JP6814568B2 - 積層鉄心 - Google Patents
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Description
この技術としては、例えば、特許文献1に、複数の鉄心片を積層して構成された固定子鉄心本体を成形金型内に配置し、この成形金型内に樹脂を射出して、磁極部の周囲のみに部分的に絶縁層(ボビン)を形成する技術が提案されている。
ここで、磁極部にコイルを固定する理由は、固定子鉄心の使用に際し、モータの作動時にコイルが動き、コイルの絶縁層に磨耗やクラックが生じることにより、絶縁不良が発生するおそれがあることによる。
隣り合う前記スロットで形成される磁極部の周囲に設けられた樹脂製の絶縁層により、前記導体が前記スロット内に固定配置され、
前記絶縁層は、
前記磁極部の周囲に設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記導体の間、及び、隣り合う前記導体の間に連続して設けられた第2の絶縁層とで構成され、
前記第1の絶縁層は、前記磁極部の側面から前記隣り合う導体の間に向けて形成された突部を有する。
また、前記絶縁層は更に、前記積層鉄心本体の軸心方向両端面上に延設されていることが好ましい。
上型及び下型で、前記積層鉄心本体を軸心方向両側から挟み込み、前記積層鉄心本体の軸心を中心として周方向に形成された複数のスロット内に棒状の導体を、前記上型及び前記下型のいずれか一方に形成された開口部を介してそれぞれ挿入し、更に、前記導体の端部を、前記上型及び前記下型のいずれか他方に設けられた穴に嵌合させて、前記導体の位置決めを行う、導体挿入工程と、
前記導体と前記スロットの周壁部との間に樹脂を注入し硬化させ、隣り合う前記スロットで形成される磁極部の周囲に絶縁層を設けると共に、前記導体を前記スロット内に固定配置する導体固定工程とを有する。
前記積層鉄心本体の軸心を中心として周方向に形成された複数のスロット内に中子部材を、平面視して該スロット内のみにそれぞれ配置する中子配置工程と、
前記中子部材と前記スロットの周壁部との間に樹脂を注入し硬化させ、隣り合う前記スロットで形成される磁極部の周囲に絶縁層を設ける絶縁層形成工程と、
前記中子部材を前記スロット内から除去した後、形成された孔に棒状の導体を挿入する導体挿入工程と、
前記導体の周囲に更に樹脂を注入し硬化させて、前記導体を前記スロット内に固定配置する導体固定工程とを有する。
また、前記絶縁層を更に、前記積層鉄心本体の軸心方向両端面上に延設させることが好ましい。
また、前記導体挿入工程では、前記各スロット内に複数本の前記導体を、間隔を有して配置し、前記導体固定工程では、隣り合う前記導体の間にも樹脂を注入し硬化させるのがよい。
更に、スロット内に挿入した棒状の導体は、樹脂製の絶縁層を用いてスロット内に固定配置されるので、従来のように、ワニス等を用いる必要がなくなる。
これにより、積層鉄心の生産ラインにおいて、積層鉄心を生産性よく経済的に製造できる。
この絶縁層を更に、積層鉄心本体の軸心方向両端面上に延設する場合、この延設させた絶縁層によるアンカー効果で、積層鉄心本体の軸心方向両端部に位置する鉄心片の剥がれを抑制、更には防止できる。
まず、図1、図2(A)を参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法を用いて製造した積層鉄心10について説明する。
鉄心片11は、厚みが、例えば、0.10〜0.5mm程度の電磁鋼板やアモルファス等からなる条材(薄板条材)から打抜き形成されるものである。なお、鉄心片11は、1枚の条材から打抜いたものや、条材を複数枚(例えば、2枚、更には3枚以上)重ねた状態で打抜いたものでもよい。
また、積層鉄心本体は、それぞれ環状の複数の鉄心片を積層して形成した複数のブロック鉄心を、順次転積することで形成したものでもよい。なお、複数のブロック鉄心は、全て同一形状であるが、例えば、一部のブロック鉄心が異なる形状でもよい。
この積層鉄心本体12は、環状のヨーク部13と、このヨーク部13の内周側に一体的に連接した複数の磁極部14とを有している。この磁極部14は、積層鉄心本体12の軸心を中心として周方向に(積層鉄心本体12の中央に形成された軸孔の周囲に)等ピッチで形成された、隣り合うスロット15によって形成されている。
なお、各鉄心片11は、スロット部18の半径方向端部(内側端部)が打抜かれ、隣り合う磁極片部17の半径方向端部(先端部)に隙間19が形成されている(開口している)。これにより、積層鉄心本体12の半径方向端部が、積層方向に渡って開口している。
導体20は、断面長方形(断面正方形でもよい)の銅製のものであるが、例えば、銅合金製でもよく、また、Al(アルミニウム)製やAl合金製でもよい。
この導体20は、1つのスロット15内に複数本(ここでは、6本)、その長手方向両側が積層鉄心本体12の軸心方向(積層方向)両側に突出した状態で、配置されている。なお、各導体20の表面(周囲側面)には絶縁皮膜が形成され、スロット15内には、複数の導体20が、その長手方向を揃え、隣り合う導体20の側面を当接させた状態で、配置されている。これにより、スロット15内の導体20の占積率を向上できる。
絶縁層21は、導体20とスロット15の周壁部との間に注入された樹脂(熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂)を硬化させたものである(樹脂製)。これにより、絶縁層21が、磁極部14の周囲(ここでは、両側面と基端面(スロット15の基端面))に設けられると共に、導体20をスロット15内に固定配置できる。
この絶縁層21は、図2(A)に示すように、積層鉄心本体12の軸心方向両端面から外方へ突出している(突出厚みTは、例えば、0.2〜3mm程度)ので、沿面放電を抑制、更には防止できる。
なお、平面視したスロット15の内周輪郭(磁極部14の輪郭)からはみ出した絶縁層22の幅Wは、例えば、0.2〜3mm程度である。
積層鉄心10の製造方法は、鉄心本体形成工程、導体挿入工程、及び、導体固定工程、を有している。以下、詳しく説明する。
金型(図示しない)を用いて条材から打抜いた複数の鉄心片11を順次積層して、積層鉄心本体12を製造する。
この積層鉄心本体12は、環状のヨーク部13と、このヨーク部13の内周側に一体的に連接した複数の磁極部14とを有し、この磁極部14は、周方向に隣り合うスロット15で形成される。この時点では、磁極部14の周囲に絶縁層21は形成されていない。
これにより、積層鉄心本体12の半径方向端部が、積層方向に渡って開口する。
この積層鉄心本体12を、図3に示すモールド装置30にセットする。モールド装置30は、積層鉄心本体12を軸心方向両側から挟み込む上型31及び下型32と、積層鉄心本体12の内周面(磁極部14の先端面)に当接する閉塞部材33とを有している。
また、磁極部14の先端面で形成される積層鉄心本体12の内周面に閉塞部材33を当接させることで、スロット15の半径方向の開口部、即ち全ての隙間19を閉じることができる。なお、スロット部18の先端が開口していない形状では、閉塞部材33を用いる必要はない。
モールド装置30の上型31に形成された開口部34を介して、各スロット15内にそれぞれ、棒状の導体20を複数本(ここでは、6本)挿入する。
このとき、図1、図3に示すように、各スロット15内に挿入される複数本の導体20は、隣り合う導体20の側面を当接させた状態で、その周囲側面とスロット15の周壁部との間に隙間が形成されるように、位置決めする。
なお、このモールド装置30の下型32には、積層鉄心本体12から突出した導体20の下部が挿入される穴が形成されている。
モールド装置30の上型31及び下型32と、閉塞部材33とで閉じられた空間、即ち、導体20とスロット15の周壁部との間に、樹脂を注入し硬化させて、絶縁層21を形成する。
樹脂の注入は、上型31又は下型32に設けられた樹脂溜めポット(図示しない)内の樹脂を、プランジャーによって導体20とスロット15の周壁部との間に押し出すことで実施できる。この樹脂の注入は、モールド装置30によって積層鉄心本体12に対し、積層方向に一定荷重(例えば、1つの積層鉄心10あたり5〜100kN程度)を加えた状態で行う。
また、図2(B)に示す絶縁層22のように、積層鉄心本体12の軸心方向両端面上に延設する部分も、上記した方法と同様の方法により、磁極部14の両側面を覆う絶縁層22と一体形成できる。
以上の方法により、積層鉄心10が得られる。
得られた積層鉄心10は、モールド装置30から取外した後、周方向に数個おきの(又は、周方向に隣り合う)スロット15内に配置された導体20同士を結線し、電気的に接続して使用する。
積層鉄心本体12の各スロット15内には、棒状の導体20aがそれぞれ挿入されている。この導体20aは、断面長方形(断面正方形でもよい)の銅製のものであるが、例えば、銅合金製でもよく、また、Al(アルミニウム)製やAl合金製でもよい。
各導体20aの表面(周囲側面)には絶縁皮膜は形成されておらず、それぞれのスロット15内には、複数の導体20aが、間隔を有して平行な状態で配置されているので、隣り合う導体20aを絶縁できる。なお、導体20aの代わりに、表面に絶縁皮膜が形成された、前記した導体20を使用することもできる。
絶縁層23は、導体20aとスロット15の周壁部との間に注入された樹脂(熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂)を硬化させたものである(樹脂製)。
この絶縁層23は、磁極部14の周囲(ここでは、両側面と基端面(スロット15の基端面))に設けられた第1の絶縁層24と、この第1の絶縁層24と導体20aとの間(隙間)に設けられた第2の絶縁層25とで構成されている。なお、第2の絶縁層25は、隣り合う導体20aの間にも設けられている。
なお、上記した絶縁層23は、積層鉄心本体12の軸心方向両端面から外方へ突出しているが、前記した絶縁層22のように、積層鉄心本体12の軸心方向両端面上に延設することもできる(図2(B)参照)。
また、第1の絶縁層24と第2の絶縁層25を構成する樹脂には、同じ種類(成分)のものを使用しているが、例えば、各絶縁層に必要な機能に応じて、異なる種類(成分)のものを使用することもできる。
積層鉄心10aの製造方法は、鉄心本体形成工程、中子配置工程、絶縁層形成工程、導体挿入工程、及び、導体固定工程、を有している。
金型(図示しない)を用いて条材から打抜いた複数の鉄心片11を順次積層して、積層鉄心本体12を製造する。この時点では、磁極部14の周囲に絶縁層23は形成されていない。
この積層鉄心本体12を、モールド装置にセットする(図3参照)。
モールド装置の上型に形成された開口部を介して、各スロット15内にそれぞれ中子部材35を配置する。
このとき、図4に示すように、各スロット15内に挿入される中子部材35は、その周囲側面とスロット15の周壁部との間に隙間(第1の絶縁層24の断面形状に対応)が形成されるように、位置決めする。
ここで、中子部材35のうち、導体20aに対応する部分の断面積は、導体20aの断面積よりも大きくすることが好ましい。これにより、導体に歪みが生じていたとしても、後述する導体挿入工程において、導体の挿入をスムーズに実施できる。
モールド装置で閉じられた空間、即ち、中子部材35とスロット15の周壁部との間に、樹脂を注入し硬化させる。この樹脂の注入は、上型又は下型に設けられた樹脂溜めポット内の樹脂を、プランジャーによって押し出すことで実施できる。
これにより、磁極部14の周囲(ここでは、両側面と基端面(スロット15の基端面))に第1の絶縁層24を設けることができる。
モールド装置の上型に形成された開口部を介して、中子部材35をスロット15内から除去した後、形成された孔36(中子部材35の断面形状と同一形状の孔)内に、棒状の導体20aを複数本(ここでは、4本)挿入する。なお、導体20aを配置する部分の孔36の断面積は、導体20aの断面積よりも大きくなっている。
このとき、図4に示すように、各スロット15内に挿入される複数本の導体20aは、間隔を有した状態で位置決めされる。なお、導体20aの周囲側面の一部又は全部と、第1の絶縁層24の周壁部との間には、隙間が形成される。
モールド装置で閉じられた空間、即ち、導体20aと第1の絶縁層24の周壁部との間(導体20aの周囲)と、隣り合う導体20aの間に、更に樹脂を注入し硬化させ、第2の絶縁層25を形成する。この樹脂の注入も、上記した方法と同様の方法で実施できる。
なお、形成した第2の絶縁層25のうち、積層鉄心本体12の軸心方向両端面から外方へ突出する部分は、積層鉄心本体12と当接する上型と下型の面に、図示しないざぐりを形成することで、導体20aの周囲側面を覆う第2の絶縁層25と一体形成できる。
以上の方法により、積層鉄心10aが得られる。
得られた積層鉄心10aは、モールド装置30から取外した後、周方向に数個おきの(又は、周方向に隣り合う)スロット15内に配置された導体20a同士を結線し、電気的に接続して使用する。
なお、絶縁層の形成形態は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図6(A)、(B)に示す形態にすることもできる。
図6(A)に示す絶縁層40は、隣り合う磁極片部17の先端部に形成された隙間19の領域に、絶縁層40がないものである。また、図6(B)に示す絶縁層41は更に、絶縁層41が形成されていない領域を、隙間19の領域から導体20の側面まで延ばしたものである。
また、鉄心片11を前記した条材から打抜く際に、上記した領域の形状(図6(A)、(B)の絶縁層40、41が形成されていない領域)に対応したスクラップ部をプッシュバックにより形成し、隣り合う磁極片部17とは分離された状態にしておく方法もある。即ち、スクラップ部を鉄心片11の隣り合う磁極片部17から一旦分離した後、再度嵌め込む。
これにより、導体20とスロット15の周壁部との間へ樹脂を注入する際に、スロット15の径方向の開口部からの樹脂の漏れ出しを抑制、更には防止できる。
図6(C)に示す導体42は、表面に絶縁皮膜が形成され、前記した導体20を2分割した断面長方形(断面正方形でもよい)のものであり、その断面積が導体20の断面積の半分程度のものである。このため、スロット15内には、12本の導体42が配置されている。
図6(D)に示す導体43は、断面円形のものであり、スロット15内には、表面に絶縁皮膜が形成された72本の導体43が配置されている。
なお、スロット15内に配置される導体は、上記した形態に限定されるものではなく、例えば、積層鉄心の使用用途に応じて、その断面積や断面形状を種々変更できる。
なお、図7に示す積層鉄心本体12aは、前記した積層鉄心本体12とは、スロット15aの内周輪郭の形状が異なるのみであり、機能や用途は同じであるため、積層鉄心本体12の符号に「a」を付して、詳しい説明を省略する。
スロット15aの内周輪郭は、スロット15aの径方向に渡って、導体20の形状に対応した幅狭部44が形成されている。これにより、導体20とスロット15aの周壁部との間隔、即ち、絶縁層45の厚みを、スロット15aの径方向に渡って略一定にできる。
そして、中子配置工程において、スロット15a内に配置される中子部材35aの断面形状は、当接状態で配置される導体20の断面形状と略一致している。
なお、導体20が配置されるスロットの形状は、上記した形状に限定されるものではなく、例えば、積層鉄心の使用用途に応じて種々変更できる。
例えば、前記実施の形態においては、積層鉄心が固定子鉄心の場合について説明したが、スロットが設けられた回転子鉄心でもよい。なお、積層鉄心としては、スロットが、半径方向の内側端部に開口したものに限定されるものではなく、半径方向の外側端部に開口したものでもよい。
更に、スロットへの樹脂の注入は、積層鉄心本体全体に対して一度に行ってもよく、また、積層鉄心本体を予め設定した角度回動させながら、各スロットに順次行ってもよい。
また、樹脂の注入は、積層鉄心本体の上方から行うことに限定されるものではなく、下方から行うこともできる。
Claims (3)
- 複数の鉄心片を積層して構成された積層鉄心本体を有し、該積層鉄心本体の軸心を中心として周方向に形成された複数のスロット内のそれぞれに複数本の棒状の導体が挿入され、
隣り合う前記スロットで形成される磁極部の周囲に設けられた樹脂製の絶縁層により、前記導体が前記スロット内に固定配置され、
前記絶縁層は、
前記磁極部の周囲に設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記導体の間、及び、隣り合う前記導体の間に連続して設けられた第2の絶縁層とで構成され、
前記第1の絶縁層は、前記磁極部の側面から前記隣り合う導体の間に向けて形成された突部を有することを特徴とする積層鉄心。 - 請求項1記載の積層鉄心において、前記絶縁層は、前記積層鉄心本体の軸心方向両端面から外方へ突出していることを特徴とする積層鉄心。
- 請求項2記載の積層鉄心において、前記絶縁層は更に、前記積層鉄心本体の軸心方向両端面上に延設されていることを特徴とする積層鉄心。
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JP2018026930A (ja) | 2018-02-15 |
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