以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1はタッチセンサを備えた車両の概要を示す側面図を、図2は車内ステップを斜め上方から見た拡大斜視図を、図3はタッチセンサを単体で示す斜視図を、図4はタッチセンサの端部を示す斜視図を、図5はタッチセンサの長手方向と交差する方向に沿う断面図を、図6(a),(b)はタッチセンサの動作説明図をそれぞれ示している。
図1に示される車両10は、所謂ミニバンタイプの乗用車である。車両10は、エンジンルームおよび乗車スペースを備えた2ボックスの車体11を有し、車体11の側面には、乗員が昇降したり大きな荷物を出し入れしたりするための開口部11aが設けられている。開口部11aは、車体11の前後方向に移動されるスライドドア12によって開閉される。ここで、スライドドア12は、本発明における可動部材を構成し、車体11の側面に対して、複数のローラ(車輪)を介して組み付けられる。
そして、図1に示されるスライドドア12の開状態では、スライドドア12は車体11の車幅方向外側にはみ出して配置される。すなわち、スライドドア12は車体11に対して車幅方向外側に重なるようにして配置される。これに対し、スライドドア12の閉状態では、スライドドア12は開口部11aに対して、車体11の車幅方向内側に引き込まれて配置される。すなわち、スライドドア12は、車体11の側面に対して、段差無く面一とされる。
ここで、図2に示されるように、スライドドア12の車体前方側でかつ車体下方側には、ドアアーム12aの基端側が連結されている。また、ドアアーム12aの先端側には、ローラが回動自在に設けられている。そして、ローラは、車体11における開口部11aの車体下方側に設けられたガイドレール11b上を転動するようになっている。これにより、スライドドア12は車体11に対してスムーズに移動自在となっている。なお、ローラは、上述の他にも、スライドドア12の車体前方側でかつ車体上方側と、スライドドア12の車体後方側でかつ車体11の上下方向に沿う中央部との2箇所にも設けられている。すなわち、スライドドア12は、3つのローラ(何れも図示せず)により3点支持されている。
また、車体11におけるスライドドア12の近傍には、スライドドア12を移動(駆動)させるアクチュエータ13と、当該アクチュエータ13に駆動電流を供給するコントローラ14とが設けられている。これらのアクチュエータ13およびコントローラ14は、互いに電線15aを介して電気的に接続されている。なお、アクチュエータ13は、電動モータおよび一対の駆動ケーブルの一端側が巻回された回転ドラム(図示せず)を有し、一対の駆動ケーブルの他端側は、スライドドア12の車体前方側と車体後方側とにそれぞれ連結されている。これにより、コントローラ14によりアクチュエータ13を正逆方向に回転駆動させることで、スライドドア12が車体11の前後方向に移動される。
スライドドア12の車体前方側の端部には、第1タッチセンサ16(図中網掛部分)が装着されている。第1タッチセンサ16は、上述した従前のものと同様の場所に配置され、車体11の上下方向に延在するようにして設けられている。これにより、スライドドア12の閉動作時において、スライドドア12の車体前方側と車体11との間での障害物DA1(図1参照)の挟み込みが検知される。ここで、第1タッチセンサ16は、後述する第2タッチセンサ20(本発明におけるセンサおよびタッチセンサ)と同様の構成(構造)となっている。
第1タッチセンサ16は、コントローラ14に対して、電線15bを介して電気的に接続されている。そして、スライドドア12の閉動作時において、スライドドア12の車体前方側と車体11との間に障害物DA1が挟み込まれると、第1タッチセンサ16が弾性変形される。これにより、第1タッチセンサ16からコントローラ14に検知信号(短絡信号)が送出される。よって、コントローラ14は、障害物DA1の挟み込み(接触)を認識して、アクチュエータ13を逆回転させるように駆動制御したり、アクチュエータ13をその場で緊急停止させたりする。したがって、それ以上の障害物DA1の挟み込みが回避される。
車体11の内部で、かつ開口部11aの近傍には、昇降時に乗員が足を載せる車内ステップ17が設けられている。車内ステップ17は、本発明における車体の一部を構成し、硬質プラスチック等により略長方形形状の板状に形成され、かつ車体11の前後方向に延在されている。車内ステップ17は、ガイドレール11bを上方から覆い隠すようにして設けられ、ガイドレール11bの近傍に配置されている。すなわち、スライドドア12の開閉時には、車内ステップ17の近傍をドアアーム12aが移動するようになっている。
車内ステップ17の車体前方側には、車幅方向に沿う幅寸法が小さい幅狭部17aが設けられ、車内ステップ17の車体後方側には、車幅方向に沿う幅寸法が幅狭部17aよりも大きい幅広部17bが設けられている。これにより、車内ステップ17の車体前方側に、車体11の内部に向けて窪んだ窪み部17cが形成されている。
なお、スライドドア12の閉塞間際や閉塞状態において、窪み部17cがある部分には、ドアアーム12aが配置されるようになっている(図6参照)。また、車内ステップ17の長手方向(図中左右方向)に沿う幅狭部17aの長さ寸法は、車内ステップ17の長手方向に沿う幅広部17bの長さ寸法の略1/3となっている。
車内ステップ17の車幅方向外側には、第2タッチセンサ20(図中網掛部分)が設けられている。具体的には、第2タッチセンサ20は、強力両面テープ等の接着部材BD(図3および図5参照)により、車内ステップ17に強固に固定されている。第2タッチセンサ20は、本発明におけるセンサおよびタッチセンサを構成し、車体11の前後方向に延在されている。
これにより、第2タッチセンサ20は、スライドドア12の閉塞状態において、スライドドア12の車室内側(車体11の内部側)のドア面に近接して対向配置される。よって、スライドドア12の車室内側で、かつ車体11の上下方向に沿う下方側に障害物DA2(図6(b)参照)が接触するような場合には、スライドドア12の開口部11aへの引き込み時において、車内ステップ17とスライドドア12との間に障害物DA2が挟まれるようになる。これにより、障害物DA2が第2タッチセンサ20に接触して、第2タッチセンサ20が弾性変形される。
第2タッチセンサ20は、コントローラ14に対して、電線15cを介して電気的に接続されている。そして、スライドドア12の閉動作時において、車内ステップ17とスライドドア12との間に障害物DA2が挟み込まれると、第2タッチセンサ20が弾性変形され、ひいては第2タッチセンサ20からコントローラ14に向けて検知信号(短絡信号)が送出される。これにより、コントローラ14は、障害物DA2の挟み込み(接触)を認識して、アクチュエータ13を逆回転させるように駆動制御したり、アクチュエータ13をその場で緊急停止させたりする。したがって、それ以上の障害物DA2の挟み込みが回避される。
このように、本実施の形態では、従前と同様にスライドドア12の車体前方への移動時における障害物DA1(図1参照)の挟み込みを、第1タッチセンサ16で検知し、その後の対処(アクチュエータ13の逆転や緊急停止)を可能としている。これに加えて、スライドドア12の車幅方向に沿う車室内側への移動時、つまりスライドドア12の開口部11aへの引き込み時における障害物DA2(図6(b)参照)の挟み込みを、第2タッチセンサ20で検知し、その後の対処(アクチュエータ13の逆転や緊急停止)を可能としている。これにより、車両10の信頼性をより向上させている。
なお、スライドドア12は、その閉動作時において、図2および図6の破線矢印Mに示されるような軌跡を辿る。そして、図2および図6に示される「スライド領域」とは、スライドドア12が車体11の側方において、車体11の前後方向に移動する領域、つまりドアアーム12aが車体11の前後方向に移動される領域を示している。したがって、この「スライド領域」にドアアーム12aがある場合には、車内ステップ17とスライドドア12のとの間の隙間S1(図6参照)が最も広い状態となる。
これに対し、図2および図6に示される「引込領域」とは、スライドドア12が車幅方向に移動して、スライドドア12が車幅方向に沿う車室内側に引き込まれる領域、つまりドアアーム12aが車体11の車幅方向に移動される領域を示している。したがって、この「引込領域」にドアアーム12aがある場合で、かつスライドドア12の閉動作時には、車内ステップ17とスライドドア12との間の隙間S1が、隙間S2から隙間S3となるように、徐々に狭められていく状態となる(図6参照)。
なお、第2タッチセンサ20,コントローラ14およびアクチュエータ13により、本発明における障害物検知装置が構成される。
次に、第2タッチセンサ20の構造について、図面を用いて詳細に説明する。
図3ないし図5に示されるように、第2タッチセンサ20は、センサ本体21と、当該センサ本体21を保持するセンサホルダ22と、を備えている。第2タッチセンサ20の基端側には、一対の電極21b,21cの基端側が配置され、これらの電極21b,21cの基端部分には、コントローラ14のメス型コネクタ(図示せず)に接続されるオス型コネクタ20aが設けられている。
センサ本体21は、可撓性を有する絶縁ゴム材等よりなる絶縁チューブ21aを備えている。絶縁チューブ21aは外力の負荷により弾性変形され、絶縁チューブ21aの径方向内側(内部)には一対の電極21b,21cが螺旋状に固定されている。これらの電極21b,21cは、可撓性を有する導電ゴム等よりなる導電チューブ21dを備え、その内部には複数の銅線を束ねてなる導電線21eが設けられている。そして、図5に示されるように、絶縁チューブ21aの内径寸法は、電極21b,21cの直径寸法の略3倍とされる。すなわち、絶縁チューブ21aの軸心を中心にそれぞれ互いに対向される電極21b,21cの間には、電極21b,21cが略1本入る程度の隙間が形成されている。
このように、絶縁チューブ21aの径方向内側には、一対の電極21b,21cが、絶縁チューブ21aの周方向に180度間隔で配置されるとともに、絶縁チューブ21aの長手方向に螺旋状に固定され、さらに絶縁チューブ21aの軸心を中心にそれぞれ互いに対向される電極21b,21cの間には、電極21b,21cが略1本入る程度の隙間が形成されている。これにより、センサ本体21に障害物DA2(図6(b)参照)が接触して、絶縁チューブ21aの周方向に沿うどの位置が弾性変形されたとしても、略同じ条件(押圧力)でそれぞれの電極21b,21cは互いに接触して短絡されるようになっている。
ここで、第2タッチセンサ20においては、絶縁チューブ21aの直径寸法は約5mm程度とされ、一対の電極21b,21cの直径寸法は約1mm程度とされる。これにより、第2タッチセンサ20の柔軟性を確保して、車内ステップ17の幅狭部17aと幅広部17bとの間の段差形状に倣って装着できるようにしている(図2参照)。
図4および図5に示されるように、センサホルダ22は、可撓性を有する絶縁ゴム材を押し出し成形等することで長尺に形成され、内部にセンサ本体21が設けられる中空のセンサ保持部22aと、車内ステップ17の車幅方向外側に固定される土台部22bと、を備えている。
センサホルダ22の長手方向と交差する方向(短手方向)に沿うセンサ保持部22aの断面形状は、略円形形状に形成され、その肉厚は、絶縁チューブ21aの肉厚よりも薄くされている。これにより、絶縁チューブ21aを介してセンサ保持部22aに保持された電極21b,21cは、センサ保持部22aの弾性変形により互いに容易に接触することができる。よって、センサ本体21の十分な検出性能(感度)が確保される。
土台部22bは、センサ保持部22aに対して、その長手方向に沿って一体化して設けられ、センサ保持部22aを車内ステップ17の車幅方向外側に固定する機能を備えている。また、土台部22bは、センサホルダ22の短手方向に沿う断面形状が略台形形状に形成され、土台部22bの底面22cには、センサホルダ22を車内ステップ17の車幅方向外側に固定するための接着部材BDが固定されている。
ここで、センサ保持部22aおよび土台部22bは、互いに滑らかに連結されるように、一対の傾斜面TPを介して連結されている。このように、センサ保持部22aと土台部22bとの間に傾斜面TPを設けることで、センサ保持部22aと土台部22bとの間に応力が集中して亀裂等が生じるのを抑えている。これにより、センサホルダ22の耐久性を向上させている。
本実施の形態のセンサホルダ22では、センサ本体21(絶縁チューブ21a)の長手方向と交差する方向(短手方向)の断面形状が非円形となっている。したがって、センサ保持部22aを弾性変形し易くするとともに、土台部22bの剛性を十分なものとして、接着部材BDによる車内ステップ17の車幅方向外側への固定強度を確保している。
図4に示されるように、第2タッチセンサ20の先端側には、絶縁体よりなるセパレータSPと、1つの抵抗RSと、2つのかしめ部材SWと、が設けられている。これらのセパレータSP,抵抗RSおよびかしめ部材SWは、モールド樹脂MRの内部にインサート成形により埋設されている。そして、抵抗RSの両端部は、一対の電極21b,21cの導電線21eに対して、それぞれかしめ部材SWにより電気的に接続されている。すなわち、一対の電極21b,21cの端部は、抵抗RSを介して互いに電気的に接続されている。なお、セパレータSPは、一対の電極21b,21cのそれぞれの導電線21eが、セパレータSPの部分において抵抗RSを介さずに短絡されるのを防止するものである。
次に、以上のように形成された第2タッチセンサ20の動作について、図面を用いて説明する。
図6(a)に示されるように、スライドドア12が開状態(OPEN)にあり、この状態から乗員等がドアノブ(図示せず)を引っ張る等すると、これをトリガにアクチュエータ13が駆動される。よって、図6(a)の破線矢印Mに示されるように、スライドドア12が車体11の前方側に徐々に移動されていく。
そして、スライドドア12の閉動作の初期段階では、ドアアーム12aは、「スライド領域」を車体前方に向けて移動する。これにより、車体11の開口部11a(図1参照)が徐々に閉塞されていく。その後、ドアアーム12aは「スライド領域」を通過して、図6(a)の破線矢印Mに示されるように「引込領域」に到達される。これにより、スライドドア12は、車幅方向内側(図中上側)に移動されるようになり、やがて開口部11aに引き込まれていく。すると、車内ステップ17とスライドドア12との間の隙間が、図6(a),(b)に示されるように、「隙間S1」→「隙間S2」→「隙間S3」のように徐々に狭められていく。
その後、スライドドア12の開口部11aへの引き込み動作中において、車内ステップ17とスライドドア12との間に障害物DA2(図6(b)参照)の挟み込みが無い場合には、図6(a)に示されるように、第2タッチセンサ20は弾性変形されることが無い。そのため、コントローラ14には検知信号、つまり一対の電極21b,21c(図5参照)が短絡したことを示す短絡信号(抵抗値の変化)が入力されない。したがって、車体11の開口部11aは、スライドドア12によって完全に閉じられる(CLOSE)。
これに対し、スライドドア12の開口部11aへの引き込み動作中において、車内ステップ17とスライドドア12との間に障害物DA2が挟み込まれると、図6(b)に示されるように、第2タッチセンサ20が弾性変形される。これにより、コントローラ14には検知信号、つまり一対の電極21b,21cが短絡したことを示す短絡信号(抵抗値の変化)が入力される。すると、コントローラ14は、アクチュエータ13を直ぐに逆転駆動させて、スライドドア12を破線矢印Rに示されるように、車体11の後方側(逆方向)に移動させる。これにより、それ以上の障害物DA2の挟み込みが回避される。
なお、コントローラ14は、障害物DA2の挟み込み検知時において、乗員等に緊急動作をしていることを知らせるために、警報ブザー(図示せず)を鳴らすようになっている。
以上詳述したように、実施の形態1によれば、車体11の一部を構成する車内ステップ17に、一対の電極21b,21cを備えた第2タッチセンサ20を設け、第2タッチセンサ20に、当該第2タッチセンサ20の弾性変形による一対の電極21b,21cの短絡信号が入力されるコントローラ14を接続して設け、コントローラ14に、スライドドア12を駆動させるアクチュエータ13を接続して設け、第2タッチセンサ20が、車体11の車幅方向外側に設けられ、かつ車体11の前後方向に延在されている。
これにより、車体11の車幅方向に移動されるスライドドア12に対する障害物DA2の接触を検知することができる。
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7は実施の形態2を説明する図2に対応した斜視図を示している。
図7に示されるように、実施の形態2においては、実施の形態1に比して、第2タッチセンサ30の長さ寸法のみが異なっている。
より具体的には、実施の形態1の第2タッチセンサ20の長さ寸法は、図2に示されるように、車内ステップ17の長手方向全域に延びる長さ寸法であったのに対し、実施の形態2の第2タッチセンサ30の長さ寸法は、図7に示されるように、車内ステップ17の長手方向に沿う幅広部17bに対応した部分にのみ延在される長さ寸法としている。
言い換えれば、第2タッチセンサ30は、スライドドア12の開口部11aへの引き込み時における、車内ステップ17のドアアーム12aが配置される部分を除く他の部分(「スライド領域」の部分,幅広部17bがある部分)にのみ、設けられている。なお、第2タッチセンサ30は、本発明におけるセンサおよびタッチセンサを構成し、当該第2タッチセンサ30の構造は、実施の形態1における第2タッチセンサ20と同じ構造となっている。
このように、第2タッチセンサ30を短くしても、障害物DA2(図6(b)参照)の挟み込みの検出性能(感度)には、以下の理由により悪影響を与え難くなっている。つまり、スライドドア12の開口部11aへの引き込み動作時においては、「引込領域」には、常にドアアーム12aが配置される(図6(a),(b)参照)。したがって、ドアアーム12aが邪魔になって、「引込領域」の部分で、かつ車内ステップ17とスライドドア12との間には、障害物DA2が介在され難くなっている。
以上のように構成された実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、第2タッチセンサ30の長さ寸法を短くして必要最小限の長さ寸法にできるので、第2タッチセンサ30のコスト低減を図ることができ、かつ第2タッチセンサ30の車内ステップ17への組み付け性を向上させることができる。
なお、第2タッチセンサ30,コントローラ14およびアクチュエータ13により、本発明における障害物検知装置が構成される。
次に、本発明の実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図8は実施の形態3を説明する図5に対応した断面図を示している。
図8に示されるように、実施の形態3においては、実施の形態1に比して、車内ステップ17に、第2タッチセンサ20の車内ステップ17からの脱落を防止する保護壁40を設けた点のみが異なっている。
より具体的には、実施の形態3における車内ステップ17の車幅方向外側で、かつ車体11の上下方向に沿う上方側(図中上側)には、車幅方向外側に突出された保護壁40が設けられている。この保護壁40は、車内ステップ17に一体に設けられ、その突出高さは、第2タッチセンサ20の土台部22bの高さ(車幅方向に沿う厚み)と略同じ高さとされる。
これにより、車内ステップ17を車体上方(図中上方)から見たときに、保護壁40は第2タッチセンサ20の土台部22bを覆い隠す。したがって、乗員が足を載せることに起因した第2タッチセンサ20の車内ステップ17からの脱落が防止される。なお、第2タッチセンサ20のセンサ保持部22aは、図8に示される通り、保護壁40により覆い隠されていない。よって、センサ本体21の検出性能(感度)は十分に確保されている。
以上のように構成された実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3では、第2タッチセンサ20に対して、直に乗員が足を載せることを大幅に低減することができるので、第2タッチセンサ20の車内ステップ17からの脱落をより確実に防止して、ひいては第2タッチセンサ20の寿命を延ばすことができる。よって、メンテナンス周期を短くしてユーザへの負担を軽減することができる。
次に、本発明の実施の形態4について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9は実施の形態4を説明する車外ステップの拡大斜視図を示している。
上述した実施の形態1では、図2に示されるように、車体11の一部を構成する車内ステップ17に第2タッチセンサ20を設け、この第2タッチセンサ20により障害物DA2(図6(b)参照)の接触を検知すると、コントローラ14がアクチュエータ13を逆転駆動してスライドドア12を開動作させていた。
これに対し、実施の形態4では、図9に示されるように、車体11の外部に設けられて昇降時に車体11の車幅方向に移動されて乗員が足を載せる車外ステップ50に、第2タッチセンサ51を設けている。
より具体的には、第2タッチセンサ51は、車外ステップ50の車幅方向外側に設けられ、かつ車体11の前後方向に延在されている。そして、車外ステップ50は、図中破線矢印Mに示されるように、昇降時(スライドドア12が開状態の時)において、車体11から車幅方向外側に出っ張るようにして移動される。ここで、車外ステップ50は、スライドドア12を駆動させるアクチュエータ13とは別のアクチュエータ52により駆動される。なお、アクチュエータ52は、電線15dを介してコントローラ14に電気的に接続されている。
また、第2タッチセンサ51は、電線15eを介してコントローラ14に電気的に接続されている。ここで、第2タッチセンサ51は、本発明におけるセンサおよびタッチセンサを構成し、当該第2タッチセンサ51の構造は、実施の形態1における第2タッチセンサ20と長さ寸法が異なるのみで同じ構造となっている。
これにより、車外ステップ50の近傍に障害物DA3が存在し、この状態で車外ステップ50が車体11から車幅方向外側に移動されると、障害物DA3が第2タッチセンサ51に接触される。よって、第2タッチセンサ51が弾性変形される。これにより、コントローラ14がアクチュエータ52を逆転駆動させて、車外ステップ50を、車体11の下方に格納させる。
したがって、車体11の車幅方向に向けて障害物DA3を押圧するようなことが抑制されて、車外ステップ50による障害物DA3の損傷等を確実に防止することができる。
なお、車外ステップ50は、本発明における可動部材を構成し、アクチュエータ52は、本発明におけるアクチュエータを構成し、第2タッチセンサ51,コントローラ14およびアクチュエータ52により、本発明における障害物検知装置が構成される。
次に、本発明の実施の形態5について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図10は実施の形態5を説明する図2に対応した斜視図を示している。
図10のハッチング部分に示されるように、実施の形態5においては、実施の形態1に比して、車内ステップ17の車幅方向外側に設けられるセンサの構造のみが異なっている。具体的には、実施の形態1では、本発明におけるセンサとして、障害物DA2(図6(b)参照)が接触したことを検知する第2タッチセンサ20を採用したものを示したが、実施の形態5では、本発明におけるセンサとして、長尺に形成された静電容量形の近接センサ60を採用している。静電容量形の近接センサ60は、障害物DA2が接触される前の段階、すなわち障害物DA2が近接したことを検知するセンサであって、例えば、人体の接近により当該人体との間の静電容量が変化するセンサ電極を備えている(詳細図示せず)。
したがって、実施の形態5においても実施の形態1と同様の作用効果を奏することに加えて、障害物DA2が特に人体等である場合において、人体等に触れること無くより確実に挟み込みを防止することが可能となる。
なお、近接センサ60を、実施の形態2と同様に車内ステップ17の幅広部17bに対応した部分にのみ設けても良いし、実施の形態3と同様に車内ステップ17に保護壁40(図8参照)を設けても良い。さらには、近接センサ60を、実施の形態4と同様に、車外ステップ50(図9参照)の車幅方向外側に設けても良い。
ここで、近接センサ60,コントローラ14およびアクチュエータ13により、本発明における障害物検知装置が構成される。ただし、コントローラ14には、実施の形態1における短絡信号に変えて、静電容量変化信号(検出信号)が入力される。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態1〜4では、絶縁チューブ21aの内部に一対の電極21b,21cを螺旋状に固定したものを示したが、本発明はこれに限らず、電極の太さや必要とされる検出性能等に応じて、4本や6本等の電極を螺旋状に設けたり平行に設けたりしても良い。
その他、上記実施の形態における構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。