくとも2つの加熱コイルの上に被加熱物(負荷)が無い状態、例えば、1つの加熱コイルで被加熱物を加熱する状態、加熱コイルの外側に設けられた温度検知素子で被加熱物の温度を検知する構成となる。また、このような構成により、加熱コイルによって加熱されていない外側の被加熱物(負荷)の底面温度を検知してしまい、その検知情報を元に温度調節が行われ、1つの加熱コイルによって加熱された被加熱物(負荷)の温度が、設定温度よりも高くなってしまうことにより、加調理物の焦げおよび熱の斑ができる等の調理の失敗が発生するのを防止することができる。
本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、無負荷報知部は発音部をさらに備え、コイル表示部による表示に加えて、発音部により、選択された加熱エリアに配置された2つ以上の加熱コイルのいずれかの上方に被加熱物が載置されていないことを報知するよう構成されていてもよい。
このような構成により、使用者により選択された加熱エリアに対して正しい位置に被加熱物が載置されていない場合に、使用者へ被加熱物の位置を修正させるべく的確な報知を行うことができる。
本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、温度検知素子により検知された温度情報により被加熱物の有無を検出するよう構成され、選択された加熱エリア内の2つ以上の加熱コイルそれぞれの上方に、被加熱物があると負荷検出部が検出した場合、温度検知素子により検知された被加熱物の温度の温度上昇が所定値以上であれば、温度調節部による加熱を行い、所定値以下であれば、温度調節部による加熱の火力を低下させる、または加熱を停止するよう構成されていてもよい。
このような構成により、使用者により選択された加熱エリア内にある2つ以上の加熱コイルの直上に被加熱物が載置されていると判定しても、底面が反っていたり、中央に空洞がある被加熱物が設置されていたり、複数の被加熱物が指定された加熱コイルの上に載置されている場合などは、被加熱物の温度が検知できないので、火力を低下させる、または、加熱を停止して被加熱物(負荷)の温度が異常に高くなることを防止することができる。
本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、温度検知素子は、赤外線の量を検出して温度を検知するよう構成されていてもよい。この場合、選択された加熱エリア内に配置された2つ以上の加熱コイルそれぞれの上方被加熱物があると負荷検出部が検出した場合、温度検知素子が2つ以上の加熱コイルへ高周波電流を供給する時点で所定値以上の赤外線の量を検知しないとき、または、所定量の高周波電流を加熱コイルへ供給した後の赤外線の検知量の変化が所定値以上であるときは、温度調節部による加熱を行うよう構成されていてもよい。
このような構成により、使用者により選択された加熱エリアで加熱を行う場合に、選択された加熱エリア内にある2つ以上の加熱コイルの直上に被加熱物が載置されていると判断された場合でも、次のような不具合を防ぐことができる。すなわち、被加熱物(負荷)の中央に空洞がある鍋が設置されていたり、指定された加熱コイルの上に複数の鍋が載置されていたり、鍋などの被加熱物以外(例えば、室内照明の光および太陽光)からの赤外線(以下、この赤外線を外乱光と称す)を受光してしまう場合などに、赤外線センサが被加熱物(負荷)の温度を正しく検知できないことによる不具合を防ぐことができる。例えば、被加熱物(負荷)以外の外部から入り込んだ外乱光によって所定値以上の赤外線の量が検知された場合、或いは、所定電力で加熱を行っても検知された赤外線の増加量が所定値以下である場合は、火力を低下させる、或いは、加熱を停止して被加熱物(負荷)の温度が異常に高くなることを防止することができる。これにより、消費電力、発熱および不要輻射を抑えることができる。また、赤外線センサが被加熱物(負荷)の温度を正しく検知した場合には、温度調節部による加熱を行うことができる。
本発明の実施の形態の一例による誘導加熱調理器は、負荷検出部が、被加熱物の材質の判定を行うよう構成され、負荷検出部により、選択された加熱エリア内に配置された2つ以上の加熱コイルそれぞれの上方に置かれた被加熱物の材質が、同じであると判定された場合は、温度調節部による加熱を行い、異なると判定された場合は、温度調節部による加熱を行わないよう構成されていてもよい。
このような構成により、使用者により選択された加熱エリアにある2つ以上の加熱コイルの直上に被加熱物(負荷)が載置されていると判断された場合でも、それぞれの加熱コイルの直上にある被加熱物(負荷)の材質が異なる場合は、2つ以上の被加熱物(負荷)を加熱していると判断し、被加熱物(負荷)の温度が正しく検知できないため加熱を停止して被加熱物(負荷)の温度が異常に高くなることを防止することができる。これにより、加熱の斑などを防止できるとともに、消費電力、発熱および不要輻射を抑えることができる。
以上、実施の形態の例により説明したように、本発明によれば、使用予定の複数の加熱コイルが予め選択され、選択された加熱エリア内の加熱コイルの直上に被加熱物が無い場合には、操作部の加熱コイル表示部などにより被加熱物が無い加熱コイルがあること、および、それがどの加熱コイルであるかが使用者に報知され、使用者が被加熱物の位置を修正することが可能な誘導加熱調理器を提供することができる。また、本発明によれば、加熱の斑および調理の焦げなどの調理の失敗を防止するとともに、消費電力、発熱および不要輻射を抑えることができる誘導加熱調理器を提供することができる。