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JP6889730B2 - カルシウム含有無色透明飲料 - Google Patents

カルシウム含有無色透明飲料 Download PDF

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Description

本発明は、カルシウムを含有する無色透明飲料に関し、特に、カルシウム由来のエグ味が軽減された無色透明飲料に関する。
近年、消費者の健康意識や天然・自然志向を背景に、フレーバードウォーター(flavored water)の人気が高まっている。フレーバードウォーターとは、ミネラルウォーター(ナチュラルミネラルウォーター含む)などの水に香料やエキス、果汁などの原料を加えた適度な甘味を有する飲料で、ニアウォーターとも呼ばれる水のような無色透明な外観の飲料である。フレーバードウォーターのような無色透明でありながら果実等の風味と適度な甘味を有している飲料は、一般に、水の代わりに飲用できるようなすっきりとした味わいに加えて爽やかな風味を有しており、水と同程度、或いはそれ以上に飲みやすいという特徴を有している。
一方、運動や日常生活などでの発汗によって体から失われた水分やミネラル分を効率良く補給するために、一定量のミネラルが配合された飲料を飲用することが効果的であることが知られている(特許文献1〜5)。
しかしながら、ミネラルのうちカルシウムは、エグ味等の特有の呈味を有することから、配合する飲料によっては、香味への影響があることが知られている。特に、フレーバードウォーターのような無色透明飲料は、その性質上、配合成分や配合量に様々な制限がある。例えば、無色透明であるという性質を保つために、エキスや果汁などの添加量が著しく制限される。そのため、他の通常の飲料(例えば、着色された飲料や濁りを有する飲料)よりもカルシウム由来のエグ味が目立ちやすくなる。また、従来技術を用いるのみでは、フレーバードウォーターの特徴といえるすっきりした味わいや爽やかな風味が損なわれるという問題があった。
特開2017−12004号公報 特開2016−42812号公報 特開2016−7149号公報 特開2015−211651号公報 特開2015−167523号公報
そこで本発明は、カルシウムを含有する無色透明飲料において、カルシウム由来のエグ味を軽減することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、カルシウムを含有する無色透明な飲料に乳糖及び/又はオリゴ糖を含有させることにより、当該飲料においてカルシウム由来のエグ味が軽減されることを見出した。かかる知見により、本発明者らは、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下のものに関するが、これらに限定されない。
(1)カルシウムと、乳糖及び/又は少なくとも1種のオリゴ糖とを含有する飲料であって、以下の条件(i)〜(iv)を満たす前記飲料:
(i)波長660nmにおける吸光度が0.06以下であり、
(ii)純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下であり、
(iii)カルシウムの含有量が1〜50mg/100mLであり、
(iv)以下の条件(ア)及び/又は(イ)を満たす:
(ア)乳糖の含有量が0.1g/100mL以上である;
(イ)オリゴ糖の合計含有量が0.1g/100mL以上である。
(2)飲料の甘味度が3〜10である、(1)に記載の飲料。
(3)飲料のpHが4〜7である、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4)カルシウムを含有し、以下の条件(i)〜(iii):
(i)波長660nmにおける吸光度が0.06以下であり、
(ii)純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下であり、そして
(iii)カルシウムの含有量が1〜50mg/100mLである、
を満たす飲料の製造方法であって、
以下の条件(ア)及び/又は(イ)を満たすように乳糖及び/又は少なくとも1種のオリゴ糖を配合する工程を含む、前記方法:
(ア)当該飲料中の乳糖の含有量が0.1g/100mL以上である;
(イ)当該飲料中のオリゴ糖の合計含有量が0.1g/100mL以上である。
本発明によれば、カルシウムを含有していながらも、カルシウム由来のエグ味が軽減された無色透明な飲料を提供することができる。また、本発明では、カルシウム由来のエグ味の軽減により、すっきりした味わいや爽やかな風味が維持された無色透明飲料を提供することができる。なお、本明細書において「エグ味」とは、飲用時に舌の荒れを感じるような不快な味を意味し、「エグ味」は、「苦味」や「渋味」とは異なるものである。また、本発明の「カルシウム由来のエグ味」とは、カルシウムの持つ特有のエグ味のことであり、他のミネラル由来のエグ味とは異なるものである。
本発明の飲料及び関連する方法について、以下に説明する。なお、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値〜上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1〜2」により表される範囲は、1及び2を含む。
(カルシウム)
本発明の飲料は、カルシウムを含有する。本発明においてカルシウムは、飲食品に用いることができる塩の形態で、或いはこれらを豊富に含む海洋深層水や海藻エキスなどの形態で飲料に添加することができる。本発明の飲料にカルシウムを配合することができる塩としては、例えば、パントテン酸カルシウムや乳酸カルシウムなどが挙げられる。
本発明の飲料におけるカルシウムの含有量は1〜50mg/100mLであり、好ましくは5〜45mg/100mL、より好ましくは10〜40mg/100mLである。無色透明飲料におけるカルシウムの含有量が上記範囲内にある場合、当該飲料を飲用したときにエグ味が顕著に感じられる。
本発明において用いられるカルシウムが塩の形態にある場合は、これを遊離体(フリー体)の量に換算した上で飲料中のカルシウムの含有量を算出することができる。また、本発明に関する、飲料(試料溶液)中のカルシウムの含有量又は濃度は、ICP発光分光分析装置を用いて公知の方法により測定することができる。
(乳糖)
本発明の飲料は、乳糖を含有することができる。本発明の飲料中の乳糖の含有量は、0.1g/100mL以上であり、好ましくは0.15g/100mL以上であり、より好ましくは0.2g/100mL以上である。本発明の飲料中の乳糖の含有量の上限は、特に限定されないが、35g/100mL以下であることが好ましい。乳糖の含有量は、より好ましくは20g/100mL以下、さらに好ましくは10g/100mL以下である。飲料中の乳糖の含有量が0.1g/100mLより低いと、カルシウム由来のエグ味を効果的に軽減できない傾向にある。一方、飲料中の乳糖の含有量が35g/100mLを超えると、カルシウムのエグミを軽減するという本発明の効果を達成することはできるものの、飲料の甘味が強くなりすぎて飲料自体の味が損なわれる傾向にある。本発明の飲料中の乳糖の含有量は、典型的には、0.1〜35g/100mL、0.15〜20g/100mL、又は0.2〜10g/100mLである。
本発明において、飲料中の乳糖の含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて公知の方法により測定することができる。
(オリゴ糖)
本発明の飲料は、オリゴ糖を含有することができる。本明細書における「オリゴ糖」とは3〜7個の単糖がグリコシド結合によって結合した糖類を意味する。すなわち、「オリゴ糖」は、糖鎖を構成する単糖の数が3〜7個の糖類である。本発明のオリゴ糖は鎖状オリゴ糖、すなわち、単位構成糖が直鎖状及び/又は分岐鎖状に結合したオリゴ糖であり、単位構成糖が環状に結合した環状オリゴ糖を包含しない。本発明の鎖状オリゴ糖は、直鎖オリゴ糖であっても、分岐オリゴ糖であってもよいが、好ましいのは直鎖オリゴ糖である。単位構成糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、マンノースが挙げられ、中でも、グルコースが好ましい。単位構成糖の結合方式としては、α−1,4結合及びα−1,6結合から選択される1種又は2種が好ましく、より好ましいのはα−1,4結合である。例えば、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、およびマルトヘプタオース等)、イソマルトオリゴ糖(イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、イソマルトヘキサオース、およびイソマルトヘプタオース等)、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース、キシロヘキサオース、キシロヘプタオース等)、ニゲロオリゴ糖(ニゲロトリオース、ニゲロテトラオース、ニゲロペンタオース、ニゲロヘキサオース、ニゲロヘプタオース等)などが含まれるが、これらに限定されない。好ましいオリゴ糖はマルトオリゴ糖およびイソマルトオリゴ糖であり、より好ましくはマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトヘプタオース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオースである。本発明の飲料には、一種類のオリゴ糖だけが含まれていてもよいし、二種以上のオリゴ糖が含まれていてもよい。複数種類のオリゴ糖の混合物が市販されており、それらを利用することもできる。
本発明の飲料中のオリゴ糖の合計含有量は、0.1g/100mL以上であり、好ましくは0.15g/100mL以上、より好ましくは0.2g/100mL以上である。本発明の飲料中のオリゴ糖の合計含有量の上限は、特に限定されないが、70g/100mL以下であることが好ましい。オリゴ糖の合計含有量は、より好ましくは65g/100mL以下、さらに好ましくは60g/100mL以下である。飲料中のオリゴ糖の合計含有量が0.1g/100mLより低いと、カルシウム由来のエグ味を効果的に低減できない傾向にある。一方、飲料中のオリゴ糖の合計含有量が70g/100mLを超えると、カルシウムのエグミを軽減するという本発明の効果を達成することはできるものの、飲料の甘味が強くなりすぎて飲料自体の味が損なわれる傾向にある。本発明の飲料中のオリゴ糖の合計含有量は、典型的には、0.1〜70g/100mL、0.15〜65g/100mL、0.2〜60g/100mL、0.2〜10g/100mL、又は0.2〜9g/100mLである。
本発明において、飲料中のオリゴ糖の合計含有量は、LC−MS法にて測定することができる。
(無色透明飲料)
本発明の飲料は、無色である。飲料が無色であることは、測色色差計(ZE2000(日本電色工業株式会社製)など)を用いて純水を基準として測定した際の透過光のΔE値(色差)をもって規定することができる。具体的には、本発明の飲料は、純水を基準とした場合のΔE値が3.5以下である。ΔE値は、好ましくは2.3以下である。
また、本発明の飲料は、透明である。「飲料が透明である」とは、いわゆるスポーツドリンクのような白濁や、混濁果汁のような濁りがなく、水のように視覚的に透明な飲料であることをいう。飲料の透明度は、液体の濁度を測定する公知の手法を用いることにより、数値化することができる。例えば紫外可視分光光度計(UV−1600(株式会社島津製作所製)など)を用いて測定した波長660nmにおける吸光度をもって飲料の透明度を規定することができる。具体的には、本発明の飲料は、波長660nmの吸光度が0.06以下である。
(甘味度)
本発明の飲料は、適度な甘味を有していてよい。本発明の飲料では、甘味度は、特に限定されないが、例えば3〜10であり、好ましくは3〜9であり、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜7である。
本明細書における甘味度とは、飲料100g中にショ糖1g含有する飲料の甘さを「1」とした、飲料の甘味を表す指標である。当該飲料の甘味度は、各甘味成分の含有量を、ショ糖の甘味1に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、ショ糖の相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖甘味換算量(果汁やエキス等由来の甘味成分も含む)を総計することによって求められる。ショ糖の甘味1に対する各種代表的な甘味成分の甘味の相対比は、表1に示す。表1に記載のない甘味成分については、当該甘味成分を製造あるいは販売しているメーカーが提示する甘味度を用いたり、官能評価より甘味度を求めたりすることができる。
Figure 0006889730
本発明の飲料では、甘味成分を用いて飲料の甘味度を調整することができる。甘味成分としては、乳糖及び/又はオリゴ糖を用いればよいが、これらの糖以外に、表1に記載されている甘味成分を用いてもよい。乳糖及びオリゴ糖以外で特に好ましい甘味成分は果糖、砂糖、異性化糖(果糖55%)、ぶどう糖、ショ糖である。本発明の飲料においては、高甘味度甘味料を用いない場合の方が本発明の効果を認識しやすく、好ましい。なお、本明細書でいう高甘味度甘味料とは、ショ糖と比べて十倍以上の甘味度を有する人工又は天然の甘味料を意味する。本発明においては、飲料中にこれら甘味成分を甘味料として直接配合してもよいし、甘味成分を含有する果汁やエキス等を配合してもよい。
(pH)
本発明の飲料のpHは、例えば4〜7、好ましく4〜6、好ましくは5〜6である。pHが3より低いと、本発明の効果が十分に得られないおそれがある。
(酸味料)
本発明の飲料は、酸味料を含有してもよい。本発明の飲料のpHは、酸味料の配合により調整可能である。本発明において用いられる酸味料は、特に限定されないが、典型的な酸味料の例は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、グルコン酸、及びそれらの塩である。特に、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、及びそれらの塩が好ましい。本発明の飲料は、一種の酸味料だけを含有してもよいし、二種以上の酸味料を含有してもよい。なお、本発明に関して「酸味料」との用語を用いる場合、酸味料には、食品添加物だけでなく、果汁由来の酸も含まれる。具体的には、当該飲料が果汁を含有し、果汁が例示された上記の酸を含有する場合、その酸も酸味料とみなされる。
(タンニン)
本発明の飲料中のタンニンの含有量は、特に限定されないが、タンニンが多量に含まれると、飲料の着色が生じることから、150ppm以下であることが好ましい。飲料中のタンニンの含有量が150ppmを超えると、飲料の着色が生じ、無色透明を維持できなくなるおそれがある。また、タンニンには特有の渋味があり、タンニンが多量に含まれると、飲料としてのおいしさを損なうおそれがある。
(カフェイン)
本発明の飲料は、好ましくはカフェインを含有する。飲料中のカフェインの好ましい濃度は100〜200ppmである。適度なカフェインの刺激により、本発明の効果をより顕著に感じられるが、カフェインの濃度が200ppmを超えると、カフェインの苦味により、飲料としてのおいしさを損なうおそれがある。
(その他)
本発明の飲料には、上記に示した各種成分に加えて、通常の飲料に用いられる香料、糖類、栄養強化剤(ビタミン類など)、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、pH調整剤、品質安定剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。特に、本発明の飲料は、無色透明であるという特徴上、エキスや果汁などの添加量が著しく制限されるため、それを補うために香料が添加されていることが好ましい。より好ましい香料は、紅茶フレーバー、コーヒーフレーバーやミルクフレーバーである。
(飲料)
本発明の飲料の種類は、本発明が対象とする無色透明飲料である限り特に限定されず、清涼飲料であればよい。栄養飲料、機能性飲料、フレーバードウォーター(ニアウォーター)系飲料、茶系飲料(紅茶、ウーロン茶等)、コーヒー飲料、炭酸飲料などいずれであってもよいが、フレーバードウォーターが好ましい。当該飲料は、一実施形態において、茶風味を有する飲料であることが好ましく、その中でも紅茶風味飲料であることがより好ましく、ミルク紅茶風味飲料であることが特に好ましい。また、当該飲料は、他の実施形態において、コーヒー風味を有する飲料であることが好ましく、中でもミルクコーヒー風味飲料であることがより好ましい。一方、アルコール分を1%以上含有するアルコール飲料は、含有されるアルコール分が本発明の効果を阻害するおそれがあるため、好ましくない。
本発明の飲料は、容器に詰められた状態の容器詰飲料であることが好ましい。容器としては、特に限定されず、例えば、PETボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶などを挙げることができる。なかでも、無色透明な容器、例えばPETボトルを用いると、本発明の飲料に特徴的な無色透明な外観を容器詰めの状態で確認できることから、好ましい。容器詰飲料の加熱殺菌を行う場合、その種類は特に限定されず、例えばUHT殺菌及びレトルト殺菌等の通常の手法を用いて行うことができる。加熱殺菌工程の温度は特に限定されないが、例えば65〜130℃、好ましくは85〜120℃で、10〜40分である。ただし、上記の条件と同等の殺菌価が得られれば適当な温度で数秒、例えば5〜30秒での殺菌でも問題はない。
(方法)
本発明は、別の側面では、カルシウムを含有し、以下の条件(i)〜(iii):
(i)波長660nmにおける吸光度が0.06以下であり、
(ii)純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下であり、そして
(iii)カルシウムの含有量が1〜50mg/100mLである、
を満たす飲料の製造方法である。当該方法は、以下の条件(ア)及び/又は(イ)を満たすように乳糖及び/又は少なくとも1種のオリゴ糖を配合する工程を含む:
(ア)当該飲料中の乳糖の含有量が0.1g/100mL以上である;
(イ)当該飲料中のオリゴ糖の合計含有量が0.1g/100mL以上である。
また、当該方法は、当該飲料を飲用したときのカルシウム由来のエグ味を軽減することができるため、本発明は、当該飲料におけるカルシウム由来のエグ味を軽減する方法にも関する。
飲料中の成分の種類、その含有量、色差、吸光度、甘味度、pH、及びその好ましい範囲、並びにその調整方法については、本発明の飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。そのタイミングも限定されない。例えば、上記工程を、色差の調整工程、吸光度の調整工程、甘味度の調整工程、pHの調整工程、カルシウム含有量の調整工程などの他の工程と同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいし、それらの工程の順番を入れ替えてもよい。最終的に得られた飲料が、上記の条件を満たせばよい。
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
(試験例1)
下記の表に示した量で原料を水と混合して飲料を調製した。飲料の甘味度は砂糖で調整し、飲料のpHはリン酸とクエン酸三ナトリウムを用いて調整した。なお、試作品14では砂糖は使用せず、試作品15ではリン酸とクエン酸三ナトリウムは使用しなかった。得られた飲料について、分光光度計(UV−1600(株式会社島津製作所製))により波長660nmにおける吸光度を測定し、測色色差計(ZE2000(日本電色工業株式会社製))により純水に対する透過光のΔEを測定した。全ての飲料において、吸光度は0.06以下であり、純水に対する透過光のΔEは3.5以下であった。
各飲料について、3名の専門パネラーにより、飲用時にカルシウム由来のエグ味を感じるかどうかの官能評価試験を実施した。具体的には、カルシウム由来のエグ味を強く感じる場合を1点、エグ味を感じない場合を6点として、1〜6点の6段階で評価した。より具体的には、以下の評価基準を用いた。
6点:エグ味を感じない
5点:エグ味をほとんど感じない
4点:エグ味をわずかに感じる
3点:エグ味をやや感じる
2点:エグ味を明らかに感じる
1点:エグ味を強く感じる
1〜2点をフレーバードウォーターらしいすっきりした味わいや爽やかな風味を維持していない、3〜6点をフレーバードウォーターらしいすっきりした味わいや爽やかな風味を維持している、と評価した。平均点を下記の表に示す。なお、パネラー間では、評価基準となるサンプルを使用してエグ味の強さとそれに対応する点数との関係を確認し、点数付けがなるべく共通化するようにしてから評価試験を実施した。
Figure 0006889730
上記の表で明らかな通り、乳糖はカルシウム由来のエグ味を軽減した。また、乳糖の含有量が特定範囲にあると、特に優れた効果が得られた。なお、砂糖を用いない場合であっても、乳糖の効果は確認できた(試作品14)。
(試験例2)
下記の表に示した量で原料を水と混合して飲料を調製した。オリゴ糖としては、フジオリゴ#360(日本食品化工株式会社、糖鎖を構成する単糖の数が3〜7個のマルトオリゴ糖:70%、マルトトリオース:60%、甘味度:0.3)を使用した。飲料の甘味度は砂糖で調整し、飲料のpHはリン酸とクエン酸三ナトリウムを用い調整した。なお、試作品29では砂糖は使用せず、試作品30ではリン酸とクエン酸三ナトリウムは使用しなかった。得られた飲料について、試験例1と同様にして波長660nmにおける吸光度と、純水に対する透過光のΔEを測定した。全ての飲料において、吸光度は0.06以下であり、純水に対する透過光のΔEは3.5以下であった。
各飲料について、試験例1と同様にして官能評価試験を実施した。その評価の平均点を下記の表に示す。
Figure 0006889730
上記の表で明らかな通り、オリゴ糖はカルシウム由来のエグ味を軽減した。また、オリゴ糖の含有量が特定範囲にあると、特に優れた効果が得られた。なお、砂糖を用いない場合であっても、オリゴ糖の効果は確認できた(試作品29)。
(試験例3)
種々の組成を有するオリゴ糖を用いて実験を行った。具体的には、下記の表に示した量で原料を水と混合して飲料を調製した。オリゴ糖としては、フジオリゴG67(日本食品化工株式会社、糖鎖を構成する単糖の数が3〜7個:63%、マルトヘキサオース+マルトヘプタオース:40%、甘味度:0.18)、またはバイオトース♯50(日本食品化工株式会社、糖鎖を構成する単糖の数が3〜7個:28%、甘味度:0.5)を使用した。飲料の甘味度は砂糖で調整し、飲料のpHはリン酸とクエン酸三ナトリウムを用い調整した。得られた飲料について、試験例1と同様にして波長660nmにおける吸光度と、純水に対する透過光のΔEを測定した。全ての飲料において、吸光度は0.06以下であり、純水に対する透過光のΔEは3.5以下であった。また、全ての飲料においてタンニンの含有量は0ppm(検出限界以下)であった。
各飲料について、試験例1と同様にして官能評価試験を実施した。その評価の平均点を下記の表に示す。いずれのオリゴ糖も、カルシウム由来のエグ味を軽減した。
Figure 0006889730

Claims (6)

  1. カルシウムと、糖鎖を構成する単糖の数が3〜7個であり、当該単糖が直鎖状及び/又
    は分岐鎖状に結合した少なくとも1種のオリゴ糖とを含有する飲料であって、
    以下の条件(i)〜()を満たす前記飲料:
    (i)波長660nmにおける吸光度が0.06以下であり、
    (ii)純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下であり、
    (iii)カルシウムの含有量が1〜50mg/100mLであり、
    (iv)当該オリゴ糖の合計含有量が0.1g/100mL〜70g/100mLであり、
    (v)アルコール分の含有量が1%未満である
  2. 飲料の甘味度が3〜10である、請求項1に記載の飲料。
  3. 飲料のpHが4〜7である、請求項1又は2に記載の飲料。
  4. 当該オリゴ糖がマルトオリゴ糖である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料。
  5. カルシウムを含有し、以下の条件(i)〜(iv):
    (i)波長660nmにおける吸光度が0.06以下であり、
    (ii)純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下であり、
    (iii)カルシウムの含有量が1〜50mg/100mLであそして
    (iv)アルコール分の含有量が1%未満である
    を満たす飲料の製造方法であって、
    以下の条件を満たすように、糖鎖を構成する単糖の数が3〜7個であり、当該単糖が直鎖
    状及び/又は分岐鎖状に結合した少なくとも1種のオリゴ糖を配合する工程を含む、前記
    方法:
    当該飲料中の当該オリゴ糖の合計含有量が0.1g/100mL〜70g/100mL
    である。
  6. 当該オリゴ糖がマルトオリゴ糖である、請求項5に記載の方法。
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