[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP6800493B2 - 海底設置型基礎構造 - Google Patents

海底設置型基礎構造 Download PDF

Info

Publication number
JP6800493B2
JP6800493B2 JP2018146210A JP2018146210A JP6800493B2 JP 6800493 B2 JP6800493 B2 JP 6800493B2 JP 2018146210 A JP2018146210 A JP 2018146210A JP 2018146210 A JP2018146210 A JP 2018146210A JP 6800493 B2 JP6800493 B2 JP 6800493B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seabed
metal member
main body
foundation structure
tubular body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2018146210A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020020209A (ja
Inventor
中村 拓造
拓造 中村
清 吉▲崎▼
清 吉▲崎▼
Original Assignee
中村物産有限会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 中村物産有限会社 filed Critical 中村物産有限会社
Priority to JP2018146210A priority Critical patent/JP6800493B2/ja
Publication of JP2020020209A publication Critical patent/JP2020020209A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6800493B2 publication Critical patent/JP6800493B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/70Wind energy
    • Y02E10/72Wind turbines with rotation axis in wind direction
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/70Wind energy
    • Y02E10/727Offshore wind turbines

Landscapes

  • Foundations (AREA)
  • Wind Motors (AREA)

Description

本発明は、風力発電装置の基礎構造に関し、詳しくは海底に設置するタイプの基礎構造に関する。
近年、地球温暖化をはじめとする地球環境問題に関心が高まっている。これに対し、風力発電は、二酸化炭素などの環境汚染物質を排出せず、かつ無尽蔵な自然エネルギーを産生可能なため、開発および実施に対する期待が高まっている。
従来、洋上風力発電装置は、洋上に浮かせアンカーで係留する浮体式と、杭基礎を用いて海底に固定する杭基礎式が主流である。
浮体式の例としては、例えば特許文献1に示すよう浮体物の上部において風力発電装置のタワーが支持されるとともに、当該浮体物がアンカーで所定域に係留されるタイプが知られる。
また杭基礎式の例としては、例えば特許文献2に示すように海底に打設された杭の上端と風力発電装置のタワーの下端とが連結されて支持されるタイプが知られる。他の杭基礎式の例として、複数本の杭で指示され海底に設置されたベースにタワーが連結され指示されるタイプも知られる。
上述する例から理解されるとおり、洋上風力発電装置は、陸上風力発電装置と異なり、波動や海流などによる動きのある洋上において、流され、または転倒し、または浮き上がりが生じないように風力発電装置を設置する必要があるため、基礎構造が重要な役割を示す。
特開2010−216273号公報 特開2017−115373号公報
上述する従来の洋上風力発電装置には以下の問題点があった。
即ち、浮体式の洋上風力発電装置は、アンカーで所定域に洋上風力発電装置を係留することができるものの、完全に設置姿勢が固定されるものではない。したがって、完全には固定されず、洋上風力発電装置に強風や波等が当たると、浮体物が揺れて発電装置自体も設置姿勢が変動し、洋上風力発電装置に設けられたブレードは風を完全には受け止められない。その結果、浮体式の洋上風力発電装置は、風量に対する発電量が低下し発電効率が悪くなるという問題があった。また浮体式の洋上風力発電装置は、洋上という不安定な環境で支持されるため、大規模な構造物で浮体式の基礎構造が構成される必要があるとともに、当該構造物が流されないように海底にしっかりと係留される必要がある。しかし現状の技術では、上記アンカーは、海底に対する固定の信頼性が不充分であるため、係留目的の杭を多数設けているというのが実情である。したがって、浮体式の基礎構造を構築するために、かなりのコストがかかるという問題があった。
一方、杭基礎式の場合には、洋上風力発電装置の設置姿勢が固定されるため、上述する設置姿勢が安定しないという課題は発生しない。しかし、杭基礎を海底に構築するためには、大掛かりな設備、時間およびコストがかかるという問題があった。また、杭を埋設するために海底を掘削した際に、多量の土砂が海中に撒き散らされ、これにより海洋汚染および漁場破壊が生じるという問題があった。
さらに、一定以上の深度のある海域では、堆積層の厚みが小さく海底から岩盤層までの距離が短い領域が多い。このような領域では、杭を岩盤層に打ち込むことが非常に難しく、一方、層厚みの小さい堆積層だけで杭を支持させようとするとモーメントに対する抵抗が小さくなるため、充分な支持力が得られないという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、洋上風力発電装置の設置姿勢を固定し高効率な発電を可能とするとともに、大掛かりな設備、時間、およびコストをかけることなく構築可能であって漁場破壊を生じさせない洋上風力発電装置の基礎構造を提供するものである。また、本発明は、地層に拠らず実施可能であり、たとえば層厚みの小さい堆積層とその下方に形成された岩盤層とを備える海域であっても実施可能であり洋上風力発電装置を安定に支持することができる。
本発明の海底設置型基礎構造は、洋上風力発電装置の基礎構造であって、筒状本体と、前記筒状本体の上端側に設けられたタワー結合部と、を備え、前記筒状本体の上端が海面またはその近傍に位置するとともに、前記筒状本体の下端が海底またはその近傍に位置しており、前記筒状本体の下端部に対し直接または間接に接合されて固定された軸方向に長尺であって、筒状本体の転倒モーメントに抵抗可能な金属部材を複数備え、海底面上において複数の前記金属部材が前記筒状本体を中心として放射状に延在していることを特徴とする。
本発明の海底設置型基礎構造は、筒状本体が海底に設置されるため、基礎構造自体の設置姿勢が固定される。そのため、筒状本体の上端側に設けられたタワー結合部に結合されたタワーを備える風力発電装置の設置姿勢も固定することができる。この結果、風力発電装置は、風を受けても設置姿勢が変化して風を逃すことなく、高い効率で風力を電力に変換することができる。
また本発明の海底設置型基礎構造は、筒状の本体を有し、海底に安定に設置可能である。そのため、従来のように杭基礎を必要とせず、簡易な設備で短期間に構築することが可能であり、コストも従来の洋上風力発電装置の基礎構造の施工に比べて易く抑えることができる。また本発明は、杭を必要としないため、杭を埋設するために海底を掘削して生じた土砂に起因する漁場破壊の問題を有しない。
本発明の第一実施形態にかかる海底設置型基礎構造の側面図である。 図1に示す第一実施形態の海底設置型基礎構造の縦断面図である。 第一実施形態における筒状本体の搬送方法の一例を示す説明図である。 第一実施形態にかかる海底設置型基礎構造の変形例を示す部分断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる海底設置型基礎構造の縦断面図である。 図6(a)から図6(c)は、本発明の第二実施形態にかかる固定手段の変形例を示す上面図である。 本発明の第三実施形態にかかる海底設置型基礎構造の側面図である。 本発明の第四実施形態にかかる海底設置型基礎構造の縦断面図である。 本発明の第五実施形態にかかる海底設置型基礎構造の側面図である。
以下、本発明について説明する。
本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、1つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
本発明または本願明細書において、上下方向とは、海底に対し海面側を上方向としたときの上下を意味し、本発明の構造に関し、上端部とは上端を含む所定領域を意味し、下端部とは下端を含む所定領域を意味する。また本発明に関し、海底設置型基礎構造とは、海底または海底近傍に対し筒状本体が設置される基礎構造を意味し、従来の杭支持技術を用いた基礎構造とは区別される。尚、以下の説明では、適宜、洋上風力発電装置のことを単に風力発電装置と称呼し、海底設置型基礎構造のことを単に基礎構造と称呼する場合がある。
本発明の海底設置型基礎構造は、洋上風力発電装置の基礎構造である。本発明の基礎構造は、筒状本体と、上記筒状本体の上端側に設けられたタワー結合部と、を備える。本発明の基礎構造において、上記筒状本体は、上端が海面またはその近傍に位置するとともに、下端が海底またはその近傍に位置する。
かかる構成を備える本発明の基礎構造は、風力発電装置の設置が予定される所定の海域において、従来の基礎構造に比べて容易に設置することができるとともに、構築にかかるコストを小さく抑えることができる。
本発明の海底設置型基礎構造は、大型の洋上風力発電装置から中型の洋上風力発電装置まで対応することが可能である。本発明は、洋上風力発電装置の規模に応じ、筒状本体のスケールを調整し、また適宜、後述する固定手段を設けることができる。また固定手段のスケールも、洋上風力発電装置の規模に応じ適宜設計することができる。また、本発明の海底設置型基礎構造は、設置が予定される海域の海底の深度に応じて、スケールを調整することができる。例えば、本発明は、海底の深度が30m以上100m以下の場合にも充分に対応することができる。
本発明の基礎構造は、筒状本体の内部が中空の態様および中実の態様のいずれも包含する。筒状本体は、横断面が円形、楕円形、四角形、若しくはこれら以外の定型の形状、または不定形の形状のいずれかまたは組合せであってよい。海水の抵抗を受け難いという観点からは筒状本体の横断面は円形であることが好ましい。
また本発明における筒状本体は、上下方向において長軸の構造であり、たとえば上下方向において横断面が略同径であってもよいし、上方から下方に向けて横断面が拡径する円錐形であってもよい。本発明における筒状本体を構成する部材は特に限定されないが、適度な重量があり、かつ長時間、海中に設置されても不具合のない部材が好ましく、たとえば鉄などが好適である。
本発明の海底設置型基礎構造は、深度が比較的浅い海域、あるいは支持する風力発電装置が中型である場合には、筒状本体を海底に配置し、当該筒状本体の重量のみで安定に起立した状態を維持することが可能である。
本発明の海底設置型基礎構造の好ましい態様は、海底または海底近傍に対し、筒状本体を設置して固定するための固定手段を備える。固定手段を備える本発明の海底設置型基礎構造は、深度が比較的深い海域、あるいは支持する風力発電装置が大型である場合にも、充分に当該風力発電装置を支持することができる。以下では、主として固定手段を備える実施態様を用いて本発明を説明する。
以下に本発明の実施態様について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。図示する本発明の実施形態は、理解容易のために、特定の部材を全体において比較的大きく図示する場合、または小さく図示する場合などがあるが、いずれも本発明の各構成の寸法比率を何ら限定するものではない。
<第一実施形態>
以下に本発明の第一実施形態にかかる海底設置型基礎構造100(以下、単に基礎構造100ともいう)について図1から図4を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態にかかる海底設置型基礎構造100(以下、単に基礎構造100ともいう)の側面図である。図2は、基礎構造100の縦断面図である。尚、本明細書において縦断面図という場合には、特段の断りがない場合には、筒状本体の軸中心において切断した縦断面図を意味する。図3は、筒状本体10の搬送方法の一例を示す説明図である。図4は、第一実施形態にかかる基礎構造100の変形例を示す部分断面図であって、詳しくは、容器30の変形例を示す。
図2では洋上風力発電装置200に関しタワー210のみを図示し、その他の部分を図示省略している。同様に、後述する図5から図8においても、洋上風力発電装置200に関しタワー210のみを図示し、その他の部分を図示省略している。
図1に示す基礎構造100は、筒状本体10と、筒状本体10の上端11側に設けられたタワー結合部20と、を備える。筒状本体10は、筒状本体上端11が海面310またはその近傍に位置するとともに、筒状本体下端12(図2参照)が海底320またはその近傍に位置している。基礎構造100は、洋上風力発電装置200を支持する。洋上風力発電装置200は、ブレード220およびタワー210を備える。タワー210の下端部とタワー結合部20とが結合されており、これによって洋上風力発電装置200がタワー結合部20の下方に位置する筒状本体10に支持されている。
本実施形態における筒状本体10は、海底320上において水平性を確保するためのマウンド14上に設置されている。即ち、本実施形態における筒状本体10は、海底320の近傍に配置されている。本実施形態におけるマウンド14は、上面視上、筒状本体下端12を載置可能なドーナツ形状をなす。マウンド14は、少なくとも上面が略水平に構成された構造物である。ただしマウンド14を用いずに筒状本体10を直接に海底320に設置してもよいし、他の手段で筒所本体10の設置面の水平性を確保してもよい。
本実施形態における筒状本体10は、中空に構成されており、海面310より下方において、筒状本体10の内外方向に連通する孔68が筒状本体10の側面に設けられている。図1では同一径の孔68が複数設けられた態様を示しているが、異なる径または異なる形状の孔68が複数設けられていてもよい。孔68を備えることによって、中空の筒状本体10の内部には、海水が充満するとともに魚貝類などの海洋生物が侵入可能である。これによって、筒状本体10自体が漁礁となり得る。即ち、本発明の基礎構造100により洋上風力発電装置200を設置することで、効率の良い発電を可能とするだけでなく、新たな漁礁や漁場を提供することができる。
筒状本体10の海面310よりも上方には、脱気窓69が設けられているとよい。中空の筒状本体10を海中に沈める際に、脱気窓69から外部に空気を排気し、内部にスムーズに海水を侵入させるためである。また筒状本体10の設置後、海面の水位の変動により筒状本体10の内部の水位も変動する。これに対し、筒状本体10の内部の空気は、上記水位の変動に伴い、脱気窓69を通じて排出され、また流入することができる。
本実施形態の基礎構造100は、固定手段として重量物34が収容された容器30を備える。
即ち、基礎構造100は、図1、図2に示すとおり筒状本体10の下端部において外側面周方向に配置され上端32が開口した容器30を備える。本実施形態における容器30は、筒状本体10の下端部において外側面周方向全周において連続している。容器30の底面はマウンド14の上面に接しており、安定性がよい。
容器30は、筒状本体10に接合されているとともに、容器10内に複数の重量物34が収容されている。そのため、容器30は、筒状本体10の錘の役目を果たし、筒状本体10を海底320に対し安定して固定することに貢献する。
また重量物34が収容された容器30を筒状本体10の下端部に備えることで、当該下端部にかかるモーメントに抵抗することができ、基礎構造100の設置姿勢の安定性を良好に図ることができる。
本実施形態における容器30は、図1、2に示すとおり、筒状本体10とは別体で製造された容器30を、筒状本体10に対し溶接等の任意の接合手段で接合されて設けられている。しかし、本発明はこれに限定されず、たとえば図4に示すとおり、筒状本体10の下端部を外側に折り曲げ、底面と横側面とを備え上端32より内側を重量物34が収容され得る凹部とし、容器30が構成されてもよい。即ち、容器30は、筒状本体10と一体的に形成されたものであってもよい。
また複数の重量物34が収容された容器30は、重量物34と重量物34との間、および容器30と重量物34との間に多数の隙間が形成され、格好の漁礁となる。即ち、容器30を備える基礎構造100は、洋上風力発電装置200を支持するだけでなく、新たな漁礁を提供することができる。
容器30は、横側面と底面とを有する上端開口の形状をなす。上端開口から重量物34が容易に収容される。容器30に重量物34を収容するタイミングは特に限定されないが、たとえば、洋上風力発電装置200の設置が予定される所定の海域に、まず容器30を備える筒状本体10を搬送し、次いで、上記所定の海域で容器30に重量物34を収容することができる。ここで、容器30の底面および横側面が実質的に不透水である場合には、空の容器30は、海上を搬送される筒状本体10に浮力を与え得る。具体的には図3に示すように、空の容器30を海面310に配置させて筒状本体10を海に浮かべ、その状態の筒状本体10にロープ332をかけて曳船330にて曳航することができる。これにより筒状本体10は所定の海域まで容易に搬送される。つまり容器30は、筒状本体10を海上において搬送する際の浮き輪替わりとして利用することができる。また図示省略するが、海面に浮いた筒状本体10を搬送する際には、曳船330に加え、側面側や後方側から筒状本体10を押すことのできる押し船(プッシャー船)を利用することもできる。
尚、筒状本体10をスムーズに海中に沈めるために、容器30の底面に図示省略する注水用バルブが設けられるとよい。当該注水用バルブを開放することで容器30の内部に海水を侵入させて、海水の重みで筒状本体10を海中に沈めることができる。
重量物34は、適度な重量があり、錘となり得る物体であればよく、たとえば、自然石、コンクリートなど人工物、鉄などの金属または砂利などが挙げられる。重量物34は一種であってもよいし、複数の材料が混合されていてもよい。
本実施形態における筒状本体10は、上端部であって干潮時の海面310よりも下の位置に上下分離部66が設けられている。上下分離部66は、基礎構造100を、上下分離部66を介して上部と下部とを容易に分離可能とする部位である。上下分離部66を備える基礎構造100は、上下分離部66より上部を取り外し、上下分離部66よりも下部を海中に残置することができる。そのため、洋上風力発電装置200が使用済みとなった場合等に、上下分離部66で基礎構造100を分離することで、海中に基礎構造100の一部を残置し、洋上風力発電装置200および基礎構造100の上部を容易に除去することができる。
上下分離部66の具体的な構成は特に限定されないが、たとえば、基礎構造100の上部の下端と下部の上端にフランジを設け、これらを当接してビスまたはボルトとナットなどの固定具で固定することで上下分離部66を構成することができる。かかる構成の上下分離部66を分離する場合には、ビスを切断し、またはナットを緩めてボルトを脱離させる等といった簡易な作業を行えばよい。海底に残置された基礎構造100の下部は、その後も漁礁として利用できる。
海中に残置された基礎構造100の下部は、漁礁以外のさらなる活用の可能性を備える。具体的には、残置された基礎構造100の下部をベースにして、その上方に養殖管理施設、漁礁維持管理施設、または漁場管理施設等を設置することが可能である。
また洋上風力発電装置200が除去された後、残置された基礎構造100は、異なる洋上風力発電装置の基礎構造として再利用することも可能である。そのために、筒状本体10を構成する鉄などの部材の厚みを充分に厚くし、50年以上100年以下程度の耐久性を基礎構造100に持たせるとよい。たとえば、風力発電装置の開発により、性能または発電効率などに優れる次世代の装置が提供された場合には、旧式の風力発電装置(洋上風力発電装置200)を基礎構造100から取り外し、新式の風力発電装置を基礎構造100により支持させることができる。
次にタワー結合部20について説明する。タワー結合部20は、筒状本体10の上端32側に設けられ、洋上風力発電装置200のタワー210と結合する。結合方法は特に限定されないが、図2に示すとおり、本実施形態では、タワー結合部20の内部にタワー210の下端部を挿入するとともにその周囲をコンクリートなどの固化材で固化させて、タワー結合部20に対しタワー210の下端部を結合させている。また、タワー結合部20にタワー210を支持させるための支持具であるブラケットを用い、当該ブラケットをタワー結合部に溶接することによって、結合状態を補強することもできる。
本実施形態では、タワー結合部20は、海面310またはその近傍に設けられており、結合されるタワー210の下端が満潮時の海面310より上方に位置するよう構成されている。
また本実施形態では、筒状本体10とタワー結合部20との間に水平調整部22が設けられている。水平調整部22において、水平調整部22の少なくとも上面を水平に調整することによってタワー結合部20の設置面の水平性を図り、基礎構造100に支持される洋上風力発電装置200の設置姿勢の傾きを調整可能である。
上記趣旨で水平性を調整できる範囲において、水平調整部22の構成は特に限定されない。たとえば、水平調整部22は、水平調整用のジャッキを備え、当該ジャッキにより水平性を調整してもよい。また異なる水平調整部22の例としては、水平調整部22は、水平調整部22の上面を水平に調整するためのレベル調整用ライナープレートを挟み込む調整部位として機能させてもよい。
ところで、一般的に、風力発電装置は、ブレードの回転振動およびタワーの揺れによる振動が発生し、その振動が基礎構造に伝搬されることで基礎構造に負荷がかかり故障の発生や耐用年数が短くなるという問題がある。
これに対し、図2に示すように、筒状本体10の内部に振動吸収部24を設けるとよい。これにより、タワー210から伝搬する振動の一部を振動吸収部24に吸収させることで筒状本体10に伝搬する振動量を低減させることができる。
振動吸収部24は、タワー結合部20の底面に直接または間接に取り付けられた金属製の長尺部材である。本実施形態では、水平調整部22の底面から下方に延在する振動吸収部24が設けられている。即ち、本実施形態では、振動吸収部24は、タワー結合部20の底面に間接に取り付けられている。上記金属製の長尺部材は、たとえば鉄などの金属製の棒状体または管などであり、適宜表面に防錆処理がなされていることが好ましい。
<第二実施形態>
次に本発明の第二実施形態にかかる海底設置型基礎構造120(以下、単に基礎構造120ともいう)ついて図5、図6を用いて説明する。
図5は、第二実施形態にかかる基礎構造120の縦断面図である。図6(a)から図6(c)は、本発明の第二実施形態における固定手段(金属部材40)の変形例を示す上面図である。尚、図6(a)から図6(c)では、洋上風量発電装置200、および容器30に収容された重量物34を図示省略している。
第二実施形態の基礎構造120は、固定手段として容器30に加え、金属部材40を備えること以外は第一実施形態にかかる基礎構造100と同様の構成を有する。そのため以下において、基礎構造120に特有の構成に関し主として説明し、基礎構造100と共通の構成については詳細な説明を適宜割愛する。
図5に示すとおり、基礎構造120は、筒状本体10の下端部外側面に直接または間接に接合された軸方向に長尺の金属部材40を複数備えている。複数の金属部材40は、図6に示すとおり、筒状本体10を中心として放射状に延在している。かかる金属部材40を備えることにより、基礎構造120は、設置安定性に優れ、海底320に対し良好に固定される。特に、基礎構造120に支持される洋上風力発電装置200(図示省略)が強風に晒された場合などには、筒状本体10の下端部に強いモーメントがかかる。これに対し、当該下端部に金属部材40が設けられることで、モーメントに対し抵抗することができ、基礎構造120の転倒あるいは移動が良好に防止される。
本実施形態では、金属部材40は、容器30の側面に接合されている。即ち、本実施形態では金属部材40は、間接的に筒状本体10に接合されている。かかる態様の変形例として、金属部材40は直接に筒状本体に接合されてもよい。
金属部材40は、金属で構成された長尺部材である。上記金属としては、鋼、鉄などが挙げられる。金属部材40の例としては、横断面が、四角形、円形、H字形状、L字形状、またはコの字形状などの所定形状の棒状体が挙げられる。たとえば断面H字形状であって鋼で製造されたH鋼は、強度および海底320に対する接地安定性などの観点から、金属部材40として好ましい。
金属部材40の長さは特に限定されず、基礎構造120が構築される海域の深度、筒状体10の寸法、又は支持する洋上風力発電装置100の規模若しくは洋上風力発電装置100が設置される領域の海流や波動等から想定されるモーメントなどから適宜決定することができる。
図5に示す金属部材40は、一本の長尺部材からなる。ただし金属部材40はこれに限定されない。図6(a)に示すとおり、金属部材40は、第一金属部材42と、第一金属部材42よりも長い第二金属部材44とを備えてもよい。かかる金属部材40において、第一金属部材42の一端側は、筒状本体10の下端部外側面に直接または間接に接合されている。本実施形態では、第一金属部材42の一端側は、容器30に接合されている。かかる第一金属部材42の他端側は、第二金属部材44の一端側と連結されており、これによって金属部材40が構成されている。
尚、ここで接合とは、互いが固定され容易に離間しない状態を意味し、接合を実現する手段は特に限定されず、たとえば溶接であってもよいし、ボルトなどの留め具で固定してもよい。また第一金属部材42と第二金属部材44とは、例えば、鉄骨継手などの継手部材を用いて連結することができる。
海上において筒状本体10と金属部材40とを溶接作業を行うことは容易ではないことから、予め陸上において、筒状本体10に直接または間接に金属部材40を溶接して接合し、これを所定の海域まで搬送することが実質的である。ただし、相対的に長い複数の金属部材40が側面から放射状に伸びた状態の筒状本体10を陸上から所定の海域まで搬送することは困難である。
これに対し、金属部材40が第一金属部材42と第二金属部材44とを備える場合には、予め、相対的に短い第一金属部材42を筒状本体10に溶接し、その状態で所定の海域まで搬送し、当該海域で第一金属部材42と第二金属部材44とを連結して金属部材40を完成させることができる。これにより、金属部材40を備える基礎構造120を容易に提供することができる。
基礎構造120に設けられる複数の金属部材40は、図6(a)に示すように、互いに独立していてもよいが、図6(b)に示すように、一の金属部材40の筒状本体10とは反対側に位置する端部48と、隣り合う他の金属部材40の筒状本体10とは反対側に位置する端部48とを連結金属部材50により連結してもよい。このように複数の金属部材40同士が連結金属部材50により一体的に連結された態様は、基礎構造120の設置安定性がより向上し、海底320に対し基礎構造120がより良好に固定される。尚、連結金属部材50は、端部48に限らず、隣り合う他の金属部材40の中間部を連結してもよい。
また異なる態様として、金属部材40を任意の固定部材52で海底320に対し固定してもよい。より具体的にはたとえば図6(c)に示すとおり、金属部材40の筒状本体10とは反対側に位置する端部48またはその近傍を任意の固定部材52で海底320に対し固定してもよい。かかる態様によっても、基礎構造120の設置安定性が向上し、海底320に対し基礎構造120がより良好に固定される。
金属部材40を海底320に固定する固定部材52として、たとえば金属チェーンを用いることができる。具体的には金属部材40の上から、金属部材40の伸長方向に対し交差方向に金属チェーンを配置し、当該金属チェーンの両端を海底320に固定することで、金属部材40を固定することができる。金属チェーンを海底320に固定する手段は特に限定されないが、例えば金属チェーンの両端に図示省略するアンカーを設け、これにより海底320に対し固定することができる。
尚、本実施形態では、複数の金属部材40はいずれも同じ長さであるが、長さの異なる金属部材40を備えていてもよい。
<第三実施形態>
次に本発明の第三実施形態である海底設置型基礎構造140(以下、単に基礎構造140ともいう)ついて図7を用いて説明する。図7は、本発明の第三実施形態にかかる基礎構造140の側面図である。
第三実施形態にかかる基礎構造140は、固定手段として容器30に加え、アンカーチェーン60を備えること、および容器30が筒状本体10の下端部において周方向に断続的に設けられていること以外は第一実施形態にかかる基礎構造100と同様の構成を有する。そのため以下において、基礎構造140に特有の構成に関し主として説明し、基礎構造100と共通の構成については詳細な説明を適宜割愛する。
図7に示すとおり、基礎構造140は、筒状本体10の外側面から海底320まで連続するアンカーチェーン60を備える。これによって、筒状本体10の基礎構造140は、設置安定性に優れ、海底320に対し良好に固定される。
図7では、180度対向する位置に、1本ずつアンカーチェーン60が設けられた態様を示すが、アンカーチェーン60の本数はこれに限定されない。筒状本体10の設置姿勢をバランス良く向上させるという観点から、筒状本体10の外側面において周方向に等間隔に複数のアンカーチェーン60が設けられるとよい。
本実施形態においてアンカーチェーン60は、筒状本体10の外側面に設けられたO字状の連結具64に一端が連結されている。アンカーチェーン60の他端にはアンカー62が設けられており、アンカー62が海底320に設置して錘となっている。アンカー62だけでも錘としての効果があるが、アンカー62の動作を防止するために、図7に示すようにアンカー62を複数の重量物34などで覆って固定してもよい。
本実施形態における容器30は、筒状本体10の下端部において外側面周方向において断続的に設けられている。かかる態様では、隣り合う容器30と容器30との間にスペースが生じる。当該スペースは、基礎構造140を施工後、洋上風力発電装置200を設置する際に、作業船(たとえば、Self Elevation Platform船;SEP船)が基礎構造140に近接することを許容する。具体的には、たとえばクレーン作業などを行うプラットフォームと海底に固定される脚部を備える作業船(図示省略)に関し、上記フラットフォームまたは脚部を上記スペースに配置することで、作業船と基礎構造140との位置を接近させることができる。これにより、洋上風力発電装置200の設置作業が容易となる。また、洋上風力発電装置200の設置後は、上記スペースは良好な漁礁となり得る。
<第四実施形態>
次に本発明の第四実施形態である海底設置型基礎構造160(以下、単に基礎構造160ともいう)ついて図8を用いて説明する。図8は、第四実施形態にかかる基礎構造160の縦断面図である。
基礎構造160は、洋上風力発電装置200の基礎構造であって、筒状本体10を備える。筒状本体10の上端(筒状本体上端11)側には、タワー結合部20が設けられており、タワー210が結合され、図示省略する風力発電装置200が支持されている。基礎構造160は、筒状本体上端11が海面またはその近傍に位置するとともに、筒状本体下端12が海底320またはその近傍に位置している。
本実施形態における筒状本体10は、円筒状であり、筒状本体上端11から筒状本体上端12にかけて横断面における径が略同一である。筒状本体10の設置安定性を高め筒状本体10の下端部にかかるモーメントに抵抗するという観点から、筒状本体10の下端部を海底320に埋め込むとよい。
本実施形態にかかる基礎構造160は、中実である。より具体的には、筒状本体10の内部に、上下方向に延在する骨材70と、骨材70の周囲に充填された充填部材74とが設けられている。
本実施形態において、骨材70は、タワー210の長尺方向の延長上にある。そのため実質的に洋上風力発電装置200の重心を骨材70の下方まで下げることができ、安定に洋上風力発電装置200を支持することができる。
本実施形態における中実の筒状本体10の底面16は、筒状本体下端12よりも上方に設けられており、底面16よりも下方に位置する筒状本体10の下端部を海底320に埋め込み易いよう構成されている。
骨材70は、上下方向に長尺の棒状体であって、例えばコンクリートなどから構成される。筒状本体10の強度を上げるために、上記棒状体の芯材として内部に鉄筋などが配置されることが好ましい。本実施形態における骨材70は、下端に拡径部72が設けられている。拡径部72は、骨材70の横断面径よりも大きく、筒状本体10の内径以下の径を有する。骨材70は、拡径部72の上面略中央から起立し上方に延在する。かかる構造により筒状本体10の内部に骨材70を設置する際に、骨材70の位置合わせが容易である。
本実施形態における骨材70は、タワー結合部20まで延在しており、骨材70の上端は、タワー結合部20の中間部で終端している。骨材70の上方にタワー210が配置されており、図示省略する洋上風力発電装置200の重量は、直接的には骨材70により支えられている。骨材70にかかった上記重量は、拡径部72において面方向に拡散され、筒状本体10の底面16に伝搬される。拡径部72を設けたことにより、骨材70にかかった重量が底面16の局所に集中することが回避される。
骨材70の外側面には、振動吸収層78が設けられている。振動吸収層78は、タワー210から伝搬された振動を吸収する層である。振動吸収層78を構成する部材としては、振動吸収部材が好ましく、たとえば発泡樹脂部材またはゴムなどが挙げられる。振動吸収層78の形成方法は特に限定されないが、例えば上述する振動吸収部材を用いて形成されたシートを骨材70に巻き付けて固定することで容易に振動吸収層78を形成することができる。
上記発泡樹脂部材としては、たとえば、ポリプロピレン系樹脂発泡体、ポリスチレン系樹脂発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、またはポリウレタン系樹脂発泡体などが例示されるがこれに限定されない。
筒状本体10の内部であって、骨材70の周囲は、充填部材74が充填されている。充填部材74は、骨材70を保護し筒状本体70の内部を充填可能な部材であればよく、たとえば、土砂、土嚢、発泡体、コンクリート等が挙げられる。骨材70の多少の湾曲を許容するという観点からは土砂、土嚢または発泡体が好ましい。また土嚢は、適度な重量を有するとともに、タワー210から筒状本体10に伝搬された振動の一部を吸収可能であるため、充填部材74としてより好ましい。
本実施形態にかかる基礎構造160は、筒状本体10とタワー結合部20との間に上下分離部66が設けられている。本実施形態では、筒状本体10を構成する筒体が筒状本体上端11より上方まで延在し、タワー結合部20の側面を構成している。換言すると、タワー結合部20の側面および筒状本体10は、同一の筒体により構成されている。タワー結合部20の内部は、軸中心に骨材70の上端部と、当該上端部より上方に配置されたタワー210が存在し、その周囲はコンクリートで充填されてなるコンクリート部76が設けられている。
本実施形態の基礎構造160は、固定手段として、重量物34を収容した容器30およびアンカーチェーン60が設けられている。アンカーチェーン60の端部にはアンカー62が設けられており、これによって海底320に対し固定されている。尚、図7に示す態様と同様に、アンカー62を、適宜、石などで覆うことで、海底320に対する固定状態をより安定させることができる。
本実施形態における容器30は、外周にも重量物34が配置されている。このように容器30の外周にも重量物34を配置することで、基礎構造160の設置安定性をより高めることができるとともに、漁礁の拡張にもなり好ましい。また容器30の外周に配置された重量物34は、基礎構造160の周囲において海底の洗掘を防止し、基礎構造160の設置安定性を高める。
<第五実施形態>
次に本発明の第五実施形態である海底設置型基礎構造180(以下、単に基礎構造180ともいう)ついて図9を用いて説明する。図9は、本発明の第五実施形態にかかる基礎構造180の側面図である。
第五実施形態にかかる基礎構造180は、筒状本体10の上端部であって満潮時の海面310より上方に作業ステージを備えること以外は第一実施形態にかかる基礎構造100と同様の構成を有する。そのため以下において、基礎構造180に特有の構成に関し主として説明し、基礎構造100と共通の構成については詳細な説明を適宜割愛する。
図9に示すとおり、基礎構造180は、筒状本体10の上端部であって満潮時の海面310よりも上の位置にクレーンの設置が可能な作業用ステージ18が設けられている。作業ステージ18は、上面が略水平であって所定面積を備える。作業ステージ18の上面の面積は特に限定されないが、少なくとも、クレーンが搭載されクレーン作業が可能な程度であることが好ましい。上記クレーンは、洋上風力発電装置200を基礎構造180に設置可能な規模である大型クレーン230であることが好ましい。具体的には、作業ステージ18は、重量100トンから900トン程度、高さ15m以上120m以下程度、釣り上げ高さ50m以上150m以下程度の寸法のクレーンを搭載できることが好ましい。図9に示す基礎構造180は、対向する位置に2つの作業ステージ18を有し、一方に大型クレーン230、他方に小型クレーン240が搭載されている。上記小型クレーン240の規模は、たとえば、重量100トン未満、高さ15m未満、釣り上げ高さ50m未満程度である。
尚、本明細書においてクレーンとは、クレーン作業可能な装置、および当該クレーン作業が可能な装置を搭載した車両のいずれも包含する。
一般的に、洋上風力発電装置を設置する際、クレーンが搭載された作業船(たとえば、SEP船)が、1隻から数隻程度、数日間から数週間、使用される。上記作業船を用いて、洋上風力発電装置の吊り上げを行い、基礎構造の上に当該洋上風力発電装置を設置する作業が行われる。上記作業船は、クレーン作業などを行うプラットフォームと海底に固定される脚部を有することが一般的である。上記作業船は、当該脚部が伸長され海底に固定されることで、プラットフォームが揺れない状態となり、これによってクレーン作業を可能とする特殊な船である。そのため上記作業船は、チャージ料が高額であり、洋上風力発電装置の設置費用を高くする大きな原因の一つである。
これに対し、本実施形態の基礎構造180は、作業ステージ18を備えるため、大型クレーン230を作業ステージ18に搬送して設置し洋上風力発電装置200の設置作業を行うことができる。したがって、基礎構造180が作用された場合、洋上風量発電装置200の設置に関し、従来のように作業船を準備する必要がなく、あるいは作業船の数を減らすことができ、洋上風力発電装置200の設置コストを従来に比べて低減することができる。
洋上風力発電装置200の設置作業が終了した後は、大型クレーン230等は作業ステージ18から撤去されてもよい。しかし、洋上風力発電装置200の設置後も、適宜、作業ステージ18に事後的な作業を可能とするクレーン(以下、作業クレーンと称する)をステージ18に設置しておくことが好ましい。作業クレーンは、図示する小型クレーン240または大型クレーン230であってもよいし、またこれらとは異なるクレーンであってもよい。洋上風力発電装置200が設置された後、かかる洋上風力発電装置200に対し、メンテナンス、定期検査、部品の交換、または事故の際の修理等の作業(以下、事後作業と称する)が発生する。これに対し、作業ステージ18において作業クレーンが常設され、いつでも使用できる状態であれば、事後作業が発生した際に、その都度、クレーンを洋上風力発電装置200まで搬送することなく、速やかに作業を開始することができる。また洋上風力発電装置200において事故が発生した際、速やかに事故に対応することができるという安全上の観点からも、作業ステージ18を設け、ここに作業クレーンを常時設置しておくことは好ましい。
本実施形態における作業ステージ18は、略180度対向する位置に2箇所設けられているが、本発明における作用ステージ18はこれに限定されない。本実施形態は、作業ステージ18が、1箇所または3箇所以上設けられた態様、あるいは、筒状本体10の周方向の全周に設けられた態様を包含する。
以上に本発明の第一実施形態から第五実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。たとえば上述する各実施形態では、固定手段として、容器30、金属部材40、およびアンカーチェーン60のいずれか1つまたは組合せで備える態様を示した。しかし、本発明の基礎構造は、これらの実施態様に限定されず、固定手段を有しない態様を含み、また固定手段を有する態様の場合、各実施態様にて具体的に示された固定手段に替えて、適宜、他の固定手段に変更することができる。
以上に述べるとおり、本発明の基礎構造は、筒状本体を海底またはその近傍に設置し固定するという、従来にない洋上風力発電装置用の基礎構造である。本発明の基礎構造は、洋上風力発電装置の設置姿勢を固定することができる上、従来の浮体式の基礎構造または杭を用いた基礎構造に対し、設置の労力やコストが低減される。そのため、洋上風力発電装置の増設に対し実質的に貢献することができる。
また特に、筒状本体の下端部に設置される容器を備える態様、または中空であり内外に連通する孔が設けられた筒状本体を備える態様等である本発明の基礎構造は、新たな漁礁を提供することができる。そのため、単に洋上風力発電装置による電力確保だけでなく、漁業の発展にも大きく貢献することができる。洋上発電装置の実質的な発展を推進するためには、漁業との共存が重要な課題であるところ、本発明の種々の態様では、当該課題をも充分に解決することができる。
本発明の基礎構造は、洋上風力発電装置の基礎として、上述のとおり海底の深度が30m以上100m以下の海域で対応することができ、加えて、洋上風力発電装置を良好に支持するのみならず、漁礁効果を発揮し得る。
ここで、深度100m以下の比較的浅い海域は、我が国の漁業や養殖に適した海域であり、また資源保護が求められる海域でもある。したがって洋上風力発電装置を良好に支持するだけでなく漁礁効果をも発揮し得る本発明の基礎構造は、かかる深度の海域において特に好ましく実施され得る。
さらに漁場として良好な海域に本発明の基礎構造を設置することによって、違法な底引き船の立ち入りを困難とさせ密漁や違法操業を防止することができる。また本発明の基礎構造に監視カメラを設置することによって、より厳密に密漁を防止することも可能であり、漁業管理、漁場保全の観点からも本発明の基礎構造を役立たせることが可能である。
ところで従来の洋上風力発電装置のための浮体式基礎構造や杭基礎構造の製造は、大掛かりな設備やSEP船などを必要とし、限られた業界のみで行われていた。これに対し、本発明の基礎構造の製造並びに施工に関する技術は、我が国の造船業界、海洋土木業界、サルベージ業界、または漁業関係業界等のいずれかまたは複数業界が参加可能な裾野の広い新産業を提供することができる。
以上に述べるとおり、本発明の基礎構造は、風力発電装置の実施に対する貢献にとどまらず、漁業および上記新産業にも貢献可能であり、我が国のSDGs(持続可能な開発目標)に沿った我が国が管理する海域におけるエネルギーおよび食料に関する重要な技術といえる。
また、本発明の基礎構造は、海底送電網のターミナル基地としても利用可能である。かかるターミナル基地として本発明の基礎構造を利用することにより、電力大消費地である都市部への送電効率を上げることが可能である。また陸上の発電施設が大地震などで被災し運転不可能となった場合でも、本発明の基礎構造に支持された洋上発電装置は運転可能であるため、海から都市部への緊急送電を可能とし、都市部機能の迅速な復旧に貢献し得る。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)洋上風力発電装置の基礎構造であって、
筒状本体と、
前記筒状本体の上端側に設けられたタワー結合部と、を備え、
前記筒状本体の上端が海面またはその近傍に位置するとともに、前記筒状本体の下端が海底またはその近傍に位置していることを特徴とする海底設置型基礎構造。
(2)前記筒状本体の下端部において外側面周方向に配置された上端開口の容器を備え、
前記容器が、前記筒状本体に接合されているとともに、
前記容器内に複数の重量物が収容されている上記(1)に記載の海底設置型基礎構造。
(3)前記筒状本体の下端部外側面に直接または間接に接合された軸方向に長尺の金属部材を複数備え、
前記金属部材が前記筒状本体を中心として放射状に延在している上記(1)または(2)に記載の海底設置型基礎構造。
(4)前記金属部材が、第一金属部材と、前記第一金属部材よりも長い第二金属部材とを備え、
前記第一金属部材の一端側が、前記筒状本体の下端部外側面に直接または間接に接合されているとともに、
前記第一金属部材の他端側と前記第二金属部材の一端側とが連結されている上記(3)に記載の海底設置型基礎構造。
(5)一の前記金属部材の前記筒状本体とは反対側に位置する端部と、隣り合う他の前記金属部材の前記筒状本体とは反対側に位置する端部とを連結する連結金属部材を備える上記(3)または(4)に記載の海底設置型基礎構造。
(6)前記筒状本体の外側面から海底まで連続するアンカーチェーンを備える上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
(7)前記筒状本体の上端部であって干潮時の海面よりも下の位置に上下分離部が設けられており、
前記上下分離部より上部を取り外し、前記上下分離部よりも下部を海中に残置可能に構成されている上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
(8)前記筒状本体の上端部であって満潮時の海面よりも上の位置にクレーンの設置が可能な作業用ステージが設けられている上記(1)から(7)のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
(9)前記筒状本体が中空であって筒状本体の内外方向に連通する孔が筒状本体側面に設けられている上記(1)から(8)のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
(10)前記筒状本体の内部に、
上下方向に延在する骨材と、前記骨材の周囲に充填された充填部材とが設けられている上記(1)から(8)のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
10・・・筒状本体
11・・・筒状本体上端
12・・・筒状本体下端
14・・・マウンド
16・・・底面
18・・・作業ステージ
20・・・タワー結合部
22・・・水平調整部
24・・・振動吸収部
30・・・容器
32・・・上端
34・・・重量物
40・・・金属部材
42・・・第一金属部材
44・・・第二金属部材
46・・・鉄骨継手
48・・・端部
50・・・連結金属部材
52・・・固定部材
60・・・アンカーチェーン
62・・・アンカー
64・・・連結具
66・・・上下分離部
68・・・孔
69・・・脱気窓
70・・・骨材
72・・・拡径部
74・・・充填部材
76・・・コンクリート部
78・・・振動吸収層
100、120、140、160、180・・・海底設置型基礎構造
200・・・洋上風力発電装置
210・・・タワー
220・・・ブレード
230・・・大型クレーン
240・・・小型クレーン
310・・・海面
320・・・海底
330・・・曳船
332・・・ロープ

Claims (10)

  1. 洋上風力発電装置の基礎構造であって、
    筒状本体と、
    前記筒状本体の上端側に設けられたタワー結合部と、を備え、
    前記筒状本体の上端が海面またはその近傍に位置するとともに、前記筒状本体の下端が海底またはその近傍に位置しており、
    前記筒状本体の下端部に対し直接または間接に接合され固定された軸方向に長尺であって、筒状本体の転倒モーメントに抵抗可能な金属部材を複数備え、
    海底面上において複数の前記金属部材が前記筒状本体を中心として放射状に延在していることを特徴とする海底設置型基礎構造。
  2. 前記筒状本体の下端部において外側面周方向に配置された上端開口の容器を備え、
    前記容器が、前記筒状本体に接合されているとともに、
    前記容器内に複数の重量物が収容されている請求項1に記載の海底設置型基礎構造。
  3. 前記金属部材の横断面が、四角形、円形、H字形状、L字形状またはコの字形状のいずれかである請求項1または2に記載の海底設置型基礎構造。
  4. 前記金属部材が、第一金属部材と、前記第一金属部材よりも長い第二金属部材とを備え、前記第一金属部材の一端側が、前記筒状本体の下端部外側面に直接または間接に接合されているとともに、
    前記第一金属部材の他端側と前記第二金属部材の一端側とが連結されている請求項3に記載の海底設置型基礎構造。
  5. 一の前記金属部材の前記筒状本体とは反対側に位置する端部と、隣り合う他の前記金属部材の前記筒状本体とは反対側に位置する端部とを連結する連結金属部材を備える請求項3または4に記載の海底設置型基礎構造。
  6. 前記筒状本体の外側面から海底まで連続するアンカーチェーンを備える請求項1から5のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
  7. 前記筒状本体の上端部であって干潮時の海面よりも下の位置に上下分離部が設けられており、
    前記上下分離部より上部を取り外し、前記上下分離部よりも下部を海中に残置可能に構成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
  8. 前記筒状本体の上端部であって満潮時の海面よりも上の位置にクレーンの設置が可能な作業用ステージが設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
  9. 前記筒状本体が中空であって筒状本体の内外方向に連通する孔が筒状本体側面に設けられている請求項1から8のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
  10. 前記筒状本体の内部に、
    上下方向に延在する骨材と、前記骨材の周囲に充填された充填部材とが設けられている請求項1から8のいずれか一項に記載の海底設置型基礎構造。
JP2018146210A 2018-08-02 2018-08-02 海底設置型基礎構造 Expired - Fee Related JP6800493B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018146210A JP6800493B2 (ja) 2018-08-02 2018-08-02 海底設置型基礎構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018146210A JP6800493B2 (ja) 2018-08-02 2018-08-02 海底設置型基礎構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020020209A JP2020020209A (ja) 2020-02-06
JP6800493B2 true JP6800493B2 (ja) 2020-12-16

Family

ID=69588265

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018146210A Expired - Fee Related JP6800493B2 (ja) 2018-08-02 2018-08-02 海底設置型基礎構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6800493B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7492283B1 (ja) 2022-11-24 2024-05-29 株式会社四国Ga 着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000213451A (ja) * 1999-01-22 2000-08-02 Hitachi Zosen Corp 風力発電装置
JP2001020849A (ja) * 1999-07-09 2001-01-23 Hitachi Zosen Corp 水上風力発電装置
JP2002097651A (ja) * 2000-09-25 2002-04-02 Kajima Corp 構造物基礎
JP2005180239A (ja) * 2003-12-17 2005-07-07 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 洋上風力発電装置の基礎
NO329946B1 (no) * 2008-08-14 2011-01-31 Olav Olsen As Dr Techn Fundament for en vindturbingenerator til havs samt fremgangsmate for bygging og installasjon av fundamentet
FI125848B (fi) * 2012-02-28 2016-03-15 Finnish Sea Service Oy Menetelmä tornimaisen rakenteen perustuksen muodostamiseksi
KR101384165B1 (ko) * 2012-05-02 2014-04-10 한국해양과학기술원 해상풍력 기초의 세굴방지용 캡
JP6776505B2 (ja) * 2016-05-12 2020-10-28 前田建設工業株式会社 洋上施設の基礎、洋上施設及び洋上施設の基礎の構築方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020020209A (ja) 2020-02-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104040075B (zh) 一种用于安装海上塔的方法
US9592889B2 (en) Submersible active support structure for turbine towers and substations or similar elements, in offshore facilities
JP6564835B2 (ja) 浮体式風力タービンプラットフォーム及び組立方法
CN103228909B (zh) 用于安装海上塔的方法
JP2017521296A5 (ja)
US9394035B2 (en) Floating wind turbine platform and method of assembling
CN106061834B (zh) 系泊漂浮式风力涡轮机平台的方法
JP6835594B2 (ja) 浮体式構造物及び浮体式構造物の設置方法
KR101553426B1 (ko) 해상풍 터빈용 지지 요소, 상기 지지 요소의 제조 방법 및 상기 지지 요소의 설치 방법
JP2017516945A (ja) 風力タービン用浮体式下部構造およびそれの設置方法
JP2009248792A (ja) 洋上風力発電用のスパー型浮体構造およびその製造方法ならびにその設置方法
KR101352096B1 (ko) 트라이포드 석션파일 하부구조물
JP5798227B2 (ja) 浮体の設置方法
JP6675207B2 (ja) 洋上風力発電設備及びその施工方法
CN109736343B (zh) 海上风电基础、其安装方法及风力发电机组
KR20170088856A (ko) 풍력 에너지를 활용하는 부유식 플랫폼
CN102639868A (zh) 海上风机整机
JP6592760B2 (ja) 洋上風車の架設のためのベース構造
TW201727053A (zh) 離岸風力發電設備及其施工方法
CN114855865B (zh) 一种锚固于岩基海床的张紧式风机基础及布置方法
US10252781B2 (en) Floating mounting having a depth-variable horizontal cross-section
JP6800493B2 (ja) 海底設置型基礎構造
JP2002206474A (ja) 海上風力発電装置用基礎およびその施行方法
JP2020190152A (ja) 洋上風車用モノパイル基礎補助構造物および洋上風車用モノパイル基礎補助構造
JP7495802B2 (ja) 浮体式水上構造物の施工方法及びそれに使用する仮係留用浮体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190828

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200401

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200529

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6800493

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees