JP6808363B2 - エレクトロクロミック素子及びその駆動方法、並びに光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置及び窓材 - Google Patents
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Description
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、前記電解質が配され、
前記第三の電極が、さらに非エレクトロクロミック性の酸化還元物質を有し、
前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすいことを特徴とする。
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、前記電解質が配され、
前記第三の電極が、さらに非エレクトロクロミック性の酸化還元物質を有し、
前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする。
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、前記電解質が配され、
前記第三の電極が、酸化還元物質を有し、
前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすく、
前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする。
(i)アノード性の有機エレクトロクロミック化合物とカソード性の酸化還元物質
(ii)カソード性の有機エレクトロクロミック化合物とアノード性の酸化還元物質
(iii)アノード性の有機エレクトロクロミック化合物とカソード性の有機エレクトロクロミック化合物
本発明において、酸化還元物質とは、所定の電位範囲において、繰り返し酸化還元反応を起こすことが可能な化合物である。酸化還元物質には、無機化合物も有機化合物も含まれるが、本発明においては特に制限なく両者を使用することができる。中でも用いられるEC材料の使用環境との適合性から、有機化合物の酸化還元物質が好ましく用いられる。
本発明において、有機エレクトロクロミック(EC)材料とは、酸化還元物質の一種であり、酸化還元反応により、素子の対象とする光波長領域において光吸収特性が変化する物質である。尚、エレクトロクロミック材料には、有機化合物も無機化合物も含まれるが、以下の説明において、有機エレクトロクロミック材料を「EC材料」と呼ぶとする。また、ここでいう光吸収特性とは、代表的には、光吸収状態と光透過状態とであり、EC材料は、光吸収状態と光透過状態とが切り替わる材料である。
酸化還元物質及びEC材料に対して用いられる用語である酸化体、還元体について以下に説明する。以下の説明において、酸化還元物質やEC材料の酸化体とは、対応する還元反応が可逆的に進行する場合において、電極における一電子以上の還元反応によって還元体へと還元されるものをいう。一方、酸化還元物質やEC材料の還元体とは、対応する酸化反応が可逆的に進行する場合において、電極における一電子以上の酸化反応によって、酸化体へと酸化されるものをいう。
本発明において、電解質には、電解質そのものに限らず、電解質を溶媒に溶解させて調製した電解液の概念も含まれる。尚、本発明において、電解質には、塩化合物を溶媒に溶解させて得た溶液、イオン性液体、ゲル電解質、ポリマー電解質等も含まれる。
本発明のEC素子を構成する第三の電極は、酸化還元物質を有している。ここで、第三の電極が酸化還元物質を有するとは、酸化還元物質が直接又は間接的に第三の電極に固定化されていることを意味する。ここで、酸化還元物質が第三の電極に直接固定化されている場合、酸化還元物質は、他の物質を介さずに物理的又は化学的な要因により第三の電極に固定化されている状態になっている。一方、酸化還元物質が間接的に第三の電極に固定化されている場合、酸化還元物質は、例えば、膜状の物質を介して第三の電極に物理的又は化学的に固定化されている状態になっている。
以下、図面を参照しながら、電荷のバランス/インバランスの概念について説明する。図1は、電荷のバランス/インバランスの概念を説明する図である。尚、図1は、相補型EC素子が対象となっている。図1には、アノードである第一の電極1と、カソードである第二の電極2が示されている。また図1において、Aは、アノード性のEC材料の還元体(消色状態)であり、A+は、アノード性のEC材料の酸化体(着色状態)である。さらに図1において、Cは、カソード性のEC材料の酸化体(消色状態)であり、C-は、カソード性のEC材料の還元体(着色状態)である。
A→A++e- (α)
C+e-→C- (β)
図2は、本発明のEC素子における実施形態の例を示す断面模式図である。図2のEC素子10は、第一の電極1と、第三の電極3と、を有する基板(第一の基板7)と、第二の電極2と、第三の電極3と、を有する基板(第二の基板8)と、を有している。図2のEC素子10において、第一の電極1と第二の電極2との間には、電解質4が配置されており、この電解質4は、第一の電極1、第二の電極2及び第三の電極3に接している。尚、電解質4は、シール材5によって外部と隔離されて保持されていることが好ましい。また本発明においては、第一の電極1及び第二の電極2と、第三の電極3との間の物質輸送を制限する目的で、必要に応じて図2に示される隔壁6を、第一の電極1及び第二の電極2と、第三の電極3との間に設けてもよい。また本発明のEC素子には、第一の電極1及び第二の電極2との間にアノード性の酸化還元物質及びカソード性の酸化還元物質を有している。第一の電極1及び第二の電極2との間に含まれるアノード性の酸化還元物質及びカソード性の酸化還元物質は、それぞれ電解質4に溶解されていてもよいし、第一の電極1又は第二の電極2に固定化されていてもよい。また、第一の電極1及び第二の電極2との間に含まれるアノード性の酸化還元物質及びカソード性の酸化還元物質の少なくともいずれかがEC材料である。
(1−1)基板7,8
EC素子10を構成する基板(7,8)としては、ガラス、高分子化合物等の透明な基板が挙げられる。
第一の電極1、第二の電極2のうち少なくとも一方は、透明電極である。ここで、「透明」とは、該当する電極が光を透過することを意味し、光の透過率が、50%以上100%以下であることが好ましい。第一の電極1、第二の電極2のうち少なくとも一方が透明電極であることによって、EC素子の外部より効率的に光を取り込み、EC材料の分子と相互作用させて、EC分子の光学的特性を出射光に反映させることができるからである。また、ここでいう「光」とは、EC素子の対象とする波長領域における光のことである。例えば、EC素子を可視光領域の撮像装置のフィルタとして使用するのであれば、可視光領域の光が対象となり、赤外線領域の撮像装置のフィルタとして使用するのであれば、赤外線領域の光が対象となる。
本発明のEC素子は、第一の電極1及び第二の電極2に加えて、第三の電極3を有している。「電荷のバランス/インバランス」で説明したように、アノード性の酸化還元物質及び/又はカソード性の酸化還元物質を同時に使用し、これら酸化還元物質のうちのいずれかがEC材料である相補型のEC素子では、電荷のインバランス状態が発生したときに、それがアノード性、カソード性いずれの電荷インバランスであっても消色不良として感知される可能性がある。このような場合に、第一の電極1と第二の電極2との間に印加する電圧を、着色時と反対方向の極性の電圧とし、この消色不良(消え残り)を抑制しようとしても、反対極性のEC材料が着色する又は反対極性の酸化還元物質が反応するだけで有効な抑制策とはならない。ここでいう「反対極性のEC材料」とは、消え残りの対象がアノード性のEC材料であればカソード性のEC材料であり、消え残りの対象がカソード性のEC材料であればアノード性のEC材料である。また「反対極性の酸化還元物質」とは、消え残りの対象がアノード性のEC材料であればカソード性の酸化還元物質であり、消え残りの対象がカソード性のEC材料であればアノード性の酸化還元物質である。
1.複数の酸化還元物質として、アノード性/カソード性の酸化還元物質を用いる。この場合は、それぞれアノード性のEC材料に対応した酸化還元物質、カソード性のEC材料に対応した酸化還元物質を準備できる点で好ましい。
2.一種類の酸化還元物質の酸化体/還元体が混在する状態とする。この場合は、準備する酸化還元物質の種類が少ない点で好ましい。
以下に説明する方法は、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体を、対応する酸化還元物質と直接接触させる方法である。具体的には、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体を溶解させた電解質の中に、対応する酸化還元物質を投入する。このとき、電解質中にアノード性のEC材料が含まれる場合は酸化還元物質の還元体を、電解質中にカソード性のEC材料が含まれる場合は酸化還元物質の酸化体を少なくとも投入する。酸化還元物質を投入した結果、着色体、即ち、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体が消色すれば、以下の事項が判明する。即ち、アノード性のEC材料が消色した場合は、酸化還元物質の還元体からEC材料の酸化体への電子移動がおこり、アノード性のEC材料が還元体になることが示される。これは、第三の電極3が有する酸化還元物質の還元体が、アノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいことを意味する。カソード性のEC材料が消色した場合は、EC材料の還元体から酸化還元物質の酸化体への電子移動が起こり、カソード性のEC材料は酸化体となることが示される。これは、第三の電極3が有する酸化還元物質の酸化体は、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいことを意味する。また、第三の電極3が有する酸化還元物質がEC性の場合は、EC材料の消色及び色変化が確認することができる。ここでいうEC材料の消色とは、第三の電極3が有していない方のEC材料の消色である。また、EC材料の色変化とは、第三の電極3が有するEC性の酸化還元物質の吸収変化である。
以下に説明する方法は、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体を含む電解質を、酸化還元物質を有する第三の電極と接触させる方法である。具体的には、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体を溶解させた電解質を、対応する酸化還元物質を有する第三の電極に接触させる。この結果、着色体、即ち、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体が消色すれば、(1−3a)で説明した直接電子移動反応に加えて、以下に説明する電極を介した電子移動反応が進行したといえる。具体的には、アノード性のEC材料の場合は、第三の電極3が有する酸化還元物質の還元体から第三の電極3への電子移動が起こり、アノード性のEC材料は第三の電極3から電子を受け取ることにより、酸化体(着色状態)から還元体(消色状態)に変化する。この反応の発生は、第三の電極3が有する酸化還元物質の還元体がアノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいことを意味する。一方、カソード性のEC材料の場合は、第三の電極3から第三の電極3が有する酸化還元物質の酸化体へ電子移動、及びカソード性のEC材料から第三の電極3への電子移動が生じる。その結果、カソード性のEC材料は、還元体(着色状態)から酸化体(消色状態)に変化する。この反応の発生は、第三の電極3が有する酸化還元物質の酸化体がカソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいことを意味する。尚、第三の電極3が有する酸化還元物質がEC性を有する場合は、(1−3a)と同様にEC材料の消色及び色変化が確認することができる。
以下に説明する方法は、EC材料や酸化還元物質の電極反応における酸化還元電位によって酸化又は還元のしやすさを比較する方法である。ここで酸化還元電位は、電気化学的な測定によって決定することができる。例えば、EC材料、酸化還元物質、それぞれのサイクリックボルタンモグラム測定を行うことで評価できる。
ERO<EEC(A) (I)
ERO>EEC(C) (II)
EEC(C)<ERO<EEC(A) (III)
(A)第一の電極1又は第二の電極2を形成する導電膜を有する導電性基板の一部をエッチング等により加工して、当該導電膜を第一の電極1又は第二の電極2と電気的に独立した領域を含む複数の領域に分割する工程。
(B)上記電気的に独立した領域に設けられる導電膜に、多孔質電極である第三の電極3を形成する工程。
(C)第三の電極3に酸化還元物質を固定化する工程。
本発明において、第三の電極3は、EC素子10に消色不良が生じた際に、第一の電極1かつ/又は第二の電極2上において、着色体として残存しているEC材料を電気化学的に消色反応させるための電荷の保留場所として機能するということができる。このため、(着色時等に)正常に着色しているEC材料は、第三の電極3に到達させない方が望ましい。EC材料が第一の電極1上又は第二の電極2上に固定化されている場合には考慮する必要はないが、EC材料が電解質4中に溶解している等、自由に拡散が可能な場合には、第三の電極3の到達によって、着色体が消色体に転換されることが起こる可能性がある。これを抑制するためには、着色が行われる第一の電極1かつ/又は第二の電極2と、第三の電極3との間の物質輸送を低減することが効果的である。具体的な手法として、例えば、第一の電極1かつ/又は第二の電極2との距離をとること、第一の電極1、第二の電極2と、第三の電極3との間に物質輸送を低減する構造物を配置すること、が挙げられる。前者は、例えば、第一の電極1かつ/又は第二の電極2と第三の電極3との間の距離を、第一の電極1と第二の電極2との間の距離よりも大きくすることが挙げられる。一方、後者としては、図2に示されるように、第一の電極1かつ/又は第二の電極2と第三の電極3との間に、開口部6aを持つ隔壁6を形成する方法が挙げられる。尚、この隔壁6は、壁自体が多孔質構造のものが好ましい。図2の様に隔壁6を設ける際に、開口部6aを持つ必要があるのは、第三の電極3を有効に機能させるには、第一の電極1かつ/又は第二の電極2と第三の電極3との間において電解質4を介した電気的な接続を確保する必要があるためである。逆に第一の電極1かつ/または第二の電極2と第三の電極3間の電解質4による電気的な接続が有効な電荷バランスに必要な程度確保されている限りにおいて、第一の電極1かつ/または第二の電極2と第三の電極3間の物質輸送は低減されていることが好ましい。
EC素子を構成する基板(7,8)は、第一の電極1の電極面と第二の電極2の電極面とを対向させた配置でシール材5によって接合されていることが好ましい。シール材5としては、そのシール後の特性が電解質4に対して安定で侵されることがなく、電気化学的に安定でEC素子の動作時に電気化学反応を起こすことがなく、気体及び液体を透過しにくく、EC材料の酸化還元反応を阻害しない材料であることが好ましい。例えば、ガラスフリット等の無機材料、エポキシ系、アクリル系樹脂等の有機材料、金属等を用いることができる。そのシール後の特性が電解質4に対して不安定な場合には、溶出したシール材で電極が汚染される等の懸念がある。また、シール材5の成分が電気化学的に不安定である場合には、電極反応により電荷バランスを生じる原因となる可能性がある。また、気体および液体(特に酸素と水分)を透過しやすい場合には、それらの電極反応により電荷バランスを生じる原因となる可能性があるので注意が必要である。尚、シール材5は、スペーサー材料を含有する等して第一の電極1と第二の電極2との間の距離を保持する機能を有していてもよい。シール材5が第一の電極1と第二の電極2との間の距離を規定する機能を有していない場合は、別途スペーサーを配置して両電極間の距離を保持してもよい。スペーサーの素材としては、シリカビーズ、ガラスファイバー等の無機材料や、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジビニルベンゼン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の有機材料を用いることができる。尚、このスペーサーにより、EC素子10を構成する第一の電極1と第二の電極2との間の距離を規定、保持することが可能である。
本発明のEC素子は、第一の電極1と第二の電極2との間に、電解質4と、アノード性の有機EC材料かつ/又はカソード性の有機EC材料とを有する。尚、本発明において、アノード性の有機EC材料及びカソード性の有機EC材料は、電解質4に溶解されていてもよいし、第一の電極1又は第二の電極2に固定化されていてもよい。
(A)固定化する電極の表面積という制限要因がないために、電解質中に存在させることのできるEC材料の量が多い点。
(B)固定化を行う場合には、固定するEC材料、固定化担体となる電極の双方に構造的な工夫、製造上の工程が必要になることが多いが、これらがない点。
(C)隔壁6等の構造を作製する必要がない点。
(D)EC材料が電極に到達するまでの物質輸送による応答速度の低下がない点。
本発明のEC素子に使用されるEC材料は、有機化合物である。この有機化合物には低分子有機化合物も高分子有機化合物も含まれるが、いずれの材料も、外部から電気的な刺激を与えることによって着色するタイプの材料である。このタイプの高分子有機化合物としては、ピリジニウム塩を含む高分子化合物が挙げられるが、その具体例としては、ビオロゲン系の高分子化合物が挙げられる。本発明において、EC材料として、好ましくは、分子量が2000以下の低分子有機化合物であり、電極における酸化反応又は還元反応により、消色体から着色体に変化する化合物である。本発明のEC素子においては、アノード性のEC材料又はカソード性のEC材料のいずれかは必ず用いられる。
本発明のEC素子は、第三の電極3を用いることでEC素子の電荷のバランスの調整を行う。本発明のEC素子は、第三の電極3が酸化還元物質を有し、EC材料との間で、酸化又は還元のされやすさが規定されているため、その酸化又は還元のされやすさを利用して電荷のリバランスを行うことができる。
(a)スイッチ25,26をオン状態、スイッチ27をオフ状態にして、第一の電極1と第三の電極3との間に電圧を印加する。
(b)スイッチ26,27をオン状態、スイッチ25をオフ状態にして、第二の電極2と第三の電極3との間に電圧を印加する。
(c)スイッチ25,26,27を全てオン状態にして、第一の電極1と第2の電極と第三の電極3との間に電圧を印加する。
本発明では、第三の電極3を用いることで、EC素子の電荷のインバランスによる消色不良を解消することができる。代表的な例としては、EC素子の透過率を最大化させる動作をした際にも残存するEC材料の着色体を、消色体に変換することで、透過率を向上させることができる。この電荷のインバランスによる消色不良に対する対策としては、例えば、特許文献1に示されるレドックスバッファーを用いる方法がある。
本発明のEC素子は、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材等の構成部材として用いることができる。
本発明の光学フィルタは、本発明のEC素子と、このEC素子に電気接続される能動素子とを有している。EC素子に電気接続される能動素子として、具体的には、EC素子の透過率を制御するためのトランジスタ等が挙げられる。トランジスタとして、例えば、TFTやMIM素子が挙げられる。ここでTFTは、薄膜トランジスタとも呼ばれ、その構成材料としては、半導体や酸化物半導体が用いられる。
本発明のレンズユニットは、複数のレンズを有する撮像光学系と、本発明のEC素子を有する光学フィルタとを有している。レンズユニットを構成する光学フィルタは、複数あるレンズとレンズとの間に設けてもよいし、レンズの外側に設けてもよい。本発明のレンズユニットは、光学フィルタにより、撮像光学系を通過する光又は通過した光の光量を調整することができる。
本発明の撮像装置は、光学フィルタと、この光学フィルタを通過した光を受光する撮像素子とを有する。撮像装置を構成する撮像素子は、光学フィルタを透過した光を受光する素子であり受光素子とも呼ばれる素子である。
本発明の窓材は、一対の透明基板と、これら透明基板の間に設けられるEC素子と、このEC素子の透過率を制御するための能動素子とを有している。この能動素子は、EC素子に接続されているが、EC素子への接続形態については、直接に接続された形態でもよいし、間接に接続された形態でもよい。本発明の窓材は、透明基板を透過する光の光量をEC素子により調整することができる。またこの窓材に、窓枠等の部材を加えることで窓として使用することができる。本発明の窓材は、航空機、自動車、住宅等の窓に用いることができる。またEC素子を有する窓材は、電子カーテンを有する窓材と呼ぶこともできる。
アノード性のEC材料である化合物1を、以下に示す合成スキームに従って合成した。
XX−1(2,5−ジブロモエチレンジオキシチオフェン):500mg(1.67mmol)
2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:1.05g(5.0mmol)
トルエン:10ml
テトラヒドロフラン:5ml)
Pd(OAc)2:19mg(0.083mmol)
2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):89mg(0.22mmol)
りん酸三カリウム:1.92g(8.35mmol)
1H−NMR(CDCl3)σ(ppm):7.21(t,2H),6.63(d,2H),6.60(d,2H),4.41(m,2H),4.20(s,4H),3.81(s,6H),1.25(s,6H),1.24(s,6H).
カソード性のEC材料である化合物2は、Cinnsealach等の文献(Solar Energy Materials and Solar Cells 57巻(1999年)107−125頁に基づいて合成した。
カソード性の酸化還元物質である化合物3は、Cinnsealach等の文献(Solar Energy Materials and Solar Cells 57巻(1999年)107−125頁に基づいて合成した。尚、化合物3は、EC性を有する化合物である。
アノード性のEC材料である下記化合物4は、Cummins等の文献(Journal of Physical Chemistry B 104巻 (2000年) 11449−11459項に基づいて合成した。
(素子の作製)
図8に示されるEC素子30aを、以下の工程により作製した。
まずフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜が成膜されている透明導電性ガラス(TEC15、日本板硝子製)を二枚用意した。
次に、ダイヤモンド工具を用いて、透明導電性ガラスが有するFTO膜の一部を除去して、FTO膜を三つに分割した。具体的には、第一の電極31又は第二の電極32となる中央の領域に設けられるFTO膜42と、第一の電極31又は第二の電極32とは電気的に独立している第三の電極の形成領域となる両端の領域に設けられるFTO膜33aとに分割した。
アンチモンドープ酸化スズナノ粒子(石原産業社製)12gと、濃硝酸2mLと、水200mLと、を混合し、80℃で8時間攪拌後、真空乾燥1日行うことで、酸化スズナノ粒子のケーキを得た。次に、このケーキ4gに、水20mLと、ポリエチレングリコール1.2gと、ヒドロキシプロピルセルロース0.4gと、を加えた後、15日間撹拌を行うことでスラリーを調製した。次に、このスラリーを、第三の電極33の形成領域に設けられるFTO膜33aの上に塗布形成した後、500℃、30分の条件で焼成することで、アンチモンドープ酸化スズナノ粒子膜(以下、「ナノ粒子膜」ということがある。)を得た。このとき、形成したナノ粒子膜の比表面積は450cm2/cm2であった。
第三の電極33を形成した二枚の透明導電性ガラスに、シール材35として、100μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性の接着剤(TB3035B、スリーボンド社製)を、注入口40を残した外周に塗布した。またビーズを含まない同接着剤を、40μm高となるように、第一の電極31又は第二の電極32と第三の電極33との間に塗布して隔壁36を形成した。その後、第一の電極31と第二の電極32とが対向するように、また第三の電極33同士が対向するように、電極取出部位39が露出するように、二枚の透明導電性ガラスを重ね合わせた。次に、第三の電極33にUV光が当たらないようにマスクをした状態でUV光を照射することで、接着剤を硬化させた。これにより、基板37と基板38とを接着させた。
0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートの炭酸プロピレン(PC)溶液に、アノード性のEC材料である化合物1と、カソード性のEC材料であるエチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩と、を溶解させて電解質溶液を調製した。このとき電解質溶液に含まれる化合物1の濃度は20mMであり、エチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩の濃度は20mMであった。次に、この電解質溶液(電解質34)を注入口40から注入した後、前述のUV硬化性接着剤で封止41をすることで、EC素子30aを得た。
本実施例で使用したEC材料及び酸化還元物質について、酸化還元電位を測定した。以下に、その具体的な方法を説明する。
得られたEC素子について、耐久駆動の実験を行った。まず第三の電極33と、第一の電極31及び第二の電極32との間を非接続状態とした上で、第一の電極31と第二の電極32との間における1.62Vの電圧の印加と、第一の電極31と第二の電極32との間の短絡と、からなるEC素子の駆動動作を繰り返し行った。尚、このEC素子の繰り返し駆動の際に、両電極(31、32)間の電圧の印加によりEC素子に含まれる電解質溶液は着色状態になり、両電極(31、32)間の短絡によりEC素子に含まれる電解質溶液は消色状態になる。また、このEC素子の繰り返し駆動の際に、両電極(31、32)間の電圧の印加を5秒行い、両電極(31、32)間の短絡を10秒行った。一方、両電極(31、32)間の短絡を行う際に、後半8秒について、第三の電極33と第一の電極31及び第二の電極32と間の電圧を0V(短絡状態)に制御した。
実施例1において、EC素子を作製する際に、工程(2)及び(3)を省略したこと以外は、実施例1と同様の方法によりEC素子を作製した。尚、本比較例においては、透明導電性ガラスに形成されているFTO膜は、図8中の第一の電極31又は第二の電極32に相当する。
実施例1及び比較例1について、EC素子の耐久駆動の結果を下記表2にまとめた。
(1a)第三の電極33が有する酸化還元物質よりも酸化還元電位が正のアノード性のEC材料を有すること(第三の電極33が有する酸化還元物質の還元体が、アノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいこと。)。
(1b)第三の電極33が有する酸化還元物質よりも酸化還元電位が負のカソード性のEC材料を有すること(第三の電極33が有する酸化還元物質の酸化体が、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいこと。)。
(1c)第三の電極33が、第一の電極31又は第二の電極32の周囲の少なくとも一部に配置されることで消色不良が均一に低減されること。
(1d)初期状態において、第三の電極33が、酸化還元物質の酸化体及び還元体を有していること。
(1e)第三の電極33と、第一の電極31又は第二の電極32との間の電位差を制御する手段を有すること。
(1f)消色動作時に第三の電極と、第一の電極31又は第二の電極32と間を短絡する手段を有すること。
(素子の作製)
図9に示されるEC素子30bを、以下の工程により作製した。
実施例1で使用したフッ素ドープ酸化スズ膜(FTO膜)付透明導電性ガラスを二枚用意した。
実施例1(2)と同様の方法により、用意した透明導電性ガラスを加工して電極付基板を作製した。
第二の電極32を設ける電極付基板(基板38)において、市販の酸化チタンナノペースト(Nanoxide−HT、ソーラロニクス製)を、第二の電極32を設ける領域に沿ってFTO膜32a上に塗布した後、500℃30分の条件で酸化チタンナノペーストを焼成して第二の電極32を形成した。次に、形成した第二の電極32に、カソード性のEC材料である化合物2の5mM水溶液を一晩浸漬し、水洗、乾燥することで、カソード性のEC材料が固定化された第二の電極32を形成した。
実施例1(3)と同様の方法により、アンチモンドープ酸化スズナノ粒子のスラリーを調製した。次に、第一の電極31及び第三の電極33を設ける電極付基板(基板37)において、先程調製したスラリーを、第一の電極31を設ける領域及び第三の電極33を設ける領域に沿ってFTO膜(31a、33a)上に塗布した後、500℃30分の条件で塗布物を焼成した。これにより、第一の電極31及び第三の電極33を設ける領域に、アンチモンドープ酸化スズナノ粒子膜(ナノ粒子膜)を形成した。
第三の電極33に固定化された酸化還元物質(化合物3)と、カソード性のEC材料(化合物2)とのどちらが酸化されやすいか、については、以下に説明する方法で行った。まず化合物2のメタノール溶液に還元材であるアミンを含むエポキシ接着剤の硬化剤(ボンドクイック5B剤)を添加し、化合物2を還元状態(青色)にした。次に、窒素雰囲気下、酸化還元物質(化合物3)を固定したアンチモンドープ酸化スズナノ粒子膜(ナノ粒子膜)上に、還元状態の化合物2を有する溶液を滴下した。すると、化合物2由来の青色が消失し、代わってナノ粒子膜が薄黄緑色に変化した。このようにナノ粒子膜が薄黄緑色に変化したのは、化合物3が還元されたことを意味する。
第二の電極32となる多孔質電極が形成されている透明導電性ガラスに、シール材35として、UV硬化性の接着剤(TB3035B、スリーボンド社製)を、注入口40を残した外周に塗布した。次に、二枚の透明導電性ガラスを、その後、第三の電極33と第二の電極32を有する透明導電性ガラスに設けられるFTO膜とが対向するように、二枚の透明導電性ガラス(基板37,38)を重ね合わせた。尚、透明導電性ガラスを重ね合せる際に、第一の電極31と第二の電極32とが重なり、電極取り出し部位39が露出するようにした。次に、三種類の多孔質電極(31、32、33)のいずれにもUV光が当たらないようにマスクをした状態でUV光を照射することで、接着剤を硬化させた。これにより、基板37と基板38とを接着させた。
電解質溶液である0.1M過塩素酸リチウムの炭酸プロピレン溶液(電解質34)を注入口40から注入した後、前述のUV硬化性接着剤で封止41をすることで、EC素子30bを得た。
得られたEC素子について、耐久駆動の実験を行った。まず第三の電極33と、第一の電極31及び第二の電極32との間を非接続状態とした上で、第一の電極31と第二の電極32との間における1.8Vの電圧の印加と、第一の電極31と第二の電極32との間の短絡と、からなるEC素子の駆動動作を繰り返し行った。尚、このEC素子の繰り返し駆動の際に、両電極(31、32)間の電圧の印加によりEC素子に含まれる電解質溶液は着色状態になり、両電極(31、32)間の短絡によりEC素子に含まれる電解質溶液は消色状態になる。また、このEC素子の繰り返し駆動の際に、両電極(31、32)間の電圧の印加を3秒行い、両電極(31、32)間の短絡を5秒行った。一方、両電極(31、32)間の短絡を行う際に、後半3秒について、第三の電極33と第一の電極31及び第二の電極32と間の電圧を0V(短絡状態)に制御した。
実施例2において、EC素子を作製する際に、工程(2)を省略し、工程(4)において第三の電極の作製を省略したこと以外は、実施例2と同様の方法によりEC素子を作製した。尚、本比較例においては、透明導電性ガラスに形成されているFTO膜の上に、図9の第一の電極31又は第二の電極32に相当する多孔質膜が形成されている。
実施例2及び比較例2について、EC素子の耐久駆動の結果を下記表3にまとめた。
(2a)第一の電極31が有するアノード性の酸化還元物質と、第二の電極32が有するカソード性のEC材料を有するEC素子において、以下の条件を満たせば、第三の電極33によって効果的に電荷のインバランスの調整が行われ、消色不良が抑制されること。
(2a−1)第三の電極33が有する酸化還元物質の酸化体が、カソード性の有EC材料の酸化体よりも還元されやすいこと。
(2a−2)第三の電極33が有する酸化還元物質の還元体が、第一の電極31が有するアノード性の酸化還元物質の還元体よりも酸化されやすいこと。
(2a−3)第三の電極33を、第一の電極31又は第二の電極32の周囲の少なくとも一部に配置することによって消色不良が均一に低減されること。
(2a−4)第三の電極33と、第二の電極32との間の電位差を制御する手段を有すること。
(2a−5)消色動作時に第三の電極33と第二の電極32との間を短絡する手段を有すること。
(2b)酸化還元物質やEC材料を、第一の電極31や第二の電極32に固定化させた場合でも電荷のインバランスの調整が効果的に実施できること。
(2c)第三の電極33が有する酸化還元物質がEC性を有することで、電荷のリバランス状況を容易に確認できること。
(素子の作製)
図10に示されるEC素子30cを、以下の工程により作製した。
まず実施例1で用いた透明導電性ガラス(TEC15、日本板硝子製)を二枚用意した。
次に、実施例1(2)と同様の方法により、透明導電性ガラスが有するFTO膜の一部を除去した。これにより、透明導電性ガラスが有するFTO膜は、第一の電極31又は第二の電極32となる中央の領域に設けられるFTO膜42と、第一の電極31又は第二の電極32とは電気的に独立している第三の電極の形成領域となる両端の領域の設けられるFTO膜33aとに分割された。
実施例1(3)と同様の方法により、第三の電極の形成領域にあるFTO膜33a上にアンチモンドープ酸化スズナノ粒子膜(ナノ粒子膜)を形成した。
第三の電極(33b、33c)を形成した二枚の透明導電性ガラス(基板37,38)に、シール材35として、100μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性の接着剤(TB3035B、スリーボンド社製)を、注入口40を残した外周に塗布した。また実施例1(4)と同様の方法により隔壁36を形成した。その後、第一の電極31と第二の電極32とが対向するように、また第三の電極(33b、33c)同士が対向するように、電極取り出し部位39が露出するように二枚の透明導電性ガラスを重ね合わせた。次に、第三の電極(33b、33c)にUV光が当たらないようにマスクをした状態でUV光を照射することで、接着剤を硬化させた。これにより、基板37と基板38とを接着させた。
0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートの炭酸プロピレン(PC)溶液に、アノード性のEC材料である化合物1と、カソード性のEC材料であるエチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩と、を溶解させて電解質溶液を調製した。このとき電解質溶液に含まれるアノード性のEC材料である化合物1の濃度は20mMであり、カソード性のEC材料であるエチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩の濃度は20mMであった。次に、この溶液状の電解質34を注入口40から注入した後、前述のUV硬化性接着剤で封止41をすることで、EC素子30cを得た。
得られたEC素子について、耐久駆動の実験を行った。まず第三の電極(33b、33c)と、第一の電極31及び第二の電極32との間を非接続状態とした上で、第一の電極31と第二の電極32との間における1.62Vの電圧の印加と、第一の電極31と第二の電極32との間の短絡と、からなるEC素子の駆動動作を繰り返し行った。尚、このEC素子の繰り返し駆動の際に、両電極(31、32)間の電圧の印加によりEC素子に含まれる電解質溶液は着色状態になり、両電極(31、32)間の短絡によりEC素子に含まれる電解質溶液は消色状態になる。また、このEC素子の繰り返し駆動の際に、両電極(31、32)間の電圧の印加を5秒行い、両電極(31、32)間の短絡を10秒行った。一方、両電極(31、32)間の短絡を行う際に、後半8秒について、第三の電極(33b、33c)と第一の電極31及び第二の電極32と間の電圧を0V(短絡状態)に制御した。
実施例3において、EC素子を作製する際に、工程(2)及び(3)を省略したこと以外は、実施例3と同様の方法によりEC素子を作製した。尚、本比較例においては、透明導電性ガラスに形成されているFTO膜は、図10中の第一の電極31又は第二の電極32に相当する。
実施例3及び比較例3について、EC素子の耐久駆動の結果を下記表4にまとめた。
(3a)第三の電極(33b、33c)が有する酸化還元物質の還元体が、アノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいこと(第三の電極(33b、33c)が有する酸化還元物質が、アノード性のEC材料よりも負の酸化還元電位を持つこと。)。
(3b)第三の電極(33b、33c)が有する酸化還元物質の酸化体が、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいこと(第三の電極(33b、33c)が有する酸化還元物質が、カソード性のEC材料よりも正の酸化還元電位を持つこと。)。
(3c)第三の電極(33b、33c)を、第一の電極31又は第二の電極32の周囲の少なくとも一部に配置することによって消色不良が均一に低減されること。
(3d)第三の電極(33b、33c)が複数の酸化還元物質を有すること。
(3e)第三の電極(33b、33c)と、第一の電極31又は第二の電極32との間の電位差を制御する手段を有すること。
(3f)消色動作時に第三の電極(33b、33c)と、第一の電極31又は第二の電極32との間を短絡する手段を有すること。
(素子の作製)
実施例2と同様の手法を用い、アノード性の酸化還元物質(非EC性化合物)である1,1’−フェロセンジカルボン酸に換えて、化合物4(EC性化合物)を使用してEC素子を作製した。作製したEC素子には、以下の手法で電荷バランス状態の検知手段を設置した。EC素子の領域42上面に接して、発光波長495nmのLEDと、同595nmのLEDを設置した。それぞれの波長は、アノード性のEC材料、カソード性のEC材料の吸収波長に対応する。また、領域42下面に接してフォトダイオードを設置し、それぞれの波長における吸光度比を検出する手段とした。
得られたEC素子について、耐久駆動の実験を行った。EC素子の第一の電極31と第二の電極32の間に1.2Vを15秒、0Vを15秒の矩形波を印加するサイクル試験を3日間行った後、第一の電極1と第二の電極2を短絡し、消色させた。この時の495nm/595nmの吸光度の初期消色状態からの変化量は、それぞれ+0.002/+0.052であり、カソード性EC材料の着色体が残存する消色不良が発生していることが確認された。
EC素子の第一の電極31と第二の電極32の短絡を解除し、第二の電極32と第三の電極33間に電圧を印加する。印加時間は100msとし、以下のシーケンスを用いて動作させる。
(i)印加電圧は0V(短絡)から開始、電圧印加前と200ms後の吸光度の比較から、印加によって変化がない、または595nmの吸光度が増大する時に0.1V刻みで電圧を増大(第二の電極32が正、第三の電極33が負の極性)。
(ii)595nmの吸光度の初期消色状態からの変化量が0.005以下で電圧印加終了。
(4a)第一の電極31が有するアノード性の酸化還元物質と、第二の電極32が有するカソード性のEC材料を有するEC素子において、以下の条件を満たせば、第三の電極33によって効果的に電荷のインバランスの調整が行われ、消色不良が抑制されること。
(4b)第三の電極33が有する酸化還元物質の酸化体が、カソード性の有EC材料の酸化体よりも還元されやすいこと。
(4c)第三の電極33を、第一の電極31又は第二の電極32の周囲の少なくとも一部に配置することによって消色不良が均一に低減されること。
(4d)第三の電極33と、第二の電極32との間の電位差を制御する手段を有すること。
(4e)EC材料を、第一の電極31や第二の電極32に固定化させた場合でも電荷のインバランスの調整が効果的に実施できること。
(4f)第三の電極33が有する酸化還元物質がEC性を有することで、電荷のリバランス状況を容易に確認できること。
(4g)EC素子の検知された電荷バランス状態に基づき、第三の電極と第二の電極との間の電位差を制御することでEC素子の電荷インバランスにより残存した着色体を効果的に低減することができること。
(4h)電圧制御ステップに基づいた電圧の印加後、さらに検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、追加の電圧印加の実施を判断することでEC素子の電荷インバランスにより残存した着色体を効果的に低減することができること。
Claims (28)
- 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、前記電解質が配され、
前記第三の電極が、さらに非エレクトロクロミック性の酸化還元物質を有し、
前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、前記電解質が配され、
前記第三の電極が、さらに非エレクトロクロミック性の酸化還元物質を有し、
前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、前記電解質が配され、
前記第三の電極が、酸化還元物質を有し、
前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすく、
前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であるエレクトロクロミック素子であって、
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、電解質が配され、
前記第三の電極が、酸化還元物質を有し、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすく、
または、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすく、
前記第三の電極が、前記第一の電極又は前記第二の電極の少なくとも一方を透過する光の光路外に配置されていることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であるエレクトロクロミック素子であって、
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、電解質が配され、
前記第三の電極が、酸化還元物質を有し、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすく、
または、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすく、
前記第三の電極が、前記第一の電極又は前記第二の電極の周囲の少なくとも一部に配置されていることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であるエレクトロクロミック素子であって、
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、電解質が配され、
前記第三の電極が、酸化還元物質を有し、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすく、
または、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすく、
前記第三の電極が、二種類以上の酸化還元物質を有することを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であるエレクトロクロミック素子であって、
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、電解質が配され、
前記第三の電極が、酸化還元物質を有し、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすく、
または、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすく、
エレクトロクロミック素子の電荷バランス状態を検知する手段をさらに備えたことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化還元電位EEC(A)と、前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化還元電位EROとの間に、下記式(I)が満たされることを特徴とする、請求項1又は3に記載のエレクトロクロミック素子。
ERO<EEC(A) (I) - 前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化還元電位EEC(C)と、前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化還元電位EROとの間に、下記式(II)が満たされることを特徴とする、請求項2又は3に記載のエレクトロクロミック素子。
ERO>EEC(C) (II) - 前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化還元電位EEC(A)と、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化還元電位EEC(C)と、前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化還元電位EROとの間に、下記式(III)が満たされることを特徴とする、請求項3に記載のエレクトロクロミック素子。
EEC(C)<ERO<EEC(A) (III) - 前記第三の電極が、前記第一の電極又は前記第二の電極の少なくとも一方を透過する光の光路外に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第一の電極と第二の電極との間に含まれる有機エレクトロクロミック化合物の少なくとも一つが、前記第一の電極又は前記第二の電極に固定化されていることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第三の電極が、前記第一の電極又は前記第二の電極の周囲の少なくとも一部に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化還元状態が、酸化体と還元体が混在した状態であることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第三の電極が、二種類以上の酸化還元物質を有することを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第一の電極又は前記第二の電極と、前記第三の電極と、の間の電位差を制御する手段をさらに有することを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記エレクトロクロミック素子の消色動作時において、前記第一の電極又は前記第二の電極と、前記第三の電極と、の間を短絡する手段をさらに有することを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- エレクトロクロミック素子の電荷バランス状態を検知する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第三の電極は、前記電解質を介して、前記第一の電極または前記第二の電極と電気的に接続可能であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 請求項1乃至19のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法であって、検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、前記第一の電極と前記第二の電極の少なくとも一方と、前記第三の電極との間の電位差を制御するステップを有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 前記電位差を制御するステップに基づいた電位差の制御後、さらに検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、追加の電位差制御の実施を判断することを特徴とする請求項20に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 請求項1乃至19のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子に接続される能動素子と、を有することを特徴とする、光学フィルタ。 - 複数のレンズを有する撮像光学系と、
請求項22に記載の光学フィルタと、を有することを特徴とする、レンズユニット。 - 複数のレンズを有する撮像光学系と、
請求項22に記載の光学フィルタと、
前記光学フィルタを透過した光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする、撮像装置。 - 前記撮像光学系が着脱可能であることを特徴とする、請求項24に記載の撮像装置。
- 一対の透明基板と、
前記一対の透明基板の間に配置される、請求項1乃至19のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子に接続される能動素子と、を有することを特徴とする、窓材。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であるエレクトロクロミック素子であって、
前記第一の電極と前記第三の電極との間と、前記第二の電極と前記第三の電極との間の少なくとも一方には、電解質が配され、
前記第三の電極が、酸化還元物質を有し、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすい、
または、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有し、前記第三の電極が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいエレクトロクロミック素子の駆動方法であって、
検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、前記第一の電極と前記第二の電極の少なくとも一方と、前記第三の電極との間の電位差を制御するステップを有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の駆動方法。 - 前記電位差を制御するステップに基づいた電位差の制御後、さらに検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、追加の電位差制御の実施を判断することを特徴とする請求項27に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
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